JP3966694B2 - 固体高分子型燃料電池の電解質膜 - Google Patents

固体高分子型燃料電池の電解質膜 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は固体高分子型燃料電池の電解質膜に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の電解質膜は,高分子イオン交換成分を用いて構成されているが,100℃前後の温度下で使用されるため,良好な高温強度を持つことが要求される。
【0003】
従来は,例えば,電解質膜の高温強度を優先させて,そのイオン交換容量を犠牲にする,といった手段が採用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら従来の手段によると,イオン交換容量が低いことに起因して発電性能レベルが低位にならざるを得ない,という問題があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は,優れた高温強度を有し,またその高温強度向上手段によって,イオン交換容量を低下させることがないようにした前記電解質膜を提供することを目的とする。
【0006】
前記目的を達成するため本発明によれば,高分子イオン交換成分よりなる膜主体と,その膜主体に分散し,且つ金属イオンをプロトンとイオン交換させる処理を施された複数の層状ケイ酸塩粒子とを有していて,プロトン伝導度PcがPc>0.05S/cmである固体高分子型燃料電池の電解質膜であって,前記層状ケイ酸塩粒子(10)は,粒径dが0.001μm≦d≦2μmであり,且つイオン交換容量Icが0.5meq/g≦Ic≦2.0meq/gであり,且つまたその粒子含有量LがL≦10wt%であることを特徴とする,固体高分子型燃料電池の電解質膜が提供される。
【0007】
前記のように構成すると,層状ケイ酸塩粒子に因る粒子分散強化能を得て電解質膜の高温強度を向上させ,その耐久性を高めることができる。
【0008】
一方,層状ケイ酸塩粒子は固有のイオン交換容量を有するので,これを膜本体に分散させても,そのイオン交換容量を,層状ケイ酸塩粒子無添加の場合よりも低下させるようなことはなく,また層間には前記イオン交換処理によるプロトンが存在すると共に高温下では膜主体に供給される水分が存在して電解質膜の保水性が高められているので,電解質膜のプロトン伝導度Pcを,前記のように,Pc>0.05S/cmに高めることが可能である。また層状ケイ酸塩粒子は,粒径dが0.001μm≦d≦2μmであり,またイオン交換容量Icが0.5meq/g≦Ic≦2.0meq/gであって,電解質膜における粒子含有量LがL≦10wt%であることが必要であり,これら三要件と前記イオン交換処理とを組合せることによって,電解質膜のプロトン伝導度PcをPc>0.05S/ cm にすることができる。ただし,粒径dがd>2μmであるか,イオン交換容量IcがIc<0.5meq/gである場合には,電解質膜のイオン交換容量Icが,層状ケイ酸塩粒子無添加の場合よりも低下する。また粒径dがd<0.001μmであるか,イオン交換容量IcがIc>2.0meq/gである場合には,安定な分散状態が得られず,保水性向上も望めない。さらにまた粒子含有量LがL>10wt%では電解質膜のプロトン伝導度Pcが層状ケイ酸塩粒子無添加の場合よりも低下する。
【0009】
このようなプロトン伝導度Pcを有する電解質膜は前記燃料電池の発電性能を向上させる上で有効である。プロトン伝導度PcがPc≦0.05S/cmでは発電性能向上効果は望めない。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1において,固体高分子型燃料電池(セル)1は,電解質膜2と,その両側にそれぞれ密着する空気極3および燃料極4と,それら両極3,4にそれぞれ密着する一対の拡散層5,6と,それら両拡散層5,6に密着する一対のセパレータ7,8とよりなる。
