JP3962890B2 - 画像データ修整装置、画像データ修整方法および画像データ修整プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画素の特性を判定し、各画素の特性に対応する画像データ修整処理を実行する画像データ修整装置、画像データ修整方法および画像データ修整プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
スキャナやデジタルカメラによって取り込む画像の画質を良好にするため、この画像についての画像データに対して画像データ修整処理を実施する。具体的には、画像データをコンピュータに取り込んで、コンピュータ上でフォトレタッチのアプリケーションを起動し、所望の色成分を強調したり、コントラストを強調したりする。あるいは、所定の色成分の影響を弱めるために、色成分の除去を行うなど、多種の修整処理を実施することが可能になっている。
【0003】
ここで、この画像データ修整処理を実施する画像が文字部分を主に構成される文書画像や、写真部分を主に構成される写真画像による場合は、その主となる画像に対応した画像データ修整処理を実施すればよく、簡易な処理構成にて実現することができる。一方、現在のように、DTPなどが主流になり文書とカラーグラフなどが一体となったプレゼンテーション文書や、文字部分や写真部分を同一に配置するアルバム画像などを容易に作成することが可能になると、文字部分や写真部分が混在する、いわゆる、混在画像により画像が構成されることが多くなる。
【0004】
このような混在画像の画像データにおける文字部分については、文字と背景の境目が中間色になる傾向があり、文字がぼやけてしまい、判読性が悪くなることが多い。また、写真部分については、高周波成分の周期的なノイズが発生し、場合によって、このノイズが視覚で認知できる程度の画質の劣化要因となる。そこで、混在画像について画像データ修整処理を実施する場合、文字部分のぼやけを取り除くため、文字と背景の境界部分の濃淡を強調する。これにより、文字の判読性を向上させることができる。このとき、この境界部分の各画素に対して濃淡を強調させる所定の鮮鋭化処理を実行する。
【0005】
一方、写真部分については、上述したノイズは高周波成分によって構成されるため、ノイズがのった各画素に対して高周波成分を低減させる所定の平滑化処理を実行する。ここで、一般的に、文字部分の境界領域をエッジ画素と表現し、写真部分に発生する高周波成分の周期的なノイズをモアレ画素と表現している。上述した混合画像に対する画像データ修整処理の概要を説明する。最初に、スキャナやデジタルカメラにて取り込む画像の画像データをドットマトリクス状の画素を多階調表現した画像データとして取得する。そして、この画像データを構成する画素を順次スキャンして、判定画素を基準に所定の領域の周囲画素との階調差を算出し、この階調差の大きい画素が多数ある場合をエッジ画素として抽出する。この抽出したエッジ画素の位置を考慮して、鮮鋭化処理の対象となるエッジ画素領域を区分し決定する。
【0006】
次に、再度、画像データを構成する画素を順次スキャンして、判定画素を基準に所定の領域の周囲画素との階調差を算出し、この階調差の小さい画素が多数ある場合をモアレ画素として抽出する。この抽出したモアレ画素の位置を考慮して、平滑化処理の対象となるモアレ画素領域を区分し決定する。このように、エッジ画素領域とモアレ画素領域が決定されると、鮮鋭化処理および平滑化処理が実行される。かかる場合、鮮鋭化処理、そして、平滑化処理と順次実行する。
【0007】
鮮鋭化処理は、エッジ画素領域を抽出し、この領域に対して鮮鋭化処理を実施し、処理後のエッジ画素領域を保持する。平滑化処理は、モアレ画素領域を抽出し、この領域に対して平滑化処理を実施し、処理後のモアレ画素領域を保持する。すなわち、画素単位で区別された鮮鋭化処理領域と平滑化処理領域を個別に抽出し、個別に処理を実施する。そして、それぞれの処理が完了し保持された各領域の画像データの位置合わせを行って統合し、画像データ修整処理後の画像データを生成する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述した画像データ修整処理においては、エッジ画素の判定とモアレ画素の判定を別々の処理によって実行し、この処理により区分されたエッジ画素領域とモアレ画素領域に対して、さらに、別々の処理によって画像データ修整処理を実行していた。従って、エッジ画素およびモアレ画素を判定する処理や画素の画像データ修整処理の処理構成が複雑になるといった課題がある。このように、処理構成が複雑に為らざるを得ないため、処理速度が長くなり、ユーザに不便を感じさせている。
【0009】
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、エッジ画素やモアレ画素といった画素の特性の判定処理を効率的に実行し、対応する画像データ修整処理を実行しやすくすることによって、処理を簡略化、簡易化するとともに、高速化を図ることが可能な画像データ修整プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体、画像データ修整装置および画像データ修整方法の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、画像をドットマトリクス状の画素で多階調表現した画像データにおける各画素の特性を判定し、各画素に対してその特性に応じた修整を実行する画像データ修整装置であって、上記画像データを取得する画像データ取得手段と、上記画像データ取得手段にて取得した画像データの各画素を対象画素とし、その周囲の所定範囲での近隣画素との階調値の差の分布であって、且つ、上記差の少ない範囲の分布と上記差の大きい範囲の分布とを求め、上記求めた分布の正負の偏りを、所定のモデル的分布と対比して対象画素の特性を判定する画素特性判定手段と、上記画素特性判定手段にて判定された画素の特性に対応した所定の画像処理を実行する画像データ修整手段とを具備する構成としてある。
【0011】
上記のように構成した請求項1にかかる発明においては、画像データ取得手段にて画像をドットマトリクス状の画素で多階調表現した画像データを取得する。そして、画素特性判定手段にて画像データにおける各画素の特性を判定する。このとき、各画素を対象画素として所定の範囲における周囲の画素との階調値の差の分布を求める。分布が求められたら、所定のモデル的分布と対比し、対象画素の特性を判定する。そして、判定された画素の特性に対応して画像データ修整手段にて所定の画像処理を実行する。
【0012】
すなわち、特性ごとに判定の処理を変えるのではなく、近隣画素との階調値の差の分布を求め、その分布態様で画素の特性を判定している。ここで画素特性判定手段は、対象画素を中心とする所定の範囲で対象画素の階調値との差の分布を求め、この分布を統計的観点からモデル的分布と対比する。その具体的な一例として、上記画素特性判定手段は、上記差の少ない範囲の分布と上記差の大きい範囲の分布とを判定に利用する構成としてある。
【0013】
上記のように構成した発明においては、階調値の差の度数分布を求めるが、各階調値ごとの度数分布ではなく、差の少ない範囲の分布と差の大きい範囲の分布を求める。判定しようとする画素の特性がエッジの有無であるとすると、エッジは階調値の差の大きな場所での分布であるから必然的に差の大きい範囲で多数の分布が見いだされる。また、モアレが生じていれば微少範囲で階調値の変化の小さい画素が発生してしまっているはずである。むろん、エッジやモアレでなくても同様の傾向が見られることもあるが、あくまでもこれは一つの基準であって、他の判定手法と組み合わせて判定精度を上げればよい。従って、かかる分布も一つのモデル的分布に相当する。
【0014】
この意味で、画素特性判定手段の他の一例として、上記画素特性判定手段は、上記分布の正負の偏りを判定に利用する構成としてある。上記のように構成した発明においては、差の分布が正あるいは負の領域に偏っているか否かを判定に利用している。例えば、エッジは階調値の差の大きい画素が連続する領域であるから、全体的には階調値の大きい側と小さい側とがある。対象画素が階調値の大きい画素の側にあれば差の分布は、ゼロに近い分布と正の側に偏りがちになる。また、対象画素が階調値の小さい画素の側にあれば差の分布は、ゼロに近い分布と負の側に偏りがちになる。従って、正負の偏りを一つのモデル的分布と考えて判定に利用できる。
【0015】
以上の判定を具体的に表す構成の一例として、請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の画像データ修整装置において、上記画素特性判定手段は、上記差の大きい範囲の分布が多く、上記分布に正負の偏りが生じている場合にエッジ画素と判定する構成としてある。すなわち、差の大きい範囲の分布と正負の偏りを組み合わせてエッジ画素と判定する。また、請求項3にかかる発明は、請求項2に記載の画像データ修整装置において、上記画像データ修整手段は、上記対象画素がエッジ画素であると判定されたときに鮮鋭化の画像処理を実行する構成としてある。
【0016】
エッジ画素と判定されれば、その判定結果をそのまま利用して鮮鋭化の画像処理を実行し、エッジがなまってしまうのを防止する。そして、請求項4にかかる発明は、請求項3に記載の画像データ修整装置において、上記鮮鋭化は、対象画素を中心とする所定の画素数を備える行列に形成されるとともに、行列の各画素位置に同対象画素を強調する所定の係数が設定された鮮鋭化フィルタによって実行される構成としてある。
