図1は、本発明の一の実施の形態に係る吸収性物品1を広げた状態にて示す平面図である。吸収性物品1は、着用者が着用する外装物品である使い捨ておむつ等の内側に取り付けられ、着用者からの軟便等の排泄物を受ける補助吸収具である。図1では、着用者に接する面(すなわち、着用者側)を手前側にして吸収性物品1を描いている。
図1に示すように、吸収性物品1は、平面視において略矩形状である略シート状の本体部2、および、本体部2の幅方向の両側(すなわち、図1中の左右方向の両側であり、後述する吸収性シート部材20およびバックシート23の幅方向の両側でもある。)において幅方向に垂直な長手方向のおよそ全長に亘って設けられた一対のサイドシート3を備える。
本体部2の図1中における上側の部位201および下側の部位203はそれぞれ、着用者の腹側および背側の肌に接する部位であり、以下の説明では、「前方部201」および「後方部203」と呼ぶ。また、前方部201と後方部203との間において前方部201および後方部203から連続するとともに着用者の股間部に対向する部位202を「中間部202」と呼ぶ。
図2ないし図6はそれぞれ、吸収性物品1を、図1中に示す後方部203のA−Aの位置、中間部202のB−BおよびC−Cの位置、並びに、前方部201のD−DおよびE−Eの位置にて、吸収性物品1の長手方向(すなわち、図1中の上下方向)に垂直な面で切断した断面図である。また、図7は、吸収性物品1を図1中に示すF−Fの位置にて吸収性物品1の幅方向に垂直な面で切断した断面図である。
図2ないし図6に示すように、一対のサイドシート3はそれぞれ、本体部2に接合される帯状の部位である接合部33、接合部33に連続するとともに少なくとも一部が起立する側壁部34、側壁部34の着用者側の端部(すなわち、自由端近傍)に長手方向に沿って接合される側壁部弾性部材32、および、側壁部弾性部材32から離れた位置において側壁部34に長手方向に沿って接合される側壁部弾性部材35を備える。本実施の形態では、各側壁部弾性部材32は2本の弾性糸を有し、各側壁部弾性部材35は1本の弾性糸を有する。
サイドシート3は、図6に示すように、側壁部弾性部材35近傍にて幅方向の外側(すなわち、幅方向の中心線とは反対側)に折り返される。サイドシート3の折り返された部位は、長手方向の端部にて接合部33上に重ねられて接合部33に接合される。吸収性物品1では、側壁部34に設けられた側壁部弾性部材32,35が収縮することにより、本体部2の側方において側壁部34が着用者側に向かって起立し、着用時に着用者の足の付け根近傍に当接する立体ギャザーが形成される。また、側壁部34が幅方向の外側に折り返されることにより、立体ギャザーが幅方向において着用者の肌の広い範囲に亘って密着する。
図2ないし図6に示すように、サイドシート3は、疎水性繊維(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン)にて形成された撥水性または不透液性の不織布36(例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS不織布)を、長手方向に伸びる折り曲げ線にて2つ折りにし、折り重ねられた2つの部位の間に側壁部弾性部材32,35を挟むとともに、不織布36の側壁部弾性部材35近傍の部位に長手方向に伸びる帯状の親水性不織布37を接合することにより形成される。
側壁部弾性部材32,35としては、例えば、ポリウレタン糸、帯状のポリウレタンフィルム、糸状または帯状の天然ゴム等が用いられ、本実施の形態では、ポリウレタン糸が利用される。親水性不織布37としては、例えば、セルロースやレーヨン、コットン等の親水性繊維にて形成された不織布、または、不織布36を形成するものと同様の疎水性繊維の表面を界面活性剤により処理することにより透液性とされた不織布が用いられる。吸収性物品1では、親水性不織布37が幅方向の内側に位置するように(すなわち、一対の親水性不織布37が対向するように)、一対のサイドシート3が本体部2上に接合される。本実施の形態では、サイドシート3の側壁部34のうち、自由端近傍の部位には親水性不織布37は接合されておらず、親水性不織布37は、側壁部34の自由端から離間した位置から接合部33側へと広がる。換言すれば、サイドシート3では、側壁部34の幅方向の内側の面の一部が親水性とされる。
