JP3965615B2 - プロセス制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プロセスの将来の状態を予測し、その予測結果に基づいて操作量を決定してプロセスを制御するプロセス制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
プロセスの応答特性として応答時間遅れが大きい系がある。例えば火力発電プラントでは、燃料投入量に変更を加えてから主蒸気温度が変化するまでの時間が長く、その時定数は数分〜20分程度である。このような応答時間遅れが大きい系の制御では、一般的な制御手法であるフィードバック制御を用いても、制御すべきプロセス量を十分に制御することが難しいという問題がある。
この問題を解決する手段として、将来のプロセス量の状態を事前に予測し、その予測値に基づいて操作量を決定する予測制御方法がある。このような予測制御方法には、例えば以下の文献に開示された従来技術がある。
(1)特開平9−274507号公報、(2)特開平11−085214号公報、(3)特開平11−007307号公報
上記公報(1)には、物理式に基づく複数の集中定数化モデルと無駄時間モデルによりプロセスモデルを構成して入力変数を状態観測器により推定し、プロセス量の将来値を計算する方法が述べられている。上記公報(2)には、制御対象のプロセスの無駄時間を無視したモデルを構成し、このモデルにフィードフォワード信号を入力してプロセス量の将来値を計算する方法が述べられている。上記公報(3)には、状態観測器で得られたプロセス量の現在値と未来の外乱量とをモデル予測器に入力し、プロセス量の将来値を計算する方法が述べられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、応答時間遅れの大きいプロセスの将来値を予測制御する場合、このプロセス量を予測制御することによって他のプロセス量の制御性能が低下したり、他のプロセス量の変動範囲が計画値から逸脱する場合がある。これは、複数のプロセス量が相互に干渉し、一方のプロセス量を制御するために投入した操作量が他のプロセス量に影響を与えることが原因である。例えば、応答時間遅れの大きいプロセスの過渡応答特性を改善するために、操作量を一時的かつ急激に増量あるいは減量した結果、この操作量に対して応答時間の小さい他のプロセス量が操作量の急激な変動に伴って変化する。プロセス量の相互干渉はプラントの規模、プロセス量の数が増加するにつれて顕著となる傾向がある。
これに対して、上記公報(1)〜(3)には、制御対象とすべきプロセス量(制御量)の将来値の計算手段あるいは将来値の予測精度を向上させるための調整手段は記載されているが、応答時間遅れの大きいプロセス量を制御する場合の具体的な手段に関しては記載されていない。また、複数のプロセス量、特に相互干渉の見られるプロセス量を制御する手段についても記載されていない。これは、予測時間は数秒から数分であり、操作量は応答時間が小さく、かつ、他のプロセス量と独立に制御可能なプロセス量を制御することを仮定しているためである。
例えば、火力発電プラントでは、蒸気タービンに流入する蒸気の温度(主蒸気温度)を制御するための操作量として燃料流量や蒸気温度減温器のスプレ水流量などがある。このとき、主蒸気温度の応答波形を周波数分析などによって解析すると、5秒から1分周期での温度変化はスプレ水の流量に起因するが、数分から20分周期の温度変化は燃料流量に起因しており、主蒸気温度における長周期の変動は燃料流量によって制御される必要がある。一方、蒸気タービンに流入する蒸気の圧力(主蒸気圧力)を制御するための操作量としては、ボイラへの給水流量などがある。主蒸気圧力はきわめて応答が早く、数十秒から1分程度の圧力の変化を給水流量で制御している。
このとき、予測時間が数秒から数分と短く、かつ、干渉のない独立したプロセス量を制御することを仮定した上記公報記載の技術では、数分から20分周期で温度が変化する主蒸気温度の応答特性を予測するのは難しい。また、主蒸気温度の将来値を燃料流量制御に用いた場合にも、燃料流量に対する主蒸気温度の応答遅れを補償するため、燃料流量は急激に増量あるいは減量する波形となる。しかしながら、主蒸気温度と主蒸気圧力はプラント内においてほぼ同位置で計測されており、蒸気の温度と圧力は相互干渉の関係にある。燃料流量の急激な増量、減量は主蒸気温度の変動に加えて主蒸気圧力の変動をも引き起こし、結果としてプラント全体の制御性能は低下する。
【0004】
本発明の課題は、応答時間遅れが数分から20分と長く、かつ、相互に干渉する複数のプロセス量を精度良く制御するに好適なプロセス制御装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、プラントの模擬手段と、制御手段の模擬手段と、相互に干渉する少なくとも二個以上のプロセスの応答時間遅れの大きい制御量を独立に制御するための非干渉制御手段と、プラントの模擬手段が出力するプロセスの応答遅れ時間の短い制御量に対する予測値を短期予測値として出力する短期予測値選択手段とからなる予測制御手段を設け、両模擬手段によって相互に干渉する少なくとも二個以上の前記プロセスの応答時間遅れの大きい制御量を予測し、予測した制御量から非干渉制御手段によって相互に非干渉に先行制御するための少なくとも二個以上の操作量の先行制御指令を計算し、制御手段に出力すると共に、短期予測値選択手段の出力する短期予測値を制御手段に出力する
