JP3837063B2 - 多光軸光電センサ - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、互いに対をなす複数の投光素子及び受光素子とを対向配置して、各投光素子を順次に点灯させると共に、各点灯タイミングに同期させて対となる受光素子からの受光信号を有効化し、当該受光信号に基づいて投光素子及び受光素子間の検出エリア内の物体検出を行う多光軸光電センサに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の多光軸光電センサは、例えば一列に配列された複数の投光素子を備えた投光器と、それら複数の投光素子と対をなす複数の受光素子を備えた受光器とを検出エリアを挟んで対向して配置した構成をなす。このうち投光器内において、複数の投光素子は選択回路を介して電源回路に選択的に接続されるよう構成され、各投光素子を順番に電源回路に接続することで1個ずつ順次点灯させるよう動作する。一方、受光器は、各投光素子の点灯タイミングに同期してそれらと対をなす各受光素子からの受光信号を順次有効化させて、その受光信号レベルに基づいて検出エリア内の物体による遮光状態を検出する動作を行う。
【0003】
ここで、投光器の投光素子を1個ずつ点灯させる構成としたのは、対をなす投光素子及び受光素子で形成される各光軸間の相互干渉防止のためである。より詳しくは、投光素子から出射される光は、それと対をなす受光素子のみに入射するとは限らず、隣接した他の受光素子にも入射する場合がある。従って、複数の投光素子を同時に点灯させる構成とすると、各受光素子は対をなす投光素子との間に物体があるにもかかわらず対をなさない他の投光素子からの光を受けてしまい誤検出を招くことになる。そこで、このような相互干渉を防止すべく投光素子を1個ずつ点灯させる構成が採られているのである。
【0004】
ところが、上述の構成において、例えば各投光素子及び選択回路間を接続する電源供給用の各接続線間の短絡などにより投光素子が1個ずつ点灯せず、同時に複数の投光素子が点灯(以下、「多重投光」という。)するといった不具合が生じ、これにより上記と同様に相互干渉を招くことがある。
【0005】
そこで、この問題を解決すべく本出願人は、実用新案登録第2515125号公報に開示された登録実用新案を考案した。これは、各投光素子に共通接続されて、各投光タイミングに電源回路から投光素子に供給される負荷電流を測定する電流測定手段と、その測定電流値が1個の投光素子の点灯に要する負荷電流値(以下、「基準電流値」という。)を上回ったときに投光素子の動作異常であることを外部に報知する状態検知手段とを備えたものである。このような構成であれば、上述の多重投光時には電流測定手段による測定電流値が前記基準電流値を上回ることになり、もって状態検知手段の報知動作により多重投光を知ることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、多光軸光電センサにおいて、最近ではより広い検出エリアで使用できるよう非常に光軸数が多いものが存在する。例えば120光軸のものでは、一端側に設けられた電流測定手段から他端側に設けられた投光素子までの距離は約240センチにも及ぶ。また、装置の小型化の要求に応えるべく電子部品等を搭載する基板の搭載面積も狭小化の傾向にある一方で、センサの多機能化によってその基板に搭載すべき部品点数が増加する傾向にある。こうしたことから、電子部品を過密状態で搭載した基板上に形成される接続線は極細なものにならざるを得ない。
【0007】
このように極細の接続線で電流測定手段と、240センチも離れた投光素子とを接続する場合、その接続線における線抵抗が大きくなることは避けられない。従って、電流測定手段から遠く離れた投光素子への負荷電流値は、電流測定手段に近接した投光素子への負荷電流値に比べて大きく下回ることが考えられる。
【0008】
ところが、上述した従来の多光軸光電センサにおいて、状態検知手段における前記基準電流値は、点灯される各投光素子と電流測定手段との距離にかかわらず一定の値に設定されていた。従って、例えば電流測定手段に近接した投光素子の点灯時の負荷電流に対応して基準電流値が設定されている場合、電流測定手段から遠く離れた複数の投光素子が多重投光状態になっても電流測定手段にて測定される電流値は、基準電流値以下のレベルに留まり、状態検知手段が報知動作を行わないという問題があり得た。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、センサの小型化や光軸数の増加にかかわらず投光素子の多重投光等の動作異常を確実に検知することが可能な多光軸光電センサを提供するところにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明に係る多光軸光電センサは、複数の投光素子と、これらと対をなすように設けられた複数の受光素子とを備え、複数の投光素子のうち所定のものを順に点灯させて、これと対をなす受光素子からの受光信号に基づいて動作する多光軸光電センサにおいて、複数の投光素子に供給される負荷電流を測定する電流測定手段と、各投光素子の点灯タイミング毎に、電流測定手段による測定電流値と基準電流値とを比較し、その大小関係に基づき動作異常を検出する状態検知手段とを備えて、状態検知手段の比較動作における基準電流値は、点灯される投光素子の位置が電流測定手段から遠いほど低いレベルに設定されているところに特徴を有する。
【0011】
