JP3968252B2 - 有機・無機ハイブリッド共重合体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機無機ハイブリッド共重合体およびその製造方法の技術分野に属し、特に、膜物性、フィルム物性に優れ、帯電防止剤としての用途及び化粧料用樹脂としての用途に好ましく用いられる有機無機ハイブリッド共重合体およびその製造方法の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
(メタ)アクリル系共重合体やスチレン系共重合体は、モノマー、重合方法、複合化手法の選択等により、幅広い物性(高剛性からエラストマー的弾性)及び機能(帯電防止性、光学特性、電気特性、防曇性、吸水性、バリヤー性等)を発現することができるため、従来、様々な分野で広範に使用されている。その性能及び機能を高めるために、シリカやアルミナ等の無機粒子とをマクロ又はミクロに複合化したさまざまな有機・無機複合材料も検討されている。しかしながら、共重合モノマーとして極性官能基を有するモノマーや、極度に疎水性のモノマーを用いた共重合体、と無機化合物の配合を試みると、多くの場合、無機粒子の安定な分散が阻害され、凝集等が起こり、物性の悪化や外観の悪化を起こすため問題があった。
【0003】
従来、このような問題を解消するために、様々なアプローチでの改良が検討されている。
まず、代表的な例として、機械的にミキサー等を用いて有機ポリマー中に無機微粒子を分散させた複合材料が検討されている。しかし、多くの場合、無機微粒子が再凝集して、物性及び外観を悪化させる等の問題があった。近年、このような問題を解決するために、無機微粒子の表面を被覆し、安定化することで、安定な分散を維持し、凝集等を起こさないようにする検討がなされている。例えば、特開平9−151274号公報や特開平10−81839号公報等に開示されている、無機微粒子表面にエポキシシラン、アミノシラン、またはメルカプトシランを反応させ、表面をエポキシ基、アミノ基、またはメルカプト基で変性した無機微粒子は、有機化合物と均一に配合し易いことが知られている。しかしながらこのような変性処理を施しても、無機微粒子の有機化合物(特に高分子量で、極性基や疎水性基を有する化合物)との安定で且つ均一な混合は困難であり、適用範囲が限定されていた。
【0004】
他方、ポリマーの側鎖または末端に、無機微粒子と反応及び結合し得る官能基を導入し、ポリマーと無機微粒子との安定な分散性を維持しながら、均一に配合する検討がなされている。例えば、特開2001−163918号公報では、末端にシリル基のような官能基を有するビニル重合体とこれと反応し得るシリカのような無機酸化物を含む硬化性組成物が、優れた分散性と反応性のため、過度の架橋を抑制しつつ機械特性に優れた硬化物を与えることが示されている。しかし、このような方法においても、依然としてビニル重合体が高い極性を有する官能基や疎水性を有する官能基を含む場合には、安定かつ均一な混合が乱されるため、適用範囲が限定されていた。
【0005】
また、このようなアプローチとは異なり、モノマーの方が、ポリマーと比較して、無機微粒子と均一に分散し得る傾向があることを利用し、モノマー中に無機微粒子を均一に分散させた後、モノマーを重合してポリマー化する方法(いわゆるin situ 重合)も種々検討されている。例えば、特開2001−302734号公報では、酸性シリカゾルと多官能アクリルモノマーとビニルシランとを低い水分条件で混合することにより、酸性シリカゾルの凝集を完全に抑制した均一混合物を与えることができること、及びこの混合物を熱・UV等で重合・硬化させることにより透明無色の塗膜が生成し、この塗膜がハードコートワニスとして優れていることが開示されている。しかし、同様の反応を、高い極性を有するアクリルモノマーや疎水性を有するアクリルモノマーを含む系で実施すると、重合の進行とともにシリカゾルの凝集が起こり、適用範囲には依然限定があった。
【0006】
ところで、無機微粒子にラジカル重合性官能基を導入し、そのような官能基を利用して、ラジカル重合性モノマーと共重合及び架橋し、有機・無機ハイブリッド化した重合体については、UV硬化性ハードコート剤として広く検討されている。例えば、特開平5−287215号公報や特開平9−100111号公報等に記載されているような、多官能アクリレートとコロイダルシリカを反応させた有機・無機ハイブリッド化合物をベースとする活性エネルギー線硬化性コーテイング剤は、硬化時、無機微粒子表面のアクリル基と多官能アクリレート中のアクリル基との共重合または架橋反応が起こり、有機・無機界面が強化されるため、従来の有機・無機複合コーテイング剤に比べて単層塗布でも硬度や耐摩耗性にすぐれたコート膜を与えることが知られている。しかし、従来、無機微粒子に導入されるラジカル重合性官能基は、ビニル基、アクリル基、メタクリル基であり、これらの官能基を無機粒子1個あたりに数を制御して導入するのは困難であった。その結果として、無機粒子とラジカル重合性モノマーとの共重合の際に、架橋及びゲル化を起こし易く、得られる重合体は不溶化したり、もしくは架橋反応がきっかけとなった凝集等が起こり、従来の方法では、有機溶媒や水に可溶な有機・無機ハイブリッド化した重合体を得るのは困難であった。
【0007】
ところで、メルカプト基は連鎖移動機構でラジカル重合性モノマーと反応することが従来知られ、種々の単官能メルカプタンが連鎖移動による分子量調節剤として検討されている。この機構をアクリルモノマーとの共重合に用いれば、ブロック共重合体が得られることが知られている。例えば、特公平7−37503号公報には、末端にのみメルカプト基を有する有機重合体の存在下、ラジカル重合可能な有機化合物をラジカル重合することを特徴とするブロック共重合体の製法が開示されている。一方、特許第2939309号公報では、メルカプト基を有するポリシロキサンの存在下、フリーラジカル重合性モノマーを重合する共重合体の製造法が開示されている。また、特開2001−151830号公報には、ジメルカプトポリジメチルシロキサンと不飽和カルボン酸エポキシエステルとのブロック共重合体、およびこれから誘導されるエポキシアクリレート、これを含む光硬化性アクリルシリコーン組成物が開示されている。
しかしながら、メルカプト基の連鎖移動機構を利用する方法は、従来、有機ポリマーを得る方法に専ら限定され、このような方法を利用し、有機ポリマーと無機化合物微粒子を直接結合した有機・無機ハイブリッド化合物を得ることは知られていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記諸問題に鑑みなされたものであって、無機酸化物微粒子と有機重合体とが複合化された、水及び/又は有機溶媒に可溶性の新規な有機無機ハイブリッド共重合体を提供することを課題とする。また、本発明は、透明性を有するとともに、高い強度と、高い引張り弾性率及び伸び率とが両立した膜及びフィルムを形成可能な有機無機ハイブリッド共重合体を提供することを課題とする。また、本発明は、帯電防止剤又は化粧料用樹脂用途に好適な有機無機ハイブリッド共重合体を提供することを課題とする。また、本発明は、無機酸化物物微粒子と有機重合体との複合化を可能にするとともに、種々の官能基を導入して、用途に応じた種々の機能性を容易に付与し得る、有機無機ハイブリッド共重合体の製造方法を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、メルカプト基のラジカル共重合性、及びメルカプト基の無機微粒子表面への導入について、鋭意検討を重ねた結果、メルカプト基を有する無機酸化物微粒子とラジカル重合性モノマーとをラジカル共重合することによって、有機成分と無機成分とを均一に複合化し得るとの知見を得、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、前記課題を解決するため、本発明の有機無機ハイブリッド共重合体は、無機酸化物からなり、且つメルカプト基を有するメルカプト基含有無機酸化物微粒子と、炭素−炭素二重結合を有するラジカル重合性有機化合物とをラジカル共重合させてなり、水及び/又は有機溶媒に可溶性であることを特徴とする。
本発明の有機無機ハイブリッド共重合体は、無機酸化物微粒子が、有機成分であるポリマー骨格中にスルフィド結合を介して直接取り込まれているため、分散状態がきわめて安定しており、無機酸化物による各種性能・機能付与(機械特性の向上、親水性や防汚性付与、耐水性付与、熱線吸収、難燃性等の特定機能付与等)、およびモノマー骨格に由来する機能付与(帯電防止性、撥水性等)を同時に成り立たせることが可能である。