また、線形化されたプラント模擬手段と、線形化された制御手段模擬手段と、プロセスの応答時間遅れの大きい相互に干渉する複数の制御量を最適に操作するための操作量を計算する操作量最適化手段と、プラントの模擬手段が出力するプロセスの応答遅れ時間の短い制御量に対する予測値を短期予測値として出力する短期予測値選択手段とからなる予測制御手段を設け、予測時には、両模擬手段の伝達関数から少なくとも二個以上のプロセスの応答時間遅れの大きい制御量が制御目標範囲内となるように操作量最適化手段によって最適操作量を算定し、制御時において最適操作量と制御手段の運用実績である操作量との差から少なくとも二個以上の操作量の先行制御指令を決定し、制御手段に出力すると共に、短期予測値選択手段の出力する短期予測値を制御手段に出力する
また、プラントの模擬手段と、プロセス制御装置の模擬手段と、相互に干渉する少なくとも二個以上のプロセスの応答時間遅れの大きい制御量を独立に制御するための非干渉制御手段と、プラントの模擬手段が出力するプロセスの応答遅れ時間の短い制御量に対する予測値を短期予測値として出力する短期予測値選択手段とからなる予測制御手段を設け、両模擬手段によって相互に干渉する少なくとも二個以上のプロセスの応答時間遅れの大きい制御量の時系列データを予測し、応答時間遅れの大きい制御量の時系列データに基づき、非干渉制御手段によって相互に非干渉に先行制御するための該制御量に対するそれぞれの操作量の制御指令値を計算し、制御手段に出力すると共に、短期予測値選択手段の出力する短期予測値を制御手段に出力する
また、プラントの模擬手段と、プロセス制御装置の模擬手段と、プロセスの応答時間遅れの大きい相互に干渉する複数の制御量を最適に操作するための操作量を計算する操作量最適化手段と、プラントの模擬手段が出力するプロセスの応答遅れ時間の短い制御量に対する予測値を短期予測値として出力する短期予測値選択手段とからなる予測制御手段を設け、両模擬手段及び操作量最適化手段によって相互に干渉する少なくとも二個以上のプロセスの時系列データを予測し、操作量の時系列データと、プロセス制御装置の操作量との差から少なくとも二個以上の操作量の制御指令値を計算し、制御手段に出力すると共に、短期予測値選択手段の出力する短期予測値を制御手段に出力する
また、火力発電プラントの発電出力、蒸気温度及び蒸気圧力の過度応答特性を模擬するプラント模擬手段と、制御装置のタービン加減弁開度指令、燃料流量指令及び給水流量指令の過度応答特性を模擬する制御装置模擬手段と、相互に干渉する応答時間遅れの大きい蒸気温度と蒸気圧力を独立に制御するための非干渉制御手段と、プラント模擬手段が出力する応答遅れ時間の短い蒸気温度と蒸気圧力に対する予測値を短期予測値として出力する短期予測値選択手段とからなる予測制御手段を設け、両模擬手段によって蒸気温度と蒸気圧力の時系列データを予測し、蒸気温度及び蒸気圧力の時系列データに基づき、非干渉制御手段によって相互に非干渉に先行制御するための燃料流量及び給水流量の制御指令値を計算し、制御手段に出力すると共に、短期予測値選択手段の出力する短期予測値を制御手 段に出力する
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
本発明の実施形態では、本発明を火力発電プラントの蒸気温度予測制御に適用した例について述べる。
図2に、対象とする石炭焚き火力発電プラント100の基本構成を示す。石炭焚き火力発電プラント100においては、ボイラ150で燃料と空気をバーナー160に供給して燃焼させ、給水ポンプ140により循環する供給水を火炉水壁152で蒸発させる。さらに過熱器154で昇温して過熱状態となった蒸気はタービン加減弁121を介して高圧タービン130に導かれて高圧タービン130を駆動する。高圧タービンを通過した蒸気は再熱器156で再び昇温されて低圧タービン120に入る。高圧タービン130及び低圧タービン120の回転により発電機110で電力を発生させる。
以降、高圧タービン130入口の蒸気を主蒸気、低圧タービン120入口の蒸気を再熱蒸気と称する。主蒸気及び再熱蒸気の温度を制御する目的で過熱器154と再熱器156の入口に過熱器減温器154aと再熱器減温器156aがある。減温器154a,156aには給水ポンプ140通過後の低温の水が導かれ、減温器スプレ水量調節弁154b及び156bをそれぞれ介して高温の蒸気中に注入する。再熱器減温器156aは非常用であり、再熱蒸気温度が設定値を超えた場合にのみ作動する。
なお、図2ではボイラ内の過熱器、再熱器をそれぞれ一台とする構成としたが、過熱器、再熱器を複数台設置し、熱効率の向上を図っているボイラでは、複数の熱交換器の間に減温器を設置し、熱交換器毎に蒸気温度を制御する。また、ボイラ150には燃焼ガスを再循環させるためのガス再循環ファン142が設けられ、これも蒸気温度を制御する手段の一つとなっている。また、プラントによっては、過熱器と再熱器との間に隔壁を設けてガスの流路を二分し、それぞれのガス流量の配分を調整するガス分配ダンパが設けられる場合もある。この場合は、ガス分配ダンパも蒸気温度の制御手段となる。また、火力発電プラントには、上記構成機器の他にもタービンを駆動後の蒸気を冷却水126により冷却する復水器125や燃焼排ガス処理装置170などの機器もある。排ガス処理装置170を通過したガスは通風器144を介して煙突175から大気へ放出される。
【0007】
