JP3975531B2 - 延伸ポリテトラフルオロエチレン成形体、及びその製造方法 - Google Patents

延伸ポリテトラフルオロエチレン成形体、及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、延伸ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)成形体及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、ロッド状の延伸PTFE多孔質体が、部分的または全体的にねじり変形を受けて、さらには、所望により二次的延伸をも受けて、細径化された延伸PTFE成形体及びその製造方法に関する。本発明の延伸PTFE成形体は、例えば、医療用縫合糸などとして好適である。
【0002】
【従来の技術】
延伸PTFE多孔質体は、一般に、多数のフィブリル(微細繊維)が微小結節によって所々結合された微細繊維状構造を有するものである(例えば、特公昭42−13560号公報)。延伸PTFE多孔質体には、例えば、シート状、チューブ状、ロッド状などの各種形状のものがあり、分離膜、人工血管、中空糸、縫合糸などの各種分野で汎用されている。
これらの中で、ロッド状(モノフィラメント状を含む)の延伸PTFE多孔質体は、例えば、医療用(手術用)縫合糸として好適であるが、引張強度を高めたり、気孔率を調整したり、針との接合を容易にする等の目的で、少なくともその一部を細径化することが望まれている。
【0003】
従来、モノフィラメント状の延伸PTFE多孔質体を細径化する方法として、PTFEのペースト押出により得られるロッド状未燒結成形体を、融点以下の温度で一軸方向に延伸し、燒結した後、ダイス引きする方法が提案されている(特開平3−289962号公報)。この方法によれば、外周面のみ無孔化され、かつ、引張強度が改善されたモノフィラメント状成形体を得ることができる。このモノフィラメント状成形体は、手術用縫合糸として優れている。しかしながら、この方法では、様々なサイズに細径化する場合、所望のサイズに合わせた引き抜きダイスが多数必要となる。しかも、この方法では、モノフィラメント状成形体の内部の多孔質構造が維持されているため、大幅な細径化が困難である。
【0004】
血管外科等で使用される医療用縫合糸としては、縫合時に生体組織に形成される針穴からの漏血を防ぐために、針の直径より多少大きめの直径を有する糸が望まれている。糸の弾性によって、針穴を塞ぐことができるためである。しかし、針の鈍端の目に縫合糸を通して取り付けると、縫合糸の直径の約2倍強の大きさのものが生体組織を貫通することになり、針穴からの漏血が避けられない。そこで、近年、針の鈍端における目をなくして、例えば、針の鈍端に溝を設けて、その溝中で縫合糸の端部を縁曲げして固定したり、あるいは、針の鈍端に穿孔し、その孔中に縫合糸の端部を入れて圧搾して固定する方法が提案されている。このような方法に使用する縫合糸は、針の直径より多少大きめの直径を有するとともに、針の鈍端の溝や孔に挿入するため、その端部の直径が小さく、かつ、針との接合のために充分な引張強度を有することが必要である。
【0005】
従来、縫合糸の針の鈍端に接合する部分の直径を小さくする方法として、モノフィラメントの一部分を高温に加熱し、該加熱された部分を延伸して直径を小さくし、そして、該モノフィラメントを切断して、直径の小さい端部を有する縫合糸を製造する方法が提案されている(特開平3−210251号公報)。しかしながら、この方法は、延伸により容易に細径化が可能な熱可塑性樹脂のモノフィラメントには適用できるものの、モノフィラメント状の延伸PTFE多孔質体には適用することができない。何故ならば、モノフィラメント状の延伸PTFE多孔質体をさらに延伸(二次的延伸)しても、多孔質構造が維持されるため、気孔率が大きくなるものの、充分に細径化することができない。しかも、気孔率が大きくなると、延伸した部分の引張強度が低下する。
【0006】
前述のダイス引きする方法では、延伸PTFE多孔質体の気孔率によって細径化の程度が制限され、しかも血管の縫合などに使用される直径が300μm以下の細い延伸PTFE多孔質体を取り扱うことが極めて困難である。延伸PTFE多孔質体は、生体適合性に優れており、医療用縫合糸などとして有用であるが、従来の延伸法やダイス引き法では、充分な細径化が困難である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ロッド状の延伸PTFE多孔質体の全体または任意の部分が細径化され、かつ、細径化部分の引張強度が充分に高い延伸PTFE成形体を提供することにある。
