JP3959740B2 - プロジェクタおよび画像補正方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、その設置自由度の向上を図るために、スクリーン上の投影像の歪みを調整するための機能を有したプロジェクタ、およびそのプロジェクタにおける画像補正方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、光源からの光をライトバルブまたは表示パネルと呼ばれる光変調手段によって強度変調し、その変調光を投射レンズを介してスクリーンに投射することにより、映像を表示するようにした投射型の表示装置(プロジェクタ)が知られている。このプロジェクタにおける投射方式には、スクリーンの前面側より映像を投射する前面投射方式(フロント式)と背面側より映像を投射する背面投射方式(リア式)とがある。ライトバルブとしては、例えば、液晶表示パネル(LCD;Liquid Crystal Display)またはDMD(Digital Micromirror Device)などが用いられている。
【0003】
このようなプロジェクタにおいては、その設置状態に応じて、スクリーンに投射される投影像に歪みが生じてしまうという問題がある。この投影像の歪みは、“幾何学歪”または“光学歪”などと呼ばれる。以下、この設置状態に起因する投影像の歪みについて簡単に説明する。
【0004】
図18(A)に示したように、プロジェクタ111を、スクリーン110の正面に配置し、その投射レンズ112の光軸Laとスクリーン面上の法線L0とを一致させた状態であれば、設置状態に起因する投影像の歪みは発生しない。しかしながら、投射レンズ112の光軸Laとスクリーン面上の法線L0とにあおり角(打ち込み角)がある場合には、歪みが発生する。すなわち、例えば、図18(B)に示したように、プロジェクタ111を、スクリーン110に対して垂直y方向に傾けて配置することにより、投射レンズ112の光軸Laとスクリーン面上の法線L0とに垂直あおり角βがある場合には、方形(四角形)状の画像(図19(A))が台形状(図19(B))に歪んでしまうこととなる。このような歪みは、台形歪またはキーストン歪などと呼ばれている。またこのとき、画像の中心位置P0から上下端までの長さが、理想の表示状態では共にh1であったとすると(図19(A))、それが垂直あおり角βがある場合には、上下で異なる長さh2,h3になってしまうこととなる。これは、リニアリティ歪と呼ばれるものに相当する。
【0005】
投射レンズ112の光軸Laとスクリーン面上の法線L0とに水平方向のあおり角があるような設置状態でも、歪みの方向が異なるだけで、垂直あおり角βがある場合と同様の歪みが発生する。このほか、垂直、水平の両方にあおり角がある場合には、スキュー歪と呼ばれる歪みも発生する。また、スクリーン110が平面スクリーン以外のものである場合(球面スクリーンなど)には、他の歪みも発生する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特に、家庭向けのプロジェクタなどでは、床置きで使用されたり、テーブルなどに置かれて使用されたりと様々な設置状態で使用されることが想定され、それに応じて上述の種々の画像の歪みが生じてしまう。ところで、従来においても、スクリーン上での投影像の位置については、調整を行うことが可能である。すなわち、設置状態に応じて投影像が適切な位置で観察されるように、例えば、投射レンズの光軸に対して表示パネルの中心位置をその光軸と垂直な面内に下側にオフセットして、スクリーンに投影される画像の位置を上側にずらすことが行われている。しかしながら、この場合、オフセットした表示パネル上の画像を、画欠けや光量の過度の低下なくスクリーンに投影するには、投射レンズの画角をそのオフセット量に応じてさらに広くする必要があり、投射レンズの設計難易度が増加する。これに伴い、投射レンズの各レンズエレメントの大型化や枚数増加が生じ、コストアップを招くおそれがある。
【0007】
