JP3974005B2 - 車載用電子機器の前面パネル装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、本体装置の前面に配置された可動ノーズがスライド部材の往復移動に連動して回動する車載用電子機器の前面パネル装置に係り、特に、該前面パネル装置に備えられる可動ノーズの駆動機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、液晶ディスプレイ等の表示画面を有する車載用電子機器の普及が目覚ましいが、例えばMDプレーヤやCDプレーヤ等の車載用電子機器においては、機器本体の前面に固定された前面パネルにMDやCD等の媒体を挿入/排出するための挿入口を開設する必要があるため、前面パネルに挿入口と共に表示画面や各種操作キーを配設すると、挿入口や各種操作キーを配設するスペースを確保するために表示画面を大きくできないという難点がある。
【0003】
これに対して、例えば特開2000−76838号公報に開示された車載用電子機器の前面パネル装置は、本体装置の前面に固定された前面パネルに媒体の挿入口を設けると共に、前面パネルを覆う可動ノーズ側に表示画面と各種操作キーを配設し、この可動ノーズをスライド部材によって回動することにより、挿入口を選択的に開閉するように構成されている。前記スライド部材はモータを駆動源として本体装置の前後方向に移動可能であり、可動ノーズの下部両側面に設けられた支軸はスライド部材の先端に回転可能に連結されている。この支軸には捩じりコイルばねが巻装されており、捩じりコイルばねの両腕部は可動ノーズとスライド部材に掛止されている。また、本体装置の開口の内部両側壁には上下方向へ延びるガイド溝が形成されており、可動ノーズの上部両側面に設けられたガイドピンはガイド溝に移動可能に係合している。
【0004】
このように概略構成された前面パネル装置において、スライド部材が後退位置に引き込まれている場合、可動ノーズは起立した状態にあり、前面パネルに開設された挿入口は可動ノーズによって覆い隠されている。このとき、捩じりコイルばねの両腕部の開放角度は最も拡がっており、可動ノーズはこの捩じりコイルばねによって前面パネルに押し付けられているため、可動ノーズの起立時に外部から振動が作用しても、捩じりコイルばねによってラットルノイズと称せられる異音の発生を抑制することができる。そして、かかる可動ノーズの起立状態でモータを一方向へ回転駆動してスライド部材を後退位置から前進位置へ移動させると、可動ノーズの下部両側面に設けられた一対の支軸はスライド部材と共に前進するが、可動ノーズの上部両側面に設けられた一対のガイドピンはガイド溝に沿って上端から下端方向へ移動するため、可動ノーズは支軸を回動支点として回動しながらその下部側が手前側にせり出した全開(水平)状態となり、前面パネルに開設された挿入口が露出される。その際、可動ノーズの回動に伴って捩じりコイルばねの両腕部の開放角度が狭められてばね荷重を次第に増していき、可動ノーズの全開状態で捩じりコイルばねのばね荷重が最大となる。
【0005】
一方、可動ノーズの全開状態でモータを他方向へ回転駆動してスライド部材を前進位置から後退位置へ移動させると、上記とは逆に、ガイドピンはガイド溝に沿って下端から上端方向へ移動し、可動ノーズは支軸を回動支点として回動しながらその下部側が引き込まれて起立状態となり、挿入口は再び可動ノーズによって覆い隠されている。その際、スライド部材は全開状態にある可動ノーズを起立させるのに大きな力を要するが、十分に撓められた捩じりコイルばねの反力が可動ノーズを起立させる方向へ作用しているため、可動ノーズの起立方向への回動が捩じりコイルばねによって補足され、可動ノーズを起立方向へスムーズに回動させることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述した従来の前面パネル装置では、可動ノーズが起立状態から全開方向へ回動し始めると、捩じりコイルばねの両腕部の開放角度が次第に狭められていき、捩じりコイルばねのばね荷重は可動ノーズの起立時に最小で可動ノーズの全開時に最大となる。すなわち、可動ノーズが起立状態から全開方向へ回動する中間位置において、可動ノーズの起立状態で設定された捩じりコイルばねのばね荷重が次第に増加していくため、スライド部材をスムーズに前進させるのに大きな駆動力が必要となるばかりでなく、スライド部材のガイド機構等に大きな機械的強度が必要となる。
