JP3964052B2 - 漁獲物の陳列保管装置および陳列保管方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、漁獲物の陳列保管装置および陳列保管方法に関し、詳しくは、魚市場における漁獲物の鮮度および安全性を確保した衛生的保管による漁獲物の陳列保管装置および陳列保管方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
魚市場の伝統的形態の一つとして、漁獲物を土間上に直接陳列して、セリにより価格を決定するやり方が一般的であり、この方法が現在も継続されている。通常の産地魚市場の建造物は屋根付きの吹き抜け構造(通称魚舎と呼ばれる)となっている。建造物に囲壁がないため、市場開設中に鼠族・昆虫・鳥獣等による構造物内部への侵入が可能となり、これらの動物を媒体とする細菌伝播および細菌汚染が問題となる。更に、場内外への人・車の出入りが自由であるため、これらによる直接的間接的な漁獲物への交叉汚染も問題となる。
【0003】
このような伝統的市場形態の問題点に対して、建造物に囲壁を設け、鼠族・昆虫・鳥獣等による構造物内部への侵入を防止する囲壁対策と呼ばれる改善策が考慮されつつある。ところが、この対策は、外気温度の高い時期、特に夏場において、囲壁のついた建造物の屋内温度はかなり上昇するため、内部の空調は不可欠となる。したがって、囲壁対策は必然的に多額の設備投資と運用経費を必要とすることになる。
【0004】
次に、非衛生的な典型例として、土間上にじかに漁獲物を陳列する土間セリが挙げられる。これは、土間上の漁獲物の周囲を市場関係者が土足で取り囲み、日本古来の伝統的セリである。
土間セリの問題点は感覚的にも明らかである。現在の魚市場では売買終了後に海水で土間の清掃を行い、翌日の土間セリに備えているが、この程度の対策では土間セリに起因する衛生上の問題点はほとんど解決されない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記の囲壁対策と場内の空調対策は次第に考慮されはじめている。しかしながら、囲壁対策に相当の費用を必要とし、費用対効果に疑問が残る。一方、高価な漁獲物は船上で容器詰めや箱詰めを行い、内部の漁獲物を冷凍や施氷により低温保管することにより、魚市場における土間置きや囲壁に起因する問題点を回避することができる。逆に、安価な漁獲物ほど手間の要らない土間置き売買となる傾向がある。安価な漁獲物のために高価な囲壁対策と土間置き対策が必要という矛盾した現実にぶつかる。
【0006】
そこで、本発明においては囲壁のない従来型魚市場における漁獲物の土間置き問題に絞って、その対策を考えることにする。
土間セリに起因する衛生上および品質上の問題点を整理すると下記のようになる。
1、土間を入念に清掃しても、土間と漁獲物の間に生じる接触汚染の問題は解決しない。
2、土間温度の上昇とともに、漁獲物の品質は劣化する。
3、土間置き陳列は必然的に床面汚水および歩行等の飛沫水による漁獲物汚染を引き起こす。
4、人がたくさんいる市場の開催時間帯といえども、防鼠、防虫、防鳥獣対策を完全に実施することは難しい。
5、土足で漁獲物に触れて、品質を吟味する慣習がある(衛生意識の欠如)。
【0007】
昨今の腸管出血性大腸菌O−157に代表される食中毒の大量発生と消費者意識の高まりを背景に、食品の安全性向上と品質管理の徹底を求める社会的要請は日増しに強まっている。この様な状況の中で、日本の魚市場における伝統的商習慣に基づく食品衛生上の問題点がクローズアップされている。食品の衛生問題の解決法として、HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point;危害分析に基づく重要管理点方式;総合衛生管理製造過程:食品衛生法第七条)が急速に普及しつつある。
【0008】
本発明は土間置きセリ市場における漁獲物の陳列から売買完了および出荷までを一つの工程として、工程内の危害分析を行い、重要管理点を決定し、危害を未然に防止するための方策を提示せんとするものである。
【0009】
本工程の危害分析に基づく問題点は前述の5項目に集約される。また、本工程における重要管理点は漁獲物の温度である。本工程における漁獲物の温度上昇は細菌の増殖、ヒスタミンの生成、品質低下(K値上昇)等の食品の安全に関する重大問題を引き起こす。
