JP3973469B2 - 使い捨て着用物品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排泄物を吸収、保持する使い捨て着用物品に関する。
【0002】
【従来の技術】
実開平6−34618号公報は、透液性表面シートと不透液性裏面シートとの間に吸液性コアが介在し、縦方向に前胴周り域および後胴周り域と、それら胴周り域の間に位置する股下域とを備え、表裏面シートとコアとをその厚み方向へ貫通する開孔が股下域の横方向中央部に形成されており、開孔を覆う透液性大便処理シートが表面シートの外面に配置され、開孔を覆う不透液性摘持シートが裏面シートの外面に配置された開放型の使い捨ておむつを開示している。
【0003】
このおむつでは、開孔に処理シートが陥入し、開孔において処理シートと摘持シートとが固着されている。摘持シートは、その外周縁部が裏面シートの外面に着脱可能に仮止めされている。開孔では、処理シートと摘持シートとが大便を収容可能な凹部を形成している。このおむつは、摘持シートを裏面シートの外側へ引っ張ることによって、凹部に収容された大便を処理シートとともに開孔からおむつの外側に取り出すことができるという効果を有する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記公報に開示のおむつでは、凹部に位置する処理シートが水分吸収機能を備えていないので、大便のうちの流動性が高い軟便がおむつに排泄されてそれが凹部に収容されると、軟便が高い流動性を維持したままの状態で凹部に残存する。このおむつでは、それに着用者の体圧がかかって凹部がつぶれると、凹部に残存する軟便が凹部から容易に漏出し、漏出した軟便が表面シートの外面を拡散するので、着用者の股間部に軟便が広範囲に付着してしまう場合がある。
【0005】
本発明の課題は、排泄された軟便が着用者の股間部に付着することを防ぐことができる使い捨て着用物品を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための本発明の前提は、前後胴周り域およびそれら胴周り域の間に位置する股下域を備え、それら域のうちの少なくとも前記股下域に厚み方向へ貫通する少なくとも一つの開孔を有する肌に当接するライナーと、前記ライナーの外面に配置されて前記開孔を覆う不透液性被覆シートとから構成され、前記開孔周縁の外方に位置する前記被覆シートの外周縁部が前記ライナーに固着され、前記開孔につながる排泄物収容部が前記ライナーと前記被覆シートとの間に形成された使い捨て着用物品である。
【0007】
前記前提における本発明の特徴は、前記排泄物収容部に、前記開孔周縁と前記被覆シートの前記外周縁部との間で前記開孔の両側を互いに離間並行して縦方向へ延びる吸液性コアが配置されるとともに、少なくとも1枚の吸水性内装シートが、前記被覆シートの前記外周縁部を除く該被覆シートの内面に取り付けられていることにある。
【0008】
本発明は、以下の実施態様を有する。
)前記内装シートが、セルロース系天然繊維、セルロース系再生繊維、親水処理が施されたポリオレフィン系合成繊維、のうちの少なくとも一つから作られた繊維不織布である。
)前記内装シートの吸水度(JIS P8141:クレム法)が、200mm/1分〜30mm/1分の範囲にある。
)前記被覆シートとそれに取り付けられた前記内装シートとには、それらの中心部分からそれらの外周縁部へ向かって波状に起伏するとともに回帰線状に延びる多数の第1プリーツが形成されている。
)前記被覆シートとそれに取り付けられた前記内装シートとには、それらシートを折り込むことによって形成された多数の第2プリーツが縦方向と横方向とのうちのいずれか一方向へ延びている。
)前記吸液性コアが、前記ライナーの下面に固着されるとともに、前記内装シートで包まれている。
【0009】
【発明の実施の形態】
添付の図面を参照し、本発明にかかる使い捨て着用物品の詳細を説明すると、以下のとおりである。
【0010】
図1,2は、一例として示す着用物品1Aの部分破断斜視図と、裏面シート3の側から示す図1の物品1Aの部分破断斜視図とであり、図3,4は、図1のA−A線矢視断面図と、図1のB−B線矢視断面図とである。図1,2では、横方向を矢印X、縦方向を矢印Yで示し、厚み方向を矢印Zで示す。
【0011】
