JP3964499B2 - 電子レンジ用包装体および電子レンジ用包装袋 - Google Patents

電子レンジ用包装体および電子レンジ用包装袋 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、中華料理の具、カレー等の被調理品を電子レンジで加熱調理できるようにした電子レンジ用包装体、及びこれらの被調理品を包装可能な電子レンジ用包装袋に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、包装体内の中華料理の具等、加熱時に蒸気を発生する被調理品は、電子レンジを使用すると内部圧力による破裂のおそれがあるので、一般に湯煎加熱による方法が採用されている。
【0003】
従って、電子レンジで調理する場合には、液漏れすることなく蒸気を逃がす工夫が必要となり、従来では、包装体に逆止弁を付けたり、調理直前に包装体の一部を鋏で切断したりしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の如く逆止弁を採用した場合にあっては、機能的に不完全であったり、またコストが高くなるという問題を有し、一般的に使用されるに至っていない。しかも、液状の被調理品が煮沸して吹きこぼれる虞も存在する。
【0005】
また、図12に示す如く、内部に被調理品が収容されてなる袋部5'に、重ね合わされた一対の包装シート3'の端部の内面同士を接着して形成された背貼り部7'を設けて、該背貼り部7'には、包装シート3'の端部同士を接着せず形成した第一及び第二通路10',11' を設けたものも考えられる。
かかる包装体にあっては、切除等により第二通路11' の一端部を開放した後に加熱調理することで、発生した蒸気が、第一通路10' 及び第二通路11' を介して第二通路11' の一端部から外部に放出されることとなり、簡単に電子レンジを使用して被調理品を調理できることとなる。
【0006】
しかるに、かかる包装体にあっては、被調理品を包装後に加熱による殺菌処理等を行った場合に、第一通路10' 及び第二通路11' に蒸気、更には被調理品が進入する虞があり、最終商品としての美感に損ねるという問題を有していた。
【0007】
そこで、本発明はこのような問題を解決すべくなされたものであり、電子レンジでの加熱調理時に被調理品の漏出を防止しつつ発生する蒸気を効率良く排出し、且つ殺菌処理等により商品価値を下げることなく、しかも安価な電子レンジ用包装体及び電子レンジ用包装袋を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、本発明に係る電子レンジ用包装体は、包装シート3 により製袋された袋本体1 の収容部30に被調理品が収容されてなる電子レンジ用包装体において、重ね合わされた一対の包装シート3 の内面同士を接着部36で接着して背貼り部7 が形成されてなり、該背貼り部7 は外フィルム3aと内フィルム3bとが接着されて構成された一方の包装シート3 が上面7aとなるように折り畳まれてなり、この一方の包装シート3 は外フィルム3aと内フィルム3bとが未接着又は弱接着状態の剥離部20を背貼り部 7 有してなり、しかも該剥離部20は、前記収容部30に対応する位置まで設けられて該位置における内フィルム 3b が電子レンジによる加熱調理時に破断し、該内フィルム 3b の破断口から蒸気が内フィルム 3b と外フィルム 3a との間の剥離部 20 を通過して外部に排出されることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る電子レンジ用包装体にあっては、被調理品を電子レンジで加熱調理すると、まず被調理品から発生する蒸気により収容部30内の圧力が高まり、袋本体1 が変形(膨張)する。
そして、収容部30に対応する位置まで設けられた剥離部20は内フィルム3bのみにより収容部30と遮断されているので、更に加熱調理を続けて収容部30内が一定圧以上に達すると、袋本体1 に作用する変形(膨張)しようとする力により、剥離部20の内フィルム3bが破断する。特に、剥離部20は背貼り部7 の上面7a側の包装シート3 に設けられているので、背貼り部7 の下面側の包装シート3 に上面7a側の包装シート3 の内フィルム3bが引っ張られて、内フィルム3bの破断が的確になされることとなる。
