JP3969058B2 - 軟質ポリウレタンフォームの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリオールとポリイソシアネートを、触媒及び他の助剤等の存在下に反応させ、軟質ポリウレタンフォームを製造する方法に関する。さらに詳しくは、スズ系触媒を使用しないことを特徴とする軟質ポリウレタンフォームの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリウレタンはポリイソシアネートと有機ポリオールを触媒及び必要に応じて発泡剤、界面活性剤、さらに必要ならば架橋剤等の他の助剤の存在下に反応させて製造される。中でも軟質ポリウレタンフォームは、軽量で弾性に優れるため、車両、家具、寝具、クッション等の製品に広く使用されている。軟質ポリウレタンフォームのうちホットモールドフォームは主として自動車シートクッション分野に用いられ、スラブフォームは主として家具、寝具、クッション分野に用いられている。
【0003】
一般にスラブフォーム及びホットモールドフォームでは触媒としてスズ系触媒とアミン触媒を併用し、良好なフォームを製造しているが、特にキュアー性と成型上の点からスズ系触媒の使用が不可欠となっている。スズ系触媒としてはスタナスジオクトエートやジブチルチンジラウレート等が一般的に使用される。ポリオールとしては、グリセリンを開始剤としてプロピレンオキサイド(以下POと略す)を付加させた、安価な汎用ポリオールが一般的に用いられている。以前は低密度フォーム製造においては発泡剤としてCFC−11のようなフロン化合物が用いられてきたが、オゾン層を破壊することが指摘され、世界的に厳しいフロン規制が行われており、近年ではメチレンクロライドと水を併用する方法に変わってきている。しかしながら、メチレンクロライドについても環境への悪影響及びその毒性が指摘されており、水のみを発泡剤として用いる方法もしくは炭酸ガスを発泡剤として用いる方法が提案されてきている。
【0004】
発泡剤の改良以外に最近では触媒系についても改良が求められている。即ちスズ系触媒には不純物として毒性の高いトリブチルスズ等が微量混入しており、この不純物を除去できないため、結果としてスズ系触媒を使用するとウレタンフォーム中に毒性の高い化学物質が残存するという指摘である。毒性の問題の他にスズ系触媒にはプレミックス中での保存安定性が悪く、長期の保存が難しい問題が指摘されてきた。これらの問題により、スズ触媒を用いずにスラブフォームもしくはホットモールドフォームを製造できる処方の開発が強く望まれている
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、主原料であるポリオールにおいて、汎用のポリオール(グリセリンにPOを付加させて得られたポリオール)を用いた従来の処方からスズ系触媒を除き、従来用いられているトリエチレンジアミン、N,N−ジメチルアミノエタノール、N−エチルモルホリン等の汎用アミン触媒で軟質ポリウレタンフォームを形成した場合、フォーム形成が不安定となり、デフォーム(フォームの崩壊)が起ったり、フォームを形成できてもフォーム内部にクラックが発生したり十分な通気性が得られなかったりする重大な問題が起こり、物性的に優れたフォームを得ることはできない。
【0006】
従来のポリオールに変えて、ポリオール鎖の末端にオキシエチレン基を導入した反応性の高いポリオールを使用する方法もあるが、この場合フォーム中の独立気泡の割合が高くなる問題を生じる。その結果、フォームの通気性が著しく悪化しフォーム収縮が起こる等の問題があった。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来の問題点を解決できるスズ系触媒を使用しない軟質ポリウレタンフォーム処方を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記事情に鑑み、スズ系触媒を使用しない軟質ポリウレタンフォーム処方について鋭意検討した結果、特定のポリオール及び特定の化学構造を有するアミン化合物を触媒として用いると、フォームの成形性が優れ、高い通気性を有する軟質ポリウレタンフォームの製造が可能になる事実を見出し本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち本発明は、ポリオールとポリイソシアネートを、触媒、発泡剤、整泡剤及び他の助剤の存在下に反応させ、軟質ポリウレタンフォームを製造する方法において、
▲1▼ポリオールとして、少なくとも5重量%以上のオキシエチレン基を鎖内部に含有し、末端は2級OH基で封鎖されたポリエーテルポリオールを使用し、
▲2▼ポリイソシアネートとして、トルエンジイソシアネート及び/又はその誘導体を使用し、且つ
▲3▼触媒として、少なくとも下記一般式
【0010】
【化3】
[式中、R1,R2,R3は各々独立して水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシメチル基、フェニル基を表す。R4は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アミノプロピル基、ジメチルアミノプロピル基、ベンジル基、ビニル基、アリル基、ベンジル基、フェニル基、シアノエチル基又は下記式
