JP3974951B2 - α,β−不飽和ニトリルの製造方法 - Google Patents

α,β−不飽和ニトリルの製造方法 Download PDF

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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、流動層反応器においてプロピレン、イソブチレンまたは第三級ブチルアルコールをアンモオキシデーション反応させて、該反応原料と同じ炭素数を有するα,β−不飽和ニトリルを製造する方法に関する。より詳しくは該アンモオキシデーション反応において全接触時間の途中から同一流動層触媒下にメタノールと酸素含有ガスを供給し、未反応アンモニアを低減せしめたα,β−不飽和ニトリルの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より気相接触反応によってアンモニア、酸素含有ガスとプロピレン、イソブチレンまたは第三級アルコールを反応させ不飽和ニトリルを製造する方法において、モリブデン−ビスマス系シリカ担持触媒を用いた流動層反応器が広く採用されている。
その流動層反応器には、通常下部にガスの分散器、除熱コイル等が設けられており、そしてその上部にはサイクロンが設けられ、触媒とガスの分離が行われている。
【0003】
この流動層反応器を用いて反応を行う際、全接触時間の途中からアンモニアとメタノールおよび酸素含有ガスを供給しアンモオキシデーション反応を行わせる方法については、特公昭54−8655号公報に開示されており、内径2インチ、高さが2mの流動層反応器ではアクリロニトリル収率を悪化する事なくメタノールのアンモオキシデーション反応を行えるとされている。
【0004】
しかし、内径3m以上の工業的な装置では、流動層反応器全接触時間の途中からメタノール及び酸素含有ガスを供給し、アンモオキシデーション反応を行うと、メタノール分散管の導入口に触媒の主要構成元素であるモリブデンの酸化物が経時的に付着し、ついにはメタノール分散管の導入口の閉塞をきたし、安定的に未反応アンモニアを低減することができなくなるという工業上重大な問題が生ずる。そして、その問題の解決方法については、未だ充分な方法が提供されていないのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、モリブデン−ビスマス系シリカ担持触媒を用いた内径3m以上の工業的な流動層反応器において、プロピレン、イソブチレンまたは第3級アルコールを反応させ、α,β−不飽和ニトリルを製造する際に、流動層反応器全接触時間の途中からメタノールおよび酸素含有ガスを供給して未反応アンモニアと反応せしめ、未反応アンモニアを低減するに当たり、モリブデン酸化物によるメタノール分散管の導入口の閉塞を防止し、安定的に未反応アンモニアを低減することができる工業的方法を提供する事を目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するため前述のアンモオキシデーション反応について鋭意検討した結果、反応ガス中に存在するモリブデン−ビスマス系シリカ担持触媒の主要構成元素であるモリブデンが、メタノール分散管から供給されるメタノールによって還元され、二酸化モリブデンとしてメタノール分散管の導入口に、経時的に付着成長し、ついにはメタノール分散管の導入口の閉塞を起こすという知見を得、さらに検その閉塞の防止について討を進めた結果、メタノール導入口を酸素含有ガスで酸化雰囲気とし、且つ、メタノールに蒸気を混合することで、モリブデン酸化物の昇華が促進される事を見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、プロピレン、イソブチレンまたは第三ブチルアルコールをアンモニアと酸素含有ガスと共に高温且つ気相で流動層反応触媒によって接触反応させて、プロピレン、イソブチレンまたは第三級アルコールと同じ炭素数を有するα,β−不飽和ニトリルを製造するにあたり、流動層反応器の原料供給点から全接触時間の1/2〜9/10の位置で、メタノール分散管及び酸素含有ガス分散管を通してメタノール及び酸素含有ガスを供給し、もってメタノールと酸素含有ガスを流動層内で直接接触させ、且つ、該メタノールに蒸気を混合してメタノール分散管を通して供給することを特徴とするα,β−不飽和ニトリルを製造する方法を提供するものである。