【0007】
このように、前述した従来の前面パネル装置では、捩じりコイルばねのばね荷重が可動ノーズの回動角度に応じて比例的に変化するため、例えば、可動ノーズの起立時における捩じりコイルばねの両腕部の開放角度をある初期値に設定し、この時の捩じりコイルばねのばね荷重によってラットルノイズを確実に抑制できるようにした場合、可動ノーズの中間位置でコイルばねのばね荷重が不所望に大きくなってしまい、駆動力の大きな大型モータを使用しないとスライド部材をスムーズに前進させることができなくなる。そこで、駆動力の小さな小型モータを用いてもスライド部材をスムーズに前進できるようにするために、可動ノーズの起立時における捩じりコイルばねの両腕部の開放角度を比較的大きな初期値に設定すること考えられるが、この場合、可動ノーズの起立時で捩じりコイルばねのばね荷重が不足してラットルノイズを確実に抑制できなくなり、また、可動ノーズの回動に伴う捩じりコイルばねの両腕部の開閉角度が著しく広くなるため、捩じりコイルばねの寿命が低下するという問題が発生する。
【0008】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、可動ノーズの起立時のラットルノイズを確実に抑制しつつ、小さな駆動力で可動ノーズをスムーズに回動させることができる車載用電子機器の前面パネル装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前後方向へ駆動されるスライド部材と協働して可動ノーズを回動させる駆動アームに軸部を設け、この軸部を本体装置の前後方向へ案内するガイド孔に、可動ノーズを起立方向へ付勢する捩じりコイルばねの両腕部の開放角度を拡げることが可能なカム部を形成することとする。このように構成すると、可動ノーズを起立位置から全開方向へ回動する途中位置で捩じりコイルばねのばね加重が比例的に増大するのを防止できるため、起立状態にある可動ノーズのラットルノイズ防止を考慮して捩じりコイルばねのばね加重を設定したとしても、この可動ノーズを全開位置まで比較的小さな駆動力でスムーズに回動させることができると共に、全開位置で最大となった捩じりコイルばねのばね加重によって可動ノーズを起立位置までスムーズに回動させることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明による車載用電子機器の前面パネル装置では、本体装置の前面に配置された可動ノーズと、この可動ノーズの両側面に設けられた一対の下部支点に回動自在に連結されたスライド部材と、このスライド部材を前記本体装置の前後方向に往復移動する駆動手段と、前記可動ノーズの両側面に設けられた一対の上部支点に回動自在に連結された駆動アームとを有し、前記スライド部材の往復移動に伴い前記可動ノーズが前記下部支点を中心に回動する車載用電子機器の前面パネル装置において、前記駆動アームを前記本体装置の前後方向へ案内するガイド孔と、前記可動ノーズを起立方向へ付勢する捩じりコイルばねとを備え、前記駆動アームに前記ガイド孔に挿入されて案内される軸部を設け、この軸部に前記捩じりコイルばねを巻装すると共に、前記ガイド孔に、前記軸部を前記スライド部材の移動方向と交差する方向で且つ前記捩じりコイルばねの両腕部の開放角度を拡げる方向へ案内可能なカム部を形成した。
【0011】