【0011】
図2に明示するように,電解質膜2は,高分子イオン交換成分,例えば芳香族炭化水素系高分子イオン交換成分よりなる膜主体9と,その膜主体9に分散し,且つ金属イオンをプロトンとイオン交換させる処理を施された複数の層状ケイ酸塩粒子10とより構成され,プロトン伝導度PcがPc>0.05S/cmである,といった特性を有する。空気極3および燃料極4は,それぞれ,カーボンブラック粒子の表面に複数のPt粒子を担持させた複数の触媒粒子と,例えばプロトン伝導性バインダとよりなる。
【0012】
各拡散層5,6は多孔質のカーボンペーパ,カーボンプレート等を有し,また各セパレータ7,8は,同一の形態を有するように黒鉛化炭素より構成され,空気極3側のセパレータ7に存する複数の溝11に空気が,また燃料極4側のセパレータ8に在って前記溝11と交差する関係の複数の溝12に水素がそれぞれ供給される。
【0013】
芳香族炭化水素系高分子イオン交換成分は,無フッ素であって溶剤に可溶であるといった特性を有する。この種の高分子イオン交換成分としては,表1に挙げた各種イオン交換体が用いられる。
【0014】
【表1】
Figure 0003966694
【0015】
溶剤としては,表2に挙げた各種極性溶剤が用いられる。
【0016】
【表2】
Figure 0003966694
【0017】
層状ケイ酸塩粒子10としては,スメクタイト族鉱物,例えばモンモリロナイト[M0.33Si4 (Mg0.33Al1.67)O10(OH)2 ・nH2 O;M:Na],サポナイト[M0.33(Si3.67Al0.33)Mg3 10(OH)2 ・nH2 O;M:Na],ヘクトライト[M0.33Si4 (Mg2.67Li0.33)O10(OH)2 ・nH2 O;M:Na],スチーブンサイト[M0.17Si4 Mg2.9210(OH)2 ・nH2 O;M:Na],バーミキュライト[M0.86(Al0.86Si3.14)Al2 10(OH)2 ・nH2 O;M:Na]等の粒子が用いられる外,合成雲母,例えばフッ素四ケイ素雲母[M・Mg2.5 (Si4 10)F2 ;M:Na],テニオライト[M・Mg2 (Si4 10)F2 ;M:Na,Li]等の粒子も用いられる。各層状ケイ酸塩粒子10の使用に当っては,その粒子10を無機酸に浸漬して,その層間金属イオンであるNaイオン,Liイオン等をプロトンとイオン交換させる。無機酸としては塩酸,硫酸,硝酸等が用いられる。
【0018】
電解質膜2を前記のように構成すると,層状ケイ酸塩粒子10に因る粒子分散強化能を得て電解質膜2の高温強度を向上させ,その耐久性を高めることができる。
【0019】
一方,層状ケイ酸塩粒子10は固有のイオン交換容量を有するので,これを膜本体9に分散させても,そのイオン交換容量を,層状ケイ酸塩粒子無添加の場合よりも低下させるようなことはなく,また層間には前記イオン交換処理によるプロトンが存在すると共に高温下では膜主体9に供給される水分が存在して電解質膜2の保水性が高められているので,電解質膜2のプロトン伝導度Pcを,前記のようにPc>0.05S/cmに高めることが可能である。
【0020】
このようなプロトン伝導度Pcを有する電解質膜2は前記燃料電池の発電性能を向上させる上で有効である。
【0021】
層状ケイ酸塩粒子10は,粒径dが0.001μm≦d≦2μmであり,またイオン交換容量Icが0.5meq/g≦Ic≦2.0meq/gであって,電解質膜2における粒子含有量LがL≦10wt%であることが必要である。これら三要件と前記イオン交換処理とを組合せることによって,電解質膜2のプロトン伝導度PcをPc>0.05S/cmにすることができる。ただし,粒径dがd>2μmであるか,イオン交換容量IcがIc<0.5meq/gである場合には,電解質膜2のイオン交換容量Icが,層状ケイ酸塩粒子無添加の場合よりも低下する。また粒径dがd<0.001μmであるか,イオン交換容量IcがIc>2.0meq/gである場合には,安定な分散状態が得られず,保水性向上も望めない。さらにまた粒子含有量LがL>10wt%では電解質膜2のプロトン伝導度Pcが層状ケイ酸塩粒子無添加の場合よりも低下する。
