JP2009120700A - 機能性微粒子及びその製造方法、並びにこれを配合してなる被覆性組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】コーティング材や化粧料などの被覆性組成物に適用した際に光を遮蔽すること無く紫外線吸収能や酸化防止能をある程度の期間発現し得る材料としての機能性微粒子及びその製造方法、並びにこれを配合してなる被覆性組成物を提供すること。
【解決手段】微粒子(好ましくは、表層に水酸基を有する1nm〜100nmの範囲の粒子径のシリカ微粒子)の表面に紫外線吸収剤及び/または酸化防止剤をグラフト重合により結合させてなることを特徴とする機能性微粒子及びその製造方法、並びにこれを配合してなる被覆性組成物である。
【選択図】なし
【解決手段】微粒子(好ましくは、表層に水酸基を有する1nm〜100nmの範囲の粒子径のシリカ微粒子)の表面に紫外線吸収剤及び/または酸化防止剤をグラフト重合により結合させてなることを特徴とする機能性微粒子及びその製造方法、並びにこれを配合してなる被覆性組成物である。
【選択図】なし
Description
本発明は、金属酸化物ナノ微粒子表面に紫外線吸収剤、酸化防止剤をグラフトすることにより、これまでのブリード、可塑化、溶出などの問題点を払拭することができる新規な機能性微粒子及びその製造方法、並びにこれを配合してなる被覆性組成物に関する。
コーティング材、化粧料など被塗物、基材を太陽光特にエネルギーの高い紫外線領域の外部刺激から守るためには、一般的に隠蔽性顔料、反射性金属系顔料など光遮蔽、反射材料を用いることにより、基材への直接のダメージを緩和している。しかし、基材の風合い、模様などを活かす被覆材または、ガラス代替ポリカーボネート板など透明性を要求される用途も少なくない。
多くの場合、このような透明性が重要視されるケースでは被塗物に多量の紫外線吸収剤を添加することにより、基材に到達する紫外線量を低減し、バインダーとなる有機樹脂自体の光酸化劣化を予防する目的で酸化防止剤の添加が行われてきた。しかし、これら紫外線吸収剤、酸化防止剤は基本的には可塑剤として作用し、塗膜を軟化させ、ハードコート材などの用途には使用に耐えない。また、無機系紫外線吸収剤の利用も試みられているが、一般的にその波長吸収は350nm〜400nmと長波長領域が多く、被塗物に最も大きなダメージを与える291〜320nmのいわゆるUVB領域の波長に対しては効果が望めない。
近年、ナノテクノロジーの研究の一環として百ナノメーター以下の粒子径を有する微粒子についての応用研究が盛んに行われている。ナノ粒子を利用する利点に光学的な透明性がある。一般的に金属酸化物系ナノ粒子の多くは可視光領域に吸収を持たないか、あっても小さい。光散乱は粒子が光の波長の1/2以下の粒径となると影響が小さくなると言われている。屈折率も影響する因子ではあるが、大略100nm以下のナノ粒子を起用することでいわゆるヘイズの少ない、透明性の高いナノ粒子含有被膜、保護膜を形成することが可能となる。
特許文献1においては、ナノサイズの微粒子の表面を炭化水素を始めとする有機化合物で修飾することにより分散性の優れた微粒子の形成方法が開示されている。しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、超臨界状態にある水を反応場としているため極めて高温高圧を必要とし、表面修飾方法としては実用的でない。
特許文献2においては、10nmから300nmの粒子径を有する微粒子シリカをシランカップリング剤を利用して修飾する方法が開示されている。しかしながら、これも高温・高圧のオートクレーブを用いてn−ヘキサンの超臨界状態においての表面修飾方法であり、その反応場内に紫外線吸収剤、酸化防止剤などの有機物を入れた場合の変質は否めない。
化粧材における紫外線吸収剤の固定化に関しては、多くの先行技術がある。特許文献3、特許文献4ではシリコーン誘導体及びフッ素樹脂など高分子に固定して皮膚への吸収性を低下させ、かつ皮脂による除去性などの物理的性質の改善を図った技術が開示されている。しかし、これらは化粧材での展開であり、プラスチック、フィルムなどのハードコーティングに要求されるハードコート性、耐久性が期待できるとは言いがたい。