【0011】
本発明の好ましい態様として、前記メルカプト基含有無機酸化物微粒子が、メルカプト基を有するシランカップリング剤で無機酸化物を加水分解及び縮合処理することによって、メルカプト基を導入されてなるメルカプト基含有無機酸化物微粒子である上記有機無機ハイブリッド共重合体;前記無機酸化物がコロイダルシリカである上記有機無機ハイブリッド共重合体;前記ラジカル重合性有機化合物が、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸アミド、スチレン誘導体、エチレン誘導体及びジエン誘導体のいずれか少なくとも1種を含む上記有機無機ハイブリッド共重合体;含窒素塩基性官能基を側鎖に有する上記有機無機ハイブリッド共重合体;窒素原子が四級化された及び/又はN−オキシド化された含窒素塩基性官能基を側鎖に有する上記有機無機ハイブリッド共重合体;が提供される。
以上
【0012】
本発明の有機無機ハイブリッド共重合体は、種々の用途に供することができ、例えば、帯電防止剤用、化粧料用樹脂の用途に供することができる。
【0013】
また、前記課題を解決するため、本発明の有機無機ハイブリッド共重合体の製造方法は、無機酸化物微粒子を、メルカプト基を有するシランカップリング剤で加水分解および縮合処理して、メルカプト基が導入されたメルカプト基含有無機酸化物微粒子を得るメルカプト基導入工程と、前記メルカプト基含有無機酸化物微粒子と、炭素−炭素二重結合を有するラジカル重合性有機化合物とを、ラジカル開始剤の下、ラジカル共重合させる重合工程とを含むことを特徴とする。
【0014】
本発明の好ましい態様として、前記重合工程を、前記メルカプト基含有無機酸化物微粒子及び前記ラジカル重合性有機化合物を均一に溶解し得る溶媒中で行う上記有機無機ハイブリッド共重合体の製造方法;前記重合工程を、前記有機無機ハイブリッド共重合体を均一に溶解し得る溶媒を含む、不均一媒体中で行う上記有機無機ハイブリッド共重合体の製造方法;前記ラジカル重合性有機化合物が含窒素塩基性官能基を有する上記有機無機ハイブリッド共重合体の製造方法;前記重合工程の後、前記含窒素塩基性官能基を四級化及び/又はN−オキシド化する工程を含む上記有機無機ハイブリッド共重合体の製造方法;が提供される。
【0015】
さらに、別の観点から、本発明によって、上記有機無機ハイブリッド共重合体と、水及び/又は有機溶媒とを含む化粧料用組成物;上記有機無機ハイブリッド共重合体と、水及び/又は有機溶媒とを含む帯電防止剤用組成物;上記有機無機ハイブリッド共重合体を含む膜;が提供される。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明は、無機酸化物からなり、且つメルカプト基を有するメルカプト基含有無機酸化物微粒子と、炭素−炭素二重結合を有するラジカル重合性有機化合物とをラジカル共重合させてなり、水及び/又は有機溶媒に可溶性である有機無機ハイブリッド共重合体に係わる。
以下、本発明に用いられる種々の材料について、詳細に説明する。
【0017】
(A)メルカプト基含有無機酸化物微粒子
(A−1)無機酸化物微粒子
本発明に用いられる無機酸化物は、特に制限されないが、珪素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、鉛、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモン、セリウム、リチウムの酸化物またはこれらの複合酸化物が好ましい。具体的には、珪素の酸化物(シリカ)、アルミニウムの酸化物(アルミナ)、珪素−アルミニウムの複合酸化物、ジルコニウムの酸化物(ジルコニア)、チタニウムの酸化物(チタニア)、酸化亜鉛、酸化錫、アンチモンドープ酸化錫、インジウム−錫複合酸化物(ITO)、酸化セリウム、シリカ−酸化リチウムの複合酸化物等を挙げることができる。シリカを主成分とする無機酸化物が特に好ましい。
【0018】
無機酸化物微粒子の形状は、球状、中空状、多孔質状、棒状、繊維状、板状、または不定形状であり、中でも球状が好ましい。無機酸化物微粒子の一次粒子径は1〜100nmが好ましい。一次粒子径が1nm未満であると、機械特性の向上効果が小さく、一方100nm以上であると、依然として二次凝集を起こしやすく、透明性等が失われるため好ましくない。
【0019】
これら無機酸化物微粒子は乾燥状態での粉末、水、有機溶剤に溶解または分散した状態で入手可能である。これらのうち、優れた分散性を発現するためには、水または有機溶剤に溶解または分散したゾルの利用が好ましい。代表的には、水に溶解または分散させた水性シリカゾル、またはOH基を有する有機溶媒、またはケトン基を有する極性溶媒に溶解または分散したオルガノシリカゾルを主成分として用いることが最も好ましい。水性シリカゾルとしては代表的には、ST−20(塩基性の水性シリカゾル、日産化学)、ST−O(酸性の水性シリカゾル、日産化学)、ST−AK(弱酸性の水性シリカ・アルミナゾル、日産化学)、リチウムシリケート(塩基性のシリカ・酸化リチウムゾル、日産化学)、等を挙げることができる。また、オルガノシリカゾルとしては代表的には、IPA−ST(IPA分散オルガノシリカゾル、日産化学)、MEK−ST(MEK分散オルガノシリカゾル、日産化学)等、またはこれらを原料に他のOH基を有する有機溶媒に溶媒置換したゾル(例えばPGM分散オルガノシリカゾル等)を挙げることができる。
【0020】
(A−2)メルカプト基を有するシランカップリング剤
本発明に用いるメルカプト基含有無機酸化物微粒子は、無機酸化物微粒子を、メルカプト基を有するシランカップリング剤で処理して、メルカプト基が導入された微粒子であるのが好ましい。この方法によりメルカプト基を導入すると、無機酸化物微粒子へのメルカプト基の導入が高度に制御され、メルカプト基未導入の無機酸化物微粒子の存在割合を低減できるため、機能化のために極性官能基を有するモノマーを用いても、無機酸化物微粒子が凝集等を起こさないので好ましい。メルカプト基を有するシランカップリング剤としては、例えば、トリメトキシシリルプロピルメルカプタン(例えば、信越シリコーンよりKBM803の商品名で、東レダウコーニングシリコンよりSH6062の商品名で入手可能)等を例示することができる。その他、トリエトキシシリルプロピルメルカプタン、トリメトキシシリルエチルメルカプタン等のトリアルコキシシリルアルキルメルカプタン;メチルジメトキシシリルプロピルメルカプタン、メチルジエトキシシリルプロピルメルカプタン等のジアルコキシアルキルシリルアルキルメルカプタン;等を用いてもよい。
【0021】
無機酸化物微粒子とメルカプト基を有するシランカップリング剤との反応及び結合は、類似の化合物を利用した一般的に用いられる種々の方法で実施することができる。基本的には、前記シランカップリング剤のアルコキシシリル基を加水分解し、シラノール基を生成させ、無機酸化物微粒子表面のアルコキシ基及び/又はヒドロキシ基と縮合反応させ、結合させる方法が一般的である。この反応の際、水を用いることもできるが、反応系に添加される水は、最終的に得られるハイブリッド共重合体の塗膜性能及びコート液安定性に影響するので、性能を低下しない範囲で使用するのが好ましい。使用する水の量は、アルコキシシリル基に対し1モル%以上、好ましくは30モル%以上である。1モル%より少ないと加水分解、縮合反応が起こりにくい。また、使用される水は蒸留水、イオン交換水、工業用水、軟水等を挙げることができる。
【0022】
さらに、この加水分解、縮合反応を促進するため、酸、アルカリ、またはその他の適切な化合物を触媒として添加することもできる。これらについても、ハイブリッド共重合体の塗膜性能を損なわず、且つコート液の性能を損なわないものであれば、種々の材料を使用することができる。例えば酸触媒としては、塩化水素溶液、燐酸溶液、硼酸等の無機酸、クエン酸、マレイン酸、酢酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸;アルカリ触媒としてはアルコール性水酸化カリウム、アンモニア、トリアルキルアミン類、ジメチルアミノピリジン等の複素環含有アミン類;等を挙げることができる。その他、アルミニウムトリアセチルアセトナート等の金属アセチルアセトン錯体も有効である。
【0023】
