JP3960442B2 - 押釦スイッチの彫り込み文字形成方法および押釦スイッチ用カバー部材の製造方法 - Google Patents

押釦スイッチの彫り込み文字形成方法および押釦スイッチ用カバー部材の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、移動体通信機器等のデータ入力装置やスイッチ装置等に部品として用いる押釦スイッチ用のキートップの彫り込み文字形成方法およびカバー部材の製造方法に係り、詳しくは、キートップにレーザー光を照射して彫り込み部を形成し、この彫り込み部に着色組成物を充填して図形や文字等を形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話機等の移動体通信機器のデータ入力装置やパーソナルコンピュータのキーボード等(押釦スイッチ)は、通常、回路基板にカバー部材を直接に組み付けて構成される。このような押釦スイッチにおいては、ゴム弾性体から複数の可動部を有する基体を成形し、この基体の可動部の表面にキートップを、可動部の裏面に可動接点を設け、また、キートップの天面に図形や文字等を印刷してカバー部材が構成される。
【0003】
ところで、上述したカバー部材は、回路基板と組み付けられて押釦スイッチを構成した状態で、キートップの天面がオペレータの指と接触する操作部(押圧面)として機能する。このため、押釦スイッチを長期間にわたって使用した場合等には、キートップの天面の図形や文字等がオペレータの指との接触で摩損し、図形等の視認性が損なわれることがあった。
【0004】
そこで、文字や図形等の耐磨耗性の改善を図ったカバー部材が、特開平7−169360号公報で提案されている。この特開平7−169360号公報には、キートップ部の天面に任意のデザインで5μm〜50μmの凹みをキートップ部の成形と同時に成形金型により形成し、この凹みの中にプラズマ処理を施したメッシュ密度が300本/インチ〜500本/インチのポリエステル製版を用いてスクリーン印刷で150ポイズ〜400ポイズのインキによる着色部を設けるカバー部材の製造方法が記載される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した特開平7−169360号公報に記載のカバー部材の製造方法にあっては、キートップ部の成形金型に凹み形成用の微少突起を形成しなければならず、成形金型の加工が困難であるという問題、また、成形金型に微少突起を形成することで成形金型の耐久性が悪影響を受けるという問題があった。特に、前者の問題は、文字等の輪郭の明瞭性が微少突起の加工精度に大きく依存するため、小さな文字等を形成する場合に顕著であり、その解決が強く要望されていた。
この発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、キートップの成形金型の加工が容易に行え、また、成形金型の耐久性に悪影響を及ぼすことがない押釦スイッチの彫り込み文字形成方法と、押釦スイッチ用カバー部材の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明かかる押釦スイッチの彫り込み文字形成方法は、押釦スイッチのキートップをレーザー光吸収粉体とレーザ−光感応発色性顔料を配合した熱硬化性樹脂から成形し、該キートップにレーザー光を照射して記号・図形等の彫り込み部を形成するとともに該彫り込み部の内壁面に光隠蔽層を形成し、該彫り込み部に着色組成物を充填、硬化させて着色表示部を形成することを特徴とする押釦スイッチの彫り込み文字形成方法である
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、ゴム組成物でベース部および該ベース部に対して変位可能な可動部を有する基体を一体成形し、該基体の可動部に硬質樹脂のキートップを固着した押釦スイッチ用カバー部材の製造方法において、前記キートップをレーザー光吸収粉体とレーザ−光感応発色性顔料を配合した熱硬化性樹脂組成物から成形するとともに、該キートップにレーザー光を照射して記号・図形状の彫り込み部を形成するとともに該彫り込み部の内壁面に光隠蔽層を形成し、該彫り込み部に着色組成物を充填、硬化させて着色表示部を形成した後、キートップを前記基体の可動部に固着することを特徴とする押釦スイッチ用カバー部材の製造方法である
