JP3961317B2 - ゴルフボール用成形型及びゴルフボール製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴルフボール用成形型及びゴルフボール製造方法に関する。詳細には、本発明は、ゴルフボールのカバーの成形に用いられる成形型の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ゴルフボールは、その構造によってワンピースゴルフボール、ツーピースゴルフボール、マルチピースゴルフボール(3以上の層構造からなるもの)、糸巻きゴルフボール等に区別される。
【0003】
ツーピースゴルフボールは、コアとこのコアの表面を被覆するカバーとから構成されている。ツーピースゴルフボールの製造には、球状のキャビティを備えた成形型が用いられる。この成形型は、キャビティに対して進退可能な保持ピンと、キャビティと外気とを連通するためのベントピンとを備えている。前進した保持ピンによって、キャビティの中心にコアが保持される。そして、樹脂組成物が射出成形機に投入されて溶融され、キャビティに向かって射出される。溶融樹脂組成物は、キャビティ面とコアとの間隙に充填される。この溶融樹脂組成物はコアの周りを被覆し、やがて凝固してカバーを形成する。
【0004】
コアが保持ピンで保持された段階では、キャビティ面とコアとの間隙にエアーが存在している。溶融樹脂組成物がキャビティに流入するに従い、キャビティ内のエアーが外部へと排出される。排出は、保持ピン及びベントピンのクリアランスから行われる。
【0005】
クリアランスに溶融樹脂組成物が流れ込み、この溶融樹脂組成物がフィンを形成することがある。寸法の大きなフィンは、ゴルフボールの外観を低下させる。フィンを抑制する観点から、クリアランスはなるべく小さくされる必要がある。通常クリアランスは、0.01mmから0.05mmに設定される。
【0006】
このようにクリアランスは狭いので、エアーの排出が不十分となることがある。排出が不十分であると、ベア(残留エアーによる空間)、カバー内へのエアーの進入、焼け(カバーに生じる焦げ)、ウエルドマーク(樹脂組成物同士の接合箇所に生じるライン状のマーク)といった不良が生じる。特に、溶融樹脂組成物の流速が速い場合は、エアーの排出が不十分となりやすい。近年、厚みの小さなカバーを備えたゴルフボールが開発され、市販されている。このゴルフボールのカバー成形では溶融樹脂組成物が高速で充填される必要があり、エアーの排出不良が問題となっている。
【0007】
特開2000−37480公報には、保持ピンを多孔質材料から形成してエアーの排出性を高める技術が開示されている。この保持ピンは、繰り返しの使用によって孔の目詰まりが生じる。この保持ピンは高価である。しかも、この保持ピンは脆弱であり、破損しやすい。多孔質材料からなる保持ピンは、実用的ではない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このように、フィンの抑制に重きがおかれた成形型ではエアーの排出不良が生じやすい。一方、エアーの円滑な排出の目的でクリアランスが大きくされた成形型では、フィンが生じやすい。排出不良もフィンの発生も、ゴルフボールの品質を低下させる。
【0009】
本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであり、エアーが排出されやすいゴルフボール用成形型の提供をその目的とするものである。また、他の発明は、高品質なゴルフボールが得られる製造方法の提供をその目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るゴルフボール用成形型は、保持ピンを備える。この保持ピンは、長手方向に延びる切欠部をその外周面に備える。この切欠部の上端は、保持ピンの上端よりも下方に位置している。保持ピンは、球状のキャビティに対して進退可能である。保持ピンによってキャビティの中心に保持されたコアの周りに溶融したポリマー組成物が充填されることで、このポリマー組成物からなるカバーが成形される。充填の際、キャビティ内のエアーが切欠部を通じて外部に排出される。従って、保持ピンの上端近傍のクリアランスが小さい場合でも、エアーの排出不良が生じにくい。保持ピンの上端近傍には切欠部が存在しないので、フィンの発生が抑制される。このゴルフボール用成形型が用いられることにより、ゴルフボールの品質が向上しうる。
【0011】
