JP3969166B2 - 難白化組成物及びそのシート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂組成物およびそれからなるシートに関するものである。さらに詳細には、透明性、剛性、低温での耐衝撃性に優れ、折り曲げ時に白化しない樹脂組成物およびそれからなるシートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリプロピレン系樹脂シートは、食品用カップ、蓋、トレー、ブリスターパック等の容器、クリアーファイル、フォルダー等の文具用途、菓子や人形のクリヤーケース等の折り曲げ加工品、および、産業資材用途等に広く用いられている。
【0003】
例えば、特開平9−31265号公報には、耐衝撃性と透明性に優れるポリプロピレン系樹脂シートとして、プロピレン系重合体と、密度が0.86〜0.97g/cm3であり、メルトフローレートが0.01〜50g/10分であり、分子量分布が1.5〜4.5であり、組成物分布パラメーターが2.00以下であるエチレン(共)重合体を含む樹脂組成物からなるポリプロピレン系樹脂シートが記載されている。
【0004】
また、特開平11−335421号公報には、シート、フィルム、射出分野において用いられ、剛性、耐衝撃性を満足しながら、成形性、透明性、外観等の品質バランスを満足するプロピレン−エチレンランダム共重合体として、温度上昇溶離分別法による溶出曲線において、90重量%溶出時の溶出温度と20重量%溶出時の溶出温度が特定の関係を満足し、含有されるチタン原子が3ppm以下、塩素原子が30ppmであるプロピレン−エチレンランダム共重合体が記載されている。
しかし、上記公報等に記載されているシートにおいても、透明性、剛性、低温での耐衝撃性、および、折り曲げ時に白化しないということについては、さらなる改良が求められていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、透明性、剛性、低温での耐衝撃性に優れ、折り曲げ時に白化しない樹脂組成物およびそれからなるシートを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる実情に鑑み、鋭意検討の結果、プロピレン−エチレンランダム共重合体と結晶性ポリプロピレン重合体と造核剤とを含有する樹脂組成物であって、前記プロピレン−エチレンランダム共重合体の全融解熱量に対する前記プロピレン−エチレンランダム共重合体の一定の温度範囲の融解熱量の割合が一定の範囲にあり、前記樹脂組成物のガラス転移温度が一定の範囲にあり、メルトフローレートが一定の範囲にある樹脂組成物およびそれからなるシートが、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、プロピレン−エチレンランダム共重合体(A)と結晶性ポリプロピレン重合体(B)と造核剤(C)とを含有する樹脂組成物であって、
前記共重合体(A)の全融解熱量(J/g)に対する前記共重合体(A)の130℃以下の融解熱量(J/g)の割合が65%以上であり、前記樹脂組成物のガラス転移温度が−10℃以下であり、メルトフローレートが1〜5g/10分であり、
プロピレン−エチレンランダム共重合体(A)の含有量が95〜70重量%であり、結晶性ポリプロピレン重合体(B)の含有量が5〜30重量%であって、前記共重合体(A)と前記重合体(B)の合計含有量を100重量部として、造核剤(C)0.05〜0.5重量部を含有し、
造核剤(C)が下記一般式(I)で示される少なくとも一種の芳香族燐酸エステル類であることを特徴とする、前記樹脂組成物。
(式中、R 1 は炭素数1〜10の2価の炭化水素基を表し、R 2 およびR 3 はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を表し、lは1または2である。)、前記樹脂組成物に係るものである。以下、本発明について、詳細に説明する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられるプロピレン−エチレンランダム共重合体(A)は、実質的にプロピレン及びエチレンに基づく単量体単位から構成されるランダム共重合体であり、プロピレン−エチレンランダム共重合体(A)の全融解熱量(J/g)に対するプロピレン−エチレンランダム共重合体(A)の130℃以下の融解熱量(J/g)の割合が65%以上であり、低温の衝撃強度や剛性の観点から、好ましくは65〜75%であり、より好ましくは70〜75%である。前記共重合体(A)の全融解熱量(J/g)に対する前記共重合体(A)の130℃以下の融解熱量(J/g)の割合が65%未満の場合、低温での衝撃強度が劣ることがある。
【0009】
本発明で用いられるポリプロピレン−エチレンランダム共重合体(A)のメルトフローレートは、通常、0.5〜10g/10分であり、好ましくは1〜5g/10分である。
【0010】
本発明で用いられる結晶性ポリプロピレン重合体(B)は、プロピレン単独重合体および/またはプロピレンと炭素数4〜12のα−オレフィンとのランダム共重合体である。炭素数4〜12のα−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン等が挙げられる。
【0011】