【0010】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、土間セリに起因する漁獲物の衛生上および品質上の問題点を解決して衛生的保管を可能にした漁獲物の陳列保管装置および陳列保管方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するべく、本発明の漁獲物の陳列保管装置は、表面に漁獲物を陳列可能な冷却板の内部にブライン通路が設けられた冷却部と、該冷却部の底部に取り付けられた断熱部とで構成され、前記ブライン通路にブラインを供給して前記冷却板を冷却するとともに、
前記冷却板内のブライン通路上方位置に空気通路を配し、該空気通路から冷却板表面に貫通する多数の空気孔を設けるとともに、該空気通路に外部より清浄化した圧力空気を送り込み、表面の多数の空気孔から送出させるようにし、前記冷却部の表面に、魚種毎に区分されている囲壁を配置してなることを特徴とする。
【0012】
更に前記囲壁が、冷却部より小さい囲壁であって、この囲壁で区画された冷却部上に魚種、漁獲者などを区別して陳列するようにしている。また、前記囲壁上に透明な上蓋を設けている。
前記冷却板内に空気通路を形成し、該空気通路から前記冷却板の表面に貫通する空気孔を設け、前記空気通路に空気を送り込み前記空気孔から冷気を送出するようにしている。
【0013】
また、本発明の漁獲物の陳列保管方法は、漁船から水揚げされた魚体を魚市場に搬送し、魚体選別を行った後出荷するまでの流通工程における漁獲物の陳列保管方法であって、表面に漁獲物を陳列可能な冷却板の内部にブライン通路が設けられた冷却部と、該冷却部の底部に取り付けられた断熱部とで構成され、前記ブライン通路にブラインを供給して前記冷却板を冷却するようにした陳列保管装置を前記魚市場に設置し、該陳列保管装置上で前記流通工程を行い、更に前記陳列保管装置の利用終了後に、前記冷却部表面を清浄化した後に、2組の前記陳列保管装置の冷却部表面同士を対向密着させた状態で床面上に設置保管することを特徴とする。
【0014】
【0015】
本発明によれば、前記5個の問題点を解決し、以下の条件を満足する陳列保管装置および陳列保管方法が得られる。
1、土足歩行の影響を受けない構造である。
2、清掃および殺菌が容易に行え、かつ移動が容易な構造である。
3、清掃後から再使用時に至るまでの待機保管期間中に清掃面の再汚染が防止される構造である。
4、漁獲物の温度管理が可能な構造である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して本発明の実施の形態を例示的に説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構造部品の寸法、材質、形状、相対位置などは特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
図1は、セリ用の陳列保管装置の構造の一例を示している。図1(a)において、陳列保管装置Aは、上部の冷却部1と下部の断熱部2とからなる複合構造である。冷却部1は、冷却板1aと、該冷却板1aの内部に設けられたブライン通路1bとで構成され、冷却板1aの表面に漁獲物を陳列して冷却できるようになっている。
【0017】
図1(b)において、ブライン通路1bの入り口には導入管3、出口には排出管4が接続され、各管3、4にブライン循環用の配管(図示せず)に接続するフランジ5が取り付けられている。なお、ブライン通路1bの配置やフランジ5の形状等は現場状況に合わせて最適の設計をすればよく、図示の構造は単なる例示である。
【0018】
ブラインの種類としては漏洩ブラインが漁獲物を汚染することのないように、食品添加物として認可されたものを選定する。例えば、プロビレングリコールや塩化カルシューム等の通常のブラインも使用可能であるが、魚市場で量・価格・入手性に優れ、かつ漁獲物に優しい海水の使用が最適である。
【0019】
前記断熱部2は前記冷却部1から床土間への熱の移動を防止するためのもので、該断熱部2の上面と冷却部1の下面とを密着構造として、両面の接触部に空気等が侵入して結露することがない複合形構造が望ましい。なお、冷却部1の下面構造を波形等にして断熱部2を省いて直接床面上に置くことも考えられるが、床面との接触部および非接触部の熱ロス等を考慮すると、断熱部2を設けることが好ましい。
【0020】