図1ないし図7に示すように、本体部2は、バックシート23、および、バックシート23上(すなわち、バックシート23の着用者側)に重ねられて周縁部においてバックシート23に接合される吸収性シート部材20を備える。吸収性シート部材20の長手方向のおよそ中央には、図1、図3、図4および図7に示すように、着用者の股間部に対向する開口25が形成されており、開口25の幅は、吸収性物品1の幅よりも小さくされる。バックシート23は、吸収性シート部材20の開口25に重なって(すなわち、開口25から露出して)着用者の股間部に直接対向する中央露出領域234を有する。
図1および図7に示すように、吸収性シート部材20は、吸収性物品1の着用時に着用者の前側(腹側)に配置される前部吸収コア212、前部吸収コア212と長手方向において離間するとともに着用者の後側(背側)に配置される後部吸収コア222、並びに、前部吸収コア212および後部吸収コア222のそれぞれの上面および下面(すなわち、前部吸収コア221および後部吸収コア222のそれぞれの着用者側およびバックシート23側)を被覆する透液性のコア被覆シート22を備える。図1中では、前部吸収コア212および後部吸収コア222の輪郭を太い破線にて描いている(図10においても同様)。
図1に示すように、後部吸収コア222の開口25近傍のコアエッジ、および、開口25の後部吸収コア222側のエッジは長手方向に関して凹状となっており、前部吸収コア212の開口25近傍のコアエッジ、および、開口25の前部吸収コア212側のエッジも長手方向に関して凹状となっている。前部吸収コア212には、コアエッジから長手方向に沿って伸びるスリット2122が形成されており、後部吸収コア222には、コアエッジから長手方向に沿って伸びるスリット2222が形成されている。
図2、並びに、図5ないし図7に示すように、コア被覆シート22は、前部吸収コア212および後部吸収コア222のそれぞれの上面を覆う第1被覆シート2201、並びに、前部吸収コア212および後部吸収コア222のそれぞれの下面を覆う第2被覆シート2202を備える。コア被覆シート22では、前部吸収コア212と後部吸収コア222との間に上述の開口25が形成され、コア被覆シート22(すなわち、第1被覆シート2201および第2被覆シート2202)の前部吸収コア212を覆う部位と後部吸収コア222を覆う部位とは、図3および図4に示すように、開口25の幅方向の両側にて連続している。
吸収性シート部材20は、また、図1ないし図6に示すように、開口25の幅方向の両側にて長手方向に伸びる(すなわち、開口25の幅方向の外側にて前部吸収コア212および後部吸収コア222が並ぶ方向を向いて配置される)一対のコア部弾性部材29を備える。コア部弾性部材29としては、例えば、ポリウレタン糸、帯状のポリウレタンフィルム、糸状または帯状の天然ゴム等が用いられ、本実施の形態では、各コア部弾性部材29は2本のポリウレタン糸を有する。コア部弾性部材29は、図1ないし図6に示すように、開口25の幅方向の側方から前部吸収コア212の側方まで(すなわち、平面視において前部吸収コア212の両側端におよそ重なる位置まで)設けられ、また、開口25の側方から後部吸収コア222と平面視において重なる位置まで設けられる。
図1および図2に示すように、コア部弾性部材29の後部吸収コア222と重なる部位は、後部吸収コア222のバックシート23側にて後部吸収コア222とコア被覆シート22の第2被覆シート2202との間に配置され、伸張状態にて第2被覆シート2202および後部吸収コア222に接合される。また、図5および図6に示すように、コア部弾性部材29の前部吸収コア212と重なる部位は、前部吸収コア212の側方エッジよりも外側に伸びるコア被覆シート22の第1被覆シート2201と第2被覆シート2202との間に配置され、第1被覆シート2201および第2被覆シート2202に伸張状態にて接合される。