請求項2の発明に係る多光軸光電センサは、複数の投光素子と、これらと対をなすように設けられた複数の受光素子とを備え、複数の投光素子を所定の配列方向に沿って順に点灯させて、これと対をなす受光素子からの受光信号に基づいて動作する多光軸光電センサにおいて、複数の投光素子に供給される負荷電流を測定する電流測定手段と、各投光素子の点灯タイミング毎に、電流測定手段による測定電流値と基準電流値とを比較し、その大小関係に基づき動作異常を検出する状態検知手段と、各投光素子の点灯タイミング毎に、直前の点灯タイミングで電流測定手段により測定された測定電流値に基づいて基準電流値を設定する基準電流値設定手段とを備えたところに特徴を有する。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の多光軸光電センサにおいて、状態検知手段は、測定電流値が基準電流値以上であることを条件に動作異常を検出するところに特徴を有する。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1又は請求項2に記載の多光軸光電センサにおいて、状態検知手段は、測定電流値が第1の基準電流値以上、又は第2の基準電流値以下であることを条件に動作異常を検出するところに特徴を有する。
【0014】
なお、本発明において「動作異常」には、例えば接続線短絡等による多重投光や投光素子の劣化の他、電流測定手段による測定電流値に変化が現れる種々の動作異常が含まれる。多重投光等のように電流測定手段による測定電流値が正常時より大きくなる動作異常状態を検知するときには、状態検知手段において測定電流値が基準電流値を上回るか否かで判断される。また、投光素子の劣化等のように電流測定手段による測定電流値が正常時より小さくなる動作異常状態については、状態検知手段において測定電流値が基準電流値を下回るか否かで判断される。
【0015】
【発明の作用及び効果】
<請求項1の発明>
従来説明でも記載したように、電流測定手段に近接した投光素子と、遠く離れた投光素子とでは、それらと電流測定手段との間に配される接続線の長さが異なり線抵抗が異なる。即ち、各投光素子の点灯時に供給される負荷電流は、それらと電流測定手段との距離によって異なるのである。
【0016】
そこで、請求項1の構成によれば、状態検知手段の比較動作における基準電流値は、点灯される投光素子の位置が電流測定手段から遠いほど低いレベルに設定されている。従って、点灯される投光素子と電流測定手段との距離が加味された基準電流値に基づいて各点灯タイミングにおける状態検出手段の比較動作が行われることになり、もってセンサの小型化や光軸数の増加にかかわらず多重投光等の動作異常を確実に検知することができる。
【0017】
<請求項2の発明>
また、複数の投光素子が所定の配列方向に沿って順に点灯させる多光軸光電センサの場合、請求項2の構成によれば、状態検知手段の比較動作における基準電流値は、基準電流値設定手段により直前の点灯タイミングで電流測定手段により測定された測定電流値に基づいて設定される。従って、やはり点灯される投光素子と電流測定手段との距離が加味された基準電流値に基づいて各点灯タイミングにおける状態検出手段の比較動作が行われることになり、もってセンサの小型化や光軸数の増加にかかわらず多重投光等の動作異常を確実に検知することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態(請求項2の発明に相当する)を図1ないし図4によって説明する。
本発明に係る多光軸光電センサは、N個の投光素子T(例えばLED)が一列に配列された投光器10と、それらのN個の投光素子Tのそれぞれと対をなすN個の受光素子J(例えばフォトダイオード)が配列された受光器30とを所定の検出エリアを挟んで対向配置された構成をなす。電気的構成は従来のものと同様であり、図1にその全体概略図が示してある。なお、同図では、N個の投光素子T及び受光素子Jのうち後述する電流測定手段12に一番近い投光素子T1 及び受光素子J1 、次に近い2番目の投光素子T2 及び受光素子J2 、N−1番目の投光素子TN-1 及び受光素子JN-1 と、N番目の投光素子TN 及び受光素子JN のみ示してあり、3〜N−2番目の投光素子T及び受光素子Jとそれらに対応する構成(スイッチング回路11、駆動回路13及びAND回路14)は省略してある。また、以下の説明で使用される文字Kは、上記の投光素子及び受光素子の任意の順位(1〜N)を示したものである。
【0019】
まず、投光器10において、各投光素子Tは、アノード側が各光軸毎に設けられた図示しない定電圧電源回路に接続され、カソード側がスイッチング回路11を介して共通接続線16に接続されている。なお、各投光素子Tの定電圧電源回路の入力側は共通接続線16との間に、投光器10の配列方向の一端側(本実施形態では投光素子T1 側)に位置する図示しない直流電源が接続され、また共通接続線16に電流測定手段12が設けられている。各スイッチング回路11を構成するNPNトランジスタのベースには駆動回路13が接続されており、この駆動回路13からの信号に基づいてスイッチング回路11がオン動作し、もって投光素子Tが点灯されることになる。
【0020】
なお、このような回路構成から本発明を次のように捉えることもできる。「直流電源に共通接続された複数の投光素子と、これらと対をなすように設けられた複数の受光素子とを備え、前記複数の投光素子のうち所定のものを順に点灯させて、これと対をなす受光素子からの受光信号に基づいて動作する多光軸光電センサにおいて、前記投光素子に供給される負荷電流を測定する電流測定手段と、前記各投光素子の点灯タイミング毎に、前記電流測定手段による測定電流値と基準電流値とを比較し、その大小関係に基づき動作異常を検出する状態検知手段とを備えて、前記状態検知手段の比較動作における前記基準電流値は、点灯される投光素子に連なる電源供給ラインの長さが長いほど低いレベルに設定されていることを特徴とする多光軸光電センサ。」
【0021】