物品1Aは、肌当接側に位置する透液性表面シート2およびその下面に位置する不透液性裏面シート3からなる肌に当接するライナー4と、裏面シート3の下部に配置された不透液性被覆シート5とから構成されている。物品1Aは、表裏面シート2,3の間に介在してそれらシート2,3のうちの少なくとも一方の対向面に固着された吸液性第1コア6と、被覆シート5に取り付けられた吸水性内装シート7とを有する。
【0012】
ライナー4は、縦方向に前胴周り域8および後胴周り域10と、それら胴周り域8,10の間に位置する股下域9とを有する。ライナー4は、コア6の両側縁6aの外側を縦方向へ延びる一対のサイドフラップ11と、コア6の両端縁6bの外側を横方向へ延びる一対のエンドフラップ12とを有する。ライナー4では、サイドフラップ11が股下域9において横方向内方へ向かって弧を画いている。ライナー4は、その平面形状が砂時計型を呈する。ライナー4の股下域9には、表裏面シート2,3とコア6とを厚み方向へ貫通する開孔13が形成されている。
【0013】
開孔13は、縦長円形を呈し、股下域9の横方向中央部であって股下域9の後半分に形成されている。開孔13の周縁14では、表面シート2と裏面シート3とが互いに重なり合った状態で、それらシート2,3の内面どうしが固着されている。開孔13は、その全域が被覆シート5に覆われている。
【0014】
サイドフラップ11は、コア6の両側縁6aから横方向外方へ延びる表面シート2の側部2aと裏面シート3の側部3aとから形成されている。エンドフラップ12には、縦方向へ延びる複数条の脚周り用弾性部材15が収縮可能に取り付けられている。エンドフラップ12では、表裏面シート2,3の側部2a,3aが互いに重なり合った状態で、それらシート2,3の側部2a,3a内面どうしが固着されている。脚周り用弾性部材15は、表面シート2の側部2aと裏面シート3の側部3aとの間に介在し、それらシート2,3の側部2a,3a内面に固着されている。
【0015】
エンドフラップ12は、コア6の両端縁6bから縦方向外方へ延びる表面シート2の端部2bと裏面シート3の端部3bとから形成されている。エンドフラップ12には、横方向へ延びる帯状の胴周り用弾性部材16が収縮可能に取り付けられている。エンドフラップ12では、表裏面シート2,3の端部2b,3bが互いに重なり合った状態で、それらシート2,3の端部2b,3b対向面どうしが固着されている。胴周り用弾性部材16は、表面シート2の端部2bと裏面シート3の端部3bとの間に介在し、それらシート2,3の端部2b,3b対向面に固着されている。
【0016】
被覆シート5は、開孔13の周縁14の外方に位置する外周縁部5aと、外周縁部5aを除く残余部5bとを有する。被覆シート5は、外周縁部5aが裏面シート3に固着され、残余部5bが裏面シート3に固着されていない。ライナー4と被覆シート5との間には、開孔13につながる排泄物収容部17が形成されている。
【0017】
内装シート7は、排泄物収容部17に配置されており、被覆シート5の残余部5bの内面に接着剤(図示せず)を介して間欠的に固着されている。内装シート7には、セルロース系天然繊維、セルロース系再生繊維、親水処理が施されたポリオレフィン系合成繊維、のうちの少なくとも一つから作られた繊維不織布が使用されている。
【0018】
セルロース系天然繊維としては、パルプや綿毛を例示することができる。パルプには、機械的パルプ、化学的機械パルプ、半化学的パルプ、化学的パルプ、のうちの少なくとも1つを使用することができる。天然繊維には、マーセル化が施されたものを使用することもできる。
【0019】
セルロース系再生繊維としては、レーヨン繊維を例示することができる。レーヨン繊維には、それを叩解することによって、繊維本体よりも微小な多数の二次繊維が繊維本体から分岐して延びるものを使用することが好ましい。そのようなレーヨン繊維は、特開2001−172850に開示されている。
【0020】
ポリオレフィン系合成繊維としては、ポリエチレン系合成樹脂繊維やポリプロピレン系合成樹脂繊維、ポリ塩化ビニル系合成樹脂繊維、ポリスチレン系合成樹脂繊維を例示することができる。
【0021】
後胴周り域10には、サイドフラップ11から横方向外方へ延びるテープファスナ18が取り付けられている。テープファスナ18の自由端部には、メカニカルファスナのうちのフック部材19が取り付けられている。前胴周り域8における裏面シート3の外面には、テープファスナ18を着脱可能に止着する横方向へ長い矩形のターゲットテープ20が取り付けられている。ターゲットテープ20は、メカニカルファスナのうちのループ部材21から形成されている。