従って、表示パネルのオフセットが可能な光学系を有するプロジェクタにおいても、アジャスタによりプロジェクタ全体を持ち上げるなどして、投射レンズの光軸のスクリーンに対する角度を調整し、所望の位置に画像を投影していた。この場合にも、投射レンズの光軸がスクリーンに対して傾斜していれば、すなわち、あおり角が生じていれば、上述のように投影像に幾何学歪が生じる。従来では、この幾何学歪を補正しないでそのまま投影するか、もしくは主として上下方向に発生する台形歪のみを、画像データ自体を調整することによって補正して投影していた。画像データの調整は、スクリーン上で生じる歪みとは逆方向の歪みを表示パネル上で生じさせるようにして行う。画像データを調整することにより表示パネル上に生じた歪みは、結果的に、スクリーン上で投影されるときにそのあおり角に応じて補正され、スクリーン上では歪みの無い投影像が得られる。
【0008】
しかしながら、これまでのプロジェクタ、特に表示パネルが固定画素となっている液晶プロジェクタなどでは、一般的に、上述の幾何学歪を垂直(上下)方向のあおり角に対する台形歪以外に調整することができなかった。すなわち、複数の幾何学歪を同時に調整することができなかった。従って、これまでの液晶プロジェクタなどの多くは、台形歪以外の幾何学歪が依然残っていることが多く、その使用者は、入力信号を忠実に再現した投影像を見ることが困難であった。
【0009】
一方、特にCRT(Cathode Ray Tube)プロジェクタでは、画像データの調整により、複数の幾何学歪に対応している場合が多い。しかしながら、CRTプロジェクタにおける補正では、複数の幾何学歪の各パラメータについて、それぞれ別々に調整して補正するような構成となっているため、使用者にとってはその調整操作が煩雑であり、またすべての幾何学歪を補正するのに長時間かかってしまうという問題がある。
【0010】
以上まとめると、従来のプロジェクタの多くは、一般的に、垂直方向にあおり角がある場合の幾何学歪のみを補正可能であり、垂直、水平方向の両方にあおり角がある場合に発生する複数の幾何学歪については同時に補正することができなかった。このため、良好な投影像を得るためには、その設置状態に制約が多くなり、設置自由度が少ないという問題があった。また、複数の幾何学歪を別々に補正可能なものもあるが、その調整作業には煩雑さを要していた。従って、設置状態に応じて発生する複数の幾何学歪を、煩雑な調整作業を要することなく、良好に補正することができるプロジェクタの開発が望まれるところである。
【0011】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、煩雑な調整作業を要することなく、あおり角に応じて発生する複数の幾何学歪を補正することを可能にし、設置自由度の向上を図ることができるプロジェクタおよび画像補正方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明によるプロジェクタは、光源と、画像を投射してスクリーン上に投影像を形成する投射手段と、光源から発せられた光を入力画像信号に基づいて変調し、投射手段によって投射される光学的な画像を形成すると共に、投射手段の光軸に対してその画像形成領域の中心位置がずれた状態で配置された光変調手段とを備えている。本発明によるプロジェクタは、さらに、スクリーン面に対し投射手段の光軸がなす異なる2方向のあおり角、投射手段の焦点距離、および光変調手段の画像形成領域の中心位置のずれ量に対応する複数のパラメータの値に基づいて、あおり角に対応して発生する投影像の幾何学歪が補正されるよう、入力画像信号に対して幾何学歪に応じた画像補正処理を施す補正手段を備えている。
【0013】
本発明による画像補正方法は、光源と、画像を投射してスクリーン上に投影像を形成する投射手段と、光源から発せられた光を入力画像信号に基づいて変調し、投射手段によって投射される光学的な画像を形成すると共に、投射手段の光軸に対してその画像形成領域の中心位置がずれた状態で配置された光変調手段とを備えたプロジェクタに適用されるものである。本発明による画像補正方法は、スクリーン面に対し投射手段の光軸がなす異なる2方向のあおり角、投射手段の焦点距離、および光変調手段の画像形成領域の中心位置のずれ量に対応する複数のパラメータの値に基づいて、あおり角に対応して発生する投影像の幾何学歪が補正されるよう、入力画像信号に対して幾何学歪に応じた画像補正処理を施すようにしたものである。
