JP3975203B2 - 放熱器付きコンデンサ基板 - Google Patents
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冷却すべき電子部品が大型の半導体である場合には、その半導体に直接ヒートシンクをとりつけることができる。しかし、冷却すべき半導体や部品が小さく、しかもそれが多数存在するばあいとか、あるいは、本発明で説明するコンデンサの場合には直接その部品にヒートシンクを取付けることがむつかしく、この部品をとりつけたプリント基板をヒートシンクに密着するように取付けて冷却する必要がある。とくにコンデンサの場合にはその構造上、コンデンサの電極を通じて放熱させる必要があるが、当然、電極に金属性放熱器を接触させると短絡などの機会が増えるため、金属製放熱器を放熱効率がよくなるように取り付けるのは容易ではない。
即ち、プリント基板の表面/裏面には、部品の電極が突出しているので、これを他の金属に接触させることはできないし、仮にできたとしても半田の突起が多数存在してでこぼこであるためヒートシンクの面に密着させることは不可能である。
しかし、ここで用いるコンパウンド30は不規則な基板表面との密着性を得るため柔軟性の高いものでなければならない。このため、コンパウンド30は、一見、基板1とヒートシンク20とを接着しているようには見えても、基板1を機械的に保持する役目を担い得るものとはならない。したがって基板1の面積が大きかったり、取付けられた部品の重量が大きかったりして、基板1に振動や曲がりが生じた場合、コンパウンド30はこれを防止することができないだけでなく、コンパウンド30と基板1との密着性が損なわれ、冷却性能そのものが損なわれることにつながる結果となる。
無論、取付けねじの本数を増やし、ねじ間隔を狭くすれば振動や曲がりには対処できるが、作業性が悪くなる、基板面積が増大する、基板パターンの作成自由度が低下するなどの問題が増大するという課題があった。
貫通穴を有し1面が前記平面に接して配置された底板と、この底板の他の1面に周囲を囲うように設けられた囲い部とを有するインサートケース、
コンデンサが取付けられ、所定の厚みのスペーサを介して前記底板に取り付けられたコンデンサ基板、
前記コンデンサ基板と前記平面とを前記貫通穴を介して互いに接着するように、前記囲い部の中に充填された接着剤を備えたものである。
実施の形態1.
図1に本発明の実施の形態1の放熱器付きコンデンサ基板の構成を説明する分解斜視図を示す。また、図1の構成の理解を助けるため図2に図1のものを組み立てた後の断面図を示す。なお、以下の各図において同符号は同一または相当部分を示す。
ヒートシンク(金属製放熱器)5は平面5aを備えている。ヒートシンク5は一般には単なる板であるとか、多数のフィンを備えているとか、強制的に空冷するためのファンを備えていたりするが、どのような冷却機構を持つかは、この発明の要点には関係しないのでここでは問わないものとする。ただ、図1は多数のフィンを持つ構造として図示している。この平面5aに樹脂、セラミック又は金属製のインサートケース4を載せ、ねじ10で固定する。インサートケース4はヒートシンク5の平面5aに接する底板4aと、この底板4aの周囲を囲み接着剤(後述)の流出を防止するための囲い部4bを備えている。また底板4aには貫通穴4cが設けてある。貫通穴(以下穴という)4cは図では2個示しているがもっと多くてもよい。
貫通穴4cの位置はコンデンサ基板2を取り付けたとき、丁度コンデンサ1の電極12の真下の位置に設けておくことが好ましい。
また、インサートケース4の内側の端部(必ずしも端部である必要はないがこの方が取付け作業が容易となる)にはコンデンサ基板2をヒートシンク5から所定の距離に保持して支えるため、所定の厚みのスペーサ11が設けられている。ここでスペーサ11は馬鹿穴を持つ、この馬鹿穴の下のヒートシンク5には雌ねじ穴(図示しない)がきられている。スペーサ11は必ずしもインサートケース4に取り付けられていなくても、単に所定の厚みのあるワッシャ状のものでもよい。
