JP3976826B2 - 反応性乳化剤及び水性重合体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は反応性乳化剤、及びこの反応性乳化剤を用いた水性重合体の製造方法に関し、詳しくは、水系重合での安定性が良好で、得られたエマルジョンから作製された重合体の耐水性等の物性を向上することができ、またエマルジョンを破壊してポリマーを取り出す際において排水中に混入する乳化剤の低減、樹脂の回収性に効果を発揮する反応性乳化剤、及びこの反応性乳化剤を用いた水性重合体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、乳化重合等の水系重合においては、乳化剤として、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン等の非イオン界面活性剤が単独あるいは混合系で用いられている。
【0003】
しかしながら、これらの界面活性剤を用いた場合、得られるポリマーエマルジョンから作成した塗膜の耐水性等の物性が低下するという問題があった。また、SBR、NBR、ABS等の合成樹脂又は合成ゴムの製造においてはエマルジョンを破壊してポリマーを取り出す際に排水中に乳化剤が混入し、排水処理の負荷が大きくなるという問題があった。
【0004】
これらの問題を解決するために反応性乳化剤を用い、ポリマー中に乳化剤を組み込もうとする技術がある。反応性乳化剤の構造は疎水基、親水基、反応基から成り立ち、各部位において様々な構造が提案されている。例えば、反応基の種類ではアリル基又はメタリル基(以下(メタ)アリル基と略記)を有する反応性乳化剤(特公平4−65824 号等)、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル基(以下(メタ)アクリル酸エステル基と略記)を有する反応性乳化剤(特開昭59−128353号等) 、マレイン酸基を有する反応性乳化剤(特開昭51−30282 号等)、β−メチルスチレン基を有する反応性乳化剤(特開平4−53802 号等)等が知られている。
【0005】
しかしながら、反応基がマレイン酸基、β−メチルスチレン基である場合、使用するモノマーの種類によっては反応性乳化剤の反応性が低く、上記問題を充分に解決できないことがあり、反応基が(メタ)アクリル酸エステル基の場合には反応性が高過ぎるために、乳化剤自身の保存安定性が低いことや重合時に使用するモノマーの種類によっては重合中の凝集物量が問題になっている。
【0006】
また、反応性乳化剤を親水基の種類でみた場合、非イオン性反応性乳化剤(特開昭56−28208 号等)、アニオン性反応性乳化剤(特公平4−65824 号等)が数多く提案されている。しかし、非イオン性反応性乳化剤は重合時の安定性や、生成粒子が粗いことに問題があり、アニオン性反応性乳化剤中硫酸エステル基や燐酸エステル基は重合時の安定性は割合良好であるが、合成樹脂又は合成ゴムに用いた場合、硫酸等の酸による樹脂の回収性に劣るという欠点があった。
【0007】
つまり、従来提案された反応性乳化剤では重合中の安定性、ポリマーエマルジョンの安定性、ポリマーエマルジョンから得られた塗膜の耐水性、耐候性、接着性、耐熱性などの物性や、合成樹脂又は合成ゴムに用いた場合の排水負荷低減や樹脂回収性を充分に解決できていないのが実情である。
【0008】
従って、本発明の課題は、水系重合での安定性が良好で、得られたエマルジョンから作成された重合体の耐水性等の物性を向上することができ、またエマルジョンを破壊してポリマーを取り出す際において排水中に混入する乳化剤の低減、樹脂の回収性に効果を発揮する反応性乳化剤を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記従来の技術的課題を解決すべく鋭意研究の結果、本発明を完成するに到った。
即ち、本発明は、エポキシ基を含有する総炭素数8〜24のモノカルボン酸とアリルアルコール又はメタリルアルコール(以下(メタ)アリルアルコールと略記)とを反応させることによりエポキシ基を開環し、更に塩基で中和することにより得られる化合物からなることを特徴とする反応性乳化剤、及びこの反応性乳化剤の存在下、モノマーを水系重合することを特徴とする水性重合体の製造方法を提供するものである。
【0010】
なお、本発明により製造される水性重合体の乳化を破壊して得られるSBR、ABS等の樹脂は耐衝撃性、金型汚れ防止性等の樹脂物性が良好となる。また本発明に係わるエポキシ基を含有する総炭素8〜24のカルボン酸と(メタ)アリルアルコールとを反応させてエポキシ基を開環した化合物もしくはそれを塩基で中和して得られる化合物は反応性乳化剤としての用途の他、樹脂改質剤など、様々な分野で利用可能である有用な物質である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