切欠部に代えて、又は切欠部と共に、周方向に延びる溝部が保持ピンの外周面に形成されてもよい。このゴルフボール用成形型では、キャビティ内のエアーが溝部を通じて外部に排出される。このゴルフボール用成形型は、エアーの排出性に優れる。
【0012】
他の発明に係るゴルフボール用成形型は、球状キャビティに対して進退可能な保持ピンと、ベントピンを備える。このベントピンは、長手方向に延びる切欠部をその外周面に備える。この切欠部の上端は、ベントピンの上端よりも下方に位置している。保持ピンによってキャビティの中心に保持されたコアの周りに溶融したポリマー組成物が充填されることで、このポリマー組成物からなるカバーが成形される。充填の際、キャビティ内のエアーがベントピンの切欠部を通じて外部に排出される。従って、ベントピンの上端近傍のクリアランスが小さい場合でも、エアーの排出不良が生じにくい。ベントピンの上端近傍には切欠部が存在しないので、フィンの発生が抑制される。このゴルフボール用成形型が用いられることにより、ゴルフボールの品質が向上しうる。
【0013】
切欠部に代えて、又は切欠部と共に、周方向に延びる溝部がベントピンの外周面に形成されてもよい。このゴルフボール用成形型では、キャビティ内のエアーがベントピンの溝部を通じて外部に排出される。このゴルフボール用成形型は、エアーの排出性に優れる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフボール用成形型1(以下、「成形型」と称される)が示された部分断面図である。この成形型1は、上型3、下型5、複数本の保持ピン7及び2本のベントピン9を備えている。保持ピン7は、上型3及び下型5のそれぞれにおいて、極点から等距離に位置している。上型3及び下型5のそれぞれにおいて、保持ピン7は3本から8本、特には3本から6本設けられる。図1では、上型3及び下型5のそれぞれにおいて2本ずつの保持ピン7が図示されている。ベントピン9は、上型3の極点と下型5の極点とに位置している。
【0016】
上型3及び下型5は、ボディ11と、キャビティ面13と、保持ピン孔15と、ベントピン孔17とを備えている。キャビティ面13は、半球状である。成形型1が締められると、図1に示されるように上型3のキャビティ面13及び下型5のキャビティ面13によって球状キャビティが形成される。保持ピン孔15及びベントピン孔17は、外部から球状キャビティに向かってボディ11を貫通している。保持ピン孔15及びベントピン孔17の内周面の断面形状は、円形である。図示されていないが、キャビティ面13には多数の突起が形成されている。カバーの成形時には、この突起によって突起の形状が反転した形状を有するディンプルが形成される。
【0017】
図2(a)は図1の成形型1の保持ピン7の一部が示された拡大正面図であり、図2(b)は図2(a)のB−B線に沿った断面図であり、図2(c)は図2(a)のC−C線に沿った断面図である。保持ピン7は、長手方向(図2(a)における上下方向)に延びる切欠部19をその外周面に備えている。切欠部19の上端は、保持ピン7の上端よりもやや下方に位置する。切欠部19は、円柱状の母材の外周面が削り落とされて平坦面とされることで形成されている。この例では、切欠部19の数は4本である。外周面のうち隣接する切欠部19同士の間は、湾曲部21である。
【0018】
切欠部19の幅(周方向寸法)は、0.3mm以上が好ましい。幅が上記範囲未満であると、エアー排出性が不十分となることがある。この観点から、幅は0.5mm以上がより好ましく、1mm以上が特に好ましい。幅は通常、3.0mm以下とされる。
【0019】
切欠部19の深さ(半径方向寸法)は、0.02mm以上が好ましい。深さが上記範囲未満であると、エアー排出性が不十分となることがある。この観点から、深さは0.03mm以上がより好ましく、0.05mm以上が特に好ましい。深さは通常、1.0mm以下とされる。
【0020】
図2(b)から明らかなように、切欠部19の上端よりも上方では、保持ピン7の断面形状は円である。この円の直径は、通常は2mm以上6mm以下、さらには2.5mm以上5mm以下、特には2.5mm以上4mm以下である。図2(b)において二点鎖線で示されているのは、保持ピン孔15である。保持ピン7の上端近傍と保持ピン孔15とのクリアランスは、0.005mm以上0.10mm以下が好ましい。クリアランスが上記範囲未満であると、エアー排出性が不十分となり、また保持ピン7の進退が不可能となることがある。この観点から、クリアランスは0.010mm以上がより好ましく、0.020mm以上が特に好ましい。クリアランスが上記範囲を超えると、クリアランスに溶融樹脂組成物が流入して大きなフィンが生じることがある。この観点から、クリアランスは0.075mm以下がより好ましく、0.05mm以下がさらに好ましく、0.03mm以下が特に好ましい。
