JP3969853B2 - 室温硬化性組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、末端および/または側鎖にケイ素官能性基を含有する、シリル基またはシロキサニル基が末端に存在するポリエーテルと、キレート化合物および/またはその縮合重合体である硬化触媒を含む流動性のある室温硬化性組成物に関し、さらに詳しくは、密封下(湿気の存在しない)では安定であり、空気中の水分と接触することにより、室温で硬化してゴム状弾性体を生じる硬化性組成物に関する。特に、本発明は、硬化性に優れ、銅系金属を腐食せず、かつ貯蔵安定性にも優れた室温硬化性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明に用いられるような大気中の湿気と反応してゴム状に硬化する重合体としては、例えば、特公昭58−41291号公報に記載されているようなポリエーテルが挙げられる。このようなポリエーテルは、アリルオキシのようなアルケニルオキシ基を末端に有するオキシアルキレン重合体を、第VIII族遷移金属化合物の存在下で、加水分解性基を有するヒドロシリル化合物と反応させることにより得られるポリエーテルである。このようにして得られるポリエーテルは、末端に加水分解性のシリル基を有するシリル化ポリエーテルであるが、本質的に接着性を有していないため、シランカップリング剤やチタンカップリング剤などの接着付与剤を添加することが必要である。
【0003】
このようなシリル化ポリエーテルは、シランカップリング剤やチタンカップリング剤などの配合により、アルミニウムなどの金属板に対し、ある程度の接着性を与えることができる。また、このようなシリル化ポリエーテルは、空気中の水分と接触することにより硬化し、ゴム状弾性体を得るための硬化触媒には、カルボン酸金属塩、有機スズ化合物、有機アルミニウム、有機ジルコニウム化合物、アミン系化合物とこれらのアミン系化合物のカルボン酸塩、過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量アミド樹脂、過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物、アミノ基含有シランカップリング剤などのシラノール縮合触媒、さらには他の酸性触媒、塩基性触媒などの様々なシラノール触媒などが知られている。これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。微量で大きな触媒能を発揮するため、有機スズ化合物およびアルコキシチタン類が好まれている。また、その中でもアセチルアセトン型錯体であるジ(n-ブチル)ビス(アセチルアセトナト)スズが速い硬化性を示すことが知られている。
【0004】
しかし、この化合物は銅系金属を腐食するため、電気・電子部品などへの使用が困難であるなどの問題点がある。また、前述のアミン化合物も銅系金属を腐食する問題点を有しており、前述の他の有機金属化合物やアミド樹脂などは触媒能が低いなどの硬化性の遅さに問題点を有している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、このような従来の問題を解決し、密封下では安定であるが、空気中の水分と接触することにより、室温で硬化してゴム状弾性体を生成する組成物し、速硬化性に優れ、銅系金属を腐食せず、かつ貯蔵安定性に優れた室温硬化性組成物を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、(A)ケイ素官能性基含有シリルまたはシロキサニル末端ポリエーテル(ここで、ケイ素官能性基は、水酸基または加水分解性基である);および(B)ジ(n−ブチル)ビス(ブチルアセトアセタト)スズおよびジ(n−ブチル)ビス(2−エチルヘキシルアセトアセタト)スズから選択される硬化触媒を含むことを特徴とする室温硬化性組成物に関する。
【0009】
本発明に使用できる(A)ケイ素官能性基含有シリルまたはシロキサニル末端ポリエーテルとは、特に限定するものではないが、代表的なものを示すと、例えば、特開昭50−156599号に記載されている末端にエーテル型アリルオレフィン基を有するオキシアルキレン重合体のようなケイ素末端重合体とヒドロシランとの反応により得られるもの、同54−6096号に記載されている分子末端にエチレン性不飽和基を有するポリエーテルおよびポリエステルと水素化ケイ素化合物(ヒドロシラン)との反応により得られるケイ素末端重合体、および同57−126823号に開示されているアリル末端ポリエーテルにヒドロシランを付加反応させて、得られるケイ素重合体のようなものが例示できる。
