JP3974106B2 - 広帯域光ファイバカプラおよびその製造方法並びにその製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、光通信システムや光センサシステム等において光信号の分岐・結合・合分波等に用いられる広帯域光ファイバカプラ、およびその製造方法並びにその製造装置に関し、特に、光ファイバカプラ型の広帯域光分岐結合器(光ファイバスプリッタ)に関するものである。
光通信システムにおいては、大容量の通信を行うために、複数の波長の光を用いて送受信を行う波長多重通信方式が提案されている。波長多重通信方式の光通信システムでは、光信号のモニターや分配等に用いる光ファイバカプラにおいて複数の各波長の光信号が同等に分岐されること、つまり、波長の違いにより各波長の光の分岐比・結合比(以下、光結合度と記す)が変化しないことが、システム構築上の重要な要素とされている。このような波長特性の平坦な光ファイバカプラは、光通信システム以外でも適用範囲は広く、光センサシステム等への応用としても好適な部品となっている。このため、このような光通信システムに用いるための、波長依存性の少ない光ファイバカプラが種々提案されている。
例えば、2分岐の広帯域光ファイバカプラ(1×2光ファイバカプラまたは2×2光ファイバカプラ)の場合、各光ファイバ間で伝搬定数に差をつけることにより、波長依存性を低減させることが行われている(特許文献1参照)。光結合部で互いの伝搬定数が異なる場合、光結合は不完全な結合となり、最大結合度は100%以下になる。従って、伝搬定数の差を制御することにより、光結合部での最大結合度を50%以下まで制御することが可能となり、結果的に広帯域で均一に近い分岐比が実現できる。伝搬定数に差をつけるには、光結合部で、各々の光ファイバの外径、コア径、比屈折率差(カットオフ)等が互いに異なっている必要がある。
広帯域化の具体的な方法としては、同一の光ファイバで前処理により光結合部での伝搬定数に差をつけるか、もともと異なる光ファイバを用いるかのどちらかとなる。前者の例としては、同一の2本の光ファイバのうちの1本の光ファイバを加熱延伸し、テーパー部分を有する細径部を形成した後、加熱延伸した1本の光ファイバの細径部において、両光ファイバを融着延伸するプリ延伸法(特許文献2および特許文献3参照)、同一の2本の光ファイバのうちの1本の光ファイバについて、コアにドーパントを熱拡散させて屈折率分布を調整した後、両光ファイバを融着延伸するコア拡散法(特許文献4参照)や、エッチング法、研磨法等がある。また、後者の例としては、外径、コア径、比屈折率差(カットオフ)等が予め異なる光ファイバを用いることが提案されている。更に、比屈折率差が予め異なる2本の光ファイバの一部を融着延伸する、前者の方法と後者の方法とを組み合わせた方法もある(特許文献5参照)。
これらの方法は、光ファイバ間の非対称性を制御することによって分岐比を変えることが出来るので、50:50の等分岐光ファイバカプラだけでなく、90:10等の不等分岐光ファイバカプラを作成でき、タップカプラ等の作成に応用することができる。
また、50:50の等分岐光ファイバカプラに限れば、広帯域化のためには必ずしも伝搬定数に差をつける必要はない。例えば、3本の光ファイバを並列に整列させて融着・延伸することにより、中央の光ファイバを入力端子、両端の2本の光ファイバを出力端子とした1×2広帯域・等分岐光ファイバカプラが実現できる。
この構成は、多分岐・等分岐光ファイバカプラ{1×N(N>2)}へも適用可能であり、1本の入力光ファイバの周囲に他のN個の出力光ファイバを対称に整列させて融着延伸することにより、1×N広帯域・等分岐光ファイバカプラを作成することが可能である。このように、この構成では(N+1)本の光ファイバを用いることとなる。また、この場合、波長により過剰損失が多少増加することは原理的に避けられない。
これを避けるためには、1×N広帯域・等分岐光ファイバカプラにおいても、光ファイバ間の非対称性を導入する必要がある。このため、2分岐広帯域・不等分岐光ファイバカプラの場合と同様に、同一の複数本の光ファイバのうちの1本の光ファイバに、テーパー部分を有する細径部を形成し、細径部を有しない他の同一の光ファイバとの間で融着延伸して作成するプリ延伸法(特許文献6参照)や、複数本の光ファイバに均等な張力を与えつつ互いに巻きつけて融着延伸し、光ファイバカプラの融着延伸部分のテーパーを非対称とする方法(特許文献7参照)が提案されている。
特許第2711351号公報 特公平6−040167号公報 特許第2645458号公報 特許第2958179号公報 特許第2848832号公報 米国特許第5751873号明細書 米国特許第5883992号明細書
しかしながら、特許文献1〜特許文献4に示される広帯域化方法のように、同一の光ファイバで前処理により伝搬定数に差をつける場合は、前処理工程が増えるだけでなく、この前処理工程での制御性の良否が歩留まり低下の致命的な原因となり得る。つまり、分岐比の広帯域特性は前処理量(テーパ形状、エッチング量、研磨量等)に非常に敏感であり、これを融着・延伸後に補正することはできない。
