JP3963324B2 - アミラーゼの測定用試薬および測定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はアミラーゼ活性の測定試薬及び測定方法に関する。詳しくは、高いアミラーゼ活性を呈する試料のアミラーゼ活性を希釈することなく直接測定する試薬及び方法に関する。加えて本発明は、測定した唾液アミラーゼ活性値より、被験者のストレスを測定する方法に関する。
【0002】
【従来技術】
アミラーゼ(酵素番号EC3.2.1.1)は膵・唾液腺などで分泌され、主に唾液腺・膵に分布し、その他にも筋肉・卵巣・卵管などに存在していることが知られており、組織から逸脱したアミラーゼが血中や尿中に存在していることも知られている。一部の膵臓・唾液腺、腎・肝機能障害、腫瘍などの疾患においては、血清中や尿中・膵液中のアミラーゼ値が高値を示すことが知られている。これらのアミラーゼ活性の測定方法としては、従来よりCaraway法やオリゴ糖基質を用いた酵素法などが知られている。これらの方法はいずれも数千IU/Lまでのアミラーゼ活性を測定でき、正常値が数十から数百IU/L程度の血清・膵液・尿試料などの測定に用いられてきた。
【0003】
近年の研究より、唾液アミラーゼ活性値が、被験者のストレスと相関しているとの報告がされており〔医用電子と生体工学 39(3), p234-239(2001)、山口昌樹 他〕、唾液試料中のアミラーゼ活性値を測定する方法が望まれている。
しかしながら、唾液中のアミラーゼ活性値は、正常値が数万IU/Lとなるため、従来のアミラーゼ測定法では直接測定することは不可能であった。そのため、試料を希釈するなどの余分な操作が必要となるうえ、数百倍の希釈が必要なため測定精度の低下を招くという問題点が存在する。
【0004】
【発明が解決しようとしている課題】
本発明の課題は、唾液などの生物学的試料中に存在するアミラーゼ活性をより簡便に測定する手段を提供するものであり、特に、高濃度にアミラーゼを含有する試料を希釈することなくそのまま測定する手段(方法、試薬)を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決する方法】
本発明者らは、修飾オリゴ糖基質を用いた酵素法において、オリゴ糖基質と競合するオリゴ糖などの糖類を添加することにより、高活性値のアミラーゼ試料のアミラーゼ活性を希釈することなく直接測定する方法を見いだし、本発明に到達した。
【0006】
すなわち、本発明は、
「1.基質である修飾オリゴ糖及び該修飾オリゴ糖と拮抗して競合的に作用する競合阻害剤を少なくとも含み、
該基質及び該競合阻害剤が、支持体に担持されている状態であり、
該修飾オリゴ糖が、G2〜7から選ばれるオリゴ糖であって、還元末端が色原体で修飾されており、
該競合阻害剤が、オリゴ糖又はでんぷんであることを特徴とする唾液中のアミラーゼ測定用試薬。
2.競合阻害剤が、分子構造が基質の分子構造と類似している糖類である請求項1の唾液中のアミラーゼ測定用試薬。
3.基質を2〜500mmol、競合阻害剤を0.01〜2molの比率で含有する請求項1又は2に記載の唾液中のアミラーゼ測定用試薬。
4.色原体が、4−ニトロフェノール(PNP)、2−クロロ−4−ニトロフェノール(CNP)、2,4−ジクロロフェノール(Cl2P)から選ばれる請求項1に記載の唾液中のアミラーゼ測定用試薬。
5.修飾オリゴ糖が、以下から選ばれる請求項1〜3の何れか一に記載の唾液中のアミラーゼ測定用試薬;
2−クロロ−4−ニトロフェノール−4−O−β−D−ガラクトピラノシルマルトサイド(以下 GAL−G2−CNP)、GAL−G4−CNP、GAL−G5−CNP、G5−CNP、G6−CNP、G7−CNP、G5−PNP、G7−PNP。
6.競合阻害剤であるオリゴ糖が、三糖以上である請求項1に記載の唾液中のアミラーゼ測定用試薬。
7.競合阻害剤であるオリゴ糖が、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオースから選ばれる請求項1に記載の唾液中のアミラーゼ測定用試薬。
8.競合阻害剤であるオリゴ糖が、マルトースである請求項1に記載の唾液中のアミラーゼ測定用試薬。
