JP3291467B2 - プロセスの予測制御方法及び装置 - Google Patents

プロセスの予測制御方法及び装置

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JP3291467B2
JP3291467B2 JP13985198A JP13985198A JP3291467B2 JP 3291467 B2 JP3291467 B2 JP 3291467B2 JP 13985198 A JP13985198 A JP 13985198A JP 13985198 A JP13985198 A JP 13985198A JP 3291467 B2 JP3291467 B2 JP 3291467B2
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  • Control Of Steam Boilers And Waste-Gas Boilers (AREA)
  • Feedback Control In General (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プロセスの将来の
状態を予測し、その予測結果に基づいて操作量を決定し
て制御する予測制御方法、および該予測制御方法を実現
する制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】プロセスの応答特性として、応答時間遅
れが大きいものがある。例えば火力発電プラントでは、
燃料投入量に変更を加えてから主蒸気温度が変化するま
での時間が長く、その時定数は数分〜20分程度である。
【0003】従って通常のフィードバック制御では制御
偏差(主蒸気温度偏差)が大きくなり、タービン寿命が
短くなるという問題があった。
【0004】これに対して、将来のプロセス状態を事前
に予測し、その予測値に基づいて操作量を決定する予測
制御方法がある。火力プラントを対象にした予測制御方
法には、例えば以下のものがある。
【0005】(1)Y. Sato, et al., "Steam Predicti
on Control for Thermal Power Plant", IEEE/PES 1984
Winter Meeting, Dallas, Texas.U.S.A. January 29 -
February 3, 1984 (2)Y. Sato, et al., "Steam Temperature Predicti
on Control for Thermal Power Plant", IEEE Trans. o
n PowerApparatus and Systems, Vol.PAS-103,No.9, Se
ptember(1984), pp2382-2387 (3)特開平6-266408号公報 (4)特開平9-274507号公報 上記従来技術には、過熱器の特性を物理式で構成したモ
デルで表し、このモデルを用いて演算することにより、
将来の蒸気温度を予測する方法が述べられている。上記
従来技術のうち(1)及び(2)は最終段過熱器を集中
定数化モデルとし、その前段過熱器の出口蒸気温度を外
乱としている。上記(3)及び(4)は集中定数化モデ
ルの組合わせによりプロセスをモデル化し、本来は分布
定数系であるプロセスにできるだけモデルを近づける工
夫をしている。
【0006】上記従来技術のモデルは何れも、基本的に
熱交換器(過熱器)の第1の媒体である水・蒸気系と、
第2の媒体である燃焼ガス系についてのエネルギー保存
式により構成されている。
【0007】従って、このモデルにより蒸気温度を予測
するためには、燃焼ガス温度の値が必要である。しかし
火力プラントの場合、燃焼ガス温度は1000°C以上の高
温になるため、その値を正確に測定することは困難であ
る場合が多い。そこで、上記従来技術(1)〜(3)で
は、以下の方法で対象熱交換器入口燃焼ガス温度θgを
計算している。
【0008】まず、火炉に投入される燃料流量、空気流