上述のように、コーティング材や化粧料などにおいて、顔料などで遮蔽することなくクリヤー組成で被塗物、基材を耐光劣化から守るためには、紫外線吸収剤、酸化防止剤などの薬剤を添加しなければならない。然るにこれらの薬剤は可塑剤として作用し、可塑化やブリード、さらにこれらに基づく汚染や皮膚炎症等の原因になったり、紫外線吸収能や酸化防止能を目的期間維持することが困難であったりといった問題がある。また、これら薬剤を無機微粒子、高分子に固定化する方法が取られてきたが、固定化条件が激しすぎたり、固定化基材自体の耐久性の問題で実用的ではなかった。
したがって、本発明の目的は、コーティング材や化粧料などに適用した際に光を遮蔽すること無く紫外線吸収能や酸化防止能をある程度の期間発現し得る材料としての機能性微粒子及びその製造方法、並びにこれを配合してなる被覆性組成物を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、表面に紫外線吸収剤及び/または酸化防止剤を結合させてなる(好ましくは粒径が約1nmから100nmの範囲の)無機金属酸化物系機能性微粒子の添加が、コーテイング材の硬度、透明性、被塗物の外観を損ねることなく、被塗物を耐光劣化から希望の期間保護できることを見出した。
特に紫外線吸収剤、酸化防止剤を固定化したシリカナノ粒子は、樹脂中へも容易にしかも均一に分散し、しかも100nm以下のナノシリカ自体は可視光透過性が高いため塗膜透明性を維持することができる。また、ナノシリカに固定した材料からの人体に有害な薬剤の溶出が無いので、安全で安心な製品、特に医療分野、生鮮食品分野、化粧品分野への用途展開にも期待される。
種々の官能基を有する紫外線吸収剤、酸化防止剤をシリカナノ粒子等の微粒子表面へ固定化すると、紫外線吸収能、酸化防止能を当該微粒子へ付与することができる。本発明の特徴は、高価な原料を使用することなく、汎用の原料から合成でき、しかも当該製造品からの紫外線吸収剤、酸化防止剤の溶出がほとんどないという点にある。さらに本発明の機能性微粒子は、その粒径を制限することにより、樹脂へ容易に、しかも均一、透明に分散でき、多彩な製品の製造に展開することができる。
本発明によれば、例えば、当該機能性微粒子をゾルゲル法によって得られる無機系コーティング材に利用した場合、透明性を維持し、且つ、耐傷付性、耐磨耗性に優れたハードコート材(コーティング材)が得られるばかりでなく、当該機能性微粒子の有する耐候性をも付与することができる。これまで、上述した透明性やハードコート性と耐候性とを両立させうるハードコート材は得られておらず、本発明の機能性微粒子は、プラスチック、フイルム業界には特に好適な材料である。また、紫外線吸収剤を固定化した本発明の機能性微粒子を化粧料に展開することにより、透明性に優れ、耐水、皮脂耐汗性など化粧持ち性に優れ、かつ皮膚刺激性の非常に少ない日焼け止め製品を得ることが可能となる。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、基材となる微粒子として、表面にOH基を有する無機酸化物系ナノ微粒子を例に挙げてこれを中心に説明する。
当該無機酸化物系ナノ微粒子としては、気相法により得られる金属酸化物が挙げられる。即ち、金属、金属の塩化物などを原料として高温の火炎中にて燃焼(酸化)させることにより基材となる微粒子を製造することができる。かかる製法により得られた微粒子としては、具体的には、シーアイ化成(株)製ナノテック、日本アエロジル(株)製アエロジルなどが挙げられる。
また、湿式法により得られる金属酸化物コロイドゾルは、ナノレベルの粒径の金属酸化物の水分散あるいは有機溶媒に分散されたものであり、表面には無数のOH基が存在する。
また、湿式法により得られる金属酸化物コロイドゾルは、ナノレベルの粒径の金属酸化物の水分散あるいは有機溶媒に分散されたものであり、表面には無数のOH基が存在する。
金属酸化物コロイドゾルとしては、コロイダルシリカが代表的なものとして例示される。これは、直径ナノレベルのシリカ微粒子が水または有機溶媒中にコロイド状に分散されたものである。なかでも酸性水溶液分散型コロイダルシリカが、シランカップリング剤、アルコキシシラン加水分解縮合物などとの反応を考慮した場合、容易に化合出来るSiOH表面状態を有しているため最も適している。かかるコロイダルシリカの具体例としては、日産化学工業(株)製のスノーテックスO、触媒化成工業(株)製のカタロイドSN、日本化学工業(株)製のシリカドール30Aなどが挙げられる。また、アルカリ性コロイダルシリカに種々の有機酸、無機酸を添加することにより、pHを3〜5のコロイダルシリカ酸性準安定域に安定化させ、その表面をSiOH型としたものも同様に使用できる。