これらの駆動回路13は、AND回路14とシフトレジスタ17とを備えてなる選択回路を介して投光側CPU18に接続され、投光側CPU18からのパルス信号に同期して投光素子Tの配列方向(例えば1番目の投光素子T1 からN番目の投光素子TN に向う方向)に沿って1つずつ順番に駆動信号が与えられて順次に駆動する。より詳しくは、シフトレジスタ17は、入力端子側が投光側CPU18に接続されると共に、複数の出力端子側がN個のAND回路14の一方の入力端子にそれぞれ接続されている。そして、これらN個のAND回路14の他方の入力端子が投光側CPU18に接続されると共に、出力端子が各駆動回路13に接続されている。投光側CPU18は後述するようにシフトレジスタ17にスタートパルスSを与えると共に、受光器30側に同期信号Dを与える。また、投光側CPU18は、前記共通接続線16に流れる電流値を測定する電流測定手段12による測定電流値A(K) を、A/D変換器20を介して受けるようになっており、この測定電流値A(K) に基づいて後述する動作異常の比較動作を行って、この比較結果に基づいて異常出力回路21に検出信号を出力する。
【0022】
次に、受光器30において、各受光素子Jは受光アンプ31及びスイッチ素子32を介してコンパレータ33に共通接続されている。各スイッチ素子32の制御端子は、受光側CPU34からのスタートパルスSに基づいて動作するシフトレジスタ35の出力側に接続されている。受光側CPU34は、上記の投光側CPU18から同期信号Dを受けると、シフトレジスタ35にスタートパルスSを与え、シフトレジスタ35の起動により投光器10側と同様の所定時間Ta間隔毎で、かつ同様の配列方向に沿って順にスイッチ素子32に駆動信号を与えて順次に各受光素子Jからの受光信号を有効化させる。このような構成により同一光軸同士の投光素子T及び受光素子Jが順に投受光動作を行うことになり、もって各光軸間の相互干渉を防止することができる。
【0023】
そして、各受光素子Jからの受光信号が順次コンパレータ33に与えられ、コンパレータ33において例えば予め設定された閾値と比較され、例えば受光信号が閾値より大きいときに出力信号を受光側CPU34に与える。ここで、検出エリア内に物体が存在し、投光素子Tからの光が遮光されると受光素子Jからの受光信号レベルが閾値レベル以下に低下し出力信号を受光側CPU34に与えなくなる。受光側CPU34ではこの出力信号のレベル変化を前記所定時間Ta毎に読み込み、前記出力信号を受けていないときには遮光状態として出力回路36に所定の検出信号を出力する。
【0024】
さて、次に投光側CPU18で実行される動作異常の検出における動作について説明する。投光側CPU18は、前記所定時間Ta毎に電流測定手段12からの測定電流値A(K) を読み込み、基準電流値と比較する。本実施形態では、多重投光を判別するために第1基準電流値X(K) 、及び、それより低いレベルであって投光素子Tの劣化等を判別するための第2基準電流値Y(K) との間に前記測定電流値A(K) があるか否かに基づいて比較動作を行う。
【0025】
ここで、図1に示した電気的構成から明らかなように電流測定手段12から遠い位置にある投光素子Tほど、共通接続線16の長さが長くなる。これらが長くなればその分だけ線抵抗が大きくなるからスイッチング回路11のオン動作時に電流測定手段12にて測定される測定電流値A(K) が低下する。図2には、各投光素子Tの点灯時における測定電流値A(K) が示してある。従って、各投光素子Tの点灯時における電流測定手段12による各測定電流値A(K) を、一律の基準電流値と比較する構成では正確な判別を行うことができない。
【0026】
そこで、本実施形態では、投光側CPU18は請求項2の「基準電流値設定手段」としても機能する。以下、投光側CPU18の制御内容について図3及び図4に示すフローチャートを参照しつつ説明する。多項軸光電センサの図示しない起動スイッチをオン操作すると、図3に示すフローチャート(投光側CPU18の処理フロー)の制御内容が実行される。まず、ステップS1においてシフトレジスタ17に対してスタートパルスSを出力すると共に、受光器30の受光側CPU34に同期信号Dを出力する。そして、所定時間Ta経過後(ステップS2)、ステップS3において図4に示す基準電流値設定及び動作異常判別の処理フローがスタートする。
【0027】
同図中のステップS21において投光素子Tの順位K(0〜N)に1加算され、順位Kが1の場合(ステップS22で「N」)は、予め設定された初期値A(0) を読み込む(ステップS23)。一方、順位Kが1でない場合(ステップS22で「Y」)は、所定時間Ta前に取り込んだ電流測定手段12からの測定電流値A(K-1) を読み込む(ステップS24)。そして、ステップS25で、初期値A(0) 又は測定電流値A(K-1) に、所定の誤差分aを加算して第1基準電流値X(K) (=A(K-1) +a)とすると共に、所定の誤差分aを減算して第2基準電流値Y(K) (=A(K-1) −a)としてそれぞれ設定する。なお、各投光素子が正常に点灯した場合であってもその際に供給される各負荷電流値には、素子毎に本来的にバラツキがある。そこで、本実施形態では、そのバラツキによる誤差分aを考慮して、第1基準電流値X(K) 及び第2基準電流値Y(K) 間に所定の幅を設けた構成としている。図4の破線グラフは、上記投光側CPUの基準電流値設定動作によって設定される第1基準電流値X(K) 、及び第2基準電流値Y(K) の値の推移を示したものである。
【0028】
次いで、ステップS26,S27にてAND回路14に制御信号Pを出力すると共に、電流測定手段12による測定電流値A(K) を読み込み、この測定電流値A(K) が上記第1基準電流値X(K) と第2基準電流値Y(K) との範囲内にあるか否かが判断される(ステップS28)。その範囲内にあれば(ステップS28で「Y」)、図3のステップS5にて順位KがNか否かが判断され、N個全ての投光素子Tの投光動作が終了するまで上述のステップS2からステップS3までの一連の処理が繰り返される。一方、図4のステップS28で測定電流値A(K) が、第1基準電流値X(K) を超える場合には多重投光であるとして、また第2基準電流値Y(K) を下回る場合には投光素子Tの劣化等であるとして、異常出力回路21にそれぞれ検出信号を出力する(ステップS29)。そして、この検出信号に基づいて、例えば図示しない表示灯を点灯させる報知動作を行ったり、或いは投光器10のシフトレジスタ17及び受光器30の受光側CPU34に停止信号を与えて本センサの投受光動作を停止させたりする(請求項4に記載の構成に相当する)。