無機酸化物微粒子とメルカプト基を有するシランカップリング剤との重量比は、100/1〜100/100であるのが好ましく、100/2〜100/60であるのがより好ましい。この比が100/1を超えると、無機酸化物微粒子に導入されるメルカプト基の含量が低く、結果として実質的にメルカプト基の導入されていない無機酸化物微粒子の占める割合が高くなり、ラジカル重合性モノマーとして極性の高いモノマーを用いた場合、得られる共重合体が溶媒に不溶なものになる場合がしばしば見られるため好ましくない。一方、100/100未満であると、無機酸化物微粒子に含まれるメルカプト基の含量が高すぎ、共重合体の分子量が著しく低下したり、逆に架橋もしくはゲル化による不溶化が起こる場合があり、好ましくない。
【0024】
(B)ラジカル重合性有機化合物
本発明に使用可能なラジカル重合性有機化合物は、ラジカル重合性の炭素−炭素二重結合基を有する有機化合物で、水及び/又は有機溶媒に可溶性のものであれば特に制限されない。中でも、以下に例示するようなものが好ましい。
(B−1)(メタ)アクリル酸
(B−2)(メタ)アクリル酸エステル
(B−3)(メタ)アクリル酸アミド
(B−4)スチレン誘導体
(B−5)エチレン誘導体
(B−6)ジエン誘導体
なお、前記ラジカル共重合性有機化合物は、2種以上を併用してもよく、2種以上を用いる場合は、少なくとも1種が、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸アミド、スチレン誘導体、エチレン誘導体又はジエン誘導体であるのが好ましい。
以下、各々について詳細に説明する。
【0025】
(B−1)(メタ)アクリル酸
アクリル酸、メタクリル酸、またはその混合物が好ましく用いられる。
【0026】
(B−2)(メタ)アクリル酸エステル
(メタ)アクリル酸エステル類であれば、使用可能であるが、代表的には、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル(例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル等)、アリールエステル(例えば、メタクリル酸フェニル、アクリル酸p−メトキシフェニル等)、アラルキルエステル(例えばアクリル酸ベンジル、メタクリル酸β−フェニルエチル等)、シクロアルキルエステル(例えばメタクリル酸シクロヘキシル等)、ヒドロキシアルキルエステル(例えばメタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル等)、ジアルキルアミノアルキルエステル(例えばジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート等)、エポキシアルキルエステル(例えばメタクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジル等)、トリアルコキシシリルアルキルエステル(例えばメタクリル酸トリメトキシシリルプロピル、メタクリル酸トリエトキシシリルプロピル等)、アルキレンオキシド基を有する(メタ)アクリル酸エステル類(例えばメタクリル酸フェノキシエチル、ポリエチレングリコールモノアクリレート等)、等が好ましく用いられる。
【0027】
(B−3)(メタ)アクリル酸アミド
(メタ)アクリル酸アミド類であれば使用可能であるが、代表的には、(メタ)アクリル酸アルキルアミド(例えばメタクリル酸ステアリルアミド、アクリル酸ブチルアミド等)、(メタ)アクリル酸アリールアミド(例えばメタクリル酸フェニルアミド、アクリル酸o−メトキシフェニルアミド等)、(メタ)アクリル酸アラルキルアミド(例えばメタクリル酸ベンジルアミド、アクリル酸β−フェニルエチルアミド等)、(メタ)アクリル酸シクロアルキルアミド(例えばメタクリル酸シクロヘキシルアミド等)、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルアミド(例えばヒドロキシエチルメタクリルアミド、ヒドロキシプロピルメタクリルアミド等)、(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルアミド(例えばジメチルアミノエチルメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド等)、トリアルコキシシリルアルキルアミド(例えばメタクリル酸トリメトキシシリルプロピルアミド、メタクリル酸トリエトキシシリルプロピルアミド等)等が好ましく用いられる。
【0028】
(B−4)スチレン誘導体
スチレン誘導体であれば使用可能であるが、代表的には、スチレン、α−メチルスチレン、アルキル置換基を有するスチレン誘導体(例えばp−メチルスチレン等)、アリール置換基を有するスチレン誘導体(例えばo−フェニルスチレン等)、アリールアルキル置換基を有するスチレン誘導体(例えばp−ベンジルスチレン等)、アルコキシ置換基を有するスチレン誘導体(例えばo−メトキシスチレン等)、ジアルキルアミノ置換基を有するスチレン誘導体(例えばp−ジメチルアミノスチレン等)、カルボン酸置換基を有するスチレン誘導体(例えばp−ビニル安息香酸等)、カルボン酸エステル置換基を有するスチレン誘導体(例えばp−ビニル安息香酸メチル等)、エポキシ含有置換基を有するスチレン誘導体(例えばp−グリシジルオキシスチレン等)等が好ましく用いられる。
【0029】
(B−5)エチレン誘導体
ラジカル重合可能なエチレン誘導体であれば使用可能であるが、代表的には、エチレン、トリアルコキシシリルエチレン(例えばビニルトリエトキシシラン等)、ビニルアルコール誘導体(例えば安息香酸ビニル、酢酸ビニル等)、ビニルジカルボン酸誘導体(例えばマレイン酸、無水マレイン酸等)、ビニル複素環化合物(例えばビニルピリジン、ビニルイミダゾール等)、ビニル多環芳香族化合物(例えばビニルナフタレン等)等を例示することができる。
【0030】
(B−6)ジエン誘導体
ラジカル重合可能なエチレン誘導体であれば使用可能であるが、代表的には、ブタジエン、ペンタジエン、ヘキサジエン等を例示することができる。
【0031】
本発明の有機無機ハイブリッド共重合体は、前記メルカプト基含有無機酸化物微粒子(以下、「(A)成分」という)と、前記ラジカル重合性有機化合物(以下、「(B)成分」という)とを、ラジカル共重合させてなる。以下、ラジカル共重合の種々の態様について説明する。
本発明の第一の実施形態は、(A)成分と(B)成分とをその共通溶媒に溶解し、ラジカル重合開始剤存在下、重合反応させてなる有機無機ハイブリッド共重合体である。本実施の形態には、溶液重合として知られている各種の方法を適用することができる。
【0032】
前記共通溶媒は、(A)成分が溶解又は分散している溶媒の種類、及び(B)成分の溶解性により好ましい例も異なるが、一般的には、(A)成分として非水系溶媒(例えば、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)等のケトン系溶媒、イソプロパノール(IPA)やプロプレングリコールモノメチルエーテル(PGM)等のアルコール系溶媒)に溶解及び/又は均一分散した無機酸化物微粒子を用いる場合は、該非水系溶媒を主溶媒として用いるのが好ましい。必要に応じ、均一性を向上させるために、これらの非水系溶媒と混和し得る溶媒(例えば、アセトン等のより親水性の高いケトン系溶媒;エタノールやメタノール等のより親水性の高いアルコール系溶媒;エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒;2−エトキシエチルアセタート等のエーテルエステル系溶媒;トルエン等の芳香族炭化水素溶媒(疎水性の高いモノマーを(B)成分として含む場合には有効な場合がある);または水)を、反応系の均一性が損なわれない範囲で加えてもよい。
【0033】
一方、(A)成分として水に溶解及び/又は均一分散した無機酸化物微粒子を用いる場合は、無機酸化物微粒子の溶解及び/又は分散性を損なわず、且つ水と混和し得る溶媒で、かつ幅広い種類の(B)成分を溶解し得る溶媒を含む混合溶媒を用いるのが好ましい。このような溶媒としては、メタノール、エタノール、PGM等の水溶性の高極性アルコール溶媒を挙げることができる。なお、必要に応じ、均一性を向上させるためにこれらの溶媒と混和し得る溶媒(例えば、アセトン;メチルエチルケトン等の親水性の高いケトン系溶媒;エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒;2−エトキシエチルアセテート等のエーテルエステル系溶媒;トルエン等の芳香族炭化水素溶媒(疎水性の高いモノマーを(B)成分として含む場合には有効な場合がある))を、反応系の均一性を損なわない範囲で加えてもよい。