このように構成された前面パネル装置では、捩じりコイルばねの両腕部の開放角度は可動ノーズの起立時に初期値に設定されており、この状態からスライド部材が前進方向へ駆動されると、駆動アームの軸部とガイド孔のカム部との係合によって捩じりコイルばねの両腕部の開放角度が少なくとも一時的に拡がり、しかる後、軸部とガイド孔の相対移動によって可動ノーズが全開方向へ回動し始め、それに伴って捩じりコイルばねの両腕部の開放角度は次第に狭められていく。したがって、捩じりコイルばねのばね加重が可動ノーズを起立位置から全開方向へ回動する途中で比例的に増大していくことがないため、起立状態にある可動ノーズのラットルノイズ防止を考慮して捩じりコイルばねのばね加重を設定したとしても、この可動ノーズを全開位置まで小さな駆動力でスムーズに回動させることができると共に、全開位置で最大となった捩じりコイルばねのばね加重によって可動ノーズを起立位置までスムーズに回動させることができる。
【0012】
上記の構成において、前記ガイド孔はスライド部材と本体装置の少なくとも一方に設けられていれば良いが、スライド部材にガイド孔としての可動側ガイド孔を設けると共に、本体装置にガイド孔としての固定側ガイド孔を設け、駆動アームの軸部をこれら可動側ガイド孔と固定側ガイド孔に挿入することが好ましい。その際、可動側ガイド孔の前端にカム部を下方へ向けて形成すると共に、固定側ガイド孔の前端にカム部を上方へ向けて形成すると、軸部が固定側ガイド孔の後端から前端まで移動する間、可動ノーズを起立させた状態で前進させることができる。
【0013】
また、ガイド孔をスライド部材と本体装置の両方に設けた場合は、捩じりコイルばねの一方の腕部を駆動アームに掛止すると共に、他方の腕部をスライド部材に移動可能に弾接することが好ましい。
【0014】
【実施例】
実施例について図面を参照して説明すると、図1は実施例に係る前面パネル装置の可動ノーズが起立している状態を示す要部断面図、図2は該前面パネル装置に備えられる可動ノーズの駆動機構を示す分解斜視図、図3は該前面パネル装置に備えられるスライド部材の駆動機構を示す平面図、図4は該可動ノーズが全開方向へ回動を開始した直後の状態を示す要部断面図、図5は該可動ノーズが全開している状態を示す要部断面図である。
【0015】
図1に示すように、車載用オーディオ装置のシャーシ1の前面に前面パネル2が固定されており、これらシャーシ1と前面パネル2によって本体装置の筐体が構成されている。前面パネル2には第1の挿入口3と第2の挿入口4が上下2段に開設されており、第1の挿入口3は例えばCDを挿入/排出するための開口であり、第2の挿入口4は例えばMDを挿入/排出するための開口である。前面パネル2の凹所内に可動ノーズ5が配置されており、第1および第2の挿入口3,4は可動ノーズ5の回動操作によって開閉される。この可動ノーズ5の表面には図示せぬ液晶ディスプレイや各種操作キー等が配設されており、また、可動ノーズ5の側面に下部支点である第1の支軸6と上部支点である第2の支軸7が上下方向に所定の間隔をおいて突設されている。なお、これら第1および第2の支軸6,7は可動ノーズの左右両側面にそれぞれ突設されている。
【0016】
図2と図3に示すように、シャーシ1の底面上にスライド部材8が配置されており、このスライド部材8には歯車9に噛合するラック8aが刻設されている。歯車9は図示せぬモータによって時計または反時計方向へ選択的に回転し、スライド部材8はこのモータを駆動源としてシャーシ1の前後方向に移動可能となっている。スライド部材8の左右両側面は上方に向けて直角に折り曲げられており、これら両側面の先端に穿設された軸孔8bを第1の支軸6に挿入することにより、可動ノーズ5とスライド部材8は第1の支軸6を回動支点として回動可能に連結されている。また、スライド部材8の両側面に可動側ガイド孔10が穿設されており、この可動側ガイド孔10は、シャーシ1の前後方向に沿って延びる第1の水平部10aと、第1の水平部10aの前端から斜め下方へ延びる第1のカム部10bとを有している。
