JP3969810B2 - 肥料培地 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、肥料培地に係り、更に詳細には、水稲等の苗を育苗箱などの育苗容器で栽培する際の培地と肥料とを兼ねる肥料培地に関するもので、特に、本田で必要な緩効性肥料を含有でき、本田での元肥及び追肥を省略することができる新規な育苗容器用の肥料培地に関する。
【0002】
【従来の技術、及び発明が解決しようとする課題】
従来から、水稲の苗は、育苗箱で所定期間栽培された後に本田に移植されて栽培を続行されるが、適正な生育を得るためには、肥料成分として、主に窒素、リン酸及びカリ(カリウム)が必要とされる。
そして、通常の苗床は、育苗箱の底側から順に、苗を支持するとともに育苗に必要な水分を保持する床土層、肥料と種籾とを混合するか別の層とした肥料・種籾層、及び粒状の土から成る覆土層で構成されており、種籾が発芽するまでの間(3〜10日間)は覆土層側から水を供給することが好ましくないため、覆土前に床土層に十分な水分を含ませ、この水分が種籾に供給されるようになっている。
【0003】
また、近年では、肥料成分の初期溶出量が抑制された緩効性被覆肥料の開発により、このような緩効性被覆肥料を育苗箱に播くことにより発芽から収穫までに要する一生分の肥料成分を供給し、本田での元肥と追肥、穂肥の施用を省略する育苗箱全量施肥栽培が提案されており、施肥作業の省力効果が注目されている。
【0004】
その一例として、特公昭61−58439号公報には、上記緩効性被覆肥料と保水材とを混合したものや、保水材の間に緩効性肥料を層状に挟み込んだものを、加圧により形成した育苗用のマット状培土が開示されている。
このマット状培土は、通常の苗床の床土層と肥料層とが一体に形成されたものであり、覆土の前に水を含ませて使用され、上記保水材は、苗を支持するとともに、少なくとも種籾が発芽するまでの間、種籾に水を供給する機能を果たす。
【0005】
しかしながら、かかるマット状培土において、緩効性被覆肥料は、肥料粒子に対して有機物又は無機物による溶出速度低減処理が施されたものであり、例えば、樹脂を主成分とした被膜を通常の粒状肥料の表面に形成することにより作製されているので、有機物の被膜等が本田の土壌内に残存するという課題があった。また、かかる緩効性被覆肥料には、肥料粒子に対して樹脂被膜を形成する等の溶出速度低減処理を要する分手間がかかり、この手間の分だけ高価でもあった。
【0006】
更に、一般的な大きさの育苗箱に対し、主要三成分である窒素、リン酸及びカリを緩効性肥料として全量施肥しようとすれば、緩効性肥料が育苗箱内の空間を占有するスペースの割合が大きくなるため、吸水特性に優れた培土を使用したとしても、十分な保水量が得られないという課題があった。
【0007】
なお、特にリン酸肥料は、有機物による溶出速度低減処理が困難であるため、実際には、本田で必要な分量のリン酸肥料は移植時に本田に散布されることが多く、従って、主要三成分の育苗箱への全量施肥は実現されていなかった。
【0008】
また、粉状の緩効性肥料と培土とを混合した資材を通常使用されているポリ袋に充填して輸送すると、両者の比重差が大きいため、輸送中の振動及び揺れ等により上記混合資材が分級し、資材全体としては両者の混合比が均一でなくなってしまう。従って、このような混合不均一な資材をポリ袋から小分けしてそのまま使用すると、小分け部分毎に肥料と培土との混合比が異なってしまうことがあり、施肥効果が一定にならないという課題もあった。
【0009】
また、特開昭47−29157号公報には、ク溶性又は可溶性肥料粉末にバインダーとしてベントナイトを配合した水崩壊性造粒肥料が開示されている。
しかしながら、この水崩壊性造粒肥料は、水に浸漬するまでは造粒保形性を十分に保持し、且つ水浸漬後は容易に崩壊することを目的として作成されたものである。そして、かかる目的を達成するために、ベントナイトがバインダーとして用いられているが、ベントナイトには吸湿し膨潤する特性があり、増粘が激しく、三相分布のうちの気相が小さくなるので、育苗に必要な気相(酸素)を十分に供給することが困難であった。
【0010】
更に、特公昭55−26898号公報には、無機質肥料にバーミキュライトを添加混合した軽量粒状肥料の製造方法が開示されているが、造粒工程において、バーミキュライトの構造上の特徴であるアコーディオン構造が破壊され、バーミキュライトの優れた物理的特性が損なわれるといった課題があった。
【0011】