【0034】
(A)成分と(B)成分とを混合後、一定時間以内(好ましくは3時間以内)にラジカル重合開始剤を添加し、重合を開始するのが好ましい。混合後、ラジカル重合開始剤を含まない状態で放置すると、副反応として、メルカプト基のラジカル重合性官能基(二重結合)へのマイケル付加反応が進行し、3時間以上経過後、重合開始した場合、共重合に関与する(A)成分の割合が低下し、一方(B)成分の単独重合の割合が上昇し、結果として生成物の溶解性が低下し、系の均一系が失われてしまう場合がある。
【0035】
ラジカル重合開始剤としては、一般にラジカル重合に用いられる公知の開始剤を用いることができる。代表例を挙げると、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキシド等の有機過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物;が特に好適に使用される。重合液中の(A)成分と(B)成分との総和濃度は、通常10〜60重量%であるのが好ましく、重合開始剤は通常、単量体混合物に対し0.1〜10重量%であるのが好ましく、0.2〜2重量%であるのがより好ましい。
【0036】
好ましい重合温度は用いるラジカル重合開始剤により異なるが、重合温度は20℃〜150℃であるのが好ましく、重合時間は1時間〜72時間であるのが好ましい。
【0037】
本発明の第ニの実施形態は、(A)成分と(B)成分とを、不均一媒体中でラジカル共重合させてなる有機無機ハイブリッド共重合体である。本実施の形態には、懸濁重合(パール重合)、乳化重合(エマルジョン重合)等の公知の各種の不均一系重合法を適用することができる。以下、これらの重合法のうち、代表的な重合法として乳化重合(エマルジョン重合)を適用した例について説明する。乳化重合方法は、(B)成分として疎水性モノマーを用いる場合には特に有効である。
【0038】
まず本実施の形態では、(B)成分を含有する乳化液を調製する。前記乳化液は、(B)成分、公知の乳化剤及び水とを通常の乳化に用いるような公知の手段を用いて調製することができる。次に、この乳化液中に、ラジカル重合開始剤存在下、(A)成分を添加して、(A)成分と(B)成分とを共重合させる。前記ラジカル重合開始剤としては、水溶性開始剤(例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素など)、油溶性開始剤(ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキシド等の有機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物)のいずれを用いてもよいが、80℃以下の10時間半減期温度(半減期が10時間となる温度)を与える開始剤を用いるのが好ましい。
【0039】
40℃以下の低温で共重合する場合は、還元剤と組み合わせたレドックス系触媒を使用するのが好ましく、水溶性開始剤では硫酸第一鉄との併用、油溶性開始剤ではベンゾイルパーオキシド/N,N−ジメチルアニリンとの併用が好ましい。
【0040】
好ましい重合温度は0℃〜80℃、好ましい重合時間は(A)成分の添加時間を含めて2時間〜72時間である。
【0041】
本発明の第三の実施の形態は、(A)成分と(B)成分とをラジカル共重合させてなる、側鎖に四級化又はN−オキシド化された含窒素塩基性官能基を有する、水及び/または有機溶媒に可溶性の有機無機ハイブリッド共重合体である。
ジアルキルアミノアルキル基等の含窒素塩基性官能基を有するラジカル重合性モノマーを含む重合体は、それ自身無機酸化物微粒子と均一に混合し難いが、in situ重合法等により、均一に混合可能な場合がある。しかし、従来、均一に混合している場合でも、前記含窒素塩基性官能基を四級化および/またはN−オキシド化する過程で、無機酸化物微粒子及び共重合体の分散の安定性が損なわれ、凝集等により、不均一化又は不溶化するのが普通であり、溶解性を維持したまま四級化するのは困難である。本実施の形態では、無機酸化物微粒子と有機化合物とをラジカル重合させて、重合により無機微粒子と有機ポリマーとを複合化しているので、共重合体中に無機酸化物微粒子が含まれているにもかかわらず、四級化および/またはN−オキシド化の過程でも安定な分散が維持され、均一性を維持したまま四級化および/またはN−オキシド化された含窒素塩基性官能基を有する有機無機ハイブリッド共重合体となる。
【0042】
本実施の形態では、(B)成分として、ラジカル重合性の炭素−炭素二重結合とともに、含窒素塩基性置換基を有する有機化合物を用いる。前記含窒素塩基性官能基としては、アミノ基、N−置換アミノ基、N,N−ジ置換アミノ基及び含窒素塩基性複素環基が挙げられる。含窒素塩基性置換基を有するラジカル重合性有機化合物としては、(B−1)〜(B−6)で例示したもののうち、アミノ基、N−置換アミノ基、N,N−ジ置換アミノ基及び含窒素塩基性複素環基等を有するものが好ましい具体例として挙げられる。
【0043】
本実施の形態では、(A)成分と(B)成分とのラジカル共重合は、第一の実施の形態と同様、溶液重合によるラジカル重合であっても、第二の実施の形態と同様、不均一溶液重合によるラジカル重合であってもよい。
【0044】
本実施の形態では、ラジカル共重合によって、側鎖に含窒素塩基性官能基を有する有機無機ハイブリッド共重合体が得られる。この共重合体を、四級化及び/又はN−オキシド化することにより、側鎖に四級アンモニウム塩基骨格及び/又はN−オキシド骨格を有する、水または有機溶媒可溶性の有機・無機ハイブリッド共重合体を得ることができる。
【0045】
含窒素塩基性官能基を四級化する四級化剤としては、例えば、三級アミノ基を四級アンモニウム塩基に変性するための四級化剤として、ハロゲン化アルキル(メチルクロリド等)、ハロゲン化アルケニル(アリルクロリド等)、ハロゲン化アラルキル(ベンジルクロリド等)、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸等のアルキル硫酸類、p−トルエンスルホン酸メチル等のスルホン酸エステル類、クロロ酢酸メチル等のα−ハロ脂肪族カルボン酸誘導体、クロロアセトン等のα−ハロケトン類、クロロアセトニトリル等のα−ハロアルキルニトリル等を例示することができる。本実施の形態の有機無機ハイブリッド共重合体を、帯電防止剤の用途に供する場合は、炭素数4以下のハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルケニル、α−ハロ脂肪族カルボン酸誘導体、アルキル硫酸等を四級化剤として用いると、優れた帯電性能が発現されるので好ましい。
【0046】
四級化前の共重合体の主溶剤がMEKやMIBK等のケトン系溶媒の場合、低級アルコール系溶媒(IPA、エタノール、PGM等)に置換するか、希釈する必要がある。一方、水または低級アルコールを主溶剤とする場合には、そのまま四級化反応に用いることができる。このようにして準備された共重合体溶液に四級化剤を加え、20〜100℃で2時間〜24時間反応することで、四級化された共重合体を得ることができる。なお、四級化剤として塩化メチルのような室温で気体の化合物や塩化アリルのような低沸点(蒸気圧の高い)化合物を使用する場合は、密閉・加圧下反応を行う必要がある。
【0047】
含窒素塩基性官能基をN−オキシド化するオキシド化剤としては、過酸化物またはオゾン等の酸化剤が用いられる。過酸化物は、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過酢酸、m−クロロ過安息香酸、メタ過沃素酸ナトリウム、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルハイドロペルオキシド等が挙げられる。一般的には、過酸化水素を水溶液の形態で用いたオキシド化剤が好ましい。なお、この際、メルカプト基に由来するスルフィド基も同時にスルホキシド基またはスルホン基に酸化される。
【0048】