また、特許文献5等にあるように、外径、コア径、比屈折率差(カットオフ)等がもともと異なる光ファイバを用いる広帯域化方法では、厳密に特性の揃った各光ファイバを特注する必要が生じるので、経済性に難がある。また、このように厳密に特性の揃った光ファイバが入手出来たとしても、光ファイバの長さ方向には厳密にパラメータを揃えることは困難である。従って、この広帯域化方法は、光ファイバカプラの生産の際に、光ファイバカプラの特性の劣化や歩留まり低下の原因となり得る。
また、特許文献6の広帯域化方法のように、N本の光ファイバを用いて1×N広帯域光ファイバカプラを作製する場合は、前処理として幾本かの光ファイバに延伸処理を施す必要がある。また、1×N光ファイバカプラとしてN+1本の光ファイバを用いる方法では、上述したように原理的に過剰損失の波長依存性が大きくなる。また、分岐比が等分岐に限定されるので、不等分岐光ファイバカプラが作成できない等の欠点を有している。さらに、特許文献7の広帯域化方法のように、1×N光ファイバカプラで非対称テーパを導入する方法は、必要以上にテーパ長を長くする必要があり、光ファイバカプラの全長が多少長くなる欠点を有するほか、非対称性テーパ形状の制御性が問題となり、歩留まり低下の要因となる。
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、一の光ファイバの伝搬光を他の1本以上の光ファイバに結合させる光結合部を備える広帯域光ファイバカプラにおいて、一の光ファイバと他の1本以上の光ファイバとは、いずれの光ファイバにおいても互いの伝搬定数を変化させる前処理をしていない、伝搬定数が同一の光ファイバからなり、光結合部において、一の光ファイバが直線状もしくはほぼ直線状に配置され、かつ、他の1本以上の光ファイバが一の光ファイバに対して蛇行して、または、他の1本以上の光ファイバが直線状もしくはほぼ直線状に配置され、かつ、一の光ファイバが他の1本以上の光ファイバに対して蛇行して、光結合部での一の光ファイバと他の1本以上の光ファイバとの長さが互いに異なり、かつ、その光結合部の長さが、少なくとも2つの特定の波長において各光ファイバの伝搬光の光結合度がほぼ等しくなる最小の長さになっていることを特徴とする。
このような構成によれば、例えば、光結合部の一部または全部において、一の光ファイバを直線状またはほぼ直線状に配置させ、他の1本以上の光ファイバを蛇行させる等の手段により、光結合部での各光ファイバの長さを互いに異ならせることにより、光結合部での各光ファイバ間に非対称性を導入することができる。
このため、同一の光ファイバの伝搬定数に差をつけるための前処理を予め正確に行う必要なく、非対称性を導入することが可能となる。また、非対称性は、光結合部での各光ファイバの長さによって制御されるため、光結合部での各光ファイバの融着・延伸時に補正することが出来る。従って、前処理量に敏感で、融着・延伸時に伝搬定数の補正をすることが出来ない従来の光ファイバカプラに比べ、歩留まりを高くすることが出来る。
また、厳密に特性の揃った異なる光ファイバを用意する必要がないため、経済性に優れる。また、光ファイバの長さ方向に厳密にパラメータを揃える必要がないため、生産の際に光ファイバカプラの特性が劣化したりすることはなく、しかも、歩留まりの低下を招くこともない。
また、光結合部での各光ファイバの長さの差を制御することにより、50:50の等分岐比に限定されることなく、任意の分岐比を得ることが可能である。従って、1×2不等分岐・光ファイバカプラだけでなく、一般的な1×N不等分岐・光ファイバカプラへも適用可能となる。しかも、1×N広帯域・等分岐光ファイバカプラを得るためにN+1本の光ファイバを用いる従来の広帯域化法のように、過剰損失の波長依存性が原理的に大きくなる問題も生じない。さらに、一の光ファイバを信号光の入出力用に兼用することが出来るため、1本少ないN本の光ファイバを用いて1×N広帯域光ファイバカプラを得ることが出来る。また、この問題を避けるために、1×N広帯域・等分岐光ファイバカプラに非対称テーパを用いて非対称性を導入する場合のように、非対称テーパ形状の制御性が問題となり、歩留まりが低下する要因になることがない。また、非対称テーパを用いて非対称性を導入する場合のように、必要以上にテーパ長を長くすることなく、分岐比が広帯域の光ファイバカプラを得ることが出来る。
また、同一の光ファイバを用いているため、光結合部での各光ファイバの長さを互いに異ならせることにより、各光ファイバ間で伝搬定数に差をつける等することなく、容易に、光結合部に非対称性を導入することができる。
このため、同一の光ファイバを用いることにより、容易に、分岐比が広帯域の上述した光ファイバカプラを得ることが出来る。
また、本発明は、複数本の光ファイバを互いに整列させる整列工程と、この整列工程で整列された各光ファイバを融着・延伸して光結合部を形成する融着延伸工程とを含む広帯域光ファイバカプラの製造方法において、複数本の光ファイバは、いずれの光ファイバにおいても互いの伝搬定数を変化させる前処理をしていない、伝搬定数が同一の光ファイバからなり、整列工程が、少なくとも1本の光ファイバを直線状またはほぼ直線状に配置し、その周囲に他の光ファイバを1本以上巻き付ける巻付工程を備えることを特徴とする。
このような構成によれば、直線状またはほぼ直線状の光ファイバに対する他の光ファイバの巻付量を変更することにより、光結合部での各光ファイバの長さの差を調整できる。