【0014】
本発明によるプロジェクタおよび画像補正方法では、あおり角に対応して発生する投影像の幾何学歪が補正されるよう、入力画像信号に対して幾何学歪に応じた画像補正処理が施される。この画像補正処理は、スクリーン面に対し投射手段の光軸がなす異なる2方向のあおり角、投射手段の焦点距離および光変調手段の画像形成領域の中心位置のずれ量に対応する複数の光学パラメータの値に基づいて行われる。これにより、あおり角に対応して発生する投影像の幾何学歪が一義的に補正されるので、所望の場所からの投射に伴う幾何学歪の調整が簡単になる。
【0015】
本発明によるプロジェクタおよび画像補正方法において、あおり角に対応して発生する投影像の幾何学歪に関する情報を視覚的に認識できるパターン映像として表示するようにしても良い。そして、そのパターン映像を、あおり角の値の入力に応じて、その入力値、焦点距離および光変調手段のずれ量に対応する複数のパラメータの値に基づき調整可能に表示し、パターン映像を調整することにより得られた複数のパラメータの値に基づいて、入力画像信号に対して幾何学歪に応じた画像補正処理を施すようにしても良い。これにより、視覚的で簡単な操作により、例えば台形歪、リニアリティ歪およびスキュー歪などが補正され、スクリーン上に良好な投影像が得られる。
【0016】
また、本発明によるプロジェクタおよび画像補正方法において、光変調手段のずれ量を表すオフセット値を、スクリーン側の座標系へと換算した換算オフセット値を演算し、その換算オフセット値を含む複数のパラメータの値に基づき、入力画像信号に対して幾何学歪に応じた画像補正処理を施すようにすることで、あおり角等の投射条件が変わっても換算オフセット値を基に、常に光変調手段のオフセット値に対応して投影像の幾何学歪が一義的に補正されるので、設置の自由度が向上すると共に、その投射条件に応じた幾何学歪の調整が容易になる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るプロジェクタの概略構成を、その設置状態の一例と共に示したものである。図1に示したように、本実施の形態に係るプロジェクタ2は、光源5と、この光源5からの光を入力画像信号に応じて変調し、光学的な画像を形成する表示パネル4と、この表示パネル4によって形成された光学像をスクリーン1に向けて投射する投射レンズ3とを備えている。投射レンズ3には、ズーム機能が搭載されている。光源5は、例えばメタルハライドランプによって構成されている。表示パネル4は、液晶表示パネルなどの固定画素のパネルで構成されている。
【0019】
このプロジェクタ2は、その投射レンズ3が、スクリーン1の法線L0に対し、垂直y0方向に角度βだけ傾斜した点P1から、さらに水平x0方向に角度ξだけ傾斜した点P2に位置するように配置されている。本実施の形態では、このような設置状態において、点P2とスクリーン1上の中心点P0とを結んだ線が、投射レンズ3の光軸Laであるものとする。角度βは、スクリーン1上の法線L0に対して、光軸Laがなす垂直y0方向の角度であるが、以下では、これを“垂直あおり角”と称する。一方、角度ξは、法線L0に対して、光軸Laがなす水平x0方向の角度であるが、以下では、これを“水平あおり角”と称する。
【0020】
なお、本実施の形態では、説明を簡単にするため、表示パネル4が、投射レンズ3の光軸Laに対してオフセットされていない状態であるものとする。すなわち、表示パネル4の中心軸は、投射レンズ3の光軸Laに対応した位置にあるものとする。もし、表示パネル4がオフセットされている場合には、スクリーン1の中心点P0にある画像が表示パネル4のオフセット量に対応して、その分シフトする。例えば、図1において、表示パネル4が下方向にオフセットしている場合には、表示パネル4上の画像中心に対応する点が、投射レンズ3を介して投影されることにより、点P0より上側に投影される。
【0021】
図2は、本プロジェクタ2の信号処理系の回路構成を示している。本実施の形態は、歪補正を行うための画像データの演算処理およびそれに伴う調整操作などに特徴部分がある。以下では、その特徴部分に係る構成を中心に説明する。
【0022】
