JP3961880B2 - 多光軸光電スイッチ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、互いに対をなす複数の投光素子及び受光素子を対向配置してなり、正対する投光素子及び受光素子毎に順次投受光動作をさせて各受光素子からの受光信号に基づいて検出動作を行う多光軸光電スイッチに関し、特に外乱光対策に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の多光軸光電スイッチは、例えば複数の投光素子を有する投光部と、それら複数の投光素子のそれぞれと対をなす複数の受光素子を有し、前記投光器と対向配置される受光部とを備えてなる。各投光素子を順次投光させると共に、それら各投光素子の投光タイミングに同期して、正対する各受光素子からの受光信号を有効化させることで、互いに正対する投受光素子間で形成される各光軸毎に順次投受光動作をさせるよう構成されている。このような構成であれば、各受光素子は正対する投光素子からの光のみ受光し、それに隣接する他の投光素子からの光の入光を排除することができるから、当該光軸間に物体が存在し遮光状態にであるにもかかわらず他の投光素子からの光により入光状態となって物体なしとの誤検出を引き起こすことを防止することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、各受光素子には、前述の隣接する他の投光素子からの光だけに限らず、例えば隣接配置された他の光電スイッチからの拡散光等、周囲からの外乱光が入光することがあり、やはり物体があるにもかかわらず入光状態となって誤検出を引き起こしてしまうという問題があった。
【0004】
しかも、外乱光には様々なものがあり、例えば工場内においては、照明用のライト光など不変的な光のように物体検出に対して継続的に影響を与えるものもあれば、例えば溶接スパッタ光や周期的な発光動作による安全用ライトから光など、一時的或いは周期的な光もあり、しかもこれらが一部の受光素子だけに入光することもある。更には、工場内を巡回する搬送車のパトライトからの光のように不定期な方向から入射する光もある。従って、いつ、どのように外乱光が入光するのかを予め予測して対策を採ることは困難であった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、外乱光による影響を抑制し、安定した検出動作を行うことが可能な多光軸光電スイッチを提供するところにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明に係る多光軸光電スイッチは、複数の投光素子を有する投光器と、複数の投光素子のそれぞれと対をなす複数の受光素子を有し、投光器に対向配置される受光器と、複数の投光素子を所定の投光タイミングで順次投光させると共に、受光素子から出力される受光信号を、正対する投光素子の投光タイミングに同期して取り込むことで、互いに正対する投受光素子間で形成される各光軸毎に投受光動作をさせる投受光制御手段とを備えた多光軸光電スイッチにおいて、各投光素子の投光タイミングの直前及び直後の少なくともいずれか一方の所定の検査期間に、その投光素子と正対する受光素子からの受光信号を取り込んで、その受光信号レベルに基づき各光軸における外乱光(電気的な外乱ノイズを含む)の有無の判定動作を行う外乱光判定手段を備えて、投受光制御手段は、外乱光判定手段によって外乱光ありと判定されていることを条件に、次の光軸の投受光動作を行わずに、その外乱光ありと判定された当該光軸について再度投受光させるリトライ動作を、予め設定されたリトライ可能回数を限度として繰り返し行うようにしたところに特徴を有する。
なお、上記請求項1において「リトライ可能回数」は、各光軸毎に個別に設定したものであっても、或いは、全光軸に対して通算リトライ可能回数として設定したものであっても良い。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の多光軸光電スイッチにおいて、リトライ可能回数は複数回であるところに特徴を有する。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の多光軸光電スイッチにおいて、リトライ可能回数は、複数の光軸全体に対して全光軸リトライ限度回数であり、各光軸については、全光軸リトライ限度回数からリトライ対象の光軸の前に投受光動作を行った光軸までに実行されたリトライ回数を差し引いた回数を限度としてリトライ動作を繰り返し行うようにしたところに特徴を有する。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の多光軸光電スイッチにおいて、リトライ動作の回数が、リトライ可能回数に達し、かつ、外乱光判定手段により外乱光ありと判定されていることを条件に、検出異常信号を出力する検出異常判定手段を備えているところに特徴を有する。