そして、被調理品から発生した蒸気は、破断された内フィルム3bの破断口から剥離部20の外フィルム3aと内フィルム3bとの間に流入し、この外フィルム3aと内フィルム3bを離反せしめつつフィルム3a,3b 間を通過して、外部に的確に排出されることとなる。
【0010】
一方、袋本体1 の収容部30は内フィルム3bにより密閉されているため、通常のボイルやレトルト加熱殺菌処理では、内フィルム3bが破断せず、剥離部20(内フィルム3bと外フィルム3aとの間)に被調理品や蒸気が進入することがない。
【0011】
更に、背貼り部7 の接着部36が、加熱調理時に剥離部20に対応する箇所の内フィルム3bを破断するための破断用接着部分40を有してなることが好ましく、これによって加熱調理時の蒸気により収容部30の包装シート3 同士が離反して袋本体1 が膨張した際に、破断用接着部分40における内フィルム3bが下面側の包装シート3 に引っ張られ、該破断用接着部分40付近の内フィルム3bに破断力が働き、的確に剥離部20における内フィルム3bを破断できる。
【0012】
特に、剥離部20は、該破断用接着部分40付近で破断された内フィルム3bの破断口から流出する蒸気を外部に排出するための蒸気通過部20a と、前記破断口から流出する蒸気を貯留して破断用接着部分40付近に空間を形成可能な蒸気貯留部20b とを具備することが好ましい。
該構成を採用することにより、破断した内フィルム3bの破断口から蒸気が蒸気貯留部20b に流入して、該貯留部20b の外フィルム3aと内フィルム3bとが離反される。この貯留部20b のフィルム3a,3b 同士の離反により、蒸気通過部20a の外フィルム3aと内フィルム3bとを離反せしめる方向に力が作用するため、収容部30の蒸気により破断口が閉塞されることを防止できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
<第一実施形態>
以下、本発明の一実施形態について説明するが、まず、被調理品が包装される本実施形態の包装袋について図面を参酌しつつ説明する。
尚、被調理品としては、例えば麻婆豆腐、中華丼の具、海老チリ、肉団子、カレー、出汁入りおでん、焼きそば、米飯、タレ付き豚角煮、タレ付き焼肉、シチュー、スープ等の各種の食品が挙げられる。
【0014】
前記被調理品を包装する袋本体1は、外フィルム3aと、熱溶着性を有する内フィルム3bとの二層からなる包装シート3 が折畳まれ、図1及び図2に示すように正面視略方形状で周囲が熱溶着によりシールされた袋部5 と、包装シート3 の端部同士が袋部5 の中央部で重ね合わされて接着部36で熱溶着によりシールされた背貼り部7 とから構成されている。
【0015】
前記背貼り部7 は、一対の包装シート3 のうち一方のシート3 が上面7aとなるように袋部5 側に折り畳まれている。具体的には、該背貼り部7は、接着部36で熱溶着された後に、袋部5 側に折り曲げた状態で上面7aの外フィルム3a側からヒートシールバーにより袋部5 の周縁部を熱シールすることにより、一方のシート3 が上面7aとなるように折り癖がつけられ折り畳まれている。
【0016】
尚、本実施形態において、袋部5 及び背貼り部7 の横幅W1 は130mmで、袋部5 の上下長さW2 は170mmであり、背貼り部7 の上下長さW3 は30mmに設けられてなる。
【0017】
また、図中30は、包装シート3 の内面同士が接着されない収容部であり、該収容部30は、袋部5 に形成された袋部側収容部32と、該袋部収容部32と連通して背貼り部5 に形成された背貼り部側収容部34とから構成されてなり、袋部5 の周縁部及び背貼り部7 の接着部36により外部と遮断されてなる。尚、袋部側収容部32は被調理品を収容可能に、背貼り部側収容部34は加熱調理時の被調理品による蒸気によって包装シート3 同士が離反して拡がるように、構成されてなる。
【0018】
更に、前記背貼り部7 の接着部36は、図2(イ)に示すように、背貼り部収容部34と後述する非接着部50を形成すべく、背貼り部収容部34等に対応する箇所に凹部(包装シート3 に接触しない部分)を有するヒートシールバーにより包装シート3 の内面同士が熱溶着されて形成されてなる。