本発明の反応性乳化剤は、エポキシ基を含有する総炭素数8〜24のモノカルボン酸と(メタ)アリルアルコールとを反応させることによりエポキシ基を開環し、更に塩基で中和することにより得られる化合物であれば、構造を特に限定するわけではないが、例えば、一般式(I)
R-COOM (I)
(式中、R は置換基としてアリルエーテル基又はメタリルエーテル基(以下(メタ)アリルエーテル基と略記)とヒドロキシ基とを互いに隣会う炭素原子上に有し、これら以外の置換基を有してもよい炭素数7〜23の炭化水素基を示し、M は1価又は2価の陽イオンもしくはそれらの混合基を示す。)
で表される化合物が挙げられる。
【0013】
一般式(I)において、R としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アラルキル基等の直鎖、分岐鎖または環状の炭素数7〜23の炭化水素基の互いに隣会う炭素原子上に(メタ)アリルエーテル基とヒドロキシ基が結合したもの、更には、これら炭化水素基にハロゲン、カルボキシル基、ニトリル基、アミド基、アミノ基等の置換基を有する炭化水素基等が挙げられる。
【0014】
またM で示される1価又は2価の陽イオンもしくはそれらの混合基としては、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アミンもしくはそれらの混合基が挙げられ、これらの中ではNa、K 、アンモニウム、低級アミンが好ましく、M が水素原子である場合には他の陽イオンとの混合基で、水素原子の混合比が5モル%以下のものが好ましい。
【0015】
本発明の反応性乳化剤の中では、工業的な入手のし易さ、反応性乳化剤としての性能を加味した場合、一般式(II)
【0016】
【化2】
【0017】
(式中、R1は水素原子もしくは置換基を有してもよい炭素数1〜21の1価の炭化水素基を示し、R2は直接結合手又は置換基を有してもよい炭素数1〜21の2価の炭化水素基を示すが、R1とR2の炭素数の和は5〜21である。R3及びR4は一方が水素原子、他方が(メタ)アリル基を示し、M1は水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アミンもしくはそれらの混合基を示す。)
で表される化合物、又は(メタ)アリルアルコールでエポキシ基を開環したエポキシ化ロジン酸誘導体が好ましい。更には、総炭素数8から20の直鎖又は分岐のエポキシ化アルキルモノカルボン酸あるいはエポキシ化ロジン酸から誘導された化合物が特に好ましい。
【0018】
本発明において、カルボン酸の中和に用いられる塩基としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、アンモニア、アミン等の単独またはこれらの混合物が挙げられ、また中和物は完全中和物でなくてもよく、未中和物との混合物でもよい。更に、未中和物との混合物の場合、未中和物の混合比は5モル%以下が好ましい。
【0019】
本発明の反応性乳化剤の合成方法は特に限定されないが、一例を挙げると、下記反応式に示すように、まず、一般式(III) で表されるアルケニルモノカルボン酸をタングステン酸ナトリウム等の触媒や、過酢酸、過酸化水素等の過酸化物を用いエポキシ化反応を用い、一般式 (IV) で表されるエポキシ基を有するモノカルボン酸を得る。続いて、硫酸等の触媒を用いて(メタ)アリルアルコールによりエポキシ基を開環し、一般式(V)で表される(メタ)アリルエーテルヒドロキシモノカルボン酸を得、更に塩基により中和を行うことにより、一般式(II)で表される化合物を高収率で容易に得ることができる。
【0020】
【化3】
【0021】
(式中、R1, R2, R3, R4及びM1は前記の意味を示す。)
ここで原料として用いられる一般式(III) で表されるアルケニルモノカルボン酸としては、オクテン酸、デセン酸、ウンデセン酸、ドデセン酸、テトラデセン酸、ヘキサデセン酸、オクタデセン酸、ロジン酸等が挙げられる。
【0022】