量、ガス再循環流量などから火炉投入総熱量Qtを計算
し、火炉水壁での総熱吸収量Qw及びその他の対象熱交換
器前段までの熱吸収量Qhexを仮定して次式のように燃焼
ガス保有熱量Qgを算出する。
【0009】
【数1】
【0010】
【数2】
【0011】ここで、βは火炉の輻射熱伝達係数、Cpg
はガス比熱、Fgは燃焼ガス流量である。
【0012】燃焼ガス温度θgは次式により算出してい
る。
【0013】
【数3】
【0014】また、上記従来技術(4)では、観測器
(オブザーバ)を用いてガス温度補正値またはガス温度
を推定している。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術(3)に
よれば、β,Cpg,Qhexは燃料流量の関数として設定し
ている。従って、これらの値はモデルの特性を実プロセ
スの特性に合わせるために調整すべきパラメータとなっ
ている。
【0016】しかし、これらの値を知ることは困難であ
り、試行錯誤的に調整する方法が一般的であった。その
ため、モデルの調整に長時間を要した他、パラメータの
設定値によっては、予測精度が低下するという問題点が
あった。
【0017】また、上記従来技術(4)に記載されてい
る方法は、推定時刻より前の時点の測定値を使用してガ
ス温度を推定するので蒸気温度の推定値に誤差が生じる
ことは避けられない。
【0018】また、上記従来技術(3)では、山登り法
などによりモデルパラメータを調整する方法も記載され
ているが、この方法を用いてもプロセス特性の経年変化
や燃料種類(性質)の変化に対しては、その都度調整し
直す必要があった。
【0019】本発明の目的は、モデルの調整工程が短縮
でき、制御精度の向上を図ることができる予測制御方法
および装置を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、一実施態様として、少なくとも第1のプロ
セス量の測定値と、該第1のプロセス量と異なる第2の
プロセス量の非測定値である推定値とを用いて、前記第
1のプロセス量を測定した時刻以降の第1のプロセス量
を予測し、さらに所定時間経過後の前記第1のプロセス
量を予測する際には、該第1のプロセス量の測定値のか
わりに前記予測値を使用してプロセスの操作量を決定す
る予測制御方法または予測制御装置において、前記第2
のプロセス量の推定値は、前記第1のプロセス量を測定
した時刻以降の測定値を用いて算出する。
【0021】また、上記目的を達成するために本発明
は、他の実施態様として、第1の媒体と第2の媒体を熱
交換させる熱交換器を含むプロセスについて、少なくと
も前記第1の媒体の温度を予測し、該温度の予測値に基
づいて当該プロセスの操作量を決定する予測制御方法で
あって、前記熱交換器の特性を模擬した物理式に基づい
てモデル化して、少なくとも前記第2の媒体の推定温度
と前記第1の媒体の温度測定値とを用いて前記モデルに
より演算を行い、前記第1の媒体温度を測定した時刻以
降の第1の媒体温度と前記熱交換器の伝熱管温度とを推
定し、さらに所定時間経過後の第1の媒体温度を、前記
第1の媒体温度の測定値の代わりに前記推定値を使用し
て予測する方法において、前記熱交換器の伝熱管温度
は、前記モデルに基づく状態観測器(オブザーバ)によ
り推定し、該推定値と少なくとも前記第1の媒体温度を
測定した時刻以降の第1の媒体温度の測定値とを使用し
て前記モデルにより演算して、前記第2の媒体温度を推
定する。
【0022】ここで、上記本発明の予測制御方法におい
て、前記状態観測器としてカルマンフィルタを用いる構
成としてもよい。
【0023】また、上記本発明の予測制御方法におい
て、前記第2の媒体の推定温度は、少なくとも前記第1
の媒体温度を測定した時刻以前の前記熱交換器の伝熱管
温度推定値と前記時刻以降の第1の媒体温度の測定値と
を使用して前記モデルにより算出する構成としてもよ
い。
【0024】この場合、前記第1の媒体温度と前記熱交
換器の伝熱管温度とは、物理式に基づくモデルに対して