結晶性ポリプロピレン重合体(B)が、プロピレンと炭素数4〜12のα−オレフィンとのランダム共重合体の場合、剛性の観点から、炭素数4〜12のα−オレフィンの含有量として、好ましくは1モル%以下である。(ただし、プロピレンと炭素数4〜12のα−オレフィンとのランダム共重合体の全量を100モル%とする。)
【0012】
本発明の結晶性ポリプロピレン重合体(B)のメルトフローレートは、2〜200g/10分、好ましくは5〜100g/10分が好適である。
【0013】
本発明で用いられるプロピレン−エチレンランダム共重合体(A)、結晶性ポリプロピレン系重合体(B)の製造方法としては、一般に公知の触媒を用いて製造する方法が挙げられる。
公知の触媒としては、例えば、公知のプロピレンの立体規則性重合用触媒が挙げられる。プロピレンの立体規則性重合用触媒としては、例えば、マグネシウム、チタンおよびハロゲンを必須成分とする固体触媒成分からなるTi−Mg系触媒、前記の固体触媒成分に、有機アルミニウム化合物および必要に応じて電子供与性化合物等の第3成分を組み合わせた触媒、および、メタロセン系触媒等が挙げられ、好ましくはマグネシウム、チタンおよびハロゲンを必須成分とする固体触媒成分に、有機アルミニウム化合物および電子供与性化合物を組み合わせた触媒であり、例えば、特開昭61−218606号公報、特開昭61−287904号公報、特開平7−216017号公報等に記載された触媒系である。
【0014】
本発明で用いられる造核剤(C)としては、例えば、芳香族燐酸エステル類やカルボン酸の金属塩等が挙げられる。カルボン酸の金属塩としては、脂肪酸の金属塩等が挙げられる。これらの造核剤は、単独で用いてもよく、少なくとも2種を併用してもよい。
【0015】
本発明で用いられる造核剤(C)として、好ましくは下記一般式(I)で示される芳香族燐酸エステル類である。
(式中、R1は炭素数1〜10の2価の炭化水素基を表し、R2およびR3はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を表し、lは1または2である。)
【0016】
一般式(I)において、置換基R1は炭素数1〜10の2価の炭化水素基を表し、炭素数1〜10の2価の炭化水素基としてはアルキレン基、アルキリデン基等が挙げられる。アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等が挙げられ、好ましくはメチレン基であり、アルキリデン基としては、例えば、エチリデン基、n−プロピレリデン基、i−プロピリデン基等が挙げられ、好ましくはエチリデン基である。
【0017】
R2およびR3はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を表し、炭素数1〜10の炭化水素基としては、アルキル基、フェニル基等が挙げられる。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられ、好ましくはR2およびR3が共にt−ブチル基である。lは1または2である。
【0018】
一般式(I)で示される芳香族燐酸エステル類としては、例えば、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジメチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジメチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジエチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジエチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、およびヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4−i−プロピル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4−i−プロピル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート]等が挙げられ、好ましくは、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、およびヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]である。
【0019】
本発明で用いられる芳香族燐酸エステル類としては、市販品を用いても良く、例えば、ヒドロキシアルミニウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]と炭素数8〜20の脂肪族モノカルボン酸リチウム塩混合物(旭電化(株)製、商品名:アデカスタブNA21)等が挙げられる。
【0020】
本発明の樹脂組成物は、プロピレン−エチレンランダム共重合体(A)と結晶性ポリプロピレン重合体(B)と造核剤(C)とを含有する樹脂組成物である。本発明の樹脂組成物のガラス転移温度が−10℃以下であり、衝撃強度や折り曲げ時の白化を防止する観点から、好ましくは−10〜−15℃である。ガラス転移温度が−10℃を超えた場合、衝撃強度が不足することがある。
本発明の樹脂組成物のメルトフローレートは、1〜5g/10分である。
【0021】
