JP3976306B2 - 調圧弁 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポンプの吐出部等に取り付けられて、ポンプの吐出圧の調圧等に用いられる調圧弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
図7は、従来のダイヤル式の調圧弁を示す断面図である。
この調圧弁においては、ばね筒61に螺合された握り62を回転させて握り62をばね筒61に対して下方に移動させると、握り62に固定されたボルト63によりばね上64を通して圧縮コイルばね65が圧縮され、圧縮コイルばね65の圧縮により生じたばねの荷重がばね下66および弁棒67を通して弁68に作用し、弁68を弁座69に押圧する。そして、ポンプから吐出された液体が弁68を押し上げて弁68と弁座69との間の間隙を通過することにより、ポンプに圧力が発生する。
【0003】
図8は、従来のねじ込み式の調圧弁を示す断面図である。
この調圧弁においては、握り71を回転させて、この握り71に埋設されたボルト72をばね筒73の筒部73aの上壁にねじ込むと、ばね上74を通して圧縮コイルばね75が圧縮され、圧縮コイルばね75の圧縮により生じたばねの荷重がばね下76に作用し、ばね下76および弁棒77を押し下げて、弁78を弁座79に押圧する。そして、ポンプから吐出された液体が弁78を押し上げて弁78と弁座79との間の間隙を通過することにより、ポンプに圧力が発生する。
【0004】
一方、圧力開放状態にするには、レバー81を操作する。
すなわち、ばね下76を貫通し、さらにばね筒73に形成されている縦方向に長い長穴82,82を貫通して、ばね筒73の外側に突出しているピン83の両端部に、レバー81が嵌挿されている。そして、このレバー81を操作し、カムの原理を利用して、ピン83を圧縮コイルばね75の付勢力に抗して上方に移動させると、弁78に作用する荷重は弁棒77の重量のみとなる。したがって、この状態でポンプ始動行うと、空気抜きが容易となり、吸水性能が良い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図7のダイヤル式の調圧弁にあっては、握り62を回転させて握り62をばね筒61に対して上方に移動させて、圧力開放状態の位置まで握り62を戻しても、ばね上64、圧縮コイルばね65、ばね下66および弁棒67の重量が弁68に作用する。また、圧力開放状態の位置まで握り62を戻しても、圧縮コイルばね65が自由高さまで戻らず、圧縮コイルばね65に少し荷重生じている場合もあり、その場合にはさらにこの圧縮コイルばね65の荷重が加わる。このため、ポンプに吸水させようと運転を始めるポンプ始動時に、これらの重さ(圧縮コイルばね65に荷重が生じている場合はさらにその荷重)により弁68が弁座69に密着しているので、空気抜きが不完全になり、吸水しないかあるいは吸水に時間がかかるという問題がある。
【0006】
また、図8のねじ込み式の調圧弁にあっては、レバー81を操作することにより、良好な吸水性能を得ることができるものの、このレバー81の操作が握り71の操作と別個の操作となっているため、ポンプ始動時にレバー81の操作を忘れてしまい、ポンプが吸水しないことや、またポンプの加圧運転中に誤ってレバー81を操作してしまい、圧力を抜いてしまうことがあるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みて為されたもので、ポンプ始動時の空気抜きを容易に行うことができて、ポンプの吸水性能を向上させることができる調圧弁を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の調圧弁は、ばね筒(14)に螺合された握り(16)をねじ込むことによって、前記ばね筒(14)内のばね(12)を圧縮させて該ばね(12)に荷重を生じさせ、この荷重をばね下(11)を通して弁(6)に作用させつつ該弁(6)と弁座(4)の間に液体を通過させて圧力を生じさせる調圧弁において、前記ばね下(11)に挿入され、さらに前記ばね筒(14)に前記ばね(12)の伸縮方向に移動可能に挿入されたピン(24)と、このピン(24)に前記ばね筒(14)の半径方向に突出するように設けられたピン側係合部(28)と、前記握り(16)に該握り(16)の半径方向に突出するように設けられ、該握り(16)を緩めるときに前記ピン(24)の前記ピン側係合部(28)に係合する握り側係合部(31)とを備えていることを特徴とする。
【0009】