具体的に接着部36は、背貼り部収容部34との縁部の形状が、一方側(図2(イ)右側)から他方側(左側)にかけて、まず、自由端7bから幅21mm (W4)の位置まで自由端7b側に向けて傾斜して、この傾斜部分の端部から略中央部分まで自由端7bに平行となるように設けられ、そして、この平行部分(中央縁36a)の端部から横幅4mmで袋部5 側に向けて7mm連続して突出した突設部分40を有するように設けられており、更に、この突設部分40の端部40a から18mm自由端7bに向けて垂直に向かい、この垂直部分の端部から袋部5 側に傾斜するように、設けられてなる。
接着部36は上記の如き形状に形成されてなるため、突設部分40により背貼り部側収容部34は一方側(左側)の収容部分34A と他方側(右側)の収容部分34B とに区画され、左側の収容部分34A は右側の収容部分34B よりも大きく形成されてなる。尚、加熱調理により膨張した際に、前記突設部分40の内フィルム3bに力が作用しやすく形成されてなり、該突設部分40が請求項2記載の破断用接着部分40に相当する。
【0019】
尚、前記の如く包装シート3 の内面同士が非接着状態にある非接着部50は、前記接着部36に周囲が囲われるように、右側の収容部分34B より自由端7b側において、右側に向け側縁付近まで形成されてなる。
具体的には、該非接着部50は、自由端7bより11mmの位置から袋部5 側に7mmの幅(上下方向)で、左側の収容部分34A より4mmの位置から、右側の側縁より10mmの位置まで、設けられてなる。
【0020】
また、図中20は、背貼り部7 の上面7a側の包装シート3 の外フィルム3aと内フィルム3bとを弱接着状態とする剥離部である。
該剥離部20は、前記袋部5 の中央部から背貼り部7 の自由端7b側に向けて略方形状に設けられた第一剥離部22と、該第一剥離部22から自由端7bにかけて該第一剥離部22よりも幅狭に設けられた第二剥離部23と、第一剥離部22から右側に向けて設けられた第三剥離部24とからなる。
【0021】
ここで、第一剥離部22は、横幅36mm(W5)で、左側の縁部が破断用接着部分40より11mm左側に位置し、右側の縁部が破断用接着部分40より21mm右側に位置するように設けられてなる。
また、該第一剥離部22は袋部5 側の端部22a が破断用接着部分40の端部40a よりも6mm袋部5 側に位置するよう設けられてなる。このように、該第一剥離部22の対応する位置には、前記破断用接着部分40が形成されており、加熱調理により袋本体1 が膨張した際に破断用接着部分40の内フィルム3bに作用する力により、該破断用接着部分40付近の内フィルム3bが破断されるよう構成されてなる。尚、破断用接着部分40よりも袋部5 側の第一剥離部22の部位は、破断用接着部分40付近で破断された内フィルム3bの破断口から流出される蒸気を貯留可能に構成されてなり、かかる部位が請求項2記載の蒸気貯留部20b に相当する。
【0022】
前記第二剥離部23は、背貼り部7 の中央部で横幅12mmで、第一剥離部22と連続して背貼り部7 の自由端7bまで形成されてなり、また前記第三剥離部24は、第一剥離部22と連続して背貼り部7 の奥側の側縁部まで形成されてなる。
このように、第二剥離部23及び第三剥離部24は、背貼り部7 の縁部まで形成され、破断用接着部分40付近で破断された内フィルム3bの破断口から流出する蒸気を外部に排出すべく構成されてなり、この第二及び第三剥離部23,24 と、前記第一剥離部22の破断用接着部分40よりも自由端7b側の部位とが、請求項2記載の蒸気通過部20a に相当する。
【0023】
更に、第三剥離部24は、自由端7bより10mmの位置から9mmの幅(上下方向)で、右側に向けて形成されている。つまり、該第三剥離部24は、前記非接着部50に対応する箇所に設けられ、該非接着部50よりも上下方向の幅が若干広く設けられている。尚、上述の如く、非接着部50は背貼り部7 の側縁まで形成されていないが、第三剥離部24は側縁まで形成されてなる。
【0024】