火力発電プラント100の運転状態は、発電機出力測定器111、主蒸気温度(過熱器出口蒸気温度)測定器122、過熱器入口蒸気温度測定器127、スプレ水温度測定器128、主蒸気圧力測定器123、再熱蒸気(再熱器出口蒸気温度)温度測定器124、再熱器入口蒸気温度測定器124a等のデータ測定装置で計測され、運転制御装置300へ伝送される。プラント100には、この他にも種々のプロセス量を計測するための測定器が取り付けられ、それらによる計測値も運転制御装置300で取込んでいる。ここでは、それらの詳細な説明は省略する。
運転制御装置300は、これらのプロセスデータを基にしてプラントの運転状態を把握し、プラントが望ましい状態になるように燃料流量調節弁162、空気流量調節弁161、タービン加減弁121、給水ポンプ140などの機器を制御する。
【0008】
一般に、火力発電プラントでは、蒸気温度のようにプロセス量の応答時間が比較的長い制御量を制御するのは一般に難しいとされ、先行的に制御指令を投入したり、予測制御装置を介して制御量の将来値を予測することにより応答を改善している。しかしながら、蒸気温度と蒸気圧力は相互に干渉する制御量であり、複数の制御量を制御する場合、先に述べた先行制御指令や将来値に干渉による補正を加える必要があった。
そこで、本実施形態では、主蒸気温度及び主蒸気圧力の制御に本発明の特徴である予測制御方式及び非干渉制御方式を適用する。
予測制御の目的は、時定数が大きく、応答が遅いプロセス量、特に圧力と温度など相互に干渉するプロセス量に対してその将来の挙動を予測し、先行的に操作量を決定して制御精度を向上させることにある。
【0009】
図3は、本発明のプロセス制御装置の一実施形態であり、プロセス制御装置を構成する運転制御装置300の機能構成を示す。運転制御装置300は、マスタ制御部370とそれに基づくサブループ制御部390とで構成される。マスタ制御部370は、通常制御コントローラ(ユニットマスタ、主蒸気圧力、酸素濃度、火炉圧力)375と本発明を適用している予測制御コントローラ(蒸気温度予測)380とに分ける。マスタ制御部370では、負荷指令信号に基づく各種操作量指令信号を作成し、その値に蒸気温度、蒸気圧力、ガスO2濃度などの測定値に基づく補正を加えて操作量を決定する。
サブループ制御部390には、タービン制御コントローラ391、給水ポンプコントローラ392、燃料流量調節弁コントローラ393、押込みファンコントローラ394、誘引ファンコントローラ395、スプレ流量コントローラ396、ガス再循環流量コントローラ397がある。
これらのコントローラは互いに信号伝送ネットワーク400に接続され、信号の授受が可能である。サブループ制御部390の各コントローラからの出力は、プラント100の各アクチュエータ101に送られ、機器を操作する。
【0010】
また、運転制御装置300は、図4に示すハードウエア構成からなる。運転制御装置300には、外部入力インターフェイス301、出力インターフェイス302を介して信号伝送ネットワーク400が接続される。受信した信号を必要に応じて記憶装置303にストアーしながら、演算処理装置304によって各種指令信号を演算・生成する。指令信号は出力インターフェイス302を介して制御対象へ送られる。
また、外部入力インターフェイス301にはキーボード930とマウス940とからなる外部入力装置900及びデータ記憶装置500が接続される。また、出力インターフェイス302には画像表示装置910と磁気ディスク装置950が接続され、運転員とのインターフェイスとして機能する。
【0011】
図1は、本実施形態のマスタ制御部370の構成を示す。図1において、通常制御コントローラ375は、先に示した主蒸気温度、再熱蒸気温度などの制御すべきプロセス量(制御量)をプラント100から入力し、プラント100に燃料流量調節弁開度指令、過熱器減温器開度指令などの操作すべきプロセス量(操作量)を出力する。図1ではこれらの入力を信号の授受の関係として示している。予測制御コントローラ380は、プラント100の運転目標として目標値v(t)を入力し、通常制御コントローラ375に少なくとも2つ以上の先行制御指令Vi及び短期予測値Wを出力する。なお、火力発電プラントにおいて、目標値v(t)は中央給電指令所(中給)からの出力指令あるいは出力指令に平滑化などの演算処理を施したものに相当する。
先行制御指令Viは、プラント100において少なくとも1つの応答遅れ時間の大きい制御量と、この制御量と相互干渉する制御量とを先行制御を用いて同時に制御するものである。本実施形態では、応答遅れ時間の大きい制御量として主蒸気温度を選択し、主蒸気温度の先行制御指令をボイラ内で燃焼する燃料の流量(燃料流量)への先行指令(燃料BIR)とする。また、主蒸気温度と相互干渉する制御量として主蒸気圧力を選択し、主蒸気圧力の先行制御指令をボイラへの供給水(給水流量)への先行指令(給水BIR)とする。
【0012】
給水BIR及び燃料BIRの通常制御コントローラ375における利用形態を以下に説明する。
ボイラ負荷制御手段376は、目標値v(t)と主蒸気圧力の計測値を入力し、ボイラ負荷指令(BID)(Boiler Input Demand)を算定する。また、BIDは給水指令の基準値に換算され、先に演算した給水BIRと加算されて給水流量指令とする。給水ポンプコントローラ392は、給水流量が給水流量指令に一致するよう給水ポンプ140を駆動する。