【0008】
さらに、請求項3に記載の発明は、ゴム組成物でベース部および該ベース部に対して変位可能な可動部を有する基体を一体成形し、該基体の可動部に硬質樹脂のキートップを固着した押釦スイッチ用カバー部材の製造方法において、前記キートップをレーザー光吸収粉体とレーザ−光感応発色性顔料を配合した熱硬化性樹脂組成物から成形し、該キートップを前記基体の可動部に固着し、該基体に固着されたキートップにレーザー光を照射して記号・図形状の彫り込み部を形成するとともに該彫り込み部の内壁面に光隠蔽層を形成し、該彫り込み部に着色組成物を充填、硬化させて着色表示部を形成することを特徴とする押釦スイッチ用カバー部材の製造方法する。
【0009】
そして、請求項2および請求項3に記載の発明にかかるカバー部材の製造方法は、前記基体を透光性のゴム組成物から、前記キートップを透光性の熱硬化性樹脂組成物から成形するとともに、前記基体の一面に可動部の少なくとも前記彫り込み部と対面する部分を除いて光遮蔽層を形成し、該光遮蔽層を形成した後に前記キートップを前記基体の可動部に固着する態様(請求項4)に構成することができる
【0010】
この発明は、携帯電話機のデータ入力装置やパーソナルコンピュータのキーボード等に代表される押釦スイッチに適用され、押釦スイッチが照光式であると非照光式であるとを問わず適用できる。この押釦スイッチは、キートップをコイルスプリングや板ばね等の機械的な弾性部材で付勢するものとして、また、ゴム弾性体からなる基体と組み付けてカバー部材として構成するもの(請求項2,3)を含む。
【0011】
基体は、可動部に硬質の熱可塑性樹脂からなるキートップが固着され、固定接点が設けられた回路基板と直接あるいはクリック板等を介して組み付けられて押釦スイッチを構成する。この基体には可動部の裏面(キートップ部の固着側と逆側)に固定接点あるいは押圧子が一体成形や接着等により設けられ、また、回路基板は固定接点やLED等の発光体を有するもの、クリック板は皿バネ的な弾性変形特性を有するドーム部等が可動部に対応して形成されたものが用いられる。押釦スイッチは、基体の可動部の変位で、固定接点が回路基板の固定接点と直接に接触、あるいは、押圧子がクリック板のドーム部を押圧してドーム部の裏面に設けられた接点を回路基板の固定接点と接触させ、回路を開閉する。
【0012】
また、基体は、ウレタンゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、イソプレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合(EPDM)等の合成ゴムや天然ゴム、熱硬化性エラストマ、ポリエステル系若しくはウレタン系の熱可塑性エラストマ等のゴム組成物、特に、照光式の押釦スイッチを構成する場合は透光性のゴム組成物を用いて、圧縮成形や射出成形等で単独に、あるいは、キートップをインサートとするインサート成形等により成形される。特に、照光式の押釦スイッチを構成する場合は、基体には表面に可動部の少なくとも一部を除いて光遮蔽層を形成する。この光遮蔽層は、マスキングテープ等で可動部表面を被覆した後にスプレー塗装等を行うことで、あるいは、基体表面全面に光遮蔽層をスプレー等で形成した後に可動部上の光遮蔽層をレーザー光等で除去することにより形成する。
【0013】
キートップは、基体の可動部に対応した形状、例えば、円柱等のブロック状、シート状あるいは一端が閉止したキャップ状(筒状)等であり、ブロック状やシート状であれば可動部表面に固着、また、キャップ状であれば可動部に嵌合固着される。このキートップは、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂あるいはポリウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂(組成物)、望ましくは、レーザー光吸収粉体を配合した熱硬化性樹脂、また、レーザー光感応発色性着色剤が配合された熱硬化性樹脂、あるいは、レーザー光吸収粉体とレーザー光感応発色性着色剤の双方が配合された熱硬化性樹脂を用いて、射出成形等により単独で成形されて接着剤等により可動部に接着、あるいは、インサート成形により基体の可動部と一体に固着成形される。