本発明の樹脂組成物におけるプロピレン−エチレンランダム共重合体(A)、結晶性ポリプロピレン重合体(B)および造核剤(C)の含有量は、剛性や衝撃強度の観点から、好ましくは、プロピレン−エチレンランダム共重合体(A)の含有量が95〜50重量%であり、結晶性ポリプロピレン重合体(B)の含有量が5〜50重量%であって、前記共重合体(A)と前記重合体(B)の合計量を100重量部として、これに対して、造核剤(C)の含有量が0.05〜0.5重量部である。
【0022】
プロピレン−エチレンランダム共重合体(A)の含有量として、好ましくは95〜60重量%(すなわち、結晶性ポリプロピレン重合体(B)の含有量として、好ましくは5〜40重量%)であり、より好ましくは95〜70重量%(すなわち、結晶性ポリプロピレン重合体(B)の含有量として、好ましくは5〜30重量%)である。
【0023】
造核剤(C)の含有量として、透明性の観点から、好ましくは、プロピレン−エチレンランダム共重合体(A)と結晶性ポリプロピレン重合体(B)の合計量を100重量部として、これに対して、0.05〜0.5重量部である。
【0024】
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、他の添加剤、例えば、中和剤、酸化防止剤、耐侯剤、難燃剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、銅害防止剤、無機充填剤(タルク、シリカ、チタン等)等を添加してもよい。
【0025】
本発明の樹脂組成物の製造方法としては、公知の方法が挙げられ、例えば、プロピレン−エチレンランダム共重合体(A)と、結晶性ポリプロピレン重合体(B)および造核剤(C)、さらには必要に応じて添加される他の各種添加剤を、タンブラーミキサー、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー等の混合機を用いて混合した後、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー等で溶融混練して均一にする方法が挙げられる。
【0026】
本発明のシートの製造方法としては、通常用いられるインフレーション法、Tダイ法、カレンダー法等が挙げられる。また、本発明のシートは単独のシートであってもよく、また、異なる樹脂とからなる多層シートにおける少なくとも1層であってもよい。多層シートの製造方法としては、通常よく用いられる押出ラミネート法、熱ラミネート法、ドライラミネート法等によって多層化する方法が挙げられる。
【0027】
また、本発明のシートを、例えば、ロール延伸法、テンター延伸法、チューブラー延伸法等によって、一軸または二軸に延伸してもよく、通常用いられるコロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、オゾン処理等によって、表面処理を施してもよい。
【0028】
また、本発明のシートからなる成形品としては、ボトル、容器、射出成形品等が挙げられる。ボトルの成形方法としては、例えば、ダイレクトブロー成形法、2軸延伸ブロー成形法等が挙げられ、容器の成形方法としては、例えば、真空成形、圧空成形等が挙げられ、射出成形品の成形方法としては、例えば、射出成形法等が挙げられる。また、本発明のシートからなる成形品は、本発明のシート単独からなるものでもよく、また、異なる樹脂とからなる多層シートにおいて、本発明のシートが少なくとも1層として用いられている多層シートからなるものであってもよい。
本発明のシートからなる成形品として、特に好ましくはファイル、フォルダー等の文具、包装用シートの素材である。
【0029】
【実施例】
以下、実施例および比較例によって、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例で用いた試料の調整および物性の測定は、下記の方法に従って行った。
【0030】
(1)試料の調整方法
(1−1)ペレット化
プロピレン−エチレンランダム共重合体(A)および結晶性ポリプロピレン重合体(B)と造核剤(C)に、塩素補足剤、酸化防止剤、有機過酸化物を添加し、ヘンシェルミキサ−で3分間混合した後、スクリュ−径40mmφの押出造粒機を用いて250℃で押し出し樹脂組成物を得た。
(1−2)プレスシートの作成
JIS K6758に従って、シートを作成した。
【0031】
(2)実施例及び比較例で用いたプロピレン−エチレンランダム共重合体(A)、結晶性ポリプロピレン重合体(B)および樹脂組成物の物性測定
(2−1)DSC融解熱量測定(単位:J/g)
示差走査熱量計(パーキンエルマ−社DSC−VII)を用いて、予め試料10mgを窒素雰囲気下で220℃で5分溶融した後、5℃/分の降温速度で40℃まで降温した。その後、5℃/分で昇温させて得られた融解熱量を各温度毎にプロットした。尚、本測定器を用いて5℃/分の昇温速度で測定したインジウムの融解熱量は28.432J/gであった。
【0032】
(2−2)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
JIS K7210に従って、測定した。
【0033】
(2−3)ガラス転移温度(E”値、単位:℃)
スペクトロメータSDM5600(セイコ−電子工業株式会社製)を用いて、下記のサンプルを、下記の条件で測定した。