9.請求項1に記載のアミラーゼ測定用試薬を用いる唾液中のアミラーゼの測定方法。
10.請求項9に記載のアミラーゼの測定法によって、人唾液中のアミラーゼ活性を測定することを含む、被験者のストレスレベルの検定方法」からなる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明においてアミラーゼとは、主にヒト唾液腺や膵腺より分泌されるα−アミラーゼが代表的である。アミラーゼはデンプン、アミロースなどの多糖類を加水分解する分子量54,000〜62,000の消化酵素である。唾液中のアミラーゼ活性値は、体調による変動や、個人差が非常に大きい事が知られている。正常値は数万IU/L程度であるが、体調や、体質によっては、健常人においても10万IU/Lを越える事があることが知られている。
【0008】
本発明において使用されるアミラーゼ活性測定のための基質は、修飾オリゴ糖が使用される。修飾とは、オリゴ糖の末端、還元末端に識別標識化合物が結合されていることを意味し、アミラーゼ又は共役酵素によって遊離されうる。修飾オリゴ糖の糖数はG2〜G7であり、好ましくはG2〜G5である。修飾化合物は、色原体といわれるものが一般的に使用でき、好適な基としては、4−ニトロフェノール(PNP)、2−クロロ−4−ニトロフェノール(CNP)、2,4−ジクロロフェノール(Cl2P)が例示される。このような色原体で修飾されたオリゴ糖の具体例としては、2−クロロ−4−ニトロフェノール−4-O-β-D-ガラクトピラノシルマルトサイド(以下 GAL−G2−CNP)、GAL−G4−CNP、GAL−G5−CNP、G5−CNP(2−クロロ−4−ニトロフェニル−マルトペンタオース)、G7−CNP、G5−PNP(p−ニトロフェニル−マルトペンタオース)、G6−CNP(2−クロロ−p−ニトロフェニルマルトテトラオース)、G7−PNPがあげられる。このうち、特に、アミラーゼによる加水分解時の切断箇所が1箇所に限定されるGAL−G2−CNPやGAL−G4−CNPなどが好ましい。
【0009】
修飾オリゴ糖を一般式で表すと以下となる。
【化1】
【0010】
式中のR1、R2はそれぞれ水素原子あるいは保護基を示す。保護基は格別限定されるものではないが、例えば、非置換または置換の低級アルキル基、低級アルコキシル基またはフェニル基、アジド基、ハロゲン原子、N-モノアルキルカルバモイルオキシ基、アルキル若しくはアリールスルホニルオキシ基またはアルキルオキシ基、α-グルコシル基、α-マルトシル基、β−ガラクトシル基であり、R1、R2は互いに架橋していてもよく、該架橋基にはさらに置換基を有していてもよい。R3はシグナル発生基、例えば光学的にシグナルを検出可能な基(好適には発色性芳香族基)であり、nは0〜5である。上記式では-OR3は、還元性末端グルコースの1位にβ-結合したものであるが、α-結合したものであってもよい。
【0011】
本発明で、基質の反応性に対して競合的に作用する競合阻害剤とは、アミラーゼが、基質である修飾オリゴ糖と拮抗して競合的に作用しうる化合物を意味し、例えば分子構造が基質の分子構造と類似している糖類が好適に例示される。具体的には、修飾オリゴ糖に使われたオリゴ糖以外のオリゴ糖或いはでんぷんが例示される。そして、オリゴ糖は2以上の糖を含むもの、好ましくはG2〜G7、より好ましくはG2〜G5が使用される。具体的には、マルト−ス、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオースであり、最適にはマルトトリオースが例示される。なお、G2化合物は、一般的には基質には適していないが、本発明では驚いたことにきわめて好適な競合阻害剤となりえた。
【0012】
本発明のアミラーゼ測定試薬における、基質と競合阻害剤の存在比率は、競合阻害剤が基質の存在量に比して大過剰で、1.5〜100倍、好ましくは2〜50倍、より好ましくは2〜10倍量である。具体的には、基質を2〜500mmol、競合阻害剤を0.01〜2molの比率で含有する。液状の試薬の場合、基質量は、通常は0.05mM〜1M程度、好ましくは2〜500mMの濃度になるように調製される。
【0013】