また、本発明の目的は、ロッド状の延伸PTFE多孔質体の全体または任意の部分に対して、所望の大きさに細径化が可能な延伸PTFE成形体の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記従来技術の問題点を克服するために鋭意研究した結果、ロッド状の延伸PTFE多孔質体(A)の少なくとも一部に1回転/cm以上のねじりを加えた後、PTFEの融点以上の温度で熱固定することにより、ねじれ変形により所望の大きさに細径化された延伸PTFE成形体(B)が得られることを見いだした。ねじり変形により細径化されていることは、延伸PTFE成形体(B)の外周に形成された螺旋状の皺により確認することができる。
【0008】
本発明の方法によれば、延伸PTFE多孔質体(A)の気孔率を小さくすることができ、それによって、細径化した部分の引張強度を充分に高く保持ないしは向上させることができる。延伸PTFE多孔質体は、多孔質構造により不透明なものであるが、細径化した部分の気孔率が充分に小さくなると、当該部分が実質的に無孔化して半透明化する。ねじり変形による細径化と同時に、あるいは細径化後に延伸(二次的延伸)を加えると、より小さく細径化することができる上、細径化部分の引張強度を顕著に改善することができる。
本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、ロッド状の延伸ポリテトラフルオロエチレン多孔質体(A)の少なくとも一部が、ねじり変形により細径化されている延伸ポリテトラフルオロエチレン成形体(B)が提供される。
また、本発明によれば、ロッド状の延伸ポリテトラフルオロエチレン多孔質体(A)の少なくとも一部に1回転/cm以上のねじりを加えた後、ポリテトラフルオロエチレンの融点以上の温度で熱固定する延伸ポリテトラフルオロエチレン成形体(B)の製造方法が提供される。
さらに、本発明によれば、ロッド状の延伸ポリテトラフルオロエチレン多孔質体(A)の少なくとも一部に、160℃以上の温度で、1回転/cm以上のねじりを加えつつ二次的延伸を行い、次いで、ポリテトラフルオロエチレンの融点以上の温度で熱固定する延伸ポリテトラフルオロエチレン成形体(B)の製造方法が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明において使用するロッド状の延伸PTFE多孔質体(A)は、細い棒状(直径1〜10mm程度)のものからモノフィラメント状(直径10〜1000μm程度)のものまでを意味する。延伸PTFE多孔質体(A)の直径が大きすぎると、ねじり変形を加える際に、切断されやすくなる。医療用縫合糸の用途に使用する場合には、直径が300μm以下(通常100〜300μm程度)のモノフィラメント状の延伸PTFE多孔質体が特に好ましい。ロッド状の延伸PTFE多孔質体(A)の長さは、用途に応じて適宜設定することができる。
【0011】
ロッド状の延伸PTFE多孔質体(A)は、一般に、未燒結PTFE粉末に液体潤滑剤を混合し、ラム押し出しによって太いロッド状に押し出した後、軸方向に任意の倍率で延伸し、次いで、収縮が起こらないように固定しながら、PTFEの燒結温度の327℃以上に加熱して、延伸した構造を燒結固定することにより得ることができる(例えば、特公昭42−13560号公報)。この方法により、多数のフィブリル(微細繊維)が微小結節によって所々結合された微細繊維状構造を有する延伸PTFE多孔質体(A)を得ることができる。
延伸PTFE多孔質体(A)の外径、平均孔径、気孔率、平均フィブリル長などは、延伸倍率を調整することにより、所望の範囲に設定することができる。目的物の延伸PTFE成形体(B)を医療用縫合糸の用途に使用する場合には、延伸PTFE多孔質体(A)の平均孔径を通常30〜90μm、好ましくは60〜90μmとし、気孔率を通常40%以上、好ましくは50〜80%とすることが望ましい。
【0012】
本発明では、ロッド状の延伸PTFE多孔質体(A)の少なくとも一部にねじり変形を加えて、当該部分を細径化する。ねじり変形を加える方法としては、ロッド状の延伸PTFE多孔質体(A)の少なくとも一部に1回転/cm以上のねじりを加えた後、PTFEの融点以上の温度で熱固定する方法が挙げられる。より具体的には、ねじり変形を加える方法としては、(1)ロッド状の延伸PTFE多孔質体(A)の両端をグリップにて把持し、一方のグリップを固定し、他方のグリップを回転させる方法、(2)ロッド状の延伸PTFE多孔質体(A)をドラムで巻き取りながら、該ドラムをロッド状の延伸PTFE多孔質体(A)がねじれる方向に回転させる方法などがある。これらの方法は、繊維に撚をかける方法に類似しており、それと同様の方法が採用できる。部分的にねじり変形を加える場合には、その部分に前記と同様の方法を適用する。