【0022】
以下,具体例について説明する。
【0023】
〔第I例〕
a.電解質膜の製造
<例−1>
粒径dがd≦2μmで,且つイオン交換容量IcがIc=0.5meq/gのヘクトライト粒子10の集合体を,0.1N塩酸に浸漬してイオン交換処理を行った。この場合,ヘクトライト粒子10の層間Naイオンがプロトンとイオン交換される。
【0024】
芳香族炭化水素系高分子イオン交換成分として,表1の例1(PEEKスルホン化物)を用意し,これを表2のNMPに還流溶解した。この溶液における高分子イオン交換成分の含有量は10wt%である。
【0025】
この高分子イオン交換成分含有溶液に,イオン交換処理後のヘクトライト粒子10を,その含有量Lが,電解質膜2においてL=0.5wt%となるように添加して膜成形材料を調製した。この膜成形材料を用いて,厚さ50μmの電解質膜2を成形した。この電解質膜2を実施例(1)とする。
【0026】
<例−2>
オン交換処理後のヘクトライト粒子10の含有量LをL=1wt%に設定した,ということ以外は,例−1と同様の方法で,実施例(1)と同一厚さの電解質膜2を成形した。この電解質膜2を実施例(2)とする。
【0027】
<例−3>
オン交換処理後のヘクトライト粒子10の含有量LをL=3wt%に設定した,ということ以外は,例−1と同様の方法で,実施例(1)と同一厚さの電解質膜2を成形した。この電解質膜2を実施例(3)とする。
【0028】
<例−4>
オン交換処理後のヘクトライト粒子10の含有量LをL=6wt%に設定した,ということ以外は,例−1と同様の方法で,実施例(1)と同一厚さの電解質膜2を成形した。この電解質膜2を実施例(4)とする。
【0029】
<例−5>
オン交換処理後のヘクトライト粒子10の含有量LをL9wt%に設定した,ということ以外は,例−1と同様の方法で,実施例(1)と同一厚さの電解質膜2を成形した。この電解質膜2を実施例(5)とする。
【0030】
<例−6>
イオン交換容量IcがIc=0.7meq/gのサポナイト粒子10を用い,またイオン交換処理後のサポナイト粒子10の含有量LをL=6wt%に設定した,ということ以外は,例−1と同様の方法で,実施例(1)と同一厚さの電解質膜2を成形した。この電解質膜2を実施例(6)とする。
【0031】
<例−7>
イオン交換容量IcがIc=1.2meq/gのモンモリロナイト粒子10を用い,またイオン交換処理後のモンモリロナイト粒子10の含有量LをL=6wt%に設定した,ということ以外は,例−1と同様の方法で,実施例(1)と同一厚さの電解質膜2を成形した。この電解質膜2を実施例(7)とする。
【0032】
<例−8>
イオン交換容量IcがIc=2meq/gのテニオライト粒子10を用い,またイオン交換処理後のテニオライト粒子10の含有量LをL=6wt%に設定した,ということ以外は,例−1と同様の方法で,実施例(1)と同一厚さの電解質膜2を成形した。この電解質膜2を実施例(8)とする。
【0033】
<例−9>
オン交換処理後のヘクトライト粒子10の含有量LをL=10wt%に設定した,ということ以外は,例−1と同様の方法で,実施例(1)と同一厚さの電解質膜2を成形した。この電解質膜2を実施例(9)とする。
【0034】
<例−10>
オン交換処理後のヘクトライト粒子10の含有量LをL=12wt%に設定した,ということ以外は,例−1と同様の方法で,実施例(1)と同一厚さの電解質膜2を成形した。この電解質膜2を比較例(1)とする。
