JP3973416B2 - 浴水浄化装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、浴水浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
浴槽の浴水を循環させて取り込み、これを浄化し、場合によっては殺菌や加温などの処理を加えて、浴水に戻す浴水浄化装置が広く普及している。
浴水の浄化は、主としてろ過により行われているが、近年塩素殺菌を行うことも検討されている。
塩素殺菌を行う場合には、塩素の濃度管理が重要であり、塩素濃度が低いと殺菌効果が不十分であり、また塩素濃度が高いと人体に対して悪影響を与える問題がある。
そのため、浴水の塩素殺菌を行う場合には、従来は浴水中に塩素センサを設け、常に塩素濃度を監視し、塩素濃度が所定の範囲に入るように塩素注入を行っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記した従来の装置の場合、常に塩素センサを浴水中に置いておく必要があり、浴水の汚れなどから塩素センサを保護する構造などが必要である上、センサ部分に流す浴水の流量を制御する装置が必要であり、装置が高価で且つ複雑になる問題があった。
また、浴水中の塩素濃度は浴水の汚れに吸収されるため、注入量の調整が難しく、精度の高い塩素注入を行うのが難しい問題があった。
本発明は上記従来技術の問題を解決することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は浴槽の浴水を取り込み、浄化した後に浴槽に戻す浴水の循環経路を有する浴水浄化装置において、前記浴水の循環経路から、必要に応じて適宜浴水を採取する装置と、該採取した採取浴水を保持する測定タンクと、該測定タンクに設けられ、該採取された採取浴水の塩素濃度を測定するセンサと、該測定タンクに塩素を注入する手段と、該測定タンクに注入されたタンク注入塩素量と前記センサにより測定された採取浴水塩素濃度に基づいて、浴水を所定塩素濃度にするために必要である前記浴水の循環経路から浴水に注入すべき塩素量を算出する装置と、該算出された塩素量に基づいて、前記浴水の循環経路から浴水に塩素を注入する装置と、を備えたことを特徴とする。上記構成では、必要なときに測定タンクに浴水を採取してセンサにより塩素濃度を測定するから、浴水の汚れに対するセンサの保護は従来の装置ほど必要とせず、またセンサ部に流す浴水の流量の制御など必要としないため、装置の簡単化と低コスト化を図れる。また、測定タンクにおいて実際に浴水に塩素を注入するから、必要とする塩素量を正確に知ることが可能である。そのため、精度の高い塩素注入を行える。
なお、必要とする塩素量を算出するにあたり、目的とする塩素濃度になるまでの塩素注入量に基づいて、必要塩素量を算出することも勿論可能であるが、塩素注入と共に増加する塩素濃度の増加曲線が不連続になる点を検出し、該不連続点に到達するまでの塩素注入量に基づいて注入すべき塩素量を算出する、ことも可能である。塩素注入の初期には、塩素は浴水の汚れと反応するため、塩素濃度の増加は小さいが、注入量が或る量を超えると塩素濃度の増加が大きくなる。この点が不連続点となるが、該不連続点以降の塩素濃度の増加は浴水の汚れと相関が少なく、主に浴水の量に依存するから、予測が可能である。従って、不連続点までの塩素注入量がわかれば、必要塩素量は算出可能である。
また、上記した測定タンクにおける塩素注入量から、浴水の総量を算出することも可能である。即ち、前記塩素を注入する装置により浴水に塩素を注入し、前記目的とする塩素濃度とするのに必要な総塩素注入量を検出し、該総塩素注入量と前記採取された浴水の量及びその塩素注入量とから、浴水の総量を算出することが可能である。
更に、前記塩素を注入する装置を、所定時間内に注入すべき塩素量の全部又は一部を注入可能であるように構成することも可能である。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1において、浴槽50の浴水は、浴水浄化装置Aの入水管55から循環ポンプ51を介してろ過タンク52に導入され、ここでろ過され、ヒータ53で所定温度まで加温されて出水管56から浴槽50に戻されるように構成されている。
【0006】