本発明は、このような従来技術の有する課題に着目してなされたものであり、苗を栽培する際の培地と肥料とを兼ね、特に育苗容器での栽培の際から本田での栽培で必要とされる緩効性肥料を含有した育苗容器用の肥料培地、及びこれを用いた全量施肥用材料並びに栽培方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、所定の緩効性肥料と保水材とを適切に粒状化することにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
即ち、本発明の肥料培地は、緩効性肥料と、育苗に要する水分を保持できる植物性繊維材料とを含有し、これら成分を粒状化して成ることを特徴とし、育苗容器に充填して使用されることが好ましい。
【0014】
また、本発明の全量施肥用材料は、上述の肥料培地を育苗容器に充填して成る全量施肥用材料であって、
上記肥料培地と、窒素肥料成分及び/又はカリ肥料成分を含む緩効性肥料とを含有することを特徴とする。
【0015】
更に、本発明の栽培方法は、上述の肥料培地を用いて育苗を行うことを特徴とする。
【0016】
【作用】
本発明においては、本田で必要な緩効性リン酸肥料等を保水性に優れた天然保水材に含有させて粒状化し、所要に応じて乾燥させて軽量化を図った。
このように、本発明の肥料培地では、肥料成分と保水材とが粒状一体化しているため、輸送などの際に振動や揺れが作用しても肥料と培土との比重差に起因する分級や分散不良などを生ずることがない。
【0017】
また、緩効性肥料として無被覆の肥料を用い、これと植物性繊維材料とを粒状化した肥料培地を用い、慣行の育苗管理に準じて育苗を行うと、緩効性肥料が撥水性を示すものであっても良好な苗が得られる。このような結果が得られる理由は、現在のところ明かではないが、緩効性肥料の粒子若しくは粉体と植物性繊維材料とを粒状化することにより団粒土壌化し、植物性繊維材料と緩効性肥料(肥料培地)の全体として、保水性・吸水性及び通気性が向上しているのではないかと推測される。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。上述の如く、本発明の肥料培地は、好ましくは育苗容器に充填して使用され、育苗用の培地と肥料とを兼ねるものであり、緩効性肥料と植物性繊維材料を粒状化して成る。
【0019】
ここで、育苗容器としては、対象植物の苗を充填して育苗できる容器であればよく、各種材質・形状・寸法の容器を挙げることができるが、水稲の苗では、いわゆる育苗箱を例示できる。
なお、本発明の肥料培地を育苗容器用に使用しない場合には、このような育苗箱等は必須部材でないことは言うまでもない。
【0020】
また、緩効性肥料としては、化学的に合成・製造され、肥料成分自体の化学的構造を変化させた緩効性肥料と、速効性肥料等を物理的に有機物又は無機物により被覆した緩効性肥料とがあるが、本発明では、前者の肥料のような有機物又は無機物により被覆を施していないものが好ましく、かかる緩効性肥料には、緩効性リン酸肥料や緩効性窒素肥料がある。
なお、有機物又は無機物による被覆を施した緩効性被覆肥料は、後述する保水材との粒状化の際に被覆が壊れて緩効性を発揮しなくなることがあるので好ましくない。
【0021】
上述のような緩効性リン酸肥料としては、ク溶性リン酸を主成分とし、水溶性リン酸をほとんど含有せず、具体的には、水溶性リン酸を0〜15重量%しか含有しない肥料を挙げることができる。
なお、一般に、リン酸肥料に含まれる有効リン酸は、その溶解性により、水溶性リン酸、可溶性リン酸及びク溶性リン酸に分類される。
水溶性リン酸は水(中性)に溶けるもの、可溶性リン酸はクエン酸アンモニウム水溶液(アルカリ性)に溶けるもの、ク溶性リン酸は2%クエン酸水溶液(酸性)に溶けるものであり、水溶性ものは速効性であるのに対して、可溶性およびク溶性のものは緩効性である。
【0022】
本発明の肥料培地では、上述のような緩効性リン酸肥料を用いるため、育苗中におけるリン酸成分の溶出が僅かに抑えられ、本田で必要なリン酸肥料を育苗した苗とともに移植時に本田へ持ち込むことができる。
その後、ク溶性リン酸は植物(苗)の根酸により徐々に分解され、苗に吸収される。従って、ク溶性リン酸の量を増減することにより、対象作物のリン酸肥料分を簡単に全量施肥することが可能になる。
【0023】
また、上記緩効性リン酸肥料には、有機物による溶出速度低減処理が施されていないため、有機物の被膜等が本田の土壌内に残存せず、製造時の手間が軽減される。更に、育苗時に水溶性リン酸が存在すると、発芽障害が生じやすいが、本発明の肥料培地では、水溶性リン酸をほとんど含有しないため、そのまま使用しても発芽障害を生じることもない。