構成したカルマンフィルタを用いて推定する構成として
もよい。
【0025】また、上記目的を達成するために本発明
は、他の実施態様として、第1の媒体と第2の媒体を熱
交換させる熱交換器を含むプロセスについて、少なくと
も前記第1の媒体の温度を予測し、該温度の予測値に基
づいて当該プロセスの操作量を決定する予測制御装置で
あって、前記熱交換器の特性を模擬した物理式に基づい
てモデル化して、少なくとも前記第2の媒体の推定温度
と前記第1の媒体の温度測定値とを用いて前記モデルに
より演算を行い、前記第1の媒体温度を測定した時刻以
降の第1の媒体温度と前記熱交換器の伝熱管温度とを推
定し、さらに所定時間経過後の第1の媒体温度を、前記
第1の媒体温度の測定値の代わりに前記推定値を使用し
て予測する第1の媒体温度予測部を備える装置におい
て、前記モデルに基づき、前記熱交換器の伝熱管温度を
推定する状態観測器(オブザーバ)と、前記推定値と少
なくとも前記第1の媒体温度を測定した時刻以降の第1
の媒体温度の測定値とを使用して前記モデルにより、前
記第2の媒体温度を推定する第2の媒体温度推定部とを
備える。
【0026】ここで、上記本発明の予測制御装置におい
て、前記状態観測器としてカルマンフィルタを用いる構
成としてもよい。
【0027】また、上記目的を達成するために本発明
は、他の実施態様として、燃料を燃焼させた時に生じる
燃焼ガスと水または蒸気とを熱交換させて、該水または
蒸気を昇温する熱交換器の蒸気温度を予測し、該予測値
に基づいてプロセスの操作量を決定する予測制御方法で
あって、少なくとも前記燃焼ガス温度の推定値と前記蒸
気温度測定値とを用いて、該蒸気温度を測定した時刻以
降の蒸気温度を予測する方法において、前記燃焼ガス温
度は、少なくとも蒸気温度測定値を用いて算出する。
【0028】さらに、上記本発明の予測制御装置におい
て、少なくとも前記燃焼ガス温度の推定値と前記蒸気温
度測定値とを用いて、該蒸気温度を測定した時刻以降の
蒸気温度と、前記熱交換器の伝熱管温度とを推定し、さ
らに所定時間経過後の蒸気温度を、推定した前記蒸気温
度と推定した前記伝熱管温度とを使用して予測するもの
であって、前記燃焼ガス温度は、少なくとも前記時刻以
前の前記伝熱管温度推定値と前記時刻以降の蒸気温度の
測定値とを使用して算出する構成としてもよい。
【0029】さらに、上記本発明の予測制御方法におい
て、前記蒸気温度と前記熱交換器の伝熱管温度は、該熱
交換器の特性を模擬した物理式に基づくモデルに対して
構成したカルマンフィルタを用いて推定する構成として
もよい。
【0030】また、上記目的を達成するために本発明
は、他の実施態様として、第1の媒体と第2の媒体を熱
交換させる熱交換器の少なくとも第1の媒体の温度を予
測し、該温度の予測値に基づいてプロセスの操作量を決
定する予測制御方法であって、少なくとも前記第2の媒
体の推定温度と前記第1の媒体の温度測定値とを用い
て、該第1の媒体温度を測定した時刻以降の第1の媒体
温度と前記熱交換器の伝熱管温度とを推定し、さらに所
定時間経過後の第1の媒体温度を予測する際には、前記
第1の媒体温度の測定値の代わりに前記推定値を使用し
て予測する方法において、前記熱交換器の伝熱管温度
は、前記熱交換器の特性を模擬した物理式モデルに基づ
く状態観測器により推定し、該推定値と少なくとも第1
の媒体温度の測定値とを使用して前記モデルにより演算
して前記第2の媒体温度を推定する。
【0031】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について説明
する。
【0032】本実施の形態では、本発明を火力発電プラ
ントの蒸気温度予測制御に適用した例について述べたも
のである。以下、図を参照して説明する。
【0033】本実施形態において制御の対象とする石炭
焚き火力発電プラント100の基本構成を図2に示す。
ボイラ150では燃料と空気をバーナー160に供給し
て燃焼させ、給水ポンプ140により循環する供給水を
火炉水壁152で蒸発させる。さらに過熱器154で昇