【0014】
レーザー光吸収粉体は、アセチレンブラックやケチェンブラック等のカーボン粒子、Mn−Znフェライトや酸化鉄フェライト等(特に、黒色や暗褐色等のもの)の金属酸化物、あるいは、チタン酸バリウム等の双極子能の大きな高誘電体材料粉末等の電磁波を吸収する粉体であり、平均粒径がレーザー光の波長の3倍以下(より好ましくは、平均粒径がレーザー光波長の1/3より1/2)のものが用いられる。このレーザー光吸収粉体は、上記粉体を単独(1種)あるいは混合して用いられ、樹脂バインダ100重量部に対して0.005重量部〜5.00重量部程度、望ましくは、0.01重量部〜1.00重量部の割合で配合される。このレーザー光吸収粉体は、キートップを構成する熱可塑性樹脂の組織、分子構造の破壊、切断、消失あるいは蒸散を促進し、彫り込み部の効率的な形成を可能とする。
【0015】
レーザー光感応発色性着色剤は、着色顔料粒子を破砕層で被覆してなり、樹脂バインダ100重量部に対して0.005重量部〜5.0重量部程度、望ましくは、0.01重量部〜1.00重量部の割合で配合される。着色顔料粒子は、平均粒径が可視光線(発色させようとする色の光)の波長以上、好ましくは、50μm以上であって、二酸化チタン等の種々の顔料の凝集粒子、望ましくは、光隠蔽性に優れた顔料の凝集粒子が用いられる。破砕層は、樹脂バインダにレーザー光吸収粉体等を配合した組成物からなり、0.5μm〜1.5μm程度のコーティング厚を有する。この破砕層は、樹脂バインダがポリビニルアルコール等から、レーザー光吸収粉体が上述のレーザー光吸収粉体と同様の粒径がレーザー光の波長の3倍以下(好ましくは、平均粒径がレーザー光波長の1/3より1/2)のものが用いられる。このレーザー光感応発色性着色剤は、レーザー光の照射により彫り込み部の内壁面に光隠蔽層を形成し、キートップの地肌色が着色表示部の色彩に影響を及ぼすことを防止する。
【0016】
彫り込み部は、キートップの表面(天面)あるいは裏面に文字や図形の平面形状で所定の深さ、例えば、前述した特開平7−169360号公報に記載される5μm〜50μmの深さに形成される。この彫り込み部は、キートップが基体の可動部に接着される前のキートップに、あるいは接着後の基体と接着された状態のキートップにレーザー光を照射して形成される。レーザーは、ルビー、YAG、アルゴン若しくはエキシマレーザー等が用いられ、2〜20W程度のエネルギでマスクを介して、あるいは、走査しつつキートップに照射される。
【0017】
着色組成物は、前述した公報に記載されるスクリーン印刷、タンポ印刷、転写あるいはディッピング等により彫り込み部に充填され、乾燥炉等で乾燥、硬化されて着色表示部を構成する。この着色組成物は、樹脂バインダに顔料、また、必要に応じて硬化剤等を配合したものが用いられ、上述したスクリーン印刷等で充填される場合はインキが用いられる。樹脂バインダは、キートップの熱硬化性樹脂との固着性に優れた樹脂、例えば、同一の樹脂が用いられ、また、顔料は周知の顔料が用いられる。着色表示部は、記号や図形等の平面視形状であり、文字等として視認される。
【0018】
【作用】
この発明は、キートップを熱硬化性樹脂から成形し、この熱硬化性樹脂からなるキートップにレーザー光を照射して平面視形状が文字や図形状の彫り込み部を形成し、この彫り込み部に着色組成物を充填硬化させて着色表示部を形成、換言すれば、視認可能な文字等を形成する。このため、明瞭に視認でき、かつ、耐磨耗性に優れた表示部が、キートップの成形金型に微細な突起等を形成することなく、また、成形金型の耐久性を損なうことなく形成できる。すなわち、この発明は、キートップへの彫り込み部の形成に際して、キートップ成形用の成形金型に彫り込み部を形成するための微細な突起等を形成する必要が無く、また、レーザー光照射によりキートップの樹脂が発泡等を生じて輪郭が不鮮明になることが無いため、キートップの成形金型の加工が容易で、かつ、成形金型に優れた耐久性が得られ、また、明瞭に視認できる文字等が得られる。