本発明のアミラーゼ測定試薬において、基質と競合阻害剤は液状又は支持体に担持されている状態である。液状とは、試験管等の試料採取用容器にあらかじめ基質と競合阻害剤を水溶液又は最適安定化条件の水溶液若しくは緩衝液中に存在させることをいい、該容器に唾液等の試料を希釈することなくそのまま添加し、アミラーゼ反応をおこさせる。支持体に担持とは、水不溶性の有機又は無機担体に基質と競合阻害剤が固定化又はトラップされている状態をいう。そして支持体の形状は、薄膜が好適であり、厚さ100〜500μm、好ましくは150〜400μmである。薄膜は、一般的に遊離する修飾物質の発色を色判別センサーで測定することから、光の乱反射が制御されたものが好ましく、膜表面が出来る限り均一なものが良い。薄膜の材質は、紙、ニトロセルロース、ナイロン、多孔性ガラス等が好適に例示されるがこれに限定されず、本発明で定義する基質と競合阻害剤を効率的に担持又は保持できるものであれば広く利用可能である。
【0014】
本発明の測定方法における反応は、競合阻害剤である糖類を反応系に加える(存在させる)ことにより、試料中のアミラーゼが、修飾オリゴ糖基質だけではなく、競合阻害剤であるオリゴ糖も分解する。つまり基質と競合阻害剤であるオリゴ糖が反応を競合し、同じ基質量でより高いアミラーゼ活性を測定することが出来るようになるのである。
【0015】
本発明の測定方法における反応温度は、特に限定されないが、好ましくは約25〜40℃である。反応時間は、1〜10数分で十分であるが、基質および所望により使用される共役酵素の種類に依存する。反応至適pHは特に限定されないが、液状の試薬では、所望により適当な緩衝液でpH6〜8に調節しても良い。さらに、所望により、反応の促進のために、公知のα-アミラーゼの活性化剤を用いてもよい。
【0016】
本発明の測定方法における測定は、修飾物質であるCNPやPNP等の色源体の遊離による、試料液又は試料支持体の発色による光吸度変化を量的にとらえアミラーゼ活性を決定する。通常は、大過剰のアミラーゼの作用によって、この色原体の遊離は可能であるが、所望により、アミラーゼの加水分解反応後に、アミラーゼとα−グルコシダーゼ、β−グルコシダーゼ等によって色原体を遊離させる反応を含んだ共役酵素法が用いられることもある。この場合は、追加の酵素を試薬として添加する手段の導入が必要となる。
【0017】
発色による変化の測定は、色判別センサーが好適に利用される。支持体による発色の変化は反射光又は透過光によって測定することが便宜であり、光源には発光ダイオード、反射光を計測する場合には角度が0〜45度、測定対象との距離が10〜30mm、試料スポット径が1〜5mmの条件を満足する測定装置が好適に用いられる。
【0018】
かくして提供される本発明の試薬を利用したアミラーゼの測定方法は、生物学的試料として、高濃度にアミラーゼを含有する試料に適している。例えば、唾液、血液、尿等がサンプルになりうるが、唾液がもっとも好ましい。本発明ではこれら試料を希釈することなく直接測定することが可能である。
【0019】
人唾液中のアミラーゼ活性を簡便に測定することを可能とする本発明は、被験者のストレスレベルの検定方法のための簡便・効果的な手段を可能とする。具体的には、被験者の安静時に採取した唾液中のα-アミラーゼ活性を測定し、その活性値を記録、記憶して基準値とする。然る後に被験者の任意の状態におけるα-アミラーゼ活性を測定し、安静時に記録、記憶した基準値と比較する。基準値より酵素活性が大きければ、不快なストレス(distress)を受けていると判定し、小さければ、快適なストレス(eustress)を受けていると判定できる。また、基準値との差が大きいほど、受けているストレスも大きく、身体または精神に受けているストレスの程度も判定できる。
【0020】
また、連続してα-アミラーゼ活性を測定することにより経時的なストレスの変化を捉えることができる。不快なストレスを受けると唾液中のα-アミラーゼ活性が上昇する。この際の正の時間勾配の大きさによってストレスの大きさの程度を判定することができる。逆に快適なストレスを受けている場合はα-アミラーゼの酵素活性が低下するので、負の時間勾配として現れ、同様にその大きさの程度も判定できる。
【0021】