N−オキシド化は、共重合体溶液にオキシド化剤を加えて、一般的には、温度20℃〜100℃で、0.1時間〜100時間、好ましくは1〜50時間反応を進行させることにより、行うことができる。オキシド化剤の使用量は、オキシド化可能な官能基1モルあたり、0.2〜3モルの割合となる量を用いるのが好ましく、0.5〜2モルの割合であるのがより好ましい。0.2モル未満の割合で用いると、変性が不十分で、期待するような物性を発現できないし、一方、3モルを超える割合で用いると、残存オキシド化剤による共重合体の変質(着色、分子量変化等)が起こりやすくなり好ましくない。
【0049】
オキシド化剤が残存する場合、これを除去する工程をさらに実施してもよい。残存するオキシド化剤のオキシド基は、公知の方法で処理することができる。具体的には、還元剤処理、イオン交換処理、活性炭処理、金属触媒による処理等を挙げることができる。特に、本実施の形態の有機無機ハイブリッド共重合体を化粧品用途に供する場合は、残存オキシド化剤を処理する工程を実施するのが好ましい。
【0050】
本発明の有機無機ハイブリッド共重合体は、水、有機溶媒、又はその双方に、可溶性である。ここで、本明細書において可溶性とは、20℃で1重量%以上、好ましくは10重量%以上溶解することをいうものとする。
【0051】
本発明の有機無機ハイブリッド共重合体は、無機酸化物による各種性能及び機能(機械特性の向上、親水性や防汚性付与、耐水性付与、熱線吸収、難燃性等の特定機能付与等)とともに、モノマー骨格に由来する機能(帯電防止性、撥水性等)を同時に備えているので、種々の用途に適用することができる。さらに、前記有機無機ハイブリッド共重合体は水及び/又は有機溶媒に可溶なので、例えば、前記有機無機ハイブリッド共重合体と水及び/又は有機溶媒とを含有する塗布液を、塗布及び乾燥することによって形成した膜及びフィルムは、高い透明性を有するとともに、無機酸化物および有機成分が各々有する特性を併せ持ち、高い強度と、高い引張り弾性率及び伸び率とが両立した膜及びフィルムを形成することができる。特に、前記第三の実施の形態の有機無機ハイブリッド共重合体は、帯電防止能及び塗膜物性に優れ、伸びを維持しつつ、良好な強度を有する膜及びフィルムを形成でき、帯電防止剤および化粧品用材料として好ましく用いられる。
【0052】
本発明の有機無機ハイブリッド共重合体、又は該ハイブリッド共重合体を含む組成物は、樹脂基材やガラス、金属、セラミックス等の基材の帯電防止剤等、表面改質剤として用いることができる。例えば、前記有機無機ハイブリッド共重合体、または該ハイブリッド共重合体と水及び/又は有機溶媒を含む組成物を、基材に塗布及び乾燥するか、または必要に応じ、塗布後に、加熱する、もしくは紫外線や電子線などの活性エネルギー線を照射することにより、優れた帯電防止性や機械特性を有する塗膜を形成することができる。特に、本発明の有機無機ハイブリッド共重合体は、水及び/又は有機溶媒に可溶性なので、透明性を損なうことなく、優れた帯電防止性や機械特性を有する塗膜を形成できる。前記第三の実施の形態のハイブリッド共重合体は、高い帯電防止能を有するとともに、高い強度を有する皮膜を形成できる。
【0053】
本発明の有機無機ハイブリッド共重合体を帯電防止剤として用いる場合、単独で用いてもよいし、他の樹脂(熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、UV硬化性樹脂等)に配合してもよい。
特に、他の樹脂に配合する場合、無機酸化物微粒子を含むことにより、強度や硬度等の低下を避けて、帯電防止性を発現できるので好ましい。本発明のハイブリッド共重合体の添加量は、所望とする帯電防止性の程度、および他の物性との兼ね合いで一概には決められないが、基本的には、固形分100重量部当たり、1〜30重量部程度が好ましく、3〜25重量部程度がより好ましい。
【0054】
また、本発明の有機無機ハイブリッド共重合体、又は該ハイブリッド共重合体を含む組成物は、化粧品類(特に毛髪、皮膚、爪等を処理するセット剤、マニキュアなど)に用いることができる。特に前記第三の実施の形態のハイブリッド共重合体は、化粧料用樹脂として好適である。例えば、毛髪セット剤に用いると、良好な透明性を有するとともに、無機酸化物及びモノマー骨格に由来する機能を併せ持ち、耐水性を有するとともに、洗浄性にも優れ、且つセット保持力が高い(良好な硬度を有する)皮膜を形成し得る。
【0055】
本発明の有機無機ハイブリッド共重合体は、シャンプー、トリートメント、リンス、セット剤、パーマネントウエーブ液等に、毛髪化粧料用樹脂として用いることができる。公知のポリマーと併用してもよい。前記ハイブリッド共重合体が添加される毛髪化粧料は、液体、クリーム、ゲル、ムース等いかなる形態であってもよい。この共重合体の添加量は、毛髪化粧料の形態や目的、あるいは併用するポリマーの種類や量に応じ、毛髪化粧料に対し、0.1〜10重量%の割合で添加することが望ましい。
【0056】
その他、本発明の有機無機ハイブリッド共重合体は、皮膚用化粧品基材、爪用化粧品基材(マニキュア等)として用いることもできる。
【0057】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、操作等は、本発明の主旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例に制限されるものではない。
なお、以下「部」および「%」は、それぞれ「重量部」および「重量%」を表す。
【0058】
[製造例1:メルカプト基を有する無機酸化物微粒子の調製(A01)]
メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン、KBM803)19.6g、「MEK−ST」(MEK分散オルガノシリカゾル、日産化学、固形分濃度30%)588.0g、アルミニウムトリアセチルアセトナート 3g及び水 6gを、20℃〜70℃で8時間反応することにより、メルカプト基を有するMEKオルガノシリカゾル(A01)を、610g(固形分33%)得た。
【0059】
[製造例2:メルカプト基を有する無機酸化物微粒子の調製(A02)]
メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン、KBM803)19.6g、「ST−O」(水系シリカゾル、日産化学、固形分濃度20%)882.0g、アルミニウムトリアセチルアセトナート 3g、水 6g及びエタノール 300gを、20℃〜70℃で8時間反応することにより、メルカプト基を有する水系シリカゾル(A02)を、1200g(固形分17%)得た。
【0060】
[製造例3:メルカプト基を有する無機酸化物微粒子の調製(A03)]
メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン、KBM803)19.6g、「ST−AK」(水系シリカ−アルミナゾル、日産化学、固形分濃度20%)882.0g、アルミニウムトリアセチルアセトナート 3g、水 6g及びエタノール 300gを、20℃〜70℃で8時間反応することにより、メルカプト基を有する水系シリカ−アルミナゾル(A03)を、1200g(固形分17%)得た。
【0061】
[実施例1:共重合体(X−1)の製造例]
ジメチルアミノエチルメタクリレートを40g、メチルメタクリレートを40g、ラウリルメタクリレートを20g、製造例1で得られた「A01」を60.6g(固形分20g)、及びMEKを200g、反応器に仕込み、65℃まで徐々に昇温した後、V65(2、2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル))を1g添加し、65℃に窒素気流下昇温し、その温度で5時間維持した(途中で同量のV65を追加した)。その後、内温を75〜80℃に上げ、2時間維持し、残存するV65を完全に分解させた。室温に冷却後、共重合体(X−1)の透明な溶液を得た(固形分29%)。
【0062】
[実施例2:共重合体(X−2)の製造例]
メチルメタクリレートを50g、ラウリルメタクリレートを50g、製造例2で得られた「A02」を117.6g(固形分20g)及びエタノールを200g、反応器に仕込み、65℃まで徐々に昇温した後、V65(2、2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル))を1g添加し、65℃に窒素気流下昇温し、その温度で5時間維持した(途中で同量のV65追加)。その後、内温を75〜80℃に上げ、2時間維持し、残存するV65を完全に分解させた。室温に冷却後、共重合体(X−2)の透明な溶液を得た(固形分31%)。
【0063】
[実施例3:共重合体(X−3)の製造例]