【0013】
ねじり変形の程度は、回転数によって調整することができる。本発明の方法では、ロッド状の延伸PTFE多孔質体(A)の少なくとも一部に1回転/cm以上のねじりを加える。この回転数は、ロッド状の延伸PTFE多孔質体(A)の直径や所望の細径化の程度に応じて適宜選択することができる。ロッド状の延伸PTFE多孔質体(A)を用いて医療用縫合糸を製造する場合には、この回転数を通常1〜100回転/cm、好ましくは10〜80回転/cm、より好ましくは13〜50回転/cm程度とする。回転数をこの範囲内とすることにより、所望の大きさに細径化することができる。
【0014】
ロッド状の延伸PTFE多孔質体(A)をねじることにより、多孔質体を構成する微細繊維状組織のフィブリルが絡み合いながら体積を減少させるため、全体が径方向に収縮し、低気孔率化と細径化が同時に生じる。ねじりを加える工程の後、長さが変わらない状態(緊張下)で、PTFEの融点以上の温度に加熱すると、ねじり変形の状態が固定化される。この熱固定の温度は、PTFEの融点以上380℃以下が好ましく、PTFEの融点以上350℃以下がより好ましい。熱固定時間は、通常10秒間から30分間、好ましくは1〜10分間程度である。ねじり変形の程度や回転数、あるいは後述する延伸の程度にもよるが、ねじり変形を受けた部分の気孔率が充分に小さくなると、熱固定により、通常、半透明化した高密度の細径化部分を有する延伸PTFE成形体(B)が得られる。もちろん、延伸PTFE成形体(B)全体をこのような高密度状態に細径化することができる。また、所望の細径化が達成できれば、気孔率を過度に下げることなく、多孔質状態を維持することもできる。
【0015】
このようにして得られた延伸PTFE成形体(B)は、顕微鏡による観察により、細径化部分の外周に螺旋状の皺が形成されていることがわかる。すなわち、図1に示すように、延伸PTFE成形体(B)1には、ねじった方向に螺旋状の皺(細かい筋や襞)2が形成される。モノフィラメント状の延伸PTFE多孔質体(A)を用いて医療用縫合糸を製造する場合、この皺(筋または襞)2と延伸PTFE成形体(B)1の長軸との交差角3(α)は、通常10度以上、好ましくは11度以上であることが望ましい。この交差角(α)を大きくすることにより、細径化部分の気孔率を充分に低下させ、引張強度を高めることができる。この交差角(α)の上限は、通常60度、好ましくは50度、より好ましくは40度程度である。
【0016】
本発明では、ねじれ変形に加えて、延伸を行うことができる。ここで、延伸PTFE多孔質体(A)は、既に延伸されているので、細径化における延伸を二次的延伸と呼ぶこととする。ねじれ変形と延伸を行う方法としては、2つの方法が挙げられる。第一の方法は、ロッド状の延伸PTFE多孔質体(A)の少なくとも一部にねじりを加えた後、160℃以上の温度で二次的延伸を行い、次いで、熱固定する方法である。第二の方法は、ロッド状の延伸PTFE多孔質体(A)の少なくとも一部に、160℃以上の温度で、ねじりを加えつつ二次的延伸を行い、次いで、熱固定する方法である。延伸は、ねじり変形を加える部分に行う。延伸温度が160℃未満であると、充分に延伸することが困難である。
【0017】
この二次的延伸は、PTFEの融点以上の温度、望ましくは前記のごとき熱固定温度の範囲内で行うことができる。すなわち、第一の方法では、ねじりを加えた後、PTFEの融点以上の温度で熱固定する際に、先ず延伸を加え、次いで当該温度で所定時間放置して熱固定する。熱固定は、延伸した長さが変わらない状態(緊張下)で行う。第二の方法では、ロッド状の延伸PTFE多孔質体(A)の少なくとも一部に、PTFEの融点以上の温度で、ねじりを加えつつ二次的延伸を行い、当該温度で所定時間放置して熱固定する。熱固定は、ねじり変形と延伸後の長さが変わらない状態(緊張下)で行う。延伸を行うには、例えば、前記のねじり変形を加える方法において、グリップ間が離れるように移動させるか、ドラムを使用する場合は供給速度よりも巻き取りの速度を高くすればよい。
【0018】