【0029】
ここで、図2に示すように、電流測定手段12から遠く離れた位置にある投光素子TN で多重投光が発生した場合、例えば電流測定手段12に近接した投光素子T1 に対応する第1基準電流値X(1) で判別動作を行ってもそれを測定電流値A(N) が下回り多重投光を検出できないことがある。また、同じく投光素子T1 に対応する第2基準電流値Y(1) で素子劣化等を判別するとすれば、投光素子T(N)等が正常状態で点灯していてもその第2基準電流値Y(1) を下回ることがあり動作異常と判断されてしまうことがある。
【0030】
そこで本実施形態では、各種の動作異常を判別するための基準電流値は、点灯順位が1つ前の投光素子T点灯時における測定電流値A(K) に基づいて順次設定変更していく構成とした。即ち、点灯される投光素子Tと電流測定手段12との距離が加味された基準電流値に基づいて投光側CPU18における動作異常の判別が行われることになり、もってセンサの小型化や光軸数の増加にかかわらず多重投光等の動作異常を確実に検知することができる。しかも各基準電流値はその都度投光側CPU18にて演算される構成としたから基準電流値等を記憶するためのメモリの容量を抑制することができる。
【0031】
<第2実施形態>
本第2実施形態は、上述の第1基準電流値X(K) 及び第2基準電流値Y(K) の設定方法が上記第1実施形態と相違し、その他の点は前記第1実施形態と同様である。従って、第1実施形態と同一符号を付して重複する説明を省略し、異なるところのみを次に説明する。
【0032】
本第2実施形態では、あらかじめ各投光素子Tごとの測定電流値A(K) を測定しておいて、それをもとに各投光素子Tごとの第1基準電流値X(K) 及び第2基準電流値Y(K) を決定し(図2の第1基準電流値X(K) 及び第2基準電流値Y(K) 参照)、これを図示しないメモリに各光軸番号Kに対応付けて記憶させておく。この場合、投光側CPU18は各投光素子Tごとにメモリから随時第1基準電流値X(K) 及び第2基準電流値Y(K) を読み出して測定電流値A(K) との比較を行うことになる。
【0033】
このような構成であれば、上記第1実施形態と同様の効果に加えて、予め光軸番号と各第1基準電流値X(K) 及び第2基準電流値Y(K) が対応付けられて記憶設定されているので、たとえ投光器10の投光素子Tの投光順位が配列方向に沿った順番でなくランダムな順番に点灯させる構成であってもセンサの小型化や光軸数の増加にかかわらず多重投光等の動作異常を確実に検知することができる。
【0034】
<他の実施形態>
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記各実施形態では、例えば1番目の投光素子T1 からN番目の投光素子TN に向う方向に順次投受光動作をさせる構成としたが、逆にN番目の投光素子TN から1番目の投光素子T1 に向う方向に、即ち電流測定手段12に近づく方向に順次投受光動作をさせる構成であってもよい。
【0035】
(2)上記各実施形態では、多重投光判別用の第1基準電流値X(K) 及び投光素子Tの劣化等の判別用の第2基準電流値Y(K) との間に測定電流値A(K) があるか否かに基づいて比較動作を行う構成としたが、どちから一方の基準電流値との大小比較のみを行う構成であっても良い。
【0036】
(3)上記第1実施形態では、1つずつの投光素子Tの点灯毎に各基準電流値を設定変更する構成としたが、これに限らず、所定の間隔毎の投光素子T(例えば配列方向に沿って3つおきの投光素子T)の点灯時のみに基準電流設定を行う構成であっても良い。また、第2実施形態でも同様で、隣接する所定数の投光素子については同一の基準電流値をメモリに記憶させる構成であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る多光軸光電センサの電気的構成を示した概略図
【図2】各投光素子の電流測定手段からの距離と、その点灯時の測定電流値との関係を示したグラフ
【図3】投光側CPUの処理フローを示したフローチャート
【図4】基準電流設定及び動作異常判別ルーチンを示したフローチャート
【符号の説明】
11…スイッチング回路
12…電流測定手段
13…駆動回路
14…AND回路
16…共通接続線
17,35…シフトレジスタ
18…投光側CPU
21…異常出力回路
32…スイッチ素子
33…コンパレータ
34…受光側CPU
J(1,2...N-1,N)…受光素子
T(1,2...N-1,N)…投光素子
【発明の属する技術分野】
本発明は、互いに対をなす複数の投光素子及び受光素子とを対向配置して、各投光素子を順次に点灯させると共に、各点灯タイミングに同期させて対となる受光素子からの受光信号を有効化し、当該受光信号に基づいて投光素子及び受光素子間の検出エリア内の物体検出を行う多光軸光電センサに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の多光軸光電センサは、例えば一列に配列された複数の投光素子を備えた投光器と、それら複数の投光素子と対をなす複数の受光素子を備えた受光器とを検出エリアを挟んで対向して配置した構成をなす。このうち投光器内において、複数の投光素子は選択回路を介して電源回路に選択的に接続されるよう構成され、各投光素子を順番に電源回路に接続することで1個ずつ順次点灯させるよう動作する。一方、受光器は、各投光素子の点灯タイミングに同期してそれらと対をなす各受光素子からの受光信号を順次有効化させて、その受光信号レベルに基づいて検出エリア内の物体による遮光状態を検出する動作を行う。
