JP2004239235A - 圧力制御弁及びその負圧室形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】感圧部材によって負圧室が画成されるパワーエレメントの接合部を、他の構成部材に熱の影響を与えることなく封止した圧力制御弁を提供する。
【解決手段】負圧容器23内において負圧雰囲気の状態で、アッパーハウジング12の周縁部分をかしめ加工してダイヤフラム13とともにロアハウジング11の周縁部分に接合することにより、パワーエレメント2の負圧室を形成し、その接合部をその外周に配置された高周波コイル22の誘導加熱により溶融される無鉛のはんだ24によって封止するようにした。局部的な加熱によるはんだ付けなので、他の部材への熱の影響がなく、低コストで気密信頼性が高く、環境にやさしい圧力制御弁を構成することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】負圧容器23内において負圧雰囲気の状態で、アッパーハウジング12の周縁部分をかしめ加工してダイヤフラム13とともにロアハウジング11の周縁部分に接合することにより、パワーエレメント2の負圧室を形成し、その接合部をその外周に配置された高周波コイル22の誘導加熱により溶融される無鉛のはんだ24によって封止するようにした。局部的な加熱によるはんだ付けなので、他の部材への熱の影響がなく、低コストで気密信頼性が高く、環境にやさしい圧力制御弁を構成することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、感圧部材の変位に応じて弁開度を制御する圧力制御弁及びその負圧室形成方法に関し、特に、車輌用エアコンの冷凍サイクルの中で冷媒ガスを圧縮する可変容量圧縮機に設けられて冷媒ガスの吐出容量を制御する内部可変制御式の圧力制御弁及びその負圧室形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
車輌用エアコンでは、動力源であるエンジンの回転数が一定でないことから、一般的に負荷に応じた冷凍能力の制御は、圧縮機の容量を可変にすることで行っている。容量を変化させる方法として、制御を圧縮機の中だけで行う内部可変制御方式(例えば、特許文献1参照)と、各種センサ出力の演算結果に基づいて電気的に制御する外部可変制御方式とがある。内部可変制御方式の制御を行う可変容量圧縮機用制御弁について説明する。
【0003】
図3は、内部可変制御方式の可変容量圧縮機用制御弁の従来例を示す断面図である。
この可変容量圧縮機用制御弁は、弁部1とこの弁部を駆動制御するパワーエレメント2とからなっている。弁部1は、ボディ3の先端部に設けられ、可変容量圧縮機の吐出室に連通されて吐出圧力Pdを導入するポート4と、可変容量圧縮機のクランク室に連通されて制御された圧力、すなわちクランク室内圧力Pcを出力するポート5と、可変容量圧縮機の吸入室に連通されて吸入圧力Psを受けるポート6を備え、吐出圧力Pdのポート4とクランク室内圧力Pcのポート5とを連通する冷媒流路に形成された弁座に吐出圧力Pdのポート4の側から着座するようボール弁体7が配置されている。このボール弁体7は、ばね8によって閉弁方向に付勢されており、このばね8のばね荷重は、ポート4に螺着されたアジャストねじ9によって調整される。また、ボディ3の軸線位置には、ボール弁体7に当接して弁開度を制御するシャフト10が軸線方向に進退自在に保持されている。
【0004】
パワーエレメント2は、弁部1のボディ3に締結されるロアハウジング11と、負圧室を画成するアッパーハウジング12と、これらロアハウジング11及びアッパーハウジング12によって囲まれる空間を仕切るよう配置されて負圧室を構成する金属材料のダイヤフラム(感圧部材)13と、このダイヤフラム13を両面から挾持するよう配置された2つのディスク14,15と、アッパーハウジング12の負圧室内に配置されてディスク15を弁部1側へ付勢するばね16とからなっている。弁部1側のディスク14には、吸入圧力Psのポート6と弁部1側のダイヤフラム室とを連通する連通孔17を介して延びるシャフト10の端面に当接している。