【0019】
特に、請求項5に記載の発明は、キートップを構成する熱硬化性樹脂にレーザー光吸収粉体を配合するため、レーザー光照射による彫り込み部の形成を効率的に行える。すなわち、キートップの樹脂中に配合されたレーザー光吸収粉体がレーザー光を吸収して樹脂の組織、分子構造の破壊、切断、消失あるいは蒸散を促進するため、彫り込み部を短時間で、かつ、高い精度で形成でき、キートップを安価に製作でき、また、彫り込み部をより明瞭な輪郭で形成できる。
【0020】
【実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1から図3はこの発明の一の実施の形態にかかる押釦スイッチ用カバー部材の製造方法を説明する図であり、図1が製造された押釦スイッチ用カバー部材の部分模式断面図、図2がキートップの成形に用いる熱硬化性樹脂組成物に配合されたレーザー光感応発色性着色剤の模式断面図、図3が同製造工程をアルファベット順に示す模式図である。
【0021】
先ず、図1を参照して製造されたカバー部材を説明する。図1は押釦スイッチとして組み付けた状態を示し、図中、10は回路基板、20はクリック板、30はカバー部材である。周知のように、回路基板10は、エポキシ樹脂等からなり、表面に固定接点11とLED等の発光体(図示せず)を有する。クリック板20は、皿バネ的な弾性変形特性を有する複数のドーム部21がカバー部材30の後述する可動部に対応して表面側に膨出形成され、ドーム部21の裏面に可動接点22が設けられる。このクリック板20は、ドーム部21の表面頂部にカバー部材30の押圧部が当接し、ドーム部21が押圧部による押圧でドーム部21が変形して可動接点22が固定接点11と接触する。
【0022】
カバー部材30は、透光性のシリコーンゴムからなる基体40と透光性硬質の熱硬化性樹脂からなる複数のキートップ50を有する。基体40は、回路基板10への支承部としてのベース部41に複数の薄肉部(可動部)42が所定の配列で連続して一体形成され、表面に遮光性着色層43が薄肉部42の中央部分(キートップ50の貼合部分)を除いて形成される。薄肉部42は、平面投影面積がキートップ50の平面投影面積と相似でキートップ50の投影面積より大きく、表面がベース部41と連続する平坦面をなす。この薄肉部42にはそれぞれ、裏面中央に押圧部42aがドーム部21を押圧可能に突出形成され、表面にキートップ50が固着される。遮光性着色層43は、バインダ樹脂にカーボンブラック等の遮光性顔料を配合した塗料やインク等を用いて、スプレーや印刷等により50μm程度の膜厚に形成される。
【0023】
キートップ50は、熱硬化性樹脂にレーザー光吸収粉体とレーザー光感応発色性顔料を配合した透光性の熱硬化性樹脂組成物を用いて射出成形等で成形され、略円柱状を有する。熱硬化性樹脂組成物は、例えば、熱可塑性樹脂100重量部にレーザー光吸収粉体0.1重量部とレーザー光感応発色性着色剤0.2重量部を配合したもの等が用いられ、熱硬化性樹脂はポリカーボネート樹脂等が、レーザー光吸収粉体としては平均粒径がレーザー光の波長以下のアセチレンブラック等が用いられる。また、レーザー光感応発色性着色剤90は、図2に示すように、二酸化チタン等の光隠蔽性に富み平均粒径が50μm程度の顔料の凝集粒子91を、平均粒径がレーザー光波長以下のケチェンブラック(レーザー光吸収粉体)93含有のポリビニルアルコールの破砕層92で被覆したものを用いる。
【0024】
キートップ50は、裏面が接着剤49により基体40の薄肉部42上面に接着され、表面(天面)に記号や図形等の平面視形状の彫り込み部52が30μm程度の深さに形成される。彫り込み部52は、内壁面に光隠蔽層(図示せず)が形成され、内部にスクリーン印刷で着色組成物(インク)が充填されて着色表示部53を形成する。インクは粘度が150〜400ポイズ程度の周知のスクリーン印刷用インクが、また、スクリーン印刷機は前述した公報に記載されるようにプラズマ処理等が施された所定のメッシュ密度のスクリーンを有するものが用いられる。