【0003】
ここで、投光器の投光素子を1個ずつ点灯させる構成としたのは、対をなす投光素子及び受光素子で形成される各光軸間の相互干渉防止のためである。より詳しくは、投光素子から出射される光は、それと対をなす受光素子のみに入射するとは限らず、隣接した他の受光素子にも入射する場合がある。従って、複数の投光素子を同時に点灯させる構成とすると、各受光素子は対をなす投光素子との間に物体があるにもかかわらず対をなさない他の投光素子からの光を受けてしまい誤検出を招くことになる。そこで、このような相互干渉を防止すべく投光素子を1個ずつ点灯させる構成が採られているのである。
【0004】
ところが、上述の構成において、例えば各投光素子及び選択回路間を接続する電源供給用の各接続線間の短絡などにより投光素子が1個ずつ点灯せず、同時に複数の投光素子が点灯(以下、「多重投光」という。)するといった不具合が生じ、これにより上記と同様に相互干渉を招くことがある。
【0005】
そこで、この問題を解決すべく本出願人は、実用新案登録第2515125号公報に開示された登録実用新案を考案した。これは、各投光素子に共通接続されて、各投光タイミングに電源回路から投光素子に供給される負荷電流を測定する電流測定手段と、その測定電流値が1個の投光素子の点灯に要する負荷電流値(以下、「基準電流値」という。)を上回ったときに投光素子の動作異常であることを外部に報知する状態検知手段とを備えたものである。このような構成であれば、上述の多重投光時には電流測定手段による測定電流値が前記基準電流値を上回ることになり、もって状態検知手段の報知動作により多重投光を知ることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、多光軸光電センサにおいて、最近ではより広い検出エリアで使用できるよう非常に光軸数が多いものが存在する。例えば120光軸のものでは、一端側に設けられた電流測定手段から他端側に設けられた投光素子までの距離は約240センチにも及ぶ。また、装置の小型化の要求に応えるべく電子部品等を搭載する基板の搭載面積も狭小化の傾向にある一方で、センサの多機能化によってその基板に搭載すべき部品点数が増加する傾向にある。こうしたことから、電子部品を過密状態で搭載した基板上に形成される接続線は極細なものにならざるを得ない。
【0007】
このように極細の接続線で電流測定手段と、240センチも離れた投光素子とを接続する場合、その接続線における線抵抗が大きくなることは避けられない。従って、電流測定手段から遠く離れた投光素子への負荷電流値は、電流測定手段に近接した投光素子への負荷電流値に比べて大きく下回ることが考えられる。
【0008】
ところが、上述した従来の多光軸光電センサにおいて、状態検知手段における前記基準電流値は、点灯される各投光素子と電流測定手段との距離にかかわらず一定の値に設定されていた。従って、例えば電流測定手段に近接した投光素子の点灯時の負荷電流に対応して基準電流値が設定されている場合、電流測定手段から遠く離れた複数の投光素子が多重投光状態になっても電流測定手段にて測定される電流値は、基準電流値以下のレベルに留まり、状態検知手段が報知動作を行わないという問題があり得た。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、センサの小型化や光軸数の増加にかかわらず投光素子の多重投光等の動作異常を確実に検知することが可能な多光軸光電センサを提供するところにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明に係る多光軸光電センサは、複数の投光素子と、これらと対をなすように設けられた複数の受光素子とを備え、複数の投光素子のうち所定のものを順に点灯させて、これと対をなす受光素子からの受光信号に基づいて動作する多光軸光電センサにおいて、複数の投光素子に供給される負荷電流を測定する電流測定手段と、各投光素子の点灯タイミング毎に、電流測定手段による測定電流値と基準電流値とを比較し、その大小関係に基づき動作異常を検出する状態検知手段とを備えて、状態検知手段の比較動作における基準電流値は、点灯される投光素子の位置が電流測定手段から遠いほど低いレベルに設定されているところに特徴を有する。
【0011】
請求項2の発明に係る多光軸光電センサは、複数の投光素子と、これらと対をなすように設けられた複数の受光素子とを備え、複数の投光素子を所定の配列方向に沿って順に点灯させて、これと対をなす受光素子からの受光信号に基づいて動作する多光軸光電センサにおいて、複数の投光素子に供給される負荷電流を測定する電流測定手段と、各投光素子の点灯タイミング毎に、電流測定手段による測定電流値と基準電流値とを比較し、その大小関係に基づき動作異常を検出する状態検知手段と、各投光素子の点灯タイミング毎に、直前の点灯タイミングで電流測定手段により測定された測定電流値に基づいて基準電流値を設定する基準電流値設定手段とを備えたところに特徴を有する。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の多光軸光電センサにおいて、状態検知手段は、測定電流値が基準電流値以上であることを条件に動作異常を検出するところに特徴を有する。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1又は請求項2に記載の多光軸光電センサにおいて、状態検知手段は、測定電流値が第1の基準電流値以上、又は第2の基準電流値以下であることを条件に動作異常を検出するところに特徴を有する。
【0014】
