JP3798690B2 - 使い捨て着用物品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、排泄物を吸収、保持する使い捨て着用物品に関する。
【0002】
【従来の技術】
実開平6−34618号公報は、透液性表面シートと不透液性裏面シートとの間に吸液性コアが介在し、縦方向に前胴周り域および後胴周り域と、それら胴周り域の間に位置する股下域とを備え、表裏面シートとコアとをその厚み方向へ貫通する開孔が股下域に形成されており、開孔を被覆する透液性大便処理シートが表面シートの外面に配置され、開孔を被覆する不透液性摘持シートが裏面シートの外面に配置された開放型の使い捨ておむつを開示している。
【0003】
このおむつでは、開孔に処理シートが陥入し、開孔において処理シートと摘持シートとが固着されている。摘持シートは、その外周縁部が裏面シートの外面に着脱可能に仮着されている。開孔では、処理シートと摘持シートとが大便を収容可能な凹部を形成している。このおむつは、凹部に大便を収容することができるので、大便が表面シートの外面を拡散することはなく、摘持シートを裏面シートの外側へ引っ張ることによって、大便を処理シートとともに開孔からおむつの外側に取り出すことができるという効果を有する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記公報に開示のおむつでは、凹部における大便収容容積が小さく、凹部に多量の大便を収容することができない。このおむつでは、その着用中に多量の大便が排泄されると、凹部に収容しきれない大便が表面シートの外面に残存し、大便が着用者の股間部に付着してしまう場合がある。
【0005】
本発明の課題は、多量の大便が排泄されたとしても、大便が着用者の股間部に付着してしまうことがない使い捨て着用物品を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するためのこの発明は、第1発明と第2発明とによって構成される。前記第1および第2発明の前提は、透液性表面シートと、不透液性裏面シートと、それらシートの間に介在する吸液性コアとから構成され、縦方向に前胴周り域および後胴周り域と、それら胴周り域の間に位置する股下域とを備え、前記表裏面シートと前記コアとをその厚み方向へ貫通する開孔が、前記前後胴周り域と前記股下域とのうちの少なくとも該股下域に形成され、前記開孔を被覆する不透液性の大便保持シートが、前記裏面シートの外面に取り付けられた使い捨て着用物品である。
【0007】
前記前提における前記第1発明の特徴は、前記保持シートが、前記厚み方向へ伸縮可能であって前記裏面シートに非固着の中央伸縮部と、前記伸縮部の外側に位置して前記裏面シートに固着された外周縁部とを有し、前記伸縮部には、その中心部分から前記外周縁部へ向かって波状に起伏し、かつ、回帰線状に延びる多数の襞が形成されており、前記襞が、実質的に環状を呈し、前記襞の曲率半径が、前記前胴周り域の側と前記後胴周り域の側とのうちのいずれか一方において大きいことにある。
前記前提における前記第2発明の特徴は、前記保持シートが、前記厚み方向へ伸縮可能であって前記裏面シートに非固着の中央伸縮部と、前記伸縮部の外側に位置して前記裏面シートに固着された外周縁部とを有し、前記伸縮部には、その中心部分から前記外周縁部へ向かって波状に起伏し、かつ、回帰線状に延びる多数の襞が形成されており、前記襞が、実質的に環状を呈し、隣り合う前記襞どうしの離間寸法が、前記前胴周り域の側と前記後胴周り域の側とのうちのいずれか一方において大きいことにある。
【0008】
本発明の実施の態様の一例としては、前記襞が、実質的に環状を呈し、前記伸縮部の中心部分から前記外周縁部へ向かって同心状に並んでいる。
【0009】
本発明の実施の態様の他の一例としては、前記襞が、実質的に環状を呈し、前記襞の曲率半径が、前記前胴周り域の側と前記後胴周り域の側とのうちのいずれか一方において大きい。
【0010】
【0011】
【発明の実施の形態】