図2は、陳列保管装置Aの他の実施の形態を示す。図2(a)は、冷却部1と床面との間に断熱用の空間部7を設けて、冷却部1と断熱部2を一体構造としたものである。冷却部1には同様にブライン通路1bを設けて表面部を冷却する。断熱性を向上させるために空間部7は真空構造とするか、または空気、窒素、炭酸ガス等の乾燥ガスを充填してもよい。
【0021】
図2(a)において、導入管3は入口側ヘッダ3aに、排出管4は出口側ヘッダー4aに各々接続され、各ヘッダー3a、4aに前記ブライン通路1bが接続されている。図2(b)に示すようにブラインの導入管3および排出管4を空間部7で囲むように配置すると、この部分の断熱材が不要となる。
【0022】
図1および図2に示される陳列保管装置Aに漁獲物を陳列する際に、冷却部1表面の空気の対流作用により空気が下方に流れて冷却部1の表面にぶつかり、冷却部1表面に沿って周囲方向に拡散し、この冷気拡散のため、冷却部1の冷却負荷が増大しやすい。また、冷却部1の表面から上に離れるほど空気の温度は上昇し、上記の冷気拡散とあいまって縦方向の温度勾配はさらに大きくなりやすい。したがって、冷却部1表面上の漁獲物は接触面の近傍のみ冷却され、冷却面から離れるほど魚体温度が上昇するという現象が起こりやすい。この漁獲物自体の温度差は衛生および鮮度保持の点から問題であるので、以下のような手段で解決している。
【0023】
図3(a)において、陳列保管装置Aの外周部に適当な高さの囲壁8を立設している。このように囲壁8で陳列保管装置Aを取り囲むことにより、冷気が外周部から拡散するのを防止でき、囲壁8内部における空気の縦方向の温度勾配が小さくなり、漁獲物10の温度はほぼ各部均一に維持されることになる。また、図3(b)は、冷却部1より小さい囲壁8を冷却部1上に設置し、この囲壁8で区画された冷却部1A上に魚種、漁獲者などを区別して陳列するようにしてもよい。
【0024】
セリ関係者および運搬車等による床面からの飛沫水や種々の異物混入、鼠族・鳥獣・昆虫・空気・風雨等による直接的間接的な交叉汚染等を防止するには、図3(b)及び図3(c)に示すように、囲壁8上に上蓋9を取り付けることが好ましい。この上蓋9は、内部の状態を確認できるように透明な材質が望ましい。この上蓋9は分離された一枚板でも蝶番で両者を結合した構造でも良く、また、囲壁8と一体にした構造のものでも良い。このような上蓋9付きの囲壁8の内部の冷却部1A上に漁獲物を陳列することにより、前記の5つの問題点はいずれも解決されることになる。
【0025】
図4は陳列保管装置Aの他の実施の形態を示す。漁獲物10が縦方向に大きな形状を有する場合や漁獲物が山積みとなるような場合は、蓋付き囲壁の利用だけでは漁獲物の均一な冷却が難しい場合がある。本実施の形態では、冷却板1a内にブライン通路1bの上方位置に空気通路11を配し、この空気通路11から冷却板1a表面に貫通する多数の空気孔12を設けている。空気通路11に外部より適量の清浄化した圧力空気を送り込み、表面の空気孔12から送出させる。送入された空気は冷却部1内部を通過中に冷却され、空気孔12から冷気が噴出する。前記の蓋9付き囲壁8との併用により、囲壁8内の温度を強制的に均一化することができる。しかも、漁獲物の陳列条件や陳列状態に合わせて、囲壁8の高さと送入空気量を適度に調整することにより、漁獲物全体の温度を均一かつ安定的に維持することが可能となる。
【0026】
漁獲物をHACCPに基づいて管理しようとする時、一般的衛生管理基準に基づいて設置を管理する必要がある。本発明に係る漁獲物の保管方法の最重要の管理事項は冷却板1aの清掃管理である。このため、HACCPの手法に基づいて清掃管理マニュアルを作成し、市場業務の終了後にマニュアルの手順通りに装置表面部を清掃(洗浄、殺菌、乾燥等の一連の作業)する必要がある。本陳列保管装置Aは屋根付き吹き抜け構造の従来市場における土間置き対策としての利用を前提としている。したがって、清掃後の装置をそのままの状態で放置すると、必然的に歩行者、運搬車、鼠族、昆虫、鳥獣、風雨等により再汚染されることになる。このような不都合を回避するために、以下のような手段を採用することが好ましい。
【0027】
図5において、陳列保管装置の洗浄後から翌日の使用時までの保管、すなわち、装置の非使用時間帯における保管は、二組の陳列保管装置A1、A2の冷却部1表面を対向密着させた状態で行われる。この時冷却部1は図示のごとく床上に水平状態で置かれても良いし、垂直状態で置かれても良い。このような作業の遂行に際しては陳列保管装置A1、A2の移動が必要となるので、図の如くブラインの入口部および出口部にフレキシブルチューブ14などを用いて移動を容易にするか、陳列保管装置(負荷)側と冷熱供給側にそれぞれ止弁15、16を取り付け、これら止弁15、16の間の部分で両者を分離する等の構造を採用することが好ましい。さらに移動を容易にするための運搬具や吊具17等の取り付けてもよい。