【0021】
図2(c)にも、保持ピン孔15が示されている。この保持ピン孔15と湾曲部21とのクリアランスは、図2(b)に示されている保持ピン7の上端近傍と保持ピン孔15とのクリアランスと同等である。保持ピン孔15と切欠部19とのクリアランスは、保持ピン孔15と湾曲部21とのクリアランスよりも大きい。保持ピン孔15と切欠部19とのクリアランスの最大箇所の、保持ピン孔15と湾曲部21とのクリアランスに対する比率は、110%以上が好ましい。比率が上記範囲未満であると、エアー排出性が不十分となることがある。この観点から、比率は150%以上がより好ましく、200%以上が特に好ましい。比率は通常、5000%以下に設定される。
【0022】
保持ピン7の前端には、凸部23が形成されている。カバーの成形時には、この凸部23によって凸部23の形状が反転した形状を有するディンプルが形成される。保持ピンの前端がランド部(ゴルフボール表面のうちディンプル以外の部分)に当接する場合は、凸部23は設けられない。この場合は、保持ピンの前端は斜めの平坦面とされる。
【0023】
図3(a)は図1の成形型1のベントピン9が示された拡大正面図であり、図3(b)はその底面図であり、図3(c)は図3(a)のC−C線に沿った断面図であり、図3(d)は図3(a)のD−D線に沿った断面図である。ベントピン9は、フランジ25と、後方溝部27と、胴部29と、前方溝部31と、前端部33と、切欠部35とを備えている。前方溝部31及び後方溝部27は、円柱状の母材の表面が周方向に削り落とされることで形成されている。切欠部35は、前方溝部31から後方溝部27を経てフランジ25の下面にまで至っている。切欠部35は、4本存在している。胴部29の外周面のうち隣接する切欠部35同士の間は、湾曲部37である。
【0024】
切欠部35の幅(周方向寸法)は、0.3mm以上が好ましい。幅が上記範囲未満であると、エアー排出性が不十分となることがある。この観点から、幅は0.5mm以上がより好ましく、0.7mm以上が特に好ましい。幅は通常、2.0mm以下とされる。
【0025】
切欠部35の深さ(半径方向寸法)は、0.05mm以上が好ましい。深さが上記範囲未満であると、エアー排出性が不十分となることがある。この観点から、深さは0.1mm以上がより好ましく、0.3mm以上が特に好ましい。深さは通常、1.0mm以下とされる。
【0026】
前方溝部31及び後方溝部27の幅(長手方向寸法)は、0.2mm以上が好ましい。幅が上記範囲未満であると、エアー排出性が不十分となることがある。この観点から、幅は0.3mm以上がより好ましく、0.5mm以上が特に好ましい。幅は通常、1.0mm以下とされる。
【0027】
前方溝部31及び後方溝部27の深さ(半径方向寸法)は、0.05mm以上が好ましい。深さが上記範囲未満であると、エアー排出性が不十分となることがある。この観点から、深さは0.1mm以上がより好ましく、0.3mm以上が特に好ましい。深さは通常、1.0mm以下とされる。
【0028】
図3(c)から明らかなように、前端部33の断面形状は円である。図3(c)において二点鎖線で示されているのは、ベントピン孔17である。前端部33とベントピン孔17とのクリアランスは、0.005mm以上0.10mm以下が好ましい。クリアランスが上記範囲未満であると、エアー排出性が不十分となることがある。この観点から、クリアランスは0.010mm以上がより好ましく、0.015mm以上が特に好ましい。クリアランスが上記範囲を超えると、クリアランスに溶融樹脂組成物が流入して大きなフィンが生じることがある。この観点から、クリアランスは0.07mm以下がより好ましく、0.05mm以下がさらに好ましく、0.03mm以下が特に好ましい。
【0029】
図3(d)にも、ベントピン孔17が示されている。このベントピン孔17と湾曲部37とのクリアランスは、図3(c)に示されている前端部33とベントピン孔17とのクリアランスと同等である。ベントピン孔17と切欠部35とのクリアランスは、ベントピン孔17と湾曲部37とのクリアランスよりも大きい。ベントピン孔17と切欠部35とのクリアランスの最大箇所の、ベントピン孔17と湾曲部37とのクリアランスに対する比率は、110%以上が好ましい。比率が上記範囲未満であると、エアー排出性が不十分となることがある。この観点から、比率は150%以上がより好ましく、200%以上が特に好ましい。比率は通常、5000%以下に設定される。