【0017】
また、シャーシ1の底面上にL字状に折り曲げられた一対のブラケット11が固定されており、これらブラケット11の起立面はスライド部材8の両側面の外側に位置している。ブラケット11の起立面には固定側ガイド孔12が穿設されており、この固定側ガイド孔12は、シャーシ1の前後方向に沿って延びる第2の水平部12aと、第2の水平部12aの前端から斜め上方へ延びる第2のカム部12bとを有している。なお、固定側ガイド孔12はシャーシ1の側面に直接設けることも可能である。
【0018】
さらに、スライド部材8の両側面の内側にそれぞれ駆動アーム13が配置されており、これら駆動アーム13の先端に穿設された軸孔13aを第2の支軸7に挿入することにより、可動ノーズ5と駆動アーム13は第2の支軸7を回動支点として回動可能に連結されている。一方、駆動アーム13の後端側には外側へ向かって突出する軸部13bが設けられており、軸部13bはスライド部材8の可動側ガイド孔10とブラケット11の固定側ガイド孔12内に移動可能に挿入されている。軸部13bには捩じりコイルばね14が巻装されており、この捩じりコイルばね14の一方の腕部14aは駆動アーム13の後端の掛止部13cに掛止され、他方の腕部14bはスライド部材8の底面に弾接されている。なお、ブラケット11の外側から軸部13bに止めねじ15が螺入されており、この止めねじ15によって軸部13bが可動側ガイド孔10と固定側ガイド孔12から抜け落ちないようになっている。
【0019】
このように構成された前面パネル装置において、図1に示すように可動ノーズ5が起立状態にあるとき、前面パネル2に開設された第1および第2の挿入口3,4は可動ノーズ5によって覆い隠されており、スライド部材8はシャーシ1の最も奥側の後退位置にある。この場合、駆動アーム13の軸部13bは可動側ガイド孔10の第1のカム部10bと固定側ガイド孔12の第2の水平部12aの後端とに係合しており、捩じりコイルばね14の両腕部14a,14bの開放角度θ1は初期値(例えばθ1=154°)に設定されている。
【0020】
かかる可動ノーズ5の起立状態で図示せぬオープン釦を操作すると、前記モータが正転してその回転力が歯車9を介してラック8aに伝達され、スライド部材8が後退位置から前進位置への移動を開始する。スライド部材8が前進すると、軸部13bは可動側ガイド孔10の第1のカム部10bに係合したまま固定側ガイド孔12の第2の水平部12a内を前進し、この間、可動ノーズ5は起立状態を保ったまま所定量だけ前進し、捩じりコイルばね14の両腕部14a,14bの開放角度θ1は変化しない。
【0021】
スライド部材8がさらに前進すると、軸部13bが第2の水平部12aの前端に当接して停止するため、駆動アーム13の軸部13bに対してスライド部材8のみが前進する。その結果、図4に示すように、軸部13bが可動側ガイド孔10の第1のカム部10bから第1の水平部10aへ移行すると共に、固定側ガイド孔12の第2の水平部12aから第2のカム部12bへと移行し、可動ノーズ5が第1および第2の支軸6,7を回動支点として起立状態から全開方向へ回動し始める。このとき、軸部13bが第1および第2のカム部10b,12bに沿ってスライド部材8の移動方向と交差する斜め上方へ持ち上げられるため、この軸部13bに巻回されている捩じりコイルばね14の両腕部14a,14bの開放角度θ2(例えばθ2=162°)が初期値θ1よりも拡がり、捩じりコイルばね14のばね荷重は最小となる。
【0022】
スライド部材8がさらに前進すると、駆動アーム13の軸部13bは可動側ガイド孔10の第1の水平部10aの後端へと相対的に移行し、それに伴って可動ノーズ5の回動角度が大きくなると共に、捩じりコイルばね14の両腕部14a,14bの開放角度が前記θ2から狭められていき、捩じりコイルばね14のばね荷重が次第に増加する。そして、スライド部材8が前進位置まで移動すると、図5に示すように、可動ノーズ5はその下部側が手前側にせり出した全開(水平)状態となり、前面パネル2に開設された第1および第2の挿入口3,4が露出する。このとき、捩じりコイルばね14の両腕部14a,14bの開放角度θ3(例えばθ3=132°)は最も狭められ、捩じりコイルばね14のばね荷重は最大となる。