前記包装シート3 の外フィルム3aとしては、熱可塑性樹脂フィルムから構成されてなり、具体的に本実施形態においては、厚さ15μの二軸延伸ナイロンフィルムを使用している。外フィルム3aとしては、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート、二軸延伸ポリプロピレン、セロファン等の耐熱性を有するフィルムも採用でき、また蒸着加工フィルム、各種のコート加工フィルムや、これらを積層した複層フィルム等を採用しうる。
また、本実施形態において内フィルム3bとして、直鎖状低密度ポリエチレンからなる厚さ30μのフィルムを使用している。尚、内フィルム3bは、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、無延伸ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・メチルアクリレート共重合体、アイオノマー等の熱溶着性フィルムを採用しうる。
【0025】
本実施形態の包装袋は上記構成からなるが、次に該包装袋を製袋する方法について説明する。
外フィルム3aと内フィルム3bとからなる包装シート3 は、まず外フィルム3aの内面にグラビア印刷機により剥離剤を0.1〜5μの厚さで印刷した後に、ドライラミネート機によりウレタン系接着剤を塗布して、これに内フィルム3bを接着することにより、形成される。尚、この剥離剤が塗布された箇所が前記剥離部20として形成される。
尚、外フィルム3aと内フィルム3bとの接着に際しては、上記以外の種々の方法を採用でき、また剥離剤としてはポリアマイド/硝化綿系、アクリル/ポリエチレン、環化ゴム、塩素化ポリオレフィン系等よりなり、前記ウレタン系接着剤等のラミネート用接着剤とフィルムの接着力を無くする又は弱くするものを採用すれば良い。
【0026】
上記の如く外フィルム3aと内フィルム3bとが積層され接着された包装シート3 は、所定幅に切断され巻き取られた後に、図2に示す如く背貼り部7 の剥離剤が塗布された包装フィルム3 が上面7aとなるように折畳まれて、重なり合った端部の内フィルム3b同士が前記接着部36の形状を施したヒートシールバーによって熱溶着されて、背貼り部7 が形成される。
そして、背貼り部7 が剥離部20の形成された包装シート3 を上面7aとして袋部5 側に折り曲げられた状態で、袋部5 の周縁部が熱シールされて、全体として袋状に密封され製袋される。これにより、剥離部20を有する一方のシート3 が上面7aとなるように背貼り部7 に折り癖がつけられる。尚、かかる製袋は、背貼り部7 の形成と同時に又は前後して行なうことも可能であるが、背貼り部7 に折り癖がつけられるような方法を別途行なうことが好ましい。
【0027】
尚、上記製袋と同時に被調理品を充填して、被調理品が充填された包装体を得ることもでき、また、製袋時に周縁部の一部を接着せずに開口或いは接着後に切欠いて開口とした包装袋を形成しておき、この開口部分を充填口として被調理品を充填せしめた後に、該充填口を接着し閉塞して、被調理品が収容された包装体を得ることも可能である。
【0028】
このようにして図3(イ)に示すように被調理品が収容された本実施形態の電子レンジ用包装体が得られる。この包装体は、以下の方法により使用される。
【0029】
包装体内の被調理品を電子レンジで加熱調理すると、まず被調理品から発生する蒸気により収容部30内の圧力が高まり、図3(ロ)に示す如く袋全体が膨張して全体として丸みをもち、蒸気は背貼り部側収容部34にも充満する。
【0030】
更に内部の蒸気により収容部30内が一定圧以上に達すると、破断用接着部分40は内フィルム3b同士が接着されているので、袋全体が膨張しようとする力がこの破断用接着部分40の端部40a の内フィルム3bに作用しやすく、また剥離部20は図4(ロ)に示すように収容部30の内フイルム3b同士の未接着の空間部(背貼り部側収容部34)と内フィルム3bのみを介して遮断されているので、この剥離状態で比較的強度の弱い破断用接着部40付近の内フィルム3bが、下面の内フィルム3bに引っ張られ、図4(ハ)に示すように破断される。
特に、該剥離部20は背貼り部7 の上面7a側のシート3 に設けられてなるので、上記の如き袋本体1 の変形しようとする力が、的確に剥離部20の内フィルム3bに作用して、内フィルム3bの破断が的確になされることとなる。