【0022】
物品1Aを着用するには、後胴周り域10のサイドフラップ11を前胴周り域8のサイドフラップ11の外側に重ね合わせ、フック部材19とループ部材21とを係合させてテープファスナ18の自由端部をターゲットテープ20に止着し、前胴周り域8と後胴周り域10とを連結する。前後胴周り域8,10が連結された物品1Aには、胴周り開口とその下方に一対の脚周り開口とが形成される(図示せず)。
【0023】
物品1Aでは、それに軟便(図示せず)が排泄された場合、軟便が開孔13を通過して排泄物収容部17に収容される。物品1Aでは、軟便に含まれる水分が内装シート7に吸収されることで、内装シート7上に軟便に含まれる固形分のみが残る。排泄物収容部17では、それに収容された軟便の流動性が排泄されたときよりも低下する。物品1Aでは、内装シート7によって軟便に含まれる水分と固形分とが分離され、内装シート7上に流動性を示さない軟便の固形分のみが残るので、軟便が高い流動性を維持したままの状態で排泄物収容部17に残存することはない。物品1Aでは、それに着用者の体圧がかかったとしても、流動性を示さない固形分が開孔13から漏出することはなく、固形分が表面シート2の外面を流動することもないので、軟便が着用者の肌に付着してしまうことを防ぐことができる。物品1Aに排泄された尿は、表面シート2を透過してコア6に吸収される。
【0024】
物品1Aでは、内装シート7のJIS P8141 クレム法による吸水度が200mm/1分〜30mm/1分の範囲にある。吸水度が30mm未満では、軟便に含まれる水分を内装シート7に短時間かつ十分に吸収させることができず、排泄物収容部17に収容された軟便が高い流動性を維持したままの状態で排泄物収容部17に残存してしまう。
【0025】
図5,6は、他の一例として示す着用物品1Bの部分破断斜視図と、裏面シート3の側から示す図5の物品1Bの部分破断斜視図とであり、図7,8は、図5のC−C線矢視断面図と、図5のD−D線矢視断面図とである。図5,6では、横方向を矢印X、縦方向を矢印Yで示し、厚み方向を矢印Zで示す。
【0026】
物品1Bは、透液性表面シート2および不透液性裏面シート3からなるライナー4と、裏面シート3の下部に配置された不透液性被覆シート5とから構成されている。物品1Bは、表裏面シート2,3の間に介在する吸液性第1コア6と、裏面シート3および被覆シート5に取り付けられた吸水性内装シート7,23とを有する。
【0027】
ライナー4には、表裏面シート2,3とコア6とを厚み方向へ貫通する開孔13が形成されている。ライナー4には、サイドフラップ11に位置して股下域9から前後胴周り域8,10へ向かって縦方向へ延びる一対の防漏シート22が取り付けられている。被覆シート5は、開孔13の全域を覆った状態で、その外周縁部5aが裏面シート3に固着されている。ライナー4と被覆シート5との間には、開孔13につながる排泄物収容部17が形成されている。
【0028】
内装シート7は、互いに重なり合う2枚のもので、被覆シート5の残余部5bの内面に接着剤(図示せず)を介して間欠的に固着されている。内装シート7どうしは、それらシート7の対向面が接着剤(図示せず)を介して間欠的に固着されている。内装シート23は、互いに重なり合う2枚のもので、開孔13の周縁14と被覆シート5の外周縁部5aとの間に延びる裏面シート3に接着剤(図示せず)を介して間欠的に固着されている。内装シート23どうしは、それらシート23の対向面が接着剤(図示せず)を介して間欠的に固着されている。内装シート7,23には、図1のそれと同一の繊維不織布が使用されている。内装シート7,23のJIS P8141 クレム法による吸水度は、図1の内装シート7のそれと同一である。
【0029】
防漏シート22は、縦方向へ延びる固定側部22aと、表面シート2の上方へ起立性向を有して縦方向へ延びる自由側部22bと、物品1Bの横方向内方へ倒伏した固定両端部22cとを有する。自由側部22bには、縦方向へ延びる伸縮性弾性部材24が収縮可能に取り付けられている。弾性部材24は、自由側部22bの一部に被覆されている。
【0030】