【0017】
対象画素を中心とした所定の範囲の画素を判定処理の対象としており、同様に所定の範囲の画素を処理態様とする鮮鋭化フィルタを利用すれば、画素の特性の判定と画像処理とのなじみが良く、効率よく鮮鋭化処理を実行できる。上述した判定を具体的に表す構成の他の一例として、請求項5にかかる発明は、請求項1に記載の画像データ修整装置において、上記画素特性判定手段は、上記差の小さい範囲の分布が多く、上記分布に正負の偏りが生じている場合にモアレ画素と判定する構成としてある。
【0018】
すなわち、差の小さい範囲の分布と正負の偏りを組み合わせてモアレ画素と判定する。また、請求項6にかかる発明は、請求項5に記載の画像データ修整装置において、上記画像データ修整手段は、上記対象画素がモアレ画素であると判定されたときに平滑化の画像処理を実行する構成としてある。モアレ画素と判例されれば、その判定結果をそのまま利用して平滑化の画像処理を実行し、モアレを解消する。
【0019】
そして、請求項7にかかる発明は、請求項6に記載の画像データ修整装置において、上記平滑化は、対象画素を中心とする所定の画素数を備える行列に形成されるとともに、行列の各画素位置に上記対象画素を略平均化する所定の係数が設定された平滑化フィルタによって実行される構成としてある。モアレ画素においても、対象画素を中心とした所定の範囲の画素を利用して判定処理と平滑化フィルタを適用し、画素の特性の判定と画像処理とのなじみを良くしつつ効率のよい平滑化処理を実行できる。
【0020】
また、請求項8にかかる発明は、上記請求項1〜請求項7のいずれかに記載の画像データ修整装置において、上記画像データ修整手段は、上記画像データの輝度値に対する修整値を得て、各要素色の階調値に同修整値を加算して画像データを修整する。上記のように構成した請求項8にかかる発明において、各画素が要素色にて構成されている場合、算出した各画素の輝度に対する輝度修整値を生成するとともに、各画素の要素色の階調値に同輝度修整値を加算して画像データの修整を実行する。すなわち、各要素色から算出した輝度に基づいて修整処理を実施し、この輝度による修整データを各要素色に反映させる。
【0021】
ところで、階調値の差の分布はベクトル値の概念を利用して求めても良い。例えば、最初に判定の対象になる対象画素について、その画素の所定範囲の周囲画素との階調差をベクトル値として算出し、次に、このベクトル値の分布からベクトル値が大きい周囲画素の総計と、ベクトル値が小さい周囲画素の総計を比較する。そして、ベクトル値が大きい周囲画素数が相対的に多い対象画素はエッジ画素と判定し、同ベクトル値が小さい周囲画素数が相対的に多い対象画素はモアレ画素と判定する。ここで、画素特性判定手段は全画素を順に走査して上述した判定処理を実行する。
【0022】
各画素についてエッジ画素に該当するか、モアレ画素に該当するかの判定が完了すると、画像データ修整手段は、エッジ画素を形成すると判定された画素に対して所定の鮮鋭化処理を実行するとともに、モアレ画素を形成すると判定された画素に対して所定の平滑化処理を実行する。同様に、画像データ修整手段は、画素特性判定手段と同様に、全画素を順に走査して画像データ修整処理を実行する。このように、画素ごとにエッジ画素かモアレ画素かを判定して、エッジ画素であれば鮮鋭化処理を実行し、モアレ画素であれば平滑化処理を実行する。
【0023】
このようにすれば、エッジ画素とモアレ画素の判定および画像データ修整を一括して実行することになる。一方、所定の周囲画素は、判定対象の画素に影響を及ぼし得る範囲、あるいは、対象画素が影響を及ぼし得る範囲を考慮し、対象画素を中心にした3*3行列を構成する画素集合にしてもよいし、5*5行列を構成する画素集合にしてもよく、その行列数は適宜変更可能である。むろん、上述したように直接的に影響を及ぼす範囲の画素集合に限定されるものではなく、適宜範囲を広狭してもよい。
【0024】
また、画素特性判定手段においてベクトル値の大小を判断する態様は、所定のしきい値を基準にして判断してもよいし、ベクトル値の平均値を基準にしてもよい。また、この基準にする値は、ベクトル値の分布を作成した場合の標準偏差であってもよいし、最頻値であってもよい。また、中央値であってもよく、適宜変更可能である。むろん、ベクトル値が大きいと判断する領域と、小さく判断する領域と、それ以外の領域を区分して判断してもよい。
【0025】
画素特性判定手段においては、単に、ベクトル値が大小に区別された各画素の画素数を比較して相対的な多さを判定してもよいし、所定の画素数を大小に区別された各画素の累積が所定のしきい値を越えるものを相対的な多さを判定する対象にしてもよい。画像データ修整手段における鮮鋭化処理は、エッジ画素と判定された画素の色成分をより強調して、周囲画素から鮮鋭化させてもよいし、周囲画素の色成分を考慮して強調し、この周囲画素から鮮鋭化させてもよい。後者の場合、周囲画素および対象画素に所定の係数を掛けて足し込む、畳み込み演算が利用される。かかる場合、上述した所定の周囲画素の行列が利用される。
【0026】
同様に、画像データ修整手段における平滑化処理は、モアレ画素と判定された画素の色成分を若干強弱し、平滑化させてもよいし、周囲画素の色成分を考慮して平滑化、すなわち、周囲画素の階調とにより平均化させてもよい。後者の場合、周囲画素および対象画素に所定の係数を掛けて足し込む、畳み込み演算が利用される。かかる場合、上述した所定の周囲画素の行列が利用される。画像データ取得手段は、画像をドットマトリクス状の画素で多階調表現した画像データを取得することができればよい。従って、画像の入力元は、スキャナであってもよいし、デジタルカメラであってもよく、ドットマトリクス状の画素で多階調表現した画像データを取得可能であれば、適宜変更可能である。
【0027】
また、画像はモノクロの画像であってもよいし、カラー画像であってもよい、カラー画像の場合には表色空間における座標系の取り方であるとか、階調範囲などについても特に限定されるものではない。対象画素の周囲画素との階調差に基づくベクトル値の分布によっては、エッジ画素とも、モアレ画素とも判定することができない画素があると考えられる。このような画素は、周囲画素とは、階調差が僅かしかない場合であり、このような画素はエッジ画素やモアレ画素と取り扱うと正確な画像データ修整処理を実施し得ない場合がある。かかる観点から、モアレ画素と判定するベクトル値より小さいベクトル値の画素数が相対的に多い画素をエッジ画素およびモアレ画素に対応しない中間画素と判定する構成としてもよい。このように構成した場合、画素特性判定手段は、モアレ画素と判定するベクトル値より小さいベクトル値の画素数が相対的に多い画素をエッジ画素およびモアレ画素に対応しない中間画素と判定する。従って、画素特性判定手段は、ベクトル値を算出し、このベクトル値について、エッジ画素と判別する値と、モアレ画素と判別する値と、中間画素と判別する値とを設定し、ベクトル値がモアレ画素と判別する値より小さい場合を中間画素として取り扱う。
【0028】
画素特性判定手段にて、階調差からベクトル値を算出する要素の具体例として、各画素の輝度を算出するとともに、同輝度の階調差をベクトル値として算出する構成とすることができる。このように構成した場合、画素特性判定手段は、画像データ取得手段にて取得した画像データの各画素を構成する色成分データから所定の演算式に基づいて輝度を算出する。そして、この輝度によって階調差をベクトル値として算出し、エッジ画素、モアレ画素、中間画素の判定を実行する。
【0029】
画素特性判定手段にて、階調差からベクトル値を算出する要素の他の具体例として、各画素を各要素色に色分解するとともに、同色分解した各要素色の階調差をベクトル値として算出する構成とすることができる。このように構成した場合、画素特性判定手段は、各画素を各要素色に色分解するとともに、同色分解した各要素色の階調差をベクトル値として算出する。ここで、各要素色とは、画素を構成する色成分のことであり、R(赤)G(緑)B(青)の三色データのことを指す。また、各要素色ごとにベクトル値から画素の特性を判定する場合、一つの要素色にてエッジ画素を形成するものをエッジ画素と判定してもよいし、二つの要素色においてエッジ画素を形成するものをエッジ画素と判定してもよいし、三つの要素色、つまり、すべての要素色についてエッジ画素を形成するもののみをエッジ画素と判定してもよい。従って、この判定方法は、適宜変更可能である。
【0030】
画素特性判定手段にて中間画素と判定された画素についての画像データ修整手段での取り扱いの一例として、上記中間画素に対しては鮮鋭化処理または平滑化処理の画像データ修整を実行しない構成としてもよい。このように構成した場合、画像データ修整手段は、画素特性判定手段にて中間画素と判定された画素に対しては鮮鋭化処理または平滑化処理の画像データ修整を実行しない。すなわち、画像データ取得手段にて取得した画像データの対応画素のレベルを保持する。
【0031】
ここで画像データは各種の情報を備えていることが多いが、利用するデータは固定的なものである必要はない。その一例として、各画素の画像データを修整するに際し、取り扱う画像データの属性の指示を取得する画像データ属性指示手段を実行させるとともに、上記画像データ属性指示手段で取得した属性の画像データに基づいて上記画素特性判定手段と画像データ修整手段を実行させる構成としてもよい。
