JP4218884B2 - 吸収体製品 - Google Patents

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本発明は防漏シートにフィルムを使用しない使い捨ておむつに関する。
従来においても防漏シートにフィルムを使用しない使い捨て紙おむつとして通気性や風合いを重視して防漏シートに不織布シートを用いる試みがあるが、強度や耐水性が不足する傾向にあり、シートの秤量を増加させたり、耐水紙等を積層させるなどの結果、シート自体が厚く剛直になり着用感を阻害することがあった。
特開昭55−45876号公報 特開2001−355173公報
解決しようとする問題点は吸収体コアの周縁部その他の特に耐水性を要する部位または展開型おむつの固定テープ根元部その他の特に強度を要する部位に、適した耐水性、強度および通気性を得ることができる吸収体製品を提供することにある。
本発明は吸収体コアの下着側に位置し排泄物を遮蔽する防漏シートを備えた吸収体製品において、防漏シートにフィルムを使用せず、1枚あるいは複数枚のシートを幅方向あるいは長手方向に折り込んで重ね、最大で5枚程度のシートを折り重ねて使用することを最も大きな特徴とする。
展開型おむつの固定テープ根元部やパンツ型おむつのサイドシール部及び胴回り開口部の上縁などの特に強度を要する箇所、また吸収体コアの周縁部や股下域などの特に防漏性を要する箇所に、より多くのシートを折り重ねることで、強度や耐水性に優れ、全体として風合い、フィット性に優れたおむつが得られる。
素材は不織布(サーマルボンド不織布、スパンボンド等で撥水性のものが好ましい)、または不織布と薄葉紙を組み合わせてもよい。
折り重ねた後に、シート同士を、ホットメルト接着剤、超音波接着、ヒートシール、水流交絡など公知の方法で接合してもよい。その際には折り込んだシート同士は全面で接合しても良いが、パターン、ランダム等で間欠的に一体化した方が柔軟性の点で優れている。
折りにより生じた袋状内部に、吸収補助シート(超吸収性ポリマーを含む吸収体コアや吸水紙等)や防漏補助シート(撥水性不織布等)を組み込んでもよい。また適所に、消臭、抗菌、スキンケアを目的とした薬剤を塗布するなどしてもよい。
一体化したバックシートの耐水性としては、JIS L1092−1992A法(低水圧法)により耐水度15cm以上、より好ましくは20cm以上である。(15cmより低いと耐水性が不十分で、防漏シートから体液のしみ出し、漏れが起こりやすくなる。)また、通気性としては、JIS L1018(フラジール法)で10cm/cm/sec以上とする。
また本発明は吸収体コアの周縁部その他の耐水性を要する部位に防漏シートを構成するシートを他の個所よりも多数枚折り重ねたものを包含する。
本発明は吸収体製品が展開型おむつまたはパンツ型おむつである場合を含んでいる。
更に本発明は展開型おむつの固定テープ根元部その他強度を要する部位に防漏シートを構成するシートを他の個所よりも多数枚折り重ねたものも包含している。
本発明の吸収体製品の効果を要約して列記すれば次の通りである。
(1)テープの根元部や吸収体コアの周縁など、強度あるいは耐水性において特に必要な部位に、適した強度、通気性、耐水性を得ることができる。
(2)防漏シートが過度に硬くなることがなく、不織布本来の柔軟性が維持されやすい。
(3)複数枚のシートを貼り合わせる場合に比べ、工程が少なくて済む。
(4)おむつの股下部の切欠きについて、防漏シート全面を積層体とする場合に比べて、工程中の廃棄物の量が削減される。
以下に本発明の実施例を展開型おむつおよびパンツ型おむつを示した図面を用いて説明するが、本発明はあらゆるタイプの使い捨ておむつに適用可能で、その実施態様も図面に示したものに制約されるものではない。
図1および図2は展開型おむつの内側外観図および外側外観図であり、図3は図1のX−X断面図である。図において(1)は下着側に位置し排泄物を遮蔽する防漏シート、(2)は吸収体、(3)は身体側に位置する表面シートである。