サイドフラップ11は、表裏面シート2,3の側部2a,3aと防漏シート22の固定側部22aとから形成されている。サイドフラップ11では、表面シート2の側部2aがコア6の両側縁6aから横方向外方へわずかに延び、側部2aからさらに横方向外方へ裏面シート3の側部3aと防漏シート22の固定側部22aとが延びている。側部2aは、側部3aと側部22aとの間に介在し、それら側部3a,22aに固着されている。側部3aと側部22aとは、それら側部3a,22aの互いに重なり合う部分が固着されている。脚周り用弾性部材15は、裏面シート3の側部3aと防漏シート22の固定側部22aとの間に介在し、それらシート3,22の側部3a,22aに固着されている。防漏シート22の固定両端部22cは、表面シート2の端部2b外面に固着されている。
【0031】
物品1Bでは、排泄物収容部17に収容された軟便(図示せず)の水分がそれら内装シート7,23に吸収され、内装シート7上に軟便に含まれる固形分のみが残る。物品1Bでは、内装シート7,23によって軟便に含まれる水分と固形分とが分離され、内装シート7上に流動性を示さない軟便の固形分のみが残るので、軟便が高い流動性を維持したままの状態で排泄物収容部17に残存することはない。物品1Bでは、固形分が開孔13から漏出することはなく、固形分が表面シート2の外面を流動することもないので、軟便が着用者の肌に付着してしまうことを防ぐことができる。
【0032】
物品1Bでは、2枚の内装シート7が被覆シート5の内面に取り付けられているとともに、2枚の内装シート23が裏面シート3の下面に取り付けられているので、内装シート7,23に軟便に含まれる水分を多量に吸収させることができ、排泄物収容部17における吸水機能を図1の物品1Aのそれよりも高くすることができる。
【0033】
物品1Bでは、それが表面シート2を内側にして縦方向へ湾曲すると、弾性部材24が縦方向へ収縮して防漏シート22の自由側部22bが表面シート2の上方へ起立する。物品1Bでは、防漏シート22の自由側部22bが排泄物に対する障壁を形成するので、排泄物が股下域9から漏れてしまうことを防ぐことができる。
【0034】
図9,10は、他の一例として示す着用物品1Cの部分破断斜視図と、裏面シート3の側から示す図9の物品1Cの斜視図とであり、図11,12は、図9のE−E線矢視断面図と、図9のF−F線矢視断面図とである。図9,10では、横方向を矢印X、縦方向を矢印Yで示し、厚み方向を矢印Zで示す。
【0035】
物品1Cは、透液性表面シート2および不透液性裏面シート3からなるライナー4と、裏面シート3の下部に配置された不透液性被覆シート5とから構成されている。物品1Cは、表裏面シート2,3の間に介在する吸液性第1コア6と、裏面シート3および被覆シート5に取り付けられた吸水性内装シート7,23とを有する。
【0036】
ライナー4には、表裏面シート2,3とコア6とを厚み方向へ貫通する開孔13が形成されている。ライナー4には、サイドフラップ11に位置して股下域9から前後胴周り域8,10へ向かって縦方向へ延びる一対の防漏シート22が取り付けられている。被覆シート5は、開孔13の全域を覆った状態で、その外周縁部5aが裏面シート3の下面に固着されている。ライナー4と被覆シート5との間には、開孔13につながる排泄物収容部17が形成されている。
【0037】
内装シート7は、被覆シート5の残余部5bの内面に接着剤(図示せず)を介して間欠的に固着されている。内装シート23は、開孔13の周縁14と被覆シート5の外周縁部5aとの間に延びる裏面シート3の下面に接着剤(図示せず)を介して間欠的に固着されている。内装シート7,23には、図1のそれと同一の繊維不織布が使用されている。内装シート7,23のJIS P8141 クレム法による吸水度は、図1の内装シート7のそれと同一である。
【0038】
被覆シート5とそれに取り付けられた内装シート7とには、残余部5bの中心部分5cから外周縁部5aへ向かって波状に起伏する多数の第1プリーツ25が形成されている。それらプリーツ25は、実質的に環状を呈し、中心部分5cから外周縁部5aへ向かってその円周が次第に大きくなるように同心状に並んでいる。
【0039】
物品1Cでは、被覆シート5と内装シート7とに形成されたプリーツ25が伸びることによって、被覆シート5と内装シート7とが矢印Z1で示す物品1Cの厚み方向下方へ向かって伸びる。物品1Cでは、図11,12に二点鎖線で示すように、被覆シート5と内装シート7とが厚み方向下方へ伸びることで、排泄物収容部17に空間が形成されるので、排泄物収容部17における排泄物収容容積を大きくすることができ、多量の軟便を排泄物収容部17に収容することができる。
【0040】
