JP3975990B2 - 車両用電池の冷却制御装置 - Google Patents
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Description
本発明は、エンジンで発電された電気エネルギー等を電池に充電し、これを車両の駆動用に用いるハイブリッド車両の電池の冷却装置に関する。
ハイブリッド車両の電池冷却方法として、トランクルーム内に配置された電池パックに対して車室内空気を直接電池パック内へと導入する方法が特許文献1に記載されている。
また、冷却水による燃料電池の冷却方法として、カーナビゲーションシステムからの情報に基づいて冷却水温度を予測し、予め高負荷運転が想定される場合には、予測値に基づいて決定する目標温度まで冷却水温を低下させておくように制御する方法が特許文献2に記載されている。
特開平11−195437号
特開2002−343396号
しかしながら、特許文献1に記載の冷却方法は、電池の温度上昇に応じて冷却を行うものであり、事前に温度上昇を防ぐものではない。
また、特許文献2に記載の方法を特許文献1に適用して、高負荷運転が想定される場合には、事前に目標温度まで電池を予め冷却するとした場合であっても、電池パックに直接導入される冷却用空気の熱容量が小さいために電池が短時間で許容(上限)温度に達してしまい、これにより入出力制限等を受け、結果として燃費が悪化するという問題がある。
また、許容温度に達するまでの時間を十分に確保するためには、目標温度を低く設定するという方法が考えられるが、この場合は電池を過剰に冷却することになり、その間の電池性能が低下してしまう。
また、許容温度に達するまでの時間を十分に確保するためには、目標温度を低く設定するという方法が考えられるが、この場合は電池を過剰に冷却することになり、その間の電池性能が低下してしまう。
そこで、本発明では燃費の悪化を招くことなく電池の冷却を行うことが可能な冷却装置を提供することを目的とする。
本発明の冷却制御装置は、車室内と隔離された荷室内に設置された車両走行用の動力源としての電池と、車室内の空気を前記電池に導くための冷却通路と、前記冷却通路の途中から分岐して荷室と連通する通路と、前記冷却通路の分岐部付近に介装され、通路の切替えを行う切替え弁と、前記冷却通路に車室内から前記電池側へ向けて空気を流すための送風手段と、車両の電気負荷の増減を予測する手段と、を有し、前記電気負荷予測手段によって電気負荷の増加が想定された場合には、電気負荷が増大する前に車室内の空気を荷室へ導入して荷室内を冷却する。
本発明によれば、電気負荷の増大が想定された場合には、予めトランクルーム内を車室内の空気によって冷却するので、電気負荷増大時に電池温度が許容温度に達するまでの時間が十分に確保される。これにより、電池が許容温度を超えて入出力制限を受けることによって生じる燃費の悪化を防止することができる。また、過度に電池を冷却することもないので、冷却による電池性能の悪化も防ぐことができる。
以下本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本実施形態の構成の概略図である。
1はリアガラス8とリアシート3の間を閉塞するリアパーセル部2や、リアシート3等により車両の車室9と隔離されたトランクルームである。
図示しないエンジンにより発電した電気エネルギーや、ブレーキで回生した電気エネルギーを充電する電池7がトランクルーム1に設置される。
6はエアコンにより温度調整されている車室内9の空気を電池7に導くための冷却ダクトであり、リアパーセル部2に開口部6aを有する。
冷却ダクト6は車室内9の空気を吸引するために介装された冷却ファン4の下流でトランクルーム側ダクト6bと電池側ダクト6cとに分岐して、トランクルーム側ダクト6bはトランクルーム1と、電池側ダクト6cは電池7とそれぞれ連通している。また、分岐部にはアクチュエータ等により駆動されるフラップ(切替え弁)5が介装されており、後述する制御によりトランクルーム1側、電池7側のいずれか一方にのみ空気が流れるように流路を切替える。
ここで、フラップ5について図2(a)(b)を参照して説明する。
図2(a)は電池7側に空気を流す場合を示しており、フラップ5はトランクルーム側ダクト6bを閉塞し、冷却ファン4によって吸引された車室内9の空気(冷気)は電池側ダクト6cを通って電池7へと導かれ、その後外部に排出される。
図2(b)はトランクルーム1に空気を流す場合を示しており、フラップ5は電池側ダクト6cを閉塞し、冷却ファン4によって吸引された車室内9の空気はトランクルーム側ダクト6bを通ってトランクルーム1へ放出される。
なお、電池7を通過後の冷気をトランクルーム1に導くように冷却ダクト6を電池7の下流から分岐し、かつこの分岐部にフラップ5を設けてもよい。
次に本実施形態の制御について図3、図4を用いて説明する。
図3は本実施形態の制御システムの構成、図4は制御のフローチャートを表している。
