JP3973258B2 - ベル型焼鈍炉の炉内雰囲気ガス温度検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ベル型焼鈍炉の炉内雰囲気ガス温度を検出する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
支持台上に積載された処理材(鋼板コイル又は線材コイル)をインナカバーで覆うとともに、このインナカバーをアウタカバーで覆って処理材を熱処理するベル型焼鈍炉が広く利用されている。このベル型焼鈍炉の操業は、炉内を設定温度(焼鈍温度)まで昇温する加熱期、この設定温度に炉内温度を保つ均熱期および処理材を常温付近まで冷却する冷却期からなり、この各期の温度管理は炉内雰囲気ガス温度を測定しながら行う。
【0003】
そのために、従来、炉床を貫通して処理材とインナカバーとの隙間にガイドパイプを立ち上げてその先端に温度検知器を取り付けて支持台付近の炉内雰囲気ガス温度を検出する装置が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、インナカバーと処理材との隙間は狭く、処理材に触れることなく温度検知器を配置することは極めて難しく、また、仮に配置できたとしてもインナカバーの輻射熱が大きく、正確な炉内雰囲気ガス温度を検出することが容易でなかった。そのために、処理材の焼鈍状態を判断するうえで重要な処理材の高温部(ホットポイント)付近の雰囲気ガスの温度を正確に検出できず、焼鈍処理のばらつきを招来する結果となっていた。
【0005】
そこで、本発明は、ベル型焼鈍炉の炉内雰囲気ガス温度を正確に知るための検出装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するためになされたもので、支持台上に積層された処理材を覆うインナカバーとこのインナカバーを覆うアウタカバーとを有するベル型焼鈍炉の炉内雰囲気ガス温度検出装置において、上記インナカバーの内面に沿って垂直に上記インナカバーに固定され且つ処理材に対向する開口部を備えた中空部材と、上記開口部に配置した温度検知器と、上記温度検知器に接続され上記中空部材内を通し上記インナカバーのベースフランジに設けた貫通部を介してインナカバーの外部に引き出した配線と、上記インナカバーの貫通部と配線との間をシールするシール材とを設けたことを特徴とする。
【0007】
【発明の効果】
上記温度検出装置では、温度検知器と配線を内蔵保持する中空部材がインナカバーの内面に固定されているので、温度検知器を処理材から非接触の状態に保つことが容易にできる。また、温度検知器は処理材に対向する開口部の近傍に配置されており、開口部の反対側は中空部材の一部で覆われているので、温度検知器はインナカバーの輻射熱の影響を受けることなく、必要とされる処理材付近の雰囲気ガス温度を検知する。さらに、温度検出装置の配線を外部に導出する貫通部はシール材でシールされているので、この貫通部から炉内の雰囲気ガスが漏れることはない。
【0008】
したがって、本発明によれば、炉内の所望位置における雰囲気ガス温度を正確に検出できる。また、複数の温度検知器を任意の位置に配置できるので、処理材の焼鈍状態を把握でき、これにより適正な焼鈍処理が実現できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。図1において、ベル型焼鈍炉2は、炉床4、処理材であるコイルWが積載される支持台6、支持台6の底部で雰囲気ガスを循環させるファン8、ファン8を回転するモータ10、コイルWを覆うインナカバー12、インナカバー12を覆うアウタカバー14で構成される。複数のコイルWは支持台6上に積載され、インナカバー12で覆い、さらにこのインナカバー12をアウタカバー14で覆う。そして、アウタカバー14に設けたバーナ等の加熱装置(図示せず)によりこれらインナカバー12とアウタカバー14とで形成される空間16を加熱することにより加熱される。
【0010】
インナカバー12内の炉内雰囲気ガス温度を検出する温度検出装置20は、インナカバー12の内面に沿って垂直に固定された中空部材(例えばパイプ)22を備えている。パイプ22は、公称径15A〜25AのSUS309又はSUS310が好適に用いられる。パイプ22は、図2に示すように、上端部近傍のコイルWとの対向部に開口部24を有し、開口部24の反対側(インナカバー側)は塞がれている。開口部24の形状は特に限定されるものでなく、円形、矩形のいずれでもよいし、図3に示すように、パイプ22の上端部から連続した切欠26であってもよい。開口部24には周知の温度検知器(例えば、熱電対)28が図示しない保持手段によって固定されている。なお、本実施形態では、温度検知器28は開口部24から僅かに外側に突出しているが、図3に示すように、パイプ22内に収めてもよい。温度検知器28に接続された電気配線(シース線)30はパイプ22の内部に配設されており、パイプ22の底部から出て、図4に示すように、パイプ22の下端部に沿って取り付けたインナカバーのベースフランジ32の貫通部34を通り、外部の電気接続部36に接続され、インナカバー12の装着時に電気接続部36を炉外に設けた別の電気接続部38に接続することで温度検知器28の検出結果が図示しない制御装置に出力されるようになっている。貫通部34を通る配線30の周囲は適当な耐熱性のシール材(例えば、ハーメチックシール)40でシールされており、炉内の雰囲気ガスが炉外に漏れるのを防止している。