これらの方法において、延伸倍率は、所望の細径化の程度に応じて適宜定めることができるが、通常10〜1000%、好ましくは20〜500%、より好ましくは30〜300%である。ねじり変形に加えて延伸することにより、細径化の程度を大きくすることができる。ねじり変形と延伸を受けた延伸PTFE成形体(B)の外径は、延伸倍率を50%以上にすると、多くの場合、延伸PTFE多孔質体(A)の外径の1/2程度以下にまで細径化することが可能である。これに対して、ねじり変形を加えることなく、単に延伸したのみでは、多孔質構造が維持されるため、気孔率が増大するものの、充分な細径化が不可能であり、得られる延伸PTFE成形体(B)の引張強度も著しく低下する。
【0019】
ねじり変形と延伸を加えた場合も、得られた延伸PTFE成形体(B)は、顕微鏡による観察により、細径化部分の外周に螺旋状の皺が形成されていることがわかる。この場合、前記交差角(α)は、通常1度以上、好ましくは2度以上とすることが、細径化部分の気孔率を充分に低下させ、かつ、引張強度を高める上で望ましい。この場合の交差角(α)の上限は、10度程度である。
本発明の延伸PTFE成形体(B)は、全体が細径化されていてもよいが、必要に応じて部分的に細径化されていてもよい。また、全体的にねじり変形を受けているが、さらに部分的にさらなるねじり変形や延伸、あるいは部分的なねじり変形と延伸が加えられていてもよい。部分的に細径化されたモノフィラメント状の延伸PTFE成形体(B)を、該細径化部分で切断すると、直径の小さい端部を有する縫合糸を得ることができる。この縫合糸は、直径の小さな端部で針の鈍端の溝や孔に接合することができる。
【0020】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。
【0021】
〔実施例1〕
ロッド状の延伸PTFE多孔質体(外径147μm、気孔率約50%、平均フィブリル長40μm)に対し、長さ1cm当たり15回転のねじり変形を加えた後、長さが変わらないように固定した状態で、330℃の熱風循環恒温槽内で5分間熱固定した。その結果、外径が108μmの半透明化した延伸PTFE成形体が得られた。この延伸PTFE成形体の外周には螺旋状に皺が形成されており、その皺と長軸との交差角は約11度であった。結果を表1に示す。
【0022】
〔実施例2〕
長さ1cm当たり20回転のねじり変形を加えたこと以外は、実施例1と同様に操作した。その結果、外径が92μmの半透明化した延伸PTFE成形体が得られた。この延伸PTFE成形体の外周には螺旋状に皺が形成されており、その皺と長軸との交差角は約15度であった。結果を表1に示す。
【0023】
〔実施例3〕
長さ1cm当たり30回転のねじり変形を加えたこと以外は、実施例1と同様に操作した。その結果、外径が101μmの半透明化した延伸PTFE成形体が得られた。この延伸PTFE成形体の外周には螺旋状に皺が形成されており、その皺と長軸との交差角は約21度であった。結果を表1に示す。
【0024】
〔実施例4〕
ロッド状の延伸PTFE多孔質体(外径147μm、気孔率約50%、平均フィブリル長40μm)に対し、長さ1cm当たり20回転のねじり変形を加えた後、330℃の熱風循環恒温槽内で50%の延伸を加えながら5分間加熱した。その結果、外径が67μmの半透明化した延伸PTFE成形体が得られた。この延伸PTFE成形体の外周には螺旋状に皺が形成されており、その皺と長軸との交差角度は約4度であった。結果を表1に示す。
【0025】
〔実施例5〕
延伸倍率を100%に変えたこと以外は、実施例4と同様に操作した。その結果、外径が60μmの半透明化した延伸PTFE成形体が得られた。この延伸PTFE成形体の外周には螺旋状に皺が形成されており、その皺と長軸との交差角度は約3度であった。結果を表1に示す。
【0026】
〔実施例6〕
延伸倍率を200%に変えたこと以外は、実施例4と同様に操作した。その結果、外径が52μmの半透明化した延伸PTFE成形体が得られた。この延伸PTFE成形体の外周には螺旋状に皺が形成されており、その皺と長軸との交差角度は約2度であった。結果を表1に示す。
【0027】
〔比較例1〕
ロッド状の延伸PTFE多孔質体(外径147μm、気孔率約50%、平均フィブリル長40μm)を、その長さが変わらないように固定した状態で330℃の熱風循環恒温槽内で5分間加熱した。結果を表1に示す。
【0028】
〔比較例2〕
ロッド状の延伸PTFE多孔質体(外径147μm、気孔率約50%、平均フィブリル長40μm)を、330℃の熱風循環恒温槽内で50%の延伸を加えながら5分間加熱した。結果を表1に示す。