コンデンサ基板2をヒートシンク5に取付けるには、まず、ヒートシンク5にねじ10で固定されたインサートケース4の中に、接着剤3(例えばシリコン系接着剤)を流し込んでから直ちにコンデンサ基板2をインサートケース4内にはめ込む。このとき配線6が接着剤3に埋もれてしまわないように注入量を加減する。そしてねじ13により基板2をヒートシンク5に取り付けるとともに配線6もねじ止めする。コンデンサ基板2はインサートケース4内のスペーサ11に当たって、底板4aとの間に一定の距離(電極12とヒートシンクとの絶縁が確保される距離、例えば3mm)が保持される。そしてヒートシンク5とコンデンサ基板2の間の空間に隙間なく接着剤を充填する。図1は接着剤3の注入前の図なので接着剤は図示していない。図ではインサートケース4をヒートシンクに止めるねじ10と、コンデンサ基板2をインサートケースに止めるねじ13とを記載しているが、共用、即ち、基板2、インサートケース4、ヒートシンク5を共締めする構造であってもよい。
また、囲い部4bの高さは、取り付けられたコンデンサ基板2の下面よりも上まであることが好ましい、これにより注入した接着剤3が基板2と囲い部4cとの隙間から流れ出ることが防止できる。このようにしてあれば、基板2の端部と囲い部4cとの間に相当程度の隙間があってもかまわない。
また、インサートケース4の底板4aのヒートシンクの平面5aと接する部分に熱の伝導を高める公知のコンパウンドを塗布してもよい。
図2において、コンデンサ1は基板の上面から少し離れて記載してあるが、これはリード12を説明するためにこのように記載したのであって、耐震性を高めるためにはコンデンサの本体部分を基板に密着させた方がよい。
このように実施の形態1のコンデンサ基板2の取付け構造は、ヒートシンク5とインサートケース4とコンデンサ基板2が互いに1度の接着剤注入により接着されているので、作業手順も簡素化されるという効果も得られる。
実施の形態1の図1ではコンデンサ基板2とインサートケース4とヒートシンク5の3つを互いに接着している。これら3つのものはそれぞれを構成する素材が異なる場合が多く、その場合にはそれぞれの熱膨張率も異なる。即ち、ヒートシンク5は熱伝導性と価格の点からアルミニュウムが使用されることが多い。そしてインサートケース4は前述のとおり樹脂、セラミック、金属などが使用される。そして基板2には例えばガラスエポキシまたはベークライトなどが使用される。ヒートシンク5の熱膨張率とインサートケース4の熱膨張率は類似したものを使用すべきであるが、その他の条件から熱膨張率が大きく異なる組み合わせのものを使用せざるを得ない場合がある。ヒートシンク5とインサートケース4の間の接着剤層はきわめて薄いので、互いの熱膨張率が大きく異なると、長期の使用にともない接着が徐々にはがれ熱伝導性と機械的保持力が低下したり、インサートケース4にクラックが生じる恐れがある。
一方コンデンサ基板2とインサートケース4との間、およびコンデンサ基板2とヒートシンク5との間の接着層はそれぞれ厚みがあり、互いの熱膨張率が異なっていても温度変化による変形を吸収することができ、長期の使用によりはがれが進行するということはない。
ヒートシンク(金属製放熱器)5は平面5aを備えている。この平面5aに樹脂、セラミック又は金属製のインサートケース40を載せ、ねじ10により固定する。インサートケース40はヒートシンク5の平面5aに接する底板40aと、この底板40aの周囲を囲み接着剤3の流出を防止するための囲い部40bを備えている。ただし底板40aには実施の形態1の図1に示した穴4cが設けられていない。また、インサートケース40の内側の端部にはコンデンサ基板2をヒートシンク5から所定の距離(実施の形態1の説明と同じ)に保持して支えるためのスペーサ11が取り付けられている。ここでスペーサ11は雌ねじ穴を持つ、
次に、インサートケース40の中に接着剤3(例えばシリコン系接着剤)を流し込んでから直ちにコンデンサ基板2をインサートケース40内にはめ込む。そしてねじ13によりインサートケース40に取り付ける。コンデンサ基板2はインサートケース内のスペーサ11に当たって底板40aとの間に一定の距離が保持される。そして底板40aとコンデンサ基板2の間の空間に隙間なく接着剤3を充填する。図3は接着剤3の注入前の図として接着剤3は図示していない。ねじ13はコンデンサ基板2とインサートケース40とをヒートシンク5に共締めするものであってもよい。その場合、スペーサ11には馬鹿穴がもうけてある必要がある。接着後ただちにねじ止めしないとねじ穴に接着剤が流入する恐れがあるため、別のねじとしてあるほうが作業は容易となる。
インサートケース40はねじ止めなのでヒートシンク5に対して微小な熱的伸縮変形が可能となり、はがれなどを考慮する必要はなくなる。