【0011】
以上の構成を有する温度検出装置20は、インナカバー12内に固定されているので、このインナカバー12をコイルWに装着するだけで所望の位置に温度検知器28が配置できる。また、インナカバー12の装着後、インナカバー12から導出された電気接続部36を炉外に設けた電気接続部38に接続するだけで電気的に起動できる。さらに、コイルWとの間には所望の隙間を確保できる。さらにまた、温度検知器28の開口部24と反対側はパイプ22で覆われているので、インナカバー12の輻射熱の影響を受けることがなく、必要な位置における炉内雰囲気ガス温度を正確に検出できる。その結果、焼鈍処理の加熱条件を適正に制御できるし、高品質の製品を提供できる。
【0012】
なお、上記実施形態では、パイプ22の上端部近傍に開口部24を形成したが、開口部24を設ける位置はそこに限定されるものでなく、目的の温度検出位置に対応した部分に形成すればよい。
【0013】
また、一つのパイプ22に複数の開口部24を設けると共に、それぞれの開口部24近傍に温度検知器28を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る温度検出装置を備えたベル型焼鈍炉の縦断面図である。
【図2】 図1のA部拡大断面図で、温度検知器の配置状態を示す。
【図3】 開口部の他の形態を示す図2と類似の図である。
【図4】 図1のB部の拡大断面図で、温度検出装置の電気的接続を示す。
【符号の説明】
W…コイル、2…ベル型焼鈍炉、4…炉床、6…支持台、12…インナカバー、14…アウタカバー、20…温度検出装置、22…パイプ、24…開口部、28…温度検知器、30…配線、32…ベースフランジ、34…貫通部、40…シール材、36、38…電気接続部。
Claims (1)
- 支持台上に積層された処理材を覆うインナカバーとこのインナカバーを覆うアウタカバーとを有するベル型焼鈍炉の炉内雰囲気ガス温度検出装置において、上記インナカバーの内面に沿って垂直に上記インナカバーに固定され且つ処理材に対向する開口部を備えた中空部材と、上記開口部に配置した温度検知器と、上記温度検知器に接続され上記中空部材内を通し上記インナカバーのベースフランジに設けた貫通部を介してインナカバーの外部に引き出した配線と、上記インナカバーの貫通部と配線との間をシールするシール材とを設けたことを特徴とするベル型焼鈍炉の炉内雰囲気ガス温度検出装置。
Priority Applications (1)
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JP08026997A JP3973258B2 (ja) | 1997-03-31 | 1997-03-31 | ベル型焼鈍炉の炉内雰囲気ガス温度検出装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP08026997A JP3973258B2 (ja) | 1997-03-31 | 1997-03-31 | ベル型焼鈍炉の炉内雰囲気ガス温度検出装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH10273737A JPH10273737A (ja) | 1998-10-13 |
JP3973258B2 true JP3973258B2 (ja) | 2007-09-12 |
Family
ID=13713586
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP08026997A Expired - Lifetime JP3973258B2 (ja) | 1997-03-31 | 1997-03-31 | ベル型焼鈍炉の炉内雰囲気ガス温度検出装置 |
Country Status (1)
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Families Citing this family (3)
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-
1997
- 1997-03-31 JP JP08026997A patent/JP3973258B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
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