このため、直線状またはほぼ直線状の光ファイバに対する他の光ファイバの巻付量を変更することにより、各光ファイバ間の非対称性を制御して、分岐比が所望の広帯域特性を有する光ファイバカプラを容易に得ることが出来る。
また、本発明は、巻付工程において、複数本の光ファイバの全てに張力を与え、かつ、直線状またはほぼ直線状に配置された光ファイバに与える張力が、その光ファイバに巻き付ける他の光ファイバに与える張力よりも大きいことを特徴とする。
このような構成によれば、より大きな張力が与えられた直線状またはほぼ直線状の光ファイバの張力を利用し、その光ファイバの周りに小さな張力が与えられた他の光ファイバを巻き付けることで、直線状またはほぼ直線状の光ファイバが、その周りに巻き付ける他の光ファイバから受ける力によって曲がるのを最小限に抑えることが可能となる。
このため、直線状またはほぼ直線状の光ファイバの周りに他の光ファイバを巻き付けるときに、直線状またはほぼ直線状の光ファイバが曲がって他の光ファイバの巻付量が一定でなくなることが防止される。つまり、直線状またはほぼ直線状の光ファイバに他の光ファイバが巻き付く量は一定になり、再現性のある巻状態を容易に実現することが可能になる。従って、分岐比の広帯域特性が揃った光ファイバカプラを容易に製造することが出来、歩留まりは高まる。
また、本発明は、複数本の光ファイバを互いに整列させる整列機構と、この整列機構で整列された各光ファイバを融着・延伸して光結合部を形成する融着延伸機構とを備える広帯域光ファイバカプラの製造装置において、直線状またはほぼ直線状に配置された少なくとも1本の光ファイバの周囲に他の光ファイバを1本以上巻き付ける巻付機構と、複数本の光ファイバの全てに張力を与え、かつ、直線状またはほぼ直線状に配置された光ファイバに与える張力をその光ファイバに巻き付ける光ファイバに与える張力より大きく保つ張力付与機構とを備えていることを特徴とする。
このような構成によれば、巻付機構により、直線状またはほぼ直線状の光ファイバの周囲に他の光ファイバが巻き付けられる。この巻き付けの際、張力付与機構によって各光ファイバに所定の張力が与えられることにより、直線状またはほぼ直線状の光ファイバがその周りに巻き付ける他の光ファイバから受ける力によって曲がることなく、他の光ファイバが直線状またはほぼ直線状の光ファイバに巻き付く量は一定になる。
このため、光結合部における光ファイバ間の非対称性をそれらの長さの差によって容易に制御することが出来る広帯域光ファイバカプラの製造装置が提供される。
このような本発明によれば、上記のように、同一の光ファイバの伝搬定数に差をつけるための前処理を予め正確に行う必要なく、また、厳密に特性の揃った異なる光ファイバを用意することなく、光ファイバカプラの光結合部に非対称性を導入して、光分岐比の波長依存性が少なく信頼性の高い広帯域光ファイバカプラを低価格で得ることが可能となる。また、任意の分岐比の1×N光ファイバカプラをN本の光ファイバで実現することが出来る。
また、一の光ファイバに対する他の光ファイバの巻付量を変更することにより、各光ファイバ間の非対称性を制御して、分岐比が所望の広帯域特性を有する光ファイバカプラを生産性よく製造することが出来る、広帯域光ファイバカプラの製造方法およびその製造装置が提供される。
次に、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態による光ファイバカプラ光結合部周囲2aの斜視図である。
この光ファイバカプラは、光ファイバ1aと光ファイバ1bとの間で伝搬光を分岐または結合する、融着延伸型1×2広帯域光ファイバカプラである。両光ファイバ1a,1bは、それぞれ標準的に市販されている同一の単一モード光ファイバである。両光ファイバ1a,1bは、外径や導波路パラメータが互いに異なるものでなく、ともにプリ延伸やエッチング等の異方性を導入するための前処理を施してはいない。各光ファイバ1a,1bには、例えば波長1.31μmや波長1.55μmといった複数の波長の信号光が伝搬し、波長多重通信が行われる。
この光ファイバカプラは、光ファイバ1aと光ファイバ1bとの間で伝搬光を分岐または結合するための光結合部21を備える。光結合部21は、図2に示すように、直線状またはほぼ直線状に配置された光ファイバ1aに対して、光ファイバ1bの一部を巻き付けて蛇行した状態で、融着延伸して構成されている。従って、光結合部21での各光ファイバ1a,1bの長さは互いに異なっている。光ファイバ1aに対する光ファイバ1bの巻付量は、光結合部21での両光ファイバ1a,1bの長さの差が、波長多重通信で使用される2つの特定の波長1.31μmおよび1.55μmにおいて、各光ファイバ1a,1bの伝搬光の結合度がほぼ等しくなるように調整されている。
図3は、光ファイバカプラの波長特性を示すグラフであり、同グラフの横軸は信号光の波長[μm]、縦軸は信号路の挿入損失[dB]を表している。また、特性線Aは光ファイバ1aから光信号を入力した場合の光ファイバ1aの出力波長特性、特性線Bは光ファイバ1bの出力波長特性を表している。同グラフに示すように、光ファイバカプラは、波長1.31μmと1.55μmの両波長での分岐比が挿入損失約3dBでほぼ50:50となっており、これら両波長で使用可能な、広帯域な等分岐特性が備えられている。この分岐比は、光ファイバ1aに対する光ファイバ1bの巻付量を変えることにより、歩留まりよく制御することが可能であり、等分岐光ファイバカプラ以外でも、例えば、波長1.31μmと1.55μmの両波長で使用可能な、分岐比95:5の1×2不等分岐光ファイバカプラ(5%タップカプラ)も容易に制作することが出来る。