【0010】
特開昭59−78223号に記載されている不飽和基含有ケイ素モノマーとビニルモノマーの共重合体、同55−137129号に記載されているアリルポリエーテルにメルカプトアルコキシシランを付加させたケイ素末端重合体、および同62−230822号に開示されているエポキシ末端ポリエーテル(ポリオキシアルキレン)に1級または2級アミンを反応させた後、エポキシアルコキシシランを反応させて得られるケイ素末端重合体が例示できる。
【0011】
特開昭63−83131号に記載されている末端エポキシポリエーテルにジチオールを反応させた後、エポキシアルコキシシランを反応させて得られるケイ素末端重合体、特開平3−47825号に記載されている主鎖骨格中にウレタン結合を有するケイ素末端重合体、および同3−72527号に開示されている末端不飽和基ポリエーテルを高純化したものから得られるケイ素末端重合体のようなものが例示できる。
【0012】
特開平3−122152号に記載されているポリエーテル側鎖にフロオロアルキル基を含むケイ素末端重合体、および同5−70531号に開示されているポリプロピレンオキシドのようなポリオキシアルキレン末端ケイ素官能基含有重合体が例示できる。
【0013】
特公昭48−36960号に記載されているアリルアルコールを開始剤としてエポキシ間を開環重合して得られるアルケニル末端ポリエーテルのアルケニル末端にヒドロシランを反応させて得られるケイ素重合体、特開昭55−16088号に開示されているエチレン型不飽和有機モノマーとエチレン型不飽和基含有シランの共重合により得られるケイ素重合体のようなものが例示できる。
【0014】
特開平5−436791号に記載されている高分子量アリルから合成した1価のアルコールをカップリングさせた後、ヒドロシランを反応させて得られるケイ素末端重合体が例示できる。
【0015】
本発明でいうケイ素官能性基は、ケイ素原子に結合した水酸基または加水分解性基であれば、特に限定されるものではなく、該ケイ素官能性基を含む代表的な末端基としては、例えば、一般式(3):
【0016】
【化3】
【0017】
(式中、R5およびR6は、それぞれ独立して、炭素数1〜20の1価の炭化水素基または(R7)3SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基であり;R7は、炭素数1〜20の1価の炭化水素基であり、3個のR7は同一でも、異なっていてもよく;Xは、水酸基または加水分解性基を示し、Xが2個以上存在するとき、それらは同一でも、異なっていてもよく;bは、0、1、2または3であり;cは、0、1または2であり;mは、0〜19の整数であり;そしてnは、1の整数である。ただし、Σ(b,c)≧1を満たすことを条件とする)で示される基が挙げられる。
【0018】
上記のXで示される加水分解性基は特に限定されないが、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシマト基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基などが挙げられる。これらのうちでは、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシマト基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基およびアルケニルオキシ基が好ましいが、加水分解性が穏やかで取り扱い易く、腐食性や刺激性の副生物を放出しないという観点から、メトキシ基などの低級アルコキシ基がより好ましい。
【0019】
この加水分解性基および/または水酸基は、1個のケイ素原子につき1〜3個結合してもよく、水酸基1個に対しΣ(b,c)は1〜5であるのが好ましい。加水分解性基や水酸基がケイ素官能性基を含む末端基に2個以上存在する場合には、それらは同一であっても、異なっていてもよい。ケイ素官能性基中に、ケイ素原子は1個または2個以上含まれていてもよいが、シロキサン結合などによりケイ素原子が連結されている末端基の場合には、ケイ素原子を20個程度含んでいてもよい。
【0020】
また、上記の一般式におけるR5基およびR6基の例としては、例えば、メチル基、エチル基などのアルキル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基、フェニル基などのアリール基、ベンジル基などのアラルキル基、R7がメチル基、フェニル基などである基:(R7)3SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基が特に好ましい。R7は、メチルが好ましい。