ジメチルアミノエチルメタクリレートを40g、メチルメタクリレートを40g、ラウリルメタクリレートを20g、製造例2で得られた「A02」を117.6g(固形分20g)及びエタノールを200g、反応器に仕込み、65℃まで徐々に昇温した後、V65(2、2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル))を1g添加し、65℃に窒素気流下昇温し、その温度で5時間維持した(途中で同量のV65追加)。その後、内温を75〜80℃に上げ、2時間維持し、残存するV65を完全に分解させた。室温に冷却後、共重合体(X−3)の透明な溶液を得た(固形分31%)。
【0064】
[実施例4:共重合体(X−4)の製造例]
ジメチルアミノエチルメタクリレートを40g、メチルメタクリレートを40g、ラウリルメタクリレートを20g、製造例3で得られた「A03」を117.6g(固形分20g)及びエタノールを200g、反応器に仕込み、65℃まで徐々に昇温した後、V65(2、2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル))を1g添加し、65℃に窒素気流下昇温し、その温度で5時間維持した(途中で同量のV65追加)。その後、内温を75〜80℃に上げ、2時間維持し、残存するV65を完全に分解させた。室温に冷却後、共重合体(X−4)の透明な溶液を得た(固形分31%)。
【0065】
[実施例5:共重合体(X−5)の製造例]
ジメチルアミノエチルメタクリレートを45g、メチルメタクリレートを30g、イソブチルメタクリレートを25g、製造例2で得られた「A02」を117.6g(固形分20g)及びエタノールを200g、反応器に仕込み、65℃まで徐々に昇温した後、V65(2、2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル))を0.4g添加し、65℃に窒素気流下昇温し、その温度で5時間維持した(途中で同量のV65追加)。その後、内温を75〜80℃に上げ、2時間維持し、残存するV65を完全に分解させた。室温に冷却後、共重合体(X−5)の透明な溶液を得た(固形分31%)。
【0066】
[実施例6:共重合体(X−6)の製造例]
ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドを45g、メチルメタクリレートを30g、イソブチルメタクリレートを25g、製造例2で得られた「A02」を117.6g(固形分20g)及びエタノールを200g、反応器に仕込み、65℃まで徐々に昇温した後、V65(2、2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル))を0.4g添加し、65℃に窒素気流下昇温し、その温度で5時間維持した(途中で同量のV65追加)。その後、内温を75〜80℃に上げ、2時間維持し、残存するV65を完全に分解させた。室温に冷却後、共重合体(X−6)の透明な溶液を得た(固形分30%)。
【0067】
[実施例7:共重合体(X−7)の製造例]
メチルメタクリレートを40g、ポリエチレンオキシド含有アクリレートを40g(商品名ブレンマーAE400、日本油脂)、製造例2で得られた「A02」を235.2g(固形分40g)、エタノールを300g、反応器に仕込み、65℃まで徐々に昇温した後、V65(2、2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル))を1.0g添加し、65℃に窒素気流下昇温し、その温度で5時間維持した(途中で同量のV65追加)。その後、内温を75〜80℃に上げ、2時間維持し、残存するV65を完全に分解させた。室温に冷却後、共重合体(X−7)の透明な溶液を得た(固形分21%)。
【0068】
[実施例8:共重合体(X−8)の製造例]
メチルメタクリレートを40g、スチレンを40g、ビニルトリメトキシシラン(商品名KBM1003、信越化学)を10g、ポリエチレンオキシド含有アクリレートを10g(商品名ブレンマーAE400、日本油脂)、製造例1で得られた「A01」を60.6g(固形分20g)及びMEKを300g、反応器に仕込み、65℃まで徐々に昇温した後、V65(2、2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル))を1.0g添加し、65℃に窒素気流下昇温し、その温度で5時間維持した(途中で同量のV65追加)。その後、内温を75〜80℃に上げ、2時間維持し、残存するV65を完全に分解させた。室温に冷却後、共重合体(X−8)の透明な溶液を得た(固形分25%)。
【0069】
[比較例1:メルカプト基を含まない水性シリカゾル存在下での、極性基を含む(B)成分の重合による有機・無機ハイブリッド共重合体の製造例]
ジメチルアミノプロピルメタクリレートを40g、メチルメタクリレートを40g、ラウリルメタクリレートを20g、「ST−O」を117.6g(固形分20g)及びエタノールを200g、反応器に仕込み、65℃まで徐々に昇温した後、V65(2、2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル))を0.4g添加し、65℃に窒素気流下昇温し、その温度で5時間維持した(途中で同量のV65追加)。当初、反応系は均一だったものの、重合の進行に伴い、析出物を生じるようになった。その後、内温を75〜80℃に上げ、2時間維持し、残存するV65を完全に分解させた。室温に冷却後、ハイブリッド共重合体を得た(固形分30%)ものの、析出不溶分が非常に多く、好ましくない状態であった。
【0070】
[比較例2:メルカプト基を含まない水性シリカゾルと、アルコキシシリル基を含む(B)成分の重合体との反応による有機・無機ハイブリッド共重合体の製造例]
ジメチルアミノエチルメタクリレートを40g、メチルメタクリレートを40g、ラウリルメタクリレートを20g、「KBM803」を2g及びエタノールを200g、反応器に仕込み、65℃まで徐々に昇温した後、V65(2、2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル))を0.4g添加し、65℃に窒素気流下昇温し、その温度で5時間維持した(途中で同量のV65追加した)。その後、内温を75〜80℃に上げ、2時間維持し、残存するV65を完全に分解させた。室温に冷却後、重合体を得た(固形分33%)。この重合体の200g(固形分66g)と、「ST−O」の78g(固形分13.2g)と、アルミニウムトリアセチルアセトナートの2gとを、20℃〜70℃で8時間反応することにより、有機・無機ハイブリッド共重合体を得ることができるが、同時に不溶分も生じ、好ましくなかった。
【0071】
[比較例3:メルカプト基を含まないオルガノシリカゾル存在下、(B)成分のin−situ重合による有機・無機ハイブリッド共重合体の製造例]
ジメチルアミノエチルメタクリレートを40g、メチルメタクリレートを40g、ラウリルメタクリレートを20g、「MEK−ST」を150g(固形分20g)及びエタノールを200g、反応器に仕込み、65℃まで徐々に昇温した後、V65(2、2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル))を0.4g添加し、65℃に窒素気流下昇温し、その温度で5時間維持した(途中で同量のV65追加)。重合進行とともに、不溶分を大量に生じた。その後、内温を75〜80℃に上げ、2時間維持し、残存するV65を完全に分解させた。室温に冷却後、重合体を得た(固形分27%)。このように有機・無機ハイブリッド共重合体組成物を得ることができるが、同時に不溶分も非常に多く、好ましくなかった。
【0072】
[比較例4:シリカゾルを含まない共重合体の製造例]
ジメチルアミノエチルメタクリレートを40g、メチルメタクリレートを40g、ラウリルメタクリレートを20g及びエタノールを200g、反応器に仕込み、65℃まで徐々に昇温した後、V65(2、2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル))を0.4g添加し、65℃に窒素気流下昇温し、その温度で5時間維持した(途中で同量のV65追加)。その後、内温を75〜80℃に上げ、2時間維持し、残存するV65を完全に分解させた。室温に冷却後、重合体を得た(固形分34%)。
この重合体を、本発明の製造方法により製造された共重合体の物性の優位性を実証するための比較例として用いた。
