JP3973746B2 - 排紙エンドフェンスの構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、孔版印刷装置や複写機等の画像形成装置から排出される画像形成済みの排紙等を排出し積載する排紙装置に関し、詳しくは排紙を受け止めてこの排紙の揃えを排紙台上で行う排紙エンドフェンスの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、孔版印刷装置や複写機等の画像形成装置では、画像形成され排出された用紙を、排紙エンドフェンス及び排紙サイドフェンスを有する排紙装置の排紙台上に積載している。この排紙装置において、画像形成装置の排紙口より排出された用紙は排紙エンドフェンスに衝突した後に排紙台上に落下するのであるが、排紙エンドフェンス衝突時の跳ね返りにより排紙台上での用紙の揃えが悪化してしまうという問題点があった。これは、排紙エンドフェンスに対する用紙の衝突角度を変化させて実験を行った結果、衝突角度が略90度のときに最も跳ね返りが少なく、用紙の揃えが良好となることが判っている。
【0003】
しかし、排紙エンドフェンスに対する用紙の衝突角度は用紙サイズや用紙の厚み、排紙搬送速度等によってそれぞれ異なるため、排紙台に対する排紙エンドフェンスの起立角度を段階的に調整可能とし、複数の画像形成条件に対応して用紙の揃えを良好に行う技術が例えば特開平9−208108号公報に開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、角度調整の作業には手間がかかり、かつ、角度調整を必要とする特定の用紙や特定の搬送速度の使用頻度が低いことから、通常の用紙(PPC用紙等)や通常の搬送速度に対応する起立角度(基準角度)を使用する頻度が高くなり、調整を必要とする場合でも調整を行わなかったり、調整を行った後に基準角度に戻すことを忘れて用紙の揃えが悪化してしまうという問題点がある。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決し、基準角度の状態と角度調整可能な状態とを瞬時に切り換えることが可能な排紙エンドフェンスの構造の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、排紙を受け止めてこの排紙の揃えを排紙台上で行う前記排紙台上に起立した排紙エンドフェンスを備えた排紙エンドフェンスの構造において、前記排紙エンドフェンスは、前記排紙台に対する起立角度を、通常の排紙を受け止める固定された第1の角度と、特定の排紙を受け止める無段階調整可能な第2の角度とに選択的に切り換える切り換え部を有し、前記切り換え部は、第1の角度を形成する固定部と第2の角度を形成する可変部とを有し、前記固定部または前記可変部を前記排紙エンドフェンスを支持する支持部に対向させるべく回動自在に設けられていることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の排紙エンドフェンスの構造において、さらに、前記切り換え部は前記可変部が前記支持部に対向したときに角度を調整する調整ネジを有することを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の排紙エンドフェンスの構造において、さらに、前記切り換え部は、前記調整ネジの操作による角度調整量に再現性を付与する指針を有することを特徴とする。
【0010】
【実施例】
図1は、本発明の一実施例が採用される画像形成装置としての孔版印刷装置の概略図である。同図において、符号1は孔版印刷装置、符号2は版胴、符号3は給紙装置、符号4はプレスローラー、符号5は排紙装置をそれぞれ示している。
【0011】
製版済みマスタが巻装された版胴2に対して給紙装置3から給送された印刷用紙Pは、プレスローラー4によって版胴2に押圧されることにより印刷画像を転写された後、排紙装置5へ送られる。
【0012】
排紙装置5は、印刷画像が転写された印刷済みの印刷用紙Pを順次積載する排紙台6と、版胴2の近傍に配置され印刷済みの印刷用紙Pを版胴2の外周面から剥離する剥離爪7と、剥離爪7によって剥離された印刷済みの印刷用紙Pを吸引しつつ矢印Xで示す排紙搬送方向に搬送して排紙台6上へ排出する吸引ユニット8とを有している。吸引ユニット8による印刷用紙Pの排紙搬送速度は、版胴2の回転速度である印刷速度に併せて適宜変更可能である。
【0013】
吸引ユニット8の排紙経路上には、見かけ上の腰の強さを高めるために排出される印刷用紙PをU字形に変形させる一対あるいは二対の腰付け部材8aが配設されている。この腰付け部材8aは、その隆起角度あるいは隆起高さを印刷用紙Pの種類に応じて適宜変更可能に構成されている。この腰付け部材の構成は、例えば実公平5−6305号公報に開示されている。