【0021】
ケイ素官能性基はポリエーテル末端基中に少なくとも1個、好ましくは1.0〜5個含有してもよい。末端基中に含まれるケイ素官能性基の数が1個未満の場合、硬化性が不十分となり、良好なゴム弾性挙動を発現しにくくなる。
【0022】
ケイ素官能性基はポリエーテル分子鎖の末端に存在してもよく、主鎖中に環状の末端基を形成するような形で存在してもよい。ケイ素官能性基が分子鎖の末端に存在すると、最終的に形成される硬化物に含まれるポリエーテル成分の有効網目鎖量が多くなるため、高強度、高伸張で、低弾性率を示すゴム状硬化物が得られ易くなる。
【0023】
(A)成分のポリエーテル部分は、一般式(2):
−R4−O− (2)
(式中、
R4は、炭素数2〜4の2価のアルキレン基である)
で示される繰返し単位からなることが好ましい。該ポリオキシアルキレン単位としては、オキシエチレン単位、オキシプロピレン単位、オキシブチレン単位およびオキシテトラメチレン単位が例示され、1種でも、2種以上存在してもよいが、(A)成分が流動性を示し、また、組成物が硬化後に優れた性質を示すことから、一般式(4):
【0024】
【化4】
【0025】
で示される繰返し単位を含有するポリオキシプロピレンが特に好ましい。また、他の繰返し単位が含まれていてもよいが、一般式(4)で示される繰返し単位がポリエーテル部分中に50モル%以上、好ましくは80モル%以上存在することが好ましい。ポリエーテル部分の平均分子量は、300〜15,000の範囲にあることが好ましい。
【0026】
末端基とポリエーテル部分の間の結合部は、耐加水分解性を有することから、末端基のケイ素原子とポリエーテル部分のエーテル酸素原子の間に少なくとも3個の炭素原子が介在するように、トリメチレンおよびテトラメチレンのようなアルキレン基であることが好ましい。また、上記のアルキレン基のポリエーテル側に、さらにエステル結合やイミノ基のような極性を有する基が存在し、さらに必要に応じてアルキレン基のような炭素鎖が介在してもよい。
【0027】
上記に例示したケイ素官能性基含有シリルまたはシロキサニル末端ポリエーテル中でも主鎖が炭素数2〜4のポリオキシアルキレンで、加水分解性ケイ素官能性基がジメトキシメチルシリル基{−Si(CH3)(OCH3)2基}を有するケイ素官能性基含有シリルまたはシロキサニル末端ポリエーテルであることが特に好ましい。
【0028】
(A)成分、分子量分布は狭いほうが好ましいが、ポリエーテルにケイ素官能性基を導入すると、分子量分布は導入する前のポリエーテルよりも広がる傾向にあるので、原料ポリエーテルの分子量分布はできるだけ狭いことが好ましい。
【0029】
ケイ素官能性基の導入は公知の方法で行うことができる。例えば、以下の方法が挙げられる。
(1)末端に水酸基などの官能基を有するポリエーテルに、この官能基に対して反応性を示す活性基および不飽和基を有する有機化合物を反応させ、次いで、得られた反応生成物に加水分解性基を有するヒドロシランを作用させてヒドロシリル化する。
(2)末端に水酸基、エポキシ基、イソシアナト基などの官能基(以下、Y官能基という)を有するポリエーテルに、このY官能基に対して反応性を示す官能基(以下、Y′官能基という)およびケイ素官能性基を有する化合物を反応させる。
【0030】
このY’官能基を有するケイ素官能性化合物としては、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシランなどのようなアミノ基含有シラン類;3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシランなどのメルカプト基含有シラン類;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有シラン類;ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシランなどのビニル型不飽和基含有シラン類;3−クロロプロピルトリメトキシシランなどの塩素原子含有シラン類;3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシランなどのイソシアナト基含有シラン類;メチルジメトキシシラン、トリメトキシシラン、メチルトリエトキシシランなどが具体的に例示されるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