【0025】
次に、図3を参照してカバー部材30の製造方法を説明する。
先ず、熱硬化性樹脂組成物を作製し、この熱硬化性樹脂組成物を用いて射出成形により複数のキートップ50をランナ部硬化樹脂で連続した状態で成形する(図3a,b参照)。ここで、前述したように、熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂にレーザー光吸収粉体とレーザー光感応発色性着色剤等を配合、例えば、熱可塑性樹脂100重量部にレーザー光吸収粉体0.1重量部とレーザー光感応発色性着色剤0.2重量部を配合して作製する。
【0026】
次いで、図3aに示すように、ランナ部硬化樹脂で連続した複数のキートップ50を位置決め治具等で定位置に固定し、キートップ50の天面にレーザー光照射器61からマスク62を介してレーザー光を照射し、キートップ50の天面に平面視形状が記号(文字)や図形の彫り込み部52を形成する。ここで、キートップ50はレーザー光吸収粉体とレーザー光感応発色性着色剤を含む熱硬化性樹脂からなるため、レーザー光照射により樹脂が発泡することが無く、文字等を明瞭な輪郭で表す彫り込み部52が形成でき、また、レーザー光吸収粉体の作用により短時間で効率的に彫り込み部52を形成でき、さらに、彫り込み部52の壁面に光隠蔽層が形成される。
【0027】
すなわち、熱可塑性樹脂であれば発泡が避けられず、彫り込み部52に明瞭な縁を得ることができないが、キートップ50は熱硬化性樹脂であるため縁が明瞭な彫り込み部52を得ることができる。また、キートップ50は平均粒径がレーザー光の波長以下のアセチレンブラック等を含有するため、レーザー光を効率的に吸収でき、彫り込み部52を短時間で、かつ低エネルギで形成できる。さらに、キートップ50はレーザー光感応発色性着色剤90を含有し、レーザー光感応発色性着色剤90はレーザー光の照射で破砕層92が破滅して顔料の凝集粒子91が露呈し、彫り込み部52の壁面に光隠蔽層(図示せず)を形成する。
【0028】
この後、図3bに示すように、複数のキートップ50を位置決め治具により所定の位置に固定し、キートップ50の彫り込み部52にスクリーン印刷機79によりインクを充填する。スクリーン印刷機79は、枠79aに張設されたスクリーン79b上にスキージ79cを設けてなる周知のもので、スクリーン79bが300〜500本/インチ程度のメッシュ密度のポリエステル製版等からなるものを用いる。そして、乾燥炉等にキートップ50を収容し、彫り込み部52内のインクを乾燥、硬化させて着色表示部53を構成する。上述したレーザー光の照射時に用いる位置決め治具と印刷時に用いる位置決め治具は共用することが好ましい。
【0029】
また、周知のシリコーンゴム組成物を用いて射出成形等で基体40を成形する。そして、図3cに示すように、硬化後に基体40を治具78dにより固定し、基体40の表面に薄肉部42の中央部分を除いた領域に遮光性着色層43をスクリーン印刷機78により印刷形成する。シリコーンゴム組成物は透光性を有する周知のものを用い、また、遮光性着色層43の形成にはカーボンブラック等が配合されたインキを用いる。なお、スクリーン印刷機78は、上述したスクリーン印刷機79と基本的構成が同一であり、対応する部分に同一の添え字を付して説明を省略する。
【0030】
次に、図3dに示すように、基体40を接着治具45により固定し、基体40の薄肉部42の中央部分、すなわち、遮光性着色層43が形成されなかった部分に必要に応じてプライマ処理等を施した後、当該部分に透光性の接着剤49をスクリーン印刷機や刷毛等で塗布し、キートップ50を接着する。そして、このキートップ50が接着された基体40を乾燥炉等に投入し、接着剤49を硬化させてカバー部材30が完成する。なお、治具78dと治具45は共用することが好ましい。
【0031】
上述したように、カバー部材30は、彫り込み部52にインクを充填して文字等が形成されたキートップ50を基体40の薄肉部42に接着して製造される。そして、キートップ50は、レーザー光吸収粉体が添加された熱硬化性樹脂組成物を用いて成形した後、レーザー光を照射して彫り込み部52を形成するため、発泡することなく彫り込み部52を効率的に短時間で形成でき、明瞭に視認でき、かつ、美観にも優れた文字等が得られる。