【0024】
次に、植物性繊維材料としては、ピートモス、ヤシガラ(ヤシの実の果皮から外果皮及び内果皮を除去し、取り出された中果皮から更に剛長繊維及び中短繊維を取り出した残りの残滓物等)、樹皮、木材パルプ、もみ殻、おが屑等が挙げられる。なお、これら植物性繊維材料は、一種のみを使用してもよいし、二種類以上を混合して使用してもよい。また、これらと土壌とを混合して使用してもよい。これらの植物性繊維材料は全て天然資材であり自然界で分解されるので、残存し蓄積することはない。
【0025】
また、上述のような植物性繊維材料に、バーミキュライト、パーライト、ゼオライト、ベントナイト、ロックウール等の鉱物類、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール等の合成高分子等を、本発明の効果を妨げない範囲で添加することができるが、かかる材料は自然界では分解されずに残存し蓄積するため、多量の添加は好ましくない。
【0026】
また、上記緩効性肥料などとの結合材として、コーンスターチ、小麦澱粉、米澱粉、甘薯澱粉、馬鈴薯澱粉及びタピオカ澱粉等の澱粉類、ベントナイト等のモンモリロナイト群の粘土系鉱物、アルギン酸ナトリウムや寒天等の海藻抽出物、アラビアガムやトラガントガム等の植物性樹脂状粘着物、カルボキシメチルスターチやカルボキシメチルセルロ−ス等の天然高分子の誘導体、ポリビニルアルコールやポリアクリル酸ナトリウム等の合成高分子等を、本発明の効果を妨げない範囲で添加しても構わない。
【0027】
本発明の肥料培地は、上述した緩効性肥料と植物性繊維材料とを混合・粒状化して得られ、例えば、緩効性肥料が植物性繊維材料で完全に又は部分的にくるまれた状態などで得られるが、粒状化の方法は特に限定されるものではなく、湿式、半乾式及び乾式のいずれの造粒方式であってもよい。例えば、転動造粒法、押出造粒法、圧縮造粒法、噴霧乾燥造粒、流動層造粒法、破砕造粒法、攪拌造粒法、コーティング造粒法等が挙げられる。
【0028】
また、本発明では、上述の造粒工程の前又は後のいずれかにおいて乾燥処理を行い、得られる粒状体を低水分率、例えば含有水分率0〜15%に調整することが好ましい。
このように水分率を調整することにより、本発明の肥料培地は、通常の育苗粒状培土に比べて確実に軽量になるので、育苗段階での播種作業を確実に軽減することが可能であるばかりでなく、カビの発生も全くない。
【0029】
なお、上述のように被覆された被覆肥料は、肥料成分の溶出を制御する目的から、被膜外部からの水分の進入が非常に困難であり、肥料自体にはほとんど吸水・保水能力はない。一方、化学的構造の変化による緩効性肥料は、被覆肥料に比べれば保水能力はあるものの、植物性繊維材料と各々粉状で使用した場合には特に撥水性を示し、十分な保水性があるとは言えず、慣行の育苗管理では良好な苗が得られなかった。
【0030】
これに対し、本発明の好適形態である被覆を施されていない緩効性肥料と植物性繊維材料とを粒状化した肥料培地を用い、慣行の育苗管理に準じて育苗を行うと、該緩効性肥料が撥水性を示すものであっても良好な苗が得られる。このような結果が得られる理由は、現在のところ明かではないが、緩効性肥料の粒子若しくは粉体と植物性繊維材料とを粒状化することにより団粒土壌化し、植物性繊維材料と緩効性肥料(即ち、肥料培地)の全体として保水性・吸水性及び通気性が向上しているのではないかと推測される。
【0031】
なお、本発明の肥料培地の粒径は、特に限定されるものではないが、後述するように、育苗用粒状培土や緩効性被覆肥料粒子との併用を考慮すると、相互間の分級を防止するためにも、これらの培土や肥料粒子の粒径の0.5〜1.5倍の粒径とすることが好ましく、代表的には、1〜5mm程度の粒径のものを好適に使用することができる。
【0032】
上述のように、本発明の肥料培地は、上記緩効性肥料と上記植物性繊維材料とを必須成分とするが、本発明の効果を妨げない範囲であれば、これら必須成分以外にも他の成分を添加することが可能である。例えば、育苗に必要な肥料を育苗用肥料として添加することも可能である。よって、このような育苗用肥料と本発明の肥料培地とを混合して粒状化したり、混合して併用することが可能である。
【0033】
なお、上述のような育苗用肥料としては、窒素肥料、リン酸肥料、カリ肥料、配合肥料、普通化成肥料、高度化成肥料、ニ成分複合化成肥料、硝化制御剤入り化成肥料、固形肥料、ペースト肥料、液体肥料、微量要素肥料、石灰質肥料、苦土質肥料、ケイ酸質肥料、有機質肥料、堆肥等が挙げられる。
