JP3970547B2 - フレキシブルプリント回路とワイヤハーネスの接続用コネクタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、フレキシブルプリント回路とワイヤハーネスとを電気的に接続するコネクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車等に搭載されるワイヤハーネスとフレキシブルプリント回路(Flexible Printed Circuits:FPC)の接続用コネクタとしては、一般的に、図6に示すようなコネクタが知られている。このコネクタ100は、主として自動車のコンソールパネル内に設置されているメータ類の配線接続用コネクタとして使用されている。
【0003】
コネクタ100は、例えばメータ筐体101に形成された嵌合穴にFPC107を挿入し、コネクタ110を嵌合して電気的接続を行う構造を有している。即ち、FPC107は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)等の合成樹脂からなる絶縁フィルム104の上に、銅箔等の導電材を印刷等した後に、エッチング等の方法により導電パターン(配線パターン)105を形成し、更に回路保護部材としてカバーレイ106をその上に積層して形成されるが、嵌合穴に挿入されるFPC107の端末部においては、カバーレイ106が形成されておらず、導電パターン105が剥き出しの露出した状態となるように形成されている。
【0004】
一方、コネクタ110の内部の端子収容孔111に収容されたワイヤハーネス112の先端には、接続端子113が圧着等により接続されており、この接続端子113には、弾性接触片114が設けられている。これらのことから、このコネクタ100は、コネクタ110を嵌合穴に嵌合することで、先に挿入されたFPC107を嵌合穴内で挟み込み、露出状態のFPC107の導電パターン105を接続端子113の弾性接触片114が嵌合穴の壁面に向かって押圧しつつ接触することで、ワイヤハーネス112とFPC107との電気的導通を確保することができる構造を有しているといえる。
【0005】
また、ワイヤハーネスとFPCの接続用の他のコネクタとしては、図7に示すように樹脂モールド型コネクタ120が知られている。このコネクタ120は、第1のハウジング121及び第2のハウジング122からなり、第1のハウジング121内には、ワイヤハーネスの電線123に接続された雌接続端子124が収容され、第2のハウジング122内には、FPC125の導電パターン126に抵抗溶接等により接続された雄接続端子127が収容されている。なお、雄接続端子127の接合部は、機械的強度向上のために、樹脂モールド部128が形成されている。これらのことから、このコネクタ120は、第1及び第2のハウジング121,122を互いに嵌合することにより内部の雌雄接続端子124,127を接続することで、ワイヤハーネスとFPC125との電気的導通を確保することができる構造を有しているといえる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、例えばコネクタ100を、このような構造の樹脂モールド型コネクタ120に変更しようとすると、複数のハウジングが必要となると共に、コネクタ110等を全て新規のものに変更しなければならないため、総合的な製造コストが高くなってしまうという問題がある。また、樹脂モールド型コネクタ120では、例えば抵抗溶接により雄接続端子127をFPC125の導電パターン126に接合し、ワイヤハーネスの雌接続端子124と嵌合させて電気的導通を図っているが、雄接続端子127とFPC125の導電パターン126との接合を抵抗溶接により行うため、導電パターンがファインピッチで形成されたFPCに接続端子を接合することは困難であるという問題がある。
【0007】
この発明は、このような問題点を考慮してなされたもので、ワイヤハーネスとFPCとを簡単且つ確実に電気的に接続することができるワイヤハーネスとFPCの接続用コネクタを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るコネクタは、絶縁フィルム上に導電パターンが形成されたフレキシブルプリント回路の前記導電パターンと、ワイヤハーネスの電線の先端に接続された接続端子とを電気的に接続するためのコネクタであって、前記接続端子を一端側から収容すると共に、前記フレキシブルプリント回路の端末部を他端側から前記接続端子と重なる位置で収容する収容部、及びこの収容部に連通し前記接続端子及びフレキシブルプリント回路の端末部の挿入方向と直交する方向に延びる係止部材収容孔を形成してなるハウジングと、前記係止部材収容孔に挿入され、完全挿入時にその先端部で前記接続端子と前記フレキシブルプリント回路の端末部とを前記接続端子側から押圧して両者を密着させる係止部材とを備え、前記ハウジングは、前記接続端子と前記フレキシブルプリント回路の端末部とを前記係止部材の押圧方向とは反対の向きの前記端末部側から押圧するバネ片を前記収容部内に突出する状態で設けていることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、ハウジング内にワイヤハーネスの電線に接続された接続端子と、フレキシブルプリント回路の端末部とを重なる位置で収容し、この収容部に連通する、これらの挿入方向と直交する方向に形成された係止部材収容孔に、完全挿入時にその先端部で接続端子とフレキシブルプリント回路の端末部とを接続端子側から押圧して両者を密着させる係止部材を挿入して、さらに収容部内に突出する状態で設けられたバネ片により端末部側から押圧して、ワイヤハーネスとフレキシブルプリント回路との電気的接続を図るコネクタを実現している。ハウジング内の収容部に収容された接続端子とフレキシブルプリント回路の端末部は、係止部材及びバネ片により互いに密着するように押し付けられるため、高い接続信頼性を得ることができる。また、フレキシブルプリント回路の端末部に接続端子を接合(接続)する必要がないと共に、一つのハウジングにより両者の電気的接続を行うことができるので、部品コスト等を削減し、フレキシブルプリント回路とワイヤハーネスの接続用コネクタを安価に製造することが可能となる。これにより、コネクタの製造コストを低減することができる。