【0011】
【化4】
(式中、R5は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、pは1〜3の整数を表す。)
で示される官能基を表す。]
で示されるイミダゾール化合物より選ばれた1種又は2種以上を使用し、スズ系触媒を使用しないことを使用することを特徴とする軟質ポリウレタンフォームの製造方法である。
【0012】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明は、ポリエーテルポリオールとポリイソシアネートを触媒、発泡剤、整泡剤及び必要に応じて他の助剤の存在下に反応させて得られる軟質ポリウレタンフォームの製造方法である。
【0014】
本発明の方法に用いられる触媒であるイミダゾール化合物としては、例えば1,2−ジメチルイミダゾール、1−メチルイミダゾール、1,4−ジメチルイミダゾール、1,2,4,5−テトラメチルイミダゾール、1−メチル−2−イソプロピルイミダゾール、1−メチル−2−フェニルイミダゾール、1−(n−ブチル)−2−メチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、1−ビニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、1−(2’−ヒドロキシプロピル)−イミダゾール、1−(2’−ヒドロキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−(2’−ヒドロキシエチル)−イミダゾール、1−(2’−ヒドロキシエチル)−2−メチルイミダゾール、1−(3’−アミノプロピル)−イミダゾール、1−(3’−アミノプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−(3’−ジメチルアミノプロピル)イミダゾール、1−(3’−ヒドロキシプロピル)−イミダゾール、1−(3’−ヒドロキシプロピル)−2−メチルイミダゾール等が例示できる。これらの中で、1,2−ジメチルイミダゾール、1−メチルイミダゾール、1−n−ブチル−2−メチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、1−(3’−ジメチルアミノプロピル)イミダゾール、1−(3’−アミノプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−(3’−アミノプロピル)−イミダゾール、1−(2’−ヒドロキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−(2’−ヒドロキシエチル)−イミダゾール、1−(2’−ヒドロキシエチル)−2−メチルイミダゾール及び1−(2’−ヒドロキシエチル)−イミダゾールは触媒活性が高く工業的に有利に使用される。
【0015】
これらの触媒は必要ならば溶媒で希釈して使用されても良い。溶媒としては通常使用されるものであれば特に限定されるものではなく、例えばジプロピレングリコール、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチエレングリコール及び水等が使用できる。
【0016】
これらの触媒の使用量は、ポリオールを100重量部とした場合、通常0.01〜5重量部であり、さらに好ましくは0.05〜3重量部である。
【0017】
本発明の方法においては、本発明の機能を損なわない範囲であれば、さらに他の3級アミンを併用することができる。このような3級アミン触媒としては、従来公知のものであればよく、特に限定するものではないが、例えば、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチル−(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルグアニジン、1,3,5−トリス(N,N−ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ−S−トリアジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N−メチル−N’−(2−ジメチルアミノエチル)ピペラジン、N,N’−ジメチルピペラジン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、等が挙げられる。
【0018】
本発明の方法は、触媒としてスズ系触媒を使用しないことをその特徴とする。本発明においてスズ系触媒としては、具体的には、スタナスジアセテート、スタナスジオクトエート、スタナスジオレエート、スタナスジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジクロライド、ジオクチル錫ジラウレート等の、従来公知の有機スズ化合物が挙げられる。
【0019】