【0005】
このような可変容量圧縮機用制御弁では、負圧容器内で、アッパーハウジング12の周縁部分をロアハウジング11の周縁部分に対してかしめ加工により接合することによって、パワーエレメント2が組み立てられる。かしめ加工された接合部は、その後、はんだ付けまたはろう付けにより全周がろう接により封止される。このようにして、アッパーハウジング12及びダイヤフラム13によって囲まれた負圧室が気密に構成され、ダイヤフラム13の変位が温度及び大気圧の変化に影響されないようにしている。
【0006】
従来の圧力制御弁は、負圧室の気密性を高めるためのろう接を実施するとき、一般に多くの場合に鉛入りはんだが使用されていた。ところが、近年になって人体や自然環境に対する汚染をなくすため、錫(Sn)−銀(Ag)、錫−亜鉛(Zn)などを成分とする無鉛はんだの使用が奨励されてきている。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−349277号公報(段落番号〔0021〕〜〔0022〕、図5)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、無鉛はんだによるろう接においては、無鉛はんだは濡れ性が劣るため、大気圧中で無鉛はんだを使用して気密性を保持しようとしたときには、はんだが溶融する過程で不周りが生じたり、ボイド(気泡)が形成されるおそれがあって、負圧室への大気の漏れが生じたり、ろう接部分の強度が十分でなくなるなど、圧力制御弁の信頼性を低下させてしまうので、一般には、ダイヤフラムを挟持したアッパーハウジング及びロアハウジングの周縁部分を溶接により封止することが行われている。しかしながら、アッパーハウジング、ダイヤフラム及びロアハウジングの周縁部分を溶接により封止する場合、その周縁部分が溶接温度によって高温になるため、ダイヤフラムやばねなど、圧力制御弁のパワーエレメントを構成する部品が熱によって劣化するという問題があり、また、設備費が高価で製品コストが高くなるという問題点があった。
【0009】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、感圧部材によって負圧室が画成されるパワーエレメントの接合部を、他の構成部材に与える熱の影響が少ない状態で封止されるようにした圧力制御弁を提供することを目的とする。
【0010】
また、この発明の他の目的は、このような圧力制御弁の負圧室形成方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明は、感圧部材の変位に応じて弁部の弁開度を制御する圧力制御弁において、前記感圧部材を挟んで第1のハウジングおよび第2のハウジングが両側に配置され、前記第1のハウジングおよび前記第2のハウジングの一方の周縁部分を他方の周縁部分に前記感圧部材と一体にかしめて接合されるパワーエレメントを備え、前記パワーエレメントのかしめにより接合された接合部を無鉛はんだにより封止したことを特徴とする。
【0012】
したがって、この発明では、接合部を無鉛はんだで封止したことにより、溶接の場合よりも低コストの圧力制御弁を構成でき、かつ、鉛による人体や自然環境に対する汚染をなくすことができる。
【0013】
また、この発明によれば、感圧部材の変位に応じて弁部の弁開度を制御する圧力制御弁の負圧室形成方法において、負圧雰囲気内で、前記感圧部材とともに負圧室を画成する第1のハウジングと前記感圧部材よりも前記弁部の側に配置される第2のハウジングとの一方の周縁部分を他方の周縁部分に前記感圧部材と一体にかしめ加工することにより接合する工程と、前記接合する工程により接合された接合部を、負圧雰囲気内で、加熱による無鉛はんだのろう接によって気密封止する工程と、からなることを特徴とする圧力制御弁の負圧室形成方法が提供される。
【0014】
第1のハウジングおよび第2のハウジングの周縁部分を感圧部材と一体にかしめ加工することにより接合される接合部を、負圧中にて、誘導加熱される無鉛はんだで封止するため、はんだの不周りなどがなく、負圧室の接合部での気密信頼性が向上するとともに、接合部の局部的な誘導加熱により、他の内部部品を熱的に劣化させることがない。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について、圧力制御弁を可変容量圧縮機用制御弁に適用した場合を例に図面を参照して説明する。