【0010】
【発明の作用及び効果】
<請求項1の発明>
請求項1の構成によれば、外乱光判定手段によって、各投光素子の投光タイミングの直前及び直後の少なくともいずれか一方の検査期間に、その投光素子と正対する受光素子からの受光信号が取り込まれて、この受光信号レベルに基づいて外乱光の有無の判定が行われる。ここで、正対する投光素子の非投光期間である検査期間では、通常、受光素子からの受光信号レベルは遮光状態時と変わらないはずだが、外乱光の入光があると、その入光量に応じて受光信号レベルが変化する。従って、検査期間での受光信号レベル変化に基づき外乱光の有無を判定することができる。
【0011】
そして、投受光制御手段によって、常には、各光軸毎に、投光素子の投光動作に同期して、それと正対する受光素子からの受光信号を取り込む投受光動作が所定の投光タイミングで順次行われる。これに対して、上記外乱光ありと判定されたときには、次の光軸の投受光動作に移らずに、その外乱光ありと判定された当該光軸について再度投受光させるリトライ動作が行われ、外乱光なしと判定された場合には次の光軸の投受光動作に移る。一方、再び外乱光ありと判定された場合には更にリトライ動作を行い、このリトライ動作は外乱光なしと判定されるまで予め設定されたリトライ可能回数を限度として繰り返し行われる。
このような構成であれば、リトライ可能回数を適当に調整することで外乱光のうち例えばスパッタ光等の一過性の光については、リトライ動作により再投受光させることでその影響を排除して物体検出動作を継続させることができる。
【0012】
<請求項2の発明>
請求項2の構成によれば、リトライ可能回数は複数回であり、その設定回数に応じた時間、連続的に入光する外乱光の影響を排除することができる。
<請求項3の発明>
リトライ動作に利用できる時間は、物体検出の感度等を考慮して定められる1サイクルの応答時間内において正常時の全光軸の投受光動作に要する時間とCPU等の処理時間とによって制限され得る。このような場合、このリトライ可能時間を各光軸毎に割り振って、各光軸毎にそれぞれ割り振られたリトライ可能時間内に収まる固定のリトライ可能回数を設定する構成も考えられる。
【0013】
しかしながら、複数の光軸のうち一部の光軸に集中的に外乱光が入光することがある。予め外乱光が入光する光軸がどれかがわかるのであれば、各光軸毎に固定のリトライ可能回数を設定する上記構成のものであってもその光軸に対応するリトライ可能時間を多く割り振ることでリトライ動作を集中して実行させることも可能であろう。ところが前述の従来説明で述べたように、どのように外乱光が入光するのかを予め予測することは極めて困難であり、全ての光軸のそれぞれに対して外乱光の入光を除去するのに十分なリトライ可能回数を確保しようとすれば外乱光による影響をより確実に排除することは可能となるが、1サイクルの応答時間が必要以上に長くなってしまう。
【0014】
そこで、請求項3の構成によれば、前記リトライ可能回数は複数の光軸全体に対して定められた全光軸リトライ限度回数であり、各光軸については、全光軸リトライ限度回数からそれより前に投受光動作を行った光軸までに実行されたリトライ回数を差し引いた回数分、リトライ動作が可能となる。即ち、どの光軸に外乱光が集中して入光するのかがわからなくても、全光軸リトライ限度回数を限度として外乱光が入光する一部の光軸について集中してリトライ動作を行うことが可能になり、もって必要以上に応答時間が長くなることを防止しつつ、外乱光による影響を抑制することができる。
【0015】
<請求項4の発明>
請求項4の構成によれば、リトライ動作の回数が、リトライ可能回数に達し、かつ、外乱光判定手段により外乱光ありと判定されていることを条件に、検出異常判定手段により検出異常信号を出力する構成としたので、外乱光による影響が大きく、物体検出を行えないような異常状態を外部に報知することにより、作業者に認識させ、点検を促すようにして、異常を解消するように働きかけることができ、そのまま使用されることによる危険な状態を回避することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態を図1ないし図5によって説明する。