【0035】
<例−11>
イオン交換処理を施されていないヘクトライト粒子10を用い,またヘクトライト粒子10の含有量LをL=6wt%に設定した,ということ以外は,例−1と同様の方法で,実施例(1)と同一厚さの電解質膜2を成形した。この電解質膜2を比較例(2)とする。
【0036】
<例−12>
粒径dがd≦3μmのヘクトライト粒子10を用い,またイオン交換処理後のヘクトライト粒子10の含有量LをL=6wt%に設定した,ということ以外は,例−1と同様の方法で,実施例(1)と同一厚さの電解質膜2を成形した。この電解質膜2を比較例(3)とする。
【0037】
<例−13>
イオン交換容量IcがIc=1.2meq/gで,且つイオン交換処理を施されていないモンモリロナイト粒子10を用い,またモンモリロナイト粒子10の含有量LをL=6wt%に設定した,ということ以外は,例−1と同様の方法で,実施例(1)と同一厚さの電解質膜2を成形した。この電解質膜2を比較例(4)とする。
【0038】
<例−14>
イオン交換容量IcがIc=2meq/gで,且つイオン交換処理を施されていないテニオライト粒子10を用い,またテニオライト粒子10の含有量LをL=6wt%に設定した,ということ以外は,例−1と同様の方法で,実施例(1)と同一厚さの電解質膜2を成形した。この電解質膜2を比較例(5)とする。
【0039】
b.電解質膜−電極集成体の製造
カーボンブラック粒子に複数のPt粒子を担持させて触媒粒子を調製した。触媒粒子におけるPt粒子の含有量は45wt%である。また複数の多孔質カーボンペーパの片面に,PTFEとカーボン粒子とよりなる下地層を形成して複数の拡散層5,6を得た。さらにNafion(デュポン社製)を,イソプロピルアルコールとn−プロピルアルコールとよりなる混合溶媒に溶解して,プロトン伝導性を持つバインダ溶液を調製した。この溶液におけるNafionの含有量は5wt%である。
【0040】
前記バインダ溶液に,重量比で,Nafion:触媒粒子=1.25:2となるように触媒粒子を混合し,次いでボールミルを用いて触媒粒子の分散を図り,空気極3および燃料極4用ペーストを調製した。このペーストを,Pt量が0.5mg/cm2 となるように各拡散層5,6の下地層上にスクリーン印刷によって塗布し,次いで60℃にて10分間の乾燥を行い,その後120℃にて減圧乾燥を行って空気極3および燃料極4を得た。電解質膜2の実施例(1)において,その一面に空気極3を介して一方の拡散層5を当て,また他面に燃料極4を介して他方の拡散層6を当てて,150℃,2.5MPa,1分間の条件でホットプレスを行い,電解質膜−電極集成体を得た。
【0041】
前記と同様の方法で,電解質膜2の基準例,実施例(2)〜(9)および比較例(1)〜(5)を用いて14種の電解質膜−電極集成体を製造した。
【0042】
c.電解質膜のイオン交換容量Ic,プロトン伝導度Pc,膜厚保持率Rtおよび含水率Wcの測定,ならびに燃料電池の発電電位の測定
イオン交換容量の測定に当っては滴定法を適用し,またプロトン伝導度Pcの測定に当っては,インピーダンスアナライザ(商品名:ソーラトロンSI 1260)を用い,恒温恒湿槽にて2端子法を適用した。
【0043】
膜厚保持率Rtの測定に当っては,次のような手段を採用した。即ち,温度135℃,湿度90%の環境において電解質膜2を面圧0.8MPaにて200時間放置するクリープテストを行い,次いで電解質膜2を切断して膜厚を顕微鏡にて測定し,その後テスト前の厚さをt1とし,またテスト後の厚さをt2として,膜厚保持率Rt=(t2/t1)×100(%)を算出した。
【0044】
含水率Wcの測定に当っては,次のような手段を採用した。即ち,電解質膜2を90℃の熱水に浸漬後,室温にてその電解質膜2の重量w1を測定し,次いで電解質膜2を真空状態にした110℃の温度環境に保持し,その後電解質膜2の重量w2を測定した。そして,水分量w3をw3=w1−w2として算出し,次いで含水率Wc=(w3/w1)×100(%)を算出した。