温して過熱状態となった蒸気はタービン加減弁121を
介して高圧タービン130に導かれて高圧タービン13
0を駆動する。高圧タービンを通過した蒸気は再熱器1
56で再び昇温されて低圧タービン120に入る。高圧
タービン130および低圧タービン120の回転により
発電機110で電力を発生させる。
【0034】以降、高圧タービン130入口の蒸気を主
蒸気、低圧タービン120入口の蒸気を再熱蒸気と称す
る。
【0035】火力発電プラントには、上記構成機器の他
にもタービンを駆動後の蒸気を冷却水126により冷却
する復水器125や燃焼排ガス処理装置170などの機
器もある。排ガス処理装置170を通過したガスは煙突
175から大気へ放出される。
【0036】なお、本発明では、石油やガスなどの燃料
の種類は問わないが、例えば石炭を燃料とする場合は石
炭を粉砕する微粉炭機を制御して燃料流量を調整する。
【0037】プラント100の運転状態は、発電機出力
計測器111、主蒸気温度(過熱器出口蒸気温度)測定
器122、過熱器入口蒸気温度測定器127、主蒸気圧
力測定器123、再熱蒸気温度測定器124等のデータ
測定装置で計測され、運転制御装置300へ伝送され
る。プラントには、この他にも種々のプロセス量を計測
するための装置が取り付けられており、それらによる計
測値も運転制御装置300で取込んでいる。ここでは、
それらの詳細な説明は省略する。
【0038】運転制御装置300は、これらのプロセス
データを基にして、プラントの運転状態を把握し、プラ
ントが望ましい状態になるように燃料流量調節弁16
2、空気流量調節弁161、タービン加減弁121、給
水ポンプ140などの機器を制御している。
【0039】火力プラントでは主蒸気温度のように、応
答時間が比較的大きい制御量があり、この制御は一般に
難しいとされている。そこで、主蒸気温度の制御に、本
発明の予測制御方法を適用する。
【0040】予測制御の目的は、時定数が大きく、応答
が遅いプロセス量に対して、その将来の挙動を予測し、
先行的に操作量を決定することにより、制御精度を向上
させることにある。
【0041】本実施形態の予測制御方法、およびそれを
実現する運転制御装置300の概略構成を図3を参照し
て説明する。
【0042】運転制御装置300は、本発明が適用され
る蒸気温度予測部310、目標値算出部320、および
操作量算出部330を備えている。目標値算出部320
は、目的とする時間先の主蒸気温度の目標値を計算す
る。主蒸気温度目標値は、一定である場合もあるが、負
荷変化に伴って目標値が変化する場合がある。
【0043】負荷変化計画が既知の場合には、負荷の関
数である蒸気温度目標値Rs(数4)から、その負荷変化
計画に基づいて将来の負荷変化を算出する。
【0044】
【数4】
【0045】将来の負荷変化が未知の場合には、現在サ
ンプリングステップkでの蒸気温度目標値Rs(k)と1サン
プリングステップ前の目標値Rs(k-1)と、サンプリング
時間間隔Δt秒から、n秒先の目標値を次式で算出する。
【0046】
【数5】
【0047】本例では、目標値の変化を一次式で近似し
て求めているが、本発明はこの方法に限定されるもので
はない。
【0048】このようにして求めた将来の蒸気温度目標
値に対して、蒸気温度が将来の同時刻に何°Cになるか
を蒸気温度予測部310で予測する。蒸気温度予測部3
10の詳細は後述する。
【0049】蒸気温度目標値320aと予測値310a
との偏差320bを算出し、これに基づいて操作量算出
部330で操作量を決定する。
【0050】操作量の決定方法を説明する。制御方式は
PI(比例・積分)制御を採用している。その具体的計
算方法は次式である。
【0051】
【数6】
【0052】
【数7】
【0053】ここで、uは操作量値、Δuは操作量値の変
化分、Ysは蒸気温度予測値、Kpは比例ゲイン、KIは積分
ゲインである。
【0054】本実施形態では、蒸気温度制御の操作量と
して、燃料流量、過熱器スプレ流量、ガス再循環流量が
あり、それらを本発明の予測制御方法を用いて制御して