【0014】
排紙台6には、図2に示すように、排紙搬送方向Xと直交する矢印Yで示す排紙幅方向での印刷済みの印刷用紙Pの排紙揃えを行う排紙サイドフェンス9,9と、印刷用紙Pの先端を受け止めて排紙搬送方向Xにおける印刷用紙Pの排紙揃えを行う排紙エンドフェンス10とが、それぞれ起立して設けられている。
【0015】
各排紙サイドフェンス9,9は、その基端を排紙台6上に設けられたステーに支持されており、図示しないが、排紙台6上を排紙幅方向Yにそれぞれ移動自在に、かつ、印刷用紙Pが積載される側(内方)に向けてそれぞれ折り畳み自在に設けられている。また、各排紙サイドフェンス9,9同士は図示しないラックアンドピニオン機構によって連結されており、何れか一方を移動させると他方も移動するように構成されている。
【0016】
排紙エンドフェンス10は、排紙台6上に、排紙台6と同一平面となるように固設されたレール部材11に、排紙搬送方向Xと平行な方向に移動自在に取り付けられている。排紙エンドフェンス10は、図3ないし図8に示すように、エンドフェンス本体12、切り換え部13、支持部14から主に構成されている。
【0017】
エンドフェンス本体12は、フェンス体15と衝撃吸収部材16とから構成されている。フェンス体15は、例えばアクリロニトリルブタジェンスチレン(ABS)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)等の合成樹脂で構成されており、軽量化が図られている。フェンス体15は、その下部に、下方に開口したコ字形状を呈する突出部15aを形成されている。
【0018】
衝撃吸収部材16は、例えば発泡クロロプレンゴムや発泡ポリウレタン等の発泡性の樹脂で構成され、フェンス体15に接着等によって取り付けられており、印刷用紙Pの先端が衝突したときにその衝突エネルギーを吸収する。
【0019】
フェンス体15は、その軽量化対策として、衝撃吸収部材16が取り付けられた側と対向する側をリブ等で補強することによりその厚みを薄くすることができ、また、衝撃吸収部材は、印刷用紙Pの衝突時におけるエネルギーを吸収できる部材であれば、その材質は発泡性樹脂に限られることはない。
【0020】
切り換え部13は、位置決め部材17と調整ネジ18とを有している。板材を折り曲げて形成され、1面が開放された箱型を呈する位置決め部材17は、突出部15aの内側に支軸19によって回動自在に取り付けられている。位置決め部材17は、その開放面と対向する面である固定部17aと、図3において固定部17aの排紙搬送方向上流側に位置する面である可変部17bとを有しており、可変部17bには穴が、また、可変部17bと対向する面には雌ネジがそれぞれ形成され、そこに調整ネジ18が螺合されている。また、可変部17bと対向する面はその一端が延出されると共に曲折され、支え部17cが形成されている。
【0021】
位置決め部材17は、固定部17aあるいは可変部17bの何れかが後述する第1支持部材20の上面と対向すべく回動可能に構成されている。位置決め部材17は、固定部17aが第1支持部材20の上面と対向したときにこれを前記上面に当接させ、このときには衝撃吸収部材16の表面とレール部材11の上面とでなす角度が90度となるように、また、可変部17bが第1支持部材20の上面と対向したときには、支え部17cがフェンス体15の背板15c(図5、図6参照)と当接するように構成されている。
【0022】
切り換え部13の下方には支持部14が配設されている。支持部14は、第1支持部材20、第2支持部材21、第1摺動部材22、第2摺動部材23、取手24から主に構成されている。
【0023】
板材を折り曲げて構成した第1支持部材20は突出部15aの両側を挟むように設けられた上突出部20a、20aと、レール部材11の両側を挟むように設けられた下突出部20b,20bと、第1摺動部材22の一端を受け止める曲折端部20cとを有しており、上突出部20a,20aに形成された長溝を突出部15aに取り付けられた支軸25に係合されている。
【0024】
板材をコ字形状に折り曲げて構成された第2支持部材21は、各曲折端部に突出部21a,21aを有している。各突出部21a,21aは、上突出部20a,20aを外側から覆い、その先端部にそれぞれ形成された鈎部によって支軸25を回動自在に支持している。第2支持部材21の底面21bには穴21cが形成されている。
【0025】