なお、本発明において「動作異常」には、例えば接続線短絡等による多重投光や投光素子の劣化の他、電流測定手段による測定電流値に変化が現れる種々の動作異常が含まれる。多重投光等のように電流測定手段による測定電流値が正常時より大きくなる動作異常状態を検知するときには、状態検知手段において測定電流値が基準電流値を上回るか否かで判断される。また、投光素子の劣化等のように電流測定手段による測定電流値が正常時より小さくなる動作異常状態については、状態検知手段において測定電流値が基準電流値を下回るか否かで判断される。
【0015】
【発明の作用及び効果】
<請求項1の発明>
従来説明でも記載したように、電流測定手段に近接した投光素子と、遠く離れた投光素子とでは、それらと電流測定手段との間に配される接続線の長さが異なり線抵抗が異なる。即ち、各投光素子の点灯時に供給される負荷電流は、それらと電流測定手段との距離によって異なるのである。
【0016】
そこで、請求項1の構成によれば、状態検知手段の比較動作における基準電流値は、点灯される投光素子の位置が電流測定手段から遠いほど低いレベルに設定されている。従って、点灯される投光素子と電流測定手段との距離が加味された基準電流値に基づいて各点灯タイミングにおける状態検出手段の比較動作が行われることになり、もってセンサの小型化や光軸数の増加にかかわらず多重投光等の動作異常を確実に検知することができる。
【0017】
<請求項2の発明>
また、複数の投光素子が所定の配列方向に沿って順に点灯させる多光軸光電センサの場合、請求項2の構成によれば、状態検知手段の比較動作における基準電流値は、基準電流値設定手段により直前の点灯タイミングで電流測定手段により測定された測定電流値に基づいて設定される。従って、やはり点灯される投光素子と電流測定手段との距離が加味された基準電流値に基づいて各点灯タイミングにおける状態検出手段の比較動作が行われることになり、もってセンサの小型化や光軸数の増加にかかわらず多重投光等の動作異常を確実に検知することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態(請求項2の発明に相当する)を図1ないし図4によって説明する。
本発明に係る多光軸光電センサは、N個の投光素子T(例えばLED)が一列に配列された投光器10と、それらのN個の投光素子Tのそれぞれと対をなすN個の受光素子J(例えばフォトダイオード)が配列された受光器30とを所定の検出エリアを挟んで対向配置された構成をなす。電気的構成は従来のものと同様であり、図1にその全体概略図が示してある。なお、同図では、N個の投光素子T及び受光素子Jのうち後述する電流測定手段12に一番近い投光素子T1 及び受光素子J1 、次に近い2番目の投光素子T2 及び受光素子J2 、N−1番目の投光素子TN-1 及び受光素子JN-1 と、N番目の投光素子TN 及び受光素子JN のみ示してあり、3〜N−2番目の投光素子T及び受光素子Jとそれらに対応する構成(スイッチング回路11、駆動回路13及びAND回路14)は省略してある。また、以下の説明で使用される文字Kは、上記の投光素子及び受光素子の任意の順位(1〜N)を示したものである。
【0019】
まず、投光器10において、各投光素子Tは、アノード側が各光軸毎に設けられた図示しない定電圧電源回路に接続され、カソード側がスイッチング回路11を介して共通接続線16に接続されている。なお、各投光素子Tの定電圧電源回路の入力側は共通接続線16との間に、投光器10の配列方向の一端側(本実施形態では投光素子T1 側)に位置する図示しない直流電源が接続され、また共通接続線16に電流測定手段12が設けられている。各スイッチング回路11を構成するNPNトランジスタのベースには駆動回路13が接続されており、この駆動回路13からの信号に基づいてスイッチング回路11がオン動作し、もって投光素子Tが点灯されることになる。
【0020】
なお、このような回路構成から本発明を次のように捉えることもできる。「直流電源に共通接続された複数の投光素子と、これらと対をなすように設けられた複数の受光素子とを備え、前記複数の投光素子のうち所定のものを順に点灯させて、これと対をなす受光素子からの受光信号に基づいて動作する多光軸光電センサにおいて、前記投光素子に供給される負荷電流を測定する電流測定手段と、前記各投光素子の点灯タイミング毎に、前記電流測定手段による測定電流値と基準電流値とを比較し、その大小関係に基づき動作異常を検出する状態検知手段とを備えて、前記状態検知手段の比較動作における前記基準電流値は、点灯される投光素子に連なる電源供給ラインの長さが長いほど低いレベルに設定されていることを特徴とする多光軸光電センサ。」
【0021】
これらの駆動回路13は、AND回路14とシフトレジスタ17とを備えてなる選択回路を介して投光側CPU18に接続され、投光側CPU18からのパルス信号に同期して投光素子Tの配列方向(例えば1番目の投光素子T1 からN番目の投光素子TN に向う方向)に沿って1つずつ順番に駆動信号が与えられて順次に駆動する。より詳しくは、シフトレジスタ17は、入力端子側が投光側CPU18に接続されると共に、複数の出力端子側がN個のAND回路14の一方の入力端子にそれぞれ接続されている。そして、これらN個のAND回路14の他方の入力端子が投光側CPU18に接続されると共に、出力端子が各駆動回路13に接続されている。投光側CPU18は後述するようにシフトレジスタ17にスタートパルスSを与えると共に、受光器30側に同期信号Dを与える。また、投光側CPU18は、前記共通接続線16に流れる電流値を測定する電流測定手段12による測定電流値A(K) を、A/D変換器20を介して受けるようになっており、この測定電流値A(K) に基づいて後述する動作異常の比較動作を行って、この比較結果に基づいて異常出力回路21に検出信号を出力する。
【0022】