【0032】
従来は、修整する画像データの属性が固定であった。すなわち、属性が輝度信号に基づくものであれば、画像データの輝度信号に対して画像データ修整処理を実行し、一方、RGB信号に基づくものであれば、画像データのRGB信号に対して画像データ修整処理を実行していた。かかる場合、ユーザが高品質の出力結果を所望している場合に、輝度信号に基づいて画像データ修整処理が実行されると、RGB信号に基づいて画像データ修整処理が実行されたときと比較して、出力結果が見劣りする。また、ユーザが短時間での画像データ修整処理を所望している場合に、RGB信号に基づいて画像データ修整処理が実行されると、輝度信号に基づいて画像データ修整処理が実行されたときと比較して、実行時間が長くなる。すなわち、固定的であるが故にユーザの所望する条件を満たすことができない状況が発生するという課題があった。
【0033】
このように構成した場合、画像データ属性指示手段で取り扱う画像データの属性の指示を取得し、画像データ属性指示手段で取得した属性の画像データに基づいて上記画素特性判定手段と画像データ修整手段を実行させる。すなわち、画像データ修整処理を行うにあたり、処理にて使用する画像データの属性を所定の固定属性によって実行するのではなく、画像データ属性指示手段にて指示された属性を選択し、この選択に基づいて画素特性判定手段や画像データ修整処理を実行する。
【0034】
このように、所定の指示に従って画像データ修整処理を実行する画像データの属性を決定し、より使い勝手が良くなるとともに、ユーザは所望の条件により出力結果を得ることが可能となる。ここで、画像データ属性指示手段は、画像データを取り扱う属性を指示することができればよく、ユーザによって選択された属性を指示してもよいし、画像データを分析し、この画像データの構成に適した属性を指示してもよい。また、適用する機器のリソースの状態に応じて属性を指示してもよい。むろん、これらに限定されるものではなく、画像データ修整手段が画像データ修整処理にて取り扱う属性を指示することができれば、適宜変更可能である。
【0035】
このような属性は、画像データを構成する多階調表現した画素から導入することができるものであればよく、二値データであってもよいし、R(赤)G(緑)B(青)データであってもよいし、このRGBデータより算出した輝度データであってもよい。むろん、これらに限定されるものではなく、画像データの状態を表現可能なものであれば、適宜変更可能である。指示する属性の具体的な一例として、上記画像データ属性指示手段は、高速度による画像データ修整処理を所望する場合、属性として輝度信号を指示するとともに、高品質の画像データ修整処理を所望する場合、属性として画像を形成する要素色信号を指示する構成としてもよい。
【0036】
このように構成した場合、画像データ属性指示手段は、画像データ修整処理にて取り扱う画像データの属性を指示するに際し、当該処理を高速に実現したい場合には、属性として輝度信号を指示する。また、画像データ修整処理後に生成される画像データの画質を高品質にて実現したい場合には、属性として画像を形成する要素色信号、例えばRGB信号を指示する。画像データがR(赤)G(緑)B(青)データから構成されている場合、輝度信号はこれらのRGBデータに基づいて算出することができる。画像データを構成する画素数が100画素であった場合、輝度信号によれば、各画素分しか算出されないため、100個の輝度の階調による画像データが存在することになる。一方、RGBデータによれば、各画素に3色あるため、300個の階調による画像データが存在することになる。従って、画像データ修整処理にて取り扱うデータ数が異なってくるため、高速に画像データ修整処理を実現したい場合は、輝度信号を指示することになる。一方、高品質の出力を実現したい場合は、RGB信号のような画像を形成する要素色信号を指示することになる。
【0037】
これは、次の理由による。一般的な輝度信号はRGB信号が等しい割合で混合されたものではなく、RGB信号がそれぞれ約30%、約60%、約10%の割合で混合されたものである。このため、例えば、Bデータにモアレ成分を多く含む場合は、輝度信号を修整してその修整をRGB信号に反映させる方法ではBデータのモアレ成分を十分に低減できない。このとき、Bデータのモアレ成分を十分に低減するためにはRGBデータそれぞれに対して修整処理を実施する必要がある。従って、高品質の出力を実現したい場合は、RGB信号を指示することになる。
【0038】
なお、画像データ修整手段にて実施される画像データ修整処理は、画像データを修整して、再現される画像の画質を調整するものであればよい。従って、画像のシャープ化,アンシャープ化など適宜採用可能である。かかる場合、画像データ修整処理は、各画素に対して所定のフィルタを適用することが多く、所定の画素をシャープにしたい場合は、所定の鮮鋭化フィルタを同画素に適用し、階調を強調化したり、所定の画素をアンシャープにしたい場合は、所定の平滑化フィルタを適用し、階調を平均化する。
【0039】
このように、画像データを構成する各画素の特性を判定し、各画素に対して特性に応じた修整を実行する手法は必ずしも実体のある装置に限られる必要はなく、その方法としても機能することは容易に理解できる。このため、請求項9にかかる発明は、画像をドットマトリクス状の画素で多階調表現した画像データにおける各画素の特性を判定し、各画素に対してその特性に応じた修整を実行する画像データ修整方法であって、上記画像データを取得する画像データ取得工程と、上記画像データ取得工程にて取得した画像データの各画素を対象画素とし、その周囲の所定範囲での近隣画素との階調値の差の分布であって、且つ、上記差の少ない範囲の分布と上記差の大きい範囲の分布とを求め、上記求めた分布の正負の偏りを、所定のモデル的分布と対比して対象画素の特性を判定する画素特性判定工程と、上記画素特性判定工程にて判定された画素の特性に対応した所定の画像処理を実行する画像データ修整工程とを具備する構成としてある。
【0040】
すなわち、必ずしも実体のある媒体などに限らず、その方法としても有効であることに相違はない。むろん、本画像データ修整方法においても、請求項2〜請求項8に示すような発明の態様が全く同様に該当することはいうまでもない。ところで、このような画像データ修整装置は単独で存在する場合もあるし、ある機器に組み込まれた状態で利用されることもあるなど、発明の思想としてはこれに限らず、各種の態様を含むものである。従って、ソフトウェアであったりハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。
【0041】
発明の思想の具現化例として画像データ修整装置のソフトウェアとなる場合には、かかるソフトウェアを記録した記録媒体上においても当然に存在し、利用されるといわざるをえない。その一例として、請求項17にかかる発明は、画像をドットマトリクス状の画素で多階調表現した画像データにおける各画素の特性を判定し、各画素に対してその特性に応じた修整を実行する画像データ修整プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、上記画像データを取得する画像データ取得機能と、上記画像データ取得機能にて取得した画像データの各画素を対象画素とし、その周囲の所定範囲での近隣画素との階調値の差の分布であって、且つ、上記差の少ない範囲の分布と上記差の大きい範囲の分布とを求め、上記求めた分布の正負の偏りを、所定のモデル的分布と対比して対象画素の特性を判定する画素特性判定機能と、上記画素特性判定機能にて判定された画素の特性に対応した所定の画像処理を実行する画像データ修整機能とを実行する構成としてある。また、請求項2〜請求項8に示すような発明の態様は本画像データ修整プログラムを記録した媒体においても全く同様に該当することはいうまでもない。
【0042】
むろん、このような記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。また、一次複製品、二次複製品などの複製段階については全く問う余地無く同等である。さらに、一部がソフトウェアであって、一部がハードウェアで実現されている場合においても発明の思想において全く異なるものではなく、一部を記録媒体上に記憶しておいて必要に応じて適宜読み込まれるような形態のものとしてあってもよい。
【0043】
本発明をソフトウェアで実現する場合、ハードウェアやオペレーティングシステムを利用する構成とすることも可能であるし、これらと切り離して実現することもできる。例えば、補間処理するために画像データを入力する処理といっても、その実現方法はオペレーティングシステムにおける所定の関数を呼び出して処理することも可能であれば、このような関数を呼び出すことなくハードウェアから入力することも可能である。そして、実際にはオペレーティングシステムの介在のもとで実現するとしても、プログラムが媒体に記録されて流通される過程においては、このプログラムだけで本発明を実施できるものと理解することができる。また、プログラムを実行するのはコンピュータであるが、このコンピュータは通常のコンピュータのみならず、単独あるいは複数のCPUを搭載してプログラムを処理するものであれば、各種の態様が可能である。例えば、インテリジェントなプリンタやコピーなどであっても当然にコンピュータといえることはいうまでもない。