本発明に係る多光軸光電スイッチは、例えば10個の投光素子T(T1 〜T10例えば発光ダイオード:LED)が一列に配列された投光器10と、それらの10個の投光素子Tのそれぞれと対をなす10個の受光素子J(J1 〜J10 例えばフォトダイオード:PD)が配列された受光器30とを所定の検出エリアを挟んで対向配置された構成をなす。図1には、その電気的構成の全体概略図が示されている。なお、以下の説明で使用される文字Nは、上記の各投光素子T及び受光素子J、それらが形成する各光軸L(L1 〜L10)の任意の順位(1〜10)を示したものであり、後述する投光器10及び受光器30側のシフトレジスタ13,35のカウンタ数に対応付けられたものである。
【0017】
まず、投光器10において、各投光素子Tは、駆動回路11に接続され、これらの駆動回路11は、AND回路12と投光側シフトレジスタ13とを備えてなる選択回路を介して投光側CPU14に接続されており、後述する投光側CPU14による制御により、基本的には、受光器30側の受光側CPU34からの同期信号Dを受ける度に、投光素子Tの配列方向(例えば1番目の投光素子T1 から10番目の投光素子T10に向う方向)に沿って1つずつ順番に投光動作を行うよう動作する。
より詳しくは、投光側シフトレジスタ13は、入力端子側が投光側CPU14に接続されると共に、複数の出力端子側が10個のAND回路12の一方の入力端子にそれぞれ接続されている。そして、これら10個のAND回路12の他方の入力端子が投光側CPU14に接続されると共に、出力端子が各駆動回路11に接続されている。
【0018】
次に、受光器30において、各受光素子Jは受光アンプ31及びスイッチ素子32を介してA/D変換器33に共通接続されている。各スイッチ素子32の制御端子は、受光側CPU34からの制御信号に基づいて動作する受光側シフトレジスタ35の出力側に接続されている。各受光素子Jからの受光信号は、後述する受光側CPU34の制御により、基本的には、投光側CPU14に与えられる同期信号Dの出力タイミングに同期して前記投光素子Tと同様の配列方向に沿って順番に受光側CPU34に取り込まれる。このような構成により同一光軸L同士の投光素子T及び受光素子Jが順に投受光動作を行うことになり、もって各光軸L間の相互干渉を防止することができる。
【0019】
次に、上記投光側CPU14及び受光側CPU34の制御による本実施形態に係る多光軸光電スイッチの動作について図2及び図3に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
[投光側CPU14による制御]
例えば多光軸光電スイッチの電源を投入すると、図2に示す制御ルーチンが実行される。まず、ステップS1において投光側シフトレジスタ13のカウンタNを「1」にセットし、これにより投光側シフトレジスタ13から投光素子T1 に連なるAND回路12に選択信号が与えられる。そして、そのまま受光側CPU34からの同期信号Dが入力されるのを待つ待機状態に入り(ステップS2)、同期信号Dの入力があると(ステップS2で「YES」)、前記AND回路12側に投光信号Eを出力する(ステップS3)。これにより投光素子Tのうち、投光側シフトレジスタ13からの選択信号をも受けているAND回路12に連なる投光素子T(この場合は投光素子T1 )だけが投光動作を行うことになる。
【0020】
そして後述するように受光側CPU34から外乱光検出信号Gを受けていないときは(ステップS4で「NO」)、ステップS5で投光側シフトレジスタ13のカウンタNを1つシフトさせて再び待機状態に入る。これにより投光側シフトレジスタ13から次の順位の投光素子T2 に連なるAND回路12に選択信号が与えられ、投光信号の出力タイミングに同期して次の順位の投光素子T2 が投光動作を行ことになる。このように外乱光検出信号Gを受けていないときは、前記投光信号の出力タイミングに同期して投光素子T1 から投光素子T10まで順番に1回ずつ投光動作が行われて1サイクルにおける投光動作が終了する(ステップS6)。
【0021】