【0011】
また、ハウジングの収容部に収容された接続端子とフレキシブルプリント回路の端末部との接続状態を安定したものとするため、ハウジングには、挿入された前記接続端子を前記収容部内に係止固定する係止ランスが形成されていると良い。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照して、この発明の好ましい実施の形態を説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係るコネクタを示す上方斜視図、図2は、同コネクタの一部を断面で示す側面図である。
コネクタ10は、ハウジング11と、このハウジング11に装着される係止部材12とにより構成される。ハウジング11は、全体がブロック状で、前面にはワイヤハーネス(図示せず)の電線13に圧着接続された雄接続端子14を、ハウジング11内に挿入するための端子収容孔15が横5列に配列された状態で形成され、後面にはフレキシブルプリント回路(FPC)20の端末部を挿入するための長方形断面を有する端末部収容孔21が形成されている。なお、端子収容孔15と端末部収容孔21とは、ハウジング11の内部で連通されており、この連通部分は、接続端子14とFPC20の端末部との収容部30(図2参照)となっている。各端子収容孔15の上側の壁には、図2〜図5の断面に示すように、接続端子14の挿入方向と直交する方向になだらかに突出するランス16が形成されている。接続端子14の完全挿入時には、このランス16の先端部が、接続端子14の上面に予め形成された係止凸部17の背面壁18と係合し、接続端子14を端子収容孔15及び収容部30内に係止固定する。また、上部ハウジング壁19の中央よりやや背面側の収容部30の上部には、係止部材12の圧接柱22が挿通され係止部材12が係合される係止部材収容孔23が端子収容孔15と同間隔に、上部ハウジング壁19に向かって横5列形成されている。
【0013】
一方、係止部材12は、ハウジング11の係止部材収容孔23に挿通される長さ、高さ及び幅を有し、ハウジング11への完全装着時にその挿入側先端部24が収容部30の上部に突出する圧接柱22を係止部材収容孔23と同間隔で複数有し、これら圧接柱22の基端側は、板状の係止部材本体板25にそれぞれ接続されている。また、各圧接柱22の正面及び背面側の両側面には、各係止部材収容孔23の正面及び背面側の内部壁所定位置に形成された係合凹部26a,26bに完全装着時に係合して係止部材12をハウジング11に係止固定するための係止突起27a,27bが形成されている(これら係合凹部26と係止突起27とが係止部材12のロック機構を構成する)。
【0014】
雄接続端子14は、金属板等の母材をプレス加工等して形成され、板状の先端接続部28と、その基端部で立上る係止凸部17と、その基端側の電線かしめ部29aと、その更に基端側の被覆かしめ部29bとを備え、電線13の先端に圧着接続されている。FPC20の端末部は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等の合成樹脂からなる絶縁フィルム32と、この絶縁フィルム32上にエッチング等の方法により所定の配列ピッチでパターン形成された、例えばCu等の導電材からなる配線33とで構成されている。
【0015】
次に、このように構成されたこの実施形態に係るコネクタ10の組立方法について説明する。なお、この場合、雄接続端子14とFPC20の端末部との接続信頼性を高めるため、収容部30の底部壁には、下方向に弾性を有するバネ片31(図2参照)がこれらの挿入方向と直交する方向になだらかに突出する状態で形成されていることとする。
図3〜図5は、このコネクタ10の組立工程を工程順に示す縦断面図である。まず、図3に示すように、ハウジング11の正面側の端子収容孔15から収容部30に向けて雄接続端子14を挿入すると、雄接続端子14は、ランス16を上方に押し上げランス16を弾性変形させながら挿入方向突き当たりにある収容部30の内壁34付近まで挿入され、ランス16の先端部が雄接続端子14の係止凸部17の背面壁18と係合して、収容部30内で雄接続端子14が仮係止状態になる。このとき、係止部材12は、各圧接柱22の側面に形成された係止突起27a,27bが、各係止部材収容孔23の上部ハウジング壁19側の開口部周縁に接触して仮係止するまで係止部材収容孔23に挿入され、ハウジング11に仮装着される。なお、係止部材12は、雄接続端子14及びFPC20の端末部がハウジング11内に挿入された後に、ハウジング11に装着されるようにしても良い。
【0016】