本発明の方法に使用されるポリオールは、少なくとも5重量%以上のオキシエチレン基を鎖内部に含有し、末端は2級OH基で封鎖されたポリエーテルポリオールである。このようなポリエーテルポリオールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類を開始剤とし、これにエチレンオキサイド(以下、EOと称する)やプロピレンオキサイド(以下、POと称する)に代表されるアルキレンオキサイドの付加重合反応により、例えば、Gunter Oertel “Polyurethane Handbook”(1985年版) Hanser Publishers社(ドイツ),p.42−53に記載の方法により製造することができる。
【0020】
プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドの付加重合反応としては、例えば、プロピレンオキサイドを付加重合後に、エチレンオキサイドを付加重合し、次いでプロピレンオキサイドを付加重合するトリブロック共重合反応や、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドをランダムに共重合するランダム反応した後にさらにプロピレンオキサイドを付加重合する共重合反応、等が挙げられる。本発明の方法においては、いずれの方法を用いても良い。エポキサイド化合物を付加重合する際に、塩基性触媒を使用することも可能である。触媒の投入時期に関しては、以下の二つの反応が挙げられる。(a)開始剤である多価アルコール類と同時に触媒を添加し、エポキサイド化合物の付加重合を行う方法。(b)開始剤である多価アルコール類とエポキサイド化合物とを無触媒で反応させた後に触媒を添加して、さらにエポキサイド化合物の付加重合を行う方法。本発明の方法においては、前記のいずれの方法を用いても良い。
【0021】
また、上記の塩基性触媒としては、アルカリ金属類、アルカリ土類金属類、アミン化合物等が挙げられる。アルカリ金属類又はアルカリ土類金属類としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物が挙げられる。また、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩等も挙げられる。さらに、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム等の炭酸水素塩等も挙げられる。アミン化合物としては、例えば、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ピリジン、メチルジメチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、ジメチルパルミチルアミン、ジメチルオクチルアミン等が挙げられる。これらの触媒は単独又は2種以上併用することができる。
【0022】
本発明の方法においては、通常、上記に示したようにポリオールを製造した後、後処理して用いた塩基性触媒を除去する。後処理方法としては、(a)塩酸、リン酸、硫酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、コハク酸、フタル酸、マレイン酸等の有機酸、二酸化炭素から選ばれる少なくとも1種類の中和剤により中和処理する方法、(b)イオン交換樹脂により処理する方法、(c)吸着剤により処理する方法、等が挙げられる。さらに、水、ポリオールに不活性な溶媒、又は水と溶媒の混合物を用いてポリオールを精製することもできる。
【0023】
これらのポリオールのなかで、特に好ましくは、グリセリン又はトリメチロールプロパンを開始剤としてEOとPOを付加したポリエーテルポリオールである。ただし、EOとPOの付加位置はポリオール鎖の中においてランダムで良いが、末端はPOのみであり、EOとPOの付加比率はEOが5重量%以上である。これらポリエーテルポリオールの分子量は通常1500〜7000の範囲であり、好ましくは2000〜5000の範囲である。これを水酸基価で表すと水酸基価は通常24〜112mgKOH/gの範囲であり、好ましくは33〜84mgKOH/gの範囲である。
【0024】
本発明の製造方法においてポリオールの選択は重要であり、グリセリンにPOのみを付加させて得られた汎用的なポリオールを使用した場合、デフォームを生じたり、通気性が非常に悪化する等の問題を生じてしまう。さらに本発明のイミダゾール系触媒を用いたとしても、フォームの通気性が悪化し、良好なフォームを形成できない。
【0025】
また末端部にEOを付加し、末端1級OH基で封鎖したポリオールを用いた場合、フォーム中の独立気泡の割合が高くなる問題を生じる。その結果、フォームの通気性が著しく悪化しフォーム収縮が起こる場合もある。また本発明のイミダゾール系触媒を用いても通気性を改良することは難しく、良好なフォームを形成できない。
【0026】
さらに本発明のポリオールを用いても、本発明の触媒以外のアミン触媒を用いた場合は、デフォームを生じたり、フォームにクラックを生じたり、フォーム表面が脆く剥がれ落ちたする問題が生じ、良好なフォームを形成することは難しい。
【0027】
本発明に使用されるポリイソシアネートは、トルエンジイソシアネート(以下、TDIと称する)及び/又はその誘導体である。TDIとしては、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネート、又はそれらの混合物が挙げられる。TDIの誘導体としては末端イソシアネートプレポリマー誘導体を挙げることができる。本発明の軟質フォームの製造において、工業的に容易に入手可能である2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物が好適に使用できる。