また、背貼り部側収容部34が袋部側収容部32から上方にかけてテーパー状に狭まった形状で形成され、特に一方側の収容部分34A が自由端7bの近傍まで設けられており、この収容部分34A に蒸気が流入することにより、袋本体1 の膨む力が破断用接着部分40の内フィルム3bに作用しやすい。
【0031】
このように破断された内フィルム3bの破断口から蒸気が流出する。
この破断口から流出した蒸気は、蒸気通過部20a に流入し、該通過部20a の外フィルム3aと内フィルム3bとを離反せしめつつ該通過部20a を通過し、外部に排出されることとなる。
しかも、破断口から流出した蒸気は蒸気貯留部20b にも流入して、該貯留部20b の外フィルム3aと内フィルム3bとを離反せしめる。この貯留部20b のフィルム3a,3b 同士の離反によって、前記蒸気通過部20a に外フィルム3aと内フィルム3bとを離反せしめる方向に力が作用して、収容部30の蒸気による破断口の閉塞が防止される。特に、剥離部20(第一剥離部22)は左右の縁部が破断用接着部分40よりも所定間隔を有するように設けられてなるので、破断口の両側の破断されていない内フィルム3bが、貯留部20b から通過部20a にかけて連続して繋がっているので、貯留部20b が拡がることにより、通過部20a の外フィルム3aと内フィルムとが離反せしめることができる。
【0032】
また、この蒸気通過部20a となる第三剥離部24に対応する箇所に、内フィルム3b同士が接着されない非接着部50が形成されてなるので、内フィルム3bが容易に撓んで、外フィルム3aと内フィルム3bとが離反して、蒸気通路が確実に形成されることとなる。
つまり、蒸気が通過する第三剥離部24に内フィルム3b同士の接着の際のシール圧をかけた場合には、剥離剤は塗布されてなるもののシール圧によって内フィルム3bと外フィルム3aとは疑似接着状態(若干接着された状態)となり、蒸気の通過が若干困難となる。しかも蒸気通路が形成される部位の内フィルム3bが他方の内フィルム3bに接着されると、接着されていない場合に比し内フィルム3bが撓みにくくなる。従って、蒸気の通過が予定される剥離部20と同一箇所に非接着部50を形成しておくことにより、蒸気通路が形成され易くなるのである。
【0033】
尚、蒸気通過部20a となる部位のうち、非接着部50の周囲に設けられた接着部36に対応する箇所及び第二剥離部23においては、内フィルム3bと外フィルム3aとは疑似接着状態にあるものの、上述の如き蒸気貯留部20b に流入する蒸気によりフィルム3a,3b 同士を離反させる力を生じるので、上述の如き問題は少ない。
【0034】
また、加熱調理時に被調理品が沸騰することがあっても、第二剥離部23及び第三剥離部24が第一剥離部22よりも幅狭に設けられているので、蒸気が排出される部位から被調理品が漏洩するおそれは少なく、電子レンジ内部を汚すことは殆どない。
【0035】
一方、上記加熱調理時と異なり、商品販売前に被調理品を通常のボイルやレトルト加熱殺菌処理を行う場合にあっては、内フィルム3bが破断しないので、この内フィルム3bと外フィルム3aとの間に蒸気が進入することがない。
【0036】
しかも、かかる内フィルム3bの破断する圧力は、内フィルム3bの材質等により決定されるので、内フィルム3bの材質、厚み等、或いは剥離剤の種類等を適宜変更することにより、殺菌処理及び加熱調理の圧力に応じたものを製造することができる利点を有する。
【0037】
上記の如き包装体により実験した例について説明する。
【0038】
<実験例>
上記の如き包装体に、麻婆豆腐の具を入れて密封し、これを−20°Cの冷凍室に一昼夜放置し、これを500Wの電子レンジにより加熱した。
加熱後、4分30秒経過時に袋全体が膨らみはじめ、4分45秒経過時に内フィルム3bが破断され、内部の蒸気が抜けて、5分20秒経過時に食べごろの状態となった。
【0039】
<他の実施形態>
上記実施形態は、上述の構成からなるが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の意図する範囲で適宜設計変更可能である。