【0023】
また、可動ノーズ5が図5に示す全開状態にある時に図示せぬクローズ釦を操作すると、前記モータが逆転して上記と逆の動作が行われる。すなわち、スライド部材8が前進位置から後退位置への移動を開始し、それに伴って軸部13bが可動側ガイド孔10の第1の水平部10aの後端から第1のカム部10bへ移行すると共に、固定側ガイド孔12の第2のカム部12bから第2の水平部12aへ移行し、その後に水平部12aの後端に向かって移動することにより、可動ノーズ5は図1に示す起立状態に戻る。その際、スライド部材8と駆動アーム13は全開状態にある可動ノーズ5を起立させるのに大きな力を要するが、両腕部14a,14bの開放角度が狭められた捩じりコイルばね14によって可動ノーズ5の起立方向への回動が補足されるため、可動ノーズ5を起立位置までスムーズに回動させることができる。
【0024】
このように上記実施例に係る前面パネル装置では、スライド部材8が前進方向へ駆動される移動途中で、駆動アーム13の軸部13bが第1および第2のカム部10b,12bに沿って持ち上げられることにより、捩じりコイルばね14の両腕部14a,14bの開放角度が可動ノーズ5の起立時に設定された初期値θ1よりも一旦拡がり、しかる後、可動ノーズ5が全開方向へ回動するのに伴って捩じりコイルばね14の両腕部14a,14bの開放角度が次第に狭められていくため、起立状態にある可動ノーズ5のラットルノイズ防止を考慮して捩じりコイルばね14のばね加重を設定した場合、可動ノーズ5が起立位置から全開位置へ回動する途中で捩じりコイルばね14のばね加重を一旦小さくすることができる。したがって、可動ノーズ5の起立時におけるラットルノイズ防止を確保した上で、可動ノーズ5を起立位置から全開位置まで回動する時に必要とされる駆動力を小さくすることができ、小型のモータを用いてスライド部材8を駆動することができる。また、第1および第2のカム部10b,12bのカム形状を変更することによって、捩じりコイルばね14の両腕部14a,14bの最大開放角度を別の値に設定できるため、可動ノーズ5の起立時と回動途中時における捩じりコイルばね14のばね荷重を種々の値に設定できて設計上の自由度が向上する。
【0025】
さらに、スライド部材8に設けられた可動側ガイド孔10の第1の水平部10aの前端に第1のカム部10bを下方へ向けて形成すると共に、ブラケット11に設けられた固定側ガイド孔12の第2の水平部12aの前端に第2のカム部12bを上方へ向けて形成したので、スライド部材8の前進に伴って駆動アーム13の軸部13bが第2の水平部12aの後端から前端まで移動する間、可動ノーズ5を起立させた状態で前進させることができ、その後に可動ノーズ5を全開方向へ回動させることができるので、可動ノーズ5の背面側上部が回動時に前面パネル2に当接するのを防止できる。
【0026】
なお、上記実施例では、スライド部材8に第1のカム部10bを有する可動側ガイド孔10を設けると共に、本体装置側のブラケット11に第2のカム部12bを有する固定側ガイド孔12を設け、駆動アーム13の軸部13bがこれら可動側ガイド孔10と固定側ガイド孔12の両方に対して前後方向へ案内される場合について説明したが、いずれか一方のガイド孔を省略することも可能である。例えば、本体装置側に固定側ガイド孔の代わりに逃げ孔を設け、駆動アームの軸部が可動側ガイド孔のカム部から水平部へ移行する時に、軸部がこの逃げ孔に沿って上方へ移動するように構成したり、駆動アームの軸部を本体装置側に設けた固定側ガイド孔のみに案内させ、この固定側ガイド孔の前端にカム部を下方へ向けて形成することにより、スライド部材の前進移動に伴って軸部がカム部に沿って上方へ移動するように構成しても良い。