一方、外乱光検出信号Gを受けているときは(ステップS4で「YES」)、再び前記待機状態に戻り(ステップS2)、同期信号Dを受けたときに再び投光信号を出力する。即ち、投光側シフトレジスタ13のカウンタNをシフトさせずに投光信号を出力し(ステップS3)、これにより投光素子T1 が連続して投光動作を行うことになる。そして、外乱光検出信号Gを受けている間は同一の投光素子L1 が投光動作を繰り返し行い、外乱光検出信号Gを受けなくなったときに初めて次の投光素子T2 が投光動作を行うよう動作する。
【0022】
[受光側CPU34による制御]
次に受光側CPU34は、多光軸光電スイッチの電源投入後、図3に示す制御を実行する。ステップS11において、やはり受光側シフトレジスタ35のカウンタNを「1」にセットする。すると、受光側シフトレジスタ35から投光素子T1 に連なるAND回路12に選択信号(図1で符号S1〜S10)が与えられ、これにより、受光素子J1 に連なるスイッチ素子32がオンしてその受光信号のみが有効化されA/D変換器33に与えられる。それと同時にリトライ回数Kを「0」にセットし(ステップS11)、そのまま待機状態となり、所定の受光タイミングになったときに(ステップS12で「YES」)、このときのA/D変換器33の出力レベルを読み込む(ステップS13)。従って、ここで読込まれた出力レベルは、まだ投光素子T1 が投光動作に入る前の受光素子J1 での受光レベル(以下、「非投光時受光レベル」)となる。次いで、その所定時間経過後に、ステップS14にて同期信号Dを投光側CPU14側に出力する。これにより初めて受光素子J1 に正対する投光素子T1 が投光動作に入り、これに同期して再びA/D変換器33の出力レベル(以下、「投光時受光レベル」)を読み込む。
【0023】
ステップS15においては、前記非投光時受光レベルに基づき外乱光の有無が判定される。即ち、非投光時受光レベルは、受光素子J1 に外乱光の入光がなければ遮光時と同等の低いレベルとなり、外乱光の入光があれば相対的に高いレベルになる。従って、この非投光時受光レベルを予め設定した外乱光検知閾値と大小比較することで外乱光の有無の判定が可能になる。
【0024】
ここで、外乱光の入光がなければ(ステップS15で「NO」)、ステップS16で前記投光時受光レベルを物体検出用の閾値と大小比較し、この比較結果に基づいて所定の物体検出を行う。そして、受光側シフトレジスタ35のカウンタNを1つシフトさせる。これにより次の順位の受光素子J2 について上記と同様の動作を行う。このように外乱光の入光がなければ、前記同期信号Dの出力タイミングに同期して受光素子J1 から受光素子J10まで順番に1回ずつ受光動作が行われて1サイクルにおける受光動作が終了する(ステップS18)。
【0025】
これに対して、外乱光の入光があると(ステップS15で「YES」)、ステップS19にて現時点でのリトライ回数Kが全光軸リトライ限度回数(本実施形態では例えば9回)を超えているかどうかを判断し、まだ超えてなければリトライ回数に「1」加算して再び前記待機状態に戻る(ステップS12)。このように外乱光ありとの判定している間は、受光タイミングに同期して同じ受光素子J1 について前記リトライ回数Kが9を超えるまで上記一連の受光動作を行い、その途中で外乱光なしと判定したときに初めて次の受光素子J2 について受光動作を行うよう動作する。リトライ回数Kが9回目に達し、そのときのリトライ動作においてもなお外乱光ありと判定したときには(ステップS9で「YES」)、物体検出において外乱光を無視できないほど影響があるとして検出異常信号を出力し(ステップS21)、これにより例えば図示しない動作表示灯等の発光手段やスピーカ等の発音手段を駆動させて外部に報知する。或いは工場内の生産ラインであればその制御装置に与えて生産ラインを停止させる構成であっても良い。
【0026】
以上の制御による本実施形態の多光軸光電スイッチの作用効果について図4及び図5に示すタイムチャートを参照しつつ説明する。
多光軸光電スイッチは、外乱光の入光がなければ、図4(A)に示すように、各投光素子Tの投光タイミングの直前における受光素子Jから受光信号レベルに基づき外乱光判定を行いつつ第1光軸L1 から順番に1回ずつ投受光動作を行うよう動作する。これに対して、例えば同図(B)に示すように、第2光軸の受光素子J1 に単発的な外乱光が入光したときには、次の第3光軸に移らずに、同じ第2光軸について再び投受光を行うリトライ動作が実行され、例えば3回目のリトライ動作において外乱光なしと判定されたときに初めて次の第3光軸についての投受光動作に移るよう動作する。このような構成であれば、スパッタ光等の一過性の外乱光の入光については、上記リトライ動作を行うことでそれを除去して物体検出を継続させることができる。一方、例えば照明等の不変的な外乱光の入光については、リトライ回数が全光軸限度回数9回を超えたときに上述の報知動作が行われることで正常な物体検出が行えない状態となっていることを知ることができる。