本発明の反応性乳化剤を用いて乳化重合等の水系重合を行うことのできるモノマーは特に限定されるものではないが、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、グリシジルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等のα,β−不飽和カルボン酸アミド類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のα,β−不飽和ニトリル類、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロプレン等のハロゲン含有モノマー類、ブタジエン、イソプレン等のジエン誘導体類、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート等の架橋性単量体類等が使用される。これらのモノマーは、一種または二種以上の混合物として、水系重合に使用される。
【0023】
本発明の反応性乳化剤を用い、モノマーを水系重合する方法としては公知の乳化重合等の水系重合方法を使用することができる。
重合開始剤としては、従来公知のものを使用でき、例えば過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の無機過酸化物、クメンヒドロペルオキサイド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキサイド、パラメンタンヒドロペルオキサイド等の有機系過酸化物、アゾビスジイソブチロニトリル、メトキシベンゼンジアゾメルカプトナフタレン等のアゾ系開始剤等の有機系重合開始剤、あるいは過酸化物や酸化剤に亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄、糖等の還元剤を併用するレドックス系重合開始剤等が挙げられる。
【0024】
本発明の反応性乳化剤は、通常全モノマーに対して 0.1〜20重量%、さらに好ましくは 0.2〜5重量%の範囲で使用される。
【0025】
また、本発明の反応性乳化剤は単独でも良好な水系重合体を得ることができるが、必要により本発明の反応性乳化剤を二種以上または他の乳化剤や保護コロイド剤を併用してもよい。この場合の他の乳化剤としてはドデシルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ジアルキルスルホサクシネート塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類等が、保護コロイド剤としては、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。しかし、乳化重合により生成する重合体の耐水性等の物性や排水処理の負荷を考慮するとこれら他の乳化剤の使用量は全乳化剤の50重量%以下、好ましくは20重量%以下が好ましい。
【0026】
【実施例】
以下、本発明の反応性乳化剤の合成例、及び水性重合体の製造実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの合成例及び実施例に限定されるものではない。
尚、例中、%は特記しない限り重量基準である。
【0027】
合成例1
攪拌機、冷却器を備えた1リットルのガラス製反応器にタングステン酸ナトリウム2水和物5g、40%燐酸水溶液7g、10%過酸化水素水 240g、30%ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド水溶液4g、9−オクタデセン酸 100gを仕込み、65℃に昇温した。2時間反応を行ったのちに、冷却し、水層の除去を行った。水洗、乾燥後、得られたエポキシ化オクタデカン酸98gを攪拌機、冷却器を備えた1リットルのガラス製反応器に仕込み、アリルアルコール 100g、濃硫酸2gを添加し、65℃で2時間反応を行った。水洗して硫酸を除去し、乾燥を行った。得られた9−ヒドロキシ−10−アリルエーテルオクタデカン酸と10−ヒドロキシ−9−アリルエーテルオクタデカン酸の混合物を1N水酸化カリウムで中和し、目的の9−ヒドロキシ−10−アリルエーテルオクタデカン酸カリウムと10−ヒドロキシ−9−アリルエーテルオクタデカン酸カリウムの混合物を得た。
【0028】
合成例2
9−オクタデセン酸の代わりに9−ヘキサデセン酸を用いる以外は合成例1と同様な方法で、9−ヒドロキシ−10−アリルエーテルヘキサデカン酸カリウムと10−ヒドロキシ−9−アリルエーテルヘキサデカン酸カリウムの混合物を得た。
【0029】
合成例3
9−オクタデセン酸の代わりに10−ウンデセン酸を用いる以外は合成例1と同様な方法で、10−ヒドロキシ−11−アリルエーテルウンデカン酸カリウムと11−ヒドロキシ−10−アリルエーテルウンデカン酸カリウムの混合物を得た。
【0030】
合成例4
水酸化カリウムの代わりに水酸化ナトリウムを用いる以外は合成例3と同様な方法で、10−ヒドロキシ−11−アリルエーテルウンデカン酸ナトリウムと11−ヒドロキシ−10−アリルエーテルウンデカン酸ナトリウムの混合物を得た。
【0031】