添付の図面を参照し、本発明にかかる使い捨て着用物品の詳細を開放型の使い捨ておむつを例として説明すると、以下のとおりである。
【0012】
図1,2は、表面シート2の側から示すおむつ1Aの部分破断斜視図と、裏面シート3の側から示すおむつ1Aの斜視図とであり、図3は、図1のA−A線端面図である。図1,2では、横方向を矢印X、縦方向を矢印Yで示し、厚み方向を矢印Zで示す。図3では、保持シートがおむつ1Aの厚み方向下方へ伸長した状態を二点鎖線で示す。なお、表裏面シート2,3や保持シート13、防漏シート17の内面とは、コア4に対向する面をいい、それらシート2,3,13,17の外面とは、コア4に非対向の面をいう。
【0013】
おむつ1Aは、肌当接側に位置する透液性表面シート2と、肌非当接側に位置する不透液性裏面シート3と、表裏面シート2,3の間に介在してそれらシート2,3のうちの少なくとも一方の内面に固着された吸液性コア4とを主要な構成部材とする。おむつ1Aは、それら部材の他に、裏面シート2の外面に位置する不透液性の大便保持シート13と、表面シート2の外面に位置する不透液性の防漏シート17とを有する。
【0014】
おむつ1Aは、縦方向に前胴周り域5および後胴周り域7と、それら胴周り域5,7の間に位置する股下域6とを備え、コア4の両端縁4aの外側を横方向へ延びるエンドフラップ8と、コア4の両側縁4bの外側を縦方向へ延びるサイドフラップ9とを有する。おむつ1Aは、サイドフラップ9が股下域6においておむつ1Aの横方向内方へ向かって弧を画いており、その平面形状が実質的に砂時計型を呈する。
【0015】
エンドフラップ8には、横方向へ延びる帯状の胴周り用弾性部材10が伸長状態で取り付けられている。サイドフラップ9には、縦方向へ延びる複数条の脚周り用弾性部材11が伸長状態で取り付けられている。
【0016】
股下域6の横方向中央部には、表裏面シート2,3とコア4とをその厚み方向へ貫通する開孔12が形成されている。開孔12は、股下域6における後胴周り域7の側へ偏倚した位置に形成されている。開孔12の周縁では、表面シート2と裏面シート3とが合掌状に重なり合った状態で、それらシート2,3の内面どうしが固着されている。
【0017】
保持シート13は、股下域6に配置されている。保持シート13は、裏面シート3に非固着の中央伸縮部14と、伸縮部14の外側に位置して裏面シート3に固着された外周縁部15とを有する。保持シート13では、伸縮部14の中心部分14aが開孔12の直下に位置している。伸縮部14には、その中心部分14aから外周縁部15へ向かって波状に起伏する多数の襞16が形成されている。それら襞16は、真円状を呈し、伸縮部14の中心部分14aから外周縁部15へ向かって同心円状に並んでいる。それら襞16は、伸縮部14の中心部分14aから外周縁部15へ向かってその円周が次第に大きくなっている。ここで襞16とは、図3に示すように、伸縮部14においておむつ1Aの厚み方向上方へ向かって凸となる部位をいう。伸縮部14は、襞16が伸縮することにともなって、おむつ1Aの厚み方向へ伸縮可能である。外周縁部16では、保持シート13の内面が裏面シート3の外面に固着されている。
【0018】
防漏シート17は、サイドフラップ9に位置し、股下域6から前後胴周り域5,7へ向かって縦方向へ延びている。防漏シート17は、サイドフラップ9に固着されて縦方向へ延びる固定側部18と、表面シート2の上方へ起立性向を有して縦方向へ延びる自由側部19と、おむつ1Aの横方向内方へ倒伏した状態で前後胴周り域5,7に固着された固定両端部20とを有する。自由側部19には、縦方向へ延びる伸縮性弾性部材21が伸長状態で取り付けられている。弾性部材21は、自由側部19の一部に被覆されている。
【0019】
後胴周り域7のサイドフラップ9には、横方向内方へ延びるテープファスナ22が取り付けられている。テープファスナ22では、その自由端部に粘着剤(図示せず)が塗布され、自由端部が粘着剤を介して後胴周り域7のサイドフラップ9に着脱可能に仮着されている。前胴周り域5における裏面シート3の外面には、テープファスナ22を着脱可能に止着する横方向へ長い矩形のターゲットテープ23が取り付けられている。テープファスナ22とターゲットテープ23とは、可撓性を有するプラスチックフィルムから形成されている。