【0030】
前端部33には、凸部39が形成されている。カバーの成形時には、この凸部39によって凸部39の形状が反転した形状を有するディンプルが形成される。ベントピンの前端がランド部に当接する場合は、凸部39は設けられない。この場合は、ベントピンの前端は平坦面とされる。
【0031】
前方溝部31とベントピン孔17とのクリアランス、及び後方溝部27とベントピン孔17とのクリアランスは、通常は0.1mm以上2mm以下とされる。前方溝部31及び後方溝部27は全周に亘って形成されているが、溝部が部分的に形成されてもよい。後方溝部27、前方溝部31及び切欠部35の全てが設けられる必要はない。これらのうちのいずれかが設けられることで、エアー排出性が向上する。
【0032】
ベントピン9の前方溝部31とキャビティ面13との最短距離は、5mm以下が好ましい。最短距離が上記範囲を超えると、エアー排出性が不十分となることがある。この観点から、最短距離は3mm以下がより好ましく、1mm以下が特に好ましい。最短距離は、通常は0.1mm以上に設定される。前方溝部31が設けられない場合は、切欠部35の前端とキャビティ面13との最短距離が、上記範囲内に設定される。
【0033】
図4は、図1の成形型1の一部が示された拡大断面図である。この成形型1によってカバーが成形される場合は、まず下型5のキャビティにコア41が投入される。次に型締めがなされ、保持ピン7が前進する。図4(a)には、保持ピン7が前進した状態が示されている。前進により保持ピン7がコア41を保持する。コア41は、球状キャビティの中心に位置している。キャビティ面13とコア41との間には、エアーが存在している。
【0034】
次に、図示されないゲートから、溶融樹脂組成物が球状キャビティに徐々に充填される。充填に伴い、キャビティ面13とコア41との間に存在するエアーが徐々に外部に排出される。排出は、保持ピン7と保持ピン孔15とのクリアランスからなされる。保持ピン7には切欠部19が形成されており、この切欠部19と保持ピン孔15とのクリアランスは大きいので、排出が円滑に行われる。排出はまた、ベントピン9とベントピン孔17とのクリアランスからもなされる。ベントピン9には前方溝部31、後方溝部27及び切欠部35が形成されているので、これらを介してエアーが円滑に排出される。
【0035】
溶融樹脂組成物の充填が完了する直前に、保持ピン7が後退する。図4(b)には、保持ピン7が後退した状態が示されている。保持ピン7はコア41から離れているが、コア41とキャビティ面13との間には樹脂組成物(図4(b)では図示が省略されている)が存在しているので、コア41はほとんど移動しない。溶融樹脂組成物の充填が完了した後に成形型1が開かれ、ゴルフボールが取り出される。
【0036】
保持ピン7が最も前進した状態でも、切欠部19の前端が保持ピン孔15の内部に存在しているのが好ましい。これにより、切欠部19の段差部とキャビティ面13との擦動が防止されて保持ピン7及びボディ11の摩耗が抑制され、しかも切欠部19への溶融合成樹脂の流入が防止される。保持ピン7が最も前進した状態での、切欠部19の前端とキャビティ面13との最短距離は、3mm以下が好ましい。最短距離が上記範囲を超えると、エアー排出性が不十分となることがある。この観点から、最短距離は1mm以下がより好ましく、0.5mm以下が特に好ましい。最短距離は、通常は0.05mm以上に設定される。
【0037】
エアー排出性の観点から、保持ピン7の切欠部19及びベントピン9の切欠部35の本数は1本以上、特には2本以上が好ましい。加工の容易の観点から、保持ピン7の切欠部19及びベントピン9の切欠部35の本数は8本以下、特には4本以下が好ましい。
【0038】
この成形型1では、保持ピン7及びベントピン9の両方に切欠部19、35が形成されているが、保持ピン7のみに切欠部19が形成されてもよく、ベントピン9のみに切欠部35が形成されてもよい。
【0039】
図5(a)は本発明の他の実施形態に係るゴルフボール用成形型の保持ピン43の一部が示された正面図であり、図5(b)は図5(a)のB−B線に沿った断面図であり、図5(c)は図5(a)のC−C線に沿った断面図であり、図5(d)は図5(a)のD−D線に沿った断面図である。この保持ピン43は、4本の切欠部45と1本の溝部47とを備えている。この成形型の保持ピン43を除く部分の構成は、図1に示された成形型1と同等である。