請求項1に記載の発明においては、握りを緩めると、握りに設けられた握り側係合部がピンに設けられたピン側係合部に係合して、ピンをばね側に移動させ、このピンの移動に伴ってばね下がばね側に移動する。ばね下がばね側に移動すると、ばねの荷重が弁に作用しなくなる。その結果、ポンプ始動時の空気抜きが容易となり、吸水性能が向上する。
【0012】
なお、上記における括弧内の符号は、図面において対応する要素を便宜的に表記したものであり、したがって本発明は図面上の記載に限定されるものではない。これは、「特許請求の範囲」の欄の記載についても同様である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1〜図3は、本発明の第1の実施の形態に係る調圧弁を示す図であって、図1は平面図、図2は図1のA−A線に沿う断面図、図3は図1のB−B線に沿う断面図である。
この調圧弁は、ダイヤル式の調圧弁である。この調圧弁は、ボディ1を備えており、このボディ1にはポンプの吐出部に連通される流入口2と、余液口3とが設けられている。流入口2には弁座4が配設されており、この弁座4の外周にはOリング5が設けられ、弁座4とボディ1との間およびボディ1とポンプの吐出部との間をシールしている。弁座4には球状の弁6が就座されており、この弁6の上部には弁棒7の下端が当接されている。弁棒7は、該弁棒7の外側に嵌挿されたパッキン8、ベローズ9および弁サック10によりガイドされており、これにより弁棒7のがたつきが防止されている。弁棒7の上端部には、ばね下11の下端中央部の凹部に嵌入されている。
【0014】
ばね下11の上端は、圧縮コイルばね(ばね)12の下端を受けており、圧縮コイルばね12の上端は、ばね上13に当接されている。これらばね下11、圧縮コイルばね12およびばね上13は、ボディ1の上端に接合されたばね筒14内に上下移動自在に収容されている。
ばね筒14の上端部外周には、雄ねじ15が形成されており、この雄ねじ15に握り16の内周面に形成された雌ねじ16Aが螺合されることにより、握り16がばね筒14の上部に取り付けられている。握り16の中央部にはボルト17が螺合されており、このボルト17の下端がばね上13の上端に当接されている。
【0015】
ばね筒14には、板ばね18の下端部がビス19により固定されている。この板ばね18の上端部は、握り16の内側に周方向に間隔をおいて形成された複数本の縦溝20のうちの何れかに嵌合されており、これによりボルト17を通して伝わる圧縮コイルばね12の荷重(付勢力)によって、握り16がねじが緩められる方向に不用意に回転するのを防止されている。また、ばね筒14には、調圧弁の圧力を設定するために、握り16を回転させて圧力の目安となるマーク(数字)21を合わせるための目印22がビス23により固定されている。
【0016】
前記ばね下11には、ピン24が貫通されている。このピン24の両端部は、ばね筒14に形成されている縦方向に長い長穴25,25を貫通し、ばね筒14の半径方向外方に突出している。この突出しているピン24の両端部はそれぞれ、ばね筒14の外側に配設された断面形状が逆L字状の係合部材26,26の下端部に形成された貫通孔27,27に挿入されている。各係合部材26の半径方向外方に向かって折れ曲がっている係合部28の下面は、握り16の下端に固定された円環状の係合部材30の握り16の半径方向内方に向かって突出している係合部31の上面に係合するようになっている。
この調圧弁は、ばね筒14のフランジおよびボディ1のフランジを貫通するボルト33によってポンプ(図示せず)の吐出部に取り付けられる。
【0017】
この調圧弁においては、図4に示すように、圧力が開放状態になるように、握り16を回転させて握り16をばね筒14に対して上方に移動させると、握り16の下端に固定された係合部材30の係合部31に係合部材26の係合部28が係合して、係合部材26が握り16とともに上方に移動する。この係合部材26の上方への移動に伴って、ピン24が上方に移動し、このピン24の移動に伴ってばね下11が上方に移動する。ばね下11が上方に移動すると、圧縮コイルばね12の荷重が弁棒7に作用しなくなり、その結果弁6に作用する荷重は、弁棒7の重量のみとなる。そのため、ポンプ始動時の空気抜きが容易となり、吸水性能が向上する。
【0018】
一方、図5に示すように、加圧状態になるように、握り16を回転させて握り16をばね筒14に対して下方に移動させると、握り16に固定されたボルト17がばね筒14に対して下方に移動する。ボルト17が下方に移動すると、ばね上13を通して圧縮コイルばね12が圧縮され、圧縮コイルばね12の圧縮により生じたばねの荷重がばね下11および弁棒7を通して弁6に作用し、弁6を弁座4に押圧する。そして、ポンプから吐出された液体が弁6を押し上げて弁6と弁座4との間の間隙を通過することにより、ポンプに圧力が発生する。