【0020】
おむつ1Aを着用するには、後胴周り域7のサイドフラップ9を前胴周り域5のサイドフラップ9の外側に重ね合わせ、粘着剤を介してテープファスナ22の自由端部をターゲットテープ23に止着し、前胴周り域5と後胴周り域7とを連結する。前後胴周り域5,7が連結されたおむつ1Aには、胴周り開口とその下方に一対の脚周り開口とが形成される(図示せず)。
【0021】
おむつ1Aでは、それに排泄された大便(図示せず)が開孔12を通過して保持シート13の内面に収容される。保持シート13では、大便の質量によって襞16が伸びるとともに、伸縮部14が矢印Z1で示すおむつ1Aの厚み方向下方へ向かって伸びる。おむつ1Aでは、図3に二点鎖線で示すように、保持シート13に大便を収容可能な凹部24が形成される。
【0022】
おむつ1Aでは、伸縮部14がおむつ1Aの厚み方向下方へ伸長することで、保持シート13に凹部24が形成されるので、保持シート13における大便収容容積を大きくすることができ、多量の大便を保持シート13の内面に収容することができる。おむつ1Aでは、それに多量の大便が排泄されたとしても、大便が表面シート2の外面に残存することはなく、かつ、大便が表面シート2の外面を拡散することもないので、大便が着用者の股間部に付着してしまうことはない。大便が排泄される以前のおむつ1Aでは、保持シート13の伸縮部14がおむつ1Aの厚み方向下方へ伸長することはなく、保持シート13に凹部24が形成されることはない。
【0023】
おむつ1Aでは、それが表面シート2を内側にして縦方向へ湾曲すると、弾性部材21が縦方向へ収縮して防漏シート17の自由側部19が表面シート2の上方へ起立する。おむつ1Aでは、防漏シート17の自由側部19が大便や尿に対する障壁を形成するので、大便や尿が股下域6から漏れてしまうことを防ぐことができる。
【0024】
エンドフラップ8では、コア4の両端縁4aから表面シート2の端部2aと裏面シート3の端部3aとが縦方向外方へ延び、それらシート2,3の端部2a,3a内面どうしが互いに重なり合った状態で固着されている。防漏シート17の固定両端部20は、表面シート2の端部2a外面に固着されている。胴周り用弾性部材10は、表面シート2の端部2aと裏面シート3の端部3aとの間に介在し、それらシート2,3の端部2a,3a内面に固着されている。
【0025】
サイドフラップ9では、表面シート2の側部2bがコア4の両側縁4bから横方向外方へわずかに延び、側部2bからさらに横方向外方へ裏面シート3の側部3bと防漏シート17の固定側部18とが延びている。サイドフラップ9では、表面シート2の側部2bが裏面シート3の側部3bと防漏シート17の固定側部18との間に介在し、それらシート2,3,17の側部2b,3b,18どうしが互いに重なり合った状態で固着されている。脚周り用弾性部材11は、裏面シート3の側部3bと防漏シート17の固定側部18との間に介在し、それらシート3,17の側部3b,18内面に固着されている。
【0026】
図4,5は、表面シート2の側から示す他の実施の形態のおむつ1Bの斜視図と、裏面シート3の側から示す図4のおむつ1Bの斜視図とであり、図6は、図4のB−B線端面図である。図4,5では、横方向を矢印X、縦方向を矢印Yで示し、厚み方向を矢印Zで示す。図6では、保持シート13がおむつ1Bの厚み方向下方へ伸長した状態と、保持シート13の外周縁部15を裏面シート3の外面から剥がした状態とを二点鎖線で示す。
【0027】
おむつ1Bは、透液性表面シート2と不透液性裏面シート3との間に吸液性コア4が介在し、股下域6に形成された開孔12と不透液性の大便保持シート13と不透液性の防漏シート17とを有する点において図1のおむつ1Aと同一である。このおむつ1Bが図1のそれと異なる点は、以下のとおりである。