【0040】
切欠部45は、長手方向(図5(a)における上下方向)に延びている。切欠部45の上端は、溝部47と連続している。図示されていないが、切欠部45の下端はボディ11の外部にまで至っている。外周面のうち隣接する切欠部45同士の間は、湾曲部49である。切欠部45の寸法は、図2に示された保持ピン7の切欠部19と同等である。
【0041】
溝部47の幅(長手方向寸法)は、0.2mm以上が好ましい。幅が上記範囲未満であると、エアー排出性が不十分となることがある。この観点から、幅は1.0mm以上がより好ましく、2.0mm以上が特に好ましい。幅は通常、10.0mm以下とされる。
【0042】
溝部47の深さ(半径方向寸法)は、0.05mm以上が好ましい。深さが上記範囲未満であると、エアー排出性が不十分となることがある。この観点から、深さは0.1mm以上がより好ましく、0.3mm以上が特に好ましい。深さは通常、1.0mm以下とされる。
【0043】
図5(b)から明らかなように、溝部47よりも上方では、保持ピン43の断面形状は円である。図5(b)において二点鎖線で示されているのは、保持ピン孔15である。保持ピン43の上端近傍と保持ピン孔15とのクリアランスは、0.005mm以上0.10mm以下が好ましい。クリアランスが上記範囲未満であると、エアー排出性が不十分となり、また保持ピン43の進退が不可能となることがある。この観点から、クリアランスは0.010mm以上がより好ましく、0.020mm以上が特に好ましい。クリアランスが上記範囲を超えると、クリアランスに溶融樹脂組成物が流入して大きなフィンが生じることがある。この観点から、クリアランスは0.07mm以下がより好ましく、0.05mm以下が特に好ましい。
【0044】
図5(c)にも、保持ピン孔15が示されている。この保持ピン孔15と溝部47とのクリアランスは、極めて大きい。クリアランスは、通常は0.1mm以上2mm以下とされる。この例では溝部47は全周に亘って形成されているが、部分的に溝部が形成されてもよい。
【0045】
図5(d)にも、保持ピン孔15が示されている。この保持ピン孔15と湾曲部49とのクリアランスは、図5(b)に示されている保持ピン43の上端近傍と保持ピン孔15とのクリアランスと同等である。保持ピン孔15と切欠部45とのクリアランスは、保持ピン孔15と湾曲部49とのクリアランスよりも大きい。保持ピン孔15と切欠部45とのクリアランスの最大箇所の、保持ピン孔15と湾曲部49とのクリアランスに対する比率は、110%以上が好ましい。比率が上記範囲未満であると、エアー排出性が不十分となることがある。この観点から、比率は150%以上がより好ましく、200%以上が特に好ましい。比率は通常、5000%以下に設定される。
【0046】
この保持ピン43でも、溶融樹脂組成物の充填に伴い、キャビティ面13とコア41との間に存在するエアーが徐々に外部に排出される。排出は、保持ピン43と保持ピン孔15とのクリアランスからなされる。保持ピン43には溝部47及び切欠部45が形成されているので、排出が円滑に行われる。
【0047】
保持ピン43が最も前進した状態でも、溝部47が保持ピン孔15の内部に存在しているのが好ましい。これにより溝部47とキャビティ面13との擦動が防止されて保持ピン43及びボディ11の摩耗が抑制され、しかも溝部47への溶融合成樹脂の流入が防止される。保持ピン43が最も前進した状態での、溝部47とキャビティ面13との最短距離は、5mm以下が好ましい。最短距離が上記範囲を超えると、エアー排出性が不十分となることがある。この観点から、最短距離は3mm以下がより好ましく、1mm以下が特に好ましい。最短距離は、通常は0.1mm以上に設定される。
【0048】
【実施例】
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
【0049】
[実施例1]
上型及び下型のそれぞれに5本ずつの保持ピンと1本ずつのベントピンとを備えた成形型を用意した。保持ピンは図2に示されたタイプのものであり、切欠部を備えている。ベントピンは図3に示されたタイプのものであり、切欠部、前方溝部及び後方溝部を備えている。この成形型のキャビティに、ソリッドゴムからなり直径が39.5mmであるコアを投入した。このコアを保持ピンで保持しつつ、コアとキャビティ面との間に、アイオノマー樹脂と二酸化チタンとからなる樹脂組成物を射出し、直径が42.7mmのゴルフボールを成形した。