更には経時的にα-アミラーゼ活性を測定し、測定時間内に加えられた任意のストレスによる酵素活性変化を捉え、ストレス負荷前の値(基準値)に戻るまでの時間・変化の大きさからストレスの大きさの程度を判定することができる。
【0022】
【実施例】
以下に本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、基質である修飾オリゴ糖と拮抗して競合的に作用する競合阻害剤を含む酵素法によるアミラーゼ測定法に関する限り全て本発明の技術思想に包含される。
【0023】
【実施例1】
アミラーゼ測定試薬であるエスパ・アミラーゼ・リキッドII(ニプロ株式会社)の第1、第2試薬に、以下の糖類を添加し、基質と競合阻害剤を含む試薬液(▲1▼〜▲3▼)を調製した。
試薬▲1▼ それぞれ0.5mol/Lのマルトトリオースを溶解した。
試薬▲2▼ それぞれ0.5mol/Lのマルトテトラオースを溶解した。
試薬▲3▼ それぞれ0.5mol/Lのマルトペンタオースを溶解した。
【0024】
【実施例2】
アミラーゼ測定試薬であるエスパ・アミラーゼ・リキッドII(ニプロ株式会社)の第1、第2試薬に、以下の糖類を添加し、基質と競合阻害剤を含む試薬液(▲4▼〜▲5▼)を調製した。
試薬▲4▼ それぞれ0.1mol/Lのマルトトリオースを溶解した。
試薬▲5▼ それぞれ0.1mol/Lのマルトテトラオースを溶解した。
試薬▲6▼ それぞれ0.1mol/Lのマルトペンタオースを溶解した。
【0025】
【実施例3】
以下の調製方法で基質と競合阻害剤を支持体に担持させた試薬▲7▼(試験紙)を調製した。
70 mmol/LのGal-G2-CNP、3.5 mol/LのKSCN、1 mol/Lのマルトテトラオースをバッファーに溶解した溶液に、Advantec Filter Paper 514A(東洋濾紙社)を3分間含浸させた後に乾燥させた。この試験紙を7mmx7mmに切断した。
【0026】
【実施例4】
以下の調製方法で基質と競合阻害剤を支持体に担持させた試薬▲8▼(試験紙)を調製した。
140 mmol/LのGal-G2-CNP、7 mol/LのKSCN、0.5 mol/Lのマルトペンタオースをバッファーに溶解した溶液に、Advantec Filter Paper 514A(東洋濾紙社)を3分間含浸させた後に乾燥させた。この試験紙を7mmx7mmに切断した。
【0027】
【試験例1】
以下の処理により、実施例1の試薬を使ってアミラーゼ活性の測定をおこなった。
1. 5人の健常人より唾液試料を採取した(試料a〜e)。
2. 上記試料および陰性対象(生理食塩水)のアミラーゼ活性値を、アミラーゼ測定試薬エスパ・アミラーゼ・リキッドII(ニプロ株式会社)で測定した(コントロール)。エスパ・アミラーゼ・リキッドIIは、Gal-G2-CNPを用いた酵素法によるアミラーゼ測定試薬であり、2000IU/Lまでのアミラーゼを測定できる。測定には自動分析装置7170(日立)を用いた。そのままでは測定限界を超えるため測定できないので、各試料を1%(W/V)BSA(牛血清アルブミンの1%(W/V)生理食塩水溶液を意味する。以下同様)で100倍希釈したものを代わりに測定した。測定結果は表1に示した。試料a〜eのアミラーゼ活性値は、それぞれ21800, 59700, 73200, 116000,151000 IU/Lである。
【0028】
【表1】
【0029】
3. 実施例1の試薬▲1▼〜▲3▼を用いて試料a〜eを、希釈せずにそのアミラーゼ活性値の測定を行った。測定には自動分析装置7170(日立)を用い、分析機のパラメーターなどの測定条件は2.と同様とした。測定結果は表2の通りである。
【0030】
【表2】
【0031】
エスパ・アミラーゼ・リキッドIIによる100倍希釈試料の測定結果と、試薬▲1▼〜▲3▼による測定結果の相関図は図1〜図3の通りである。各結果は、ともに相関係数r=1.00, 1.00, 1.00となり高い相関が示された。各試薬の測定値をそれぞれ、171、361、473倍すれば、従来法とほぼ等しい値となる。本発明試薬は、試料を希釈することなく直接唾液検体のアミラーゼ活性値を測定できる事が示された。
【0032】
【試験例2】
以下の処理により、実施例2の試薬を使ってアミラーゼ活性の測定をおこなった。