【0028】
保持シート13では、中央伸縮部14に形成された多数の襞16が実質的に環状を呈し、後胴周り域7の側に位置するそれら襞16の曲率半径が前胴周り域5の側に位置するそれら襞16の曲率半径よりも大きい。ゆえに、保持シート13では、後胴周り域7の側に位置する伸縮部14(中心部分14aを除く)の厚み方向下方への伸長寸法が前胴周り域5の側に位置する伸縮部14(中心部分14aを除く)の厚み方向下方への伸長寸法よりも大きい。
【0029】
保持シート13は、その外周縁部15が裏面シート3の外面に剥離可能に固着されている。保持シート13の外周縁部15には、外周縁部15を裏面シート3から剥がすときに利用する摘み部25が形成されている。
【0030】
おむつ1Bでは、図1のそれと同様に、開孔12を通過した大便(図示せず)が保持シート13の内面に収容される。おむつ1Bでは、それら襞16が伸びることによって、伸縮部14が矢印Z1で示すおむつ1Bの厚み方向下方へ向かって伸び、保持シート13に大便を収容可能な凹部24が形成される。おむつ1Bでは、保持シート13に凹部24が形成されるので、保持シート13における大便収容容積を大きくすることができ、多量の大便を保持シート13の内面に収容することができる。おむつ1Bでは、大便が表面シート2の外面に残存することはなく、かつ、大便が表面シート2の外面を拡散することもないので、大便が着用者の股間部に付着してしまうことはない。
【0031】
おむつ1Bでは、図6に二点鎖線で示すように、後胴周り域7の側における凹部24の厚み方向の寸法L1が前胴周り域5の側における凹部24の厚み方向の寸法L2よりも大きく、凹部24の底(伸縮部14の中心部分14a)が前胴周り域5から後胴周り域7へ向かっておむつ1Bの厚み方向下方へ傾斜し、開孔12の直下に位置していた凹部24の底が開孔12の直下から後胴周り域7の側へずれる。おむつ1Bでは、大便が凹部24における後胴周り域7の側に偏倚した位置に納まるので、大便が開孔12から覗くことはなく、大便を開孔12から遠ざけることができる。
【0032】
おむつ1Bでは、摘み部25を指で摘持し、図6に二点鎖線で示すように、保持シート13の外周縁部15を裏面シート3から剥がすことで、保持シート13をおむつ1Bから分離させることができ、大便が収容された保持シート13をおむつ1Bとは別に廃棄することができる。また、このおむつ1Bでは、保持シート13の外周縁部15の一部を裏面シート3から剥がした後、保持シート13から大便を便器に廃棄することができる。
【0033】
このおむつ1Bでは、保持シート13の外周縁部15が裏面シート3の外面に着脱可能に取り付けられていてもよい。この場合では、保持シート13の外周縁部15と裏面シート3の外面とを粘着剤やメカニカルファスナを介して着脱可能に連結する。
【0034】
図7,8は、表面シート2の側から示す他の実施の形態のおむつ1Cの斜視図と、裏面シート3の側から示す図7のおむつ1Cの斜視図とであり、図9は、図7のC−C線端面図である。図7,8では、横方向を矢印X、縦方向を矢印Yで示し、厚み方向を矢印Zで示す。図9では、保持シート13がおむつ1Cの厚み方向下方へ伸長した状態を二点鎖線で示す。
【0035】
おむつ1Cは、透液性表面シート2と不透液性裏面シート3との間に吸液性コア4が介在し、股下域6に形成された開孔12と不透液性の大便保持シート13と不透液性の防漏シート17とを有する点において図1のおむつ1Aと同一である。このおむつ1Cが図1のそれと異なる点は、以下のとおりである。
【0036】
保持シート13では、中央伸縮部14に形成された多数の襞16が実質的に環状を呈し、隣り合う襞16どうしの離間寸法L3が前胴周り域5の側よりも後胴周り域7の側で大きい。ゆえに、保持シート13では、後胴周り域7の側に位置する伸縮部14(中心部分14aを除く)の厚み方向下方への伸長寸法が前胴周り域5の側に位置する伸縮部14(中心部分14aを除く)の厚み方向下方への伸長寸法よりも大きい。
【0037】