いる。過熱器スプレ流量調節弁、ガス再循環ポンプは図
2では省略している。また、これらの操作量のうちいず
れか一つ、または二つを選択してもよく、それ以外の操
作量を本発明の予測制御方法により操作してもよい。
【0055】それぞれの操作量uが決定されると、この
値によりプラント100の燃料流量調節弁162の開度
やスプレ流量調節弁開度、ガス再循環ポンプ出力などが
操作される。
【0056】蒸気温度などのプロセス量は各種センサで
計測されて、次の時間ステップの蒸気温度予測部310
に入力される。図3では図示していないが、各種プロセ
ス量の測定値は、蒸気温度予測部310のみならず、運
転制御装置300に入力されて、他の操作量を算出する
ために用いられる。
【0057】運転制御装置300は、例えば図8に示す
ように、マスタ制御部370とそれに基づくサブループ
制御部390とで構成されている。
【0058】マスタ制御部370は、以下に説明する予
測制御方法を実現するための制御プログラムを記憶する
記憶部、計測データの入力や演算結果の出力のためのイ
ンターフェース部、および前記制御プログラムを実行す
る演算処理部を備えるコンピュータシステムにより実現
されるものであり、通常制御コントローラ375と、本
発明を適用している蒸気温度予測制御コントローラ38
0とに分かれている。
【0059】サブループ制御部390には、プラントを
運転するために操作される各アクチュエータへの制御信
号を生成するための、タービン制御コントローラ39
1、給水ポンプコントローラ392、燃料流量調節弁コ
ントローラ393、押込みファンコントローラ394、
誘引ファンコントローラ395、スプレ流量コントロー
ラ396、ガス再循環流量コントローラ397等を備え
ている。
【0060】これらのコントローラは互いに信号伝送ネ
ットワーク400に接続されており、信号の授受が可能
である。サブループ制御部390の各コントローラから
の出力は、プラント100の各アクチュエータ101に
送られ、機器を操作する。
【0061】次に、蒸気温度予測部310について、図
1を用いて説明する。蒸気温度予測部310は、状態観
測器(オブザーバ)314、予測部312、及び本発明
の特徴の一つであるガス温度推定部316を備えてい
る。この他に蒸気温度予測部310は、プラント100
からの計測データの入力インターフェイス、コントロー
ラへの出力インターフェイスなどを備えている。
【0062】過熱器154の入口蒸気温度と出口蒸気温
度はそれぞれ温度測定器127、122で測定し、その
値を取込んでいる。
【0063】状態観測器314では、熱交換器の特性を
エネルギー保存式に基づいてモデル化している。モデル
式を示す。
【0064】
【数8】
【0065】
【数9】
【0066】ここで、Vは容積[m3]、γは比重量[kg/
m3]、Hはエンタルピー[J/kg]、Fは流量[kg/s]、Aは伝熱
面積[m2]、αは熱伝達率[J/(m2・s・K)]、θは温度[°
C]、Mは重量[kg]、Cは比熱[J/(kg・K)]である。また、
添え字sは蒸気、mは伝熱管(メタル)、msは伝熱管から
蒸気、gmは燃焼ガスから伝熱管、inは入口位置、oは出
口位置をそれぞれ表す。
【0067】
【数10】
【0068】
【数11】
【0069】ここで、CPsは定圧比熱[J/(kg・K)]、HsBo
は基準エンタルピ[J/kg]である。
【0070】数8、9に、数10、11を代入して整理すると
次式が得られる。
【0071】
【数12】
【0072】
【数13】
【0073】ここで、数12、13を整理すると次式とな
る。
【0074】
【数14】
【0075】
【数15】
【0076】
【数16】
【0077】
【数17】
【0078】
【数18】
【0079】
【数19】
【0080】
【数20】
【0081】
【数21】
【0082】
【数22】
【0083】
【数23】
【0084】
【数24】
【0085】
【数25】
【0086】数14及び15を時間的に離散化し、マトリク