【0045】
燃料電池の発生電位の測定に当っては,各電解質膜−電極集成体を用いて燃料電池を組立て,各燃料電池について,アノードガス:純水素;カソードガス:空気;両ガスの圧力100kPa,利用率50%,相対温度50%;燃料電池の動作温度85℃;の条件下において,電流密度が0.2A/cm2 のときの電位(V)を求めた。
【0046】
d.測定結果
表3は,実施例(1)〜(9),比較例(1)〜(5)に関する層状ケイ酸塩粒子10の諸元,電解質膜2の各種測定値および燃料電池の発電電位をまとめたものである。表中,基準例は表1の例1,つまりPEEKスルホン化物のみからなる電解質膜であり,またPc指数は,基準例のプロトン伝導度Pcに対する実施例(1)等のプロトン伝導度Pcの上昇度合を示す。
【0047】
【表3】
Figure 0003966694
【0048】
図3は,表3に基づいて,基準例,実施例(1)〜(5),(9),比較例(1)に関し,粒子含有量LとPc指数との関係をグラフ化したものである。表3および図3から明らかなように,粒子含有量LをL≦10wt%に設定することによって基準例よりもプロトン伝導度Pcを上昇させることができる。
【0049】
図4は,表3に基づいて,基準例,実施例(1)〜(5),(9),比較例(1)に関し,粒子含有量Lと膜厚保持率Rtとの関係をグラフ化したものである。表3,図4から明らかなように,層状ケイ酸塩粒子10を含有させると,それを含有しない基準例よりも高温強度を向上させることができる。
【0050】
図5は,表3に基づいて,基準例,実施例(1)〜(5),(9),比較例(1)に関し,粒子含有量Lと含水率Wcとの関係をグラフ化したものである。表3,図5から明らかなように,層状ケイ酸塩粒子10を含有させると,それを含有しない基準例よりも含水率Wcを上昇させることができる。
【0051】
図6は,表3に基づいて,基準例,粒子含有量LがL=6wt%である実施例(4),(6)〜(8)および比較例(2),(4),(5)に関し,層状ケイ酸塩粒子10のイオン交換容量Icと電解質膜2のイオン交換容量Icとの関係をグラフ化したものである。表3,図6から明らかなように,イオン交換処理された層状ケイ酸塩粒子10を用いた実施例(4),(6)〜(8)は,酸処理無しの層状ケイ酸塩粒子10を用いた比較例(2),(4),(5)よりもイオン交換容量が上昇していることが判る。これによりイオン交換処理の有意性が明らかである。この酸処理による効果を得るためには層状ケイ酸塩粒子10のイオン交換容量IcはIc≧0.5meq/gであることが必要である。
【0052】
また表3において,実施例(4)と比較例(3)とを比べると,電解質膜2の特性を向上させる上で,層状ケイ酸塩粒子10の粒径dをd≦2μmに設定することの必要性が明らかである。
【0053】
表3より,前記のような特性を有する電解質膜の実施例(1)〜(9)を用いた燃料電池は,基準例および比較例(1)〜(5)を用いたものよりも優れた発電性能を有することが明らかである。前記燃料電池運転条件において,特に,純水素および空気の相対湿度を50%に設定した,ということは乾燥状態で発電を行う,ということを意味し,このような条件下で前記のように優れた発電性能を得ることができるのは電解質膜2が高温下において,なお十分な保水性を有する,ということに起因する。
【0054】
〔第II例〕
a.電解質膜の製造
<例−1>
粒径dがd≦2μmで,且つイオン交換容量IcがIc=1.09meq/gのモンモリロナイト粒子10の集合体を,0.1N塩酸に浸漬してイオン交換処理を行った。この場合,モンモリロナイト粒子10の層間Naイオンがプロトンとイオン交換される。
【0055】
