JP3967030B2 - 容器入り貝類含有ソース類の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、風味、食感等に優れるとともに、40℃以上の高温での保存性に優れた容器入り貝類含有ソース類の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
あさりやほたて等の貝類を含有する缶詰、瓶詰め、あるいはレトルトソースは、一般にF0 値が10〜30程度の加熱処理を行って、微生物による腐敗を防止している。かかる加熱条件では、耐熱性の強い胞子が残存する場合があるが、これらは通常の保存温度(室温以下)では増殖できない高温菌であるため、室温以下で保存すれば食品が腐敗することはない。
【0003】
しかしながら、夏場に直射日光に晒されたり、熱帯地方で保存される等高温で保存されると、残存した耐熱性胞子が増殖し、食品を腐敗させる場合がある。かかる耐熱性胞子は、120℃で数時間の加熱でも残存するものがある等極めて耐熱性が強い。特にあさりやはまぐり等の貝類は、耐熱性胞子が腸管内に存在し、熱が伝導し難いため、かかる貝類を含有するソース類、特にpHが5.5を超えて5.9以下のソース類を滅菌するには、過酷な加熱処理が必要であった。かかる加熱処理を行うと、ソース類は、強い加熱臭等が生じたり、貝類が褐変や硬化する等風味、食感、外観が著しく劣化することが多かった。高温で保存された場合でも、耐熱性菌が増殖するのを防止する手段として、例えば自動販売機で加温販売される缶入り飲料に乳化剤を添加する技術が知られている。しかしながら、上記のように、貝類の耐熱性胞子は腸管内に存在するため、かかる方法では全く効果がない。
【0004】
したがって本発明は、風味、食感、外観に優れるとともに、40℃以上の高温での保存性に優れた、貝類含有ソース類の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、貝類を、水中でF0 値(「食品微生物」相磯和嘉監修、医歯薬出版(株)、第153頁参照)50以上で加熱処理すれば、貝類中の耐熱性胞子の多くを殺菌できること、さらに、該貝類は硬化したり褐変することがないことを見出した。そしてかかる加熱処理した貝類を用いて得られた、pHが5.5を超えて5.9以下のソース類は、40℃以上の高温での保存性に優れていること、さらに風味、食感、外観に優れていることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち本発明は、貝類を水中でF 0 値50以上で加熱処理し、これを冷却した後、得られた加熱処理貝類を用いてソース類用原料混合物を調製し、次いで該ソース類用原料混合物を、最終製品のpHが5.5を超えて5.9以下となるようなpH条件下、F0値4〜30で加熱処理することを特徴とする容器入り貝類含有ソース類の製造方法を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる貝類に特に制限はなく、例えばあさり、はまぐり、さざえ、しじみ、たいら貝、ほたて貝等が挙げられる。本発明の製造方法は、このうちあさり、はまぐり又はほたて貝を用いるソース類の製造に適している。貝類は、生鮮品、冷凍品のいずれでもよい。また、貝殻がついたもの、又はむき身のいずれでもよい。
【0008】
本発明に用いる貝類は、以下の方法で得ることができる。まず貝類を水に浸漬する。水は、水道水、井戸水、蒸留水のいずれでもよいが、塩分、特に塩化ナトリウムを実質的に含有していないことが好ましい。浸漬溶液が水であれば、加熱処理後も貝類の軟らかさが維持される。水に対して加える貝類の量に特に制限はないが、10〜500重量%、特に10〜200重量%が好ましい。浸漬するときの水の温度に特に制限はない。水のpHは、貝類の風味劣化防止の観点から、6〜8程度が好ましい。
【0009】
次いで、上記貝類を浸漬した水をF0 値50以上、好ましくは50〜80で加熱処理する。F0 値50以上であれば、貝類を硬化させることなく、貝類中に存在する耐熱性胞子の多くを殺菌することができる。さらに、かかる加熱処理をすれば、貝殻が破砕されてその砕片が付着、残存している貝の身から、砕片を効率よく除去することもできる。加熱処理手段に特に制限はなく、連続式で加熱処理する場合にはかきとり式熱交換機等、バッチ式で加熱処理する場合にはレトルト殺菌機等を用いることができる。レトルト殺菌機を用いる場合、容器は、レトルトパウチ、缶のいずれでもよい。加熱処理温度は、例えば110〜130℃が好ましい。
【0010】
加熱処理終了後、水冷、氷冷等の適当な手段で冷却する。以上の方法により、風味、食感、外観、特に食感に優れ、かつ耐熱性胞子の多くが殺菌された貝類が得られる。
【0011】
本発明の容器入り貝類含有ソース類の製造方法は、まず上記でのように加熱処理された貝類を含む各原料を、常法に従い細断、混合、撹拌、加熱等することにより、ソース類用原料混合物を調製する。次いで最終製品のpH(20℃における値)が5.5を超えて5.9以下、好ましくは5.7〜5.9となるpH条件下で、ソース類用原料混合物を加熱処理する。この加熱処理にあたって、ソース類用原料混合物をそのまま加熱処理すると最終製品のpHが5.9を超える場合には、クエン酸、フィチン酸等の有機酸や果実酢、ワインビネガー等の食酢のような食品に添加可能な酸類を用いて、ソース類用原料混合物のpHを調整する。この場合、貝類を含む全原料を混合した後pH調整してもよいし、あるいは、上記貝類のむき身及び他の一部の原料を除き、残余の原料を混合した後、最終製品のpHが5.5を超えて5.9以下となるようにpH調整し、これに上記貝類等を添加してソース類用原料混合物としてもよい。最終製品のpHが5.5を超えて5.9以下であれば、風味等に優れるとともに、40℃以上の高温での保存性に優れたソース類が得られる。このような例として、例えば貝類含有ビアンコソースが挙げられる。ソース類用原料混合物を加熱処理して、最終製品のpHが5.5を超えて5.9以下となる場合は、このpH調整は不要である。ソース類用原料混合物中の貝類の含有量に特に制限はないが、例えば5〜100重量%が好ましい。