【0008】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明においては、プロピレン、イソブチレンまたは第三級ブチルアルコールをアンモニアと酸素含有ガスと共に高温かつ気相でモリブデン−ビスマス系シリカ担持触媒によって接触反応させて、プロピレン、イソブチレンまたは第三級ブチルアルコールと同じ炭素数を有するα,β−不飽和ニトリルの製造するに当たり、用いる反応器の下部より順に、酸素含有ガス分散板または分散管、プロピレン、イソブチレンまたは第三級ブチルアルコールとアンモニアの混合ガス分散管、除熱コイルを配置し、さらに該反応器の混合ガス分散管よりもガス流れの下流で全接触時間の1/2〜9/10、好ましくは2/3〜9/10の位置に酸素含有ガスとメタノールを供給するそれぞれの分散管を設け、酸素含有ガスとメタノールをそれぞれのガス分散管から供給して反応させる。
【0009】
そして、反応ガス中に存在するモリブデン−ビスマス系シリカ担持触媒の主要構成元素であるモリブデンが、メタノール分散管から供給されるメタノールによって還元され、二酸化モリブデンとしてメタノール分散管の導入口に、経時的に付着成長し、ついにはメタノール分散管の導入口の閉塞を起こすのを防止するため、メタノール及び酸素含有ガス分散管の導入口から供給されるメタノール及び酸素含有ガスが、流動層内で直接接触するようにガス導入口を配置し、且つ、メタノールに蒸気を混合して、メタノール分散管を通して供給しつつ、アンモオキシデーション反応を行わせて、安定的に未反応アンモニアを低減させる。
【0010】
本発明で用いるメタノール導入口の配置は、メタノール及び酸素含有ガスが流動層内のガス流れに対し、平行に1対1で対向し、メタノール酸素含有ガス導入口の間隔が10〜200mmである事が好ましいが、メタノール及び酸素含有ガスが、流動層内で直接接触するような構造であればどのような配置でもかまわない。
又、メタノールと蒸気は混合比〔蒸気/メタノール(重量%)〕5〜80%、好ましくは10〜50%で均一に混合し、メタノール分散管から供給するのが望ましい。なお、メタノールと混合する蒸気は、メタノールが凝縮しない温度であれば、どのような仕様でもかまわない。
【0011】
次に、図を用いて本発明を説明する。
図1は、本発明において用いられる反応器の一例を示す概略図である。図中、1は反応器本体、2は除熱コイルを示す。オレフィン混合ガス分散管3よりプロピレン、イソブチレンまたは第三級ブチルアルコールとアンモニアの混合ガスを供給し、酸素含有ガス分散板4から酸素含有ガスを供給する。流動触媒層5でアンモオキシデーション反応が行われる。流動層反応器の全接触時間の途中に配置したメタノール分散管6からメタノール及び蒸気を供給し、且つ酸素含有ガス分散管7からその位置における未反応アンモニアとメタノールの反応に必要な酸素を酸素含有ガスとして供給してメタノールのアンモオキシデーション反応を行わせる。
【0012】
【実施例】
次に実施例および比較例によって本発明を具体的に説明する。
【0013】
実施例1
使用した反応器は直径3.7mの反応器であり、触媒は粒径が10〜100μで、その平均粒径は60μのモリブデン−ビスマス系シリカ担持触媒を用いた。反応ガスの接触時間が触媒の静止層高基準で4secになるように、上記触媒を反応器に投入した。流動層の下部には空気分散板を設置し、さらにプロピレン・アンモニア分散管をその開口部上部に位置させ、且つ接触時間が触媒の静止層高基準で3.2secの位置に、メタノールと空気の導入口の間隔が20mmになるようにメタノール分散管と空気分散管を1対1で対向して設置した。
【0014】
空気/NH3 /C3 6 =9.4/1.1/1.0及び二次空気/メタノール/C3 6 =0.77/0.096/1.0とし、且つ蒸気/メタノール混合比を35%にして、13日間運転した。
この時の反応成績は、未反応アンモニア率=2%、メタノール転化率=97%で13日間安定に推移した。 また、メタノール分散管の圧力損失も700mmH2 Oで13日間一定であった。
【0015】
実施例2
実施例1と同じ反応器及び触媒を用い、反応ガスの接触時間が触媒の静止層高基準で4secになるように、上記触媒を反応器に投入した。
流動層の下部には空気分散板を設置し、さらにプロピレン・アンモニア分散管をその開口部上部に位置させ、且つ接触時間が触媒の静止層高基準で3.1secの位置に、メタノールと空気の導入口の間隔が20mmになるようにメタノール分散管と空気分散管を1対1で対向して設置した。
【0016】