合成例5
アリルアルコールの代わりにメタリルアルコールを用いる以外は合成例4と同様な方法で、10−ヒドロキシ−11−メタリルエーテルウンデカン酸ナトリウムと11−ヒドロキシ−10−メタリルエーテルウンデカン酸ナトリウムの混合物を得た。
【0032】
合成例6
水酸化カリウムの代わりにアンモニアを用いる以外は合成例3と同様な方法で、10−ヒドロキシ−11−アリルエーテルウンデカン酸アンモニウムと11−ヒドロキシ−10−アリルエーテルウンデカン酸アンモニウムの混合物を得た。
【0033】
合成例7
アリルアルコールの代わりにメタリルアルコールを用いる以外は合成例6と同様な方法で、10−ヒドロキシ−11−メタリルエーテルウンデカン酸アンモニウムと11−ヒドロキシ−10−メタリルエーテルウンデカン酸アンモニウムの混合物を得た。
【0034】
合成例8
9−オクタデセン酸の代わりに精製ロジン酸を用いる以外は合成例1と同様な方法で、ヒドロキシアリルエーテルロジン酸カリウムを得た。
【0035】
実施例1〜4及び比較例1〜6
本発明の反応性乳化剤を用いて下記の重合処方−1により乳化重合を行い、水性重合体を得た。得られた水性重合体の重合安定性、粒径及び機械的安定性と、この水性重合体から得られたフィルムの耐水性を下記方法により評価した。結果を表1に示す。
なお、従来の乳化剤を用いた例を比較例として表1に併記した。
【0036】
<重合処方−1>
温度計、攪拌機、冷却器、窒素導入管、滴下ロートを備えた 0.5リットルのガラス製反応器に乳化剤1g、水 149g、n−ブチルアクリレート(n−BA)5g、過硫酸カリウム 0.2gを仕込んだ。反応系内を窒素置換し、攪拌を行いながら昇温した。70℃になった時点から3時間かけてn−BA95gの滴下を行った。滴下終了後80℃に昇温し、2時間熟成を行った。
【0037】
<重合安定性>
重合終了後のポリマーラテックスを 100メッシュ金網で濾過し、濾過残渣を水洗後、 105℃、200mmHg で一晩乾燥後、秤量し、使用したモノマー量に対する重量%で表示した。
【0038】
<粒径>
100 メッシュ金網で濾過後のポリマーラテックスをコールター社のN−4を用い、粒径を測定した。
【0039】
<機械的安定性>
100 メッシュ金網で濾過後のポリマーラテックス50gをマロン法機械的安定度試験機にて10kg、 1000rpmの条件で5分間回転させ、生成した凝集物を 100メッシュ金網で濾過し、濾過残渣を水洗後、 105℃、200mmHg で一晩乾燥後、秤量し、重合物に対する重量%で表示した。
【0040】
<耐水性(フィルム白化テスト)>
100 メッシュ金網で濾過後のポリマーラテックスを76×26mmスライドグラス上に厚さ 125μに広げ、 100℃、5分間成膜し、室温まで冷却して試験片とした。皮膜の付着したスライドグラスを、8ポイント活字の新聞紙を下に備えた室温の水を含むシャーレの中に浸漬し、活字が読めなくなるまでの時間を測定した。
【0041】
【表1】
【0042】
【化4】
【0043】
実施例5〜9及び比較例7〜11
本発明の反応性乳化剤を用いて下記の重合処方−2により乳化重合を行い、水性重合体を得た。得られた水性重合体の重合安定性及び粒径を実施例1と同様の方法により、また樹脂回収性及び全有機炭素(TOC)を下記の方法で評価した。結果を表2に示す。
なお、従来の乳化剤を用いた例を比較例として表2に併記した。
【0044】
<重合処方−2>
温度計、攪拌機、冷却器を備えた1リットルのオートクレーブに乳化剤5g、水 200g、パラメンタンヒドロペルオキサイド 0.1g、硫酸第1鉄7水和物0.05g、エチレンジアミンテトラアセティックアシッド(EDTA)0.07g、ドデシルメルカプタン 0.2g、3燐酸ナトリウム12水和物 0.8g、スチレン30gを仕込んだ。続いて、液化ブタジエン70gを仕込み、空気を除去した後、攪拌を行いながら5℃まで昇温した。5℃になった時点から重合転化率67〜73%まで反応を行い、重合停止剤を加え重合を停止した。続いて減圧下で残ったモノマーの除去を行った。
【0045】
<樹脂回収性>
100メッシュ金網で濾過後のポリマーラテックス2gを 105℃、200mmHg で一晩乾燥後、秤量し、ポリマーラテックス中の樹脂量を算出した。次に、濾過後のポリマーラテックス20gに0.1mol/リットルの硫酸水溶液6mlを加え、室温にて3時間放置した。生成した重合体を 100メッシュ金網で濾過し、濾過残渣を水洗後、105 ℃、200mmHg で一晩乾燥後、秤量し、回収出来た樹脂量を求めた。これらの値から下記式により樹脂回収性を測定した。
【0046】
【数1】
【0047】
<全有機炭素(TOC)>