【0044】
また、本発明をソフトウェアで実施する場合、発明がプログラムを記録した媒体として実現されるのみならず、本発明がプログラム自体として実現されるのは当然であり、プログラム自体も本発明に含まれる。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、近隣画素との階調値の差の分布を求め、その分布態様で画素の特性を判定しているため、特性ごとに判定の処理を変える必要が無く、判定を容易にしつつ、画像処理との連携性を高めて処理の高速化を図ることが可能な画像データ修整装置を提供することができる。
【0046】
また、差の少ない範囲の分布と差の大きい範囲の分布という比較的簡易な集計で判定に利用でき、構成を簡易にすることができる。さらに、分布の正負の偏りという比較的簡易な集計で判定に利用でき、構成を簡易にすることができる。さらに、請求項2にかかる発明によれば、差の大きい範囲の分布と、正負の偏りとを組み合わせて簡易にエッジを判定することができる。
【0047】
さらに、請求項3にかかる発明によれば、エッジ画素に鮮鋭化を施してエッジ画素に適した画像処理を実施できる。さらに、請求項4にかかる発明によれば、判定の際と同様に対象画素を中心とする所定範囲の画素を対象として鮮鋭化処理を鮮鋭化フィルタで実現するため、判定と画像処理とを比較的なじみよく処理することができる。さらに、請求項5にかかる発明によれば、差の小さい範囲の分布と、正負の偏りとを組み合わせて簡易にモアレを判定することができる。
【0048】
さらに、請求項6にかかる発明によれば、モアレ画素に平滑化を施してモアレ画素に適した画像処理を実施できる。さらに、請求項7にかかる発明によれば、判定の際と同様に対象画素を中心とする所定範囲の画素を対象として平滑化処理を平滑化フィルタで実現するため、判定と画像処理とを比較的なじみよく処理することができる。さらに、請求項8にかかる発明によれば、エッジ画素およびモアレ画素の判定処理および、これらの各画素に対する画像データ修整処理を一括して実行することによって、画像データ修整処理の構成を簡略化、簡易化するとともに、処理の高速化を図ることが可能な画像データ修整方法を提供することができる。
【0049】
さらに、請求項9〜請求項16にかかる発明によれば、同様の効果を奏することが可能な画像データ修正方法を提供することができ、請求項17〜請求項23にかかる発明によれば、画像データ修正プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することができる。
【0050】
【発明の実施の形態】
以下、図面にもとづいて本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる画像データ修整方法のクレーム対応図を示している。同図において、本画像データ修整プログラムを記録した媒体は、画像データ取得工程A1にて画像をドットマトリクス状の画素で多階調表現した画像データを取得する。そして、画素特性判定工程A2は、画像データ取得工程A1から画像データを入力し、画像データを構成する各画素のデータを分析してその特性、すなわち、画素がエッジ画素であるかモアレ画素あるいは中間画素であるかを判定する。具体的には、最初に、判定の対象になる対象画素について、その画素の所定範囲の周囲画素との階調差をベクトル値として算出し、次に、このベクトル値の分布からベクトル値が大きい画素の総計と、ベクトル値が小さい画素の総計を比較する。そして、ベクトル値が大きい画素数が相対的に多い画素をエッジ画素と判定し、同ベクトル値が小さい画素数が相対的に多い画素をモアレ画素と判定する。また。モアレ画素とは判定できないようなベクトル値が小さい画素数が相対的に多い画素を中間画素と判定する。画素特性判定工程A2は、全画素を順に走査してこの判定処理を実行する。各画素についてエッジ画素に該当するか、モアレ画素に該当するか、あるいは中間画素に該当するかの判定を完了すると、画像データ修整工程A3は、画像データ取得工程A1から入力した画像データについてエッジ画素を形成すると判定された画素に対して所定の鮮鋭化処理を実行するとともに、モアレ画素を形成すると判定された画素に対して所定の平滑化処理を実行する。また、中間画素を形成すると判定された画素に対しては何も処理を実行しない。画像データ修整工程A3は、画素特性判定工程A2と同様に、全画素を順に走査して画像データ修整処理を実行する。
【0051】
また、かかる画像データ修整処理を実施するにあたり、画像データ属性指示工程A4は、画像データ修整処理において取り扱う属性、例えば、輝度信号またはRGB信号などを指示する。この指示は、ユーザの選択により実施される場合や、画像データの構成によって実施される場合などがある。従って、属性として輝度信号が指示されると、画像データ修整工程A3は画像データ修整処理を各画素の輝度データによって実行するし、属性としてRGB信号が指示されると画像データ修整処理を各画素のRGBデータによって実行する。
【0052】
次に、本画像データ修整方法を実体化した画像データ修整装置を構成するために適用したカラー複写装置の外観斜視図を図2に示す。本カラー複写装置10は、カラースキャナ20と、コピーサーバ30と、カラープリンタ40とから構成されており、コピーサーバ30による制御に基づいてカラースキャナ20にて画像をスキャンすると、スキャンにより読み込まれた画像データに対して同コピーサーバ30が画像処理を実施して印刷データを生成し、この印刷データに基づいてカラープリンタ40が印刷を行う。
【0053】
図3はカラースキャナ20の概略構成を示しており、フラットベッドタイプを採用している。同図において、スキャン対象物を載置する透明板材21の下方には照明ランプ22とラインセンサ23とが往復スライド移動可能に支持されるとともに、これらを駆動するための駆動ベルト24aとプーリ24bと駆動モータ24cとが配置され、制御回路25に接続されている。画像を読み込むときには、制御回路25からの制御信号に基づいて照明ランプ22が点灯すると、透明板材21を介してスキャン対象物を照明するので、同スキャン対象物からの反射光が同透明板材21を介してラインセンサ23に照射される。
【0054】
ここで、ラインセンサ23には光の三原色に対応するRGBフィルタとCCD素子とが一色につき一列、通常三列配置されており、この三列のCCD素子によりスキャン対象物の水平方向にわたる一列分の色配置を読み込み、画像データとして出力する。一方、制御回路25は駆動モータ24cを駆動させることにより、これらの照明ランプ22とラインセンサ24とを一体的にスキャン対象物の垂直方向に向かって移動させ、微少距離分だけ移動させる毎にラインセンサ23から画像データを取得して出力する。これにより、外部的にはスキャン対象物を水平方向に主走査しながら垂直方向に副走査し二次元の画像データを生成していくことになる。
【0055】
図4および図5はコピーサーバ30を概略ブロック図により示している。同コピーサーバ30は概略的にはコンピュータと同等であり、CPU31のバス32に対してRAM33とROM34と操作パネル35とハードディスク36とI/F37とが接続される構成になっている。ここで、カラースキャナ20やカラープリンタ40はI/F37を介して接続されている。また、ROM34には基本的な演算プログラムや変換テーブルが書き込まれており、CPU31はRAM33をワークエリアとして使用しながら同演算プログラムを実行するし、必要に応じて上記変換テーブルを参照する。本実施形態においてはI/F37を特定していないが、同I/F37はカラースキャナ20やカラープリンタ40をコピーサーバ30に接続可能であればよく、LPTポートにより接続する形態であってもよいし、USBポートやSCSIにより接続する形態であっても構わない。
【0056】
また、ハードディスク36は、カラースキャナ20を駆動するスキャナドライバ38aやカラープリンタ40を駆動するプリンタドライバ38bを備え、同スキャナドライバ38aはカラースキャナ20から画像データを同プリンタドライバ38bはカラープリンタ40へ画像データをそれぞれ入出力可能になっている。そして、ハードディスク36はこの画像データを一時的に蓄えるようなバッファとして使用したり、スキャナドライバ38aが入力した画像データを読み込み、同画像データを構成する各画素の特徴を判定し、この判定に従って所定の画像データ修整処理を実施し、この画像データ修整処理を実施した画像データをプリンタドライバ38bに出力し、カラープリンタ40に印刷を実行させる画像データ修整プログラム39などを格納している。
【0057】
この他、操作パネル35にはスキャン開始ボタン35aであるとか、印刷枚数を入力したり、画像を修整する項目を設定や、スキャン対象物が写真などを配置されたカラー画像であるか、または、文書などのモノクロ画像であるかを設定するテンキー35bなどの各種の操作ボタンとともに、操作情報を確認するための液晶表示器35cなども備えられ、CPU31はバス32を介して同操作パネル35の操作状況を監視可能となっている。
【0058】