空気/NH3 /C3 6 =9.0/1.1/1.0及び二次空気/メタノール/C3 6 =0.69/0.17/1.0とし、且つ蒸気/メタノール混合比を14%にして、14日間運転した。
この時の反応成績は、未反応アンモニア率=0%、メタノール転化率=97.5%で14日間安定に推移した。また、メタノール分散管の圧力損失も1300mmH2 Oで一定であった。
【0017】
比較例1
実施例1と同じ反応器及び触媒を用い、反応ガスの接触時間が触媒の静止層高基準で4secになるように、上記触媒を反応器に投入した。
流動層の下部には空気分散板を設置し、さらにプロピレン・アンモニア分散管をその開口部上部に位置させ、且つ接触時間が触媒の静止層高基準で3secの位置に、メタノールと空気の導入口の間隔が20mmになるようにメタノール分散管と空気分散管を1対1で対向して設置した。
【0018】
空気/NH3 /C3 6 =9.4/1.1/1.0及び二次空気/メタノール/C3 6 =0.96/0.19/1.0とし、且つメタノール分散管に蒸気を入れずにメタノール単独で5日間運転した。
この時の反応成績は、スタート当初、未反応アンモニア率=0%、メタノール転化率=98%であったものが、5日間の運転で、未反応アンモニア率=1%、メタノール転化率=97.5%に変化した。又、メタノール分散管の圧力損失も1000が1500mmH2 Oまで増加した。
【0019】
比較例2
実施例1と同じ反応器及び触媒を用い、反応ガスの接触時間が触媒の静止層高基準で4secになるように、上記触媒を反応器に投入した。
流動層の下部には空気分散板を設置し、さらにプロピレン・アンモニア分散管をその開口部上部に位置させ、且つ接触時間が触媒の静止層高基準で3.1secの位置に、メタノールと空気の導入口の間隔が220mmになるようにメタノール分散管と空気分散管を1対1でいずれも下向きで設置した。
【0020】
空気/NH3 /C3 6 =9.4/1.1/1.0及び二次空気/メタノール/C3 6 =0.96/0.19/1.0とし、且つメタノール分散管に蒸気を入れずにメタノール単独で5日間運転した。
この時の反応成績は、スタート当初、未反応アンモニア率=0%、メタノール転化率=98%であったものが、5日間の運転で、未反応アンモニア率=1%、メタノール転化率=96.5%に変化した。又、メタノール分散管の圧力損失も1000が7000mmH2 Oまで増加した。
なお、以上の実施例、比較例の値は、以下の式1〜9により導き出されたものである。
【0021】
【数1】
Figure 0003974951
【0022】
【発明の効果】
本発明には、モリブデン酸化物によるメタノール分散管の導入口の閉塞を起こすことなく、未反応アンモニアをメタノール・酸素含有ガスと反応させ、未反応アンモニアを安定的に低減できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において用いられる反応器の一例を示す模式図
【符号の説明】
1 反応器本体
2 除熱コイル
3 オレフィン混合ガス分散器
4 酸素含有ガス分散板
5 流動触媒層
6 メタノール分散管
7 2次酸素含有ガス分散管
8 メタノール分散管導入口
9 2次酸素含有ガス分散管導入口

Claims (3)

  1. プロピレン、イソブチレンまたは第三ブチルアルコールをアンモニアと酸素含有ガスと共に高温且つ気相で流動層反応触媒によって接触反応させて、プロピレン、イソブチレンまたは第三級アルコールと同じ炭素数を有するα,β−不飽和ニトリルを製造するにあたり、流動層反応器の原料供給点から全接触時間の1/2〜9/10の位置で、メタノール分散管及び酸素含有ガス分散管を通してメタノール及び酸素含有ガスを供給し、もって該メタノールと該酸素含有ガスを流動層内で直接接触させ、且つ該メタノールに蒸気を混合して該メタノール分散管を通して供給することを特徴とするα,β−不飽和ニトリルを製造する方法。
  2. 1対1で対向する導入口を有するメタノール分散管及び酸素含有ガス分散管から、流動層内のガス流れに対して平行にメタノール及び酸素含有ガスをそれぞれ導入し、且つ該メタノール分散管の導入口と該酸素含有ガス分散管の導入口との間隔が10〜200mmである請求項1記載の製造方法。
  3. メタノールと蒸気を5〜80wt%の蒸気/メタノール比で混合し、且つメタノール分散管を通して供給する請求項1又は2記載の製造方法。
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