【0016】
(第1の実施の形態)
図1は、可変容量圧縮機用制御弁のパワーエレメントを形成する第1の方法を示す断面図である。図1において、21はパワーエレメント2を構成するアッパーハウジング12が上下反転した状態で保持される支持台である。この支持台21に支持されたアッパーハウジング12の外周には、円環状をなす高周波コイル22が、弁部側のロアハウジング11に接合される接合部に対応する位置に配置されている。高周波コイル22に高周波電流を流すと高周波磁束が発生し、渦電流が誘導し、被加熱部分(接合部)が集中的に加熱される。これら支持台21、及び高周波コイル22は、いずれも負圧容器23内に設置されている。パワーエレメント2を構成する各部品のうち、図3に示した構成要素と同じ構成要素は同じ符号を付してその詳細は省略する。
【0017】
パワーエレメントを形成するには、まず、負圧容器23を排気して負圧にした後、ロアハウジング11とアッパーハウジング12との間にダイヤフラム13を挟持した状態でアッパーハウジング12の周縁部分をロアハウジング11の周縁部分にダイヤフラム13と一体にかしめ加工して、これらを接合する。次に、その接合部に無鉛はんだを載せて、高周波コイル22に高周波電流を流すと、高周波磁束が発生し、ロアハウジング11の周縁部分に渦電流が誘導して加熱されるから、無鉛はんだは接合部で溶融する。高周波電流を切って接合部を冷却すると、はんだ24が固化してかしめ加工された接合部が封止される。こうして、負圧容器23内では、負圧雰囲気でかしめ加工による接合とはんだ付けによるろう接とが連続した工程として実施され、アッパーハウジング12及びダイヤフラム13によって画成された負圧室が形成される。
【0018】
なお、無鉛はんだは、排気する前から接合部に載せておいてもよい。また、負圧雰囲気内での各工程が完了した後、好ましくは、パワーエレメント2を負圧容器23から取り出した後に、大気中にて接合部のはんだ24の表面に防食剤を塗布する。
【0019】
以上、パワーエレメントの接合部を、無鉛はんだを用いて封止するようにしたので、人体や自然環境に対する汚染をなくすことができる。また、パワーエレメント2の接合部での無鉛はんだによる封止を負圧容器23内で行うことにより、大気中で悪かった濡れ性が改善されるため、はんだの流れが良くなって、はんだ24の不周りやボイドの発生を抑制され、負圧室における接合部の信頼性が向上する。
【0020】
さらに、高周波加熱装置を使用することで、母材であるロアハウジング11を直接に加熱できる。したがって、無鉛はんだの密着性が高くなるとともに、ダイヤフラム13など圧力制御弁の内部部品をいたずらに加熱しないではんだ付けを行えるため、内部部品の熱的劣化が生じない。
【0021】
(第2の実施の形態)
図2は、可変容量圧縮機用制御弁のパワーエレメントを形成する第2の方法を示す断面図である。
【0022】
図2において、支持台25によってアッパーハウジング12が上下反転した状態で保持されている点は、図1のものと同じであるが、円環状をなす高周波コイル26が、負圧容器27の外側に配置されている点で異なっている。パワーエレメント2を構成する各部品のうち、図3に示した構成要素と同じ構成要素は同じ符号を付してその詳細は省略する。
【0023】
この場合に、負圧容器27は石英ガラス管などの非金属体により構成し、その外側に配置した高周波コイル26によって内部のパワーエレメント2の接合部のみが加熱されるようにしている。高周波コイル26を負圧容器27の外側に配置することによって、全体の装置の構成をコンパクトにすることができ、その取扱いも容易になる。
【0024】
【発明の効果】
以上に説明したように、この発明の圧力制御弁によれば、負圧室の接合部を、無鉛はんだによって封止する構成にした。これにより、コストの高い溶接による封止方法に比べて、低コストの圧力制御弁を提供でき、しかも、人体や自然環境に対する汚染をなくすことができる。