図6はカラープリンタ40の構成を概略的に示しており、記録紙上に対してドットマトリクス状に色インクを吐出して印字を行うインクジェット方式を採用している。より詳細には、三つの印字ヘッドユニット41aからなる印字ヘッド41と、この印字ヘッド41を制御する印字ヘッドコントローラ42と、同印字ヘッド41を桁方向に移動させる印字ヘッド桁移動モータ43と、印字用紙を行方向に送る紙送りモータ44と、これらの印字ヘッドコントローラ42と印字ヘッド桁移動モータ43と紙送りモータ44における外部機器とのインターフェイスにあたるプリンタコントローラ45とから構成されている。
【0059】
このカラープリンタ40は印字インクとして四色の色インクを使用するものであり、各印字ヘッドユニット41aにはそれぞれ独立した二列の印字ノズルが形成されている。供給する色インクは印字ノズルの列単位で変えることができ、この場合は図示左方の印字ヘッドユニット41aについては二列とも黒色インク(K)を供給し、図示右方の印字ヘッドユニット41aについては左列にマゼンタ色インク(M)を供給するとともに右列にイエロー色インク(Y)を供給し、図示真ん中の印字ヘッドユニット41aについては左列にシアン色インク(C)を供給するとともに右列は不使用としている。
【0060】
なお、本実施形態においては、四色の色インクを使用しているが、三つの印字ヘッドユニット41aにおける二列の印字ノズルを最大限に利用して六色の色インクを使用することも可能である。この場合、シアンとマゼンタについては濃色インクと淡色インクとを使用するものとし、さらにイエローとブラックとを使用して合計六色とすることができる。
本実施形態においては、このようなコピーサーバ30を核とする一体型に形成した専用のカラー複写装置10として本画像データ修整装置を適用しているが、図7に示すようなカラースキャナ51とカラープリンタ52を備えたパソコン53によって、カラー複写システムを採用したとしても同様に実現できることはいうまでもない。
【0061】
図8は、上述したコピーサーバ30が実行するカラー複写処理のうち、本発明にかかる画像データ修整処理の処理内容について概略をフローチャートにより示している。同図において、本カラー複写装置10の操作者は、カラースキャナ20のフラットベッド21にスキャン対象物を載置すると、操作パネル35にてスキャン開始ボタン35aを押し下げる。これによりカラースキャナ20は上述した動作に基づきスキャンを開始する。最初に、スキャン対象物の画像を含むフラットベッド21全体の画像について所定の解像度の画素からなる画像データを生成するために、スキャン処理を実行する(ステップS100)。次に、生成された画像データに対して画像データ修整処理を実行するにあたり、処理に適用する画像データの属性を選択する画像データ属性選択処理を実行する(ステップS150)。そして、スキャン処理にて生成された画像データの各画素を対象画素とし、選択された属性に基づいて、各対象画素と周囲画素との階調差を演算する階調差演算処理を実行するとともに(ステップS200)、この階調差に基づいて各画素がエッジ画素であるかモアレ画素であるか中間画素であるかという画素の特性を判定する画素特性判定処理を実行する(ステップS300)。次に、各画素の特性がエッジ画素の場合は、鮮鋭化処理を実施し、モアレ画素の場合は平滑化処理を実施し、中間画素の場合は、元画素のデータを保持する画像データ修整処理を実行する(ステップS400)。かかる画像データ修整処理も選択された属性に基づいて実行される。この画像データ修整処理が完了すると、カラープリンタ40に出力する印刷データを生成する画像データ変換処理を実行する(ステップS500)。そして、この画像データ変換した印刷データはカラープリンタ40に転送され、このカラープリンタ40にて印刷出力される。このように、画像データ修整処理を実行する画像データの属性を選択可能にしているため、例えば、画像データ修整処理を高速に実行したい場合は、属性として輝度信号を選択すれば良いし、画像データ修整処理により高品質の画質を得たい場合は、属性としてRGB信号を選択すれば良く、所望の画像データ修整処理環境を得ることが可能になる。
【0062】
次に、ステップS100〜S500の各処理について、より具体的な処理内容を図9〜図20のフローチャートを使用して説明する。図9のフローチャートはステップS100のスキャン処理の処理内容を示している。上述したように本カラー複写装置の操作者がフラットベッド21に文書をスキャン対象物として載置し、スキャナ開始ボタン35aを押し下げると、I/O37を介してカラースキャナ20に対して画像読み取り指令が送出されスキャンが開始される(ステップS105)。そして、操作者がテンキー35bにて設定したスキャンの解像度、あるいは、予め、このカラー複写装置10に設定されている解像度を読み出す(ステップS110)。ここで、カラースキャナ20の制御回路25は照明ランプ22を点灯させ、駆動モータ24cに駆動指令を出力して同照明ランプ22とラインセンサ23とをスライド移動させることにより画像の走査を開始する(ステップS115)。そして、制御回路25は所定距離分を移動するごとにラインセンサ23が読み取った画像データを取得するとともに、予め指定された解像度となる画像データを生成し(ステップS120)、コピーサーバ30に送信する。コピーサーバ30の側ではこの画像データをI/F37を介して受け取り、ハードディスク36にスプールする。ここで、上記分割された画素について全ての走査が終了したと判定すると(ステップS125)、上記スプールされた画像データをハードディスク36に格納する(ステップS130)。従って、スキャン対象物に対して、所定の解像度のスキャンを実行し、画像データを取得しつつ格納するスキャン処理が本発明にかかる画像データ取得工程A1を構成する。
【0063】
このようにカラースキャナ20にてスキャン対象物の画像の画像データを生成する。この画像データに対しては画質の向上などを目的とし多種の画像データ修整処理が施される。かかる画像データ修整処理を実施する場合、画像データを所定の属性によって取り扱う必要がある。図10は、この属性を選択するステップS150の画像データ属性選択処理の処理内容を示すフローチャートである。同図において、ユーザがコピーサーバ30の操作パネル35で設定した属性を取得する(ステップS155)。そして、この属性が輝度であれば(ステップS160)、以降、画像データを取り扱う場合、輝度データに対して所定の処理を実行するように設定する(ステップS165)。一方、取得した属性がRGBであれば、以降、画像データを取り扱う場合、RGBデータに対して所定の処理を実行するように設定する(ステップS170)。
【0064】
図11は、ステップS200の階調差演算処理の処理内容をフローチャートにより示している。同図において、スキャン処理によって生成されたスキャン対象物の画像についての画像データを読み出す(ステップS205)。そして、上述した画像データ属性選択処理にて選択された属性が輝度データであるか否かを判別する(ステップS206)。輝度データの場合は、画像データを構成する各画素を走査し、走査した画素をこの画素の特性を判定する対象画素としつつ、この対象画素の輝度を算出する(ステップS210)。この輝度Yは次式(1)に対象画素を構成する各要素色R(赤)G(緑)G(青)データの階調を代入して算出する。
【0065】
Y=0.30R+0.59G+0.11B …(1)
次に、この対象画素を中心とする5*5の行列にて形成される周囲画素の輝度を式(1)に基づいて算出する(ステップS215)。一方、選択された属性がRGBデータの場合は、対象画素の各RGBデータを抽出するとともに(ステップS216)、周囲画素の各RGBデータを抽出する(ステップS217)。属性が輝度データの場合は、周囲画素の輝度の階調から対象画素の輝度の階調を減算し、階調差を算出する。一方、属性がRGBデータの場合は、RGBデータ毎に周囲画素の階調から対象画素の階調を減算し、階調差を算出する(ステップS220)。各周囲画素との階調差の算出が完了すると、この階調差ごとに含まれる画素の度数に基づく分布を作成するとともに(ステップS225)、予め決められたエッジ画素,モアレ画素,中間画素と判定される区分ごとに集計する(ステップS230)。
【0066】
後述する画素特性判定処理を実行することによって、対象画素がエッジ画素であるかモアレ画素であるか中間画素であるかを判定する(ステップS235)。ステップS205にて読み出した画像データの全画素について対象画素として画素特性判定処理による画素の特性を判定を実行したか否かを判別する(ステップS240)。全画素について特性が判定されていれば、階調差演算処理を終了し、全画素について特性を判定していなければ、対象画素を移動し、ステップS210以降の処理を繰り返す。
【0067】
ここで、上述した階調差演算処理について具体的に図12を使用して説明する。図12(a)は5*5行列の元画像データを示している。小区分が画素単位を示しており、各画素を(x,y)座標で示すことにすると、中央の斜線を掛けた画素(0,0)が対象画素を構成し、この対象画素(0,0)を含め、画素(−2,−2)〜画素(2,2)が周囲画素を構成する。また、各画素に示した数値は階調を示している。そして、次式(2)により対象画素と周囲画素との階調差を算出する。
【0068】
b(n1,n2)=a(n1,n2)−a(N1,N2) …(2)