【0040】
即ち、上記実施形態においては、接着部36で熱溶着して形成された背貼り部7 を袋部5 側に折り曲げた状態で、上面7aの外フィルム3a側から袋部5 の周縁部を熱シールすることで、一方の包装シート3 が上面7aとなるように折り癖をつけて折り畳まれたものについて説明したが、本発明において背貼り部7 の一方のシート3 が上面7aとなるように折り畳む具体的手段は適宜設計変更可能である。例えば、背貼り部7 を形成する際に一方側に折り曲げた状態で背貼り部7 の内フィルム3b同士を熱溶着する方法、又は既に一対の包装シート3 が熱溶着され形成された背貼り部7 を一方側に倒して押圧する方法、或いは背貼り部7 の自由端7b側を袋本体1 の表面に接着する方法等も採用できる。
【0041】
また、上記実施形態において剥離部20が、第二剥離部23と第三剥離部24とを具備するものについて説明したが、上記実施形態の如き第二剥離部23を有さず図5に示す如く背貼り部7 の側縁にかけて形成された第三剥離部24を有するもの、或いは上記第三剥離部を有さず図6に示す如く背貼り部7 の自由端7bにかけて形成された第二剥離部23を有するものであっても本発明の意図する範囲である。
【0042】
更に、剥離部20を背貼り部7 の縁部まで形成せずに、図7に示すように剥離部20の一箇所に切欠26を形成せしめておくことも可能である。このように、切欠26により蒸気の排出部を形成する場合にあっては、図7に示すようなUノッチに限定されず、Iノッチ、Vノッチ、ベースノッチ等の切欠であっても適宜採用し得る。ここで、本発明において、この種のノッチの形状、大きさ、方向の変更等によっても、蒸気の抜けやすさを変更でき、これにより加熱調理時の圧力設定も可能となる。
【0043】
また、上記実施形態においては背貼り部7 の接着部36が破断用接着部40を有するものであったが、本発明はこれに必ずしも限定されるものではない。更に、請求項2記載の如く加熱調理時に剥離部20に対応する箇所の内フィルム3bを破断するための破断用接着部分40を設ける場合であっても、上記実施形態の如く平行部分 (中央縁36a)の端部から突設されるものに限定されず、図5に示す如く接着部36の角部によって破断用接着部分40を構成せしめることも可能である。
但し、破断用接着部分40は、上記実施形態の如く中央縁36a から突設されることが好ましく、これにより収容部30の膨らむ力によって内フィルム3bの破断がより的確になされることとなる。
尚、このように破断用接着部分40を突設せしめる場合にあっても、図8に示す如く中央縁36a と離間した状態で破断用接着部分40を突設せしめることも可能である。また、図11に示す如く直線状の破断用接着部分40を採用することも可能である。尚、図11に示す包装体にあっては、接着部36は袋部5 側の形状が自由端7b側にかけて狭くなり、その中央部36a より方形状に突設された突設部分を有する形状からなり、この突設部分の袋部5 側の一辺が破断用接着部分40として構成されてなる。更には、上記実施形態の如く中央縁と連続した破断用接着部分と図8に示す如く離間した破断用接着部分の双方を設ける、或いは図8に示す如く離間した破断用接着部分を複数設ける等、破断用接着部分40を複数設けることも可能である。
【0044】
更に、上記実施形態においては収容部30の背貼り部側収容部34を一方側の収容部分34A の方が他方側の収容部分34B よりも大きく形成したものについて説明したが、図6乃至図8及び図11に示す如く、該背貼り部収容部34を前後方向に左右対象に設けることも可能である。尚、背貼り部側収容部34は、破断用接着部分40よりも自由端7b側にかけて狭くなるような形状に形成することが好ましく、これにより、袋本体1 の膨らむ力が破断用接着部分40の内フィルム3bを破断させるように作用しやすいという利点を有する。
【0045】
また、上記実施形態においては、破断用接着部分40の袋部5 側の端部40a が剥離部20の端部から6mm、自由端7b側に位置するよう設けられてなるものについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0046】