【0029】
〔比較例3〕
延伸倍率を100%に変えたこと以外は、比較例2と同様に操作した。結果を表1に示す。
【0030】
〔比較例4〕
延伸倍率を200%に代えたこと以外は、比較例2と同様に操作した。結果を表1に示す。
【0031】
【表1】
Figure 0003975531
【0032】
(脚注)
<引張試験方法>
試験機:島津製作所製オートグラフAG500E
サンプル初期長:50mm(グリップ間距離)
引張速度:50mm/min(初期歪速度100%/min)
引張強度=最大荷重/断面積(kgf/mm2
<無孔化効果>
○:半透明化している、
×:不透明のままである。
【0033】
表1の結果から明らかなように、ねじり変形を加えることなく単に延伸を行った場合(比較例2〜4)には、細径化効果と低気孔率化効果が殆どなく、引張強度が著しく低下していることがわかる。これに対して、ねじり変形を加えた場合(実施例1〜4)、及びねじり変形と延伸を加えた場合(実施例4〜6)は、細径化と低気孔率化効果が大きく、しかも単位断面積当りの引張強度が高いことがわかる。特に、ねじり変形と延伸を加えた場合(実施例4〜6)には、細径化の程度を大きくし、かつ、引張強度を著しく高くすることができる。
【0034】
〔実施例7〕
ロッド状の延伸PTFE多孔質体(外径147μm、気孔率約50%、平均フィブリル長40μm)10cmに対し、200回/分の速度で30秒間ねじった後、中央部の長さ13mmに対し、350℃に加熱しながら、6回/分の速度でねじり変形を加えつつ、13mm/分の延伸速度で30〜60秒間の範囲内で延伸して、中央部のみを半透明化して、様々な細径化の寸法に加工した。結果を図2に示す。図2の結果から明らかなように、本発明の方法を用いれば、部分的に半透明化(無孔質化)と任意の寸法に細径化を同時に施すことができる。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、ロッド状の延伸PTFE多孔質体の全体または任意の部分が細径化され、かつ、細径化部分の引張強度が充分に高い延伸PTFE成形体が提供される。また、本発明によれば、ロッド状の延伸PTFE多孔質体の全体または任意の部分に対して、所望の大きさに細径化が可能な延伸PTFE成形体の製造方法が提供される。本発明の延伸PTFE成形体は、例えば、医療用縫合糸などとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の延伸PTFE成形体の顕微鏡観察による外観を示す略図である。
【図2】実施例7で作製した延伸PTFE多孔質体の細径化処理部の外径と引張強度との関係を示す実験データのプロット図である。
【符号の説明】
1:延伸PTFE成形体
2:ねじった方向に形成される皺
3:皺と長軸との交差角(α)

Claims (7)

  1. ロッド状の延伸ポリテトラフルオロエチレン多孔質体(A)の少なくとも一部が、ねじり変形により細径化されている延伸ポリテトラフルオロエチレン成形体(B)。
  2. ねじり変形に加えて、二次的延伸により細径化されている請求項1記載の延伸ポリテトラフルオロエチレン成形体(B)。
  3. ねじり変形によって外周に形成された螺旋状の皺と延伸ポリテトラフルオロエチレン成形体の長軸との交差角が10度以上である請求項1記載の延伸ポリテトラフルオロエチレン成形体(B)。
  4. ねじり変形によって外周に形成された螺旋状の皺と延伸ポリテトラフルオロエチレン成形体の長軸との交差角が1度以上である請求項2記載の延伸ポリテトラフルオロエチレン成形体(B)。
  5. ロッド状の延伸ポリテトラフルオロエチレン多孔質体(A)の少なくとも一部に1回転/cm以上のねじりを加えた後、ポリテトラフルオロエチレンの融点以上の温度で熱固定する延伸ポリテトラフルオロエチレン成形体(B)の製造方法。
  6. ねじりを加える工程の後、160℃以上の温度で二次的延伸を行い、次いで、熱固定する請求項5記載の延伸ポリテトラフルオロエチレン成形体(B)の製造方法。
  7. ロッド状の延伸ポリテトラフルオロエチレン多孔質体(A)の少なくとも一部に、160℃以上の温度で、1回転/cm以上のねじりを加えつつ二次的延伸を行い、次いで、ポリテトラフルオロエチレンの融点以上の温度で熱固定する延伸ポリテトラフルオロエチレン成形体(B)の製造方法。
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