これら有機溶媒分散型の金属酸化物コロイドゾルとしては、具体的には、日産化学工業(株)製のMA−ST、IPA−ST、NBA−ST、IBA−ST、EG−ST、XBA−ST、NPC−ST、DMAC−ST、触媒化成工業(株)製のOSCAL1132、OSCAL1232、OSCAL1332、OSCAL1432、OSCAL1532、OSCAL1632、OSCAL1732などが挙げられる。
その他の金属酸化物コロイドゾルは、種々の機能性付与、例えば、導電性、光触媒活性、屈折率制御の目的で添加される。具体的には、マグネシウム酸化物、珪素酸化物とマグネシウム酸化物との共酸化物、カルシウム酸化物、バリウム酸化物、ホウ素酸化物、アルミニウム酸化物、インジウム酸化物、ゲルマニウム酸化物、錫酸化物、亜鉛酸化物、チタン酸化物、ジルコニウム酸化物、セシウム酸化物、インジウム錫酸化物、および錫アンチモン酸化物のコロイドゾルが単独であるいは混合物として用いることができる。
金属酸化物ナノ粒子表面グラフト鎖への紫外線吸収剤、酸化防止剤の固定化反応は、(1)金属酸化物粒子表面への重合開始基の導入、(2)金属酸化物粒子表面へのアクリル成分のグラフト重合(2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボキシアミノ]エチルメタクリレート(MOIBP)を含む(メタ)アクリル酸エステルをグラフト重合)、(3)金属酸化物ナノ粒子表面のグラフト鎖への紫外線吸収剤、酸化防止剤の固定化反応の3つのシーケンスによって進行する。
即ち、(1)金属酸化物ナノ粒子表面への重合開始基の導入では、まず金属酸化物表面のOH基を適当な条件でアミノシランと反応させ、アミノ基含有金属酸化物ナノ粒子を形成する。この時使用するアミノシランとしては、例えばN−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシランなどが例示される。この表面アミノ基にイソシアン酸トリクロロアセチルを作用させ、トリクロロアセチル基を導入した金属酸化物ナノ粒子が得られる。
即ち、(1)金属酸化物ナノ粒子表面への重合開始基の導入では、まず金属酸化物表面のOH基を適当な条件でアミノシランと反応させ、アミノ基含有金属酸化物ナノ粒子を形成する。この時使用するアミノシランとしては、例えばN−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシランなどが例示される。この表面アミノ基にイソシアン酸トリクロロアセチルを作用させ、トリクロロアセチル基を導入した金属酸化物ナノ粒子が得られる。
(2)金属酸化物粒子表面へのアクリル成分のグラフト重合シーケンスでは、(1)で導入したナノ粒子表面のトリクロロアセチル基にモリブデンヘキサカルボニルを開始剤として2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボキシアミノ]エチルメタクリレート(MOIBP)を含む(メタ)アクリル酸エステルをラジカルグラフト重合させる。
この時使用する(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、このMOIBP単量体と共重合可能であれば特に制限されるものではなく、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜18のアルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;グリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の官能基含有(メタ)アクリレート類;トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート等の含フッ素(メタ)アクリレート類;γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等のアルコキシシリル基含有(メタ)アクリル酸エステル類;が例示される。
(3)金属酸化物ナノ粒子表面のグラフト鎖への紫外線吸収剤、酸化防止剤の固定反応シーケンスでは、(2)で得られたグラフト鎖中の2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボキシアミノ]エチルメタクリレート(MOIBP)を熱解離させ、活性なイソシアネート末端を生成し、これと反応する活性水素を有する紫外線吸収剤、酸化防止剤を加えて、グラフト鎖末端にこれら紫外線吸収剤、酸化防止剤を固定する。