【0073】
[比較例5:シリカゾルを含まない共重合体の製造例]
ジメチルアミノエチルメタクリレートを45g、メチルメタクリレートを30g、イソブチルメタクリレートを20g及びエタノールを200g、反応器に仕込み、65℃まで徐々に昇温した後、V65(2、2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル))を0.4g添加し、65℃に窒素気流下昇温し、その温度で5時間維持した(途中で同量のV65追加)。その後、内温を75〜80℃に上げ、2時間維持し、残存するV65を完全に分解させた。室温に冷却後、重合体を得た(固形分34%)。
この重合体を、本発明の製造方法により製造された共重合体の物性の優位性を実証するための比較例として用いた。
【0074】
[実施例9:X−1のジエチル硫酸による四級化]
実施例1のX−1溶液を、IPAで固形分濃度20%まで希釈した後、ジメチルアミノ基1モル当たり0.95モル相当のジエチル硫酸を加え、室温〜80℃で8時間反応を行い、目的とする四級化したポリマー溶液を得た(固形分濃度24%)。以下、得られたポリマー溶液を「X−9」とする。
【0075】
[実施例10:X−3のジエチル硫酸による四級化]
実施例3のX−3溶液を、エタノールで固形分濃度20%まで希釈した後、ジメチルアミノ基1モル当たり0.95モル相当のジエチル硫酸を加え、室温〜80℃で8時間反応を行い、目的とする四級化したポリマー溶液を得た(固形分濃度24%)。以下、得られたポリマー溶液を「X−10」とする。
【0076】
[実施例11:X−1のモノクロロ酢酸メチルによる四級化]
実施例1のX−1溶液を、IPAで固形分濃度20%まで希釈した後、ジメチルアミノ基1モル当たり0.95モル相当のモノクロロ酢酸メチルを加え、室温〜80℃で8時間反応を行い、目的とする四級化したポリマー溶液を得た(固形分濃度24%)。以下、得られたポリマー溶液を「X−11」とする。
【0077】
[実施例12:X−3の塩化メチルによる四級化]
実施例3のX−3溶液を、エタノールで固形分濃度20%まで希釈した後、オートクレーブに仕込み、1kg/cm2(ゲージ圧)加圧条件で、反応系に塩化メチルを導入し、50℃で6時間反応を行い、その圧力を常圧まで戻し、過剰に系中に導入された塩化メチルを除去し、目的とする四級化したポリマ−溶液を得た(固形分濃度24%)。以下、得られたポリマー溶液を「X−12」とする。
【0078】
[実施例13:X−5の過酸化水素によるN−オキシド化]
実施例5のX−5溶液を、エタノールで固形分濃度20%まで希釈した後、ジメチルアミノ基1モル当たり0.97モルの過酸化水素水(35%)を添加し、室温〜60℃で10時間反応を行い、目的とするN−オキシド化したポリマー溶液を得た(固形分濃度22%)。IRスペクトルにより、3級アミノ基がN−オキシド基に変換されているのを確認した。以下、得られたポリマー溶液を「X−13」とする。
【0079】
[実施例14:X−5のジエチル硫酸による四級化]
実施例5のX−5溶液を、IPAで固形分濃度20%まで希釈した後、ジメチルアミノ基1モル当たり0.95モル相当のジエチル硫酸を加え、室温〜80℃で8時間反応を行い、目的とする四級化したポリマー溶液を得た(固形分濃度24%)。以下、得られたポリマー溶液を「X−14」とする。
【0080】
[実施例15:X−6の塩化メチルによる四級化]
実施例6のX−6溶液を、IPAで固形分濃度20%まで希釈した後、オートクレーブに仕込み、1kg/cm2(ゲージ圧)加圧条件で、反応系に塩化メチルを導入し、50℃で6時間反応を行い、その圧力を常圧まで戻し、過剰に系中に導入された塩化メチルを除去し、目的とする四級化したポリマー溶液を得た(固形分濃度24%)。以下、得られたポリマー溶液を「X−15」という。
【0081】
[比較例6]
比較例2で得られたポリマー溶液を300メッシュの金網で濾過し、さらに固形分濃度20%まで希釈した後、ジメチルアミノ基1モル当たり0.95モルのジエチル硫酸を加え、室温〜80℃で8時間反応を行い、目的とする四級化したポリマー溶液(R−06)を得たが、同時に不溶分も存在し、好ましくなかった。以下、得られたポリマー溶液を「R−06」とする。
【0082】
[比較例7]
比較例4で得られたポリマー溶液を固形分濃度20%まで希釈した後、ジメチルアミノ基1モル当たり0.95モルのジエチル硫酸を加え、室温〜80℃で8時間反応を行い、目的とする四級化したポリマー溶液を得た(固形分濃度24%)。以下、得られたポリマー溶液を「R−07」とする。
【0083】
[比較例8]
比較例5で得られたポリマー溶液を固形分濃度20%まで希釈した後、ジメチルアミノ基1モル当たり0.95モルのジエチル硫酸を加え、室温〜80℃で8時間反応を行い、目的とする四級化したポリマー溶液を得た(固形分濃度24%)。以下、得られたポリマー溶液を「R−08」とする。
【0084】
[比較例9]
比較例5で得られたポリマー溶液を固形分濃度20%まで希釈した後、ジメチルアミノ基1モル当たり0.97モルの過酸化水素水(35%)を添加し、室温〜60℃で10時間反応を行い、目的とするN−オキシド化したポリマー溶液を得た(固形分濃度22%)。IRスペクトルにより、3級アミノ基がN−オキシド基に変換されているのを確認した。以下、得られたポリマー溶液を「R−09」とする。
【0085】
[実施例16〜22および比較例10〜12:塗膜物性の評価]
実施例9〜15で作製した共重合体、および比較例7〜9で作製した共重合体を、PETフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム(株)、T600E、基材のヘイズ1.4%、光線透過率92%)に乾燥後の厚みが2μmになるように塗布し、塗膜を作製し、基本物性(ヘイズ及び光線透過率等の光学物性、鉛筆硬度のような力学特性、密着性等)、および帯電防止剤としての基本ポテンシャル(帯電防止性、塗膜の耐水性等)、または化粧品基材としての基本ポテンシャル(指触によるタックの有無、耐水性、シャンプーでの洗浄性等)を確認した。結果を表1および表2に示す。
【0086】
なお、それぞれの物性は以下のようにして測定した。
(ヘイズおよび光線透過率)
JIS K−7105に準拠した。
(鉛筆硬度)
太佑機材社製のJIS準拠鉛筆硬度計を用い、JIS K−5400の条件に基づき測定を行い、傷の入らないもっとも硬い鉛筆の番手で表示した。
(密着性)
JIS K5400 記載の碁盤目法(1mm間隔で100個の碁盤目を入れ、セロテープ(商品名;ニチバン製)で試験した。但し、同じ操作を5回繰り返し(セロテープは常に新しいものを用いる)、全く傷やはがれの生じないものを「○」、10%以下の碁盤目に傷やはがれの入るものを「△」、それ以外を「×」とする評価法に変更し、測定及び評価した。
(帯電防止性)
評価サンプルを23℃、相対湿度65%の恒温室に24時間放置した後、TR−8601型(タケダリケン製)を用い、印加電圧100V、1分値で表面固有抵抗率を測定し、評価した。
【0087】
(塗膜の耐水性:指触による評価法)
塗膜に2mLスポイトで純水を1滴たらし、30秒放置後、人さし指でゆっくりこすり、拭き取られるかどうか、およびその拭き取り時の感触で評価した。ふき取れ、かつ感触がさらさらしていれば「○」、ふき取れ、かつ感触がぬるぬるしていれば「△」、拭き取り性が良くなければ「×」と評価した。
(塗膜の耐水性:接触角の変化による評価方法)
塗膜に0.002mLの純水を滴下し、直後の接触角と、1分放置後の接触角を測定した。なお接触角の測定には、P型接触角測定器(協和科学(株)製)を用いた。接触角の絶対値が高く、かつ変化の小さい場合、耐水性が良いと考えられる。
【0088】
(指触タック)
塗膜表面を親指で押し、タックを生じるまでの時間、および一定時間(5秒間)押し続けた際に生じるタックの程度により評価した。
30秒以上押してもタックを生じなければ「◎」、5秒間ではタックを生じなければ「○」、5秒でわずかにタックを生じれば「△」、5秒で顕著にタックを生じれば「×」と判定した。
(シャンプーでの洗浄性)
市販シャンプー(スーパーマイルド、資生堂製)を一滴塗膜上にたらし、10秒後、水につけすぐに引き上げた。シャンプー滴下部分の塗膜が完全に除去できていれば「◎」、ほぼ除去できていて、わずかに塗膜の痕跡が残る程度であれば「○」、明らかに残存しているものの、水をテイッシュでふき取る際、同時にふき取れれば「○-」、明らかに残存しているものの、シャンプーを指で広げ、水をつけて何回かこすれば除去できれば「△」、その操作でも除去できない場合は「×」と判定した。