【0027】
また、上記1サイクルの応答時間は、たとえば多光軸光電スイッチが対象とする検出物体のうち最小のものが所定の速度で通過する場合にそれを検出できる時間に調整される。従って、リトライ動作に利用できる時間は、その応答時間から正常時での全光軸の投受光動作に要する時間、及び、受光側CPU34の処理時間等を差し引いた時間内い制限される(図5参照)。このような場合、このリトライ可能時間を各光軸毎に割り振って、各光軸毎にそれぞれ割り振られたリトライ可能時間内に収まる固定のリトライ可能回数を設定する構成(請求項1の発明に含まれる構成)も考えられる。
【0028】
しかしながら、実際には、複数の光軸のうち一部の光軸に集中的に外乱光が入光することがあり、しかも例えば工場内においては、例えば照明用のライト光、溶接スパッタ光や周期的な発光動作による安全用ライトから光など、様々な外乱光が多光軸光電スイッチの周囲から入光し得る。従って、上記構成において、外乱光がどの光軸に入光するかを予め予測して当該光軸にリトライ可能回数を多めに割り振るといったことは不可能である。だからと言って、全ての光軸についてのリトライ可能回数を増加させると外乱光による影響をより確実に排除することは可能となるが1サイクルの応答時間が長くなってしまう。
【0029】
そこで、本実施形態では、前述した制御のようにリトライ動作に利用できる時間に対応する全光軸リトライ限度回数を、予め各光軸毎に割り振るのではなく、実際に外乱光の入光があったと判定された光軸について順次消化していく構成とした。具体的には、図5に示すように、第1光軸では外乱光の入光がないので、そこで全光軸リトライ限度回数は消化されず、次の第2光軸では外乱光の入光により2回のリトライ動作により2回消化される。これにより、次の第3光軸以降については、最大で7回のリトライ可能回数が残ることになる。第10光軸で再び外乱光の入光があるが、ここでも最大7回のリトライ動作が可能であり、同図においては4回のリトライ動作で外乱光の入光がなくなり次のサイクルに移る。
【0030】
なお、例えば第10光軸で7回リトライ動作を行ってもなお外乱光の入光があったときには、これ以上リトライ動作させることは予め定めた1サイクルの応答時間内では不可能となり正常な物体検出が行えなくなるので、前記検出異常出力信号に基づく報知動作が行われることになる。
【0031】
このような構成であれば、どの光軸に外乱光が集中して入光するのかがわからなくても、全光軸リトライ限度回数を限度として外乱光が入光する一部の光軸について集中してリトライ動作を行うことが可能になり、もって必要以上に応答時間が長くなることを防止しつつ、外乱光による影響を抑制することができる。
【0032】
<第2実施形態>
図6は第2実施形態を示す。本実施形態の投光器40及び受光器41は、上記実施形態の投光器10及び受光器30と同じ構成の複数(本実施形態では3機)の投光ユニット40a ,40b ,40c 及び受光ユニット41a ,41b ,41c を信号ケーブルを介してそれぞれ連結して構成されている。つまり本実施形態の多光軸光電スイッチは計30の光軸Lを有し、これらを順次投受光動作させることで1サイクルが終了するよう動作する。
【0033】
このような連結型の多光軸光電スイッチは、図6に示すように、例えば工場内でのプレス機等の危険を伴う装置の周囲3方向を囲むように配することができ、これら3方向から作業者が侵入すると所定の物体検出動作を行う。こうして配置された場合、例えば第1の投光ユニット及び受光ユニット40a ,41a (同図で手前の投受光ユニット)の近傍を例えば搬送車がパトライトを発光させながら行き来し、そのパトライト光が第1受光ユニット41a にのみ部分的に、しかも不規則的に入光することがある。このような場合でも本実施形態の構成であれば、全光軸リトライ限度回数を、外乱光が入光しない他の第2及び第3の投受光ユニット40b ,40c ,41b ,41c の光軸Lで使用することなく、第1投受光ユニット40a ,41a の光軸Lうち実際に外乱光の入光がある光軸だけに有効に使用することができ、もって必要以上に応答時間が長くなることを防止しつつ、外乱光による影響を抑制することができる。
