JP3975328B2 - トイレ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、高齢者や傷病者が居室で用便を行えるようにするためのトイレ装置に関する。
【0002】
なお本明細書において「前・後」とは、便座に着座した状態の使用者における前後を指すものとする。
【0003】
【従来の技術】
高齢や傷病等のためトイレまでの移動が困難な者が、居室や寝室にて用便を済ますことができるようにするため、居間用トイレ・ポータブルトイレなどと称されるトイレ装置が従来開発されている。図8は、このようなトイレ装置Tの一例を示すものであって、ハウジング24の上面に、洗浄水を貯留するタンク21と便座22とが載設され、便座22の下方位置に、汚物貯留用のバケツ23が配置されている。該バケツ23は、ハウジング24の前面開口25より出し入れ可能であり、用便後にバケツ23を運搬して、内容物をトイレ等に廃棄することができるようなされている。また必要に応じ、手すり26が、ハウジング24の側面から立ち上げて設けられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
に示すようなトイレ装置Tにおいて、便座22の後部下方に局部洗浄用ノズルを設けることがある。この場合、局部洗浄用ノズルは、通常、タンク21の下面に前方へ突出するよう一体的に設けられる。従って、便座22の後部直下領域において、便座22が載置されるハウジング24の上面部と、バケツ23の上縁部との間に、ノズル配置用の間隙を確保する必要がある。このため、ノズルより噴出させた洗浄水や用便時の汚物等の飛沫が、ハウジング上面部とバケツ23とに設けた隙間から周囲へ飛散するおそれがあった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、居室等に設置される従来のトイレ装置における前記問題点の解決を図ることを目的とするものであって、その特徴とするところは、ハウジングの上面側に載置された便座と、便座の下方側において前記ハウジング内に収納された着脱可能な汚物貯留用のバケツとを備えるトイレ装置において、前記ハウジングの上面部の下面と前記バケツの上縁との隙間を覆う垂下部を有するスクリーンカバーを、少なくともバケツの後部領域に位置するよう設け、前記バケツは、便座の前端側から後端側へ向かって下り勾配を有している支持プレート上に載置されて、前記ハウジングの上面部の下面とバケツの上縁との隙間が、前方側から後方側へ向かって拡大するように設定されていることにある。かかる構成を採用することにより、ハウジング上面部とバケツとの隙間がスクリーンカバーで閉塞されるので、ノズルから噴出させた洗浄水や汚物の飛沫等が、周囲に飛散するのを防止できる。
【0006】
又、これにより、ハウジング上面部とバケツとの間に洗浄水ノズルを配置するための間隙を確保するのが容易になると共に、便座下方へ装着したバケツの安定性が高まる。
【0007】
さらに前記スクリーンカバーにおける垂下部の前端側領域を、前方側へ向かって先細りの形状に形成することも可能である。これにより、バケツの装着作業が容易になる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明を実施したトイレ装置Sの一例を、図面を参照して説明する。本例のトイレ装置Sは、ハウジング4の上面に、洗浄水を貯えるタンク1と便座2とが載設され、便座2は、タンク1の前面下部へヒンジHによって取り付けられ、上下に揺動自在となっている。ハウジング4は、内部に汚物貯留用のバケツ7を着脱可能に収納し得る空間を有するものであって、バケツ7が載置される支持プレート6が配設されている。ハウジング4の上面部4a及び前面部4bにはそれぞれ切欠部4c,4dが設けられ、上面部4aの切欠部4cの大きさは、便座2中央の開口よりも十分に大きく設定される。また、前面部4bの切欠部4dの大きさは、バケツ7の出し入れ作業を支障なく行えるように設定される。ハウジング4の左右側面には、便座2に着座した使用者の左右に張り出すように設けた手すり5の基部が固定されている。なおハウジング4は、底部左右に実質的に平行に配置したベースフレーム9上に立設させた縦フレーム8によって支持され、必要に応じ、高さ調節が可能となされている。
【0009】
図1及び図2に示す如く、本例にあっては、タンク1の下面に洗浄水の噴出用ノズル3が前方へ突出するように設けられている。そして、支持プレート6を前端から後方へ向かって下り勾配を持つよう設置することにより、バケツ7の姿勢を図示のように傾斜させて、ハウジング上面部4aの下面とバケツ7の後部側上縁との間に比較的広い間隙を積極的に形成し、上記ノズル3とバケツ7とが干渉するのを回避するよう設計してある。
【0010】
本発明では、上記隙間から、洗浄水や汚物の飛沫が周囲へ飛散するのを防ぐため、上記隙間を覆うスクリーンカバー10を設けたところを特色としている。なお、前方側領域では、ハウジング上面部4aとバケツ7との間の隙間が小さくなっているから、この部分のスクリーンカバー10は省略が可能である。
【0011】
前記スクリーンカバー10は、例えば図5に示すような形態を有するものであり、ハウジング上面部4aの下面等へ取着される平坦部11と、平坦部11の内周縁から垂下させた垂下部12とから成っている。垂下部12における前端側部分12aは、前方へ向かって先細りのテーパ形状に形成される。平坦部11の後方中央領域には、洗浄水ノズル3を収納するための凹部13が形成される。平坦部11の適所に形成された開口14は、スクリーンカバー10をハウジング上面部4aへ装着するためのフック(図示せず)等を挿入させるためのものである。なお、スクリーンカバー10をハウジング上面部4aへ装着する手段としては、フックのほか、磁石や面ファスナーによるもの等が考えられる。
