JP3962200B2 - メタル担体およびその製造方法並びに金属箔 - Google Patents

メタル担体およびその製造方法並びに金属箔 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に自動車排気ガス浄化用触媒コンバータに用いられるメタル担体であって、金属製平箔と波箔とを積層し又は巻き回したハニカム体よりなるメタル担体及びその製造方法ならびにそのメタル担体の製造に適する金属箔に関するものであり、特に平箔と波箔との接触部を拡散接合するものに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車排気ガス浄化用触媒コンバータのメタル担体を製造する方法としては、まず金属製平箔と波箔とを積層し又は巻き回してハニカム体形状とし、該平箔と波箔との接触部を接合して強固なハニカム体を形成する。接合方法としては、ロウ付け、拡散接合、レーザー溶接、抵抗溶接等が挙げられるが、製造コストの点で拡散接合が優れている。
【0003】
メタル担体のハニカム体を拡散接合するに際しては、平箔と波箔の巻き回し時のバックテンションによる極めて低荷重下での拡散接合現象を応用したものである。したがって、拡散接合の良否には箔表面性状の影響を顕著に受ける。箔表面性状の中で拡散接合の良否に最も大きな影響を与えるのは、箔表面形状である。箔圧延時に圧延ロール表面の凹凸形状が箔表面に転写され、箔表面にスクラッチ疵が形成される。圧延ロール表面には圧延ロール回転軸と直交する方向に凹凸が形成されているため、この圧延ロールを用いて圧延された箔表面には、箔の長手方向に平行なスクラッチ疵が形成される。このようなスクラッチ疵を表面に有する箔を平箔、波箔として用いてハニカム体を構成し、箔の接触部を拡散接合してメタル担体を構成する場合、スクラッチ疵の凹凸によって形成される箔接触部表面の空間を表面拡散により充填する必要があった。
【0004】
ところが、従来用いられていた箔表面のスクラッチ疵は、平均粗さ(Ra)で約0.35μmもあり、このようなスクラッチ疵を有する箔を用いてメタル担体を構成する場合、拡散接合条件として、真空度10-4torr、1250℃、90分という限界条件を採用しても、拡散接合率(拡散接合部幅の総和/評点間距離)は約15%が上限であった。メタル担体として必要な拡散接合率は約50%であり、従って従来用いられていた金属箔を用いて拡散接合によってメタル担体を製造することは不可能であった。
【0005】
特開平8−38912号公報、特開平9−192504号公報においては、圧延ロール表面の圧延ロール回転軸と直交する方向に形成されている凹凸を低減し、このような凹凸の少ない圧延ロールを用いて圧延することにより、箔表面の箔長手方向に平行なスクラッチ疵を低減している。このスクラッチ疵を低減した箔を平箔、波箔として巻き回し、拡散接合によってメタル担体を構成するとき、平箔と波箔との接触部表面において上記スクラッチ疵の凹凸部によって形成される空間が小さくなっているので、表面拡散により充填すべき空間が減少し、拡散接合性が高められることが期待できる。例えば、箔表面のスクラッチ疵を平均粗さ(Ra)で0.15μmに低減し、この金属箔を用いて拡散接合によってメタル担体を構成する場合、拡散接合条件として、真空度10-4torr、1200℃、60分という条件で拡散接合率(拡散接合部幅の総和/評点間距離)を約50%に確保することができた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記箔表面の凹凸を低減する方法においては、新たに圧延ロール管理費が派生し、この圧延ロール費が金属箔の製造コストを上昇させたため、この方法にかわる更なる改善が求められていた。
【0007】
本発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、箔表面のスクラッチ疵を低減することなく、現行レベルのスクラッチ疵を有する箔を用いて拡散接合によって構成するメタル担体及びその製造方法並びに該製造に供する金属箔を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明の要旨とするところは以下のとおりである。
(1)金属製平箔と波箔とを積層し又は巻き回したハニカム体よりなるメタル担体であって、前記平箔と波箔との接触部において平箔表面のスクラッチ疵と波箔表面のスクラッチ疵とが相互に角度をなして配置されてなり、該平箔と波箔との接触部は拡散接合によって接合されてなることを特徴とするメタル担体。
(2)金属製平箔と波箔とを積層し又は巻き回したハニカム体よりなるメタル担体の製造方法であって、前記平箔と波箔との接触部において平箔表面のスクラッチ疵と波箔表面のスクラッチ疵とを相互に角度をなして配置し、該平箔と波箔との接触部を拡散接合によって接合することを特徴とするメタル担体の製造方法。
(3)前記平箔表面のスクラッチ疵と波箔表面のスクラッチ疵との相対角度を45度以上とすることを特徴とする上記(2)に記載のメタル担体の製造方法。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明が対象とする金属箔は、表面のスクラッチ疵の平均粗さ(Ra)が従来用いられていた約0.35μm程度のものを対象としている。本発明においては、平箔と波箔とを巻き回して形成したハニカム体において、平箔と波箔との接触部において平箔表面のスクラッチ疵と波箔表面のスクラッチ疵とを相互に角度をなして配置することを最大の特徴とする。スクラッチ疵に相対角度を設けることにより、平箔と波箔とを拡散接合する際に、拡散接合の起点となる平箔と波箔の接触点がより多く確保され、従来に比較して拡散接合率を高めることができる。