次に、この光ファイバカプラを製造する光ファイバカプラ製造装置について説明する。
図4(a)および(b)は、光ファイバカプラ製造装置のファイバ保持機構および加熱機構3の平面図および側面図である。
光ファイバカプラ製造装置のファイバ保持機構および加熱機構3は、一対の延伸ステージ4a,4bを備えており、この延伸ステージ4a,4b間には、マイクロトーチ5を載置したトーチ用ステージ6が設けられている。マイクロトーチ5は、光ファイバ1a,1bの光結合部21を加熱するためのものであり、トーチ用ステージ6によって延伸ステージ4a,4b間を移動できるようになっている。延伸ステージ4a,4bは、加熱して溶融した光ファイバ1a,1bを延伸するためのものであり、所定の直線軌道上を進退し得るように構成されている。延伸ステージ4a,4bは、マイクロトーチ5と共に、光ファイバ1aと光ファイバ1aに巻き付けられた光ファイバ1bとを融着延伸して光結合部21を形成する加熱延伸機構を構成している。
また、延伸ステージ4a上の端部には、光ファイバ1a,1bのそれぞれの一端を把持する光ファイバクランプ7が設けられており、双方の延伸ステージ4a,4b上には、光ファイバホルダー8a,8bと、光ファイバ1aに対して光ファイバ1bを巻き付けるファイバ回転機構9a,9bとが設けられている。また、延伸ステージ4b上には光ファイバガイド10a,10bが設けられている。光ファイバガイド10a,10bは、延伸ステージ4b上に各光ファイバ1a,1bごとに回転自在に配設されたローラから構成されている。さらに、延伸ステージ4bの右側部には、光ファイバガイド10a,10bと対になって光ファイバ支持円柱11a,11bが設けられており、光ファイバ支持円柱11a,11bに支持された光ファイバ1a,1bには錘12a,12bが固定されている。
本実施形態では、錘12aの重量を30g、錘12bの重量を25gとした。錘12a,12bは上述した光ファイバクランプ7と共に、直線状またはほぼ直線状に配置された光ファイバ1aに与える張力を、その光ファイバ1aに巻き付ける光ファイバ1bに与える張力より大きく保つ張力付与機構を構成している。
錘12a,12bによって生じる張力は光ファイバクランプ7から右側に位置する光ファイバ1a,1bに円滑に伝わる。光ファイバ支持円柱11a,11bは、錘12a,12bによる張力の方向を変えて光ファイバ1a,1bに張力を円滑に伝えると共に、光ファイバ1a,1bに過度の曲がりを生じさせないローラから構成されている。光ファイバクランプ7、光ファイバ支持台10a,10bおよび光ファイバ支持円柱11a,11bは、光ファイバ1a,1bを延伸ステージ4a,4b上に互いに整列させる整列機構を構成している。
光ファイバホルダー8a,8bは、光ファイバ1a,1bの融着延伸作業の際に光ファイバ1a,1bを把持するためのものであり、延伸ステージ4a,4bの中央側に設けられている。
ファイバ回転機構9aは、延伸ステージ4aのほぼ中央部に設けられている。ファイバ回転機構9bは、延伸ステージ4bのほぼ中央部に設けられている。これらファイバ回転機構9a,9bは、図5(a),(b)に示すように、それぞれ一対の基体91と、これら各基体91に回転自在に保持された一対の円柱状の回転体92とから構成されている。対向して配置された各回転体92は、図示しない回転駆動機構により、互いに逆方向に回転動作させられる。回転体92は、図に示すように、回転動作の中心となる軸心と一致する位置に光ファイバ1aが挿通される基準挿通孔93が形成されており、軸心から所定距離離間した位置に軸心に沿って開口した光ファイバ1bが挿通される回転挿通孔94が形成されている。
上記の光ファイバホルダー8a,8bおよびファイバ回転機構9a,9bは、光ファイバ1aの周囲に他の光ファイバ1bを巻きつける巻付機構を構成している。
次に、この製造装置を用いた光ファイバカプラの製造方法について説明する。
まず、光結合部21となる光ファイバ1a,1bの被覆を除去し、その部分が延伸ステージ4a,4bの中央に位置するように配置し、そのまま、光ファイバ1a,1bの一端を光ファイバクランプ7で把持する。次に、図5(a)に示すように、一の光ファイバ1aをファイバ回転機構9a,9bを構成する回転体92の基準挿通孔93に挿通し、他の光ファイバ1bを回転体92の回転挿通孔94に挿通する。そして、光ファイバ支持台10a,10bおよび光ファイバ支持円柱11a,11bにより、光ファイバ1a,1bを延伸ステージ4a,4b上に支持する。これにより、図4に示すように、2本の光ファイバ1a,1bを延伸ステージ4a,4b上に整列させる。光ファイバホルダー8a,8bはこの時点では開放しておき、光ファイバクランプ7から右側に位置する光ファイバ1a,1bに錘12a,12bから伝わる張力が掛かる状態としておく。