【0025】
また、この発明の圧力制御弁の負圧室形成方法によれば、負圧中ではんだ付けを行っているので、接合部でのはんだの流れが良くなり、はんだの不周り、ボイドの発生を抑制できる。したがって、接合部を無鉛はんだで封止しても、はんだの密着性が高く、負圧室の接合部での信頼性が向上する。
【0026】
さらに、負圧容器内に圧力制御弁を配置して、高周波加熱装置を使用するようにしたので、ダイヤフラムなど圧力制御弁の内部部品を加熱しないではんだ付けを行える。そのため、内部部品に熱的劣化を生じさせることなく、目標部分だけを効率良く加熱できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】可変容量圧縮機用制御弁のパワーエレメントを形成する第1の方法を示す断面図である。
【図2】可変容量圧縮機用制御弁のパワーエレメントを形成する第2の方法を示す断面図である。
【図3】内部可変制御方式の可変容量圧縮機用制御弁の従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 弁部
2 パワーエレメント
3 ボディ
4,5,6 ポート
7 ボール弁体
8 ばね
9 アジャストねじ
10 シャフト
11 ロアハウジング
12 アッパーハウジング
13 ダイヤフラム
14,15 ディスク
16 ばね
17 連通孔
21 支持台
22 高周波コイル
23 負圧容器
24 はんだ
25 支持台
26 高周波コイル
27 負圧容器
【発明の属する技術分野】
この発明は、感圧部材の変位に応じて弁開度を制御する圧力制御弁及びその負圧室形成方法に関し、特に、車輌用エアコンの冷凍サイクルの中で冷媒ガスを圧縮する可変容量圧縮機に設けられて冷媒ガスの吐出容量を制御する内部可変制御式の圧力制御弁及びその負圧室形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
車輌用エアコンでは、動力源であるエンジンの回転数が一定でないことから、一般的に負荷に応じた冷凍能力の制御は、圧縮機の容量を可変にすることで行っている。容量を変化させる方法として、制御を圧縮機の中だけで行う内部可変制御方式(例えば、特許文献1参照)と、各種センサ出力の演算結果に基づいて電気的に制御する外部可変制御方式とがある。内部可変制御方式の制御を行う可変容量圧縮機用制御弁について説明する。
【0003】
図3は、内部可変制御方式の可変容量圧縮機用制御弁の従来例を示す断面図である。
この可変容量圧縮機用制御弁は、弁部1とこの弁部を駆動制御するパワーエレメント2とからなっている。弁部1は、ボディ3の先端部に設けられ、可変容量圧縮機の吐出室に連通されて吐出圧力Pdを導入するポート4と、可変容量圧縮機のクランク室に連通されて制御された圧力、すなわちクランク室内圧力Pcを出力するポート5と、可変容量圧縮機の吸入室に連通されて吸入圧力Psを受けるポート6を備え、吐出圧力Pdのポート4とクランク室内圧力Pcのポート5とを連通する冷媒流路に形成された弁座に吐出圧力Pdのポート4の側から着座するようボール弁体7が配置されている。このボール弁体7は、ばね8によって閉弁方向に付勢されており、このばね8のばね荷重は、ポート4に螺着されたアジャストねじ9によって調整される。また、ボディ3の軸線位置には、ボール弁体7に当接して弁開度を制御するシャフト10が軸線方向に進退自在に保持されている。
【0004】
パワーエレメント2は、弁部1のボディ3に締結されるロアハウジング11と、負圧室を画成するアッパーハウジング12と、これらロアハウジング11及びアッパーハウジング12によって囲まれる空間を仕切るよう配置されて負圧室を構成する金属材料のダイヤフラム(感圧部材)13と、このダイヤフラム13を両面から挾持するよう配置された2つのディスク14,15と、アッパーハウジング12の負圧室内に配置されてディスク15を弁部1側へ付勢するばね16とからなっている。弁部1側のディスク14には、吸入圧力Psのポート6と弁部1側のダイヤフラム室とを連通する連通孔17を介して延びるシャフト10の端面に当接している。
【0005】