上述のように、前部吸収コア212および後部吸収コア222は長手方向に関して離間しているため、開口25の幅方向の両側の領域には、前部吸収コア212および後部吸収コア222は存在しない。コア部弾性部材29の前部吸収コア212と後部吸収コア222との間の部位は、図3および図4に示すように、第1被覆シート2201と第2被覆シート2202との間において開口25近傍に配置され、第1被覆シート2201および第2被覆シート2202に伸張状態にて接合される。図1に示す吸収性物品1では、一対のコア部弾性部材29が収縮することにより、前部吸収コア212および後部吸収コア222が互いに他方に向かって引き寄せられることにより、前方部201および後方部203が着用者に沿うように変形する。
吸収性物品1では、図1に示すように、吸収性シート部材20および一対のサイドシート3を長手方向に伸張した状態において、一対のコア部弾性部材29のそれぞれの収縮力(すなわち、コア部弾性部材29の2本のポリウレタン糸の収縮力の合計)が、一対の側壁部弾性部材32,35のそれぞれの収縮力(すなわち、側壁部弾性部材32の2本のポリウレタン糸および側壁部弾性部材35の1本のポリウレタン糸の収縮力の合計)以下とされる。
図1に示すように、本体部2の前方部201の幅方向の幅は後方部203の幅よりも小さく、前部吸収コア212の幅は後部吸収コア222の幅よりも小さい。後方部203では、後部吸収コア222の幅が本体部2の幅にほぼ等しくされ、開口25近傍において、後部吸収コア222の幅が開口25に近づくに従って漸次減少する。吸収性物品1では、長手方向において前部吸収コア212が後部吸収コア222よりも長い。
前部吸収コア212および後部吸収コア222はそれぞれ、親水性繊維(例えば、粉砕したパルプ繊維やセルロース繊維)に粒状の吸水性ポリマー(例えば、SAP(Super Absorbent Polymer))を混合したものをティッシュペーパーや透液性不織布等により包み込んで形成され、コア被覆シート22を透過した水分を吸収して迅速に固定する。親水性繊維を包むティッシュペーパーや透液性不織布等は、親水性繊維および吸水性ポリマーとホットメルト接着剤により接合されて、親水性繊維の型崩れ、および、吸水性ポリマーの脱落(特に、吸水後における脱落)を防止する。
図2ないし図7に示すコア被覆シート22の第1被覆シート2201および第2被覆シート2202は、透液性のシート材料、例えば、親水性繊維により形成された不織布であり、着用者からの排泄物の水分を速やかに捕捉して前部吸収コア212および後部吸収コア222へと移動させる。コア被覆シート22として利用される不織布は、例えば、ポイントボンド不織布やエアスルー不織布、スパンレース不織布であり、これらの不織布を形成する親水性繊維としては通常、上述のサイドシート3の親水性不織布37と同様に、セルロースやレーヨン、コットン等が用いられる。なお、コア被覆シート22として、表面を界面活性剤により親水処理した疎水性繊維(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン)にて形成された透液性の不織布が利用されてもよい。
吸収性物品1では、図3および図4に示すように、開口25の幅方向の両側において、コア被覆シート22の第2被覆シート2202がバックシート23と非接合とされることにより、コア被覆シート22とバックシート23との間に一対の側部ポケット28が形成される。
バックシート23は、図2ないし図7に示すように、撥水性または不透液性の外装シート231、外装シート231上(すなわち、外装シート231の着用者側)に設けられた非常に薄い吸収シート233、並びに、外装シート231および吸収シート233上(すなわち、外装シート231および吸収シート233の着用者側)に積層された親水性シート232を備える。図2ないし図7では、図示の都合上、吸収シート233を太実線にて示している。
外装シート231としては、疎水性繊維(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン)にて形成された撥水性または不透液性の不織布(例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS不織布)や、撥水性または不透液性のプラスチックフィルム、あるいは、これらの不織布とプラスチックフィルムとが積層された積層シートが利用され、バックシート23に到達した排泄物の水分等が、本体部2の外側にしみ出すのを防止する。外装シート231にプラスチックフィルムが利用される場合、吸収性物品1のムレを防止して着用者の快適性を向上するという観点からは、透湿性(通気性)を有するプラスチックフィルムが利用されることが好ましい。