【0050】
[実施例2から5及び比較例]
保持ピン及びベントピンの仕様を下記の表1に示される通りとした他は実施例1と同様にして、ゴルフボールを得た。実施例5及び比較例に用いられた保持ピンは従来タイプであり、その正面図は図6に示されている。実施例3及び4並びに比較例に用いられたベントピンは従来タイプであり、その正面図は図7に示されている。
【0051】
[不良率の算出]
各実施例及び比較例のゴルフボール100個ずつを目視で観察し、外観の不良率を算出した。不良は全てウエルドマークであった。この結果が、下記の表1に示されている。
【0052】
【表1】
【0053】
表1において、各実施例の製造方法の不良率は、比較例の製造方法の不良率よりも低い。この評価結果より、本発明の優位性は明らかである。
【0054】
以上、ツーピースゴルフボールのカバーが成形される場合が一例とされて本発明が詳説されたが、本発明の成形型は、内側カバーと外側カバーとを備えたゴルフボールの内側カバーの成形にも適している。また、本発明の成形型は、樹脂組成物以外のポリマー組成物(例えばゴム組成物)からなるカバーの成形にも適している。
【0055】
【発明の効果】
以上説明されたように、本発明の成形型はエアー排出性に優れる。この成形型が用いられることで、高品質なゴルフボールが製造されうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフボール用成形型が示された部分断面図である。
【図2】図2(a)は図1の成形型の保持ピンの一部が示された拡大正面図であり、図2(b)は図2(a)のB−B線に沿った断面図であり、図2(c)は図2(a)のC−C線に沿った断面図である。
【図3】図3(a)は図1の成形型のベントピンが示された拡大正面図であり、図3(b)はその底面図であり、図3(c)は図3(a)のC−C線に沿った断面図であり、図3(d)は図3(a)のD−D線に沿った断面図である。
【図4】図4は、図1の成形型の一部が示された拡大断面図である。
【図5】図5(a)は本発明の他の実施形態に係るゴルフボール用成形型の保持ピンの一部が示された正面図であり、図5(b)は図5(a)のB−B線に沿った断面図であり、図5(c)は図5(a)のC−C線に沿った断面図であり、図5(d)は図5(a)のD−D線に沿った断面図である。
【図6】図6は、従来の保持ピンの一部が示された正面図である。
【図7】図7は、従来のベントピンが示された正面図である。
【符号の説明】
1・・・ゴルフボール用成形型(成形型)
3・・・上型
5・・・下型
7、43・・・保持ピン
9・・・ベントピン
11・・・ボディ
13・・・キャビティ面
15・・・保持ピン孔
17・・・ベントピン孔
19、35、45・・・切欠部
21、37、49・・・湾曲部
23、39・・・凸部
25・・・フランジ
27・・・後方溝部
29・・・胴部
31・・・前方溝部
33・・・前端部
41・・・コア
47・・・溝部
Claims (3)
- 球状のキャビティとこのキャビティに対して進退可能な保持ピンとを備えており、保持ピンによってキャビティの中心に保持されたコアの周りに溶融したポリマー組成物が充填されることでこのポリマー組成物からなるカバーが成形されるゴルフボール用成形型であって、
この保持ピンが、長手方向に延びる切欠部をその外周面に備えており、この切欠部の上端が保持ピンの上端よりも下方に位置しており、
この保持ピンが最も前進した状態において、切欠部の前端が保持ピン孔の内部に存在していることを特徴とするゴルフボール用成形型。 - 球状のキャビティとこのキャビティに対して進退可能な保持ピンとを備えており、保持ピンによってキャビティの中心に保持されたコアの周りに溶融したポリマー組成物が充填されることでこのポリマー組成物からなるカバーが成形されるゴルフボール用成形型であって、
この保持ピンが、周方向に延びる溝部をその外周面に備えており、
この保持ピンが最も前進した状態において、溝部が保持ピン孔の内部に存在していることを特徴とするゴルフボール用成形型。 - 上記請求項1又は2に記載のゴルフボール用成形型を用いてコアの周りにカバーを成形する工程を含むゴルフボール製造方法。
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