物品1Cでは、排泄物収容部17に収容された軟便(図示せず)の水分が内装シート7,23に吸収され、内装シート7上に軟便に含まれる固形分のみが残る。物品1Cでは、内装シート7,23によって軟便に含まれる水分と固形分とが分離され、内装シート7上に流動性を示さない軟便の固形分のみが残るので、軟便が高い流動性を維持したままの状態で排泄物収容部17に残存することはない。物品1Cでは、固形分が開孔13から漏出することはなく、固形分が表面シート2の外面を流動することもないので、軟便が着用者の肌に付着してしまうことを防ぐことができる。物品1Cでは、防漏シート22の自由側部22bが排泄物に対する障壁を形成するので、排泄物が股下域9から漏れてしまうことを防ぐことができる。
【0041】
図13,14は、他の一例として示す着用物品1Dの部分破断斜視図と、裏面シート3の側から示す図13の物品1Dの部分破断斜視図とであり、図15,16は、図13のG−G線矢視断面図と、図13のH−H線矢視断面図とである。図13,14では、横方向を矢印X、縦方向を矢印Yで示し、厚み方向を矢印Zで示す。
【0042】
物品1Dは、透液性表面シート2および不透液性裏面シート3からなるライナー4と、裏面シート3の下部に配置された不透液性被覆シート5とから構成されている。物品1Dは、裏面シート3および被覆シート5に取り付けられた吸水性内装シート7,23と、被覆シート5と内装シート7との間に介在する吸液性第2コア27とを有する。物品1Dでは、表面シート2と裏面シート3との間に第1コアが存在していない。
【0043】
ライナー4には、表面シート2と裏面シート3とを厚み方向へ貫通する開孔13が形成されている。ライナー4には、サイドフラップ11に位置して股下域9から前後胴周り域8,10へ向かって縦方向へ延びる一対の防漏シート22が取り付けられている。被覆シート5は、開孔13の全域を覆った状態で、その外周縁部5aが裏面シート3の外面に固着されている。ライナー4と被覆シート5との間には、開孔13につながる排泄物収容部17が形成されている。第2コア27は、被覆シート5の残余部5bに配置され、被覆シート5と内装シート7とのうちの少なくとも一方に固着されている。
【0044】
内装シート7は、その外面が被覆シート5の残余部5bの内面に接着剤(図示せず)を介して間欠的に固着されている。内装シート23は、その内面が開孔13の周縁14と被覆シート5の外周縁部5aとの間に延びる裏面シート3の外面に接着剤(図示せず)を介して間欠的に固着されている。内装シート7,23には、図1のそれと同一の繊維不織布が使用されている。内装シート7,23のJIS P8141 クレム法による吸水度は、図1の内装シート7のそれと同一である。
【0045】
被覆シート5とそれに取り付けられた内装シート7とには、縦方向へ延びる多数の第2プリーツ26が形成されている。それらプリーツ26は、被覆シート5と内装シート7とを物品1Dの横方向内方へ折り込むことによって作られている。
【0046】
物品1Dでは、被覆シート5と内装シート7とに形成されたプリーツ26が伸びることによって、被覆シート5と内装シート6とが矢印Z1で示す物品1Dの厚み方向下方へ向かって伸びる。物品1Dでは、図15,16に二点鎖線で示すように、被覆シート5と内装シート7とが厚み方向下方へ伸びることで、排泄物収容部17に空間が形成されるので、排泄物収容部17における排泄物収容容積を大きくすることができ、多量の軟便を排泄物収容部17に収容することができる。物品1Dでは、内装シート7にプリーツ26を形成することによって、表面積の大きな内装シート7を排泄物収容部17に配置することができ、排泄物収容部17における吸水機能を高くすることができる。
【0047】
物品1Dでは、排泄物収容部17に収容された軟便(図示せず)の水分が内装シート7,23と第2コア27とに吸収され、内装シート7上に軟便に含まれる固形分のみが残る。物品1Dでは、内装シート7,23と第2コア27とによって軟便に含まれる水分と固形分とが分離され、内装シート7上に流動性を示さない軟便の固形分のみが残るので、軟便が高い流動性を維持したままの状態で排泄物収容部17に残存することはない。物品1Dでは、固形分が開孔13から漏出することはなく、固形分が表面シート2の外面を流動することもないので、軟便が着用者の肌に付着してしまうことを防ぐことができる。
【0048】