【0012】
次いで加熱処理を行うが、この加熱処理条件は、F0 値4〜30であることが必要であり、10〜20が好ましい。F0 値が4〜30であれば、風味、食感、外観に優れるとともに、40℃以上の高温での保存性に優れた容器入り貝類含有ソース類が得られる。F0 値が4〜30であれば、加熱処理温度に特に制限はない。加熱処理手段に特に制限はなく、かきとり式熱交換機、レトルト殺菌機等を用いることができる。レトルト殺菌機を用いる場合、レトルトパウチ、缶等に充填して密封した後、加熱処理する。また、連続的に加熱処理する場合、加熱処理後無菌的に容器に充填する。
【0013】
加熱処理終了後、水冷、氷冷等の適当な手段で、品温が40℃以下になるまで速やかに冷却することが好ましい。本発明の製造方法は、特にボンゴレビアンコソース類の製造に適している。
【0014】
【実施例】
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0015】
実施例1
あさりのむき身12kg及び水12kgを、1.5kgずつ8個のレトルトパウチに投入し、シールして密閉した後熱水式レトルト装置を用いて122℃で45分間加熱処理し(F0 値50)、25℃に冷却した。みじん切りにしたにんにく2kgをサラダ油2kgでよく炒め、これにダイス状にカットしたにんじん5kg、種をとってみじん切りにしたピーマン2kg、ダイス状にカットしたたまねぎ20kgを加えて10分間炒めた。これに食塩1.3kg、調味料4.2kg、香辛料0.1kg及び水80kgを添加して撹拌しながら90℃に加熱処理した(ソース用プレ原料混合物)。300個の7号缶に、上記ソース用プレ原料混合物230g、上記加熱処理したあさりのむき身30g及びスライスしたマッシュルーム40gを充填して巻き締めた。これを熱水式レトルト装置を用いて、115℃、30分間加熱処理し(F0 値15)、ボンゴレビアンコソースを得た。得られたボンゴレビアンコソースのpHは5.88であった。
【0016】
比較例1及び2
比較例1は、加熱処理していないあさりのむき身を7号缶に充填した以外は、実施例1と同様にしてボンゴレビアンコソースを得た。比較例2は、実施例1において、加熱処理していないあさりのむき身を7号缶に充填して115℃で100分間(F0 値60)加熱処理した以外は実施例1と同様にしてボンゴレビアンコソースを得た。得られたボンゴレビアンコソースのpHは、比較例1、2の場合とも5.93であった。
【0017】
試験例1
上記で得られた各ボンゴレビアンコソースを、55℃で2週間保持し、その後開缶して腐敗率を測定し、次いで腐敗していないものについて官能評価を行った。結果を表1に示す。
【0018】
【表1】
【0019】
実施例1のボンゴレビアンコソースは、腐敗が全くなく、風味、食感、外観も良好で、特にあさりの食感が軟らかかった。比較例1のボンゴレビアンコソースは、官能評価は良好であったが、腐敗率が高かった。また比較例2のビアンコボンゴレソースは、腐敗は全くなかったが、あさりが硬くなっており、香りも悪く、またソースが褐変していた。
【0020】
【発明の効果】
また本発明の製造方法により、風味、食感、外観に優れるとともに、40℃以上の高温での保存性に優れた容器入り貝類含有ソース類が得られる。
Claims (1)
- 貝類を水中でF 0 値50以上で加熱処理し、これを冷却した後、得られた加熱処理貝類を用いてソース類用原料混合物を調製し、次いで該ソース類用原料混合物を、最終製品のpHが5.5を超えて5.9以下となるようなpH条件下、F0値4〜30で加熱処理することを特徴とする容器入り貝類含有ソース類の製造方法。
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---|---|---|---|
JP04129199A JP3967030B2 (ja) | 1999-02-19 | 1999-02-19 | 容器入り貝類含有ソース類の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP04129199A JP3967030B2 (ja) | 1999-02-19 | 1999-02-19 | 容器入り貝類含有ソース類の製造方法 |
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JP2000236853A JP2000236853A (ja) | 2000-09-05 |
JP3967030B2 true JP3967030B2 (ja) | 2007-08-29 |
Family
ID=12604358
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP04129199A Expired - Lifetime JP3967030B2 (ja) | 1999-02-19 | 1999-02-19 | 容器入り貝類含有ソース類の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3967030B2 (ja) |
-
1999
- 1999-02-19 JP JP04129199A patent/JP3967030B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
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JP2000236853A (ja) | 2000-09-05 |
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