ろ過タンク52の上部に導入管15を介して測定タンク1が接続されている。導入管15には電磁弁10が設けられており、この電磁弁10の開閉により、必要なときにろ過タンク52の浴水を採取して測定タンク1に導くことが出来るようになっている。11はフィルタである。
【0007】
測定タンク1には図1と図2に示すように、塩素注入器3からの塩素を注入するための測定注入管31が設けらており、塩素注入器3から所定量の塩素注入が行われるようになっている。また塩素センサ2を備えており、測定タンク1に採取された浴水の遊離有効塩素を検出し、該検出信号を制御装置4に送るようになっている。
測定タンク1の下部には排出管16が接続され、この排出管16はろ過タンク52とヒータ53の間に接続されて、測定タンク1の浴水を循環路に戻すように構成されている。
【0008】
塩素注入器3は3方向弁30と前記した測定注入管31及び浴水注入管32を備えており、3方向弁30を切り換えることにより塩素剤(次亜塩素酸ナトリウム等)を測定注入管31又は浴水注入管32に選択的に供給するように構成されている。
測定注入管31は前記したように測定タンク1に接続されており、浴水注入管32は前記出水管56に接続され、浴水に塩素を注入するようになっている。
【0009】
制御装置4は浴水浄化装置全体の制御を行っており、前記電磁弁10、3方向弁30及び塩素注入器3の制御を行っている。また塩素センサ2からの検出信号は、前記したように制御装置4に入力されるように構成されている。
【0010】
以上の構成において、通常の運転時には浴水は浴槽50から循環ポンプ51、ろ過タンク52、ヒータ53を通って、浴槽50に循環され、浴水の浄化を行う。
必要がある時に、電磁弁10が開とされ、フィルタ11を通って導入管15から測定タンク1内に浴水が導入される。
【0011】
該導入した浴水中の塩素量は塩素センサ2により検出され、制御装置4に送られる。これにより浴水の塩素量を検出できる。しかも、塩素センサ2は必要なときにだけ、浴水と接触するから、汚れ等からの保護をあまり必要としない。
単に塩素量の検出のみを行うときは、電磁弁10を開のまま維持して、浴水を排出管16から循環路に流しながら行うことが可能である。
【0012】
測定タンク1に塩素注入を行う場合を図3により説明する。
測定タンク1に浴水を導入したら、3方向弁30を切り換えて測定注入管31を介して塩素を測定タンク1に注入しつつ、塩素センサ2により塩素濃度を逐次チェックする。
注入初期には塩素は浴水の汚れと反応するため、遊離有効塩素は所定時間T1の間はあまり増えない。所定時間後の或る点P1(以下不連続点P1とする)から、塩素濃度は増え始め、T2時間後に目的とする濃度(P2点)に達する。この時の塩素注入量C(C1+C2)と測定タンク1に採取された浴水の量から、浴水単位当たりの必要塩素量が算出できる。該単位当たりの必要塩素量に浴水の総量を掛けてやれば、必要とする総塩素量を得ることができる。
【0013】
なお、浴水の総量は浴槽50の容積と浴水浄化装置Aの容積とから算出することが可能である。
また、更に塩素を注入し、その時の塩素濃度を検出して、この塩素注入量と塩素濃度とから浴水の総量を計算することも可能である。
具体的には、例えば浴水注入管32から浴水中に塩素を注入し、同時に電磁弁10を開にしておき、浴水を測定タンク1にも循環するようにして、塩素濃度を逐次検出し、前記目的とする濃度に達したら注入を停止して、その時の塩素注入量C’を検出する。この塩素注入量C’と前記測定タンク1における塩素注入量C及び測定タンク1に採取された浴水の量とから、実際の浴水の総量を計算することができる。
【0014】
前記実施形態では、図3において目的濃度となるまで塩素を注入したが、不連続点P1までの注入量C1から、塩素注入量Cを予測することが可能である。即ち、不連続点P1までの塩素注入量は浴水の汚れ具合により変化するが、P1点以降P2点までの必要塩素注入量C2は浴水の総量にほぼ比例することがわかっている。従って、不連続点P1までの必要塩素注入量C1がわかれば、目的濃度までの必要塩素注入量C(=C1+C2)は予測可能である。このように、不連続点までの塩素注入でよければ、測定時間を大幅に短縮でき、装置や作業の簡略化を図れる利点がある。
【0015】
図4により動作を説明する。