この加圧状態のときには、握り16の下端に固定された係合部材30は、係合部材26に係合しないので、係合部材26にピン24を介して連結されたばね下11によって、圧縮コイルばね12が下方から圧縮されることはない。
【0019】
この調圧弁にあっては、握り16を回転させて圧力開放状態にすると、圧縮コイルばね12の荷重が弁棒7に作用しなくなるので、ポンプ始動時の空気抜きを容易に行うことができ、吸水性能を向上させることができる。
また、減圧操作用のレバーを必要としないので、全体をコンパクトにすることができる。
また、握り16を回転させて握り16をばね筒14に対して上方に移動させることにより、減圧操作と空気抜き操作とを行うことができるので、作業者がポンプ始動時に空気抜き操作を忘れてしまうということがない。
また、加圧状態では空気抜き操作ができないので、運転中に誤って空気抜き操作をして不意にポンプの圧力を抜いてしまうことがない。
また、減圧操作をするためのレバーを必要としないので、全体をコンパクトにすることができる。
また、レバー式の調圧弁に比べて構成が簡単であるので、製造コストを低減することができる。
【0020】
なお、本実施の形態では、係合部材26を弁棒7の両端部に2分割にして設けたが、これに代えて、係合部材を例えばつば付き円筒で構成することもできる。さらに、ピン24に固定される係合部材は、弁棒7に固定されかつ握り16に設けられた係合部材30の係合部31に係合可能な係合部を備えたものであればよい。握り16に設けられる係合部材も、係合部材26の係合部28に係合可能なものであればよく、したがって環状に設けられている必要はなく、握り16の半径方向内方に部分的に突出しているものなどでも良い。
また、上記実施の形態では、係合部材26をピン24と別部材としたが、これに代えて、ピン24に一体的に形成するようにしてもよい。また、係合部材30を握り16と別部材としたが、これに代えて、握り16に一体的に形成するようにしてもよい。
【0021】
また、本実施の形態では、弁棒7とばね下11とを別体としたが、これに代えて、弁棒7をばね下11と一体に構成してもよい。この場合には、図4に示すように、圧力が開放状態になるように、握り16を回転させて握り16をばね筒14に対し上方に移動させると、ばね下11とともに弁棒7が上方に引き上げられるので、弁6に弁棒7の重量が作用しなくなるため、ポンプ始動時の空気抜きがより容易となり、吸水性能がより向上する。
【0022】
(第2の実施の形態)
図6は、本発明の第2の実施の形態に係る調圧弁を示す断面図である。
この調圧弁は、フランジ41を備えている。このフランジ41の下部には雄ねじ42が形成されており、この雄ねじ42がねじ込まれることにより、ポンプ(図示せず)の吐出部に取り付けられる。また、フランジ41の中心部には、ポンプの吐出口に連通される通孔43が形成されている。フランジ41の上部には、ばね筒44がボルト(図示せず)により締め付けられて接合されている。ばね筒44の下部には、フランジ41の通孔43に連通された流入口45と、余液口46とが設けられている。流入口45には弁座47が配設されており、この弁座47の外周にはOリング48が設けられ、弁座47とばね筒44との間およびばね筒44とフランジ41との間をシールしている。
【0023】
弁座47には球状の弁49が就座されており、この弁49の上部にはばね下50の下端が当接されている。ばね下50と弁座47との間には、圧縮コイルばね(第2のばね)51が設けられている。ばね下50の上端部は、ばね筒44の筒部44a内に嵌入されており、これによりばね下50の上端部外周が筒部44aの内面によってガイドされ、ばね下50ががたつかないようになっている。ばね下50の上端は、圧縮コイルばね(ばね)52の下端を受けており、圧縮コイルばね52の上端は、ばね上53の下端に当接されている。これらばね下50、圧縮コイルばね52およびばね上53は、ばね筒44の筒部44a内に上下移動自在に収容されている。
【0024】
ばね筒44の筒部44aの上壁には、雌ねじ44bが形成されている。この雌ねじ44bには握り55に埋設されたボルト56が螺合されており、握り55を回転させてボルト56をねじ込むことにより、ボルト56の下端でばね上52を押し下げて、圧縮コイルばね51を押圧するようになっている。ボルト56には、ばね筒44と握り55との間に、ロックナット57が螺合されており、このロックナット57を締め付けることにより、ボルト56を回転できないようにして、握り55の位置を固定するようになっている。
【0025】