その後、各光ファイバ1a,1bの他端にそれぞれ錘12a,12bを取り付ける。錘12a,12bを取り付けると、光ファイバガイド10a,10bおよび光ファイバ支持円柱11a,11bを構成する各ローラを介して、錘12a,12bによる張力が各光ファイバ1a,1bに円滑に伝わり、各光ファイバ1a,1bに互いに異なる張力が掛かる。
この状態で、両ファイバ回転機構9a,9bの回転体92をほぼ同時に反対方向に、または一方のみを回転させる。回転体92の基準挿通孔93に挿通された光ファイバ1aは、回転体92の回転軸の中心に配置されているので、回転体92を回転させた場合でも公転しない。一方、回転挿通孔94に挿通された光ファイバ1bは、回転体92の回転動作に従って、回転体92の軸心を中心として回転する。この回転に伴い、図5(b)に示すように、両ファイバ回転機構9a,9b間に位置する光結合部21の光ファイバ1bの被覆除去部が、直線状またはほぼ直線状に配置された光結合部21の光ファイバ1aの被覆除去部に巻き付く。この際、光ファイバ1aに加わる張力は光ファイバ1bに加わる張力よりも大きいので、光ファイバ1bの公転により、光ファイバ1aが曲がることはない。
本実施形態では、ファイバ回転機構9bの回転体92を約260度回転させた。この回転量は、光ファイバ1a,1bの伝搬光の最大結合度と回転角との関係より求めた値であるが、この値は、光ファイバの種類、製造装置の構造(光ファイバ回転機構の構造と取付位置、トーチ構造等)と、作成条件(光ファイバに与える張力、融着度、延伸形状等)等に大きく依存する相対的な値であり、絶対的な値ではない。なお、本実施形態では、ファイバ回転機構9bのみを回転させたが、特に回転量が多い場合等は、ファイバ回転機構9a,9bの両方を逆方向に回転させてもよい。
続いて、光ファイバホルダー8a,8bで各光ファイバ1a,1bを把持して保持する。そして、マイクロトーチ5を点火した後にトーチ用ステージ6によりマイクロトーチ5を所定の位置に移動させ、光結合部21の被覆除去部を互いに加熱融着した後、延伸ステージ4a,4bを左右に緩やかに引き離しながら加熱延伸し、所定のところで加熱延伸を止めて光結合部21を形成した。次に、この光結合部21の両側を基板に固定した後に、全体を製造装置から外し、パッケージをして、光ファイバカプラを完成させた。
図6は、光ファイバ1a,1bのこの加熱延伸時間(横軸)と、光ファイバ1aから入力された波長1.31μmおよび1.55μmの信号光についてのそれぞれの光結合度(縦軸)との関係を示すグラフである。本実施形態では、両波長での光結合度が最初に一致する点(図中のA点)での特性が得られる時間で、加熱延伸を停止した。従って、このようにして融着延伸されて形成された光結合部21での両光ファイバ1a,1bの長さの差は、波長多重通信で使用される2つの特定の波長1.31μmおよび1.55μmにおいて、各光ファイバ1a,1bの伝搬光の結合度がほぼ等しくなる最小の長さに設定されている。
以上説明した本実施形態による光ファイバカプラによれば、光ファイバ1bを直線状またはほぼ直線状に配置された光ファイバ1aに対して巻き付け、光結合部21での各光ファイバ1a,1bの長さを互いに異ならせるだけで、光結合部21での各光ファイバ1a,1b間に非対称性を持たせることができる。
このため、従来のように、同一の光ファイバの伝搬定数に差をつけるための前処理を予め正確に行う必要なく、非対称性を導入することが可能となる。また、非対称性は、光結合部21での各光ファイバ1a,1bの長さによって制御されるため、光結合部21での各光ファイバ1a,1bの融着・延伸時に補正することが出来る。従って、前処理量に敏感で、融着・延伸時に伝搬定数の補正をすることが出来ない従来の光ファイバカプラに比べ、本実施形態による光ファイバカプラによれば、歩留まりを高くすることが出来る。
また、本実施形態による光ファイバカプラは、従来のように、厳密に特性の揃った異なる光ファイバを用意する必要がないため、経済性に優れる。また、光ファイバ1a,1bの長さ方向に厳密にパラメータを揃える必要がないため、生産の際に光ファイバカプラの特性が劣化したりすることはなく、しかも、歩留まりの低下を招くこともない。
また、光ファイバ1aに対する光ファイバ1bの巻付量を変更して、光結合部21での各光ファイバ1a,1bの長さの差を制御することにより、50:50の等分岐比に限定されることなく、任意の分岐比の光ファイバカプラを得ることが可能である。また、1×2不等分岐・光ファイバカプラだけでなく、一般的な1×N不等分岐・光ファイバカプラも同様にして制作することが可能である。しかも、1×N広帯域・等分岐光ファイバカプラを得るためにN+1本の光ファイバを用いる従来の広帯域化法のように、過剰損失の波長依存性が原理的に大きくなる問題も生じず、1本少ないN本の光ファイバを用いて1×N広帯域光ファイバカプラを得ることが出来る。また、この問題を避けるために、1×N広帯域・等分岐光ファイバカプラに非対称テーパを用いて非対称性を導入する場合のように、非対称テーパ形状の制御性が問題となり、歩留まり低下の要因になることもない。
また、本実施形態による光ファイバカプラは、1×N広帯域・等分岐光ファイバカプラに非対称テーパを用いて非対称性を導入する場合のように、分岐比の広帯域化のために長尺化することはなく、歩留まり低下の要因になることもない。従って、必要以上にテーパ長を長くすることなく、分岐比が広帯域の光ファイバカプラを得ることが出来る。