吸収シート233は、2枚のシート、および、当該2枚のシートの間に設けられた高吸収性樹脂層を備え、高吸収性樹脂層は、SAP等の粒状の吸水性ポリマーをホットメルト接着剤により2枚のシートに固定することにより形成される。2枚のシートとしては、親水性繊維により形成される不織布、親水処理した疎水性繊維により形成される不織布、あるいは、ティッシュ等が利用される。高吸収性樹脂層(すなわち、粒状の吸水性ポリマー)は、上記2枚のシートの間で長手方向に伸びるストライプ状に配置される。換言すれば、長手方向に伸びる複数の高吸収性樹脂層のそれぞれの間に、吸水性ポリマーが存在しない領域が設けられる。そして、吸水性ポリマーが存在しない領域において2枚のシートが接合されることにより、複数の高吸収性樹脂層がそれぞれ封止される。
なお、吸収シート233に代えて、SAP等の粒状の吸水性ポリマーを外装シート231上に散布し、ホットメルト接着剤等により外装シート231に接着することにより、高吸収性樹脂層が外装シート231上に直接形成されてもよい。また、親水性シート232としては、好ましくは、セルロースやレーヨン、コットン等の親水性繊維により形成された不織布(例えば、スパンレース不織布)、あるいは、表面を界面活性剤により親水処理した疎水性繊維(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン)にて形成された透液性の不織布が利用される。
バックシート23の外装シート231は、図2ないし図6に示すように、本体部2の幅方向の両側において吸収性シート部材20の第1被覆シート2201の側端部に接合される。また、一対のサイドシート3は、バックシート23の外装シート231の外面(すなわち、着用者とは反対側の面)に接合される。
本体部2では、図1に示す吸収性シート部材20の前部吸収コア212の周囲が、開口25およびその周辺部を除いてバックシート23の着用者側の面と接合されることにより、図5ないし図7に示すように、前部吸収コア212とバックシート23との間(すなわち、吸収性シート部材20の前部吸収コア212に対応する部位とバックシート23との間)に前部ポケット26が形成される。本実施の形態では、前部吸収コア212の周囲のうち、開口25近傍のコアエッジがバックシート23と非接合とされる。
また、吸収性シート部材20の後部吸収コア222の周囲が、開口25およびその周辺部を除いてバックシート23の着用者側の面と接合されることにより、図2および図7に示すように、後部吸収コア222とバックシート23との間に後部ポケット27が形成される。本体部2では、好ましくは、図1に示す後部吸収コア222の周囲のうち開口25から一対のコア部弾性部材29の幅方向の外側までの部位がバックシート23と非接合とされ、本実施の形態では、後部吸収コア222の周囲のうち、開口25近傍のコアエッジを含むとともにコアエッジから本体部2の幅方向の両端部におよそ至る部位が、バックシート23と非接合とされる。吸収性物品1では、前部ポケット26および後部ポケット27は、一対の側部ポケット28と連続している。
図6に示すように、前方部201では、前部吸収コア212の幅方向の両側において、バックシート23の端部235が、コア被覆シート22およびサイドシート3と共に、着用者とは反対側にて幅方向の内側へと折り返され(すなわち、吸収性物品1の外部側へと折り返され)、バックシート23の端部235と対向する部位上にホットメルト接着剤や熱圧着等により固定される。以下、バックシート23の幅方向の両側の端部235を「折り返し部235」という。本実施の形態では、折り返し部235の幅方向の幅は、長手方向のおよそ全長に亘って一定とされる。