1. 3人の健常人より唾液試料を採取した(試料f〜h)。
2. 上記試料および陰性対照試料(生理食塩水)のアミラーゼ活性値を、アミラーゼ測定試薬エスパ・アミラーゼ・リキッドII(ニプロ株式会社)で測定した。測定には自動分析装置7170(日立)を用いた。そのままでは測定限界を超えるため測定できないので、各試料を1%(W/V)BSAで100倍希釈したものを代わりに測定した。測定結果は表3に示した。
【0033】
【表3】
【0034】
3. 実施例2の試薬▲4▼〜▲6▼を用いて各試料を希釈せずにそのアミラーゼ活性値の測定を行った。測定には自動分析装置7170(日立)を用い、測定条件は2.と同様とした。測定結果は表4に示した。HIは測定限界を超えたために測定不能であったことを示す。
【0035】
【表4】
【0036】
エスパ・アミラーゼ・リキッドIIによる100倍希釈試料の測定結果と、試薬▲4▼〜▲6▼による測定結果の相関は図4〜6の通りである。r=0.99, 0.99, 0.98となり高い直線性が示された。各試薬の測定値をそれぞれ、14、20、50倍すれば、従来法とほぼ等しい値となる。本発明試薬は、試料を希釈することなく直接唾液検体のアミラーゼ活性値を測定できる事が示された。
【0037】
【試験例3】
以下の処理により、実施例1の試薬を使ってアミラーゼ活性の測定をおこなった。
1. 試験例1で用いた唾液試料dを、1%(W/V)BSAで0.2, 0.4, 0.6, 0.8倍濃度となるように希釈した。
2. 上記試料および陰性対照試料(生理食塩水)のアミラーゼ活性値を、アミラーゼ測定試薬エスパ・アミラーゼ・リキッドII(ニプロ株式会社)で測定した。測定には自動分析装置7170(日立)を用いた。そのままでは測定限界を超えるため測定できないので、各試料を1%(W/V)BSAで100倍希釈したものを代わりに測定した。測定結果は表5に示した。
【0038】
【表5】
【0039】
3. 同様に、実施例1で調製した試薬▲3▼を用いて各試料を希釈せずにそのアミラーゼ活性値の測定を行った。測定には自動分析装置7170(日立)を用い、測定条件は2.と同様とした。測定結果は表6に示した。
【0040】
【表6】
【0041】
エスパ・アミラーゼ・リキッドIIによる100倍希釈試料の測定結果と、試薬▲3▼による測定結果の相関は図7の通りであり、r=0.99となり高い直線性が示された。試薬▲3▼の測定値を473倍すれば、従来法とほぼ等しい値となり、本発明試薬は、希釈することなく直接唾液検体のアミラーゼ活性値を測定できる事が示された。
【0042】
【試験例4】
以下の処理により、実施例3の試薬を使ってアミラーゼ活性の測定をおこなった。
1. 健常人より唾液試料を採取し(試料i)、各試料を1%(W/V)BSAで0.2, 0.4, 0.6, 0.8倍に希釈した。
2. 上記試料のアミラーゼ活性値を、アミラーゼ測定試薬エスパ・アミラーゼ・リキッドII(ニプロ株式会社)で測定した。測定には自動分析装置7170(日立)を用いた。そのままでは測定限界を超えるため測定できないので、各試料を1%(W/V)BSAで100倍希釈したものを代わりに測定した。測定結果は表7に示した。
【0043】
【表7】
【0044】
3. 試薬▲7▼を用いて1.の試料のアミラーゼ活性値の測定を行った。測定にはKEYENCE社の色判別センサーCZ-V1のCモードを用いた。実施例3の試薬▲7▼に3μLの試料を滴下し、反応前と反応1分後のセンサーの測定値の差を計測した。結果は表8に示した。
【0045】
【表8】
【0046】
エスパ・アミラーゼ・リキッドIIによる100倍希釈試料の測定結果と、試薬▲7▼による測定結果の相関は図8に示した。r= 0.98となり高い相関が示された。
試薬▲7▼の測定値を2100倍すれば、従来法とほぼ等しい値となり、本発明試薬は、希釈することなく直接唾液検体のアミラーゼ活性値を測定できる事が示された。
【0047】
【試験例5】
実施例4で調製した試薬▲8▼を用いて試験例2で用いた試料fおよびその希釈試料のアミラーゼ活性値の測定を行った。測定にはKEYENCE社の色判別センサーCZ-V1のCモードを用いた。試薬▲8▼に3μLの試料を滴下し、反応前と反応1分後のセンサーの測定値の差を計測した。結果は表9に示した。