図3に示すように、電池7の温度を検出する電池温度センサ10、トランクルーム1の温度を検出するトランクルーム温度センサ11、車室内の温度を検出する車室内温度センサ12、の各センサによって検出された検出値、およびカーナビゲーションシステム13により設定されたルートがコントロールユニット(CPU)15に読み込まれる。
電池温度センサ10、トランクルーム温度センサ11はそれぞれ複数設置してもよく、この場合は、最高電池温度、最高トランクルーム内温度を抽出して、後述する冷却制御に適用する。なお、電池温度センサ10はハイブリッド車等において一般的に設けられるものである。これは、電池には温度特性(電圧、入出力制限等)があり、安全性や寿命を考慮して温度を所定の範囲に維持、管理する場合には必要な部品であるからである。
車室内温度センサ12は冷却ダクト6近傍に最低一つを設置する。これは、車室の前方と後方では温度差が大きくなる可能性があるため、電池7やトランクルーム1といった冷却対象に近い部分の温度を冷却制御に適用するためである。
カーナビゲーションシステム13は、位置情報に加えて、道路の勾配、制限速度、渋滞状況等も検出可能なものとする。さらに、平均車速演算機能を有するものが望ましいが、有しない場合には、CPU15にて、図示しない車速センサから読込んだ車速より演算する。
CPU15は、カーナビゲーションシステム13に設定されたルート上で電池の負荷が増大して温度が上昇するような状況(これには電池7の放電量が大きくなる場合と、充電量が大きくなる場合も含まれる)、例えば、長い登坂路でのモータアシスト量増加や、長い降坂路での回生電力量増加等のような状況が想定されるか否かの判定、および各センサの検出値に基づいて電池温度上昇予測値の算出を行う。
また、実際に電池負荷が増大する地点(以下、規定地点2という)に到達した時点から電池冷却に専念できるよう、前記電池上昇予測値をもとにトランクルーム冷却を開始する地点(以下、規定地点1という)をカーナビゲーションシステム13からの情報をもとに設定し、冷却ファン4、フラップ5を制御する。
なお、規定地点2としてはカーナビゲーションシステム13に設定されたルート上で、例えば登坂路等負荷が増大し始める地点を設定し、規定地点1はメモリー14に格納されているファン作動時間テーブル(図7)から定まるファン作動時間と、平均車速、制限速度、渋滞状況などに基づいて、規定地点2に到達したときにトランクルーム1の温度が所定温度になっているように規定地点2から逆算して設定する。図7はファン作動時間を電池温度上昇値と車室内温度との差分に割り付けたテーブルであり、前記差分が大きくなるにしたがってファン作動時間も長くなっている。
ここで冷却ファン4の制御について説明する。冷却ファン4は、電池冷却の場合は、最高電池温度に基づいて、メモリー14に格納されているファンDutyテーブル(図5)にしたがって制御される。図5はファンDutyを最高電池温度に割り付けたテーブルであり、最高電池温度が上昇するにしたがって、ファンDutyはLo、Mid、Hiの三段階に分けて上昇している。
また、トランクルーム冷却の場合は、電池温度上昇予測値に基づいて、メモリー14に格納されているファンDutyテーブル(図6)にしたがって制御される。図6はファンDutyを電池温度上昇予測値に割り付けたテーブルであり、電池温度上昇予測値が所定値以上の場合にはファンDutyがHiとなっている。
次に具体的な制御について説明する。図4は本実施形態の制御フローチャートであり、CPU15は本フローチャートにしたがって、電池7もしくはトランクルーム1の冷却の要否や、冷却開始・終了タイミングの決定等を行う。
ステップS11で電池温度センサ10、トランクルーム温度センサ11、車室内温度センサ12の各検出値を読込む。
ステップS12では、カーナビゲーションシステム13に設定されたルート上で前述したような電池温度が上昇する状況が想定されるか否かの判定を行い、この判定結果とステップS11で読込んだ各温度から、電池7もしくはトランクルーム1の冷却の要否を決定する。
冷却の必要がないと判定された場合にはリターンし、必要と判定された場合にはステップS13に進む。
ステップS13では冷却対象を選定する。電池温度が既に上昇している場合は冷却対象を電池7としてステップS14に進み、そうでない場合には、冷却対象をトランクルーム1としてステップS15に進む。これは、本来トランクルーム1を冷却する必要はないが、熱容量の小さい車室内空気で電池7を直接冷却しても、電池温度が許容温度に達するまでの時間が短くなってしまうという問題があるので、トランクルーム1、つまり電池7周辺の雰囲気温度を予め下げておくことによって電池冷却のための熱容量を大きくして、電池温度が上昇し始めたときに効率よく電池7の冷却を行うためである。
ステップS14ではフラップ5を冷却ダクト6bを閉塞するよう作動させた後、電池温度センサ10により検出された最高電池温度に応じて冷却ファン4を作動させる。このとき冷却ファン4は、トランクルーム1側の冷却ダクト6cを閉塞する。