(4)は表面シート(3)の吸収体(2)の左右両側に対応する位置より内向きに対抗して立ち上げた立体ギャザーである。吸収体(2)は表面シート(3)と防漏シート(1)との間に形成される袋状部に収容される。
(5)はおむつ装着用のテープ(おむつ廃棄時の結束用テープも兼ねている)で、防漏シート(1)の外面背側の左右両側に夫々内端部を固定し外端側は外側に張り出し延長している。おむつを身体に装着する際に左右のテープ(5)(5)の外端部を防漏シート(1)の外面腹側に設けたテープ止め(6)に結合止着する。その結合止着は面テープと面テープの組合わせ、面テープと不織布との組合せあるいは粘着性結合材によることができる。
図3では防漏シート(1)の折り込んで重ねた態様を示すためにその折具合を模式的に示しているが、一枚のシートを幅方向に左右対称に折り込んで防漏シート(1)を構成している。
即ち吸収体(2)の下面に対応する幅部分(1−1)を残して左右より下方内側に折り込み(1−2)(1−2)し、幅部分(1−1)の下面中央の突き合わせ部で間隔を存しまたは存せずして下方外側に反転(1−3)(1−3)し、その外側張り出し延部の両端縁を上方内側に折り込み(1−4)(1−4)している。
図4から図8は図3の場合と同じく一枚のシートを用いて防漏シート(1)を構成した例を示している。
図4ではシートを吸収体(2)の全巾および左右の外側張り出し延部を含めた中央幅部分(1−5)の両側を上方内側に折り込み(1−6)(1−6)し、中央部に間隔を存して再び上方外側に反転(1−7)(1−7)し、この吸収体(2)の下面に接する反転部(1−7)(1−7)の外側縁は吸収体(2)の外側対応部で終っている。
図5は図4の防漏シート(1)のみを示し防漏シートの折り方を判り易くしたものである。
図6は図5の変形例を示し図5の反転部(1−7)(1−7)の外側を吸収体(2)の外側対応部で更に内側に再反転(1−8)(1−8)させたものに相当しこの再反転部(1−8)(1−8)の内側縁は間隔を存しまたは存せずして吸収体(2)の下部中央で突き合わされている。
図3〜図5では防漏シート(1)は突き合わせ部(ここでは1層のシート)を除いては吸収体(2)の下面では3層のシートが重ね合わされ、また固定テープ(5)の取り付け部位では2層のシートが重ね合わされている。
これに対し図6では吸収体(2)の下面では1層のシートとなっている突き合わせ部を除いては4層のシートが重ね合わさっている。
図7の左は一枚のシートの左右両側のみを上方内側に2重折りした例で前出の中央幅部分(1−5)の両側縁部を上方内側に折り込み(1−9)(1−9)し、更にその外縁部を包み込み式に2重折り(1−10)(1−10)し、この2重折りの包み込み部(3層のシートからなる)を固定テープ(5)の取り付け部としてその取付け強度を向上させたものである。
図7の右は図6で2重折り(1−10)(1−10)のない例を示している。
図8は防漏シート(1)をシート2枚で構成した例で図6において再反転部(1−8)(1−8)と反転部(1−7)(1−7)の間に左右を通してシート(1)とは別個の1枚のシート(1−A)を介敷した例である。
図9も防漏シート(1)をシート2枚で構成した例であるが、同一の2枚のシート(1)(1)を左右より夫々折り込んで組合わせ相互に重ね合わせている。
即ち左右のシート(1−L)(1−R)をその右側または左側夫々吸収体(2)の全巾および外側の張り出し延部を含めた幅長のベース部分(1−L−1)(1−R−1)として上下に重ね合わせ、一方のベース部分(1−R−1)の右側を他方のベース部分(1−L−1)の遊離端縁を包むようにして上方内側に折り返(1−R−2)し、他方のベース部分(1−L−1)の左側を他方のベース部分(1−L−1)の遊離端に対応する位置で上方内側に折り返(1−L−2)し、両者の折り返し部(1−L−2)(1−R−2)の中央突き合わせ部で間隔を存しまたは存せずして更に上方外側に反転折り返(1−L−3)(1−R−3)している。
上記の折り返し部(1−L−2)(1−R−2)および反転折り返し部(1−L−3)(1−R−3)は図5の左右の(1−6)(1−7)に対応する。