この時、使用可能な活性水素を有する紫外線吸収剤としては2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−ビステトラヒドロキシベンゾフェノン、ジメチルアミノ安息香酸などのパラアミノ安息香酸(PABA)系、ベンゾフェノンカルボン酸類、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤「商品名:チヌビン400」(チバジャパン(株)製)、同「商品名:チヌビン405」(チバジャパン(株)製)が例示される。
同様に、活性水素を有する酸化防止剤としては、「商品名:チヌビン622、チヌビン152(チバジャパン(株)製)を例示することができる。これらの紫外線吸収剤、酸化防止剤は分子内に活性水素を有し、グラフト鎖内の2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボキシアミノ]エチルメタクリレート(MOIBP)が熱解離して生じるイソシアネートと容易に反応して、末端部位に上述紫外線吸収剤、酸化防止剤が共有結合を介して結合した機能性ナノ微粒子が得られる。
本発明の機能性微粒子としては、下記の一般式(1)で表される修飾基により、シリカ微粒子の細孔内表面が共有結合を介して修飾されている構造のものを例示することができる。
(−O−)3Si−X−A−Z ・・・ 一般式(1)
(一般式(1)中、Xはトリクロロメチル基末端シランカップリング剤反応残基を表し、Aは下記一般式(2)で示される(メタ)アクリル酸エステル重合体を表し、Zは紫外線吸収剤または酸化防止剤反応残基を表す。)
(−O−)3Si−X−A−Z ・・・ 一般式(1)
(一般式(1)中、Xはトリクロロメチル基末端シランカップリング剤反応残基を表し、Aは下記一般式(2)で示される(メタ)アクリル酸エステル重合体を表し、Zは紫外線吸収剤または酸化防止剤反応残基を表す。)
(一般式(2)中、R1、R3はメチル基または水素を表し、R2は置換または未置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基からなる群より選ばれるいずれかの置換基を表し、mおよびnは正の整数を表す。)
本発明の機能性微粒子は、紫外線吸収能及び/または酸化防止能の発現が望まれる各種部材に適用することが可能であり、いずれも優れた特性を発揮し得るが、特にコーティング材や化粧料などの被覆性組成物に配合した場合に、所望とする紫外線吸収能及び/または酸化防止能を発現しつつ、クリヤー組成で可塑化やブリードなどの問題が生じ難く、これらに基づく汚染や皮膚炎症等を抑えることができるため好ましい。
次に、実施例および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、これにより本発明が限定されるものでないことは言うまでもない。
[合成例1]
[(1)シリカナノ粒子表面への重合開始基の導入反応]
コンデンサーを取り付けた200mlナス型フラスコにアエロジル200(日本アエロジル(株)製、比表面積200m2/g;平均粒子径12nm)5.0g及びγ−アミノプロピルトリエトキシシラン5%トルエン溶液150mlを仕込み、110℃で8時間還流しながら反応させた。反応液をTHF(テトラヒドロフラン)またはトルエンで遠心分離し、室温で減圧乾燥させた。得られたアミノ基導入シリカ4.0g、イソシアン酸トリクロロアセチル1.0g、脱水トルエン200mlを300mlナス方フラスコに仕込み、系内を窒素で置換し、80℃で8時間反応させ、THFで遠心分離し、減圧乾燥させてトリクロロアセチル基導入シリカを合成した。
[(1)シリカナノ粒子表面への重合開始基の導入反応]
コンデンサーを取り付けた200mlナス型フラスコにアエロジル200(日本アエロジル(株)製、比表面積200m2/g;平均粒子径12nm)5.0g及びγ−アミノプロピルトリエトキシシラン5%トルエン溶液150mlを仕込み、110℃で8時間還流しながら反応させた。反応液をTHF(テトラヒドロフラン)またはトルエンで遠心分離し、室温で減圧乾燥させた。得られたアミノ基導入シリカ4.0g、イソシアン酸トリクロロアセチル1.0g、脱水トルエン200mlを300mlナス方フラスコに仕込み、系内を窒素で置換し、80℃で8時間反応させ、THFで遠心分離し、減圧乾燥させてトリクロロアセチル基導入シリカを合成した。
[(2)シリカナノ粒子表面へMMAとMOIBPのラジカルグラフト重合反応]