燃料流量制御手段377は、BIDと主蒸気温度を入力し、燃料流量基準値(FRD)(Fuel Rate Demand)を算定する。FRDは燃料流量の基準値に換算され、先に算定した燃料BIRと加算されて燃料流量指令とする。燃料流量調節弁コントローラ393は、燃料流量が燃料流量指令に一致するよう燃料流量調節弁162を開閉する。
短期予測値Wは、プラント100において応答遅れが5秒〜1分程度の制御量であり、通常制御コントローラ375が短期予測値Wを用いて先行的に操作量を制御することでプラントの応答性がさらに改善される制御量である。本実施形態では、過熱器出口における蒸気温度(主蒸気温度)に相当する。蒸気温度制御手段378は短期予測値W及びFRDを入力し、減温器スプレ水量指令を算定する。スプレ流量コントローラ396は、スプレ水量が減温器スプレ水量指令に一致するよう減温器スプレ水量調節弁154b,156bを開閉する。
【0013】
次に、予測制御コントローラ380の構成を説明する。予測制御コントローラ380は、通常制御コントローラ375及びプラント100の定常特性及び過渡応答特性を模擬するとともに、予測値Yi(j)、目標値予測値Ydi(j)を用いて先行制御指令Vi及び短期予測値Wを出力する予測制御手段210と、予測制御手段の動作時間を決定する予測時間算定手段240と、先行制御指令Viを蓄積するバッファ250からなる。
また、予測制御手段210は、プラント100を模擬するプラント模擬手段211と、通常制御コントローラ375を模擬する制御装置模擬手段212と、予測値Yi(j)及び目標値予測値Ydi(j)から先行制御指令Vi及び短期予測値Wを算定する非干渉制御手段220とからなる。
プラント模擬手段211は、プラント100が目標値v(t)に対して非線型な特性を持つことから、質量保存の式、熱収支式など物理現象に即した連立微分方程式を用いて構成する。また、制御装置模擬手段212は、通常制御コントローラ375と同様の回路あるいは通常制御コントローラ375と等価な回路とすることによって通常制御コントローラ375の応答を模擬する構成とする。予測制御手段210は、目標値v(t)を入力し、プラント模擬手段211、制御装置模擬手段212を繰り返し実行する。これにより、プラント模擬手段211は予測値Yを、制御装置模擬手段212は目標値予測値Ydを算定する。また、非干渉制御手段220は、予測値Y及び目標値予測値Ydを入力し、先行制御指令Viを算定する。予測制御手段210は繰り返し実行されるため、先行制御指令Viは時系列のデータとなる。そこで、本実施形態では、先行制御指令Viの時系列データをデータバッファ250に一時記憶する。
予測制御手段210の繰り返し実行回数は、予測時間算定手段240で算定した予測時間Teによって決定する。ここで、予測時間算定手段240は、目標値v(t)を入力し、目標値v(t)の変化率から予測値の予測時間Teを計算する。そのため、予測制御手段210の予測時間Teは目標値v(t)によって可変となる。繰り返し回数をNeとすると、繰り返し実行回数は次式によって与えられる。
【数1】
Figure 0003965615
ここで、Δt:コントローラ計算刻み時間
【0014】
次に、非干渉制御手段220を構成する非干渉制御方式について説明する。
本実施形態では、給水流量及び燃料流量(操作量)が主蒸気圧力及び主蒸気温度(制御量)に対して干渉系となっていることから、給水流量が主蒸気圧力、燃料流量が主蒸気温度を直接操作できるよう非干渉制御系を構築する。
燃料BIR及び給水BIRを入力とし、主蒸気圧力及び主蒸気温度を出力とするプラントモデルの伝達関数をGと仮定すると、非干渉制御器Hを導入したプラントモデルは(数2)でモデル化できる。
【数2】
Figure 0003965615
ここで、G:プラント伝達関数、H:非干渉制御器、ΔY1:主蒸気圧力の制御偏差、ΔY2:主蒸気温度の制御偏差、V1:給水BIR、V2:燃料BIR
このとき、プラントモデルの伝達関数Gは、実機試運転時における操作量ステップ変化試験などの感度解析結果から推定する。本実施形態においてΔY1はV1によってのみ制御可能、ΔY2はV2によってのみ制御可能とする場合には、(数2)の入力と出力が一致するよう非干渉制御器Hを構築する。
【数3】
Figure 0003965615
両辺を項別比較すると、非干渉制御器Hの要素として(数4)から(数7)が得られる。
【数4】
Figure 0003965615
【数5】
Figure 0003965615
【数6】
Figure 0003965615
【数7】
Figure 0003965615
このとき、(数4)は図1の非干渉制御器223aに、(数5)は非干渉制御器223dに、(数6)は非干渉制御器223bに、(数7)は非干渉制御器223cに相当する。
(数4)から(数7)に示した非干渉制御器によってΔY1とΔY2はそれぞれV1とV2によって独立に制御可能となる。また、ΔY1はV1に、ΔY2はV2に一致する。そのため、ΔY1及びΔY2を(数8)と決め、(数4)から(数7)に示した非干渉演算器にΔY1及びΔY2を入力することにより、将来における制御量のY1,Y2の制御偏差を先行制御指令V1及びV2で制御可能となる。
【数8】
Figure 0003965615
短期予測値選択手段224は、予測制御手段210を繰り返し実行する際に、任意時刻における予測値Yiを短期予測値Wとして出力する。主蒸気温度を制御する場合には、予測値として1〜3分程度先の予測値を出力するか、制御量の時定数や無駄時間を考慮して時刻を調整してもよい。