【0010】
図1は、平箔のスクラッチ疵と波箔のスクラッチ疵のなす相対角度と拡散接合率の関係を示す。拡散接合条件として、真空度10-4torr、1200℃、60分という条件を採用した。図に見るように、相対角度が増加するに従って拡散接合率が増大する。特に相対角度が45度を超えると、相対角度の増大に対する拡散接合率の増大の度合いが大きくなる。そして、相対角度90度では、ここで採用した低入熱短時間条件でさえも拡散接合率50%を実現している。
【0011】
このように、本発明においては、箔表面のスクラッチ疵の平均粗さを低減する必要が全くなく、従来どおりの表面粗さでメタル担体を拡散接合によって構成し得る。
【0012】
本発明のメタル担体に用いる金属箔として、金属箔表面のスクラッチ疵が箔の長手方向との間で角度をなしている帯状の金属箔を用いることができる。平箔と波箔とのスクラッチ疵の方向を反対方向とすることにより、平箔表面のスクラッチ疵と波箔表面のスクラッチ疵との相対角度を、それぞれの箔におけるスクラッチ疵と箔の長手方向との間の角度を足し合せた角度とすることができる。従って、帯状金属箔の表面のスクラッチ疵と箔の長手方向との間の相対角度が23度以上であれば、平箔表面のスクラッチ疵と波箔表面のスクラッチ疵との相対角度を45度以上とすることができる。
【0013】
上記金属箔表面のスクラッチ疵が箔の長手方向との間で角度をなしている帯状の金属箔を製造するに際しては、圧延ロール表面の凹凸を圧延ロール回転方向に対して角度をなして付加することによって行なうことができる。
【0014】
本発明に示す優れた拡散接合性を有する箔を用いて、優れた拡散接合方法を採用することにより、より低温かつより短時間の熱処理条件で、メタル担体を製造できる。これはとりもなおさず、箔の蒸気圧の低い合金成分の蒸発を防ぐことができることを意味する。たとえば、20%Cr−5%Alの高耐熱高耐食性ステンレス鋼箔においては、真空度10-4torr、1250℃という条件で長時間真空熱処理をすると、蒸気圧の低いAlが蒸発し、箔中から失われてしまう。メタル担体はできても残余のAl量が少なく耐久性に乏しい製品となる可能性が高い。本発明に示す優れた拡散接合性を有する箔を用いて、優れた拡散接合方法を採用することにより、より低温かつより短時間の熱処理条件で、Al残量の多いメタル担体を製造することができる。
【0015】
箔の組成については特に制限はない。また箔の厚さについても特に制限はなく、最も多用されている50μm厚の箔でも、30μm、20μmの薄箔でも有効である。
【0016】
箔のスクラッチ疵の平均粗さ(Ra)の範囲は、0.15μm〜0.50μmとすることが好ましい。平均粗さ(Ra)が0.50μmを超えると、たとえ平箔と波箔とのスクラッチ疵の方向に相対角度を与えても十分な拡散接合率を得ることができなくなる。平均粗さ(Ra)を0.15μm未満とすることは、箔の製造コストの高騰を招き、本発明のメリットを享受できなくなる。
【0017】
【実施例】
以下、実施例を示し、本発明の拡散接合方法と拡散接合性の優れた箔についてさらに詳しく説明する。各実施例に共通する条件は以下のとおりである。
箔組成:20%Cr−5%Alステンレス鋼箔
箔厚み:50μm
箔のスクラッチ疵の平均粗さ(Ra):0.35μm
ハニカム体巻き回しにおけるバックテンション:8kgf
拡散接合条件
真空度:10-4torr
真空熱処理時間:60分
【0018】
本発明1〜3および従来例の結果を表1に示す。本発明1〜3においては、いずれも拡散接合率が50%となり、良好な拡散接合を得ることができた。一方、従来例においては拡散接合率が10%であって不合格となった。
【0019】
【表1】
Figure 0003962200
【0020】
勿論、本発明は以上の実施例によって限定されるものではない。箔の組成、箔の表面形状、拡散接合条件等の細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。
【0021】
【発明の効果】
以上詳しく説明したとおり、本発明によって、拡散接合現象を促進させて、より低温、短時間の拡散接合熱処理条件によってメタル担体を製造できる拡散接合方法と拡散接合性の優れた箔が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】20%Cr−5%Alステンレス鋼箔におけるスクラッチ疵の相対角度と拡散接合率の関係を示した図である。

Claims (3)

  1. 金属製平箔と波箔とを積層し又は巻き回したハニカム体よりなるメタル担体であって、前記平箔と波箔との接触部において平箔表面のスクラッチ疵と波箔表面のスクラッチ疵とが相互に角度をなして配置されてなり、該平箔と波箔との接触部は拡散接合によって接合されてなることを特徴とするメタル担体。
  2. 金属製平箔と波箔とを積層し又は巻き回したハニカム体よりなるメタル担体の製造方法であって、前記平箔と波箔との接触部において平箔表面のスクラッチ疵と波箔表面のスクラッチ疵とを相互に角度をなして配置し、該平箔と波箔との接触部を拡散接合によって接合することを特徴とするメタル担体の製造方法。
  3. 前記平箔表面のスクラッチ疵と波箔表面のスクラッチ疵との相対角度を45度以上とすることを特徴とする請求項2に記載のメタル担体の製造方法。
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