【0034】
また同様に、農薬活性成分を添加して粒状化したり、併用したりすることができ、例えば、殺虫剤、殺菌剤、除草剤、抗ウィルス剤及び植物成長調整剤の他、殺ダニ剤、殺線虫剤等と粒状化したり、併用したりすることが可能である。この場合、農薬等の性状は、固体又は液体のいずれであってもよい。
更に、本発明の肥料培地を所望のpHにするために、pH調整剤を添加して粒状化したり、併用したりすることも可能である。
また、本発明の肥料培地は、育苗時の床土や覆土としても使用可能であり、本田での肥料又は土壌改質材としても使用可能である。
【0035】
次に、本発明の全量施肥用材料について説明する。
この全量施肥用材料は、上述してきた本発明の肥料培地を含む材料であり、この肥料培地に、少なくとも窒素肥料成分及び/又はカリ肥料成分を含む緩効性肥料を混合したものであり、これは、上述した肥料培地の分級改善や吸水特性改善などにより実現されたものである。
【0036】
窒素及び/又はカリの緩効性肥料は、緩効性被覆肥料であってもよく、例えば、窒素質肥料を硫黄その他の被覆原料で被覆した被覆窒素肥料、カリ質肥料を硫黄その他の被覆原料で被覆した被覆カリ肥料、化成肥料又は液状複合肥料を硫黄その他の被覆原料で被覆した被覆複合肥料が挙げられる。
【0037】
被覆窒素肥料や被覆カリ肥料の添加量は、全量施肥を行おうとする対象作物に応じて適宜変更することができ、対象作物の一生分の量を本発明の肥料培地に混合することにより、窒素及び/又はカリ肥料の育苗容器全量施肥が実現でき、更には、肥料培地に含まれる緩効性リン酸肥料の量を一生分とすることにより、窒素、リン酸及びカリ肥料の三成分の育苗容器全量施肥を実現することができる。
【0038】
本発明の全量施肥用材料によれば、上述のように、窒素、リン酸及びカリ肥料の育苗箱全量施肥を簡易に実現できるので、本田での元肥と追肥、補肥を完全に省略することができる。
なお、以上に説明してきた本発明の肥料培地及び全量施肥用材料の大きさや、形状は特に限定されるものではないことは言うまでもない。
【0039】
また、本発明の肥料培地を用いて育苗した苗は、その後は通常の栽培手法を適用することにより適正に生育させることができ、また、本発明の全量施肥用材料を用いれば、本田に移植した後であっても施肥を省略しつつ適正な生育を実現することができる。
【0040】
【実施例】
以下、実施例、比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
なお、実施例1〜8及び比較例1〜3に示した最大容水量及び三相分布は、以下のようにして求めた。
【0041】
(最大容水量)
ヒルガード法に従い、吸水された水分の重量と乾土の重量を測定し、次式
最大容水量(%)=(吸水された水分の重量)/(乾土の重量)×100
より算出した。
【0042】
(三相分布)
▲1▼砂柱法キットの水位をPF=1.5(石英砂上面からの水位;31.6cm下位)に調節する。
▲2▼サンプル全体に蓋をし、PF=1.5の状態で24時間以上放置する。
▲3▼アクリル製透明パイプ内のサンプルを三相分布測定用100ml試料円筒(大起理化工業(株)製、型式;DIK−1801)にサンプル状態を変化させないように採取する。
▲4▼土壌三相計(大起理化工業(株)製、型式;DIK−1120)に試料円筒をセットし、サンプルの実容積(V)を測定する。
▲5▼更に天秤にて全重量(W)を測定し、オーブンに入れ105℃で24時間以上乾燥させ、乾燥前後の重量差から水分重量(M)を算出する。
▲6▼下記の計算式により、a)気相率 b)固相率 c)液相率を算出した。
a)気相率(A=Va) ;空気容量Va=100−V
b)固相率(Sν=Vs);固相容量Vs=(W−V)/(d−1)
c)液相率(Mν=Vl);水分容量Vl=V−Vs
d)真比重(d) ;d=(W−M)/(V−Vl)
Vl:水分容量、Vl=M
【0043】
1.育苗箱用粒状肥料培地の造粒
参考例1)ク溶性リン酸を主成分とするリン酸肥料粉末(粉末中のク溶性リン酸濃度;35〜40重量%、水溶性リン酸濃度;0.1重量%以下、保証成分、全リン酸濃度36%(測定値))50重量%に、200メッシュ(目開き;75μm)程度に微粉砕し乾燥した山土49.15重量%、育苗用肥料として硫安(硫酸アンモニウム)を0.6重量%と硫酸カリ(硫酸カリウム)を0.25重量%を添加し、更にこれら固形分100重量部に対して40重量部の水を添加混合した後、前押出造粒機(スクリーンメッシュ;3mm)にて造粒し、加熱乾燥後、篩いにより2〜4mmの育苗箱用粒状肥料培地A;50kgを得た。