【0015】
次に、予測時間算定手段240について述べる。予測時間算定手段240は、目標値v(t)を入力して予測時間Teを決定するが、本実施形態では、予測時間Teによって予測制御手段210を2種類の運用方法で運用するものとした。
第1の運用方法では、予測時間を10〜20分程度に設定し、主蒸気圧力及び主蒸気温度を最適制御するための先行制御指令Vと、スプレを用いて主蒸気温度を制御するための短期予測値Wを求める。この運用方法を本実施形態では長期予測モードと呼ぶ。長期予測モードでは、先行制御指令Vの時系列データをデータバッファ250に保存する。通常制御コントローラ375は、短期予測値Wとデータバッファ250に記録された先行制御指令Vとを入力してプラントを制御する。本実施形態では、プラントの目標値v(t)が定常状態から負荷変化開始状態に遷移した際に予測制御手段210を長期予測モードとする。
第2の運用方法は、予測時間を1〜3分程度に設定し、短期予測値Wのみを算定する。この運用方法を本実施形態では短期予測モードと称する。短期予測モードでは、通常制御コントローラ375は、短期予測値Wと長期予測モードにてデータバッファ250に記録された先行制御指令Vとを入力してプラントを制御する。本実施形態は、プラントの目標値が定常状態あるいは変化中の場合に予測制御手段210を短期予測モードとする。
【0016】
図5に、本実施形態の予測制御コントローラ380(図1)のフローチャートを示す。
予測制御コントローラ380では、処理240にて、最初に予測時間算定手段240により目標値v(t)から目標値変化率を計算し、予測時間Te及び予測モードを決定する。次に、処理251にて、(数1)を用いて予測時間から繰り返し回数Neを求め、以下処理251から処理255までをNe回繰り返す。
次に、制御装置模擬手段212を実行し、予測値目標値Ydiを計算する。次に、プラント模擬手段211を実行し、予測値Yiを計算する。次に、処理252にて、現在の予測制御コントローラ380の動作モードが長期予測モードであるかどうかを判定する。長期予測モードである場合には非干渉制御手段220を実行し、得られた先行制御指令Viを処理253にてデータバッファ250に出力する。また、長期予測モードでない場合には短期予測値選択手段224を実行し、短期予測値Wを出力する。
繰り返し回数がNe回となった場合には、処理256にてデータバッファ250内の先行制御指令値Viを出力する。繰り返し回数がNe回未満の場合には、処理251に戻って繰り返し計算を継続する。
【0017】
本実施形態の予測制御コントローラ380(図1)を火力発電プラントの予測制御に適用した結果を図6から図10に示す。
図6及び図7に、通常制御コントローラ375による主蒸気圧力及び主蒸気温度の制御結果を示す。負荷指令(目標値)600の変動により、主蒸気圧力制御偏差601及び主蒸気温度制御偏差602は変動し、特に、主蒸気温度制御偏差602は負荷変化時に一旦上昇した後、大きく低下する。
そこで、本実施形態を主蒸気圧力制御偏差及び主蒸気温度制御偏差の制御性改善に適用する。
図8及び図9に、予測制御コントローラ380による主蒸気圧力及び主蒸気温度の制御結果を示す。先に示したアルゴリズムに従い、予測制御コントローラ380は負荷指令620上昇時に制御装置模擬手段212及びプラント模擬手段211を実行し、区間625における主蒸気圧力、主蒸気温度、主蒸気圧力目標値、主蒸気温度目標値をそれぞれ予測する。非干渉制御手段220は主蒸気圧力と主蒸気圧力目標値とから主蒸気圧力制御偏差を、主蒸気温度と主蒸気温度目標値とから主蒸気温度制御偏差をそれぞれ算定し、非干渉制御器223a、223b、223c及び223dを用いて給水流量の先行制御指令値621及び燃料流量の先行制御指令値622を算定する。
給水流量の先行制御指令値621及び燃料流量の先行制御指令値622を通常制御コントローラ375の先行制御指令値として適用した結果、主蒸気圧力制御偏差623及び主蒸気温度制御偏差624は、先に示した主蒸気圧力制御偏差601及び主蒸気温度制御偏差602に比べて減少し、主蒸気圧力、主蒸気温度双方の制御性が改善している。
図10に、図8及び図9の制御結果に、短期予測値Wを併用した結果を示す。短期予測値Wは、時定数が5秒〜数分といった短い期間における蒸気温度の変動を予測する。その結果、主蒸気温度の短時間における変動が抑制され、主蒸気温度制御偏差626は図9の結果(624)と比較してさらに制御性が改善している。
【0018】
図11は、本実施形態の他のマスタ制御部370の構成を示す。
火力発電プラント等に代表される大規模プラントは、プロセス量の数が多く、入力に対するプロセス量の応答が非線型の特性を示すという特徴がある。そのため、図1のマスタ制御部370では、プラント模擬手段を質量保存の式、熱収支式など物理現象に即した連立微分方程式を用いて構成し、制御装置模擬手段を通常制御コントローラと等価な回路で構成することにより、プラントの非線型特性を広範囲かつ高精度に模擬する構成とした。
これに対して、プラントの局所的な入力に対する応答を予測制御する場合や、プラントの応答が線形特性に近似可能な負荷帯を予測制御する場合、あるいは、プロセス量の数が比較的少ないプラントやプラントに含まれる構成機器を予測制御する場合には、プラント模擬手段及び制御装置模擬手段を線形特性と仮定することが可能である。図11は、プラント模擬手段及び制御装置模擬手段を線形特性で模擬した場合のマスタ制御部370の構成である。