このプロジェクタ2は、入力された画像データに対してA/D(アナログ/デジタル)変換処理を施すA/D変換部21と、このA/D変換部21によってデジタル信号に変換された画像データを記憶するフレームメモリ22と、フレームメモリ22に記憶された画像データに対して後述する所定の選択および演算処理を施す演算データ選択部23および演算部24とを備えている。このプロジェクタ2は、また、後述する歪補正用のメニュー画面(図5)などを表示するための画像合成処理を行う画像ミックス回路(図では「MIX」と記す。)29と、演算部24および画像ミックス回路29を介して出力されたデジタル画像データを、表示パネル4の図示しない駆動回路に適したアナログ画像データに変換するD/A(デジタル/アナログ)変換部25とを備えている。
【0023】
このプロジェクタ2は、また、入力された垂直同期信号V1と水平同期信号H1とに基づいて、それらの同期信号V1,H1に同期したクロック信号C1を発生するコントロール信号発生部26を備えている。このプロジェクタ2は、また、入力された同期信号V1,H1に同期して、出力画素数(表示パネル4の画素数)に応じた新たな垂直同期信号V2と水平同期信号H2とを発生する演算制御信号発生部27と、後述する画素変換に必要な演算係数をあらかじめ記憶する演算係数選択部28とを備えている。
【0024】
このプロジェクタ2は、さらに、バス20によって相互接続されたディスプレイコントローラ30、ROM(Read Only Memory)31、RAM(Random Access Memory)32およびシステムコントローラ33を備えている。このプロジェクタ2は、さらに、後述する歪補正用のメニュー画面などを遠隔操作するためのリモートコントローラ(リモコン)40と、このリモコン40からの送信信号を受信する受信回路35と、この受信回路35によって受信された信号をバス20を介して他の回路ブロックに伝達するためのインタフェース(以下、I/Fと記す。)34とを備えている。このプロジェクタ2は、また、投射レンズ3のズームポジションなどの情報をバス20を介して他の回路ブロックに伝達するためのI/F36を備えている。
【0025】
本プロジェクタ2において、フレームメモリ22、演算データ選択部23、演算部24、演算制御信号発生部27および演算係数選択部28は、歪み補正のための画素変換を行うための主要部であり、それら全体で画素変換部10を構成している。画素変換部10は、システムコントローラ33の制御下で、画素変換のための各種信号処理を行うようになっている。
【0026】
演算データ選択部23は、演算制御信号発生部27において発生された同期信号V2,H2に基づいて、フレームメモリ22に記憶されている画像データから、画素変換の演算に必要な画素データを適宜読み出し、演算部24に出力する機能を有している。この演算データ選択部23は、また、歪み補正に伴う画素変換をする際に用いる画素変換パターンを記憶する機能を有している。変換パターンは、システムコントローラ33によって演算データ選択部23に設定される。演算データ選択部23は、また、システムコントローラ33の制御下において、フレームメモリ22から読み出した画素データに対応する画素変換パターンを選択し、その選択した変換パターンのデータ(変換パターンの識別子)を演算係数選択部28に出力する機能を有している。
【0027】
演算係数選択部28は、画素変換に必要な演算係数の係数テーブルをあらかじめ保持している。この係数テーブルは、後述するように、演算データ選択部23から出力された変換パターンの識別子に対応付けられたものである。演算係数選択部28は、システムコントローラ33の制御下において、演算データ選択部23から出力された変換パターンの識別子に対応する画素変換に必要な演算係数(列)Uk,lを選択し、演算部24に出力する機能を有している。
【0028】
演算部24は、演算係数選択部28から出力された演算係数Uk,lと、演算データ選択部23から出力された画素データIk,lとを用いた画素変換を行うことで、歪み補正のなされた新たな画素データTi,jを生成して出力する機能を有している。
【0029】