測定サンプル:サンプル(巾×長さ×厚み:3mm×20mm×0.3mm)
引っ張り測定(DMS200)
固定周波数:5Hz、
測定温度:−100℃〜170℃、
昇温速度:2℃/分
【0034】
(2−4)曲げ弾性率(単位:MPa)
JIS K7203に従って、測定した。
【0035】
(2−5)透明性(単位:%)
JIS K7105に従い測定した。
【0036】
(2−6)デュポンインパクト(耐衝撃性、単位:KJ/m)
−10℃において、東洋精機製のフィルムインパクトテスターを使用して、先端1/2インチの半球状の重錘をシート上に落下させた時、試験に用いた複数個のシートの50%が破壊されるエネルギーを測定した。
【0037】
(2−7)折り曲げ白化(目視)
シートを90度折り曲げ、折り曲げ部の白化を観察した。
○:良好(白化が見られない)
△:白化がやや見られる
×:白化あり
【0038】
実施例または比較例で、プロピレン−エチレンランダム共重合体(A)として、または結晶性ポリプロピレン重合体(B)として、下記の試料を用いた。そして、プロピレン−エチレンランダム共重合体(A)の物性を表1に示し、結晶性プロピレン重合体の物性を表2に示した。
(A−1)住友化学工業株式会社製、RS160XG
(A−2)住友化学工業株式会社製、RH130XG
(B−1)住友化学工業株式会社製、商品名W101
(B−2)住友化学工業株式会社製、商品名U101
【0039】
実施例−1
プロピレン−エチレンランダム共重合体(A)を85重量%、結晶性ポリプロピレン重合体(B)を15重量%、造核剤(C)として、旭電化(株)製、商品名アデカスタブNA21を0.1重量部、塩素補足剤としてステアリン酸カルシウム0.05重量部、酸化防止剤としてトリス(2.4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト/テトラキス[メチレン−3(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]メタンの3:1の混合物を0.24重量部、MFRを調整するため有機過酸化物を添加し、ヘンシェルミキサ−で3分間混合した後、スクリュ−径40mmφの押出造粒機を用いて250℃で押し出し原料ペレットを得た。得られたペレットにおける各成分の組成およびガラス転移温度を表3に示した。得られたペレットのプレスシートを作成し、物性を測定した。その結果を表4に示した。
【0040】
実施例−2〜4
実施例−1と同様の方法で、表3に示した組成物を得た。得られたペレットのプレスシートを作成し物性を測定した。その結果を表4に示した。
【0041】
比較例−1
実施例−1と同様の方法で、表3に示した組成物を得た。得られたペレットの物性を測定した。その結果を表4に示した。
【0042】
比較例−2
実施例−1と同様の方法で、表3に示した組成物を得た。得られたペレットの物性を測定した。その結果を表4に示した。
【0043】
比較例−3
実施例−1と同様の方法で、表3に示した組成物を得た。得られたペレットの物性を測定した。その結果を表4に示した。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
【表4】
【0048】
本発明の要件を満足する実施例−1〜3は、透明性、剛性、低温での耐衝撃性に優れ、折り曲げ時に白化しないものであることが分かる。
これに対して、本発明の要件である結晶性プロピレン重合体(B)を用いなかった比較例−1は、剛性(曲げ弾性率)が低いものであり、造核剤(C)を用いなかった比較例−2は、透明性が不充分なものであり、プロピレン−エチレンランダム共重合体(A)の130℃以下の融解熱量(J/g)の割合が65%以上であることを満足せず、結晶性プロピレン重合体(B)を用いなかった比較例−3は、低温での衝撃強度が低く、折り曲げ時に白化が見られたものであることが分かる。
【0049】
【発明の効果】
以上、詳述したとおり、本発明によって、透明性、剛性、低温での耐衝撃性に優れ、折り曲げ時に白化しない樹脂組成物およびそれからなるシートを得ることができる。
Claims (2)
- プロピレン−エチレンランダム共重合体(A)と結晶性ポリプロピレン重合体(B)と造核剤(C)とを含有する樹脂組成物であって、
前記共重合体(A)の全融解熱量(J/g)に対する前記共重合体(A)の130℃以下の融解熱量(J/g)の割合が65%以上であり、前記樹脂組成物のガラス転移温度が−10℃以下であり、メルトフローレートが1〜5g/10分であり、
プロピレン−エチレンランダム共重合体(A)の含有量が95〜70重量%であり、結晶性ポリプロピレン重合体(B)の含有量が5〜30重量%であって、前記共重合体(A)と前記重合体(B)の合計含有量を100重量部として、造核剤(C)0.05〜0.5重量部を含有し、
造核剤(C)が下記一般式(I)で示される少なくとも一種の芳香族燐酸エステル類であることを特徴とする、前記樹脂組成物。
(式中、R 1 は炭素数1〜10の2価の炭化水素基を表し、R 2 およびR 3 はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を表し、lは1または2である。) - 請求項1に記載の樹脂組成物からなるシート。
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