【0044】
参考例2)ク溶性リン酸を主成分とするリン酸肥料粉末(粉末中のク溶性リン酸濃度;35〜40重量%、水溶性リン酸濃度;0.1重量%以下、保証成分、全リン酸濃度36%(測定値))40重量%に、200メッシュ(目開き;75μm)程度に微粉砕し乾燥した山土59.15重量%、育苗用肥料として硫安(硫酸アンモニウム)を0.6重量%と硫酸カリ(硫酸カリウム)を0.25重量%を添加し、更にこれら固形分100重量部に対して40重量部の水を添加混合した後、前押出造粒機(スクリーンメッシュ;3mm)にて造粒し、加熱乾燥後、篩いにより2〜4mmの育苗箱用粒状肥料培地B;50kgを得た。
【0045】
(実施例3)
ク溶性リン酸を主成分とするリン酸肥料粉末(粉末中のク溶性リン酸濃度;35〜40重量%、水溶性リン酸濃度;0.1重量%以下、保証成分、全リン酸濃度36%(測定値))70重量%に、乾燥して16メッシュ(目開き;1mm)の篩いにパスしたピートモス(VAPO社)29.15重量%、育苗用肥料として硫安(硫酸アンモニウム)を0.6重量%と硫酸カリ(硫酸カリウム)を0.25重量%を添加し、更にこれら固形分100重量部に対して60重量部の水を添加混合した後、前押出造粒機(スクリーンメッシュ;3mm)にて造粒し、加熱乾燥後、篩いにより2〜4mmの育苗箱用粒状肥料培地C;50kgを得た。
【0046】
(実施例4)
ク溶性リン酸を主成分とするリン酸肥料粉末(粉末中のク溶性リン酸濃度;35〜40重量%、水溶性リン酸濃度;0.1重量%以下、保証成分、全リン酸濃度36%(測定値))80重量%に、乾燥して16メッシュ(目開き;1mm)の篩いにパスしたピートモス(VAPO社)19.4重量%、育苗用肥料として硫安(硫酸アンモニウム)を0.6重量%、硫酸カリ(硫酸カリウム)を0.25重量%添加し、更にこれら固形分100重量部に対して60重量部の水を添加混合した後、前押出造粒機(スクリーンメッシュ;3mm)にて造粒し、加熱乾燥後、篩いにより2〜4mmの育苗箱用粒状肥料培地D;50kgを得た。
【0047】
(実施例5)
実施例3のピートモスの替わりに、乾燥して16メッシュの篩いにパスしたヤシガラ(スリランカ産、コイアダスト)を用いる以外は実施例3と同様の操作を繰り返し、2〜4mmの育苗箱用粒状肥料培地E;50kgを得た。
【0048】
(実施例6)
実施例4のピートモスの替わりに、乾燥して16メッシュの篩いにパスしたヤシガラ(スリランカ産、コイアダスト)を用いる以外は実施例4と同様に実施し、2〜4mmの育苗箱用粒状肥料培地F;50kgを得た。
【0049】
(実施例7)
ク溶性リン酸を主成分とするリン酸肥料粉末(粉末中のク溶性リン酸濃度;35〜40重量%、水溶性リン酸濃度;0.1重量%以下、保証成分、全リン酸濃度36%(測定値))60重量%に、200メッシュ(目開き;75μm)程度に微粉砕し乾燥したもみ殻39.15重量%、育苗用肥料として硫安(硫酸アンモニウム)を0.6重量%と硫酸カリ(硫酸カリウム)を0.25重量%を添加し、更にこれら固形分100重量部に対して40重量部の水を添加混合した後、前押出造粒機(スクリーンメッシュ;3mm)にて造粒し、加熱乾燥後、篩いにより2〜4mmの育苗箱用粒状肥料培地G;50kgを得た。
【0050】
(実施例8)
ク溶性リン酸を主成分とするリン酸肥料粉末(粉末中のク溶性リン酸濃度;35〜40重量%、水溶性リン酸濃度;0.1重量%以下、保証成分、全リン酸濃度36%(測定値))50重量%に、200メッシュ(目開き;75μm)程度に微粉砕し乾燥したもみ殻49.15重量%、育苗用肥料として硫安(硫酸アンモニウム)を0.6重量%と硫酸カリ(硫酸カリウム)を0.25重量%を添加し、更にこれら固形分100重量部に対して40重量部の水を添加混合した後、前押出造粒機(スクリーンメッシュ;3mm)にて造粒し、加熱乾燥後、篩いにより2〜4mmの育苗箱用粒状肥料培地H;50kgを得た。
【0051】
2.育苗箱用粒状肥料培地の物理的特性
参考例1、2および実施例3〜8の肥料培地の物理的特性と、比較例1としての水稲育苗用粒状培土(クレハ粒状培土)、比較例2としての、ク溶性リン酸を主成分とするリン酸肥料粒子(粒子中のク溶性リン酸濃度;35〜40重量%、水溶性リン酸濃度;4重量%以下、保証成分)、比較例3としての被覆窒素肥料(くみあい40被覆尿素LPコート100、窒素濃度;40重量%、保証成分)の物理的特性を表1に示す。