【0028】
本発明の方法のおいて、イソシアネートインデックス(イソシアネート基/イソシアネート基と反応しうる活性水素基)は、特に限定されるものではないが、一般に60〜130の範囲である。
【0029】
本発明の方法においては、必要に応じて、発泡剤、界面活性剤、架橋剤又は鎖延長剤、着色剤、難燃剤、老化防止剤等の他の助剤を使用することができる。
【0030】
本発明において使用される発泡剤としては、水及び/又は炭酸ガスが好適なものとして例示されるが、ハロゲン化炭化水素を発泡剤として併用することも可能である。ハロゲン化炭化水素としては、公知のハロゲン化メタン、ハロゲン化エタン類、例えば塩化メチレン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロトリフルオロメタン、ジクロロモノフルオロメタンが使用できる。特に好ましい発泡剤は、水であり、その使用量は目的とするフォームの密度により変わり得るが、通常ポリオール100重量部に対して2重量部以上であり、更に好ましくは2〜8重量部であり、より好ましくは3〜5.5重量部である。水部数が2重量部より少ない場合は発泡倍率が極度に小さくなり、低密度のフォームを形成することはできない。また水部数が8重量部以上の場合は発泡が不安定になり、デフォームを生じ易くなりフォームを形成できなかったりスコーチが発生しやすくなる問題がある。
【0031】
本発明の方法において、必要であれば、整泡剤を用いることができる。本発明において使用される整泡剤としては、従来公知の有機シリコーン系界面活性剤であり、その使用量は、ポリオール100重量部に対して通常0.1〜10重量部の範囲である。
【0032】
本発明の方法において、必要であれば、架橋剤又は鎖延長剤を添加することができる。架橋剤もしくは鎖延長剤としては、低分子量の多価アルコール例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、グリセリン等、低分子量のアミンポリオール例えばジエタノールアミン、トリエタノールアミン等又はポリアミン、例えば、エチレンジアミン、キシリレンジアミン、メチレンビスオルソクロルアニリン等を挙げることができる。これらの内、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンが好ましい。
【0033】
また本発明の方法においては、必要に応じて、着色剤、難燃剤、老化防止剤その他公知の添加剤等も使用できる。例えば、難燃剤としては、特に限定するものではないが、クロロアルキルホスフェート、ジメチル・メチルホスホネート、ポリメリックホスファイト、臭素−燐化合物、有機臭素化合物、アンモニウムポリホスフェート、ジエチルホスフェート・ビスヒドロキシエチルホスフェート・アミノエチルホスフェート、ネオペンチルブロマイドアジペート、ジブロモプロパノール、ジブロモネオペンチルグリコール、臭素化ポリエーテル等が例示される。これらの添加剤の種類、添加量は公知の形式と手順を逸脱しないならば通常使用される範囲で十分使用することができる。
【0034】
【実施例】
以下、実施例、比較例に基づいて説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0035】
調製例1
グリセリン(試薬品)184.0gと水酸化カリウム(試薬品)4gを温度計及び攪拌機を装着した10Lオートクレーブに入れ120℃に加熱した。温度を120℃に維持しながら、定量ポンプを用いてプロピレンオキサイド1890.2gを4時間かけて導入し、攪拌下120℃にて付加重合した。さらに反応温度を保持しながら反応を2時間続けた。次に定量ポンプを用いて、エチレンオキサイド2035.6gを5時間かけて導入した。更に反応温度を保持し、反応を3時間続けた。次にプロピレンオキサイド1890.2gを定量ポンプを用い、4時間かけて導入し、反応温度を保持しながら反応を2時間続けた。重合終了後、中和、脱水、ろ過を行い精製した。
【0036】
得られたポリオールは水酸基価56mgKOH/g、粘度485cps/25℃であり、エチレンオキサイド含有率は35重量%であった。得られたポリオールをポリオールAとし、以下の実施例及び比較例に用いた。
【0037】
調製例2
グリセリン(試薬品)184.0gと水酸化カリウム(試薬品)4gを温度計及び攪拌機を装着した10Lオートクレーブに入れ120℃に加熱した。温度を120℃に維持しながら、定量ポンプを用いてプロピレンオキサイド4652.8gを8時間かけて導入し、攪拌下120℃にて付加重合した。さらに反応温度を保持しながら反応を2時間続けた。次に定量ポンプを用いて、エチレンオキサイド1163.2gを3時間かけて導入した。更に反応温度を保持し、反応を3時間続けた。重合終了後、中和、脱水、ろ過を行い精製した。得られたポリオールは水酸基価56mgKOH/g、粘度495cps/25℃であり、エチレンオキサイド含有率は20重量%であった。得られたポリオールをポリオールCとし、以下の実施例及び比較例に用いた。