n1=N1−2,N1−1,N1,N1+1,N1+2 n2=N2−2,N2−1,N2,N2+1,N2+2ここで、a(N1,N2)は対象画素の階調を示しており、本実施形態では、a(N1,N2)=64となっている。また、a(n1,n2)は周囲画素の元階調を示すとともに、b(n1,n2)は、周囲画素と対象画素との階調差を示している。このように算出された結果を図12(b)の5*5行列に示す。そして、この各階調差の分布を作成しつつ、図12(c)に示す各区間ごとに集計された分布を生成する。
【0069】
本実施形態においては、この区間を区間1[−255,−50)、区間2[−50,−10)、区間3[−10,10)、区間4[10,50)、区間5[50,255]とし、この区間1〜区間5について階調差の度数を集計する。かかる場合、それぞれの集計数をC1〜C5とすると、C1=0,C2=1,C3=11,C4=13,C5=0となることが分かる。また、本実施形態においては分布の区間を区間1[−255,−50)、区間2[−50,−10)、区間3[−10,10)、区間4[10,50)、区間5[50,255]としているが、むろん、この区間の設定方法は、特に限定されるものではなく、適宜変更可能である。
【0070】
ステップS225〜235の処理は、属性が輝度データの場合は、各画素について唯一の輝度データに対して実行される。一方、属性がRGBデータの場合は、各画素のRGBデータごとに対して実行される。次に、上述したステップS235にて実施する画素特性判定処理について説明する。図13は、この画素特性判定処理の処理内容をフローチャートにより示している。同図において、最初に、対象画素について集計されたC1〜C5を取得する(ステップS305)。そして、このC1〜C5が次式(3)にて示すエッジ画素判定条件を満たすか否かを判定する(ステップS310)。
C1>C2>Te,C4=C5=0 または、 …(3)
C5>C4>Te,C1=C2=0ここで、上記Teは、あらかじめ決められた所定のしきい値を示しており、本実施形態はTe=5により実施する。むろん、Te=5に限定されるものではなく、適宜変更可能である。
【0071】
この式(3)を満たす場合は、対象画素をエッジ画素と判定し(ステップS315)、この画素の特性を指示する画素特性フラグをエッジフラグとする(ステップS320)。かかるエッジフラグは、属性が輝度データの場合は、各画素に対して画素特性フラグは唯一であるため、図14(a)に示すように対象画素ごとに備えられる特性を示すビットデータの所定のビット位置をオン・オフにする構成を採用し、属性がRGBデータの場合は、図14(b)に示すように対象画素ごとの各RGBデータに備えられる特性を示すビットデータをオン・オフする構成を採用する。
【0072】
また、他の例として、図15(a)に示すように画像データを構成する画素範囲と同一の構成を示す特性フラグテーブルを生成し、対応する画素位置にエッジフラグを示すデータを書き込むようにしてもよい。むろん、図15(a)は属性が輝度データの場合を示しており、RGBデータの場合は、図15(b)に示すようにRGBごとに特性フラグテーブルを生成する。また、ステップS310にて対象画素がエッジ画素判定条件を満たさない場合、次式(4)にて示すモアレ画素判定条件を満たすか否かを判定する(ステップS325)。
C2>C1>Tm,C4=C5=0 または、 …(4)
C4>C5>Tm,C1=C2=0ここで、上記Tmは、あらかじめ決められた所定のしきい値を示しており、本実施形態はTm=3により実施する。むろん、Tm=3に限定されるものではなく、適宜変更可能である。
【0073】
この式(4)を満たす場合は、対象画素をモアレ画素と判定し(ステップS330)、この画素の特性を指示する画素特性フラグをモアレフラグとする(ステップS335)。かかるモアレフラグは、上述したように図14(a)(b)または図15(a)(b)に示すように対象画素の階調データを示すビットデータの所定のビット位置をオンあるいはオフにしてもよいし、画像データを構成する画素範囲と同一の構成を示す特性フラグテーブルを生成し、対応する画素位置にモアレフラグを示すデータを書き込むようにしてもよい。
【0074】
一方、ステップS325の判定において、モアレ画素判定条件を満たさない画素は、中間画素と判定する(ステップS340)。そして、この画素の特性を指示する画素特性フラグを中間フラグとする(ステップS345)。かかる中間フラグについても、上述したように図14(a)(b)または図15(a)(b)に示すように対象画素の階調データを示すビットデータの所定のビット位置をオンあるいはオフにしてもよいし、画像データを構成する画素範囲と同一の構成を示す特性フラグテーブルを生成し、対応する画素位置に中間フラグを示すデータを書き込むようにしてもよい。
【0075】
ここで、選択されている属性がRGBデータの場合は、RGBごとにステップS305〜S345の処理が実行されているか否かを判定する必要がある(ステップS350,S355)。ここで、エッジ画素、モアレ画素および中間画素の構成と分布の一例を図16〜図18に示す。この図16〜図18は、属性が輝度データの場合を示している。属性がRGBデータの場合は、RGBごとに分布が生成されることになる。
【0076】
図16は、対象画素がエッジ画素を形成する場合を示している。図16(a)は5*5行列の元画像データを示しており、小区分が画素単位を示している。また、斜線を掛けた画素(0,0)が対象画素を構成し、この対象画素(0,0)を含め、画素(−2,−2)〜画素(2,2)が周囲画素を構成する。各小区分内に示した数値は各画素の階調を示している。そして、式(2)により対象画素と周囲画素との階調差を算出する。算出結果を図16(b)の5*5行列に示す。そして、この各階調差の分布を作成しつつ、図16(c)に示す各区間ごとに集計された分布を生成する。かかる場合、それぞれの集計数をC1〜C5とすると、C1=0,C2=0,C3=1,C4=7,C5=17となることが分かる。従って、上述した式(3)の条件を満たすことから上記対象画素はエッジ画素と判定される。
【0077】
図17は、対象画素がモアレ画素を形成する場合を示している。図17(a)は5*5行列の元画像データを示しており、小区分が画素単位を示している。また、斜線を掛けた画素(0,0)が対象画素を構成し、この対象画素(0,0)を含め、画素(−2,−2)〜画素(2,2)が周囲画素を構成する。各小区分内に示した数値は各画素の階調を示している。そして、式(2)により対象画素と周囲画素との階調差を算出する。算出結果を図17(b)の5*5行列に示す。そして、この各階調差の分布を作成しつつ、図17(c)に示す各区間ごとに集計された分布を生成する。かかる場合、それぞれの集計数をC1〜C5とすると、C1=0,C2=0,C3=5,C4=12,C5=8となることが分かる。従って、上述した式(4)の条件を満たすことから上記対象画素はモアレ画素と判定される。
【0078】
また、図18は、対象画素が中間画素を形成する場合を示している。図18(a)は5*5行列の元画像データを示しており、小区分が画素単位を示している。また、斜線を掛けた画素(0,0)が対象画素を構成し、この対象画素(0,0)を含め、画素(−2,−2)〜画素(2,2)が周囲画素を構成する。各小区分内に示した数値は各画素の階調を示している。そして、式(2)により対象画素と周囲画素の階調差を算出する。算出結果を図18(b)の5*5行列に示す。そして、この各階調差の分布を作成しつつ、図18(c)に示す各区間ごとに集計された分布を生成する。かかる場合、それぞれの集計数をC1〜C5とすると、C1=0,C2=1,C3=21,C4=2,C5=1となることが分かる。従って、上述した式(3)および(4)のいずれの条件も満たさないことから中間画素と判定される。
【0079】
従って、スキャン処理にて生成したスキャン対象物の画像データに対する画像データ修整処理をする場合のデータの属性を選択指定することより画像データ属性選択処理が画像データ属性指示工程A4を構成する。また、取得した画像データ構成する各画素について周囲画素との階調差による分布から対象画素がエッジ画素であるかモアレ画素であるか中間画素であるかを判定することより階調差演算処理および画素判定処理が画素特性判定工程A2を構成する。
【0080】
次に、ステップS400の画像データ修整処理の処理内容を図19のフローチャートにより示す。同図において、最初に、上述したスキャン処理にて生成するとともに、画素特性判定処理にて各画素の特性フラグが格納された画像データを読み出す(ステップS405)。そして、この画像データを構成する各画素について特性フラグを確認する。まず、特性フラグがエッジフラグであるか否かを判定し(ステップS410)、エッジフラグであれば、当該画素に対して図20に示す鮮鋭化フィルタを適用する(ステップS415)。この鮮鋭化フィルタは3*3行列によって形成され、斜線を掛けた小区分の対象画素に大きな係数を設定し、この対象画素の階調を強調するために、その上下左右の周囲画素に負の係数を設定し、直接接しない周囲画素にはゼロを係数に設定している。また、鮮鋭化フィルタの適用は、次式(6)により表わすことができる。ここで、元画素の階調をa(N1,N2)とし、鮮鋭フィルタを適用した後の出力画素をc(N1,N2)とする。
【0081】
【数1】
ただし、h(k1,k2)は、図20から次式(7)および(8)となる。
h(-1,-1)=0、h(-1,0)=-1、h(-1,1)=0、 h(0,-1)=-1、h(0,0)=5、h(0,1)=-1、 h(1,-1)=0、h(1,0)=-1、h(1,1)=0 …(7)