物品1Dでは、軟便に含まれる水分を内装シート7,23のみならず第2コア27にも吸収させることができるので、排泄物収容部17において軟便に含まれる水分と固形分とを確実に分離することができる。物品1Dでは、防漏シート22の自由側部22bが排泄物に対する障壁を形成するので、排泄物が股下域9から漏れてしまうことを防ぐことができる。
【0049】
図17,18は、他の一例として示す着用物品1Eの部分破断斜視図と、裏面シート3の側から示す図17の物品1Eの部分破断斜視図とであり、図19,20は、図17のI−I線矢視断面図と、図17のJ−J線矢視断面図とである。図17,18では、横方向を矢印X、縦方向を矢印Yで示し、厚み方向を矢印Zで示す。
【0050】
物品1Eは、透液性表面シート2および不透液性裏面シート3からなるライナー4と、裏面シート3の下部に配置された不透液性被覆シート5とから構成されている。物品1Eは、裏面シート3および被覆シート5に取り付けられた吸水性内装シート7,23と、ライナー4と内装シート7との間に介在する吸液性第3コア28とを有する。物品1Eでは、表面シート2と裏面シート3との間に第1コアが存在せず、サイドフラップ11に防漏シートが取り付けられていない。
【0051】
ライナー4には、表面シート2と裏面シート3とを厚み方向へ貫通する開孔13が形成されている。被覆シート5は、開孔13の全域を覆った状態で、その外周縁部5aが裏面シート3の外面に固着されている。ライナー4と被覆シート5との間には、開孔13につながる排泄物収容部17が形成されている。第3コア28は、開孔13の周縁14と被覆シート5の外周縁部5bとの間に配置され、開孔13の両側を互いに離間並行して縦方向へ延びている。第3コア28は、内装シート23に包まれて、ライナー4に固着されている。
【0052】
内装シート7は、被覆シート5の残余部5bの内面に接着剤(図示せず)を介して間欠的に固着されている。内装シート23は、開孔13の周縁14と被覆シート5の外周縁部5aとの間に延びる裏面シート3の下面に接着剤(図示せず)を介して間欠的に固着されている。内装シート7,23には、図1のそれと同一の繊維不織布が使用されている。内装シート7,23のJIS P8141 クレム法による吸水度は、図1の内装シート7のそれと同一である。
【0053】
物品1Eでは、排泄物収容部17に収容された軟便(図示せず)の水分が内装シート7,23と第3コア28とに吸収され、内装シート7上に軟便に含まれる固形分のみが残る。物品1Eでは、内装シート7,23と第3コア28とによって軟便に含まれる水分と固形分とが分離され、内装シート7上に流動性を示さない軟便の固形分のみが残るので、軟便が高い流動性を維持したままの状態で排泄物収容部17に残存することはない。物品1Eでは、固形分が開孔13から漏出することはなく、固形分が表面シート2の外面を流動することもないので、軟便が着用者の肌に付着してしまうことを防ぐことができる。
【0054】
物品1Eでは、軟便に含まれる水分を内装シート7,23のみならず第3コア28にも吸収させることができるので、排泄物収容部17において軟便に含まれる水分と固形分とを確実に分離することができる。
【0055】
それら図示の物品1A,1B,1C,1D,1Eでは、開孔13の大きさや形状について、特に限定はなく、開孔13が股下域9のみならず、股下域9から前後胴周り域8,10にまで達していてもよい。また、それら図示の物品1A,1B,1C,1D,1Eでは、開孔13が2つ以上形成されていてもよい。開孔13を2つ以上有する物品では、それら開孔13の全域が被覆シート5に覆われていることが必要である。それら図示の物品1A,1B,1C,1D,1Eでは、被覆シート5の大きさについて特に限定はなく、被覆シート5がライナー4と略同形同大であってもよい。
【0056】
それら図示の物品1A,1B,1C,1D,1Eでは、被覆シート5の外周縁部5aが裏面シート3の外面に剥離可能に固着されていてもよく、また、被覆シート5の外周縁部5aが裏面シート3の外面に着脱可能に取り付けられていてもよい。
【0057】
図1,9,13,17に示す物品1A,1C,1D,1Eでは、被覆シート5の残余部5bと裏面シート3とに2枚以上の内装シート7,23が取り付けられていてもよく、図5に示す物品1Bでは、被覆シート5の残余部5bと裏面シート3とに3枚以上の内装シート7,23が取り付けられていてもよい。図13に示す物品1Dでは、被覆シート5と内装シート7とを物品1Dの縦方向内方へ折り込むことによって作られた横方向へ延びる多数の第2プリーツ26が形成されていてもよい。