【0028】
陳列保管装置Aの冷熱源システムについても設備費および運転経費が最少となるシステムが好ましい。図6は冷熱源システムを示している。本冷熱源システムは安価な夜間電力を用いて蓄熱し、魚市場の活動と同時に冷ブレインを陳列保管装置に供給し、漁獲物を氷温近傍の最適温度に陳列保管することができるようにしたものである。
【0029】
図6(a)において、蓄熱タンク20内に設けられた製氷用熱交換器21に冷凍装置18から直接に冷媒を供給する。ブラインとして海水を利用すると、マイナス2°Cからマイナス8°Cの温度範囲で純粋氷が熱交換器表面に形成される。ポンプ22を起動すると直ちに凍結温度状態のブラインが陳列保管装置Aのブライン通路1bに送られる。冷却部1上に陳列される漁獲物は鮮魚が多く、魚体が凍結すると商品価値が低下することが多い。このような場合は、魚体が凍結直前の温度に維持されるように陳列保管装置Aへのブライン流量を調節する必要がある。ブラインの凍結点はそのときの濃度により決定されるから、状況に応じて適当なブライン濃度を決定すればよい。
【0030】
図6(b)は冷凍装置18のブラインチラーで冷却されたブラインを蓄熱タンク20に送り、蓄熱タンク20内に充填された蓄熱材(粒状、棒状、板状)23を凍結させて、潜熱蓄熱を行うものである。通常蓄熱材23の内部には水、その他の液状媒体が充填されており、蓄熱時はこれらの液状媒体が凍結されることにより蓄熱が進行する。
【0031】
図6(c)は独立した製氷機19を用いて、スラリー氷を作り、蓄熱タンク20にスラリー氷25を貯蔵する。製氷機19内の熱交換器24の外部を冷媒で冷却し、内部にブラインを循環させてスラリー状の氷を製造する。スラリー型の製氷機19は横形、縦形のいずれも可能である。製氷機19内部の熱交換器24に形成された氷の脱氷方式は機械的方式、デフロスト方式のいずれでも可能である。負荷側へ送るブラインは氷を含まないのが普通であるが、陳列保管装置Aの冷却面の面積や長さが大きい時、冷却板表面上の温度むらのある時、季節的負荷の上昇による能力不足が発生したときなどに、適当な氷含有率を有するスラリー状ブラインを直接ブライン通路1bに送り込むと効果的である。
【0032】
図6(d)は過冷却式の製氷機19を使用した例である。過冷却状態のブラインを過冷却解除・分配板27にあてると過冷却状態が解除されてスラリー氷25が生成される。
【0033】
図7は本発明装置を魚市場に適用した一例を示したものである。夜間の安価な電力を用いて冷凍装置(ブラインチラー)18を運転して、ブラインタンク兼用の製氷機19内に氷を貯蔵し、早朝の魚市場開設にともないブラインポンプ22を起動して複数の陳列保管装置Aにブラインを供給する。
ブライン供給ヘッダー26および戻りヘッダー27は固定式とし、各ヘッダー26、27の枝管部には止弁30をつける。同様に、各陳列保管装置Aの出入りには止弁31を付けて、両者の間をフレキシブルチューブ32で結ぶ。フレキシブルチューブ32の一端にワンタッチで取り外し可能な結合端子(図示せず)を採用すると、陳列保管装置Aの移動が必要な時はこの部分で簡単に切り離すことができる。
【0034】
冷却部1の表面が規定の温度に達したら、陳列保管装置A上に魚種、大きさ、荷主ごとに図3に記載されている構造の囲壁8を配置して、漁船35から水揚げされ、運搬車36で搬送されてきた漁獲物10を適当に区画陳列する。囲壁8には上蓋9を取り付けて、漁獲物の鮮度維持と歩行飛沫や鳥・昆虫等による落下異物の混入等を防止することが好ましい。このような陳列方法とすることにより、土足で陳列物に触れるなどの行動を防止できると同時に、市場関係者の衛生意識の向上を期待できる。また、陳列物が多層となる場合や陳列品の座高が高い時は図4に示される空気孔12から冷気を送り込み、陳列品全体に渡り冷却効果が均一になるようにする。
【0035】
市場業務の終了後に床表面および冷却板1a表面の清掃および殺菌を行い、表面を乾燥させる。清掃の順序および方法、洗剤・殺菌剤の種類、量および保管法、実施の確認等はHACCPの一般的衛生基準にのっとり衛生マニュアルを作成し、マニュアルの手順に従い清掃を実施する。
【0036】