おむつ1Cでは、図1のそれと同様に、開孔12を通過した大便(図示せず)が保持シート13の内面に収容される。おむつ1Cでは、それら襞16が伸びることによって、伸縮部14が矢印Z1で示すおむつ1Cの厚み方向下方へ向かって伸び、保持シート13に大便を収容可能な凹部24が形成される。おむつ1Cでは、保持シート13に凹部24が形成されるので、保持シート13における大便収容容積を大きくすることができ、多量の便を保持シート13の内面に収容することができる。おむつ1Cでは、大便が表面シート2の外面に残存することはなく、かつ、大便が表面シート2の外面を拡散することもないので、大便が着用者の股間部に付着してしまうことはない。
【0038】
おむつ1Cでは、図9に二点鎖線で示すように、後胴周り域7の側における凹部24の厚み方向の寸法L1が前胴周り域5の側における凹部24の厚み方向の寸法L2よりも大きく、凹部24の底(伸縮部14の中心部分14a)が前胴周り域5から後胴周り域7へ向かっておむつ1Cの厚み方向下方へ傾斜し、開孔12の直下に位置していた凹部24の底が開孔12の直下から後胴周り域7の側へずれる。おむつ1Cでは、大便が凹部24における後胴周り域7の側に偏倚した位置に納まるので、大便が開孔12から覗くことはなく、大便を開孔12から遠ざけることができる。
【0039】
表面シート2には、親水性繊維不織布、多数の開孔を有する疎水性繊維不織布、微細な多数の開孔を有する透液性プラスチックフィルムのいずれかを使用することができる。裏面シート3や保持シート13、防漏シート17には、疎水性繊維不織布、通気不透液性プラスチックフィルム、疎水性繊維不織布を重ね合わせた複合不織布、疎水性繊維不織布と通気不透液性プラスチックフィルムとを重ね合わせた複合シートのいずれかを使用することができる。
【0040】
裏面シート3や保持シート13、防漏シート17には、高い耐水性を有するメルトブローン法による繊維不織布を、高い強度と良好な柔軟性とを有するスパンボンド法による繊維不織布で挟んだ複合不織布を使用することもできる。
【0041】
不織布としては、スパンレース、ニードルパンチ、メルトブローン、サーマルボンド、スパンポンド、ケミカルボンド、エアースルー、の各製法により製造されたものを使用することができる。不織布の構成繊維としては、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系、の各繊維、ポリエチレン/ポリプロピレンやポリエチレン/ポリエステルからなる芯鞘型複合繊維または並列型複合繊維を使用することができる。
【0042】
保持シート13には、横方向と縦方向とヘ弾性的な伸縮性を有する伸縮性繊維不織布を使用することもできる。伸縮性不織布には、メルトブローンやスパンボンドの各製法により製造されたものを使用することができる。伸縮性不織布の構成繊維には、熱可塑性エラストマー樹脂を溶融、紡糸した伸縮性繊維を使用することができる。また、保持シート13には、熱可塑性エラストマー樹脂繊維からなる伸縮性繊維不織布の少なくとも片面に、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、のいずれかの熱可塑性合成樹脂を溶融、紡糸した捲縮繊維からなる繊維不織布を貼り合わせた複合不織布を使用することもできる。
【0043】
コア4は、フラッフパルプと高吸収性ポリマー粒子との混合物、または、フラッフパルプと高吸収性ポリマー粒子と熱可塑性合成樹脂繊維との混合物であり、所要の厚みに圧縮されている。コア4は、それの型崩れやポリマー粒子の脱落を防止するため、全体がティッシュペーパーや親水性繊維不織布等の透液性シートに被覆されていることが好ましい。ポリマー粒子としては、デンプン系、セルロース系、合成ポリマー系のものを使用することができる。
【0044】
表裏面シート2,3の固着や保持シート13の固着、防漏シート17の固着、コア4の固着、弾性部材10,11,21の固着には、ホットメルト型接着剤、または、ヒートシールやソニックシール等の熱による溶着手段を利用することができる。
【0045】