h(-1,-1)+h(-1,0)+h(-1,1)+h(0,-1)+h(0,0)+h(0,1)+h(1,-1)+h(1,0)+h(1,1)=1 …(8)
本実施形態においては、3*3行列の鮮鋭化フィルタを適用し、エッジ画素の強調化を実施する構成を採用したが、むろん、鮮鋭化フィルタは3*3行列に限定されるものではなく、式(8)、すなわち、すべての小区分の係数の和が1になる条件を満たすならば、5*5行列であってもよく、適宜変更可能である。そして、鮮鋭化フィルタを適用した画素を修整画素として格納する(ステップS420)。
【0082】
また、ステップS410にて特性フラグがエッジフラグでないと判定した場合は、特性フラグがモアレフラグか否かを判定する(ステップS425)。モアレフラグであれば、当該画素に対して図21に示す平滑化フィルタを適用する(ステップS430)。この平滑化フィルタは3*3行列によって形成され、斜線を掛けた小区分の対象画素と、この対象画素の階調を周囲画素と平均化するために、その対象画素および周囲画素に同一の係数を設定する。また、平滑化フィルタの適用は、次式(9)により表わすことができる。ここで、元画素の階調をa(N1,N2)とし、平滑化フィルタを適用した後の出力画素をc(N1,N2)とする。
【0083】
【数2】
ただし、g(k1,k2)は、図21から次式(10)および(11)となる。
g(-1,-1)=1/9 、g(-1,0)=1/9 、g(-1,1)=1/9 、 g(0,-1)=1/9 、g(0,0)=1/9 、g(0,1)=1/9 、 g(1,-1)=1/9 、g(1,0)=1/9 、g(1,1)=1/9 …(10)
g(-1,-1)+g(-1,0)+g(-1,1)+g(0,-1)+g(0,0)+g(0,1)+g(1,-1)+g(1,0)+g(1,1)=1…(11)
本実施形態においては、3*3行列の平滑化フィルタを適用し、モアレ画素の平均化を実施する構成を採用したが、むろん、平滑化フィルタは3*3行列に限定されるものではなく、式(11)、すなわち、すべての小区分の係数の和が1になる条件を満たすならば、5*5行列であってもよいし、適宜係数に重みをつけてもよい。例えば 対象画素より遠い周囲画素には低い係数を設定し、近い周囲画素には大きい係数を設定する。むろん、係数の和は1になるようにする。そして、平滑化フィルタを適用した画素を修整画素として格納する(ステップS420)。
【0084】
一方、ステップS425にて特性フラグがモアレフラグでない場合は、当該画素を中間画素と判定し、鮮鋭化フィルタおよび平滑化フィルタを適用しない(ステップS435)。すなわち、元画素の階調を出力画素の階調に保持する。そして、この中間画素についても修整画素として格納する(ステップS420)。ここで、画像データ修整処理を実行するにあたり、選択された属性がRGBの場合は、RGBごとに画像データ修整処理を実行する必要がある(ステップS440,S445)。以上のような、エッジ画素,モアレ画素,中間画素の判定を全画素について実施し(ステップS450)、元画像データを構成する各画素に対して鮮鋭化フィルタおよび平滑化フィルタを施した画像データを生成する(ステップS455)。
【0085】
ここで、各画素の輝度データに基づいて各フィルタを適用する画像データ修整処理を実行する場合、画像データ修整処理後のRGBデータの階調をR'G'B'とし、修整前のRGBデータの階調をRGBとする。また、輝度Yに対して鮮鋭化フィルタおよび平滑化フィルタを適用した後の輝度をY'とすると、R'B'G'は、次式(12)によって算出することができる。
ΔY=Y'−Y R'=R+ΔY G'=G+ΔY …(12)
B'=B+ΔY一方、各画素のRGBデータに基づいて各フィルタを適用した場合、RGBデータに対して直に各フィルタを適用するため、各フィルタを掛けたR'G'B'がそのまま修整後の画像データとなる。
【0086】
このようにスキャナ処理にて取得した画像データに対して、画素特性判定処理の判定に基づき所定のフィルタを適用して画像データを修整することから画像データ修整処理が画像データ修整工程A3を構成する。画像データ修整処理が実施され生成された画像データは、色変換処理などが施されてカラープリンタ40に送出され印刷が実行される。ここで、修整後の画像データに対してカラープリンタ40に送出される前に実行される画像データ変換処理の処理内容を図22のフローチャートに示す。
【0087】
同図において、最初に、画像データ修整処理が実行され、各画素が出力階調により構成されている画像データを入力し(ステップS505)、色変換する(ステップS510)。画像データが一般的なRGB256階調であるとするとプリンタ50ではCMYK2階調の印刷用色画像データが必要となるので、色変換と階調変換が必要になる。従って、ステップ510では、RGB256階調の色画像データをCMYK256階調の色画像データに変換する。このとき標準的は手法に基づいてLUTを利用して色変換処理を実行すればよい。次に、CMYK256階調をCMYK2階調へとハーフトーン化し(ステップS515)、ハーフトーン化した印刷データをパラレル通信でパソコン10からプリンタ50へと送信する(ステップS520)。
【0088】
そして、カラープリンタ40では、この印刷データを入力し、印刷媒体に印刷を実行する。ところで、上述した各種のプログラムの位置づけは処理の流れに沿った説明を行っているが、複数の機器がタイミングを取り合って実行するので、実際にはさまざまな態様で実現されている。また、各プログラムは独立実行されるようなものであっても良いし、他のプログラムの一部であっても良い。さらに、ソフトウェア処理をハードウェア処理で置き換えることも可能であり、この意味でモジュールという語はソフトウェアとしてもハードウェアとしても共通な手段を指している。
【0089】
このように、カラースキャナ20などの画像入力機器から画像データを取得し、この画像データを構成する各画素について、周囲画素との階調差を算出するとともに、この階調差の分布を作成し、分布に基づいて一括した処理により各画素がエッジ画素か、モアレ画素か、中間画素かを判定することが可能になる。そして、判定にしたがってエッジ画素なら鮮鋭化フィルタを適用し、モアレ画素なら平滑化フィルタを適用し、中間画素なら元画像の階調を保持する画像データ修整処理を実施するため、判定から修整までを一連の手順で実施することが可能になる。従って、判定から修整まで実行する画像データ修整処理の処理構成を簡易化することができるとともに、処理速度を高速にすることができる。すなわち、カラー複写装置10のユーザは、適切に修整された画像の印刷物をより高速に取得することが可能になる。
【0090】
また、属性を輝度データにすると各画素のRGBデータから輝度を算出した後は、この輝度に対して各処理を実行するため、処理構成を簡素化することができ、画像データ修整処理の処理速度は高速になる。さらに、属性をRGBデータにすると各画素の各RGBデータに対して各処理を実行するため、処理構成が大きくなり画像データ修整処理の処理速度は低速になる。一方、RGBデータがそれぞれ修整処理に反映されるため、画像データ修整処理によって得られる画像データの画質を高品質にする。従って、ユーザは、画像データ修整処理を高速に実施したい場合は、ステップS150の画像データ属性選択処理において、輝度データを選択し、高品質の画像出力を取得したい場合は、RGBデータを選択すれば、それぞれ所望の画像データ修整処理を実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる画像データ修整方法のクレーム対応図である。
【図2】本画像データ修整方法を実体化するために適用したカラー複写装置の概略外観図である。
【図3】本カラー複写装置のスキャナの構成を示した概略図である。
【図4】本カラー複写装置のコピーサーバの構成を示した概略ブロック図である。
【図5】同コピーサーバの構成を示した概略ブロック図である。
【図6】本カラー複写装置のカラープリンタの構成を示した概略図である。
【図7】本カラー複写装置の変形例を示したコンピュータシステムの概略外観図である。
【図8】同コピーサーバが実行するカラー複写処理の概略の処理内容を示したフローチャートである。
【図9】同コピーサーバが実行するスキャン処理の処理内容を示したフローチャートである。
【図10】同コピーサーバが実行する画像データ属性選択処理の処理内容を示したフローチャートである。
【図11】同コピーサーバが実行する階調差演算処理の処理内容を示したフローチャートである。
【図12】同階調差演算処理にて階調差から分布を作成する過程を示した図である。
【図13】同コピーサーバが実行する画素特性判定処理の処理内容を示したフローチャートである。
【図14】画素特性を格納する一例を示した図である。
【図15】画素特性を格納する他の一例を示した図である。
【図16】エッジ画素の具体的な一例を示す図である。
【図17】モアレ画素の具体的な一例を示す図である。
【図18】中間画素の具体的な一例を示す図である。
【図19】同コピーサーバが実行する画像データ修整処理の処理内容を示したフローチャートある。
【図20】鮮鋭化フィルタの一例を示した図である。
【図21】平滑化フィルタの一例を示した図である。
【図22】同コピーサーバが実行する画像データ変換処理の処理内容を示したフローチャートである。