清掃作業の完了した陳列保管装置Aは図5に示されるように、冷却板1a表面を対向密着させて二枚一組の状態で次の使用時まで保管する。清掃および組み合わせ作業時にブライン配管が邪魔となる時は止弁15(31)の手前で配管を外せばよい。この時若干のブラインが漏洩する可能性があり、また、冷却板1aが損傷してブラインが漏洩した場合を含めて、ブラインの漏洩による漁獲物を汚染する可能性があるので、ブラインは食品添加剤として認可されたものである必要がある。清浄な海水は無害であり、好塩性の腸炎ビブリオ菌などを除けば、通常の細菌に対しては抗菌作用がある。魚市場における海水は入手性、費用、安全性などの観点から優れた洗浄剤であり、さらに、ブラインとしても優れている。海水はマイナス2℃程度の温度で凍結し、時間の経過とともに凍結量は増加するが、凍結温度はあまり変わらない。例えば、40%の水分を凍結させた時(IPF40%;IPF:氷含有率)の海水温度はマイナス5℃程度であり、濃度変化による凍結温度差はプロピレングリコールと大差はない。したがって、魚市場における冷却用ブレインとしては浄化された自然海水が最適である。
【0037】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明によれば、ブラインで冷却される冷却板と断熱部からなる陳列保管装置を用いて漁獲物を陳列することにより、漁獲物の鮮度保持と衛生的陳列が可能となり、屋根付き吹き抜け構造の従来市場において、冷却された陳列保管装置を用いることにより、従来の土間置き漁獲物のセリ形態に固有な衛生および鮮度に関する全ての問題点を解決することが可能となり、市場建造物自体の囲壁対策や空調対策を行うことなく安価かつ容易に、漁獲物のHACCP管理と鮮度向上が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の陳列保管装置の第1実施の形態を示す斜視図で、(a)は陳列保管装置の本体部分の斜視図、(b)はブライン出入口部分を設けた斜視図である。
【図2】 (a)は陳列保管装置の第2実施の形態を示す斜視図、(b)は(a)のX−X線断面図である。
【図3】 (a)、(b)および(c)は各々囲壁の3構造例を示す斜視図である。
【図4】 陳列保管装置の第3実施の形態を示す斜視図である。
【図5】 非使用時における陳列保管装置の設置保管状態を示す斜視図である。
【図6】 (a)、(b)、(c),(d)は各々陳列保管装置の冷熱源システムの4例を示す系統図である。
【図7】 陳列保管装置の魚市場における使用例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 冷却部
1a 冷却板
1b ブライン通路
2 断熱部
3 導入管
4 排出管
8 囲壁
9 上蓋
11 空気通路
12 空気孔
35 漁船
Claims (4)
- 表面に漁獲物を陳列可能な冷却板の内部にブライン通路が設けられた冷却部と、該冷却部の底部に取り付けられた断熱部とで構成され、前記ブライン通路にブラインを供給して前記冷却板を冷却するとともに、
前記冷却板内のブライン通路上方位置に空気通路を配し、該空気通路から冷却板表面に貫通する多数の空気孔を設けるとともに、該空気通路に外部より清浄化した圧力空気を送り込み、表面の多数の空気孔から送出させるようにし、前記冷却部の表面に、魚種毎に区分されている囲壁を配置してなることを特徴とする漁獲物の陳列保管装置。 - 前記囲壁が、冷却部より小さい囲壁であって、この囲壁で区画された冷却部上に魚種、漁獲者を区別して陳列するようにしたことを特徴とする請求項1記載の漁獲物の陳列保管装置。
- 前記囲壁上に透明な上蓋を設けたことを特徴とする請求項2記載の漁獲物の陳列保管装置。
- 漁船から水揚げされた魚体を魚市場に搬送し、魚体選別を行った後出荷するまでの流通工程における漁獲物の陳列保管方法であって、表面に漁獲物を陳列可能な冷却板の内部にブライン通路が設けられた冷却部と、該冷却部の底部に取り付けられた断熱部とで構成され、前記ブライン通路にブラインを供給して前記冷却板を冷却するようにした陳列保管装置を前記魚市場に設置し、該陳列保管装置上で前記流通工程を行い、更に前記陳列保管装置の利用終了後に、前記冷却部表面を清浄化した後に、2組の前記陳列保管装置の冷却部表面同士を対向密着させた状態で床面上に設置保管することを特徴とする漁獲物の陳列保管方法。
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