次に、図4に示すように、ハウジング11の背面側の端末部収容孔21から収容部30に向けてFPC20の端末部を挿入すると、端末部は、バネ片31を下方に押し下げバネ片31を弾性変形させながら挿入方向突き当たりにある収容部30の傾斜内壁35付近まで挿入され、バネ片31により絶縁フィルム32側が雄接続端子14の先端接続部28方向に向かって押圧された状態で収容部30内に仮係止される。このとき、雄接続端子14の先端接続部28の下面と、端末部の配線33の上面とが接触した状態で収容部30内に仮係止されるようにしても良いし、接圧を低く設定した状態でバネ片31を形成し、両者が離れた状態で仮係止されるようにしても良い。
【0017】
最後に、雄接続端子14とFPC20の端末部をハウジング11の収容部30内に仮係止した状態で、図5に示すように、ハウジング11に仮装着されていた係止部材12を更に上から押し込み、各係止部材収容孔23の内壁に形成された係合凹部26a,26bに圧接柱22の係止突起27a,27bを係合すると、圧接柱22の挿入側先端部24が収容部30内に突出し雄接続端子14の先端接続部28の上面を下方に押し付ける状態で係止部材12が完全装着される。このとき、係止部材12は、自ら及びハウジング11の樹脂そのものの弾性を利用して雄接続端子14とFPC20の端末部を密着するように上方向から押圧する。こうして、収容部30内に収容された雄接続端子14とFPC20の端末部とは、係止部材12(及びバネ片31)により、上方(及び下方)から互いに密着するように押圧された状態となるため、雄接続端子14の先端接続部28と端末部の配線33とは、物理的及び電気的に接続された状態となる。
【0018】
上述したこのコネクタ10によれば、FPCとワイヤハーネスとの電気的接続を図るためにFPC側に接続端子を設ける必要がなく、ハウジングも単体で良いため、低コストでFPCとワイヤハーネスとの電気的接続を実現することができる。また、FPCの端末部に接続端子を設ける必要がないため、ハウジングへのFPCの端末部の挿入作業を簡単にすることができる。更に、FPCの配線とワイヤハーネスの接続端子とを上下方向(バネ片31がない場合は上方向)から押圧する構造のため、接続信頼性を高めることができるという利点がある。
【0019】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明によれば、ハウジング内にワイヤハーネスの電線に接続された接続端子と、FPCの端末部とを重なる位置で収容し、この収容部に連通する、これらの挿入方向と直交する方向に形成された係止部材収容孔に、完全挿入時にその先端部で接続端子とFPCの端末部とを接続端子側から押圧して両者を密着させる係止部材を挿入して、さらに収容部内に突出する状態で設けられたバネ片により端末部側から押圧して、ワイヤハーネスとFPCとの電気的接続を図るコネクタを実現している。ハウジング内の収容部に収容された接続端子とFPCの端末部は、係止部材及びバネ片により互いに密着するように押し付けられるため、高い接続信頼性を得ることができる。また、FPCの端末部に接続端子を接合(接続)する必要がないと共に、一つのハウジングにより両者の電気的接続を行うことができるので、部品コスト等を削減し、FPCとワイヤハーネスの接続用コネクタを安価に製造することが可能となる。これにより、コネクタの製造コストを低減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施形態に係るコネクタを示す上方斜視図である。
【図2】 同コネクタの一部を断面で示す側面図である。
【図3】 同コネクタの組立工程を示す縦断面図である。
【図4】 同コネクタの組立工程を示す縦断面図である。
【図5】 同コネクタの組立工程を示す縦断面図である。
【図6】 従来のワイヤハーネスとフレキシブルプリント回路の接続用コネクタを示す縦断面図である。
【図7】 樹脂モールド型コネクタを示す縦断面図である。
【符号の説明】
10…コネクタ、11…ハウジング、12…係止部材、13…電線、14…雄接続端子、15…端子収容孔、16…ランス、17…係止凸部、18…背面壁、19…上部ハウジング壁、20…FPC、21…端末部収容孔、22…圧接柱、23…係止部材収容孔、24…挿入側先端部、25…係止部材本体板、26…係合凹部、27…係止突起、28…先端接続部、29…かしめ部、30…収容部、31…バネ片、32…絶縁フィルム、33…配線、34…内壁、35…傾斜内壁。
Claims (2)
- 絶縁フィルム上に導電パターンが形成されたフレキシブルプリント回路の前記導電パターンと、
ワイヤハーネスの電線の先端に接続された接続端子とを電気的に接続するためのコネクタであって、
前記接続端子を一端側から収容すると共に、前記フレキシブルプリント回路の端末部を他端側から前記接続端子と重なる位置で収容する収容部、及びこの収容部に連通し前記接続端子及びフレキシブルプリント回路の端末部の挿入方向と直交する方向に延びる係止部材収容孔を形成してなるハウジングと、
前記係止部材収容孔に挿入され、完全挿入時にその先端部で前記接続端子と前記フレキシブルプリント回路の端末部とを前記接続端子側から押圧して両者を密着させる係止部材と
を備え、
前記ハウジングは、前記接続端子と前記フレキシブルプリント回路の端末部とを前記係止部材の押圧方向とは反対の向きの前記端末部側から押圧するバネ片を前記収容部内に突出する状態で設けている
ことを特徴とするコネクタ。 - 前記ハウジングには、収容された前記接続端子を前記収容部内に係止固定する係止ランスが形成されていることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
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