電磁弁10を開いて測定タンク1に浴水を採取し(ステップS1)、塩素注入器3から塩素を注入する(ステップS2)。塩素センサ2により塩素濃度を測定し(ステップS3)、所定濃度になったか否かチェックする(ステップS4)。所定の濃度は目的とする濃度又は図3に示す不連続点P1の濃度である。所定濃度になるまでの注入塩素量を検出し、該塩素量に基づいて、浴水に注入すべき総塩素量を計算する(ステップS5)。3方向弁30を浴水注入管32側に切り換え、この計算総塩素量を塩素注入器3から浴水浄化装置Aの出水管56に注入し(ステップS6)、所定時間経過後(ステップS7)、再び測定タンク1に新たな浴水を採取して塩素センサ2から塩素濃度のデータを得る(ステップS8)。この塩素濃度が目的濃度の許容範囲か否か判断し(ステップS9)、許容範囲ならば終了する。許容範囲外であれば、ステップ6における計算の係数変更を行い(ステップS10)、濃度が低い場合には再度追加注入量を計算して追加注入を実施する、濃度が高い場合には塩素濃度を下げる処置を施すなどの処理を実行し(ステップS11)、終了する。
【0016】
なお、塩素注入器3から浴水浄化装置Aへ塩素を注入するに際し、図3の不連続点P1までの塩素量C1を、或いはバラツキを堪案してその60パーセント等所定量減量したものを短時間に一括して注入することも可能である。これにより注入時間の短縮化を図ることができる。
【0017】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の浴水浄化装置によれば、必要なときに測定タンクに浴水を採取してセンサにより塩素濃度を測定するから、浴水の汚れに対するセンサの保護は従来の装置ほど必要とせず、またセンサ部に流す浴水の流量の制御など必要としないため、装置の簡単化と低コスト化を図れる等の効果がある。また、測定タンクにおいて実際に浴水に塩素を注入する構成では、必要とする塩素量を正確に知ることが可能であり、精度の高い塩素注入を行える効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す概略図。
【図2】本発明の一実施形態の測定タンク1の拡大図。
【図3】本発明の一実施形態の動作を示す説明図。
【図4】本発明の一実施形態の動作を示すフローチャート図。
【符号の説明】
1:測定タンク、2:塩素センサ、3:塩素注入器、4:制御装置、10:電磁弁、11:フィルタ、15:導入管、16:排出管、30:3方向弁、31:測定注入管、32:浴水注入管、50:浴槽、51:循環ポンプ、52:ろ過タンク、53:ヒータ、55:入水管、56:出水管。

Claims (5)

  1. 浴槽の浴水を取り込み、浄化した後に浴槽に戻す浴水の循環経路を有する浴水浄化装置において、
    前記浴水の循環経路から、必要に応じて適宜浴水を採取する装置と、
    該採取した採取浴水を保持する測定タンクと、
    該測定タンクに設けられ、該採取された採取浴水の塩素濃度を測定するセンサと、
    該測定タンクに塩素を注入する手段と、
    該測定タンクに注入されたタンク注入塩素量と前記センサにより測定された採取浴水塩素濃度に基づいて、浴水を所定塩素濃度にするために必要である前記浴水の循環経路から浴水に注入すべき塩素量を算出する装置と、
    該算出された塩素量に基づいて、前記浴水の循環経路から浴水に塩素を注入する装置と、
    を備えたことを特徴とする浴水浄化装置。
  2. 前記算出する装置が、前記センサにより測定される採取浴水塩素濃度が目的とする塩素濃度になるまでのタンク注入塩素量に基づいて前記浴水の循環経路からの注入すべき塩素量を算出する、
    請求項に記載の浴水浄化装置。
  3. 前記算出する装置が、前記タンク注入塩素と共に増加する採取浴水塩素濃度の増加曲線が不連続になる点を検出し、該不連続点に到達するまでの採取浴水塩素注入量に基づいて前記浴水の循環経路から注入すべき塩素量を算出する、
    請求項に記載の浴水浄化装置。
  4. 前記塩素を注入する装置により前記浴水の循環経路から浴水に塩素を注入して浴水の塩素濃度を検出し、該塩素注入量と該検出塩素濃度及び前記タンク注入塩素量と前記採取浴水塩素濃度に基づいて必要とする塩素量を算出するために浴水の総量を算出する手段を、更に備えた、
    請求項又は又はに記載の浴水浄化装置。
  5. 前記浴水の循環経路から塩素を注入する装置が、所定時間内に注入すべき塩素量の全部又は一部を注入可能である、
    請求項1又は2又は3又は4に記載の浴水浄化装置。
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