【0032】
また、製造(完成)したカバー部材30は、キートップ50の彫り込み部52壁面に光隠蔽層が形成され、着色表示部53の色彩がキートップ50の地肌色の影響を受けることが無く、着色表示部53の色彩に優れたキートップ50が得られた。すなわち、キートップ50は、レーザー光感応発色性着色剤が配合された熱硬化性樹脂組成物を用いて成形した後にレーザー光を照射して彫り込み部52を形成し、彫り込み部52の壁面にはレーザー光照射により光隠蔽層が形成されるため、彫り込み部52に地肌色が現れることが無く、鮮明な色彩の着色表示部53が得られる。
【0033】
図4はこの発明の他の実施の形態にかかるカバー部材の製造方法にかかる製造工程をアルファベット順に示す模式図である。
なお、この実施の形態においては、上述した実施の形態と同一の部分には同一の番号を付して説明と図示を省略する。
【0034】
この実施の形態は、前述した実施の形態と同様に、基体40を透光性のシリコーンゴム組成物で、キートップ50をレーザー光吸収粉体とレーザー光感応発色性着色剤が配合された熱硬化性樹脂組成物で成形して接着剤49で接着、あるいは、キートップ50をインサートとするインサート成形で基体40を成形する。そして、図4aに示すように、キートップ50が固着された基体40に対して、キートップ50をマスキングキャップやマスキングテープを用いマスキングし、基体40の表面にスプレー塗装等で遮光性着色層43を形成する。
【0035】
次いで、図4bに示すように、基体40をレーザー加工用の位置決め治具48等で所定位置に固定し、キートップ50の天面にレーザー光を照射してキートップ50の天面に彫り込み部52を形成する。そして、この後に、図4cに示すように、基体40を位置決め治具79dに固定し、スクリーン印刷機79により彫り込み部52内にインクを充填して着色表示部53を形成し、カバー部材30が完成する。
【0036】
この実施の形態にあっても、キートップ50へのレーザーによる彫り込み部52の形成が効率的に、かつ、明瞭な輪郭で行え、また、レーザー光の照射により彫り込み部52の壁面に光隠蔽層が形成されるため着色表示部53の色彩がキートップ50の地肌色により影響を受けず、優れた美観が得られる。
【0037】
なお、この発明の対象は上述した実施例のカバー部材30に限定されるものではなく、図5a,b,cに示すようなカバー部材、また、キートップが機械的なスプリングにより付勢される押釦スイッチにも適用することができる。すなわち、図5aに示すカバー部材30は、レーザー光吸収粉体とレーザー光感応発色性着色剤が配合された熱硬化性樹脂組成物でキートップ50を成形し、この成形されたキートップ50の裏面にレーザー光を照射して彫り込み部52を形成してスクリーン印刷等でインキを充填し、この後に、キートップ50を基体40の薄肉部42に接着剤等で接着する。
【0038】
また、図5bに示すカバー部材30は、基体40がベース部41に薄肉のスカート部47を介して連続する柱状の可動凸部(薄肉部)51を一体に備え、この柱状の可動凸部51の天面にシート(板)状のキートップ50を固着する。このキートップ50も、レーザー光吸収粉体とレーザー光感応発色性着色剤が配合された熱硬化性樹脂組成物で成形され、接着剤やインサート成形等で基体40の可動凸部51天面に固着された後、あるいは、基体40に固着される前に、レーザー光照射により彫り込み部52が形成され、この彫り込み部52に着色剤を充填、硬化させて着色表示部53が形成される。
【0039】
さらに、図5cに示すカバー部材30は、キートップ50を一端閉止の有底筒状に形成し、基体40の可動凸部51に嵌着させる。この態様はその他が図5bに示すカバー部材30と同様である。