但し、破断用接着部分40は、剥離部20の端部よりも少なくとも1mm、背貼り部7 の自由端7b側に位置するよう設けることが好ましく、これにより袋本体1 の膨張時に破断用接着部分40に作用する力によって、剥離部20の内フィルム3bが破断されやすいという利点を有する。
【0047】
また、該破断用接着部分40は、内フィルム3bの破断口から流出する蒸気を貯留して空間が形成されるように、剥離部20の端部よりも所定間隔自由端7b側に形成せしめることが好ましい。これにより破断口から流出する蒸気を貯留する蒸気貯留部20b が設けられることとなり、蒸気の排出を確実にすることができる。尚、図5乃至図8に示す包装体にあっては、蒸気通過部20a とともに蒸気貯留部20b が形成されてなる。
【0048】
更に、上記実施形態において、包装シート3 の端部を熱溶着されて背貼り部7 を形成したものについて説明したが、例えば図9に示す如く包装シート3 の中途部を二重に折畳んで、その折畳まれ重なり合った部位Aの内フィルム3b同士を接着して背貼り部7 を形成することも可能である。但し、図9に示す如き包装体にあっては、図5に示す如き第三剥離部24を形成、又は図7に示す如き切欠26を形成等することを要する。尚、図9において各シートの内フィルム及び外フィルムの図示を省略してなる。
【0049】
また、上記実施形態において、蒸気通過部20a となる箇所(第三剥離部24)に対応する箇所に、内フィルム3b同士が接着されない非接着部50を形成してなるものゆえ、上述の如き利点を有したが、本発明はこれに限定されるものではない。更に、図11に示す如く、蒸気通過部20a となる箇所に対応する箇所に弱シール部39を形成することもでき、これにより該弱シール部39における内フィルム3bと外フィルム3aとの疑似接着強度(若干接着される接着強度)が弱いため、加熱調理時に蒸気通路が形成され易いという利点を有する。なお、図11に示す如き包装体は、例えばヒートシールバーにより弱シール部39を一度のみ熱シールし、接着部36を複数回熱シールして、接着部36及び弱シール部39の包装シート3 の内面同士を熱溶着することにより製造することができる。
【0050】
更に、本発明において、一枚の包装シート3 を折り畳んで形成されるものに限定されるものではなく、また背貼り部7 を構成する両方の包装シート3 を多層に設けることも必須ではなく、上面7a側の包装シート3 が多層に構成されてなるものであれば、適宜設計変更可能である。
例えば図10に示すように、袋部側収容部32の下面となる第一包装シート3Aと、袋部側収容部32の上面並びに背貼り部7 の下面側を形成する第二包装シート3Bと、袋部側収容部32の上面並びに背貼り部7 の上面7a側を形成する第三包装シート3Cとからなり、第三包装シート3Cが外フィルム3aと内フィルム3bとにより多層に構成されてなるものであっても本発明の意図する範囲である。
【0051】
また、背貼り部7 の上下面の包装シート3 の双方に剥離部20を形成したものも本発明の意図する範囲であるが、下面側の包装シート3 の内フィルム3bが破断されてしまうと、剥離部20の外フィルム3aと内フィルム3bが離反しにくく蒸気の排出が困難となるため、下面側の包装シート3 に剥離部20を形成せず、上面7a側の包装シート3 のみに剥離部20を形成することが好ましい。
【0052】
【発明の効果】
本発明に係る電子レンジ用包装体にあっては、剥離部を収容部に対応する位置まで設けてなるので、被調理品を電子レンジで加熱調理し、収容部内の圧力一定圧以上に達すると内フィルムが破断し、蒸気が内フィルムと外フィルムとの間の剥離部を通過することとなるため、簡単に電子レンジを使用して被調理品を加熱調理することができるという効果を有する。
特に、背貼り部は剥離部を有する包装シートが上面となるように折り畳まれているので、この上面となる包装シートの内フィルムに袋本体の変形しようとする力が的確に作用するので、上面の包装シートの内フィルムをより的確に破断することができるという効果を奏する。
【0053】