このような可変容量圧縮機用制御弁では、負圧容器内で、アッパーハウジング12の周縁部分をロアハウジング11の周縁部分に対してかしめ加工により接合することによって、パワーエレメント2が組み立てられる。かしめ加工された接合部は、その後、はんだ付けまたはろう付けにより全周がろう接により封止される。このようにして、アッパーハウジング12及びダイヤフラム13によって囲まれた負圧室が気密に構成され、ダイヤフラム13の変位が温度及び大気圧の変化に影響されないようにしている。
【0006】
従来の圧力制御弁は、負圧室の気密性を高めるためのろう接を実施するとき、一般に多くの場合に鉛入りはんだが使用されていた。ところが、近年になって人体や自然環境に対する汚染をなくすため、錫(Sn)−銀(Ag)、錫−亜鉛(Zn)などを成分とする無鉛はんだの使用が奨励されてきている。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−349277号公報(段落番号〔0021〕〜〔0022〕、図5)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、無鉛はんだによるろう接においては、無鉛はんだは濡れ性が劣るため、大気圧中で無鉛はんだを使用して気密性を保持しようとしたときには、はんだが溶融する過程で不周りが生じたり、ボイド(気泡)が形成されるおそれがあって、負圧室への大気の漏れが生じたり、ろう接部分の強度が十分でなくなるなど、圧力制御弁の信頼性を低下させてしまうので、一般には、ダイヤフラムを挟持したアッパーハウジング及びロアハウジングの周縁部分を溶接により封止することが行われている。しかしながら、アッパーハウジング、ダイヤフラム及びロアハウジングの周縁部分を溶接により封止する場合、その周縁部分が溶接温度によって高温になるため、ダイヤフラムやばねなど、圧力制御弁のパワーエレメントを構成する部品が熱によって劣化するという問題があり、また、設備費が高価で製品コストが高くなるという問題点があった。
【0009】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、感圧部材によって負圧室が画成されるパワーエレメントの接合部を、他の構成部材に与える熱の影響が少ない状態で封止されるようにした圧力制御弁を提供することを目的とする。
【0010】
また、この発明の他の目的は、このような圧力制御弁の負圧室形成方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明は、感圧部材の変位に応じて弁部の弁開度を制御する圧力制御弁において、前記感圧部材を挟んで第1のハウジングおよび第2のハウジングが両側に配置され、前記第1のハウジングおよび前記第2のハウジングの一方の周縁部分を他方の周縁部分に前記感圧部材と一体にかしめて接合されるパワーエレメントを備え、前記パワーエレメントのかしめにより接合された接合部を無鉛はんだにより封止したことを特徴とする。
【0012】
したがって、この発明では、接合部を無鉛はんだで封止したことにより、溶接の場合よりも低コストの圧力制御弁を構成でき、かつ、鉛による人体や自然環境に対する汚染をなくすことができる。
【0013】
また、この発明によれば、感圧部材の変位に応じて弁部の弁開度を制御する圧力制御弁の負圧室形成方法において、負圧雰囲気内で、前記感圧部材とともに負圧室を画成する第1のハウジングと前記感圧部材よりも前記弁部の側に配置される第2のハウジングとの一方の周縁部分を他方の周縁部分に前記感圧部材と一体にかしめ加工することにより接合する工程と、前記接合する工程により接合された接合部を、負圧雰囲気内で、加熱による無鉛はんだのろう接によって気密封止する工程と、からなることを特徴とする圧力制御弁の負圧室形成方法が提供される。
【0014】
第1のハウジングおよび第2のハウジングの周縁部分を感圧部材と一体にかしめ加工することにより接合される接合部を、負圧中にて、誘導加熱される無鉛はんだで封止するため、はんだの不周りなどがなく、負圧室の接合部での気密信頼性が向上するとともに、接合部の局部的な誘導加熱により、他の内部部品を熱的に劣化させることがない。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について、圧力制御弁を可変容量圧縮機用制御弁に適用した場合を例に図面を参照して説明する。