図8は、着用者とは反対側である外部側からバックシート23を見た底面図である。図8では、吸収性シート部材20の開口25(図1参照)と重なる中央露出領域234を二点鎖線にて囲んでおり、図8中において中央露出領域234よりも上側に前部ポケット26が形成され、中央露出領域234よりも下側に後部ポケット27が形成されている。また、図の理解を容易にするために、折り返し部235に平行斜線を付す(図11においても同様)。
図8に示すように、長手方向に伸びる一対の折り返し部235は、前部ポケット26に重なる位置から中央露出領域234まで連続する。具体的には、各折り返し部235が、前部ポケット26の長手方向の前端部から中央露出領域234と前部ポケット26との間の境界まで(すなわち、前部ポケット26の長手方向の全長に亘って)バックシート23上に固定される(図5および図6参照)。さらに、中央露出領域234およびその側方において、バックシート23の着用者側とは反対側に折り返された端部はバックシート23上には固定されず、図4に示すように、前部ポケット26から離れるに従って幅方向の外側へと広がる(すなわち、折り返しが漸次解消される)。そして、図4および図8に示すように、一対の折り返し部235から連続する一対の折り目236が中央露出領域234、または、中央露出領域234の幅方向の側方に形成される。
折り目236は、中央露出領域234と前部ポケット26との間の境界上、または、当該境界の幅方向への延長線上において、吸収性物品1の側部エッジ101(すなわち、吸収性物品1の最も幅が大きい後方部203におけるエッジ)よりも幅方向の内側に位置する。また、前部ポケット26内では、図6の左半分を拡大した図9に示すように、折り返し部235の着用者とは反対側の親水性シート232の面2351が、コア被覆シート22の第2被覆シート2202により覆われるとともに、当該面2351に対向する第2被覆シート2202の面2203と非接合とされる。なお、折り返し部235の親水性シート232の面2351は、必ずしも第2被覆シート2202により覆われる必要はなく、コア被覆シート22から連続する他の部材(例えば、サイドシート3)により覆われるとともに当該他の部材と非接合とされてもよい。
図1に示す吸収性物品1では、着用者から排泄された軟便等の排泄物が、開口25を介してバックシート23へと向かい、バックシート23の中央露出領域234にて受けられる。中央露出領域234にて受けられた排泄物は、前部ポケット26、側部ポケット28および後部ポケット27の内部空間へと移動して収容される。
以上に説明したように、吸収性物品1では、前部ポケット26の幅方向の両側において、バックシート23の端部が着用者側とは反対側に折り返されてバックシート23上に固定されることにより、長手方向に沿って伸びる一対の折り返し部235が形成され、一対の折り返し部235が、前部ポケット26から中央露出領域234と前部ポケット26との間の境界まで連続する。これにより、前部ポケット26から中央露出領域234にかけてのバックシート23の長手方向の強度を向上することができる。
その結果、側壁部弾性部材32,35やコア部弾性部材29の収縮により中央露出領域234が長手方向に大きく収縮することが抑制され、吸収性シート部材20の開口25を大きく維持することができるとともに、前部ポケット26から中央露出領域234にかけてバックシート23と吸収性シート部材20との間の厚さ方向の距離を大きく維持することができる。このため、吸収性物品1では、排泄物を前部ポケット26、側部ポケット28および後部ポケット27に確実に収容して保持することができ、排泄物が着用者の肌に広範囲に亘って付着することが防止される。
吸収性物品1では、長手方向に伸びる一対の折り返し部235が、前部ポケット26に重なる位置から中央露出領域234の近傍まで連続するとともに、前部ポケット26と中央露出領域234との間の境界よりも手前側(すなわち、前側)にてバックシート23上への固定が解消されるように形成されてもよい。換言すれば、各折り返し部235は前部ポケット26の長手方向のおよそ全長に亘ってバックシート23上に固定される。この場合も、上記と同様に、前部ポケット26から中央露出領域234にかけてのバックシート23の長手方向の強度を向上することができ、その結果、側壁部弾性部材32,35やコア部弾性部材29の収縮により中央露出領域234が長手方向に大きく収縮することが抑制され、吸収性シート部材20の開口25を大きく維持することができる。