それら図示のおむつ1A,1B,1Cでは、開孔12の大きさや形状について、特に限定はなく、開孔12が股下域6のみならず、股下域6から前後胴周り域5,7にまで達していてもよい。また、それら図示のおむつ1A,1B,1Cでは、開孔12が2つ以上形成されていてもよい。開孔12を2つ以上有するおむつでは、それら開孔12が保持シート13に被覆されていることが必要である。それら図示のおむつ1A,1B,1Cでは、保持シート13の大きさについて特に限定はなく、保持シート13が股下域6から前後胴周り域6,7へ向かって延びていてもよい。
【0046】
図4に示すおむつ1Bでは、保持シート13の伸縮部14に形成された多数の襞16が実質的に環状を呈し、後胴周り域7の側に位置するそれら襞16の曲率半径が前胴周り域5の側に位置するそれら襞16の曲率半径より小さくてもよい。また、図7に示すおむつ1Cでは、保持シート13の伸縮部14に形成された多数の襞16が実質的に環状を呈し、隣り合う襞16どうしの離間寸法L3が前胴周り域5の側よりも後胴周り域7の側で小さくてもよい。
【0047】
図4,7に示すおむつ1B,1Cでは、保持シート13の伸縮部14に形成された多数の襞16が実質的に環状を呈し、後胴周り域5の側に位置するそれら襞16の曲率半径が前胴周り域5の側に位置するそれら襞16の曲率半径よりも大きく、かつ、隣り合う襞16どうしの離間寸法L3が前胴周り域5の側よりも後胴周り域7の側で大きくてもよい。また、図4,7に示すおむつ1B,1Cでは、保持シート13の伸縮部14に形成された多数の襞16が実質的に環状を呈し、後胴周り域7の側に位置するそれら襞16の曲率半径が前胴周り域5の側に位置するそれら襞16の曲率半径よりも小さく、かつ、隣り合う襞16どうしの離間寸法L3が前胴周り域5の側よりも後胴周り域7の側で小さくてもよい。
【0048】
図1,7に示すおむつ1A,1Cでは、図4のそれと同様に、保持シート13の外周縁部15が裏面シート3の外面に剥離可能に固着されていてもよく、また、保持シート13の外周縁部15が裏面シート3の外面に着脱可能に取り付けられていてもよい。
【0049】
この発明は、着用時に前後胴周り域5,7を連結する開放型のおむつ1A,1B,1Cの他に、前後胴周り域のサイドフラップがあらかじめ連結されて胴周り開口と脚周り開口とが形成されたパンツ型のおむつにも実施することができる。
【0050】
【発明の効果】
本発明にかかる使い捨て着用物品によれば、開孔を通過した大便が保持シートの内面に収容される。この物品では、大便の質量によって、保持シートの伸縮部が物品の厚み方向下方へ向かって伸長し、保持シートに大便を収容可能な凹部が形成される。この物品では、保持シートにおける大便収容容積を大きくすることができ、多量の大便を保持シートに収容することができる。この物品では、大便が表面シートの外面に残存することはなく、かつ、大便が表面シートの外面を拡散することもないので、大便が着用者の股間部に付着してしまうことはない。
【0051】
保持シートの伸縮部に形成された多数の襞が実質的に環状を呈するとともに、それら襞の曲率半径が前胴周り域の側と後胴周り域の側とのうちのいずれか一方において大きく、他方において小さい物品では、伸縮部が物品の厚み方向下方へ向かって伸長することで、保持シートに大便を収容可能な凹部が形成されることはもちろんのこと、凹部の底(伸縮部の中心部分)が前胴周り域と後胴周り域とのうちのいずれか一方に向かっておむつの厚み方向下方へ傾斜し、凹部の底が開孔の直下から前後胴周り域のいずれかの側へずれる。この物品では、大便が凹部における前後胴周り域のいずれかの側に偏倚した位置に納まるので、大便が開孔から覗くことはなく、大便を開孔から遠ざけることができる。この物品は、大便が開孔から表面シートの外面に逆戻りすることはなく、着用者の股間部に対する大便の付着を確実に防ぐことができる。
【0052】