また、本実施形態では、光ファイバカプラが同一の光ファイバ1a,1bからなる場合について説明したが、必ずしも同一の光ファイバによって構成する必要はなく、異なる光ファイバを用いて光ファイバカプラを構成するようにしてもよい。すなわち、同一の光ファイバ1a,1bおよび異なる光ファイバのいずれを用いた場合にも、光結合部21での各光ファイバの長さを互いに異ならせることにより、各光ファイバ間で伝搬定数に差をつけることなく、容易に、光結合部21に非対称性を導入することができる。このため、異なる光ファイバを用いた場合にも、容易に、分岐比が広帯域の上述した光ファイバカプラを得ることが出来る。
また、本実施形態による光ファイバカプラの製造方法は、上述したように、光ファイバ1a,1bを互いに整列させる整列工程が、1本の光ファイバ1aを直線状またはほぼ直線状に配置し、その周囲にその光ファイバ1aと同一の他の光ファイバ1bを巻き付けて、光結合部21での各光ファイバ1a,1bの長さを互いに異ならせる巻付工程を備えている。従って、光ファイバ1a,1bに取り付ける錘12a,12bの重量やファイバ回転機構9a,9bを構成する回転体92の回転量を調整して、光ファイバ1aに対する光ファイバ1bの巻付量を変更することにより、光結合部21での各光ファイバ1a,1bの長さの差を調整できる。このため、光ファイバ1aに対する光ファイバ1bの巻付量を変更することにより、各光ファイバ1a,1b間の非対称性を制御して、分岐比が所望の広帯域特性を有する光ファイバカプラを容易に得ることが出来る。
また、本実施形態による光ファイバカプラの製造方法では、上述したように、巻付工程が、直線状またはほぼ直線状に配置された光ファイバ1aに、その光ファイバ1aに巻き付ける光ファイバ1bに与える張力よりも大きな張力を与えて行われる。従って、大きな張力が与えられた光ファイバ1aの張力を利用し、その光ファイバ1aの周りに小さな張力が与えられた光ファイバ1bを巻き付けることで、光ファイバ1aが、その周りに巻き付ける光ファイバ1bから受ける応力によって曲がることはない。このため、光ファイバ1aの周りに光ファイバ1bを巻き付けるときに、光ファイバ1aが曲がって光ファイバ1bの巻付量が一定でなくなることが防止される。つまり、光ファイバ1aに光ファイバ1bが巻き付く量は一定になり、再現性のある巻状態を容易に実現することが可能になる。従って、分岐比の広帯域特性が揃った光ファイバカプラを容易に製造することが出来、歩留まりは高まる。
また、本実施形態による光ファイバカプラの製造装置は、上述したように、直線状またはほぼ直線状に配置された光ファイバ1aの周囲にその光ファイバ1aと同一の光ファイバ1bを巻き付ける巻付機構と、光ファイバ1aに与える張力をその光ファイバ1aに巻き付ける光ファイバ1bに与える張力より大きく保つ張力付与機構とを備えている。従って、巻付機構により、光ファイバ1aの周囲に光ファイバ1bが巻き付けられる際、張力付与機構によって各光ファイバ1a,1bに所定の張力が与えられることにより、光ファイバ1aがその周りに巻き付ける光ファイバ1bから受ける力によって曲がることなく、光ファイバ1bが光ファイバ1aに巻き付く量は一定になる。このため、光結合部21における光ファイバ1a,1b間の非対称性をそれらの長さの差によって容易に制御することが出来る光ファイバカプラの製造装置が提供される。
次に、本発明による光ファイバカプラの第2の実施形態について説明する。
図7は本実施形態による融着延伸型1×4広帯域光ファイバカプラ光結合部周囲2bの斜視図である。
光ファイバカプラ光結合部周囲2bは、中心に位置する直線状の光ファイバ1aが入出力兼用光ファイバで、それに螺旋状に巻き付いている他の光ファイバ1b,1c,1dは出力専用光ファイバである。これら各光ファイバ1a〜1dも、第1の実施形態と同様、それぞれ標準的に市販されている同一の単一モード光ファイバである。なお、この第2の実施形態でも、同一でない異なる光ファイバを用いて光ファイバカプラを構成してもよい。光ファイバカプラ結合部22は、図8に示すように、直線状またはほぼ直線状に配置された光ファイバ1aに対して、他の3本の光ファイバ1b,1c,1dの一部を巻きつけた状態で、融着延伸して構成される。従って、光結合部22での光ファイバ1aと他の光ファイバ1c〜1dとの長さは互いに異なっている。光ファイバ1aに対する光ファイバ1b,1c,1dの巻付量は、光光結合部22での光ファイバ1aと他の光ファイバ1c〜1dとの長さの差が、波長多重通信で使用される2つの特定の波長1.31μmおよび1.55μmにおいて、各光ファイバ1a,1b,1c,1dの伝搬光の結合度がほぼ等しくなる長さに調整されている。