上記の(1)または(2)の方法のうち、末端に水酸基を有するポリエーテルとイソシアナト基およびケイ素官能性基を有する化合物を反応させる方法が好ましい。
【0032】
本発明の(B)成分の硬化触媒は、(A)成分自体の架橋手段として含有されているX同士および/または(A)成分のXと架橋剤のYとを、水分の存在下に反応させて架橋構造を形成し、ゴム状弾性体を得るために用いる。(B)成分は、本発明の根幹をなすものであり、下記の一般式(1):
【0033】
【化5】
【0034】
(式中、R 1 、R 2 およびR 3 は、互いに同一でも、異なっていてもよい置換または非置換の1価の炭化水素基であり、aは、1〜3である)で示されるキレート化合物および/またはその縮合重合体である。
【0035】
R1は、互いに同一でも異なっていてもよい、非置換または置換の1価の炭化水素基である。R1として、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシルのような非置換のC1-12アルキル基;アルケニル基;アリール基;アラルキル基が好ましい。これらのうち、合成が容易であり、入手がし易いことからブチル基が特に好ましい。
【0036】
R2は、互いに同一でも異なっていてもよい、非置換または置換の1価の炭化水素基である。R2として、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシルのような非置換の直鎖状アルキル基が好ましい。これらのうち、合成が容易であり、入手がし易いことからメチル基が特に好ましい。
【0037】
R3は、互いに同一でも異なっていてもよい、非置換または置換の1価の炭化水素基である。R3として、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、2−エチルヘキシル基のような炭素数1〜10個の直鎖または分枝状のアルキル基が好ましい。これらのうち、合成が容易であり、入手がし易いことからエチル基、ブチル基、オクチル基、ヘキシル基および2−エチルヘキシル基が特に好ましい。また、スズ原子との結合が加水分解性を有しているため、加水分解物の揮散性を押さえる目的で、炭素数が2以上の炭化水素基が好ましい。
【0038】
(B)成分としては、(アルキルアセタト)スズ、とりわけジアルキルビス(アルキルアセトアセタト)スズが挙げられる。ジ(n−ブチル)ビス(ブチルアセトアセタト)スズおよびジ(n−ブチル)ビス(2−エチルヘキシルアセトアセタト)スズが好ましい。
【0039】
(B)成分の配合量は、(A)成分100重量部あたり0.05〜25重量部、好ましくは0.1〜5重量部である。0.05重量部未満では、硬化触媒として十分に作用せず、硬化に長い時間がかかるばかりでなく、特に空気との接触面から遠いゴム層の深部における硬化が不十分となり、逆に25重量部を越える場合には、その配合量に見合う効果がなく無意味である。
【0040】
分子中にケイ素官能基として平均2を越える加水分解性基を有するケイ素官能性ポリエーテルをベースポリマーとして用いる場合には、加水分解性基Xが加水分解し、縮合反応によって、架橋剤を必要とせずに架橋反応が進行し、硬化してゴム状弾性体を生ずる。Xは、メトキシのようなアルコキシ基、アセトキシのようなアシルオキシ基およびメチルエチルケトキシマト基が好ましく、特にメトキシ基が好ましい。
【0041】
分子中に平均2個のケイ素官能基を有するケイ素官能性ポリエーテルである場合、ならびに平均2個を越えるケイ素官能基を有していても該ケイ素官能基が水酸基である場合、架橋剤を配合して、架橋構造を形成させる。
【0042】
架橋剤としては、水および硬化触媒の存在下にポリエーテル中のケイ素官能性基Xと反応させ、組成物を硬化させるための加水分解性基を有するケイ素化合物および/またはその部分加水分解縮合物を用いる。
【0043】
このような架橋剤の例として、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシランおよびそれらの部分加水分解縮合物のようなアルコキシ基含有化合物;テトラキス(2−エトキシエトキシ)シラン、メチルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニル(2−エトキシエトキシ)シラン、フェニルトリス(2−メトキシエトキシ)シランおよびそれらの部分加水分解縮合物のような置換アルコキシ基含有化合物;メチルトリイソプロペノキシシラン、ビニルトリイソプロペノキシシラン、フェニルトリイソプロペノキシシラン、ジメチルジイソプロペノキシシラン、メチルビニルジイソプロペノキシシランおよびそれらの部分加水分解縮合物のようなエノキシ基含有化合物が挙げられる。