図11において、予測制御コントローラ380は、通常制御コントローラ375及びプラント100の過渡応答を線形特性で模擬するとともに、プラント及び制御装置のモデルから最適操作量Xiを出力する予測制御手段270と、予測制御手段270の動作時間を決定する予測時間算定手段240と、最適操作量Xiを蓄積するバッファ250と、最適操作量Xiから先行制御指令V1,V2を算定する減算器266及び先行制御指令の変化率・上下限を制限する関数261及び262からなる。
また、予測制御手段270は、プラント100を模擬するプラント模擬手段271と、通常制御コントローラ375を模擬する制御装置模擬手段272と、プラント模擬手段271及び制御装置模擬手段272の伝達関数から最適な操作量を算定する操作量最適化手段260からなる。
プラント模擬手段271及び制御装置模擬手段272は、自己回帰移動平均モデルなどの統計的手法や、伝達関数を用いて構成する。操作量最適化手段260は、制御装置模擬手段272の伝達関数264及びプラント模擬手段271の伝達関数263を入力し、複数の制御すべきプロセス量の制御偏差が0となるような状態フィードバック係数265を算定する。
次に、制御装置模擬手段272及びプラント模擬手段271を繰り返し実行し、制御装置模擬手段272の最適操作量Xiをデータバッファ250に出力する。また、短期予測値Wを出力する。
制御装置模擬手段272及びプラント模擬手段271の実行回数は、予測時間算定手段240によって算定する。この動作は図1のマスタ制御部370と同様とする。
減算器266は、先に求めた操作量を通常制御コントローラ375に出力する際に、最適操作量Xiと通常制御コントローラ375で算定された制御指令との差を求め、先行制御指令基準値を作成する。また、変化率・上下限制限関数261及び262は、先に求めた先行制御指令基準値の変化率、上下限値が制御指令として運用可能な値域内となるよう先行制御指令基準値を修正して先行制御指令V1,V2とする。
【0019】
次に、操作量最適化手段260について説明する。線形モデルの操作量を最適化する手段としては種種の方式が提案されているが、一般的には評価関数を最小化するための制御入力をRiccati型行列方程式を解いて求める方式が一般的である。
ここで、線形化されたプラント模擬手段を行列A,線形化された制御装置模擬手段を行列Bと仮定すると、プラント及び制御装置は(数9)の多入出力システムとして立式できる。
【数9】
Figure 0003965615
ここで、Y:プラントのプロセス量、U:制御装置のプロセス量
このとき、評価関数Jを(数10)と定義する。
【数10】
Figure 0003965615
ここで、Q:非負定の対称行列、R:正定の対称行列
(数10)の評価値Jを最小にする最適フィードバック制御入力は、
【数11】
Figure 0003965615
ただし、Pは任意の対称行列で、(数12)に示すRiccati型行列方程式の唯一な正定値の解となる。
【数12】
Figure 0003965615
また、このときの状態フィードバック係数Kは(数13)で与えられる。
【数13】
Figure 0003965615
Riccati型行列方程式の解法に関しては種種の方式が提案されており、これら方式を任意に用いて解を求めれば良い。
【0020】
図12に、本実施形態の他の予測制御コントローラ380(図11)のフローチャートを示す。
予測制御コントローラ380では、処理240にて、最初に予測時間算定手段240により目標値v(t)から目標値変化率を計算し、予測時間Te及び予測モードを決定する。次に、処理260にて、(数12)を解いて状態フィードバック係数Kを求め、以下処理251から処理255までをNe回繰り返す。
次に、制御装置模擬手段272を実行する。次に、プラント模擬手段271を実行する。次に、処理252にて、現在の予測制御コントローラ380の動作モードが長期予測モードであるかどうかを判定する。長期予測モードである場合には操作量最適化手段260の計算結果である最適操作量をデータバッファ250に出力する。また、長期予測モードでない場合には短期予測値選択手段224を実行し、短期予測値Wを出力する。
繰り返し回数がNe回となった場合には、処理266にて、データバッファ250内の最適操作量と通常制御コントローラ375の現在の操作量指令値との差を計算する。繰り返し回数がNe回未満の場合には、処理251に戻って繰り返し計算を継続する。処理261にて、変化率・上下限制限関数を実行し、この結果を処理257にて先行制御指令値Viとして出力する。
【0021】
なお、本発明の実施形態では、主蒸気圧力及び主蒸気温度について非干渉制御を実施したが、再熱器出口蒸気温度など他のプロセス量に本発明の方式を適用しても良い。また、本発明では2入力2出力の非干渉制御についてその実施形態を示したが、プロセス量の入出力数を3入力3出力など多変数に拡張しても良い。
また、本発明の実施形態では、プラントモデルの伝達関数をプラント試運転時の感度解析結果から推定したが、プラント運用実績からプラントモデルの伝達関数を同定してもよい。
また、本発明の実施形態では、予測制御手段をプラント模擬手段と制御装置模擬手段と非干渉制御手段とから構成したが、プラント模擬手段が制御装置模擬手段を含む構成としてもよい。