【0058】
表面シート2には、親水性繊維不織布、多数の開孔を有する疎水性繊維不織布、微細な多数の開孔を有する透液性プラスチックフィルムのいずれかを使用することができる。裏面シート3や被覆シート5、防漏シート22には、疎水性繊維不織布、通気不透液性プラスチックフィルム、疎水性繊維不織布を重ね合わせた複合不織布、疎水性繊維不織布と通気不透液性プラスチックフィルムとを重ね合わせた複合シートのいずれかを使用することができる。
【0059】
裏面シート3や被覆シート5、防漏シート22には、高い耐水性を有するメルトブローン法による繊維不織布を、高い強度と良好な柔軟性とを有するスパンボンド法による繊維不織布で挟んだ複合不織布を使用することもできる。
【0060】
不織布としては、スパンレース、ニードルパンチ、メルトブローン、サーマルボンド、スパンポンド、ケミカルボンド、エアースルー、の各製法により製造されたものを使用することができる。不織布の構成繊維としては、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系、の各繊維、ポリエチレン/ポリプロピレンやポリエチレン/ポリエステルからなる芯鞘型複合繊維または並列型複合繊維を使用することができる。
【0061】
第1〜第3コア6,27,28は、フラッフパルプと高吸収性ポリマー粒子との混合物、または、フラッフパルプと高吸収性ポリマー粒子と熱可塑性合成樹脂繊維との混合物であり、所要の厚みに圧縮されている。それらコア6,27,28は、それの型崩れやポリマー粒子の脱落を防止するため、全体がティッシュペーパーや親水性繊維不織布等の透液性シートに被覆されていることが好ましい。ポリマー粒子としては、デンプン系、セルロース系、合成ポリマー系のものを使用することができる。
【0062】
シート2,3,5,7,22,23どうしの固着、シート2,3,7,23に対するコア6,27,28の固着、シート2,3,22に対する弾性部材15,16,24の固着には、ホットメルト型接着剤、または、ヒートシールやソニックシール等の熱による溶着手段を利用することができる。
【0063】
この発明は、着用時に前後胴周り域を連結するオープン型の着用物品の他に、前後胴周り域のサイドフラップがあらかじめ連結されて胴周り開口と脚周り開口とが形成されたパンツ型の着用物品にも実施することができる。
【0064】
【発明の効果】
本発明にかかる使い捨て着用物品によれば、排泄された軟便が開孔を通過して排泄物収容部に収容された後、軟便に含まれる水分が内装シートに吸収され、内装シート上に軟便に含まれる固形分のみが残り、排泄物収容部に収容された軟便の流動性が排泄されたときよりも低下する。この物品では、内装シートによって軟便に含まれる水分と固形分とが分離され、内装シート上に流動性を示さない軟便の固形分のみが残るので、軟便が高い流動性を維持したままの状態で排泄物収容部に残存することはない。この物品では、それに着用者の体圧がかかったとしても、流動性を示さない固形分が開孔から漏出することはなく、固形分が表面シートの外面を流動することもないので、軟便が着用者の肌に付着してしまうことを防ぐことができる。
【0065】
被覆シートとそれに取り付けられた内装シートとに回帰線状に延びる多数の第1プリーツが形成された着用物品では、内装シートによって軟便に含まれる水分と固形分とが分離されるので、軟便が高い流動性を維持したままの状態で排泄物収容部に残存することがないことはもちろんのこと、第1プリーツが伸びることによって、被覆シートと内装シートとが物品の厚み方向下方へ向かって伸び、排泄物収容部に空間が形成されるので、排泄物収容部における排泄物収容容積を大きくすることができ、多量の軟便を排泄物収容部に収容することができる。
【0066】
被覆シートとそれに取り付けられた内装シートとに縦方向と横方向とのうちのいずれか一方向へ延びる多数の第2プリーツが形成された物品では、内装シートによって軟便に含まれる水分と固形分とが分離されるので、軟便が高い流動性を維持したままの状態で排泄物収容部に残存することがないことはもちろんのこと、第2プリーツが伸びることによって、被覆シートと内装シートとが物品の厚み方向下方へ向かって伸び、排泄物収容部に空間が形成されるので、排泄物収容部における排泄物収容容積を大きくすることができ、多量の軟便を排泄物収容部に収容することができる。この物品では、内装シートに第2プリーツを形成することによって、表面積の大きな内装シートを排泄物収容部に配置することができ、排泄物収容部における吸水機能を高くすることができる。