【0052】
【表1】
Figure 0003969810
【0053】
表1から分かるように、これら実施例により、造粒した育苗箱用粒状肥料培地は、ク溶性リン酸を含有しているにもかかわらず、慣行の水稲育苗用粒状培土と同等又はそれ以上の吸水特性を有し、三相分布も良好である。
また、ク溶性リン酸粒子および被覆窒素肥料と比較しても吸水特性の差は歴然としていることが明らかである。
【0054】
3.肥料培地の分級テスト
参考例3)50lポリ袋に参考例1の肥料培地Aを45l充填して密閉した試験体を作成し、この試験体を往復振盪装置(IKEDA SCIENTIFIC社製)により2時間振盪した。次いで、ポリ袋を開封し、肥料培地をポリ袋上部から順に2lずつ育苗箱(縦28cm×横58cm×深さ3cm)に充填し、合計22個の育苗箱に肥料培地を充填した。しかる後、これら育苗箱の1箱目、5箱目、10箱目、15箱目及び20箱目に充填されている肥料培地について、全リン酸成分濃度の測定を行った。得られた結果、及びポリ袋1袋の肥料培地に含まれる全リン酸成分濃度の理論値を表2に示す。
【0055】
(実施例10〜12)参考例1の肥料培地Aの替わりに、実施例3の肥料培地C(実施例10)、実施例5の肥料培地E(実施例11)及び実施例7の肥料培地G(実施例12)をそれぞれ用いた以外は、参考例3と同様の操作を繰り返した。得られた結果を表2に示す。
【0056】
(比較例4〜7)参考例1、実施例3、5及び7で用いた各種肥料培地原料を造粒・粒状化せず、そのままの粉状で用いた以外は、参考例3と同様の操作を繰り返し、それぞれ比較例4、5、6及び7とした。得られた結果を表2に示す。
【0057】
【表2】
Figure 0003969810
【0058】
表2から分かるように、参考例3および実施例10〜12における造粒・粒状化した肥料培地は、ポリ袋に充填して振動を加えても、各育苗箱の肥料培地間で全リン酸成分濃度がほぼ一定で変化しておらず、理論値にも近く、分級を生じないことが明かである。これに対し、造粒することなくそのまま粉状で用いた比較例4〜7では、各育苗箱の肥料培地間で全リン酸成分濃度の変化が大きく、分級を生じていることが分かる。
【0059】
また、上述のような振盪によれば、理論上、ポリ袋の上部に軽量成分が多く含まれる形式で分級することになる。
比較例4〜7では、ポリ袋の上部に対応する1箱目や5箱目の育苗箱において、重い成分である全リン酸成分濃度が小さく(即ち、軽量成分である保水材が多く)、更に、ポリ袋の中央〜下部に対応する10〜20箱目において、全リン酸成分濃度が増大しており、理論通りの分級を生じていることも分かる。
【0060】
4.育苗箱による育苗試験(参考例4)育苗箱(縦28cm×横58cm×深さ3cm)に、参考例1の育苗箱用粒状肥料培地A;2Lと、無肥料土壌;1Lを均一に混合したものを充填し、全体が飽和状態になるまで十分に潅水し、その上に、水に十分浸して30℃で芽出し処理を施した種籾(催芽籾)120gを画内に均一に播き、さらにその上に無肥料の粒状の土(覆土)1kgを画内に均一に入れて、種籾の上部を覆った。
【0061】
参考例5、実施例15〜20)参考例1の育苗箱用粒状肥料培地Aの替わりに、参考例2の育苗箱用粒状肥料培地B、実施例3の育苗箱用粒状肥料培地C、実施例4の育苗箱用粒状肥料培地D、実施例5の育苗箱用粒状肥料培地E、実施例6の育苗箱用粒状肥料培地F、実施例7の育苗箱用粒状肥料培地G、実施例8の育苗箱用粒状肥料培地Hを各々使用した以外は参考例4と同様の操作を繰り返した。
【0062】
参考例6)育苗箱(縦28cm×横58cm×深さ3cm)に、参考例1の育苗箱用粒状肥料培地A;2Lを充填し、その上に被覆窒素肥料(くみあい40被覆尿素LPコート100、窒素濃度;40重量%、保証成分);600gを均一に混在させ、全体が飽和状態になるまで十分に潅水し、その上に、水に十分浸して30℃で芽出し処理を施した種籾(催芽籾)120gを画内に均一に播き、さらにその上に無肥料の粒状の土(覆土)1kgを画内に均一に入れて、種籾の上部を覆った。
【0063】
参考例7、実施例23〜28)参考例1の育苗箱用粒状肥料培地Aの替わりに、参考例2の育苗箱用粒状肥料培地B、実施例3の育苗箱用粒状肥料培地C、実施例4の育苗箱用粒状肥料培地D、実施例5の育苗箱用粒状肥料培地E、実施例6の育苗箱用粒状肥料培地F、実施例7の育苗箱用粒状肥料培地G、実施例8の育苗箱用粒状肥料培地Hを各々使用した以外は、参考例6と同様の操作を繰り返した。