【0016】
(第1の実施の形態)
図1は、可変容量圧縮機用制御弁のパワーエレメントを形成する第1の方法を示す断面図である。図1において、21はパワーエレメント2を構成するアッパーハウジング12が上下反転した状態で保持される支持台である。この支持台21に支持されたアッパーハウジング12の外周には、円環状をなす高周波コイル22が、弁部側のロアハウジング11に接合される接合部に対応する位置に配置されている。高周波コイル22に高周波電流を流すと高周波磁束が発生し、渦電流が誘導し、被加熱部分(接合部)が集中的に加熱される。これら支持台21、及び高周波コイル22は、いずれも負圧容器23内に設置されている。パワーエレメント2を構成する各部品のうち、図3に示した構成要素と同じ構成要素は同じ符号を付してその詳細は省略する。
【0017】
パワーエレメントを形成するには、まず、負圧容器23を排気して負圧にした後、ロアハウジング11とアッパーハウジング12との間にダイヤフラム13を挟持した状態でアッパーハウジング12の周縁部分をロアハウジング11の周縁部分にダイヤフラム13と一体にかしめ加工して、これらを接合する。次に、その接合部に無鉛はんだを載せて、高周波コイル22に高周波電流を流すと、高周波磁束が発生し、ロアハウジング11の周縁部分に渦電流が誘導して加熱されるから、無鉛はんだは接合部で溶融する。高周波電流を切って接合部を冷却すると、はんだ24が固化してかしめ加工された接合部が封止される。こうして、負圧容器23内では、負圧雰囲気でかしめ加工による接合とはんだ付けによるろう接とが連続した工程として実施され、アッパーハウジング12及びダイヤフラム13によって画成された負圧室が形成される。
【0018】
なお、無鉛はんだは、排気する前から接合部に載せておいてもよい。また、負圧雰囲気内での各工程が完了した後、好ましくは、パワーエレメント2を負圧容器23から取り出した後に、大気中にて接合部のはんだ24の表面に防食剤を塗布する。
【0019】
以上、パワーエレメントの接合部を、無鉛はんだを用いて封止するようにしたので、人体や自然環境に対する汚染をなくすことができる。また、パワーエレメント2の接合部での無鉛はんだによる封止を負圧容器23内で行うことにより、大気中で悪かった濡れ性が改善されるため、はんだの流れが良くなって、はんだ24の不周りやボイドの発生を抑制され、負圧室における接合部の信頼性が向上する。
【0020】
さらに、高周波加熱装置を使用することで、母材であるロアハウジング11を直接に加熱できる。したがって、無鉛はんだの密着性が高くなるとともに、ダイヤフラム13など圧力制御弁の内部部品をいたずらに加熱しないではんだ付けを行えるため、内部部品の熱的劣化が生じない。
【0021】
(第2の実施の形態)
図2は、可変容量圧縮機用制御弁のパワーエレメントを形成する第2の方法を示す断面図である。
【0022】
図2において、支持台25によってアッパーハウジング12が上下反転した状態で保持されている点は、図1のものと同じであるが、円環状をなす高周波コイル26が、負圧容器27の外側に配置されている点で異なっている。パワーエレメント2を構成する各部品のうち、図3に示した構成要素と同じ構成要素は同じ符号を付してその詳細は省略する。
【0023】
この場合に、負圧容器27は石英ガラス管などの非金属体により構成し、その外側に配置した高周波コイル26によって内部のパワーエレメント2の接合部のみが加熱されるようにしている。高周波コイル26を負圧容器27の外側に配置することによって、全体の装置の構成をコンパクトにすることができ、その取扱いも容易になる。
【0024】
【発明の効果】
以上に説明したように、この発明の圧力制御弁によれば、負圧室の接合部を、無鉛はんだによって封止する構成にした。これにより、コストの高い溶接による封止方法に比べて、低コストの圧力制御弁を提供でき、しかも、人体や自然環境に対する汚染をなくすことができる。
【0025】