ディスプレイコントローラ30は、例えば図4および図5に示したようなGUI(Graphical User Interface)環境による各種のメニュー画面を表示するグラフィック機能を有している。ディスプレイコントローラ30は、メニュー画面の表示を、システムコントローラ33の制御下において、リモコン40からの信号に基づいて行うようになっている。ディスプレイコントローラ30は、使用者が投影像の複数の幾何学歪に関する情報を、視覚的に認識できるようなパターン映像として表示するようになっている。このパターン映像は、例えば図5に示した格子状のパターン67である。
【0030】
ROM31は、読み取り専用のメモリであり、プロジェクタ2の各部の制御に係るプログラムデータなどをあらかじめ記憶している。例えば、スクリーン1上の座標位置と表示パネル4上の座標位置との対応関係を求めるためのプログラムや、設置状態によって決まる各種の光学パラメータおよび入力画像信号の各画素データなどを基に、演算データ選択部23に設定する変換パターンの決定を行うためのプログラムなどを記憶している。なお、設置状態によって決まる各種の光学パラメータには、後述するように、あおり角β,ξ、投射レンズ3の焦点距離fおよび倍率mなどがある。
【0031】
RAM32は、書き換え可能なメモリであり、プロジェクタ2の各部の制御に係るデータなどを記憶するようになっている。例えば、歪み補正のための調整処理を行う段階において、設置状態によって決まるあおり角β,ξ、投射レンズ3の焦点距離fおよび倍率mなどの各種の光学パラメータが書き込まれ、記憶されるようになっている。
【0032】
システムコントローラ33は、CPU(Central Processing Unit)を含んで構成されている。システムコントローラ33は、本プロジェクタ2全体の制御を行うものであり、その制御は、主としてROM31に記憶されているプログラムに基づいて行われる。
【0033】
システムコントローラ33は、画素変換部10を制御し、図5に示す歪補正用画面での調整操作によって得られた複数の光学パラメータの値に基づいて、投影像の複数の幾何学歪が補正されるよう、入力画像信号に対して、複数の幾何学歪に応じた画像補正処理を施すようになっている。システムコントローラ33は、例えば、画素変換部10に対して、画素変換を行うための各種パラメータの設定を適用させる制御を行うと共に、設定したデータに基づいて画素変換処理を行わせ、その変換された画像信号を出力させる制御を行うようになっている。また、I/F34を介して得られたリモコン40からのメニューコントロール信号に基づいて、ディスプレイコントローラ30を制御して、各種のメニュー画面を表示させる制御なども行うようになっている。なお、図示せぬ通信回線を介して接続された歪補正演算用のパーソナルコンピュータにより、上述の光学パラメータに基づく幾何学歪に応じた画像補正処理を施しても良い。
【0034】
リモコン40は、図3に示したように、複数の操作ボタンを有して構成されている。リモコン40は、ディスプレイコントローラ30によって提供されるGUI環境下での各種メニュー画面の操作、選択手段としての役割を持っている。使用者は、このリモコン40を用いて歪み補正のための各種の設定、調整操作などを行うことができる。
【0035】
リモコン40の操作ボタンには、メニュー(MENU)ボタン41、上下左右キー42U,42D,42L,42R、エンター(Enter)キー43、リセット(RESET)キー47およびエスケープキー(ESC)48などがある。
【0036】
メニューボタン41は、例えば図4に示したようなメイン・メニュー画面50を表示させるときに操作される。上下左右キー42U,42D,42L,42Rは、メイン・メニュー画面50中のメニュー項目の選択や、歪補正メニュー60(図5)中の各種パラメータの調整操作などに用いられる。エンターキー43は、選択したメニュー項目に係る制御などを実行させるときに操作される。リセットキー47は、選択されている調整項目について、工場出荷状態の初期設定値に戻すために用いられる。エスケープキー48は、歪補正メニュー60の操作などを中断し、メイン・メニュー画面50に復帰したい場合に操作される。
【0037】