【0064】
参考例8)育苗箱(縦28cm×横58cm×深さ3cm)に、参考例1の育苗箱用粒状肥料培地A;2Lを充填し、その上に被覆窒素・カリ肥料(くみあい水稲育苗箱全量施肥専用LPコートNKロング301−100、窒素濃度;30重量%、カリ濃度;10重量%、保証成分);700gを均一に混在させ、全体が飽和状態になるまで十分に潅水し、その上に、水に十分浸して30℃で芽出し処理を施した種籾(催芽籾)120gを画内に均一に播き、さらにその上に無肥料の粒状の土(覆土)1kgを画内に均一に入れて、種籾の上部を覆った
【0065】
参考例9、実施例31〜36)参考例1の育苗箱用粒状肥料培地Aの替わりに、参考例2の育苗箱用粒状肥料培地B、実施例3の育苗箱用粒状肥料培地C、実施例4の育苗箱用粒状肥料培地D、実施例5の育苗箱用粒状肥料培地E、実施例6の育苗箱用粒状肥料培地F、実施例7の育苗箱用粒状肥料培地G、実施例8の育苗箱用粒状肥料培地Hを各々使用した以外は、参考例8と同様の操作を繰り返した。
【0066】
(比較例8)参考例1の育苗箱用粒状肥料培地Aの替わりに、水稲育苗用培土(くみあい粒状培土K、育苗肥料成分 窒素:リン酸:カリ=1.2:2.4:2.1(g/箱))を使用した以外は、参考例4と同様の操作を繰り返した。
【0067】
(比較例9)参考例1の育苗箱用粒状肥料培地Aの替わりに、水稲育苗用培土(くみあい粒状培土K、育苗肥料成分 窒素:リン酸:カリ=1.2:2.4:2.1(g/箱))を使用した以外は、参考例6と同様の操作を繰り返した。
【0068】
(比較例10)参考例1の育苗箱用粒状肥料培地Aの替わりに、水稲育苗用培土(くみあい粒状培土K、育苗肥料成分 窒素:リン酸:カリ=1.2:2.4:2.1(g/箱))を使用する以外は、参考例8と同様の操作を繰り返した。
【0069】
(比較例11)
育苗箱(縦28cm×横58cm×深さ3cm)に、ク溶性リン酸を主成分とするリン酸肥料粒子(粒子中のク溶性リン酸濃度;35〜40重量%、水溶性リン酸濃度;4重量%以下、保証成分);1.5Lと、被覆窒素肥料(くみあい40被覆尿素LPコート100、窒素濃度;40重量%、保証成分);600gを充填し、全体が飽和状態になるまで十分に潅水し、その上に、水に十分浸して30℃で芽出し処理を施した種籾(催芽籾)120gを画内に均一に播き、さらにその上に無肥料の粒状の土(覆土)1kgを画内に均一に入れて、種籾の上部を覆った。
【0070】
(比較例12)
育苗箱(縦28cm×横58cm×深さ3cm)に、ク溶性リン酸を主成分とするリン酸肥料粒子(粒子中のク溶性リン酸濃度;35〜40重量%、水溶性リン酸濃度;4重量%以下、保証成分);1.5Lと、被覆窒素・カリ肥料(くみあい水稲育苗箱全量施肥専用LPコートNKロング301−100、窒素濃度;30重量%、カリ濃度;10重量%、保証成分);700gを充填し、全体が飽和状態になるまで十分に潅水し、その上に、水に十分浸して30℃で芽出し処理を施した種籾(催芽籾)120gを画内に均一に播き、さらにその上に無肥料の粒状の土(覆土)1kgを画内に均一に入れて、種籾の上部を覆った。
【0071】
上記全ての例の育苗箱について、同様の慣行されている育苗管理を行い、35日間育苗した。その間、種籾の発芽状態と、苗の生育状態を目視により観察した。更に、苗箱全量施肥にて育苗した苗のリン酸濃度を測定した。これらの結果を、表3に示す。
【0072】
【表3】
Figure 0003969810
【0073】
参考例3、5、実施例15〜20及び比較例8は、慣行施肥による育苗栽培、参考例6、7、実施例23〜28及び比較例9は、窒素成分を育苗箱施肥した育苗栽培、参考例8、9、実施例31〜36及び比較例12は窒素、カリ成分を育苗箱施肥した育苗箱全量施肥栽培である。いずれの施肥方法においても、粒状肥料培地A〜Hを用いた場合と、水稲育苗用粒状培土を用いた場合とを比較して、育苗の生育状態はほとんど有意差なく、正常であり、苗のリン酸濃度も有意差は認められない。また、当然ながら、吸水材未充填で肥料のみを育苗箱へ充填して育苗したものは、生育不良であった。
【0074】
5.育苗された苗の本田での生育試験結果
(実施例37)
35日間育苗した後の実施例17の苗を、本田に10アール(a)当たり25箱の条件で移植した。移植時の本田への施肥は、窒素とカリを含む肥料(窒素:カリ=16:16)を用い、両成分が10アール当たり4.8kgとなるように行った。移植後、60日経過した時に、窒素とカリを含む肥料(窒素:カリ=16:16)を用い、両成分を10アール当たり10kg追肥した。また、リン酸成分の本田での元肥および追肥とも行わなかった。