ス表現すると次式となる。
【0087】
【数26】
【0088】
【数27】
【0089】
【数28】
【0090】
【数29】
【0091】
【数30】
【0092】
【数31】
【0093】数27が状態方程式であり、出力方程式は次
式で表される。
【0094】
【数32】
【0095】ここで、ZMは観測ベクトル(x1:出口蒸気
温度に対応)、CMは観測行列、VMは観測ノイズベクトル
である。
【0096】この物理式モデルに基づいて蒸気温度を予
測する。状態XM(k)のうち、x1(過熱器出口蒸気温度)
は測定可能であるが、x2(過熱器伝熱管温度)は測定困
難であるため、カルマンフィルタを適用して状態XM(k)
を推定する。
【0097】カルマンフィルタを用いた状態観測器31
4のアルゴリズムを説明する。以下では、現在サンプリ
ングステップをkとすると、サンプリングステップ(k-1)
における諸値を用いて物理モデル数27より算出した状態
値には上付添字“P”を、カルマンフィルタを構成して
求める最尤推定値には上付添字“SP”をつけて表すこと
にする。
【0098】XM SP(k)は次式により求められる。
【0099】
【数33】
【0100】
【数34】
【0101】
【数35】
【0102】
【数36】
【0103】ここで記号上付添字“T”は転置行列、上
付添字“-1”は逆行列を意味する。
【0104】この状態観測器314を用いて、図1に示
す予測部312のように繰り返し計算することによって
将来の蒸気温度を予測する。
【0105】さて、数9の右辺には過熱器入口ガス温度
θginが必要であるが、高温のガス温度は直接計測する
ことが困難であるため、この値を推定して用いる必要が
ある。本発明の特徴は、このガス温度の推定方法にあ
る。
【0106】ガス温度推定部316について説明する。
【0107】現在サンプリングステップをkとすると、
ステップ(k-1)での諸値を用いて数36により現在の過熱
器出口蒸気温度を推定する。将来の蒸気温度を予測する
ためには、(k-1)時点で得られる情報から、現在ステッ
プkの蒸気温度が正しく求められていることが前提にな
る。この関係を将来も維持しているという仮定の基で予
測しているからである。
【0108】推定しているガス温度θginが適切でない
と、XM SP(k)に誤差を生じる原因になる。そこで、本実
施形態では、現在ステップkにおける過熱器出口蒸気温
度x1(k)(=θso(k))の測定値と、ステップ(k-1)にお
ける伝熱管温度の最尤推定値x2 SP(k-1)(=θm SP(k-
1))とを用いて、物理モデル式の数26の関係から次式を
導き、ガス温度θginを算出する。
【0109】
【数37】
【0110】ここで、θso(k)はステップkにおける出口
蒸気温度測定値である。
【0111】従って、現在ステップkにおける過熱器出
口蒸気温度の推定値が測定値と一致するように、ガス温
度を決定することができる。
【0112】この方法によれば、逐次、適切なガス温度
を決定できるので、現在ステップにおけるモデル誤差が
小さくなる。また、ガス温度推定用の火炉モデルを準備
する必要がなく、従って、そのモデルのパラメータ調整
も不要である。また、モデル誤差、すなわち現在時刻の
測定値とその予測値の誤差が小さいため、予測精度が向
上する。
【0113】なお、本例では過熱器入口蒸気温度θsin
(入口蒸気エンタルピーHsin)はサンプリングステップ
(k-1)における値を用いているが、ステップkにおける測
定値を用いてもよい。
【0114】蒸気温度予測部310の具体的な構成例と
して、当該蒸気温度予測部310を構成する状態観測器
314、ガス温度推定部316、予測部312の第一の
接続形態を図4に示す。
【0115】入口蒸気温度θsin(k-1)または入口蒸気エ
ンタルピーHsin(k-1)(図示していない)は一次遅れ要
素342を経て状態観測器314に入力される。また、
ガス温度推定部316で算出したガス温度θgin(k)も同
様に一次遅れ要素341を経て状態観測器314に入力
される。