なお、折り返し部235は、前部ポケット26から中央露出領域234上まで連続して(すなわち、前部ポケット26と中央露出領域234との間の境界を跨いで)設けられてもよいが、中央露出領域234においてバックシート23の折り返された部位を伸ばして中央露出領域234と吸収性シート部材20との間の厚さ方向の距離を大きくするという観点からは、前部ポケット26と中央露出領域234との間の境界を跨ぐことなく、当該境界まで、または、当該境界よりも手前側における境界近傍まで形成されることが好ましい。
このように、吸収性物品1は、吸収性シート部材20の開口25を大きく維持して排泄物を確実に収容することができるため、使い捨ておむつ等の外装物品の内側にて着用者の肌の比較的狭い範囲を覆うとともに容易に交換可能な補助吸収具に特に適している。
吸収性物品1では、一対の折り返し部235から連続する一対の折り目236が中央露出領域234またはその側方に形成されることにより、中央露出領域234の長手方向の強度を向上しつつ中央露出領域234を吸収性シート部材20から厚さ方向に大きく離間させることが可能とされる。このため、中央露出領域234にて受けられた排泄物が着用者の肌に付着することをより一層抑制することができる。また、前部ポケット26の高さおよび後部ポケット27の高さ(すなわち、前部吸収コア212とバックシート23との間の厚さ方向の距離、および、後部吸収コア222とバックシート23との間の厚さ方向の距離)を大きくすることができるため、吸収性物品1の排泄物の収容力を向上することができる。さらに、中央露出領域234にて受けられた排泄物が折り目236の幅方向の外側の部位を伝わって前部ポケット26の前端部(すなわち、長手方向における中央露出領域234とは反対側の端部)の隅部まで移動するため、排泄物の収容において、前部ポケット26全体を効率的に利用することができる。
上述のように、バックシート23では、一対の折り返し部235が前部ポケット26の全長に亘ってバックシート23に接合されることにより、折り返し部235に連続する折り目236の中央露出領域234における長手方向の強度が向上される。その結果、中央露出領域234の長手方向の強度がさらに向上され、吸収性シート部材20の開口25をより確実に大きく維持することができる。また、前部ポケット26内において(特に、中央露出領域234の近傍において)、折り返し部235の着用者とは反対側の面2351(図9参照)が、当該面2351に対向するコア被覆シート22の面2203と非接合とされることにより、中央露出領域234において、折り目236が着用者側へと(吸収性シート部材20に向かって)容易に立ち上がる。その結果、中央露出領域234の強度向上が容易に実現され、吸収性シート部材20の開口25の維持も容易とされる。
吸収性物品1では、前部吸収コア212の幅が後部吸収コア222の幅よりも小さくされ、前部吸収コア212の幅方向の両側端にてコア被覆シート22がバックシート23と共に折り返されることにより一対の折り返し部235が形成される。これにより、折り返し部235の幅方向の外側のエッジに連続する折り目236を、中央露出領域234と前部ポケット26との間の境界上、または、当該境界の幅方向への延長線上において、確実に吸収性物品1の側部エッジ101よりも幅方向の内側に位置させることができる。これにより、中央露出領域234の長手方向の強度を確実に向上することができる。また、前部吸収コア212の両側端を利用して折り返し部235を容易に形成することができるとともに、吸収性物品1の前後の判別を容易とすることもできる。さらに、前部吸収コア212および後部吸収コア222にスリット2122,2222が設けられることにより、前部吸収コア212および後部吸収コア222が着用者側に凸状となるように変形しやすくなるため、前部ポケット26の高さおよび後部ポケット27の高さよりを大きくすることができる。