(1)の工程で合成したトリクロロアセチル基導入シリカ0.3gと、メチルメタクリレート(MMA)0.4gと、2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボキシアミノ]エチルメタクリレート(MOIBP)10gと、モリブデンヘキサカルボニル0.025gと、ジメチルスルホキサイド(DMSO)10mlとを重合封管に仕込み80℃で2時間反応させることによりシリカ表面へMMAとMOIBPのグラフト重合を行った。反応物を真空乾燥させ上記反応物を得た。
(1)の工程で合成したトリクロロアセチル基導入シリカ0.3gと、メチルメタクリレート(MMA)0.4gと、2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボキシアミノ]エチルメタクリレート(MOIBP)10gと、モリブデンヘキサカルボニル0.025gと、ジメチルスルホキサイド(DMSO)10mlとを重合封管に仕込み80℃で2時間反応させることによりシリカ表面へMMAとMOIBPのグラフト重合を行った。反応物を真空乾燥させ上記反応物を得た。
[(3)シリカナノ粒子表面のグラフト鎖への紫外線吸収剤の固定化]
(2)で得た共重合体グラフトシリカ0.1g、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン(DHBP)0.06g、ジブチルスズジラウレート0.06ml、ジメチルスルホキサイド(DMSO)10mlを試験管中に仕込み、系内を窒素置換し、120℃で12時間反応を行い、THFで遠心分離後減圧乾燥させ、目的物である合成例1の機能性微粒子(本発明の機能性微粒子)を得た。
(2)で得た共重合体グラフトシリカ0.1g、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン(DHBP)0.06g、ジブチルスズジラウレート0.06ml、ジメチルスルホキサイド(DMSO)10mlを試験管中に仕込み、系内を窒素置換し、120℃で12時間反応を行い、THFで遠心分離後減圧乾燥させ、目的物である合成例1の機能性微粒子(本発明の機能性微粒子)を得た。
図1に、合成ステージ(2)で得られたMMA−MOIBPグラフトシリカ微粒子(a)と、最終生成物である実施例1の機能性微粒子(DHBP固定化シリカ微粒子(b))のFT−IRスペクトルを示す。紫外線吸収剤DHBPを固定化したシリカでは(a)から生じたイソシアネート基とDHBPのヒドロキシル基とが反応して生じたウレタン結合由来の特性吸収が確認された。
図2に、得られたDHBP固定化シリカ微粒子の熱分解GC−MSスペクトルを示す。固定化品(Silica−DHBP)とオリジナルのDHBP(DHBP)のスペクトルは良く一致していることがわかる。
図3に、合成例1の各ステージで得られた合成物と、オリジナルDHBPのUV吸収スペクトルを示す。最終生成物であるDHBP固定化シリカ(Silica−DHBP0.05w%)は他各ステージで得られた中間体にはないDHBPの吸収が含まれることがわかる。
以上の結果より、合成例1で得られた合成品は、目的の紫外線吸収剤固定化シリカ微粒であることが指示される。
以上の結果より、合成例1で得られた合成品は、目的の紫外線吸収剤固定化シリカ微粒であることが指示される。
[合成例2]
[(1)シリカナノ粒子表面への重合開始基の導入反応]
コンデンサーを取り付けた200mlナス型フラスコに、オルガノシリカゾルMEK−ST(日産化学工業(株)製、SiO2=30%;MEK(メチルエチルケトン)溶液;平均粒子径13nm)20g、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン6.5g、及びトルエン120gを仕込み、還流条件で8時間反応させた。
[(1)シリカナノ粒子表面への重合開始基の導入反応]
コンデンサーを取り付けた200mlナス型フラスコに、オルガノシリカゾルMEK−ST(日産化学工業(株)製、SiO2=30%;MEK(メチルエチルケトン)溶液;平均粒子径13nm)20g、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン6.5g、及びトルエン120gを仕込み、還流条件で8時間反応させた。
次にこの反応液22g、イソシアン酸トリクロロアセチル1.0g、及びトルエン177gを300mlナス型フラスコに仕込み、系内を窒素で置換し、80℃で8時間反応させてトリクロロアセチル基導入シリカ含有溶液を合成した。