【0116】予測部312には、入口蒸気温度θsin(k-
1)、ガス温度θgin(k)等は遅れ要素を介さずに入力され
る。なお、遅れ要素の次数は一次に限定されるものでは
い。また、複数の遅れ要素をカスケードに接続してもよ
い。
【0117】蒸気温度予測部310内における各要素の
第二の接続形態を図5に示す。前記第一の接続形態と異
なる点は、本発明の特徴であるガス温度推定部316と
ガス温度推定用火炉モデル350を併用した点である。
【0118】ガス温度推定用火炉モデル350では、燃
料発熱量などの火炉への投入熱量から、火炉水壁152
での熱吸収量を輻射伝熱モデルで計算してガス温度を推
定するものである。詳細は前記従来技術(4)に記載さ
れているので、ここでは省略する。
【0119】本接続形態では、それぞれから出力される
ガス温度推定値を加重平均係数β(0≦β≦1)を用いて
合成して用いている。予測部312へは合成する前のガ
ス温度推定部316の出力値を入力している。
【0120】蒸気温度予測部310内における各要素の
第三の接続形態を図6に示す。前記第二の接続形態と異
なる点は、ガス温度推定部316の出力値を直接、状態
観測器314に入力、予測部312にはガス温度推定用
火炉モデル350の出力をベースとして、遅れ要素34
1を経た出力値とガス温度推定部316の出力値との偏
差分を加算したものを予測部312に入力している点で
ある。
【0121】蒸気温度予測部310内における各要素の
第四の接続形態を図7に示す。前記第三の接続形態と異
なる点は、前記第二の接続形態と同様にガス温度推定用
火炉モデル350の出力値とガス温度推定部316の出
力値との加重平均値を状態観測器314に入力している
点である。この時、ガス温度推定用火炉モデル350の
出力値としては、遅れ要素341を通過後の値を使用し
ている。
【0122】また、予測部312には、ガス温度推定用
火炉モデル350の出力値に、ガス温度推定部316の
出力値と遅れ要素341通過後のガス温度推定用火炉モ
デル350の出力値との偏差分を加算したものを入力し
ている。
【0123】なお、蒸気温度予測部310での接続形態
はこれだけに限定されるものではない。また、遅れ要素
の次数や、複数の遅れ要素のカスケード接続などの組合
わせる構成としてもよい。
【0124】
【発明の効果】本発明によれば、逐次、適切なガス温度
を決定できるので、現在時刻におけるモデル誤差が小さ
くなる。
【0125】さらに、本発明によれば、ガス温度推定用
のモデルを準備する必要がなく、従って、そのモデルの
パラメータ調整も不要となる。
【0126】さらに、本発明によれば、モデル誤差を小
さくすることが可能となるため、予測精度が向上し、従
ってプロセスの制御性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における蒸気温度予測部の
基本的構成を示す説明図。
【図2】火力発電プラントの構成を示すブロック構成
図。
【図3】予測制御方法を実現する運転制御装置の構成を
示すブロック線図。
【図4】蒸気温度予測部での各要素の第一の接続形態を
表すブロック線図。
【図5】蒸気温度予測部での各要素の第二の接続形態を
表すブロック線図。
【図6】蒸気温度予測部での各要素の第三の接続形態を
表すブロック線図。
【図7】蒸気温度予測部での各要素の第四の接続形態を
表すブロック線図。
【図8】運転制御装置の構成を示すブロック構成図。
【符号の説明】
100…火力発電プラント、110…発電機、111…
発電機出力計測装置、120…低・中圧タービン、12
1…タービン加減弁、122…過熱器出口蒸気温度測定
器、123…主蒸気圧力測定器、124…再熱蒸気温度
測定器、125…復水器、126…冷却水、130…高
圧タービン、140…給水ポンプ、150…ボイラ、1
52…火炉水壁、154…過熱器、156…再熱器、1
60…バーナー、161…空気流量調節弁、162…燃
料流量調節弁、170…排ガス処理装置、175…煙
突、300…運転制御装置、310…予測制御部、31