なお、図5b,cに示す態様においては、可動凸部51の天面を除く基体40の表面全面に遮光性着色層43を形成することも可能である。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、キートップを熱硬化性樹脂組成物から圧縮成形や射出成形等で成形し、このキートップにレーザー光を照射して文字や図形状の彫り込み部を形成し、この彫り込み部に着色剤を充填して着色表示部を構成するため、着色表示部が耐磨耗性に優れ、また、彫り込み部を明瞭な縁、すなわち、輪郭で形成でき、文字等の視認が容易で美観に優れたキートップが達成され、さらに、キートップの成形金型に微細な加工が不要であり、成形金型の製作コストを低減でき、また、成形金型の耐久性も改善できる。
【0041】
特に、の発明は、レーザー光吸収粉体が配合された熱硬化性樹脂組成物からキートップを成形するため、レーザーによる彫り込み部の成形を効率的、かつ、短時間で行え、また、彫り込み部の縁をより明瞭に形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一の実施の形態にかかる製造方法により製造された押釦スイッチ用カバー部材の模式断面図である。
【図2】同製造方法に用いる熱硬化性樹脂組成物に用いるレーザー光感応発色性着色剤の模式断面図である。
【図3】同製造方法の製造工程をアルファベット順に示す模式図である。
【図4】この発明の他の実施の形態にかかる製造方法の製造工程をアルファベット順に示す模式断面図である。
【図5】(a)、(b)、(c)は、この発明にかかる製造方法により製造される押釦スイッチ用カバー部材の各別の態様を示す模式断面図である。
【符号の説明】
10 回路基板
20 クリック板
30 カバー部材
40 基体
41 ベース部
42 薄肉部(可動部)
43 遮光性着色層
47 スカート部
49 接着剤
50 キートップ
51 可動凸部(可動部)
52 彫り込み部
53 着色表示部
61 レーザー光照射器
62 マスク

Claims (4)

  1. 押釦スイッチのキートップをレーザー光吸収粉体とレーザ−光感応発色性顔料を配合した熱硬化性樹脂から成形し、該キートップにレーザー光を照射して記号・図形等の彫り込み部を形成するとともに該彫り込み部の内壁面に光隠蔽層を形成し、該彫り込み部に着色組成物を充填、硬化させて着色表示部を形成することを特徴とする押釦スイッチの彫り込み文字形成方法。
  2. ゴム組成物でベース部および該ベース部に対して変位可能な可動部を有する基体を一体成形し、該基体の可動部に硬質樹脂のキートップを固着した押釦スイッチ用カバー部材の製造方法において、前記キートップをレーザー光吸収粉体とレーザ−光感応発色性顔料を配合した熱硬化性樹脂組成物から成形するとともに、該キートップにレーザー光を照射して記号・図形状の彫り込み部を形成するとともに該彫り込み部の内壁面に光隠蔽層を形成し、該彫り込み部に着色組成物を充填、硬化させて着色表示部を形成した後、キートップを前記基体の可動部に固着することを特徴とする押釦スイッチ用カバー部材の製造方法。
  3. ゴム組成物でベース部および該ベース部に対して変位可能な可動部を有する基体を一体成形し、該基体の可動部に硬質樹脂のキートップを固着した押釦スイッチ用カバー部材の製造方法において、前記キートップをレーザー光吸収粉体とレーザ−光感応発色性顔料を配合した熱硬化性樹脂組成物から成形し、該キートップを前記基体の可動部に固着し、該基体に固着されたキートップにレーザー光を照射して記号・図形状の彫り込み部を形成するとともに該彫り込み部の内壁面に光隠蔽層を形成し、該彫り込み部に着色組成物を充填、硬化させて着色表示部を形成することを特徴とする押釦スイッチ用カバー部材の製造方法。
  4. 前記基体を透光性のゴム組成物から、前記キートップを透光性の熱硬化性樹脂組成物から成形するとともに、前記基体の一面に可動部の少なくとも前記彫り込み部と対面する部分を除いて光遮蔽層を形成し、該光遮蔽層を形成した後に前記キートップを前記基体の可動部に固着することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の押釦スイッチ用カバー部材の製造方法。
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