リモコン40の操作ボタンには、その他にも、入力画像信号の種類を切り替えるための切り替え制御ボタンがある。この切り替え制御ボタンには、コンポジット信号、S映像信号、およびRGB信号に対応した、ビデオコンポジット入力切り替え(VIDEO)ボタン44、S端子入力切り替え(S-VIDEO)ボタン45およびRGB入力切り替えボタン46などがある。本プロジェクタ2では、これらの切り替え制御ボタンにより、入力画像信号の種類が切り替えられた場合、メニューの各設定項目は、原則としてその切り替えに応じて、各入力画像信号に対して個別に設定されるようになっている。
【0038】
なお、本実施の形態において、ディスプレイコントローラ30が、本発明における「表示制御手段」の一具体例に対応する。また、主としてシステムコントローラ33および画素変換部10が、本発明における「補正手段」の一具体例に対応する。また、フレームメモリ22が、本発明における画素変換手段の「画像記憶手段」の一具体例に対応し、演算係数選択部28が、「係数記憶手段」の一具体例に対応する。
【0039】
次に、以上のように構成されたプロジェクタ2の作用、動作を説明する。
【0040】
入力画像信号として、パーソナルコンピュータ、またはビデオ機器などの画像出力装置(図示せず)から出力された画像データは、A/D変換部21に入力され、そこでデジタル画像データに変換される。また、図示しない画像出力装置から出力された垂直同期信号V1および水平同期信号H1は、コントロール信号発生部26と演算制御信号発生部27とに入力される。コントロール信号発生部26は、入力された同期信号V1,H1に基づいて、それらに同期したクロック信号C1を発生し、A/D変換部21およびフレームメモリ22に供給する。
【0041】
A/D変換部21でのA/D変換処理およびフレームメモリへの画像データの書込みは、コントロール信号発生部26から供給されたクロック信号C1に基づいて行われる。A/D変換部21は、A/D変換されたデジタル画像データを記憶するフレームメモリ22に出力する。
【0042】
演算制御信号発生部27は、入力された同期信号V1,H1に同期して、表示パネル4の表示画素数に応じた新たな垂直同期信号V2と水平同期信号H2とを発生し、それらを、演算データ選択部23に供給する。
【0043】
演算データ選択部23は、演算制御信号発生部27から供給された同期信号V2,H2に基づいて、フレームメモリ22に記憶されている画像データから、画素変換の演算に必要な画素データを適宜読み出し、その画素データIk,lを演算部24に出力する。演算データ選択部23は、また、システムコントローラ33によって設定された変換パターンのデータに基づき、フレームメモリ22から読み出した画素のそれぞれに対応する変換パターンを選択し、その選択した変換パターンのデータ(変換パターンの識別子)を演算係数選択部28に出力する。
【0044】
演算係数選択部28は、また、システムコントローラ33の制御下において、あらかじめ自身が保持している演算係数の係数テーブルに基づき、演算データ選択部23から出力された変換パターンの識別子に対応する画素変換に必要な演算係数(列)Uk,lを選択し、その演算係数(列)Uk,lを演算部24に出力する。
【0045】
演算部24は、演算係数選択部28から出力された演算係数(列)Uk,lと、演算データ選択部23から出力された画素データIk,lとを用いて、画素変換を行うことで、歪み補正のなされた新たな画素データTi,jを生成する。演算部24で生成された新たな画素データTi,jは、画像ミックス回路29を介して、D/A変換部25に出力される。
【0046】
D/A変換部25は、画像ミックス回路29を介して演算部24から出力された画素変換済みのデジタル画像データを、アナログ画像データに変換し、表示パネル4に出力する。このようにして、1画素ずつ演算処理が行われ、繰り返されることにより、1画面を構成する画素数すべてのデータが出力され、補正画像が形成される。
【0047】
表示パネル4は、光源5からの光を、D/A変換部25からの信号に応じて変調することで、パネル面上に画像を形成する。表示パネル4上の画像は、投射レンズ3によってスクリーン1に向けて投射される。これにより、スクリーン1上に投影像が表示される。
【0048】