芳香族炭化水素系高分子イオン交換成分として,表1の例1(PEEKスルホン化物)を用意し,これを表2のNMPに還流溶解した。この溶液における高分子イオン交換成分の含有量は10wt%である。
【0056】
この高分子イオン交換成分含有溶液に,イオン交換処理後のモンモリロナイト粒子10を,その含有量Lが,電解質膜2においてL=6wt%となるように添加して膜成形材料を調製した。この膜成形材料を用いて,厚さ50μmの電解質膜2を成形した。この電解質膜2を実施例(10)とする。
【0057】
<例−2>
イオン交換容量IcがIc=1.07meq/gのモンモリロナイト粒子10を用いた,ということ以外は,例−1と同様の方法で,実施例(10)と同一厚さの電解質膜2を成形した。この電解質膜2を実施例(11)とする。
【0058】
<例−3>
イオン交換容量IcがIc=0.91meq/gのモンモリロナイト粒子10を用いた,ということ以外は,例−1と同様の方法で,実施例(10)と同一厚さの電解質膜2を成形した。この電解質膜2を実施例(12)とする。
【0059】
<例−4> イオン交換容量IcがIc=0.71meq/gのサポナイト粒子10を用いた,ということ以外は,例−1と同様の方法で,実施例(10)と同一厚さの電解質膜2を成形した。この電解質膜2を実施例(13)とする。
【0060】
<例−5> イオン交換容量IcがIc=0.50meq/gのヘクトライト粒子10を用いた,ということ以外は,例−1と同様の方法で,実施例(10)と同一厚さの電解質膜2を成形した。この電解質膜2を実施例(14)とする。
【0061】
<例−6> イオン交換容量IcがIc=1.00meq/gのヘクトライト粒子10を用いた,ということ以外は,例−1と同様の方法で,実施例(10)と同一厚さの電解質膜2を成形した。この電解質膜2を実施例(15)とする。
【0062】
<例−7>
イオン交換容量IcがIc=0.54meq/gのスチ−ブンサイト粒子10を用いた,ということ以外は,例−1と同様の方法で,実施例(10)と同一厚さの電解質膜2を成形した。この電解質膜2を実施例(16)とする。
【0063】
<例−8>
イオン交換容量IcがIc=1.25meq/gのバーミキュライト粒子10を用いた,ということ以外は,例−1と同様の方法で,実施例(10)と同一厚さの電解質膜2を成形した。この電解質膜2を実施例(17)とする。
【0064】
<例−9> イオン交換容量IcがIc=1.20meq/gのフッ素四ケイ素雲母粒子10を用いた,ということ以外は,例−1と同様の方法で,実施例(10)と同一厚さの電解質膜2を成形した。この電解質膜2を実施例(18)とする。
【0065】
<例−10> イオン交換容量IcがIc=0.60meq/gのフッ素四ケイ素雲母粒子10を用いた,ということ以外は,例−1と同様の方法で,実施例(10)と同一厚さの電解質膜2を成形した。この電解質膜2を実施例(19)とする。
【0066】
<例−11> イオン交換容量IcがIc=0.06meq/gのカオリナイト粒子10を用いた,ということ以外は,例−1と同様の方法で,実施例(10)と同一厚さの電解質膜2を成形した。この電解質膜2を比較例(6)とする。
【0067】
<例−12>
イオン交換容量IcがIc=0.20meq/gのハロイサイト粒子10を用いた,ということ以外は,例−1と同様の方法で,実施例(10)と同一厚さの電解質膜2を成形した。この電解質膜2を比較例(7)とする。
【0068】
<例−13>
イオン交換容量IcがIc=0.05meq/gのクロライト粒子10を用いた,ということ以外は,例−1と同様の方法で,実施例(10)と同一厚さの電解質膜2を成形した。この電解質膜2を比較例(8)とする。
【0069】
<例−14>
イオン交換容量IcがIc=0.12meq/gのイライト粒子10を用いた,ということ以外は,例−1と同様の方法で,実施例(10)と同一厚さの電解質膜2を成形した。この電解質膜2を比較例(9)とする。