また、本発明の実施形態では、予測時間算定手段の入力を目標値v(t)としたが、通常制御コントローラの任意のプロセス量あるいはプラントの任意のプロセス量を予測時間算定手段の入力としても良い。
また、本発明の実施形態では、先行制御指令に変化率・上下限制限関数などの補正を加えたが、位相補正、負荷補正などの非線型補正を加えても良い。
また、本発明の実施形態では、予測制御コントローラは、予測結果に基づく最適操作量を先行制御指令として出力するので、この出力を表示手段に表示することによってプラント調整員が予測制御コントローラの制御性を確認するようにしても良い。
また、本発明の実施形態では、先行制御指令を予測制御コントローラが出力したが、従来の先行制御指令発生手段と併用して、切替え、重み付けなどにより先行制御指令を計算しても良い。
また、本発明の実施形態では、本発明を火力発電プラントの主蒸気温度及び主蒸気圧力の予測制御に適用しているが、本発明は主蒸気温度及び主蒸気圧力の予測制御に限定されるものではなく、応答遅れ時間の長い制御量を有する多くのプラント制御方式にも対応できる。例えば、ガス循環ファンやガス分配ダンパによる再熱蒸気温度制御に本発明を適用することにより、再熱蒸気温度偏差を最小にすることができる。そのため、再熱器入口に設置した減温器スプレ水の投入量を最小とし、プラント効率を最大にすることが可能である。
また、本発明は、ボイラの蒸気温度制御だけでなく、他のプラントにも対応できる。例えば、石炭をガス化してガスタービン燃料を生成する石炭ガス化プラントにおける石炭ガスのガス組成の変動や、ゴミ燃焼によって得られた熱エネルギーで発電するゴミ発電プラントの蒸気温度変動なども応答遅れ時間の長い制御量であるが、本発明はこれらの制御にも適用できる。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、予測制御コントローラは、制御量の予測値と操作量の予測値とから応答遅れ時間が20分程度と長い制御量を予測し、非干渉制御手段は、制御量の予測値と操作量の予測値を用いて操作量の先行制御指令を決定するので、従来は制御が困難であった応答遅れ時間の長い制御量を安定に制御することができる。
また、予測制御コントローラは、プラントを模擬するプラント模擬手段と、制御装置を模擬する制御装置模擬手段とを組み合わせてプロセス量を予測するので、複雑かつ高精度な過度応答を予測可能とすることができる。
また、予測制御コントローラは、複数のプロセス量を予測し、非干渉制御によって操作量の先行制御指令を決定するので、プロセス量の干渉を最小限に抑えることが可能である。
また、予測制御コントローラは予測時間計算手段を備え、予測制御手段の予測時間の予測時間を運転目標値(指令)の変化率によって可変とするので、それぞれの制御対象に対して最適な予測値を計算することができる。
また、予測制御コントローラは、干渉する複数のプロセス量に対する先行制御指令を出力する一方で、短期予測値選択手段において応答遅れ時間の短い複数の制御量に対する予測値を出力するので、各操作量の制御性能を十分に活かしてプラントを安定かつ効率的に運用することができる。
また、予測制御コントローラは、予測結果に基づく最適操作量を先行制御指令として出力するので、プラント調整員が予測制御コントローラの制御性を確認する際に、先行制御指令に基づく操作量の妥当性を容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のマスタ制御部の構成図
【図2】 火力発電プラントの基本構成図
【図3】 本発明のプロセス制御装置の一実施形態であり、プロセス制御装置を構成する運転制御装置の機能構成図
【図4】 本発明の運転制御装置のハードウエア構成図
【図5】 本発明のマスタ制御部の計算手順を表すフローチャート
【図6】 通常制御コントローラによるプラントの制御結果を示す説明図
【図7】 通常制御コントローラによるプラントの制御結果を示す説明図
【図8】 本発明によるプラントの制御結果を表す説明図
【図9】 本発明によるプラントの制御結果を表す説明図
【図10】 本発明によるプラントの制御結果を表す説明図
【図11】 本発明の他のマスタ制御部の構成図
【図12】 本発明の他のマスタ制御部の計算手順を表すフローチャート
【符号の説明】
100…石炭焚き火力発電プラント、210…予測制御手段、211…プラント模擬手段、212…制御装置模擬手段、220…非干渉制御手段、221…目標値計算手段(主蒸気圧力目標値演算手段)、222…目標値計算手段(主蒸気温度目標値演算手段)、223a〜223d…非干渉制御器、224…短期予測値選択手段、240…予測時間算定手段、250…データバッファ、260…操作量最適化手、261,262…関数器、270…予測制御手段、271…プラント模擬手段、272…制御装置模擬手段、375…通常制御コントローラ、376…ボイラ負荷制御手段、377…燃料流量制御手段、378…蒸気温度制御手段、380…蒸気温度予測制御コントローラ

Claims (7)

  1. プラントの制御対象となるプロセスの制御量を入力し、前記プロセスの運転目標値に基づいて前記制御量を制御するための操作量を出力する制御手段を備えるプロセス制御装置において、
    前記プラントの模擬手段と、前記制御手段の模擬手段と、相互に干渉する少なくとも二個以上の前記プロセスの応答時間遅れの大きい制御量を独立に制御するための非干渉制御手段と、前記プラントの模擬手段が出力する前記プロセスの応答遅れ時間の短い制御量に対する予測値を短期予測値として出力する短期予測値選択手段とからなる予測制御手段を設け、