【0089】
【表1】
【0090】
【表2】
【0091】
表1に示す結果から、実施例16〜22で得られた塗膜は、基材のヘイズ、光線透過率が良好であるとともに、比較例10〜12の塗膜と比較し、鉛筆硬度が向上していることが確認された。この結果より、実施例16〜22は、無機酸化物微粒子がハイブリッド化され、均一分散しているので、硬度が向上しているものと考えられる。
また、表2に示す結果から、実施例16〜22で得られた塗膜は、帯電防止性、耐水性(指触、接触角での評価ともに)、指触タックおよびシャンプーによる洗浄性、いずれも良好であるが、比較例10〜12のように無機酸化物微粒子を含まない塗膜は、いずれも、耐水性、指触タック等において実施例の塗膜に比べ劣っていた。
以上の様に、実施例の共重合体は、他の方法で無機酸化物微粒子を導入した共重合体組成物や、酸化物微粒子を含まない共重合体に比べ、硬度や耐水性に優れており、無機酸化物微粒子の均一分散化による補強効果が確認されたうえに、帯電防止性やシャンプー洗浄性も良好であり、帯電防止剤としてのポテンシャル、化粧品用樹脂として使用した時に必要なポテンシャルを有していることが確認された。
【0092】
[実施例23〜25、および比較例13〜15:フィルム物性の評価]
実施例9〜15で作製した共重合体、及び比較例7〜9で作製した共重合体を、フッ素系フィルム上にキャストし、20〜80℃で溶媒を除去することにより、厚さ0.1〜0.5mmの共重合体のフィルムを作製し、力学物性(引っ張り試験による引っ張り強度、弾性率、伸び)を評価した。その結果を表3に示す。
力学特性の評価方法の詳細は以下の通りである。
(引っ張り強度)
レオメータ「NRM−2003J」(不動工業製)を用い、引っ張り速度20mm/分で引っ張り試験を行い、その際の最大引っ張り強度(MPa)を引っ張り強度とした。
(引っ張り弾性率)
レオメータ「NRM−2003J」(不動工業製)を用い、引っ張り速度20mm/分で引っ張り試験を行い、その際の初期の直線領域の弾性率を初期引っ張り弾性率とした(単位:MPa)。
(伸び)
レオメータ「NRM−2003J」(不動工業製)を用い、引っ張り速度20mm/分で引っ張り試験を行い、その際の破断時の伸びを、伸びとした(単位:%)。
【0093】
【表3】
【0094】
実施例23は、無機酸化物微粒子を含まない以外は有機モノマーの共重合組成が同じである比較例13に比べ、伸びは同等で、且つ強度及び弾性率はともに優れている。また、実施例24は、無機酸化物微粒子を含まない以外は有機モノマーの共重合組成が同じである比較例14に比べ、また、実施例25は無機酸化物を含まない以外は有機モノマーの共重合組成が同じである比較例15に比べ、伸びは同等で、且つ強度及び弾性率がともに優れている。
すなわち、実施例の共重合体は、他の方法で無機酸化物微粒子を導入した共重合体組成物や、酸化物微粒子を含まない共重合体に比べ、力学特性に優れており、無機酸化物微粒子の均一分散化による補強効果が確認された。また、特に、無機酸化物微粒子を含まないポリマーに比べて、伸びは同等に維持しつつ、弾性率を向上できることが確認され、先に確認した、指触タックのないこと、シャンプー洗浄性に優れていることと合わせ、化粧品用樹脂として高い基本ポテンシャルを有することが確認できた。
【0095】
[実施例26:ハードコート用帯電防止剤としてのポテンシャル評価]
実施例10で得られた共重合体を固形分で15部、ジペンタエリスリトールへキサ/ペンタアクリレート(カヤラッドDPHA:日本化薬)85部、開始剤としてイルガキュア184(チバ)を3部加え、全体をPGMで40%濃度に希釈し、均一なコート液を得た。このコート液をPETフィルム(T600E)に乾燥時の厚みが7ミクロンになるようにバーコータで塗布し、80℃で乾燥後、紫外線硬化、ハードコート膜を得た(照射量300mJ/cm2)。その後、23℃/60%相対湿度環境下に24時間保持した後、光学特性、帯電防止性、鉛筆硬度、密着性に加え、耐摩耗性を測定した。
なお、耐摩耗性の測定方法は以下のとおりである。
○耐摩耗性:
Calibrase社製CS−10Fの摩耗輪を用い、荷重500gで100回転テーバー摩耗試験を行い、テーバー摩耗試験後のヘイズ値とテーバー摩耗試験前のヘイズ値の差△H%で評価した。
【0096】
物性の評価結果は、ヘイズ1.5%、光線透過率92%、表面抵抗率5x109、鉛筆硬度2H、密着性○、耐摩耗性4.5と良好な結果であり、帯電防止剤として十分なポテンシャルを有することが確認された。
【0097】
【発明の効果】
以上説明した様に、本発明によれば、無機酸化物微粒子と有機重合体とが複合化された、水及び/又は有機溶媒に可溶性の新規な有機無機ハイブリッド共重合体を提供することができる。また、本発明によれば、透明性を有するとともに、高い強度と、高い引張り弾性率及び伸び率とが両立した膜及びフィルムを形成可能な有機無機ハイブリッド共重合体を提供することができる。また、本発明によれば、帯電防止剤又は化粧料用樹脂として好適な有機無機ハイブリッド共重合体を提供することができる。また、本発明によれば、無機酸化物物微粒子と有機重合体との複合化を可能にするとともに、種々の官能基を導入して、用途に応じた種々の機能性を容易に付与し得る、水及び/又は有機溶媒に可溶性の有機無機ハイブリッド共重合体の製造方法を提供することができる。
Claims (13)
- 無機酸化物からなり、且つメルカプト基を有するメルカプト基含有無機酸化物微粒子と、炭素−炭素二重結合を有するラジカル重合性有機化合物とをラジカル共重合させてなり、水及び/又は有機溶媒に可溶性である有機無機ハイブリッド材料。
- 前記メルカプト基含有無機酸化物微粒子が、メルカプト基を有するシランカップリング剤で無機酸化物を加水分解及び縮合処理することによって、メルカプト基を導入されてなるメルカプト基含有無機酸化物微粒子である請求項1に記載の有機無機ハイブリッド材料。
- 前記無機酸化物がコロイダルシリカである請求項1または2に記載の有機無機ハイブリッド材料。
- 前記ラジカル重合性有機化合物が、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸アミド、スチレン誘導体、エチレン誘導体及びジエン誘導体のいずれか少なくとも1種を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機無機ハイブリッド材料。
- 含窒素塩基性官能基を側鎖に有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機無機ハイブリッド材料。
- 窒素原子が四級化された及び/又はN−オキシド化された含窒素塩基性官能基を側鎖に有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機無機ハイブリッド材料。
- 帯電防止剤用である請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機無機ハイブリッド材料。
- 化粧料用である請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機無機ハイブリッド材料。
- 無機酸化物微粒子を、メルカプト基を有するシランカップリング剤で加水分解および縮合処理して、メルカプト基が導入されたメルカプト基含有無機酸化物微粒子を得るメルカプト基導入工程と、前記メルカプト基含有無機酸化物微粒子と、炭素−炭素二重結合を有するラジカル重合性有機化合物とを、ラジカル開始剤の下、ラジカル共重合させる重合工程とを含む有機無機ハイブリッド材料の製造方法。
- 前記重合工程を、前記メルカプト基含有無機酸化物微粒子及び前記ラジカル重合性有機化合物を均一に溶解し得る溶媒中で行う請求項9に記載の有機無機ハイブリッド材料の製造方法。
- 前記重合工程を、前記有機無機ハイブリッド材料を均一に溶解し得る溶媒を含む、不均一媒体中で行う請求項9に記載の有機無機ハイブリッド材料の製造方法。
- 前記ラジカル重合性有機化合物が含窒素塩基性官能基を有する請求項9〜11のいずれか1項に記載の有機無機ハイブリッド材料の製造方法。
- 前記重合工程の後、前記含窒素塩基性官能基を四級化及び/又はN−オキシド化する工程を含む請求項12に記載の有機無機ハイブリッド材料の製造方法。
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