【0027】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0028】
前後方向へ駆動されるスライド部材と協働して可動ノーズを回動させる駆動アームに軸部を設け、この軸部を本体装置の前後方向へ案内するガイド孔に、可動ノーズを起立方向へ付勢する捩じりコイルばねの両腕部の開放角度を拡げることが可能なカム部を形成したので、捩じりコイルばねのばね加重は可動ノーズを起立位置から全開方向へ回動する途中位置で少なくとも一旦は小さくなり、それ故、起立状態にある可動ノーズのラットルノイズ防止を考慮して捩じりコイルばねのばね加重を設定したとしても、この可動ノーズを全開位置まで小さな駆動力でスムーズに回動させることができると共に、全開位置で最大となった捩じりコイルばねのばね加重によって可動ノーズを起立位置までスムーズに回動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に係る前面パネル装置の可動ノーズが起立している状態を示す要部断面図である。
【図2】該前面パネル装置に備えられる可動ノーズの駆動機構を示す分解斜視図である。
【図3】該前面パネル装置に備えられるスライド部材の駆動機構を示す平面図である。
【図4】該可動ノーズが全開方向へ回動を開始した直後の状態を示す要部断面図である。
【図5】該可動ノーズが全開している状態を示す要部断面図である。
【符号の説明】
1 シャーシ
2 前面パネル
5 可動ノーズ
6 第1の支軸
7 第2の支軸
8 スライド部材
10 可動側ガイド孔
10a 第1の水平部
10b 第1のカム部
11 ブラケット
12 固定側ガイド孔
12a 第2の水平部
12b 第2のカム部
13 駆動アーム
13b 軸部
14 捩じりコイルばね
14a,14b 腕部

Claims (5)

  1. 本体装置の前面に配置された可動ノーズと、この可動ノーズの両側面に設けられた一対の下部支点に回動自在に連結されたスライド部材と、このスライド部材を前記本体装置の前後方向に往復移動する駆動手段と、前記可動ノーズの両側面に設けられた一対の上部支点に回動自在に連結された駆動アームとを有し、前記スライド部材の往復移動に伴い前記可動ノーズが前記下部支点を中心に回動する車載用電子機器の前面パネル装置において、
    前記駆動アームを前記本体装置の前後方向へ案内するガイド孔と、前記可動ノーズを起立方向へ付勢する捩じりコイルばねとを備え、
    前記駆動アームに前記ガイド孔に挿入されて案内される軸部を設け、この軸部に前記捩じりコイルばねを巻装すると共に、前記ガイド孔に、前記軸部を前記スライド部材の移動方向と交差する方向で且つ前記捩じりコイルばねの両腕部の開放角度を拡げる方向へ案内可能なカム部を形成したことを特徴とする車載用電子機器の前面パネル装置。
  2. 請求項1の記載において、前記ガイド孔を前記スライド部材と前記本体装置の少なくとも一方に設けたことを特徴とする車載用電子機器の前面パネル装置。
  3. 請求項1の記載において、前記スライド部材に前記ガイド孔としての可動側ガイド孔を設けると共に、前記本体装置に前記ガイド孔としての固定側ガイド孔を設け、前記軸部をこれら可動側ガイド孔と固定側ガイド孔に挿入したことを特徴とする車載用電子機器の前面パネル装置。
  4. 請求項3の記載において、前記可動側ガイド孔の前端に前記カム部を下方へ向けて形成すると共に、前記固定側ガイド孔の前端に前記カム部を上方へ向けて形成したことを特徴とする車載用電子機器の前面パネル装置。
  5. 請求項3または4の記載において、前記捩じりコイルばねの一方の腕部を前記駆動アームに掛止すると共に、他方の腕部を前記スライド部材に移動可能に弾接したことを特徴とする車載用電子機器の前面パネル装置。
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