ステップS15では、トランクルーム冷却開始の最適地点である規定地点1に到達しているか否かの判定をカーナビゲーションシステム13からの情報に基づいて行い、規定地点1に達したことを確認した後にステップS16に進む。
ステップS16ではアクチュエータ等によりフラップ5を電池側の冷却ダクト6cを閉塞するように作動させ、冷却を開始してステップS17に進む。
ステップS17では、規定地点2に達したか否かの判定をカーナビゲーションシステム13からの情報に基づいて行い、規定地点2に達したことを確認した後にステップS18に進む。
ステップS18ではフラップ5をトランクルーム側の冷却ダクト6bを閉塞するように作動させた後、トランクルーム冷却を終了し、その後ステップS14に移行して電池冷却を開始する。
以上により本実施形態では、以下に示す効果が得られる。
カーナビゲーションシステム13に設定されたルート上に、長い登坂や降坂等といった電池温度上昇要素があることが判明しているときには、事前にトランクルーム1の冷却を行って電池冷却のための熱容量が大きくしてから電池冷却を行うので、熱容量の小さい車室内空気によって電池7を直接冷却するのに比べて許容温度に上昇するまでの時間を十分確保することができ、電池7の性能が安定し、また、熱による劣化も抑制される。
カーナビゲーションシステム13に設定されたルート上に、長い登坂や降坂等といった電池温度上昇要素があることが判明しているときには、事前にトランクルーム1の冷却を行って電池冷却のための熱容量が大きくしてから電池冷却を行うので、熱容量の小さい車室内空気によって電池7を直接冷却するのに比べて許容温度に上昇するまでの時間を十分確保することができ、電池7の性能が安定し、また、熱による劣化も抑制される。
冷却ファンの制御開始タイミングは、電池温度上昇要素となる登坂路や降坂路までの距離やその勾配、推定走行時間、平均車速、推定入出力電力量、トランクルーム内温度といった要素を考慮して算出するので、効率よく電池冷却を行うことができる。
なお、前記要素に外気温、渋滞情報等を加えることにより、さらに高効率な電池冷却を行うことができる。
上記のように効率よく電池冷却を行うことにより、冷却ファン4等の冷却系の消費電力を低減して、燃費の悪化を抑制することができる。
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術的思想の範囲内で様々な変更を成し得ることは言うまでもない。
本発明は、車両の駆動用電池を備える車両、例えばエンジンと電動モータにより駆動するハイブリッド車両や、電動モータのみによって駆動する電気自動車、燃料電池車両に適用することができる。
1 トランクルーム
2 リアパーセル部
3 リアシート
4 冷却ファン
5 フラップ
6 冷却ダクト
7 電池
8 リアガラス
9 車室内
2 リアパーセル部
3 リアシート
4 冷却ファン
5 フラップ
6 冷却ダクト
7 電池
8 リアガラス
9 車室内
Claims (7)
- 車両の駆動用に電動モータとエンジンとを備えるハイブリッド車両において、
車室と隔離された荷室内に設置された前記電動モータ駆動用の電池と、
車室内の空気を冷却ファンを介して前記電池に導くための冷却通路と、
前記冷却通路から分岐して荷室と連通する分岐通路と、
前記冷却通路の分岐部付近に介装され、通路の切替えを行う切替え弁と、
車両の電気負荷の増減を予測する手段と、
前記電気負荷予測手段によって電気負荷の増加が想定される場合に、予め室内の空気を荷室へ導入して荷室内を冷却するように前記切替え弁を切替える制御手段と、を備えることを特徴とする車両用電池の冷却制御装置。 - 前記冷却ファンを介して前記電池に導かれる車室内の空気は、車両用エアコンにより冷却された空気である請求項1に記載の車両用電池の冷却制御装置。
- 前記電気負荷予測手段は、カーナビゲーションシステムの情報に基づいて、電気負荷が増大する地点を予測し、少なくとも、この電気負荷が増大する地点までの走行時間を算出し、前記制御手段はこれらに基づいて前記負荷増大地点に到達する所定時間前に前記切替え弁の制御を行う請求項1または2に記載の車両用電池の冷却制御装置。
- 前記制御手段は、そのときの前記電池および荷室の温度に基づいて、前記冷却ファンの送風量を変化させる請求項1〜3のいずれか一つに記載の車両用電池の冷却制御装置。
- 前記制御手段は、前記電気負荷増大時には、前記切替え弁を荷室側から電池側へと切替える請求項1〜4のいずれか一つに記載の車両用電池の冷却制御装置。
- 前記分岐通路は、前記電池の上流から分岐する請求項1〜5のいずれか一つに記載の車両用電池の冷却制御装置。
- 前記分岐通路は、前記電池の下流から分岐する請求項1〜5のいずれか一つに記載の車両用電池の冷却制御装置。
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