2…予測部、314…状態観測器、316ガス温度推定
部、320…目標値算出部、330…操作量算出部、3
50…ガス温度推定用火炉モデル。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木村 亨 茨城県日立市大みか町五丁目2番1号 株式会社日立製作所 大みか工場内 (72)発明者 菊池 信也 茨城県日立市大みか町五丁目2番1号 株式会社日立製作所 大みか工場内 (56)参考文献 特開 昭57−6203(JP,A) 特開 平6−266408(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G05B 11/00 - 13/04 F22B 35/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】燃料を燃焼させた時に生じる燃焼ガスと水
    または蒸気とを熱交換させて、該水または蒸気を昇温す
    る熱交換器の蒸気温度を予測し、該予測値に基づいてプ
    ロセスの操作量を決定する予測制御方法であって、 少なくとも前記燃焼ガス温度の推定値と前記蒸気温度測
    定値とを用いて、該蒸気温度を測定した時刻以降の蒸気
    温度と、前記熱交換器の伝熱管温度とを推定し、 さらに所定時間経過後の蒸気温度を、推定した前記蒸気
    温度と推定した前記伝熱管温度とを使用して予測するも
    のであって、 前記燃焼ガス温度は、少なくとも前記時刻以前の前記伝
    熱管温度推定値と前記時刻以降の蒸気温度の測定値とを
    使用して算出すること、 を特徴とする予測制御方法。
  2. 【請求項2】第1の媒体と第2の媒体を熱交換させる熱
    交換器を含むプロセスについて、少なくとも前記第1の
    媒体の温度を予測し、該温度の予測値に基づいて当該プ
    ロセスの操作量を決定する予測制御方法であって、 前記熱交換器の特性を模擬した物理式に基づいてモデル
    化して、少なくとも前記第2の媒体の推定温度と前記第
    1の媒体の温度測定値とを用いて前記モデルにより演算
    を行い、前記第1の媒体温度を測定した時刻以降の第1
    の媒体温度と前記熱交換器の伝熱管温度とを推定し、 さらに所定時間経過後の第1の媒体温度を、前記第1の
    媒体温度の測定値の代わりに前記推定値を使用して予測
    する方法において、 前記熱交換器の伝熱管温度は、前記モデルに基づく状態
    観測器(オブザーバ)により推定し、該推定値と少なく
    とも前記第1の媒体温度を測定した時刻以降の第1の媒
    体温度の測定値とを使用して前記モデルより演算して、
    前記第2の媒体温度を推定すること、 を特徴とする予測制御方法。
  3. 【請求項3】第1の媒体と第2の媒体を熱交換させる熱
    交換器を含むプロセスについて、少なくとも前記第1の
    媒体の温度を予測し、該温度の予測値に基づいて当該プ
    ロセスの操作量を決定する予測制御装置であって、 前記熱交換器の特性を模擬した物理式に基づいてモデル
    化して、少なくとも前記第2の媒体の推定温度と前記第
    1の媒体の温度測定値とを用いて前記モデルにより演算
    を行い、前記第1の媒体温度を測定した時刻以降の第1
    の媒体温度と前記熱交換器の伝熱管温度とを推定し、 さらに所定時間経過後の第1の媒体温度を、前記第1の
    媒体温度の測定値の代わりに前記推定値を使用して予測
    する第1の媒体温度予測部を備える装置において、 前記モデルに基づき、前記熱交換器の伝熱管温度を推定
    する状態観測器(オブザーバ)と、 前記推定値と少なくとも前記第1の媒体温度を測定した
    時刻以降の第1の媒体温度の測定値とを使用して前記モ
    デルにより、前記第2の媒体温度を推定する第2の媒体
    温度推定部とを備えること、 を特徴とする予測制御装置。
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