【0044】
上記の縮合物のうち、合成が容易で、組成物の貯蔵安定性を損なうことなく、かつ架橋反応速度、すなわち硬化速度を大きくすることを考慮すると、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシランおよびそれらの部分加水分解縮合物を用いることが好ましい。
【0045】
架橋剤は、組成物中、(A)成分100重量部に対して、0.05〜25重量部、好ましくは0.1〜10重量部を含む。
【0046】
すなわち、本発明の組成物は、ケイ素官能性基含有シリルまたはシロキサニル末端ポリエーテル100重量部、硬化触媒0.05〜25重量部、そして所望により、架橋剤0.05〜25重量部である。
【0047】
本発明の組成物は、シーリング材、接着剤、現場成形ガスケットなどとして用いることができる。このような用途において要求される機械的強度を高くするために、下記のような充填剤を、所望する物性に応じて選択することができる。煙霧質シリカ、焼成シリカ、沈殿シリカ、煙霧質酸化チタン、およびこれらの表面をオルガノクロロシラン類、ポリオルガノシロキサン類、ヘキサメチルジシラザンなどによる疎水化物などのような補強性充填剤;ならびにけいそう土、粉砕シリカ、アルミノケイ酸塩、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、有機酸表面処理炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、タルク、酸化第二鉄などのような非補強性充填剤が挙げられる。組成物に透明性または低いモジュラスを与えるためには、それぞれ煙霧質シリカまたは非補強充填剤を用いることが望ましい。充填剤の添加量は、(A)100重量部に対して、1〜200重量部、好ましくは5〜100重量部の範囲である。
【0048】
本発明の組成物に、さらに、顔料、チクソトロピー性付与剤、押出し作業性を改良するための粘度調整剤、紫外線吸収剤、防カビ剤、耐熱向上剤、難燃化剤など、各種の添加剤を加えてもよい。
【0049】
本発明の組成物は、上記の(A)および(B)成分ならびに各種の添加剤などを、湿気を遮断した状態で混合することにより得られる。得られた組成物は、密閉容器中でそのまま貯蔵し、使用時に空気中の水分にさらすことによって始めて硬化する、いわゆる1包装型室温硬化性組成物として使用することができる。また、本発明の組成物を、例えば、架橋剤と硬化触媒に分けた組成物として調製し、適宜2〜3個の別々の容器に分けて貯蔵し、使用時にこれらを混合する、いわゆる多包装型室温硬化性組成物として使用することもできる。
【0050】
【実施例】
実施例中で、本発明をより具体的に説明するが、いかなる意味においても本発明を限定するものではない。なお、実施例中、特に断らない限り、部とあるのはいずれも重量部を表し、また、物性値および放置状態は、すべて25℃、相対湿度(RH)60%の条件下での値である。
【0051】
下記の実施例および比較例で調製して、貯蔵した組成物を(a)〜(e)について評価を行い、表1に示した。
【0052】
(a)指触乾燥時間:組成物を20℃、60%RHの雰囲気中に押出して、表面に接触して乾燥状態にあることを指で確認できるまでの時間を測定した。
【0053】
(b)物理特性:組成物を厚さ2mmのシート状になるように調製し、168時間放置し、空気中の湿気により硬化させて、その物理的性質をJIS K 6301により測定した。
【0054】
(c)貯蔵安定性:湿気を遮断した容器に組成物を入れ、70℃で5日間加熱した後、指触乾燥時間を測定した。その後、厚さ2mmのシート状になるように調製し、168時間放置し、空気中の湿気により硬化させて、その物理的性質をJIS K 6301により測定した。
【0055】
(d)接着性:図1に示すせん断接着力試験体を作成し、20℃、60%RHで72時間、その後50℃の加熱容器中で96時間放置し、空気中の湿気により硬化させて、そのせん断接着強さおよび凝集破壊率を測定した。
【0056】
(e)腐食性:銅への腐食性は、図2に示すように、未硬化の組成物15gおよび脱イオン水10gを入れた500ml容ガラス瓶の上方に、表面をサンドペーパーで磨いて、活性な洗浄面を露出させた厚み1mmの銅板を吊るし、密栓をした後、40℃で168時間加熱する試験を行った。組成物を入れずに同様の操作を行ったブランクと比較評価した。
【0057】
実施例1