この調圧弁においては、図6に示すように、圧力が開放状態になるように、握り55を回転させてボルト56を緩め、ボルト56をばね筒44の筒部44aに対して上方に移動させると、圧縮コイルばね52に荷重が発生しない状態となる。この状態では、弁座47とばね下50との間に設けられている圧縮コイルばね51の付勢力によってばね下50が上方に押し上げられる。その結果、弁49に加わる荷重がなくなるので、ポンプ始動時の空気抜きが容易となり、吸水性能が向上する。
【0026】
一方、加圧状態になるように、握り55を回転させてボルト56を締め込み、ボルト56をばね筒44の筒部44aに対して下方に移動させると、ばね上53を通して圧縮コイルばね52が圧縮され、圧縮コイルばね52の圧縮により生じたばねの荷重がばね下50に作用する。この圧縮コイルばね52の荷重(付勢力)が圧縮コイルばね51によってばね下50が押し上げられる荷重よりも大きくなると、ばね下50を押し下げて、弁49を弁座47に押圧する。そして、ポンプから吐出された液体が弁49を押し上げて弁49と弁座47との間の間隙を通過することにより、ポンプに圧力が発生する。
【0027】
この調圧弁にあっては、圧力を開放状態にするときに、弁座47とばね下50との間に設けた圧縮コイルばね51によりばね下50を上方に押し上げて、弁49に作用する荷重がなくなるようにしているので、ポンプ始動時の空気抜きを容易に行うことができ、吸水性能を向させることができる。
また、握り55を回転させてボルト56を緩めることにより、減圧操作と空気抜き操作とを行うことができるので、作業者がポンプ始動時に空気抜き操作を忘れてしまうということがない。
また、加圧状態では空気抜き操作ができないので、運転中に誤って空気抜き操作をして不意にポンプの圧力を抜いてしまうことがない。
また、減圧操作をするためのレバーを必要としないので、全体をコンパクトにすることができる。
また、レバー式の調圧弁に比べて構成が簡単であるので、製造コストを低減することができる。
【0028】
なお、本実施の形態では、ばね下50を上方に押し上げる圧縮コイルばね51を弁座47とばね下50との間に設けたが、これに代えて、ばね筒44の底壁とばね下50との間に設けてもよい。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の調圧弁によれば、握りを緩めることにより、ばねの荷重が弁に作用しないようにできるので、ポンプ始動時の空気抜きを容易におこなうことができ、吸水性能を向上させることができる。
また、握りを緩めることにより、減圧操作と空気抜き操作とを行うことができるので、作業者がポンプ始動時に空気抜き操作を忘れてしまうのを防止することができる。
また、加圧状態では空気抜き操作ができないので、運転中に誤って空気抜き操作をして不意にポンプの圧力を抜いてしまうのを防止することができる。
また、減圧操作をするためのレバーを必要としないので、全体をコンパクトにすることができる。
また、レバー式の調圧弁に比べて構成が簡単であるので、製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る調圧弁を示す平面図である。
【図2】図1のA−A線に沿う断面図である。
【図3】図1のB−B線に沿う断面図である。
【図4】図1の調圧弁の圧力開放状態の断面図である。
【図5】図1の調圧弁の加圧状態の断面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る調圧弁を示す断面図である。
【図7】従来のダイヤル式調圧弁を示す断面図である。
【図8】従来のレバー式調圧弁を示す断面図である。
【符号の説明】
4,47 弁座
6,49 弁
11,50 ばね下
12,52 圧縮コイルばね(ばね)
14,44 ばね筒
16,55 握り
24 ピン
28 係合部
31 係合部
51 圧縮コイルばね(第2のばね)

Claims (1)

  1. ばね筒(14)に螺合された握り(16)をねじ込むことによって、前記ばね筒(14)内のばね(12)を圧縮させて該ばね(12)に荷重を生じさせ、この荷重をばね下(11)を通して弁(6)に作用させつつ該弁(6)と弁座(4)の間に液体を通過させて圧力を生じさせる調圧弁において、前記ばね下(11)に挿入され、さらに前記ばね筒(14)に前記ばね(12)の伸縮方向に移動可能に挿入されたピン(24)と、このピン(24)に前記ばね筒(14)の半径方向に突出するように設けられたピン側係合部(28)と、前記握り(16)に該握り(16)の半径方向に突出するように設けられ、該握り(16)を緩めるときに前記ピン(24)の前記ピン側係合部(28)に係合する握り側係合部(31)とを備えていることを特徴とする調圧弁。
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