第1支持部材20の下面とレール11の上面との間には第1摺動部材22が配設されている。超高分子量ポリエチレン等の摺動性の良好な樹脂の板材からなる第1摺動部材22は、第1支持部材20の下面、下突出部20b、曲折端部20c、及び突出部21aに挟まれるように配設されており、排紙幅方向側の両端部に下突出部20b及び突出部21aと同一平面をなすようにそれぞれ突出形成された突起部22a,22aを有している。第1摺動部材22は、その排紙搬送方向上流側端部及び各突起部22a,22aを曲折端部20cと下突出部20bと突出部21aとによって位置決めされている。
【0026】
レール11の下面と底面21bの上面との間には第2摺動部材23が配設されている。第1摺動部材22と同様の材質の板材からなる第2摺動部材23は、その下面に穴21cを通過可能な直径を有する円柱部23aと、突起部22aと同様の突起部23b,23bとを有している。円柱部23aは、その先端が穴21cの内部に位置するように配置されており、その外周には第2摺動部材23の下面と底面21bとの上面とに所定の圧縮率で挟まれた圧縮コイルバネ26が配設されている。圧縮コイルバネ26の圧縮率は、第1摺動部材22と第2摺動部材23とが適当な圧接力でレール部材11を挟み込み、取手24を持って排紙エンドフェンス10をレール部材11に沿って移動させたときに適度の抵抗力を生ずるように設定されている。
【0027】
樹脂製の取手24は、排紙搬送方向上流側の端部を第1支持部材20の下部にもぐり込ませており、第1摺動部材22と一体的に固定されている。取手24は、その側面が手で掴み易いように排紙搬送方向上流側から下流側に向けて末広がりとなるように湾曲形成され、その上面には調整ネジ18の頭部18aが嵌合可能な凹部24aが形成されている。
【0028】
上述の構成より、排紙エンドフェンス10は、エンドフェンス本体12をレール部材11に沿って排紙搬送方向Xと平行な方向に移動自在であると共に、支軸25を中心にエンドフェンス本体12を矢印Z方向へ折り畳むことが可能に構成されている。矢印Z方向への折り畳み時においては、突出部15aの先端15bが上下方向に不動の第1支持部材20に当接してこれを押圧し、結果として支軸25が上方に持ち上げられ、これに伴い第2支持部材21が上方に持ち上げられる。このとき円柱部23aが穴21cより突出する。そして先端15bが支軸25の下方を通過すると、圧縮コイルバネ26の付勢力によって第2支持部材21が下方に押し下げられる。
【0029】
この折り畳み時(実質的にはエンドフェンス本体12を矢印Z方向に3度程度傾けたとき)には、位置決め部材17が支軸19を中心に回動自在となる。このときに固定部17aと第1支持部材20とを対向させて両者を当接させることにより、排紙エンドフェンス10は、衝撃吸収部材16の表面とレール部材11の上面とでなす角度が90度となる図5及び図7に示す第1の角度に置かれ、また、可変部17bと第1支持部材20とを対向させることにより、排紙エンドフェンス10は、衝撃吸収部材16の表面とレール部材11の上面とでなす角度を調整ネジ18によって調整可能な図6及び図8に示す第2の角度に置かれることとなる。排紙エンドフェンス10が第2の角度に位置決めされた際には、オペレーターは排出される印刷用紙Pの排紙揃えを確認しながら排紙揃えが最良となるように調整ネジ18を操作することにより、支え部17cによって背板15cを支えられたフェンス体15の角度が変化し、排紙エンドフェンス10の角度が適宜調整される。
【0030】
上述の角度調整時において、調整ネジ18の先端が第1支持部材20の上面を押圧する(図6において頭部18aと位置決め部材17との間隔が狭まる方向に調整ネジ18を回す)と、フェンス体15が図3における矢印Z方向に傾く。この傾きに伴い、先端15bが第1支持部材20に当接してこれを押圧し、支軸25が上方に持ち上げられ、第2支持部材21が上方に持ち上げられ、円柱部23aが穴21cより突出する。また、調整ネジ18の先端による第1支持部材20の上面の押圧を弱める(図6において頭部18aと位置決め部材17との間隔が広がる方向に調整ネジ18を回す)と、圧縮コイルバネ26の付勢力によって第2支持部材21が下方に押し下げられ、支軸25が下方に下げられてフェンス体15が図3における矢印Zと反対の方向に傾く。
【0031】
上述の実施例によれば、印刷用紙Pのサイズ、厚さ、排紙搬送速度に応じ、排紙エンドフェンス10を、使用頻度の多い印刷用紙Pや排紙搬送速度に対応した第1の角度と、特別なサイズや厚みの印刷用紙Pあるいは排紙搬送速度に対応した第2の角度とに簡単な操作で瞬時に位置決めすることができるので、必要なときに簡単に角度切り換えを行うことができ、また、第2の角度で角度調整を行った後に基準角度に戻すことを忘れていても瞬時に基準角度に戻すことができ、印刷用紙Pの排紙揃えを良化させることができる。また、第2の角度においては、調整ネジ18の操作により排紙エンドフェンス10を無段階に調整できるので、様々な印刷条件に応じて排紙揃えを良化させることができる。
【0032】