全末端の95%にメチルジメトキシシリル基を含有し、残余の末端基はアリルオキシであり、平均分子量16,000の直鎖状ポリオキシプロピレン100重量部に、脂肪酸で処理した軽質の炭酸カルシウム50部を添加して、均一に混合した。次にメチルトリメトキシシラン2.0部、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン1.0部およびジ(n−ブチル)ビス(n−ブチルアセトアセタト)スズ1.5部を加え、湿気遮断下にて均一に混合し、組成物1を得た。
【0058】
実施例2
全末端の98%にメチルジメトキシシリル基を含有し、残余の末端基はアリルオキシであり、平均分子量7,000の直鎖状ポリオキシプロピレン100重量部に、脂肪酸で処理した軽質の炭酸カルシウム40部、重質炭酸カルシウム10重量部を添加して、均一に混合した。次にメチルトリメトキシシラン2.0部、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン1.0部およびジ(n−ブチル)ビス(2−エチルヘキシルアセトアセタト)スズ1.5部を加え、湿気遮断下にて均一に混合し、組成物2を得た。
【0059】
実施例3
全末端の96%にメチルジメトキシシリル基を含有し、残余の末端基はアリルオキシであり、平均分子量30,000の直鎖状ポリオキシプロピレン100重量部に、脂肪酸で処理した軽質の炭酸カルシウム80部を添加して、均一に混合し、さらにジオクチルフタレート30重量部を添加し均一に混合した。次にメチルトリメトキシシラン2.0部、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン1.0部およびジ(n−ブチル)ビス(t−ブチルアセトアセタト)スズ1.5部を加え、湿気遮断下にて均一に混合し、組成物を得た。
【0060】
比較例1
硬化触媒として、ジ(n−ブチル)ビス(トリエトキシシロキシ)スズ1.5部を添加した以外は、実施例1と同様にして、比較組成物1を得た。
【0061】
比較例2
添加剤をメチルトリメトキシシラン2.0部、硬化触媒をジ(n−ブチル)ビス(トリエトキシシロキシ)スズおよびジブチルスズジラウレート1.5部に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較組成物2を得た。
【0062】
比較例3
添加剤をメチルトリメトキシシラン2.0部、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン1.0部、および硬化触媒をジ(n−ブチル)スズビス(アセチルアセトナト)1.5部に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較組成物3を得た。
【0063】
【表1】
【0064】
【発明の効果】
本発明によって得られた室温硬化性組成物は、湿気の存在しない密封条件下では安定であり、空気中の水分と接触することにより、室温で硬化してゴム状弾性体を生じる組成物に関し、特に本発明は、優れた硬化性を示し、銅系金属を腐食することのなく、かつ貯蔵安定性に優れる室温硬化性組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例のせん断接着強さの試験片の該略図。
【図2】実施例において、腐食性評価を行った装置の該略図。
【符号の説明】
1 試験体
2 被着体
3 ガラスジャー
4 脱イオン水
5 銅板
Claims (5)
- (A)ケイ素官能性基含有シリルまたはシロキサニル末端ポリエーテル(ここで、ケイ素官能性基は、水酸基または加水分解性基である);および
(B)ジ(n−ブチル)ビス(ブチルアセトアセタト)スズおよびジ(n−ブチル)ビス(2−エチルヘキシルアセトアセタト)スズから選択される硬化触媒
を含むことを特徴とする室温硬化性組成物。 - (A)成分中のケイ素官能性基が、加水分解性基である、請求項1記載の組成物。
- (A)成分の主鎖が、一般式(2):
−R4−O− (2)
(式中、R4は、炭素数2〜4の2価のアルキレン基である)で示される繰返し単位を含む、請求項1又は2項記載の組成物。 - (A)成分の主鎖が、オキシプロピレン単位を含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の組成物。
- さらに架橋剤を含み、(A)成分100重量部に対して、(B)成分が0.05〜25重量部であり、架橋剤が0.05〜25重量部である、請求項1〜4のいずれか1項記載の組成物。
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