この光ファイバカプラを製造する装置は、第1実施形態の光ファイバカプラ製造装置とほぼ同様の構成を有するが、光ファイバ回転機構9a,9bには、回転中心に開口した基準挿通孔93以外に、回転中心に対称に3つの回転挿通孔94が開口しており、計4つの孔のそれぞれに光ファイバ1a,1b,1c,1dが挿通する構造となっている。また、光ファイバ1a〜1dに張力を与える機構としては、互いに独立した4つの機構(ファイバガイド10a〜10d、光ファイバ支持円柱11a〜11d)が備えられており、錘12aの他に3つの錘12b〜12dが、各光ファイバ1a,1b,1c,1dの端部に装着される。この場合、光ファイバ1aに加わる錘12aの重量は例えば約35g、他の光ファイバ1b〜1dに加わる錘12b〜12dの重量は例えばそれぞれ約20gとした。このように光ファイバ1aに与える張力は他の3本の光ファイバ1b,1c,1dに与える張力よりも大きいため、本実施形態でも、光ファイバ1aの直進性は歩留まり良く保障される。
このような張力が与えられながら、光ファイバ1b,1c,1dは、光ファイバ1aに対して図8に示すように螺旋状に巻き付けられるが、本実施形態では、光ファイバ回転機構9a,9bを互いに逆方向に270度ずつ回転させて巻き付けた。この回転量も、第1実施形態の場合と同様に、各光ファイバ1a,1b,1c,1dの長さの差が、回転角と最大結合度との関係より、各光ファイバ1a,1b,1c,1dの伝搬光の光結合度がほぼ等しくなる値になっている。この値も、光ファイバの種類、製造装置の構造、作成条件等に大きく依存する相対的な値であり、絶対的な値ではないため、適宜変更して差し支えない。また、回転角の最適値は分岐数に大きく依存する値であり、例えば、1×8光ファイバカプラの場合には回転条件は全く異なることは当然である。また、光ファイバ回転機構9a,9bの回転量は必ずしも等しい必要はなく、回転機構9aまたは回転機構9bのみを回転させてもよい。
図9は光ファイバカプラの光結合部の断面構造を示す図である。
同図では、出力専用光ファイバ1b,1c,1dの位置が入力出力兼用光ファイバ1aに対して対称な位置に配置されているが、全ての光ファイバ1a,1b,1c,1dに与える張力を一定にした場合、この出力専用光ファイバ1b,1c,1d間の相対位置の僅かなズレが中心に位置する光ファイバ1aの蛇行の要因となる。従って、この場合は光結合部22における構造の非対称性を精度良く制御することが難しく、光結合部22の非対称性により広帯域分岐特性を歩留まり良く得ることは困難となる。
これに対して、本実施形態では、光ファイバ1aに加わる張力が他の光ファイバ1b,1c,1dに加わる張力よりも大きいので、光ファイバ1b,1c,1dの公転により、光ファイバ1aが蛇行することはない。このように、光ファイバ1b,1c,1dを巻き付ける方法として、複数本の光ファイバ1a,1b,1c,1dに異なった重量の錘12a,12b,12c,12dを付けて、重い錘12aを付けた光ファイバ1aの張力を利用し、光ファイバ1b,1c,1dを捻ることで、軽い錘12b,12c,12dを付けた光ファイバ1b,1c,1dが重い錘12aを付けた光ファイバ1aの周りに巻き付く原理を利用した巻き付け方法により、再現性のある巻状態が容易に実現可能となり、分岐比を容易に再現することが可能となる。このように、中心におかれる光ファイバ1aに掛ける張力を大きくすることで光ファイバ1b,1c,1dの巻付量が一定となり、歩留まりが向上し、再現性に富むようになる。
図9に示した光ファイバカプラの光結合部の断面構造は、特許文献7に開示された、非対称テーパによって広帯域化された1×4光ファイバカプラの構成(同文献の図1参照)と類似している。しかし、同文献のコラム4の55〜57行や、コラム7の61〜63行に明記されているように、4本の光ファイバに印加される張力は全て同一であるため、同文献には明記されていないが、中心の光ファイバは長さ方向において蛇行している可能性が高くなる。つまり、図8に示すように中心の光ファイバ1aが直線状に保たれる確率は、大幅に低下すると考えられる。従って、この場合は、光ファイバ1aと光ファイバ1b〜1dとの間の非対称性は保障されない。そのために同文献の光ファイバカプラでは、テーパに非対称性を導入して特性の広帯域を確保している。同文献に示される光ファイバ回転機構は、テーパを形成するために4本の光ファイバを互いに単に接触させるためだけに用いられているのであり、同文献では、光ファイバ間に異なる張力を与えて非対称性を導入する意図は伺えない。
図10は、本実施形態により作製したパッケージ後の光ファイバカプラの波長特性を示すグラフであり、同グラフの横軸は信号光の波長[μm]、縦軸は信号路の挿入損失[dB]を表している。また、特性線Aは光ファイバ1aについての出力波長特性、特性線B,C,Dはそれぞれ光ファイバ1b,1c,1dについての出力波長特性を表している。同グラフに示すように、光ファイバカプラ2bは、波長1.31μmと1.55μmの両波長での分岐比が挿入損失約6dBでほぼ等分岐となっており、これら両波長で使用可能な、広帯域な等分岐特性が備えられている。この分岐比は、光ファイバ1aに対する光ファイバ1b〜1dの巻付量を変えることにより、歩留まりよく制御することが可能であり、所望の分岐比の1×4不等分岐光ファイバカプラを容易に制作することが出来る。
従って、本実施形態による光ファイバカプラによっても、従来の融着延伸型の光ファイバカプラのように、非対称性を導入するためのプリ延伸、エッチング等の前処理や、複数種類の光ファイバを用いることなく、4本の同じ光ファイバ1a,1b,1c,1dを用い、光結合部22の形成時に非対称な配置を導入することにより広帯域な等分岐特性を得ることができる。