インサートケース40の材質は前述のとおり各種のものが使用できるので、コンデンサ基板2の熱膨張率と近い材質のものを選定することが容易である。したがってコンデンサ基板2がインサートケース40からはがれるということはない。
実施の形態1、実施の形態2ではインサートケース4、40にはいずれも底板が設けてある。
この構成を更に簡素にした実施の形態3の放熱器付きコンデンサ基板の構造を図5に示す。
平面5aを有するヒートシンク5は実施の形態1のものと同じである。この平面5aに樹脂、セラミック又は金属製のインサートケース400を載せる。インサートケース400は周囲を囲う囲い部400bと、その外側に設けられヒートシンク5の平面5aに接するつば(つば部)400aとを備えている。つば400aには馬鹿穴400cが数箇所設けられ、ねじ10によりヒートシンク5に取り付けることができる。インサートケース400の内側は底抜け構造となっている。囲い部400bの内側にはコンデンサ基板2をヒートシンク5から所定の距離に保持して支えるためのスペーサ11が設けられ、スペーサ11には雌ねじを持つ。ただし、図6の右寄りに図示するごとく、ヒートシンク5に設けた雌ねじにねじ込む構造としてもよい。
次に、インサートケース400の中に接着剤3(例えばシリコン系接着剤)を流し込んでから直ちにコンデンサ基板2をインサートケース400内にはめ込む。そしてねじ13によりインサートケース400又はヒートシンク5に取り付ける。コンデンサ基板2はインサートケース内のスペーサ11に当たってヒートシンク5の平面5aとの間に一定の距離が保持される。そして平面5aとコンデンサ基板2の間の空間に隙間なく接着剤3を充填する。図5は接着剤3の注入前の図として接着剤3は図示していない。
本実施の形態ではインサートケースの構造が簡単で軽量化されているとともに、コンデンサ基板の熱が接着剤を介して直接ヒートシンクに伝わるので方熱効果が大きい。
ヒートシンク5の平面5aは全面にある必要はなく、インサートケース400のつば400aが接する部分、即ちヒートシンク5の周辺部分のみにあればよいので、ヒートシンクが安価に製造できるという効果も得られる。
4 インサートケース、 4a 底板、 4b 囲い部、
4c 穴、 5 ヒートシンク、
5a 平面、 6 配線(リード)、 10 ねじ、 11 スペーサ、
12 電極、 13 ねじ、 40 インサートケース、 40a 底板、
40b 囲い部、 400 インサートケース、 400a つば、
400b 囲い部。
Claims (5)
- 平面を有する金属製放熱器、
貫通穴を有し1面が前記平面に接して配置された底板と、この底板の他の1面に周囲を囲うように設けられた囲い部とを有するインサートケース、
コンデンサが取付けられ、所定の厚みのスペーサを介して前記底板に取り付けられたコンデンサ基板、
前記コンデンサ基板と前記平面とを前記貫通穴を介して互いに接着するように、前記囲い部の中に充填された接着剤を備えたことを特徴とする放熱器付きコンデンサ基板。 - 平面を有する金属製放熱器、
1面が前記平面に接して配置された底板と、この底板の他の1面に周囲を囲うように設けられた囲い部とを有するインサートケース、
コンデンサが取付けられ、所定の厚みのスペーサを介して前記底板に取り付けられたコンデンサ基板、
前記コンデンサ基板と前記底板とを互いに接着するように、前記囲い部の中に充填された接着剤を備えたことを特徴とする放熱器付きコンデンサ基板。 - 平面を有する金属製放熱器、
前記平面に接して前記金属性放熱器にねじ止めされるつば部と、このつば部の周囲に設けられた囲い部と、所定の厚みのスペーサとを有するインサートケース、
コンデンサが取付けられ、前記スペーサに取り付けられたコンデンサ基板、
前記コンデンサ基板と前記金属性放熱器とを互いに接着するように、前記囲い部の中に充填された接着剤を備えたことを特徴とする放熱器付きコンデンサ基板。 - 前記接着剤はシリコン系接着剤であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の放熱器付きコンデンサ基板。
- 前記平面は前記金属製放熱器の周辺部に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の放熱器付きコンデンサ基板。
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