【0075】
(実施例38)
35日間育苗した後の実施例25の苗を、本田に10アール(a)当たり25箱の条件で移植した。移植時の本田への施肥は、カリ肥料を用い、カリ成分が10アール当たり4.8kgとなるように行った。また、窒素及びリン酸成分の本田での元肥及び追肥は行わなかった。
【0076】
(実施例39)
35日間育苗した後の実施例33の苗を、本田に10アール(a)当たり25箱の条件で移植した。本田での元肥および追肥は一切行わなかった。
【0077】
(比較例13)
35日間育苗した後の比較例8の苗を、本田に10アール(a)当たり25箱の条件で移植した。移植時の本田への施肥は、窒素とリン酸とカリを含む肥料(窒素:リン酸:カリ=12:18:14)を40kg使用した。即ち、10アール当たり窒素が4.8kg、リン酸が7.2kg、カリが5.6kgとなるように施肥した。また、移植後60日経過した時に、窒素とカリを含む肥料(窒素:カリ=16:16)を10アール当たり10kg追肥した。
【0078】
上記、稲の生育状況を、移植(5月11日)してから30日後及び50日後に観察し、穂が出た日(出穂日)及び稲穂が揃った日(穂揃日)を調べた。また、収穫時の穂数及び玄米収量を調べた。これらの結果を表3に示す。
【0079】
【表4】
Figure 0003969810
【0080】
表4から分かるように、育苗箱用粒状肥料培地を用いて、慣行施肥栽培を行った苗と、窒素を育苗箱施肥して栽培した苗、及び窒素、カリを育苗箱施肥して栽培した苗は、水稲育苗用粒状培土を用いて慣行施肥栽培した苗と比較して、本田での稲の生育状態が孫色のないものであった。
【0081】
以上、本発明を若干の実施例及び比較例により詳細に説明したが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。
例えば、上述の実施例では、粒状化した肥料培地を育苗箱とともに使用した例を示したが、本発明において、育苗箱は必須の要素ではなく省略することが可能であり、本発明の肥料培地をそのまま本田に施肥することも可能である。
また、本発明の肥料培地は、輸送中などに振動などを受けても分級することがなく、製品の均一性に優れる。
【0082】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、所定の緩効性肥料と植物性繊維材料とを適切に粒状化することとしたため、苗を栽培する際の培地と肥料とを兼ね、特に育苗容器での栽培の際から本田での栽培で必要とされる緩効性肥料を含有した育苗容器用の肥料培地、及びこれを用いた全量施肥用材料並びに栽培方法を提供することができる。
【0083】
即ち、本発明の肥料培地は、育苗容器用に使用した場合には、育苗用培土と同等以上の吸水特性を兼ね備え、且つ緩効性の肥効特性を有するため、本田での元肥と追肥、穂肥を省くことが可能である。よって、施肥作業の手間を軽減できるとともに、環境水質への負荷軽減にも役立つ。
更に、本発明の粒状肥料培地は、かなり軽量であるため、育苗段階での播種作業の軽減にもつながる。

Claims (6)

  1. 緩効性リン酸肥料と、育苗に要する水分を保持できる植物性繊維材料とを含有し、これら成分を粒状化して成る肥料培地であって、緩効性リン酸肥料の含有割合が肥料培地の固形分に対して50〜80重量%の範囲であることを特徴とする肥料培地。
  2. 上記緩効性リン酸肥料が、無機物又は有機物による被覆を施されていないことを特徴とする請求項1記載の肥料培地。
  3. 上記緩効性リン酸肥料が水溶性リン酸を0〜15重量%含有することを特徴とする請求項2記載の肥料培地。
  4. 育苗容器に充填して使用されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の肥料培地。
  5. 請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の肥料培地を育苗容器に充填して成る全量施肥用材料であって、上記肥料培地と、窒素肥料成分及び/又はカリ肥料成分を含む緩効性肥料とを含有することを特徴とする全量施肥用材料。
  6. 請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の肥料培地を用いて育苗を行うことを特徴とする栽培方法。
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