    前記両模擬手段によって相互に干渉する少なくとも二個以上の前記プロセスの応答時間遅れの大きい制御量を予測し、前記予測した制御量から前記非干渉制御手段によって相互に非干渉に先行制御するための少なくとも二個以上の操作量の先行制御指令を計算し、前記制御手段に出力すると共に、前記短期予測値選択手段の出力する短期予測値を前記制御手段に出力することを特徴とするプロセス制御装置。
  2. プラントの制御対象となるプロセスの制御量を入力し、前記プロセスの運転目標値に基づいて前記制御量を制御するための操作量を出力する制御手段を備えるプロセス制御装置において、
    線形化されたプラント模擬手段と、線形化された制御手段模擬手段と、前記プロセスの応答時間遅れの大きい相互に干渉する複数の制御量を最適に操作するための操作量を計算する操作量最適化手段と、前記プラントの模擬手段が出力する前記プロセスの応答遅れ時間の短い制御量に対する予測値を短期予測値として出力する短期予測値選択手段とからなる予測制御手段を設け、
    予測時には、前記両模擬手段の伝達関数から少なくとも二個以上の前記プロセスの応答時間遅れの大きい制御量が制御目標範囲内となるように前記操作量最適化手段によって最適操作量を算定し、制御時において前記最適操作量と前記制御手段の運用実績である前記操作量との差から少なくとも二個以上の操作量の先行制御指令を決定し、前記制御手段に出力すると共に、前記短期予測値選択手段の出力する短期予測値を前記制御手段に出力することを特徴とするプロセス制御装置。
  3. 請求項2において、前記先行制御指令に上下限制限、変化率制限、負荷補正、位相補償の補正を加え、最適な先行制御指令とすることを特徴とするプロセス制御装置。
  4. 請求項1から請求項のいずれかにおいて、前記プロセスの運転目標値を入力し、前記運転目標値の変化率から予測値の予測時間を計算する予測時間計算手段を設け、前記予測制御手段の予測時間を前記運転目標値の変化率によって可変とすることを特徴とするプロセスの制御装置。
  5. プラントの制御対象となるプロセスの制御量を入力し、前記プロセスの運転目標値に基づいて前記制御量を制御するための操作量を出力する制御手段を備えるプロセス制御装置において、
    前記プラントの模擬手段と、前記プロセス制御装置の模擬手段と、相互に干渉する少なくとも二個以上の前記プロセスの応答時間遅れの大きい制御量を独立に制御するための非干渉制御手段と、前記プラントの模擬手段が出力する前記プロセスの応答遅れ時間の短い制御量に対する予測値を短期予測値として出力する短期予測値選択手段とからなる予測制御手段を設け、
    前記両模擬手段によって相互に干渉する少なくとも二個以上の前記プロセスの応答時間遅れの大きい制御量の時系列データを予測し、前記応答時間遅れの大きい制御量の時系列データに基づき、前記非干渉制御手段によって相互に非干渉に先行制御するための該制御量に対するそれぞれの操作量の制御指令値を計算し、前記制御手段に出力すると共に、前記短期予測値選択手段の出力する短期予測値を前記制御手段に出力することを特徴とするプロセス制御装置。
  6. プラントの制御対象となるプロセスの制御量を入力し、前記プロセスの運転目標値に基づいて前記制御量を制御するための操作量を出力する制御手段を備えるプロセス制御装置において、
    前記プラントの模擬手段と、前記プロセス制御装置の模擬手段と、前記プロセスの応答時間遅れの大きい相互に干渉する複数の制御量を最適に操作するための操作量を計算する操作量最適化手段と、前記プラントの模擬手段が出力する前記プロセスの応答遅れ時間の短い制御量に対する予測値を短期予測値として出力する短期予測値選択手段とからなる予測制御手段を設け、
    前記両模擬手段及び前記操作量最適化手段によって相互に干渉する少なくとも二個以上の前記プロセスの時系列データを予測し、前記操作量の時系列データと、前記プロセス制御装置の操作量との差から少なくとも二個以上の操作量の制御指令値を計算し、前記制御手段に出力すると共に、前記短期予測値選択手段の出力する短期予測値を前記制御手段に出力することを特徴とするプロセス制御装置。
  7. 火力発電プラントの蒸気温度及び蒸気圧力を計測し、燃料流量及び給水流量の制御量を制御するための操作量を出力する制御手段を備える火力発電プラントの制御装置において、
    前記火力発電プラントの発電出力、蒸気温度及び蒸気圧力の過度応答特性を模擬するプラント模擬手段と、前記制御装置のタービン加減弁開度指令、燃料流量指令及び給水流量指令の過度応答特性を模擬する制御装置模擬手段と、相互に干渉する応答時間遅れの大きい蒸気温度と蒸気圧力を独立に制御するための非干渉制御手段と、前記プラント模擬手段が出力する応答遅れ時間の短い蒸気温度と蒸気圧力に対する予測値を短期予測値として出力する短期予測値選択手段とからなる予測制御手段を設け、
    前記両模擬手段によって蒸気温度と蒸気圧力の時系列データを予測し、前記蒸気温度及び蒸気圧力の時系列データに基づき、前記非干渉制御手段によって相互に非干渉に先行制御するための燃料流量及び給水流量の制御指令値を計算し、前記制御手段に出力すると共に、前記短期予測値選択手段の出力する短期予測値を前記制御手段に出力することを特徴とするプロセス制御装置。
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