また、この発明の圧力制御弁の負圧室形成方法によれば、負圧中ではんだ付けを行っているので、接合部でのはんだの流れが良くなり、はんだの不周り、ボイドの発生を抑制できる。したがって、接合部を無鉛はんだで封止しても、はんだの密着性が高く、負圧室の接合部での信頼性が向上する。
【0026】
さらに、負圧容器内に圧力制御弁を配置して、高周波加熱装置を使用するようにしたので、ダイヤフラムなど圧力制御弁の内部部品を加熱しないではんだ付けを行える。そのため、内部部品に熱的劣化を生じさせることなく、目標部分だけを効率良く加熱できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】可変容量圧縮機用制御弁のパワーエレメントを形成する第1の方法を示す断面図である。
【図2】可変容量圧縮機用制御弁のパワーエレメントを形成する第2の方法を示す断面図である。
【図3】内部可変制御方式の可変容量圧縮機用制御弁の従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 弁部
2 パワーエレメント
3 ボディ
4,5,6 ポート
7 ボール弁体
8 ばね
9 アジャストねじ
10 シャフト
11 ロアハウジング
12 アッパーハウジング
13 ダイヤフラム
14,15 ディスク
16 ばね
17 連通孔
21 支持台
22 高周波コイル
23 負圧容器
24 はんだ
25 支持台
26 高周波コイル
27 負圧容器
Claims (5)
- 感圧部材の変位に応じて弁部の弁開度を制御する圧力制御弁において、
前記感圧部材を挟んで第1のハウジングおよび第2のハウジングが両側に配置され、前記第1のハウジングおよび前記第2のハウジングの一方の周縁部分を他方の周縁部分に前記感圧部材と一体にかしめて接合されるパワーエレメントを備え、
前記パワーエレメントのかしめにより接合された接合部を無鉛はんだにより封止したことを特徴とする圧力制御弁。 - 前記接合部の無鉛はんだによる封止部分には、防食剤が塗布されていることを特徴とする請求項1記載の圧力制御弁。
- 感圧部材の変位に応じて弁部の弁開度を制御する圧力制御弁の負圧室形成方法において、
負圧雰囲気内で、前記感圧部材とともに負圧室を画成する第1のハウジングと前記感圧部材よりも前記弁部の側に配置される第2のハウジングとの一方の周縁部分を他方の周縁部分に前記感圧部材と一体にかしめ加工することにより接合する工程と、
前記接合する工程により接合された接合部を、負圧雰囲気内で、加熱による無鉛はんだのろう接によって気密封止する工程と、
からなることを特徴とする圧力制御弁の負圧室形成方法。 - 前記気密封止する工程では、負圧容器内にて前記接合部の外周に配置された高周波コイルにより、前記接合部を誘導加熱するようにしたことを特徴とする請求項3記載の圧力制御弁の負圧室形成方法。
- 前記気密封止する工程では、非金属の負圧容器外にて前記接合部の対応位置に配置された高周波コイルにより、前記接合部を誘導加熱するようにしたことを特徴とする請求項3記載の圧力制御弁の負圧室形成方法。
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JP2003032082A JP2004239235A (ja) | 2003-02-10 | 2003-02-10 | 圧力制御弁及びその負圧室形成方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2009120700A (ja) * | 2007-11-14 | 2009-06-04 | Niigata Univ | 機能性微粒子及びその製造方法、並びにこれを配合してなる被覆性組成物 |
KR101467124B1 (ko) * | 2010-11-15 | 2014-12-01 | 가부시키가이샤 테지케 | 압력 제어 밸브 |
-
2003
- 2003-02-10 JP JP2003032082A patent/JP2004239235A/ja active Pending
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