上記実施例の変形例として、図9に示すように、調整ネジ18の頭部18aの首下に回転自在に取り付けられると共に、調整ネジ18の位置決め部材17へのねじ込みに応じて背板15cとの相対位置が変化するように構成された指針27と、背板15cに刻まれた目盛28とを有する構成としてもよい。
【0033】
上述の構成とすることにより、特定の用紙を用いた印刷時において、最適角度となるように調整ネジ18を調整した際に目盛28の値を控えておくことにより、他の特定の用紙を用いて印刷を行い調整ネジ18を操作して最適角度を変更した後でも先ほどの最適角度を再現することができ、操作性が向上する。
【0034】
なお、上記実施例及び変形例は孔版印刷装置を例に説明したが、本発明は孔版印刷装置に限られることなく、他の印刷装置や複写機等、画像形成された排紙を受け止める排紙装置を備えた画像形成装置全般において適用可能である。
【0035】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、切り換え部が固定部と可変部とを有し、この固定部または可変部を支持部に対向させるべく切り換え部が回動自在であるので、第2の角度で角度調整を行った後に基準角度に戻すことを忘れていても瞬時に基準角度に戻すことができ、印刷用紙の排紙揃えを良化させることができる。
【0036】
請求項2記載の発明によれば、第2の角度において調整ネジの操作により排紙エンドフェンスを無段階に角度調整できるので、様々な印刷条件に応じて排紙揃えを良化させることができる。
【0037】
請求項3記載の発明によれば、最適角度となるように調整ネジを調整した際に目盛の値を控えておくことにより、他の用紙を用いて印刷を行い調整ネジを操作して最適角度を変更した後でも先ほどの最適角度を再現することができ、操作性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を採用した孔版印刷装置の概略側面図である。
【図2】本発明の一実施例を示す排紙装置の部分斜視図である。
【図3】本発明の一実施例を説明する排紙エンドフェンス要部の部分側面図である。
【図4】本発明の一実施例を説明する排紙エンドフェンス要部の部分正面図である。
【図5】本発明の一実施例を説明する排紙エンドフェンス要部の第1の角度における部分側断面図である。
【図6】本発明の一実施例を説明する排紙エンドフェンス要部の第2の角度における部分側断面図である。
【図7】本発明の一実施例を説明する排紙エンドフェンス要部の第1の角度における部分背面図である。
【図8】本発明の一実施例を説明する排紙エンドフェンス要部の第2の角度における部分背面図である。
【図9】本発明の他の実施例を説明する排紙エンドフェンス要部の第2の角度における部分背面図である。
【符号の説明】
1 画像形成装置(孔版印刷装置)
6 排紙台
10 排紙エンドフェンス
13 切り換え部
14 支持部
17a 固定部
17b 可変部
18 調整ネジ
27 指針
P 排紙(印刷用紙)
Claims (3)
- 排紙を受け止めてこの排紙の揃えを排紙台上で行う、前記排紙台上に起立した排紙エンドフェンスを備えた排紙エンドフェンスの構造において、
前記排紙エンドフェンスは、前記排紙台に対する起立角度を、通常の排紙を受け止める固定された第1の角度と、特定の排紙を受け止める無段階調整可能な第2の角度とに選択的に切り換える切り換え部を有し、前記切り換え部は、第1の角度を形成する固定部と第2の角度を形成する可変部とを有し、前記固定部または前記可変部を前記排紙エンドフェンスを支持する支持部に対向させるべく回動自在に設けられていることを特徴とする排紙エンドフェンスの構造。 - 請求項1記載の排紙エンドフェンスの構造において、
前記切り換え部は、前記可変部が前記支持部に対向したときに角度を調整する調整ネジを有することを特徴とする排紙エンドフェンスの構造。 - 請求項2記載の排紙エンドフェンスの構造において、
前記切り換え部は、前記調整ネジの操作による角度調整量に再現性を付与する指針を有することを特徴とする排紙エンドフェンスの構造。
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JP35061397A JP3973746B2 (ja) | 1997-12-19 | 1997-12-19 | 排紙エンドフェンスの構造 |
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1997
- 1997-12-19 JP JP35061397A patent/JP3973746B2/ja not_active Expired - Lifetime
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