また、本発明に係る電子レンジ用包装体にあっては、商品販売前に被調理品を通常のボイルやレトルト加熱殺菌処理を行っても調理時に蒸気が通過する部位に被調理品が進入することがないので、商品価値を下げないという効果を奏するとともに、内フィルムの材質等により適宜内フィルムの破断する圧力を設定することができ、殺菌処理時に不用意に内フィルムが破断することをも防止できるという効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における電子レンジ用包装袋の斜視図を示す。
【図2】同実施形態の包装袋を示し、(イ)は正面図、(ロ)は右側面図。
【図3】同実施形態の電子レンジ用包装体の使用状態の断面側面図を示し、(イ)は密封状態を示し、(ロ)は加熱調理時の状態を示す。
【図4】同実施形態の電子レンジ用包装体の使用状態の要部拡大側面図を示し、(イ)は密封状態を示し、(ロ)は加熱調理時の状態を示し、(ハ)は内フィルムが破断した状態を示す。
【図5】他実施形態の電子レンジ用包装袋の正面図。
【図6】他実施形態の電子レンジ用包装袋の正面図。
【図7】他実施形態の電子レンジ用包装袋の正面図。
【図8】他実施形態の電子レンジ用包装袋の正面図。
【図9】他実施形態の電子レンジ用包装袋の側面図。
【図10】他実施形態の電子レンジ用包装袋の側面図。
【図11】他実施形態の電子レンジ用包装袋の正面図。
【図12】従来例の電子レンジ用包装袋を示す説明図。
【符号の説明】
1…袋本体、3…包装シート、3a…外フィルム、3b…内フィルム、5…袋部、7…背貼り部、7a…一面、20…剥離部、20a …蒸気通過部、20b …蒸気貯留部、22…第一剥離部、24…第二剥離部、26…切欠、30…収容部、32…袋部側収容部、34…背貼り部側収容部、40…破断用接着部、50…非接着部

Claims (3)

  1. 包装シート(3) により製袋された袋本体(1) の収容部(30)に被調理品が収容されてなる電子レンジ用包装体において、重ね合わされた一対の包装シート(3) の内面同士を接着部(36)で接着して背貼り部(7) が形成されてなり、該背貼り部(7) は外フィルム(3a)と内フィルム(3b)とが接着されて構成された一方の包装シート(3) が上面(7a)となるように折り畳まれてなり、この一方の包装シート(3) は外フィルム(3a)と内フィルム(3b)とが未接着又は弱接着状態の剥離部(20)を背貼り部 (7) 有してなり、しかも該剥離部(20)は、前記収容部(30)に対応する位置まで設けられて該位置における内フィルム (3b) が電子レンジによる加熱調理時に破断し、該内フィルム (3b) の破断口から蒸気が内フィルム (3b) と外フィルム (3a) との間の剥離部 (20) を通過して外部に排出されることを特徴とする電子レンジ用包装体。
  2. 前記背貼り部(7) の接着部(36)は、加熱調理時に剥離部(20)に対応する箇所の内フィルム(3b)を破断するための破断用接着部分(40)を有してなり、且つ前記剥離部(20)は、該破断用接着部分(40)付近で破断された内フィルム(3b)の破断口から流出する蒸気を外部に排出するための蒸気通過部(20a) と、前記破断口から流出する蒸気を貯留して破断用接着部分(40)付近に空間を形成可能な蒸気貯留部(20b) とを具備してなる請求項1記載の電子レンジ用包装体。
  3. 包装シート(3) により製袋された袋本体(1) の収容部(30)に被調理品を収容可能に設けられてなる電子レンジ用包装袋において、重ね合わされた一対の包装シート(3) の内面同士を接着部(36)で接着して背貼り部(7) が形成されてなり、該背貼り部(7) は外フィルム(3a)と内フィルム(3b)とが接着されて構成された一方の包装シート(3) が上面(7a)となるように折り畳まれてなり、この一方の包装シート(3) は外フィルム(3a)と内フィルム(3b)とが未接着又は弱接着状態の剥離部(20)を背貼り部 (7) 有してなり、しかも該剥離部(20)は、前記収容部(30)に対応する位置まで設けられて該位置における内フィルム (3b) が電子レンジによる加熱調理時に破断し、該内フィルム (3b) の破断口から蒸気が内フィルム (3b) と外フィルム (3a) との間の剥離部 (20) を通過して外部に排出されることを特徴とする電子レンジ用包装袋。
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