なお、本実施形態では、本発明でいう投光器及び受光器は、複数の投受光ユニットを直列に連結してなるものとしたが、並列に配されるものでも良く、要するに、少なくとも1つの光軸を有する投受光ユニットを複数備えてなり、これら複数の投受光ユニット全体として順次投受光動作を一連の動作として行うものであれば本実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0034】
<他の実施形態>
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記各実施形態では、リトライ可能回数を9回としたが、その他の複数回であっても、また、1回であっても良い。
【0035】
(2)上記各実施形態では、各光軸でのリトライ回数をカウントし、この通算回数が予め定めた全光軸リトライ可能回数に達したか否かでリトライ動作の実行回数を制限する構成としたが、これに限らず、例えば1サイクル開始から任意のリトライ動作時における時間をカウントし、これが所定の時間(リトライ動作の利用可能時間)を超えるか否かによってリトライ動作の実行回数を制限する構成であっても良い。
(3)上記各実施形態では外乱光判定は、投光タイミングの直前としたが、投光タイミングの直後、或いは直前直後の所定の検査期間であっても良い。直前及び直後に検査期間を設ければより確実に外乱光の検出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る多光軸光電スイッチの電気的構成図
【図2】投光側CPU14の制御を示すフローチャート
【図3】受光側CPU34の制御を示すフローチャート
【図4】各部の信号出力状態を示すタイムチャート
【図5】1サイクルの応答時間、リトライ利用時間及びリトライ動作との関係を示した簡略図及びタイムチャート
【図6】第2実施形態に係る多光軸光電スイッチの斜視図
【符号の説明】
10,40…投光器
13…投光側シフトレジスタ
14…投光側CPU
30,41…受光器
32…スイッチ素子
35…受光側シフトレジスタ
40a ,40b ,40c …投光ユニット
41a ,41b ,41c …受光ユニット
34…受光側CPU
J(J1 〜J10)…各受光素子
L(L1 〜L10)…光軸
T(T1 〜T10)…投光素子

Claims (4)

  1. 複数の投光素子を有する投光器と、
    前記複数の投光素子のそれぞれと対をなす複数の受光素子を有し、前記投光器に対向配置される受光器と、
    前記複数の投光素子を所定の投光タイミングで順次投光させると共に、前記受光素子から出力される受光信号を、正対する前記投光素子の投光タイミングに同期して取り込むことで、互いに正対する投受光素子間で形成される各光軸毎に投受光動作をさせる投受光制御手段とを備えた多光軸光電スイッチにおいて、
    前記各投光素子の投光タイミングの直前及び直後の少なくともいずれか一方の所定の検査期間に、その投光素子と正対する前記受光素子からの受光信号を取り込んで、その受光信号レベルに基づき各光軸における外乱光の有無の判定動作を行う外乱光判定手段を備えて、
    前記投受光制御手段は、前記外乱光判定手段によって外乱光ありと判定されていることを条件に、次の光軸の前記投受光動作を行わずに、その外乱光ありと判定された当該光軸について再度投受光させるリトライ動作を、予め設定されたリトライ可能回数を限度として繰り返し行うようにしたことを特徴とする多光軸光電スイッチ。
  2. 前記リトライ可能回数は複数回であることを特徴とする請求項1に記載の多光軸光電スイッチ。
  3. 前記リトライ可能回数は、前記複数の光軸全体に対して全光軸リトライ限度回数であり、前記各光軸については、前記全光軸リトライ限度回数からリトライ対象の光軸の前に投受光動作を行った光軸までに実行されたリトライ回数を差し引いた回数を限度として前記リトライ動作を繰り返し行うようにしたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の多光軸光電スイッチ。
  4. 前記リトライ動作の回数が、前記リトライ可能回数に達し、かつ、前記外乱光判定手段により外乱光ありと判定されていることを条件に、検出異常信号を出力する検出異常判定手段を備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の多光軸光電スイッチ。
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