100メッシュ金網で濾過後のポリマーラテックス20gに0.1mol/リットルの硫酸水溶液6mlを加え、室温にて3時間放置した。生成した重合体を 100メッシュ金網で濾過後、濾過液のTOCを島津製作所製TOC−500を用いて測定した。
【0048】
【表2】
【0049】
注)
*1〜*3は表1と同じ
実施例10〜11及び比較例12〜13
本発明の反応性乳化剤を用いて下記の重合処方−3により乳化重合を行い、水性重合体を得た。得られた水性重合体の重合安定性、樹脂回収性及び全有機炭素(TOC)を下記の方法で評価した。結果を表3に示す。
なお、従来の乳化剤を用いた例を比較例として表3に併記した。
【0050】
<重合処方−3>
ステンレス製オートクレーブに、乳化剤を3g、過硫酸カリウム0.15g、酢酸ナトリウム 0.3g、イオン交換水 300g、ジビニルベンゼン0.12gを仕込み、窒素によりオートクレーブ内を置換した。次いで、ブタジエン 150gを圧入した後、反応温度65℃にて30時間攪拌して重合を行った。その後、未反応のブタジエンを減圧除去し、ブタジエンラテックスを得た(1段階)。
このゴム質ラテックスを高圧ホモジナイザー(イズミフードマシナリ社製)を用い圧力30〜70kg/cm2 で処理を行った。
ステンレス製オートクレーブに、上記の肥大化ゴム質ラテックスを 350g、乳化剤 1.5g、イオン交換水 200g、硫酸第一鉄 0.005g、EDTA0.01g、ロンガリット 0.3gを仕込み、オートクレーブの窒素置換を行った。攪拌下、60℃に昇温し、アクリロニトリル25g、スチレン75g、ドデシルメルカプタン 0.6g、t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.2gの混合物を5時間で滴下した。その後、t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.1gを添加し、70℃で2時間熟成を行った(2段階)。
【0051】
<重合安定性>
1段階及び2段階での重合終了後のポリマーラテックスを 100メッシュ金網で濾過し、濾過残渣を水洗後、 105℃、200mmHg で一晩乾燥後、秤量し、使用したモノマー量に対する重量%で表示した。
【0052】
<樹脂回収性>
1.5%硫酸水溶液 250gを攪拌しながら上記で合成したABS重合体ラテックス 375gを添加した。30分攪拌後、濾過し樹脂析出物を得た。この重合体析出物を 0.1N水酸化ナトリウム水溶液 300gにて攪拌洗浄後、濾過を行った。更にイオン交換水 300gにて2回水洗、濾過、乾燥を行い、ABS重合体パウダーを得た。使用したポリマーラテックス中の樹脂量に対する回収できた樹脂量の割合(重量%)を樹脂回収率とした。
【0053】
<全有機炭素(TOC)>
樹脂回収性の測定時に生成した濾液を全て回収し、そのTOCを島津製作所製TOC−500にて測定した。
【0054】
【表3】
【0055】
注)
*3:表1の*3と同じ
【0056】
【化5】
【0057】
【発明の効果】
本発明の反応性乳化剤を用いると、乳化重合安定性が良好で、得られたエマルジョンから作成された重合体フィルムの耐水性が良好である。また、エマルジョンを破壊してポリマーを取り出す際に排水中に混入する有機物の低減と樹脂回収性に効果を発揮する。
Claims (5)
- エポキシ基を含有する総炭素数8〜24のモノカルボン酸とアリルアルコール又はメタリルアルコール(以下(メタ)アリルアルコールと略記)とを反応させることによりエポキシ基を開環し、更に塩基で中和することにより得られる、一般式(I)
R-COOM (I)
(式中、R は置換基としてアリルエーテル基又はメタリルエーテル基(以下(メタ)アリルエーテル基と略記)とヒドロキシ基とを互いに隣会う炭素原子上に有する炭素数7〜23の炭化水素基を示し、M は1価又は2価の陽イオンもしくはそれらの混合基を示す。)
で表される化合物を含有する反応性乳化剤の存在下、モノマーを水系重合することを特徴とする水性重合体の製造方法。 - 一般式(I)において、M が水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アミンもしくはそれらの混合基である請求項1記載の製造方法。
- 一般式(I)で表される化合物が、(メタ)アリルアルコールでエポキシ基を開環したエポキシ化ロジン酸誘導体である請求項1又は2記載の製造方法。
- 水系重合が乳化重合である請求項1〜4いずれかに記載の製造方法。
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1997
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