【0067】
また、軟便に含まれる水分を内装シートのみならず吸液性コアにも吸収させることができるので、排泄物収容部において軟便に含まれる水分と固形分とを確実に分離することができ、排泄物収容部に収容された軟便の流動性を一層低下させることができる。
【0068】
(削除)
【図面の簡単な説明】
【図1】 一例として示す着用物品の部分破断斜視図。
【図2】 裏面シートの側から示す図1の物品の部分破断斜視図。
【図3】 図1のA−A線矢視断面図。
【図4】 図1のB−B線矢視断面図。
【図5】 他の一例として示す着用物品の部分破断斜視図。
【図6】 裏面シートの側から示す図5の物品の部分破断斜視図。
【図7】 図5のC−C線矢視断面図。
【図8】 図5のD−D線矢視断面図。
【図9】 他の一例として示す着用物品の部分破断斜視図。
【図10】 裏面シートの側から示す図9の物品の斜視図。
【図11】 図9のE−E線矢視断面図。
【図12】 図9のF−F線矢視断面図。
【図13】 他の一例として示す着用物品の部分破断斜視図。
【図14】 裏面シートの側から示す図13の物品の部分破断斜視図。
【図15】 図13のG−G線矢視断面図。
【図16】 図13のH−H線矢視断面図。
【図17】 他の一例として示す着用物品の部分破断斜視図。
【図18】 裏面シートの側から示す図17の物品の部分破断斜視図。
【図19】 図17のI−I線矢視断面図。
【図20】 図17のJ−J線矢視断面図。
【符号の説明】
1A 使い捨て着用物品
1B 使い捨て着用物品
1C 使い捨て着用物品
1D 使い捨て着用物品
1E 使い捨て着用物品
2 透液性表面シート
3 不透液性裏面シート
ライナー
5 不透液性被覆シート
5a 外周縁部
5b 残余部
5c 中心部分
吸液性コア
7 吸水性内装シート
8 前胴周り域
9 股下域
10 後胴周り域
13 開孔
14 周縁
17 排泄物収容部
23 吸水性内装シート
25 第1プリーツ
26 第2プリーツ

Claims (6)

  1. 前後胴周り域およびそれら胴周り域の間に位置する股下域を備え、それら域のうちの少なくとも前記股下域に厚み方向へ貫通する少なくとも一つの開孔を有する肌に当接するライナーと、前記ライナーの外面に配置されて前記開孔を覆う不透液性被覆シートとから構成され、前記開孔周縁の外方に位置する前記被覆シートの外周縁部が前記ライナーに固着され、前記開孔につながる排泄物収容部が前記ライナーと前記被覆シートとの間に形成された使い捨て着用物品において、
    前記排泄物収容部に、前記開孔周縁と前記被覆シートの前記外周縁部との間で前記開孔の両側を互いに離間並行して縦方向へ延びる吸液性コアが配置されるとともに、少なくとも1枚の吸水性内装シートが、前記被覆シートの前記外周縁部を除く該被覆シートの内面に取り付けられていることを特徴とする前記着用物品。
  2. 前記内装シートが、セルロース系天然繊維、セルロース系再生繊維、親水処理が施されたポリオレフィン系合成繊維、のうちの少なくとも一つから作られた繊維不織布である請求項に記載の着用物品。
  3. 前記内装シートの吸水度(JIS P8141:クレム法)が、200mm/1分〜30mm/1分の範囲にある請求項1または請求項2に記載の着用物品。
  4. 前記被覆シートとそれに取り付けられた前記内装シートとには、それらの中心部分からそれらの外周縁部へ向かって波状に起伏するとともに回帰線状に延びる多数の第1プリーツが形成されている請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の着用物品。
  5. 前記被覆シートとそれに取り付けられた前記内装シートとには、それらシートを折り込むことによって形成された多数の第2プリーツが縦方向と横方向とのうちのいずれか一方向へ延びている請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の着用物品。
  6. 前記吸液性コアが、前記ライナーの下面に固着されるとともに、前記内装シートで包まれている請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の着用物品。
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