吸収性物品1では、本体部2の幅方向の両側に一対の側壁部34が形成され、側壁部弾性部材32,35により側壁部34が収縮して立体ギャザーが形成されることにより、排泄物の一部が、前部ポケット26、側部ポケット28および後部ポケット27に収容されなかった場合であっても、当該排泄物の一部が着用者の脚周りから漏出することを抑制することができる。また、側壁部34の幅方向の内側の面の一部が親水性とされることにより、軟便等が側壁部34の内側に付着した場合に、軟便等が当該親水性の部位(すなわち、親水性不織布37)よりも側壁部34の自由端側へと移動することが抑制される。その結果、排泄物が着用者の脚周りから漏出することをより一層抑制することができる。さらに、側壁部弾性部材32,35の収縮により、前方部201および後方部203が着用者に沿うように変形するため、中間部202において吸収性シート部材20とバックシート23との間の厚さ方向の距離が大きくされる。
上述のように、吸収性物品1では、開口25の両側において伸張状態にてコア被覆シート22に接合される一対のコア部弾性部材29が設けられており、コア部弾性部材29が長手方向に収縮することにより、図3および図4に示すように、一対の側部ポケット28のそれぞれにおいて、吸収性シート部材20のコア被覆シート22がサイドシート3および外装シート231と共に着用者側へと大きく立ち上がる。また、コア部弾性部材29の収縮により、図2、図5ないし図7に示すように、前部吸収コア212および後部吸収コア222がバックシート23から離れるように着用者側へと持ち上げられる。これにより、開口25近傍における吸収性シート部材20とバックシート23との間の厚さ方向の距離を大きく維持することができる。その結果、排泄物を前部ポケット26、側部ポケット28および後部ポケット27により確実に収容することができる。
吸収性物品1では、コア部弾性部材29の収縮力が側壁部弾性部材32の収縮力以下とされることにより、コア部弾性部材29の収縮による中央露出領域234の長手方向の収縮が抑制される。その結果、吸収性シート部材20の開口25を大きく維持することができる。
バックシート23では、撥水性または不透液性の外装シート231の着用者側に親水性シート232が積層されることにより、バックシート23の中央露出領域234にて受けた排泄物の水分をバックシート23上にて長手方向に迅速に拡散させ、後部ポケット27および前部ポケット26の内部空間へと容易に導くことができる。また、外装シート231の着用者側に吸収シート233(の高吸収性樹脂層)が設けられることにより、バックシート23が嵩高になることを防止しつつ排泄物の水分をバックシート23上にて固定することができる。その結果、吸収性物品1の着用感の低下が抑制されるとともに着用者の肌への排泄物の付着がさらに抑制される。
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
吸収性物品1では、折り返し部235のバックシート23上への固定は、必ずしもホットメルト接着剤や熱圧着による必要はなく、例えば、バックシート23の折り返し部235と対向する部位において、外装シート231上に面ファスナが設けられ、当該面ファスナのフックが折り返し部235と面ファスナとの間に位置するサイドシート3と係合することにより、折り返し部235がサイドシート3と共にバックシート23上に固定されてもよい。また、面ファスナに代えて、粘着テープが利用されてもよい。このように、折り返し部235がバックシート23上に着脱自在に固定されることにより、例えば、尿の量が比較的多いため前部ポケット26の容量を大きくしたい場合には、図10に示すように、バックシート23の端部を折り返すことなく、前部ポケット26の幅を大きくして使用することができる。
図11は、吸収性物品の他の例を示すの底面図である。図11に示す吸収性物品1aのバックシート23では、折り返し部235の幅方向の幅が、長手方向において吸収性物品1aの中央露出領域234から前側へと離れるに従って漸次増大する。また、折り返し部235から連続する折り目236は、中央露出領域234と前部ポケット26との間の境界上、または、当該境界の幅方向への延長線上において、吸収性物品1の側部エッジ101よりも幅方向の内側に位置する。このように、中央露出領域234またはその側方に一対の折り目236が形成されることにより、上記実施の形態と同様に、中央露出領域234の長手方向の強度を向上しつつ中央露出領域234を吸収性シート部材20(図1参照)から厚さ方向に大きく離間させることが可能とされる。なお、吸収性物品では、吸収性シート部材20の前部吸収コア212(図1参照)が、バックシート23の両端部と共に折り曲げられてバックシート23上に固定されることにより、折り返し部235の一部を構成してもよい。