図10は図3〜図9の防漏シート(1)の折り重ねに補助シートを加えた例である。
防漏シート(1)の折り重ねにより生じた袋状内部(7)に吸収もしくは防漏補助シート(8)を組み込んだものである。
この補助シート(8)は超吸収性ポリマーを含む吸収体コアや吸水紙等の吸収補助シートまたは撥水性不織布等の防漏補助シートとすることができる。
これにより防漏シートにシート(1)の折り重ねによる多層化、袋状部の形成等による機能に加えて補助シート(8)による機能を持たせることができる。
図11〜図14はパンツ型おむつに本発明を適用した例を示す。
図11はパンツ型おむつの正面外観図で図12はそのY−Y断面で展開した図である。
パンツ型おむつは完全パンツ本体(21)とこの完全パンツ型本体(21)に内装されるパッド部(22)とからなり、パッド部(22)は本体(1)の幅方向中央部に沿って長手方向(Y−Y方向)に挿入し、必要に応じパッド部(22)は本体(21)の内面に固定される。
完全パンツ型本体(21)は防漏シート(1)で構成され、この防漏シート(1)は1枚あるいは複数枚のシートを長手方向(Y−Y方向)に折り込んで重ねて使用する。
パッド部(22)は身体側の表面シート(3)と裏側のバックシート(9)との間に形成した袋状部に吸収体(2)を収容している。但しバックシート(9)にはフィルムは使用しない。バックシート(9)には不織布またはティシュ(紙)が用いられる。尚バックシート(9)は用いなくてもよい。
防漏シート(1)は胴廻り前部から胴廻り後部に亘って長手方向全長に延びた長尺外面部(1−20)の両端部を内面側へ反転(1−11)させ股下部に向って対抗的に延び、股下部で間隔を存しまたは存せずして内面側へ再反転(1−12)させ、夫々胴廻り部に延びている。
再反転部(1−12)が本体(21)の内面を形成する。
(10)はメイン部(1−10)と反転部(1−11)との外方両端袋状部間に装着したウエストギャザー、(11)は反転部(1−11)と再反転部(1−12)との内方両端袋状部間に装着したレッグー股下ギャザーである。
図13は防漏シートの別の折り重ね方法を示したもので、吸収体(2)の内挿長さに対応する短尺の外面部(1−13)の長手方向両端部を内側に向けて内方に反転(1−14)させ、股下部に向って対抗的に延び股下部で間隔を存しまたは存せずして内側に向けて再反転(1−15)させ、夫々胴廻り部に向って延ばし胴廻り部で両端を外側に向けて逆反転(1−16)させ再反転部(1−15)と逆反転部(1−16)との間にウエストギャザー(10)を内装する袋部に形成する。
レッグー股下ギャザー(11)は反転部(1−14)と再反転部(1−15)とで形成された股下部対応の袋部内に装着される。
図14は更に別の防漏シートの折り重ね方法を示したもので、長尺の外面部(1−10)の両端部を内側に向って内方へ包み込むように反転(1−17)させ、包み込み端縁部(1−18)と反転部(1−17)との間にウエストギャザー(10)を内装した袋状部を形成する。
外面部(1−10)の内面上には前後の反転部(1−17)間に位置する他の中央シート(1−C)を組合わせ添設する。
中央シート(1−C)は右端上方に間隔部を隔て、リング状に差回し、この差回した上下のシート(1−C−1)と(1−C−2)の間にレッグー股下ギャザー(11)を通すようにしている。
本例は図11〜図14とは別例を示すパンツ型おむつに係わり、図15は完全パンツ股下部の断面図である。
パンツ型おむつは完全パンツのパッド部(22)と完全パンツ本体(21)とからなり、パッド部(22)は常法に従い完全パンツ本体(21)に内装して使用される。
パッド部(22)は吸収体(2)、表面シート(3)および立体ギャザー(4)を備えているが、図12バックシート(9)の構成は備えていない。
このバックシートに代えて図4の防漏シート(1)と同一構成のものをパッド部の防漏シート(1−P)として用いている。
この防漏シート(1−P)には不織布又は不織布と薄葉紙の複合体を幅方向に折り込んで重ねて使用している。