次に、受光器30において、各受光素子Jは受光アンプ31及びスイッチ素子32を介してコンパレータ33に共通接続されている。各スイッチ素子32の制御端子は、受光側CPU34からのスタートパルスSに基づいて動作するシフトレジスタ35の出力側に接続されている。受光側CPU34は、上記の投光側CPU18から同期信号Dを受けると、シフトレジスタ35にスタートパルスSを与え、シフトレジスタ35の起動により投光器10側と同様の所定時間Ta間隔毎で、かつ同様の配列方向に沿って順にスイッチ素子32に駆動信号を与えて順次に各受光素子Jからの受光信号を有効化させる。このような構成により同一光軸同士の投光素子T及び受光素子Jが順に投受光動作を行うことになり、もって各光軸間の相互干渉を防止することができる。
【0023】
そして、各受光素子Jからの受光信号が順次コンパレータ33に与えられ、コンパレータ33において例えば予め設定された閾値と比較され、例えば受光信号が閾値より大きいときに出力信号を受光側CPU34に与える。ここで、検出エリア内に物体が存在し、投光素子Tからの光が遮光されると受光素子Jからの受光信号レベルが閾値レベル以下に低下し出力信号を受光側CPU34に与えなくなる。受光側CPU34ではこの出力信号のレベル変化を前記所定時間Ta毎に読み込み、前記出力信号を受けていないときには遮光状態として出力回路36に所定の検出信号を出力する。
【0024】
さて、次に投光側CPU18で実行される動作異常の検出における動作について説明する。投光側CPU18は、前記所定時間Ta毎に電流測定手段12からの測定電流値A(K) を読み込み、基準電流値と比較する。本実施形態では、多重投光を判別するために第1基準電流値X(K) 、及び、それより低いレベルであって投光素子Tの劣化等を判別するための第2基準電流値Y(K) との間に前記測定電流値A(K) があるか否かに基づいて比較動作を行う。
【0025】
ここで、図1に示した電気的構成から明らかなように電流測定手段12から遠い位置にある投光素子Tほど、共通接続線16の長さが長くなる。これらが長くなればその分だけ線抵抗が大きくなるからスイッチング回路11のオン動作時に電流測定手段12にて測定される測定電流値A(K) が低下する。図2には、各投光素子Tの点灯時における測定電流値A(K) が示してある。従って、各投光素子Tの点灯時における電流測定手段12による各測定電流値A(K) を、一律の基準電流値と比較する構成では正確な判別を行うことができない。
【0026】
そこで、本実施形態では、投光側CPU18は請求項2の「基準電流値設定手段」としても機能する。以下、投光側CPU18の制御内容について図3及び図4に示すフローチャートを参照しつつ説明する。多項軸光電センサの図示しない起動スイッチをオン操作すると、図3に示すフローチャート(投光側CPU18の処理フロー)の制御内容が実行される。まず、ステップS1においてシフトレジスタ17に対してスタートパルスSを出力すると共に、受光器30の受光側CPU34に同期信号Dを出力する。そして、所定時間Ta経過後(ステップS2)、ステップS3において図4に示す基準電流値設定及び動作異常判別の処理フローがスタートする。
【0027】
同図中のステップS21において投光素子Tの順位K(0〜N)に1加算され、順位Kが1の場合(ステップS22で「N」)は、予め設定された初期値A(0) を読み込む(ステップS23)。一方、順位Kが1でない場合(ステップS22で「Y」)は、所定時間Ta前に取り込んだ電流測定手段12からの測定電流値A(K-1) を読み込む(ステップS24)。そして、ステップS25で、初期値A(0) 又は測定電流値A(K-1) に、所定の誤差分aを加算して第1基準電流値X(K) (=A(K-1) +a)とすると共に、所定の誤差分aを減算して第2基準電流値Y(K) (=A(K-1) −a)としてそれぞれ設定する。なお、各投光素子が正常に点灯した場合であってもその際に供給される各負荷電流値には、素子毎に本来的にバラツキがある。そこで、本実施形態では、そのバラツキによる誤差分aを考慮して、第1基準電流値X(K) 及び第2基準電流値Y(K) 間に所定の幅を設けた構成としている。図4の破線グラフは、上記投光側CPUの基準電流値設定動作によって設定される第1基準電流値X(K) 、及び第2基準電流値Y(K) の値の推移を示したものである。
【0028】
次いで、ステップS26,S27にてAND回路14に制御信号Pを出力すると共に、電流測定手段12による測定電流値A(K) を読み込み、この測定電流値A(K) が上記第1基準電流値X(K) と第2基準電流値Y(K) との範囲内にあるか否かが判断される(ステップS28)。その範囲内にあれば(ステップS28で「Y」)、図3のステップS5にて順位KがNか否かが判断され、N個全ての投光素子Tの投光動作が終了するまで上述のステップS2からステップS3までの一連の処理が繰り返される。一方、図4のステップS28で測定電流値A(K) が、第1基準電流値X(K) を超える場合には多重投光であるとして、また第2基準電流値Y(K) を下回る場合には投光素子Tの劣化等であるとして、異常出力回路21にそれぞれ検出信号を出力する(ステップS29)。そして、この検出信号に基づいて、例えば図示しない表示灯を点灯させる報知動作を行ったり、或いは投光器10のシフトレジスタ17及び受光器30の受光側CPU34に停止信号を与えて本センサの投受光動作を停止させたりする(請求項4に記載の構成に相当する)。
【0029】
ここで、図2に示すように、電流測定手段12から遠く離れた位置にある投光素子TN で多重投光が発生した場合、例えば電流測定手段12に近接した投光素子T1 に対応する第1基準電流値X(1) で判別動作を行ってもそれを測定電流値A(N) が下回り多重投光を検出できないことがある。また、同じく投光素子T1 に対応する第2基準電流値Y(1) で素子劣化等を判別するとすれば、投光素子T(N)等が正常状態で点灯していてもその第2基準電流値Y(1) を下回ることがあり動作異常と判断されてしまうことがある。
【0030】