【0048】
【表9】
【0049】
エスパ・アミラーゼ・リキッドIIによる100倍希釈試料の測定結果と、試薬▲8▼による測定結果の相関は図9の通りであり、r= 0.98となり高い相関が示された。試薬▲8▼の測定値を500倍すれば、従来法とほぼ等しい値となり、本発明試薬は、希釈することなく直接唾液検体のアミラーゼ活性値を測定できる事が示された。
【0050】
【発明の効果】
上記したごとく本発明によれば、基質である修飾オリゴ糖と基質の反応性に対して競合的に作用する競合阻害剤を含む酵素法によるアミラーゼ測定用試薬を提供し、この試薬を使ってアミラーゼ活性を測定すれば、きわめて簡便に迅速に効果的にアミラーゼ活性を測定可能であり、その結果、その場で短時間に被検者のストレスを判定する技術を確立することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】エスパ・アミラーゼ・リキッドIIによる100倍希釈試料の測定結果と、試薬▲1▼による測定結果の相関を示す。
【図2】エスパ・アミラーゼ・リキッドIIによる100倍希釈試料の測定結果と、試薬▲2▼による測定結果の相関を示す。
【図3】エスパ・アミラーゼ・リキッドIIによる100倍希釈試料の測定結果と、試薬▲3▼による測定結果の相関を示す。
【図4】エスパ・アミラーゼ・リキッドIIによる100倍希釈試料の測定結果と、試薬▲4▼による測定結果の相関を示す。
【図5】エスパ・アミラーゼ・リキッドIIによる100倍希釈試料の測定結果と、試薬▲5▼による測定結果の相関を示す。
【図6】エスパ・アミラーゼ・リキッドIIによる100倍希釈試料の測定結果と、試薬▲6▼による測定結果の相関を示す。
【図7】エスパ・アミラーゼ・リキッドIIによる100倍希釈試料の測定結果と、試薬▲3▼による測定結果の相関を示す。
【図8】エスパ・アミラーゼ・リキッドIIによる100倍希釈試料の測定結果と、試薬▲7▼による測定結果の相関を示した。
【図9】エスパ・アミラーゼ・リキッドIIによる100倍希釈試料の測定結果と、試薬▲8▼による測定結果の相関を示した。
Claims (10)
- 基質である修飾オリゴ糖及び該修飾オリゴ糖と拮抗して競合的に作用する競合阻害剤を少なくとも含み、
該基質及び該競合阻害剤が、支持体に担持されている状態であり、
該修飾オリゴ糖が、G2〜7から選ばれるオリゴ糖であって、還元末端が色原体で修飾されており、
該競合阻害剤が、オリゴ糖又はでんぷんであることを特徴とする唾液中のアミラーゼ測定用試薬。 - 競合阻害剤が、分子構造が基質の分子構造と類似している糖類である請求項1の唾液中のアミラーゼ測定用試薬。
- 基質を2〜500mmol、競合阻害剤を0.01〜2molの比率で含有する請求項1又は2に記載の唾液中のアミラーゼ測定用試薬。
- 色原体が、4−ニトロフェノール(PNP)、2−クロロ−4−ニトロフェノール(CNP)、2,4−ジクロロフェノール(Cl2P)から選ばれる請求項1に記載の唾液中のアミラーゼ測定用試薬。
- 修飾オリゴ糖が、以下から選ばれる請求項1〜3の何れか一に記載の唾液中のアミラーゼ測定用試薬;
2−クロロ−4−ニトロフェノール−4−O−β−D−ガラクトピラノシルマルトサイド(以下 GAL−G2−CNP)、GAL−G4−CNP、GAL−G5−CNP、G5−CNP、G6−CNP、G7−CNP、G5−PNP、G7−PNP。 - 競合阻害剤であるオリゴ糖が、三糖以上である請求項1に記載の唾液中のアミラーゼ測定用試薬。
- 競合阻害剤であるオリゴ糖が、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオースから選ばれる請求項1に記載の唾液中のアミラーゼ測定用試薬。
- 競合阻害剤であるオリゴ糖が、マルトースである請求項1に記載の唾液中のアミラーゼ測定用試薬。
- 請求項1に記載のアミラーゼ測定用試薬を用いる唾液中のアミラーゼの測定方法。
- 請求項9に記載のアミラーゼの測定法によって、人唾液中のアミラーゼ活性を測定することを含む、被験者のストレスレベルの検定方法。
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