【0012】
スクリーンカバー10の望ましい材質としては、耐水性・耐食性を持ち、汚れが付着しにくく、比較的強靱で、且つ、少なくとも垂下部12については適度な柔軟性を有することであり、このようなものとしては、シリコン等の合成ゴムなどが挙げられる。
【0013】
ところで、本例のスクリーンカバー10は、ハウジング上面部4aとバケツ7との間隙のうち後半部領域のみを覆うように設計されているが、上記間隙の前方側領域をも覆うように構成することも妨げない。
【0014】
次に、本例のトイレ装置Sにおけるバケツ7の着脱手順について説明する。バケツ7をトイレ装置Sのハウジング4内へ設置するには、図1及び図2に示す如く便座2を開き上げた状態で、図6の(A)のように、バケツ7を多少傾けた姿勢のまま、支持プレート6の表面に沿って後方側へ移動させる。このとき図示されるとおり、スクリーンカバー10における垂下部12の前端側をテーパ形状にしているから、バケツ7の内側に上記垂下部12を挿入させるのが簡単である。次いで、この状態のままバケツ7をさらに後方へ押し込む。すると、図6(B)のように、バケツ7の後方上縁部が、スクリーンカバー垂下部12の後端部位12bを弾性的に折り曲げながら、図6(C)に示されるとおり、支持プレート6によって規定される所定位置までバケツ7が移動する。その結果、図3及び図4に示される状態にバケツ7が装着され、このとき、ハウジング上面部4aとバケツ7との間隙のうちの少なくとも後半部領域は、スクリーンカバー10によって覆われた状態となっている。
【0015】
用便後にバケツ7をハウジング4内から取り出すには、便座2を開き上げた状態で、バケツ7の取っ手7aを起こしてこれを把持し、バケツ7を前方へ引き出せばよい。このとき、スクリーンカバー10の垂下部12はバケツ7の内側に位置しているものの、該垂下部12は適度な柔軟性を備えているので弾性的に変形するから、何ら困難を伴わずにバケツ7の取り出し作業を行うことができる。
【0016】
ところで、図示した実施形態では、バケツ7が、ハウジング4の前面部4bから露出しており見栄えが悪い。そこで図7に例示するような前面カバー15を、ハウジング前面部4bへ着脱可能に装着することにより、外観性を向上させるようにしてもよい。
【0017】
【発明の効果】
本発明に係るトイレ装置は、便座の下方側に着脱可能な汚物貯留用バケツを備えるものにおいて、ハウジングの下面とバケツの上縁との隙間を覆う垂下部を有するスクリーンカバーを少なくともバケツの後部領域に設けたので、洗浄水ノズルを設けた場合に、このノズルから噴出する洗浄水や用便時の汚物の飛沫が周囲に飛散するのを防止することができる。また、バケツを、便座の前端側から後端側へ向かって下り勾配を有する支持プレート上に載置して、ハウジングの下面とバケツ上縁との隙間が便座の手前側から後方側へ向かって拡大するように設定したので、洗浄水ノズルとバケツとの干渉を避けるのが容易となり、バケツ装着時の安定性も向上する。さらに、スクリーンカバーにおける垂下部の前端側領域を前方側へ向かって先細りの形状に形成した場合は、バケツの装着作業が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態を示すものであって、バケツを取り外した状態のトイレ装置の斜視図である。
【図2】 本発明の一実施形態を示すものであって、バケツを取り外した状態のトイレ装置の部分断面側面図である。
【図3】 本発明の一実施形態を示すものであって、バケツを装着した状態のトイレ装置の斜視図である。
【図4】 本発明の一実施形態を示すものであって、バケツを装着した状態のトイレ装置の部分断面側面図である。
【図5】 本発明に係るトイレ装置に用いるスクリーンカバーの一例を示す斜視図である。
【図6】 本発明の一実施形態に関するものであって、図(A)はバケツ装着作業の初期を示す側面断面図、図(B)はバケツ装着作業の途中を示す側面断面図、図(C)はバケツ装着作業の完了時を示す側面断面図である。
【図7】 本発明の異なる実施形態を示すトイレ装置の斜視図である。
【図8】 従来のトイレ装置の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
S…トイレ装置 1…タンク 2…便座 3…洗浄水ノズル 4…ハウジング 4a…ハウジングの上面部 4b…ハウジングの前面部 5…手すり 6…支持プレート 7…バケツ 10…スクリーンカバー 11…平坦部 12…垂下部

Claims (2)

  1. ハウジングの上面側に載置された便座と、便座の下方側において前記ハウジング内に収納された着脱可能な汚物貯留用のバケツとを備えるトイレ装置において、前記ハウジングの上面部の下面と前記バケツの上縁との隙間を覆う垂下部を有するスクリーンカバーを、少なくともバケツの後部領域に位置するよう設け、前記バケツは、便座の前端側から後端側へ向かって下り勾配を有している支持プレート上に載置されて、前記ハウジングの上面部の下面とバケツ上縁との隙間が、前方側から後方側へ向かって拡大するように設定されていることを特徴とするトイレ装置。
  2. 前記スクリーンカバーにおける垂下部の前端側領域を、前方側へ向かって先細りの形状に形成した請求項に記載のトイレ装置。
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