このようにして作成された光ファイバカプラでも、上述したように、波長1.31μmと1.55μmの両波長で利用可能な、広帯域な等分岐特性が得られ、光ファイバ1bの巻付量を変えることにより、歩留まりよく分岐比を制御することが可能である。
なお、上記各実施形態では光ファイバ1a〜1dに荷重を与えるために錘12a〜12dを使用したが、他にバネ力、磁力等を利用してもよい。また、加熱源として、マイクロトーチ5を使用したが、その他にセラミック等を用いた電熱ヒータ、放電、COレーザ等の加熱方法を用いても良い。
上記実施形態においては、本発明による光ファイバカプラを1×2光ファイバカプラおよび1×4光ファイバカプラに適用した場合について説明したが、例えば、1×3光ファイバカプラ、1×8光ファイバカプラ等の他の一般的な1×N光ファイバカプラに本発明を適用することも可能である。このような光ファイバカプラに本発明を適用した場合においても、上記実施形態と同様な作用効果が奏される。
本発明の一実施形態による光ファイバカプラの光結合部周囲の構成の概略を示す斜視図である。 図1の光ファイバカプラの融着延伸前における光ファイバの巻付状態を示す側面図である。 図1に示す光ファイバカプラの波長と挿入損失との関係を示すグラフである。 本発明の一実施形態による光ファイバカプラ製造装置のファイバ保持機構および加熱機構の構成の概略を示す平面図および側面図である。 図4に示す光ファイバカプラ製造装置を構成するファイバ回転機構の巻付前および巻付時の概略を示す斜視図である。 図1に示す光ファイバカプラの光結合部の融着延伸時間と各光ファイバの光結合度との関係を示すグラフである。 本発明の他の実施形態による光ファイバカプラの光結合部周囲の構成の概略を示す斜視図である。 図7に示す光ファイバカプラの融着延伸前における光ファイバの巻付状態を示す側面図である。 図7に示す光ファイバカプラの光結合部の加熱延伸前における断面図である。 図7に示す光ファイバカプラの波長と挿入損失との関係を示すグラフである。
符号の説明
1a,1b,1c,1d…光ファイバ
2a,2b…光ファイバカプラ光結合部周囲
21,22…光結合部
3…光ファイバカプラ製造装置のファイバ保持機構および加熱機構
4a,4b…延伸ステージ
5…マイクロトーチ
6…トーチ用ステージ
7…光ファイバクランプ
8a,8b…光ファイバホルダー
9a,9b…ファイバ回転機構
10a,10b…光ファイバガイド
11a,11b…光ファイバ支持円柱
12a,12b…錘
91…基体
92…回転体
93…基準挿通孔
94…回転挿通孔

Claims (4)

  1. 一の光ファイバの伝搬光を他の1本以上の光ファイバに結合させる光結合部を備える広帯域光ファイバカプラにおいて、
    前記一の光ファイバと前記他の1本以上の光ファイバとは、いずれの光ファイバにおいても互いの伝搬定数を変化させる前処理をしていない、伝搬定数が同一の光ファイバからなり、前記光結合部において、前記一の光ファイバが直線状もしくはほぼ直線状に配置され、かつ、前記他の1本以上の光ファイバが前記一の光ファイバに対して蛇行して、または、前記他の1本以上の光ファイバが直線状もしくはほぼ直線状に配置され、かつ、前記一の光ファイバが前記他の1本以上の光ファイバに対して蛇行して、前記光結合部での前記一の光ファイバと前記他の1本以上の光ファイバとの長さが互いに異なり、かつ、その光結合部の長さが、少なくとも2つの特定の波長において前記各光ファイバの伝搬光の光結合度がほぼ等しくなる最小の長さになっていることを特徴とする広帯域光ファイバカプラ。
  2. 複数本の光ファイバを互いに整列させる整列工程と、この整列工程で整列された前記各光ファイバを融着・延伸して光結合部を形成する融着延伸工程とを含む広帯域光ファイバカプラの製造方法において、
    前記複数本の光ファイバは、いずれの光ファイバにおいても互いの伝搬定数を変化させる前処理をしていない、伝搬定数が同一の光ファイバからなり、前記整列工程は、前記光結合部において、少なくとも1本の光ファイバを直線状またはほぼ直線状に配置し、その周囲に他の光ファイバを1本以上巻き付ける巻付工程を備えることを特徴とする広帯域光ファイバカプラの製造方法。
  3. 前記巻付工程において、前記複数本の光ファイバの全てに張力を与え、かつ、直線状またはほぼ直線状に配置された前記光ファイバに与える張力が、その光ファイバに巻き付ける他の光ファイバに与える張力よりも大きいことを特徴とする請求項に記載の広帯域光ファイバカプラの製造方法。
  4. 複数本の光ファイバを互いに整列させる整列機構と、この整列機構で整列された前記各光ファイバを融着・延伸して光結合部を形成する融着延伸機構とを備える広帯域光ファイバカプラの製造装置において、
    直線状またはほぼ直線状に配置された少なくとも1本の光ファイバの周囲に他の光ファイバを1本以上巻き付ける巻付機構と、前記複数本の光ファイバの全てに張力を与え、かつ、直線状またはほぼ直線状に配置された前記光ファイバに与える張力をその光ファイバに巻き付ける前記光ファイバに与える張力より大きく保つ張力付与機構とを備えていることを特徴とする広帯域光ファイバカプラの製造装置。
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