【符号の説明】
S100…スキャン処理
S150…画像データ属性選択処理
S200…階調差演算処理
S300…画素特性判定処理
S400…画像データ修整処理
S500…画像データ変換処理
Claims (23)
- 画像をドットマトリクス状の画素で多階調表現した画像データにおける各画素の特性を判定し、各画素に対してその特性に応じた修整を実行する画像データ修整装置であって、
上記画像データを取得する画像データ取得手段と、
上記画像データ取得手段にて取得した画像データの各画素を対象画素とし、その周囲の所定範囲での近隣画素との階調値の差の分布であって、且つ、上記差の少ない範囲の分布と上記差の大きい範囲の分布とを求め、上記求めた分布の正負の偏りを、所定のモデル的分布と対比して対象画素の特性を判定する画素特性判定手段と、
上記画素特性判定手段にて判定された画素の特性に対応した所定の画像処理を実行する画像データ修整手段とを具備することを特徴とする画像データ修整装置。 - 上記請求項1に記載の画像データ修整装置において、上記画素特性判定手段は、上記差の大きい範囲の分布が多く、上記分布に正負の偏りが生じている場合にエッジ画素と判定することを特徴とする画像データ修整装置。
- 上記請求項2に記載の画像データ修整装置において、上記画像データ修整手段は、上記対象画素がエッジ画素であると判定されたときに鮮鋭化の画像処理を実行することを特徴とする画像データ修整装置。
- 上記請求項3に記載の画像データ修整装置において、上記鮮鋭化は、対象画素を中心とする所定の画素数を備える行列に形成されるとともに、行列の各画素位置に同対象画素を強調する所定の係数が設定された鮮鋭化フィルタによって実行されることを特徴とする画像データ修整装置。
- 上記請求項1に記載の画像データ修整装置において、上記画素特性判定手段は、上記差の小さい範囲の分布が多く、上記分布に正負の偏りが生じている場合にモアレ画素と判定することを特徴とする画像データ修整装置。
- 上記請求項5に記載の画像データ修整装置において、上記画像データ修整手段は、上記対象画素がモアレ画素であると判定されたときに平滑化の画像処理を実行することを特徴とする画像データ修整装置。
- 上記請求項6に記載の画像データ修整装置において、上記平滑化は、対象画素を中心とする所定の画素数を備える行列に形成されるとともに、行列の各画素位置に上記対象画素を略平均化する所定の係数が設定された平滑化フィルタによって実行されることを特徴とする画像データ修整装置。
- 上記請求項1〜請求項7のいずれかに記載の画像データ修整装置において、上記画像データ修整手段は、上記画像データの輝度値に対する修整値を得て、各要素色の階調値に同修整値を加算して画像データを修整することを特徴とする画像データ修整装置。
- 画像をドットマトリクス状の画素で多階調表現した画像データにおける各画素の特性を判定し、各画素に対してその特性に応じた修整を実行する画像データ修整方法であって、
上記画像データを取得する画像データ取得工程と、上記画像データ取得工程にて取得した画像データの各画素を対象画素とし、その周囲の所定範囲での近隣画素との階調値の差の分布であって、且つ、上記差の少ない範囲の分布と上記差の大きい範囲の分布とを求め、上記求めた分布の正負の偏りを、所定のモデル的分布と対比して対象画素の特性を判定する画素特性判定工程と、上記画素特性判定工程にて判定された画素の特性に対応した所定の画像処理を実行する画像データ修整工程とを具備することを特徴とする画像データ修整方法。 - 上記請求項9に記載の画像データ修整方法において、上記画素特性判定工程では、上記差の大きい範囲の分布が多く、上記分布に正負の偏りが生じている場合にエッジ画素と判定することを特徴とする画像データ修整方法。
- 上記請求項10に記載の画像データ修整方法において、上記画像データ修整工程では、上記対象画素がエッジ画素であると判定されたときに鮮鋭化の画像処理を実行することを特徴とする画像データ修整方法。
- 上記請求項11に記載の画像データ修整方法において、上記鮮鋭化は、対象画素を中心とする所定の画素数を備える行列に形成されるとともに、行列の各画素位置に同対象画素を強調する所定の係数が設定された鮮鋭化フィルタによって実行されることを特徴とする画像データ修整方法。
- 上記請求項9に記載の画像データ修整方法において、上記画素特性判定工程では、上記差の小さい範囲の分布が多く、上記分布に正負の偏りが生じている場合にエッジ画素と判定することを特徴とする画像データ修整方法。
- 上記請求項13に記載の画像データ修整方法において、上記画像データ修整工程では、上記対象画素がモアレ画素であると判定されたときに平滑化の画像処理を実行することを特徴とする画像データ修整方法。
- 上記請求項14に記載の画像データ修整方法において、上記平滑化は、対象画素を中心とする所定の画素数を備える行列に形成されるとともに、行列の各画素位置に上記対象画素を略平均化する所定の係数が設定された平滑化フィルタによって実行されることを特徴とする画像データ修整方法。
- 上記請求項9〜請求項15のいずれかに記載の画像データ修整方法において、上記画像データ修整工程では、上記画像データの輝度値に対する修整値を得て、各要素色の階調値に同修整値を加算して画像データを修整することを特徴とする画像データ修整方法。
- 画像をドットマトリクス状の画素で多階調表現した画像データにおける各画素の特性を判定し、各画素に対してその特性に応じた修整を実行する画像データ修整プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、上記画像データを取得する画像データ取得機能と、上記画像データ取得機能にて取得した画像データの各画素を対象画素とし、その周囲の所定範囲での近隣画素との階調値の差の分布であって、且つ、上記差の少ない範囲の分布と上記差の大きい範囲の分布とを求め、上記求めた分布の正負の偏りを、所定のモデル的分布と対比して対象画素の特性を判定する画素特性判定機能と、上記画素特性判定機能にて判定された画素の特性に対応した所定の画像処理を実行する画像データ修整機能とを実行させることを特徴とする画像データ修整プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
- 上記請求項17に記載の画像データ修整プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体において、上記画像データ修整機能では、上記対象画素がエッジ画素であると判定されたときに鮮鋭化の画像処理を実行することを特徴とする画像データ修整プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
- 上記請求項18に記載の画像データ修整プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体において、上記鮮鋭化は、対象画素を中心とする所定の画素数を備える行列に形成されるとともに、行列の各画素位置に同対象画素を強調する所定の係数が設定された鮮鋭化フィルタによって実行されることを特徴とする画像データ修整プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
- 上記請求項17に記載の画像データ修整プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体において、上記画素特性判定機能では、上記差の小さい範囲の分布が多く、上記分布に正負の偏りが生じている場合にモアレ画素と判定することを特徴とする画像データ修整プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
- 上記請求項20に記載の画像データ修整プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体において、上記画像データ修整機能では、上記対象画素がモアレ画素であると判定されたときに平滑化の画像処理を実行することを特徴とする画像データ修整プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
- 上記請求項21に記載の画像データ修整プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体において、上記平滑化は、対象画素を中心とする所定の画素数を備える行列に形成されるとともに、行列の各画素位置に上記対象画素を略平均化する所定の係数が設定された平滑化フィルタによって実行されることを特徴とする画像データ修整プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
- 上記請求項17〜請求項22のいずれかに記載の画像データ修整プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体において、上記画像データ修整機能では、上記画像データの輝度値に対する修整値を得て、各要素色の階調値に同修整値を加算して画像データを修整することを特徴とする画像データ修整プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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