【0038】
実施例1〜実施例5、比較例1〜比較例13
触媒及びポリオールを変化させ、表1〜表3に示すポリオールとポリイソシアネートの配合(イソシアネートインデックス=105)により、発泡剤、整泡剤を表1に示すように用いて軟質ポリウレタンフォームの調整を行った。軟質ポリウレタンフォームの反応性(クリームタイム、ライズタイム)、フォーム成型物の物性(密度、通気性)を測定及び評価した。その評価結果を表1〜3に示した。
【0039】
調整にあたり、ウレタンフォームは以下の発泡条件で調整した。
【0040】
<発泡条件>
原料液温度:25ア1℃
攪拌速度 :3000rpm (5秒間)
モールド :アルミニウム製ボックス(寸法:25×25×25cm)に発泡
モールド温度:45℃
発泡後45℃にて1時間加熱保持を行い、キュアを行った。
【0041】
<測定項目>
以下の項目を測定した。
・反応性
クリームタイム:フォーミングの開始時間(秒)
ライズタイム :フォームの発泡最大高さに達した時間(秒)
・フォーム密度
フォームの中心部より20×20×20cmの大きさを持つ試験片の密度を測定(kg/m3)
・フォーム通気性
Dow Air Flow Appratusを用いた。
・成形性の評価
フォーム内部の大きさを観察し、5段階にランク付けをした。
1:殆どなし
2:小さい
3:中程度
4:大きい
5:非常に大きい
・表面の脆さの評価
フォーム表面の状態を観察し、また手で触ることによりどの程度表面が剥がれ落ちるのか(表面の脆さ)を5段階にランク付けをした。
1:全く剥がれず
2:少し剥がれる
3:中程度
4:かなり剥がれる
5:表面より1cm以上の深さにわたり剥がれる。
【0042】
【表1】
【表2】
【表3】
表1から明らかなように、本発明の実施例では成型性よく、また表面の脆さも見られず、高い通気性を持ったウレタンフォームが得られることがわかる。
【0043】
これに対し、比較例1、比較例2に示されるように本発明の触媒を用いても本発明のポリオールを用いない場合は通気性が悪く、密度も重いフォームが得られることになり市場のニーズにそぐわない。
【0044】
また、比較例3、比較例4に示すように水部数が2pbwより少ない場合は極度に高密度のフォームが形成されたり、水部数が極度に高い場合はフォームの形成が不安定であり、デフォームを生じてしまったりする。即ち水部数はポリオール100重量部に対して2〜8重量部の量で用いられることが大切である。
【0045】
さらに、比較例8〜比較例13に示されるように、本発明の触媒以外の触媒を用いた場合、得られるウレタンフォームは成形性が悪く、また表面が非常に脆いフォームであり、市場の要求に合致しないフォームである。
【0046】
【発明の効果】
軟質ポリウレタンフォームの製造方法において、本発明の処方を用いることにより、スズ系触媒を用いなくても、成形性が良く、通気性の高いフォームを形成することが可能となった。
【0047】
本発明により得られる軟質ウレタンフォームには毒性の高い触媒が含まれないため、安心して使用することが可能である。また本発明の触媒はプレミックス中での保存安定性がよく、従来のスズ触媒を用いる処方で困難であった長期保存が可能になった。
Claims (3)
- ポリオールとポリイソシアネートを、触媒及び他の助剤の存在下に反応させ、軟質ポリウレタンフォームを製造する方法において、(1)ポリオールとして、少なくとも5重量%以上のオキシエチレン基を鎖内部に含有し、末端は2級OH基で封鎖されたポリエーテルポリオールを使用し、(2)ポリイソシアネートとして、トルエンジイソシアネート及び/又はその誘導体を使用し、(3)発泡剤が水であって、その量がポリオール100重量部に対して2〜8重量部であり、且つ(4)触媒として、少なくとも下記一般式
で示されるイミダゾール化合物より選ばれた1種又は2種以上を使用し、且つスズ系触媒を使用しないことを特徴とする軟質ポリウレタンフォームの製造方法。 - ポリエーテルポリオールの水酸基価が33〜84mgKOH/gであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
- 触媒が、少なくとも1,2−ジメチルイミダゾール、1−メチルイミダゾール、1−n−ブチル−2−メチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、1−(3’−ジメチルアミノプロピル)イミダゾール、1−(3’−アミノプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−(3’−アミノプロピル)−イミダゾール、1−(2’−ヒドロキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−(2’−ヒドロキシエチル)−イミダゾール、1−(2’−ヒドロキシエチル)−2−メチルイミダゾール及び1−(2’−ヒドロキシエチル)−イミダゾールからなる群より選ばれた1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の製造方法。
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