[(2)シリカナノ粒子表面へMMAとMOIBPのラジカルグラフト重合反応]
(1)で合成したトリクロロアセチル基導入シリカ溶液12g、メチルメタクリレート(MMA)0.4g、2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボキシアミノ]エチルメタクリレート(MOIBP)10g、及びモリブデンヘキサカルボニル0.025gを重合封管に仕込み、80℃で2時間反応させることにより、シリカ表面へMMAとMOIBPのグラフト重合を行った。
(1)で合成したトリクロロアセチル基導入シリカ溶液12g、メチルメタクリレート(MMA)0.4g、2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボキシアミノ]エチルメタクリレート(MOIBP)10g、及びモリブデンヘキサカルボニル0.025gを重合封管に仕込み、80℃で2時間反応させることにより、シリカ表面へMMAとMOIBPのグラフト重合を行った。
[(3)シリカナノ粒子表面のグラフト鎖への紫外線吸収剤の固定化]
(2)で得た共重合体グラフトシリカ溶液0.21g、チヌビン400(チバジャパン(株)製紫外線吸収剤)0.13g、及びチヌビン152(チバジャパン(株)製酸化防止剤)0.076g、ジブチルスズジラウレート0.06ml及び、DMSO 2.6gを試験管中に仕込み、系内を窒素置換し、120℃で12時間反応を行い、目的物である合成例2の機能性微粒子溶液(本発明の機能性微粒子)を得た。
(2)で得た共重合体グラフトシリカ溶液0.21g、チヌビン400(チバジャパン(株)製紫外線吸収剤)0.13g、及びチヌビン152(チバジャパン(株)製酸化防止剤)0.076g、ジブチルスズジラウレート0.06ml及び、DMSO 2.6gを試験管中に仕込み、系内を窒素置換し、120℃で12時間反応を行い、目的物である合成例2の機能性微粒子溶液(本発明の機能性微粒子)を得た。
[実施例1〜4]
後掲する表1に示す組成に従って配合することで、実施例1〜4のコーティング樹脂組成物(被覆性組成物)を調製した。
実施例1及び実施例3は、コンポブリッド樹脂溶液に合成例1の粉末を添加し10分間超音波混合することにより、比較的簡単に均一な分散液を得ることができた。実施例2及び実施例4は、ティスバー攪拌のみで十分に均一な分散液を得ることができた。
後掲する表1に示す組成に従って配合することで、実施例1〜4のコーティング樹脂組成物(被覆性組成物)を調製した。
実施例1及び実施例3は、コンポブリッド樹脂溶液に合成例1の粉末を添加し10分間超音波混合することにより、比較的簡単に均一な分散液を得ることができた。実施例2及び実施例4は、ティスバー攪拌のみで十分に均一な分散液を得ることができた。
[比較例1〜4]
後掲する表1に示す組成に従って配合することで、比較例1〜4のコーティング樹脂組成物を調製した。比較例3及び4は、ディスパー攪拌のみで十分に均一な分散液を得ることができた。
後掲する表1に示す組成に従って配合することで、比較例1〜4のコーティング樹脂組成物を調製した。比較例3及び4は、ディスパー攪拌のみで十分に均一な分散液を得ることができた。
[評価塗膜作製方法]
基材として、塗膜外観、硬度、耐摩耗性試験用はガラス板、耐候性試験用はポリカーボネート板(ユーピロンNFクリア2000)を使用し、これら基材の表面をイソブタノールで脱脂処理後、実施例1〜4及び比較例1〜4の各コーティング樹脂組成物を#20バーコーターにて均一に塗布し、5分間のセッティングの後、120℃で30分焼付けて、各塗膜評価用のサンプルを作製した。
基材として、塗膜外観、硬度、耐摩耗性試験用はガラス板、耐候性試験用はポリカーボネート板(ユーピロンNFクリア2000)を使用し、これら基材の表面をイソブタノールで脱脂処理後、実施例1〜4及び比較例1〜4の各コーティング樹脂組成物を#20バーコーターにて均一に塗布し、5分間のセッティングの後、120℃で30分焼付けて、各塗膜評価用のサンプルを作製した。
[評価試験の実施方法]
(1)溶液分散性:
得られた実施例1〜4および比較例1〜4のコーティング樹脂組成物を試験管に満たし、その分散性を以下の判定基準で目視にて評価した。
○・・・均質で全く沈殿がない。
△・・・均質であるが、わずかに沈殿がある。
×・・・不均質で沈殿がある。
(2)塗膜外観:
各塗膜評価用のサンプル表面の塗膜外観について、濁り、艶びけ、ブツ、クラックなどの有無を目視にて確認した。