そこで本実施形態では、各種の動作異常を判別するための基準電流値は、点灯順位が1つ前の投光素子T点灯時における測定電流値A(K) に基づいて順次設定変更していく構成とした。即ち、点灯される投光素子Tと電流測定手段12との距離が加味された基準電流値に基づいて投光側CPU18における動作異常の判別が行われることになり、もってセンサの小型化や光軸数の増加にかかわらず多重投光等の動作異常を確実に検知することができる。しかも各基準電流値はその都度投光側CPU18にて演算される構成としたから基準電流値等を記憶するためのメモリの容量を抑制することができる。
【0031】
<第2実施形態>
本第2実施形態は、上述の第1基準電流値X(K) 及び第2基準電流値Y(K) の設定方法が上記第1実施形態と相違し、その他の点は前記第1実施形態と同様である。従って、第1実施形態と同一符号を付して重複する説明を省略し、異なるところのみを次に説明する。
【0032】
本第2実施形態では、あらかじめ各投光素子Tごとの測定電流値A(K) を測定しておいて、それをもとに各投光素子Tごとの第1基準電流値X(K) 及び第2基準電流値Y(K) を決定し(図2の第1基準電流値X(K) 及び第2基準電流値Y(K) 参照)、これを図示しないメモリに各光軸番号Kに対応付けて記憶させておく。この場合、投光側CPU18は各投光素子Tごとにメモリから随時第1基準電流値X(K) 及び第2基準電流値Y(K) を読み出して測定電流値A(K) との比較を行うことになる。
【0033】
このような構成であれば、上記第1実施形態と同様の効果に加えて、予め光軸番号と各第1基準電流値X(K) 及び第2基準電流値Y(K) が対応付けられて記憶設定されているので、たとえ投光器10の投光素子Tの投光順位が配列方向に沿った順番でなくランダムな順番に点灯させる構成であってもセンサの小型化や光軸数の増加にかかわらず多重投光等の動作異常を確実に検知することができる。
【0034】
<他の実施形態>
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記各実施形態では、例えば1番目の投光素子T1 からN番目の投光素子TN に向う方向に順次投受光動作をさせる構成としたが、逆にN番目の投光素子TN から1番目の投光素子T1 に向う方向に、即ち電流測定手段12に近づく方向に順次投受光動作をさせる構成であってもよい。
【0035】
(2)上記各実施形態では、多重投光判別用の第1基準電流値X(K) 及び投光素子Tの劣化等の判別用の第2基準電流値Y(K) との間に測定電流値A(K) があるか否かに基づいて比較動作を行う構成としたが、どちから一方の基準電流値との大小比較のみを行う構成であっても良い。
【0036】
(3)上記第1実施形態では、1つずつの投光素子Tの点灯毎に各基準電流値を設定変更する構成としたが、これに限らず、所定の間隔毎の投光素子T(例えば配列方向に沿って3つおきの投光素子T)の点灯時のみに基準電流設定を行う構成であっても良い。また、第2実施形態でも同様で、隣接する所定数の投光素子については同一の基準電流値をメモリに記憶させる構成であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る多光軸光電センサの電気的構成を示した概略図
【図2】各投光素子の電流測定手段からの距離と、その点灯時の測定電流値との関係を示したグラフ
【図3】投光側CPUの処理フローを示したフローチャート
【図4】基準電流設定及び動作異常判別ルーチンを示したフローチャート
【符号の説明】
11…スイッチング回路
12…電流測定手段
13…駆動回路
14…AND回路
16…共通接続線
17,35…シフトレジスタ
18…投光側CPU
21…異常出力回路
32…スイッチ素子
33…コンパレータ
34…受光側CPU
J(1,2...N-1,N)…受光素子
T(1,2...N-1,N)…投光素子
Claims (4)
- 複数の投光素子と、これらと対をなすように設けられた複数の受光素子とを備え、前記複数の投光素子のうち所定のものを順に点灯させて、これと対をなす受光素子からの受光信号に基づいて動作する多光軸光電センサにおいて、
前記複数の投光素子に供給される負荷電流を測定する電流測定手段と、
前記各投光素子の点灯タイミング毎に、前記電流測定手段による測定電流値と基準電流値とを比較し、その大小関係に基づき動作異常を検出する状態検知手段とを備えて、
前記状態検知手段の比較動作における前記基準電流値は、点灯される投光素子の位置が前記電流測定手段から遠いほど低いレベルに設定されていることを特徴とする多光軸光電センサ。 - 複数の投光素子と、これらと対をなすように設けられた複数の受光素子とを備え、前記複数の投光素子を所定の配列方向に沿って順に点灯させて、これと対をなす受光素子からの受光信号に基づいて動作する多光軸光電センサにおいて、
前記複数の投光素子に供給される負荷電流を測定する電流測定手段と、
前記各投光素子の点灯タイミング毎に、前記電流測定手段による測定電流値と基準電流値とを比較し、その大小関係に基づき動作異常を検出する状態検知手段と、
前記各投光素子の点灯タイミング毎に、直前の点灯タイミングで前記電流測定手段により測定された測定電流値に基づいて前記基準電流値を設定する基準電流値設定手段とを備えたことを特徴とする多光軸光電センサ。 - 前記状態検知手段は、前記測定電流値が前記基準電流値以上であることを条件に前記動作異常を検出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の多光軸光電センサ。
- 前記状態検知手段は、前記測定電流値が第1の基準電流値以上、又は第2の基準電流値以下であることを条件に前記動作異常を検出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の多光軸光電センサ。
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