上述の吸収性物品1,1aでは、排泄物が収容されるポケットの容積を大きくするためには、吸収性シート部材20とバックシート23との間に前部ポケット26および後部ポケット27の双方が設けられることが好ましい。
ただし、前部吸収コア212および後部吸収コア222のうち一方の吸収コアとバックシート23との間にポケットが形成され、他方の吸収コアとバックシート23との間にはポケットが形成されない場合(この場合、吸収性シート部材の上記他方の吸収コアに対応する部位が、およそ全面に亘ってバックシート23に接合される。)であっても、当該一方の吸収コアの幅方向の両側に一対の折り返し部235が形成されることにより、当該一方の吸収コアとバックシート23との間のポケットから中央露出領域234にかけてのバックシート23の長手方向の強度を向上することができる。これにより、吸収性シート部材20の開口25を大きく維持することができるとともに、上記ポケットから中央露出領域234にかけてバックシート23と吸収性シート部材20との間の厚さ方向の距離を大きく維持することができる。
このように、一方の吸収コアとバックシート23との間にポケットが形成され、他方の吸収コアとバックシート23との間にはポケットが形成されない場合、前部吸収コア212が上記一方の吸収コアとされて前部ポケット26が形成されることにより、ベッド等で仰向けに寝ている状態の着用者からの排泄物を、前部ポケット26に確実に収容することができ、排泄物が着用者の肌に広範囲に亘って付着することを防止することができる。さらに、長手方向において前部吸収コア212が後部吸収コア222よりも長くされることにより、前部ポケット26の容積を増大させ、ベッド等で仰向けに寝ている状態の着用者からの排泄物をより確実に収容することができる。また、後部吸収コア222が上記一方の吸収コアとされて後部ポケット27が形成される場合には、ベッド等で横向けに寝ている状態の着用者からの排泄物を後部ポケット27に確実に収容することができる。
一対のコア部弾性部材29は、開口25近傍における吸収性シート部材20とバックシート23との間の厚さ方向の距離を大きくするという観点からは、前部吸収コア212に重なる位置から後部吸収コア222に重なる位置まで設けられることが好ましいが、必ずしも、前部吸収コア212に重なる位置から後部吸収コア222に重なる位置まで設けられる必要はなく、少なくとも開口25の幅方向の側方から前部吸収コア212(すなわち、両側に折り返し部235が形成される吸収コア)に重なる位置まで設けられていればよい。また、コア部弾性部材29はコア被覆シート22に接合されていればよく、例えば、前部吸収コア212および後部吸収コア222の上側(着用者側)にて両吸収コアとコア被覆シート22の第1被覆シート2201との間に接合されてもよい。
吸収性シート部材20では、コア被覆シート22は1枚のシート部材とされてもよく、この場合、当該シート部材の前部吸収コア212および後部吸収コア222の着用者側を覆う部位が第1被覆シート2201に相当し、前部吸収コア212および後部吸収コア222のバックシート23側を覆う部位が第2被覆シート2202に相当する。また、コア被覆シート22は、少なくとも前部吸収コア212および後部吸収コア222の着用者側を覆っていればよい。
バックシート23は、少なくとも撥水性または不透液性の外装シート231を備えていればよく、親水性シート232および吸収シート233のいずれか一方または両方が省略されてもよい。
上述の吸収性物品の構造は、外装物品の内側に取り付けられる補助吸収具以外にも、例えば、上端に胴部開口を有し、下部に一対の脚部開口を有するパンツタイプの使い捨ておむつや、着用者の腹側に当接する部位と背側に当接する部位とを腰回りで止着して着用するオープンタイプの使い捨ておむつに適用されてよい。