(1)溶液分散性:
得られた実施例1〜4および比較例1〜4のコーティング樹脂組成物を試験管に満たし、その分散性を以下の判定基準で目視にて評価した。
○・・・均質で全く沈殿がない。
△・・・均質であるが、わずかに沈殿がある。
×・・・不均質で沈殿がある。
(2)塗膜外観:
各塗膜評価用のサンプル表面の塗膜外観について、濁り、艶びけ、ブツ、クラックなどの有無を目視にて確認した。
(3)鉛筆硬度:
各塗膜評価用のサンプル表面の塗膜について、その鉛筆硬度をJISに従って測定した。
(4)耐擦傷性:
#0000スチールウールを用い、500gの荷重で20回擦った後の表面の傷つき状態を観察し、以下の評価基準で評価した。
○・・・全くキズがつかない。
△・・・わずかにキズがつく。
×・・・はっきりとキズがつく。
(5)耐候性:
基材にポリカーボネート板を使用し、ダイプラウインテス(株)製メタルウェザー促進耐候性試験機KUR−5型を使用し、UV85mW/cm2、63℃/30%RHの条件にて3日間(72h)暴露試験を実施した後、塗膜の状態を目視にて観察し、以下の評価基準で評価した。
○・・・顕著な変色、艶びけなどがなく良好である。
△・・・わずかに変色、艶びけなどがある。
×・・・顕著に変色、艶びけなどがある。
各塗膜評価用のサンプル表面の塗膜について、その鉛筆硬度をJISに従って測定した。
(4)耐擦傷性:
#0000スチールウールを用い、500gの荷重で20回擦った後の表面の傷つき状態を観察し、以下の評価基準で評価した。
○・・・全くキズがつかない。
△・・・わずかにキズがつく。
×・・・はっきりとキズがつく。
(5)耐候性:
基材にポリカーボネート板を使用し、ダイプラウインテス(株)製メタルウェザー促進耐候性試験機KUR−5型を使用し、UV85mW/cm2、63℃/30%RHの条件にて3日間(72h)暴露試験を実施した後、塗膜の状態を目視にて観察し、以下の評価基準で評価した。
○・・・顕著な変色、艶びけなどがなく良好である。
△・・・わずかに変色、艶びけなどがある。
×・・・顕著に変色、艶びけなどがある。
[結果]
上記評価試験の結果を、各実施例及び比較例のコーティング樹脂組成物の組成とともに下記表1にまとめて示す。
上記評価試験の結果を、各実施例及び比較例のコーティング樹脂組成物の組成とともに下記表1にまとめて示す。
[結果の考察]
以上の結果より、本発明の機能性微粒子はハードコート材(コーティング樹脂組成物)や塗膜の物性を低下させること無く、耐候性、耐光性に対して優れたものであることがわかる。
以上の結果より、本発明の機能性微粒子はハードコート材(コーティング樹脂組成物)や塗膜の物性を低下させること無く、耐候性、耐光性に対して優れたものであることがわかる。
Claims (6)
- 微粒子の表面に紫外線吸収剤及び/または酸化防止剤を結合させてなることを特徴とする機能性微粒子。
- 前記微粒子が、表層に水酸基を有する金属酸化物系無機微粒子であることを特徴とする請求項1に記載の機能性微粒子。
- 前記微粒子が、1nm〜100nmの範囲の粒子径のシリカ微粒子であることを特徴とする請求項1または2に記載の機能性微粒子。
- 水酸基含有微粒子にアミノシラン化合物を作用させ、表面にアミノ基を有する微粒子を生成後、イソシアン酸トリクロロアセチルを作用させ、トリクロロアセチル基を有する微粒子を生成し、その後、モリブデンヘキサカルボニル化合物を開始剤として2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボキシアミノ]エチルメタクリレートを含む(メタ)アクリル酸エステルをグラフト重合により反応せしめ、イソシアナート基と反応する官能基を有する紫外線吸収剤、酸化防止剤をグラフト鎖反応末端にウレタン結合を介して固定化することを特徴とする請求項1に記載の機能性微粒子の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の機能性微粒子を配合してなることを特徴とする被覆性組成物。
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JP2007295524A JP2009120700A (ja) | 2007-11-14 | 2007-11-14 | 機能性微粒子及びその製造方法、並びにこれを配合してなる被覆性組成物 |
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