この場合には完全パンツ本体(21)は不織布または不織布と薄葉紙との複合体からなる防漏シート(1−M)からなり、長手方向に折り込んで重ねて使用する必要がなく、フラットの構成である。
展開型おむつの内側外観図である。 展開型おむつの外側外観図である。 図1のX−X断面図である。 防漏シートの折り方の例示図である。 防漏シートの折り方の例示図である。 防漏シートの折り方の例示図である。 防漏シートの折り方の例示図である。 防漏シートの折り方の例示図である。 防漏シートの折り方の例示図である。 防漏シートに補助シートを加えた例示図である。 パンツ型おむつの外観正面図である。 図11のY−Y断面図である。 防漏シートの折り方の例示図である。 防漏シートの折り方の他の例示図である。 パンツ型おむつの別例を示す断面説明図である。
符号の説明
1……防漏シート
1−1……巾部分
1−2……折り込み部
1−3……反転部
1−4……折り込み部
1−5……中央幅部分
1−6……折り込み部
1−7……反転部
1−8……再反転部
1−9……折り込み部
1−10……2重折り部
1−11……反転部
1−12……再反転部
1−13……短尺の外面部
1−14……反転部
1−15……再反転部
1−16……逆反転部
1−17……反転部
1−18……包み込み端縁部
1−20……長尺外面部
1−A……別個のシート
1−L……左シート
1−R……右シート
1−L−1……ベース部分
1−R−1……ベース部分
1−L−2……折り返し部
1−R−2……折り返し部
1−L−3……反転折り返し部
1−R−3……反転折り返し部
1−P……パッド部の防漏シート
1−M……完全パンツ本体の防漏シート
2……吸収体
3……表面シート
4……立体ギャザー
5……装着用テープ
6……テープ止め
7……袋状内部
8……補助シート
9……パッド部のバックシート
10……ウエストギャザー
11……レッグ股下ギャザー
21……完全パンツ本体
22……パッド部

Claims (10)

  1. 吸収体コアの下着側に位置し排泄物を遮蔽する防漏シートを備えた吸収体製品において、1枚の不織布シートを左右対称で幅方向に反転式に折り込んで重ねて使用し、該吸収体コア下方では上記不織布シートの3層重ね構成にすると共に両側延部を上記不織布シートの2層重ね構成とし、かつ上記不織布シートの吸収体コア下方の重ね部に吸収ないしは防漏補助シートを組み込む袋状内部を形成したことを特徴とする吸収体製品。
  2. シート素材が不織布または不織布と薄葉紙の組合わせである請求項1記載の吸収体製品。
  3. 防漏シートの耐水性がJIS L1092−1992A法(低水圧法)により耐水度15cm以上である請求項1または2記載の吸収体製品。
  4. 防漏シートの通気性がJIS L1018(フラジール法)で10cm/cm/sec以上である請求項1から3までのいずれか1項記載の吸収体製品。
  5. 1枚または複数枚のシートを折り込んで重ねた後に、重ねにより生じた袋状内部に他のシートを組み込みまたは組み込まずしてシート同士を間欠的または全面的に接合一体化した請求項1から4までのいずれか1項記載の吸収体製品。
  6. 1枚または複数枚のシートを折り込んで重ねることにより生じた袋状内部に、吸収補助シートまたは防漏補助シートを組み込んだ請求項1から5までのいずれか1項記載の吸収体製品。
  7. 防漏シートまたは補助シートの適所に消臭、抗菌、スキンケア用薬剤を塗布した請求項1から6までのいずれか1項記載の吸収体製品。
  8. 吸収体コアの周縁部その他の耐水性を要する部位に防漏シートを構成するシートを他の個所よりも多数枚折り重ねた請求項1から7までのいずれか1項記載の吸収体製品。
  9. 吸収体製品が展開型おむつまたはパンツ型おむつである請求項1から8までのいずれか1項記載の吸収体製品。
  10. 展開型おむつの固定テープ根元部その他強度を要する部位に防漏シートを構成するシートを他の個所よりも多数枚折り重ねた請求項9記載の吸収体製品。
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