保持シートの伸縮部に形成された多数の襞が実質的に環状を呈するとともに、隣り合う襞どうしの離間寸法が前胴周り域の側と後胴周り域の側とのうちのいずれか一方において大きく、他方において小さい物品では、伸縮部が物品の厚み方向下方へ向かって伸長することで、保持シートに大便を収容可能な凹部が形成されることはもちろんのこと、凹部の底(伸縮部の中心部分)が前胴周り域と後胴周り域とのうちのいずれか一方に向かっておむつの厚み方向下方へ傾斜し、凹部の底が開孔の直下から前後胴周り域のいずれかの側へずれる。この物品では、大便が凹部における前後胴周り域のいずれかの側に偏倚した位置に納まるので、大便が開孔から覗くことはなく、大便を開孔から遠ざけることができる。この物品は、大便が開孔から表面シートの外面に逆戻りすることはなく、着用者の股間部に対する大便の付着を確実に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 表面シートの側から示すおむつの部分破断斜視図。
【図2】 裏面シートの側から示すおむつの斜視図。
【図3】 図1のA−A線端面図。
【図4】 表面シートの側から示す他の実施の形態のおむつの斜視図。
【図5】 裏面シートの側から示す図4のおむつの斜視図。
【図6】 図4のB−B線端面図。
【図7】 表面シートの側から示す他の実施の形態のおむつの斜視図。
【図8】 裏面シートの側から示す図7のおむつの斜視図。
【図9】 図7のC−C線端面図。
【符号の説明】
1A 開放型の使い捨ておむつ
1B 開放型の使い捨ておむつ
1C 開放型の使い捨ておむつ
2 透液性表面シート
3 不透液性裏面シート
4 吸液性コア
6 前胴周り域
7 股下域
8 後胴周り域
12 開孔
13 大便保持シート
14 中央伸縮部
14a 中心部分
15 外周縁部
16 襞
L3 離間寸法
Claims (4)
- 透液性表面シートと、不透液性裏面シートと、それらシートの間に介在する吸液性コアとから構成され、縦方向に前胴周り域および後胴周り域と、それら胴周り域の間に位置する股下域とを備え、前記表裏面シートと前記コアとをその厚み方向へ貫通する開孔が、前記前後胴周り域と前記股下域とのうちの少なくとも該股下域に形成され、前記開孔を被覆する不透液性の大便保持シートが、前記裏面シートの外面に取り付けられた使い捨て着用物品において、
前記保持シートが、前記裏面シートに非固着の中央伸縮部と、前記伸縮部の外側に位置して前記裏面シートに固着された外周縁部とを有し、前記伸縮部には、その中心部分から前記外周縁部へ向かって波状に起伏し、かつ、回帰線状に延びる多数の襞が形成されており、
前記襞が、実質的に環状を呈し、前記襞の曲率半径が、前記前胴周り域の側と前記後胴周り域の側とのうちのいずれか一方において大きいことを特徴とする前記着用物品。 - 液性表面シートと、不透液性裏面シートと、それらシートの間に介在する吸液性コアとから構成され、縦方向に前胴周り域および後胴周り域と、それら胴周り域の間に位置する股下域とを備え、前記表裏面シートと前記コアとをその厚み方向へ貫通する開孔が、前記前後胴周り域と前記股下域とのうちの少なくとも該股下域に形成され、前記開孔を被覆する不透液性の大便保持シートが、前記裏面シートの外面に取り付けられた使い捨て着用物品において、
前記保持シートが、前記裏面シートに非固着の中央伸縮部と、前記伸縮部の外側に位置して前記裏面シートに固着された外周縁部とを有し、前記伸縮部には、その中心部分から前記外周縁部へ向かって波状に起伏し、かつ、回帰線状に延びる多数の襞が形成されており、
前記襞が、実質的に環状を呈し、隣り合う前記襞どうしの離間寸法が、前記前胴周り域の側と前記後胴周り域の側とのうちのいずれか一方において大きいことを特徴とする前記着用物品。 - 前記襞が、実質的に環状を呈し、前記伸縮部の中心部分から前記外周縁部へ向かって同心状に並んでいる請求項1記載の着用物品。
- 前記襞が、実質的に環状を呈し、前記襞の曲率半径が、前記前胴周り域の側と前記後胴周り域の側とのうちのいずれか一方において大きい請求項2に記載の着用物品。
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