【0070】
b.電解質膜−電極集成体の製造
電解質膜2の実施例(10)〜(19)および比較例(6)〜(9)を用い,第I例と同様の方法で14種の電解質膜−電極集成体を製造した。
【0071】
c.電解質膜のイオン交換容量Ic,プロトン伝導度Pcおよび脱水温度上昇値ΔTの測定,ならびに燃料電池の発電電位の測定
これらイオン交換容量,プロトン伝導度Pcおよび発電電位の測定を第I例と同様の方法で行った。
【0072】
脱水温度上昇値ΔTの測定に当っては次のような手段を採用した。先ず,試料の調製として,表3の電解質膜2の基準例,実施例(10)〜(19)および比較例(6)〜(9)に,50℃,12時間の真空乾燥処理を施した。次いで,基準例および実施例(10)の両試料を示差走査熱量装置(DSC,セイコー電子社製)に設置し,昇温速度5℃/minにて,脱水に伴う最大熱量発生時における,基準例の試料に関する温度T1と,実施例(10)の試料に関する温度T2を求め,その後,T2−T1=ΔTを算出して,このΔTを実施例(10)の脱水温度上昇値とした。同様の測定を実施例(11)〜(19)および比較例(6)〜(9)についても行った。
【0073】
d.測定結果
表4は,実施例(10)〜(19),比較例(6)〜(9)に関する層状ケイ酸塩粒子10の諸元,電解質膜2の各種測定値および燃料電池の発電電位をまとめたものである。
【0074】
【表4】
Figure 0003966694
【0075】
表4から明らかなように,実施例(10)〜(19)は,脱水温度上昇値ΔTが高く,したがって燃料電池の動作温度85℃において優れた保水性を発揮するもので,高いプロトン伝導度を有することと相俟って,燃料電池の発電性能向上に寄与していることが判る。
【0076】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば,優れた高温強度を有し,また固体高分子型燃料電池の発電性能を向上させることが可能な電解質膜を提供することができる。
【0077】
また層状ケイ酸塩粒子は,粒径dが0.001μm≦d≦2μmであり,且つイオン交換容量Icが0.5meq/g≦Ic≦2.0meq/gであり,且つまたその粒子含有量LがL≦10wt%であるので,電解質膜において,高温強度およびプロトン伝導度の向上を容易,且つ確実に達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】固体高分子型燃料電池の概略側面図である。
【図2】電解質膜の要部拡大断面図である。
【図3】粒子含有量LとPc指数との関係を示すグラフである。
【図4】粒子含有量Lと膜厚保持率Rtとの関係を示すグラフである。
【図5】粒子含有量Lと含水率Wcとの関係を示すグラフである。
【図6】層状ケイ酸塩粒子のイオン交換容量Icと電解質膜のイオン交換容量Icとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
2……………電解質膜
9……………膜主体
10…………層状ケイ酸塩粒子

Claims (1)

  1. 高分子イオン交換成分よりなる膜主体(9)と,その膜主体(9)に分散し,且つ金属イオンをプロトンとイオン交換させる処理を施された複数の層状ケイ酸塩粒子(10)とを有していて,プロトン伝導度PcがPc>0.05S/cmである固体高分子型燃料電池の電解質膜であって,
    前記層状ケイ酸塩粒子(10)は,粒径dが0.001μm≦d≦2μmであり,且つイオン交換容量Icが0.5meq/g≦Ic≦2.0meq/gであり,且つまたその粒子含有量LがL≦10wt%であることを特徴とする,固体高分子型燃料電池の電解質膜。
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