一方、ディスプレイコントローラ30は、I/F34を介して受光部35が受信したリモコン40からの信号に基づき、システムコントローラ33の制御下において、例えば図4および図5に示したようなGUI環境による各種のメニュー画面を表示する。使用者は、このディスプレイコントローラ30の機能によって提供されたGUI環境において、そのメニュー画面をリモコン40によって操作することで、例えば歪み補正のための光学パラメータの設定などを行う。メニュー画面を用いて設定された光学パラメータなどのデータは、システムコントローラ33の制御によって、RAM32に書き込まれ、記憶される。
【0049】
本実施の形態では、あおり角β,ξがある場合の投影像の歪みを、画像データ自体を調整することによって補正する。すなわち、画像データを調整し、スクリーン1上で生じる歪みとは逆方向の幾何学歪を表示パネル4上で生じさせる。表示パネル4上に生じた歪みは、結果的に、スクリーン1上で投影されるときにそのあおり角β,ξに応じて補正され、スクリーン1上では歪みの無い投影像が得られる。そこで、あおり角β,ξに応じて表示パネル4上にどのような形状の画像を表示すれば良いかについて考える必要がある。
【0050】
表示パネル4上で表示すべき画像を論ずるためには、スクリーン1上の座標位置と表示パネル4上の座標位置との対応関係を定義しておく必要がある。そこで、まず、スクリーン面上の座標系の定義を行う。図1に示したように、スクリーン面上の中心点P0を通る法線L0をz0軸、中心点P0を通りスクリーン面内で互いに直交する水平、垂直方向の軸をそれぞれx0軸、y0軸とする。このx0y0z0座標系におけるスクリーン面上の点Psの座標を(H,V,S)とする。ただし、Sはスクリーン1が球面や円筒面であった場合のz0軸方向への高さであり、平面スクリーンにおいてはゼロである。すなわち、平面スクリーンでは、点Psの座標は(H,V,0)となる。
【0051】
ここで、図13に示したように、投射レンズ3の光軸Laをz軸とし、z軸に直交する面内での互いに直交する水平、垂直方向の軸をそれぞれx軸、y軸とする。
【0052】
次に、図1に示したように、プロジェクタ2が、スクリーン1の法線L0に対し、y0軸方向に垂直あおり角βだけ傾斜し、次に、x0軸方向に水平あおり角度ξだけ傾斜するようにして配置された場合において、スクリーン面上の点Psがxyz座標系から見てどのように表せるかについて考える。このような手順でプロジェクタ2が配置されることは、光軸Laを基準として考えると、スクリーン1上の点Psがxyz座標系からx0y0z0座標系へと変換されたことに相当する。この場合、xyz座標系からx0y0z0座標系への変換は、まず、x軸を回転軸としてxy平面を角度βだけ回転し、次に、その結果得られたx'y'平面を、β回転後のy’軸を回転軸として角度ξだけ回転することと等価である。すなわち、β,ξ回転後のx''y''平面が、スクリーン1のx0y0平面に相当する。この座標変換は、いわゆるオイラー変換であり、xyz座標系における点Psの座標を(X,Y,Z)とすると、次の関係式(1)が成立する。
【0053】
【数1】
【0054】
次に、図14を参照して、スクリーン面上の点Psと共役な関係にある表示パネル4上の点Pcの座標が、投射レンズ3の光学系を考慮してどのように表せるかについて考える。表示パネル4は、投射レンズ3の光軸Laに対し、光学的に直交配置されているものとする。また、投射レンズ3の側から見た表示パネル4上の光軸Laとの交点をPc0とし、それを表示パネル4上での原点とする。図14中のPP1は、投射レンズ3の第1主点、PP2は投射レンズ3の第2主点である。また、第1主点PP1から表示パネル4までの光軸上の距離をAl、第2主点PP2からスクリーン1までの光軸上の距離をBlとする。距離Al,Blが光軸上の共役な関係、すなわち結像関係にある場合、投射レンズ3の焦点距離をf、倍率をmとすると、それらには以下の関係式(2)((2A),(2B),(2C))が成り立つ。
【0055】
【数2】
【0056】
ところで、投射レンズ3の光学系が、投影倍率が変動してもディストーションが十分に補正されている場合、表示パネル4上の点Pcと投射レンズ3の第1主点PP1とを結んだ線が光軸Laとなす角θは、スクリーン面上の点Psと投射レンズ3の第2主点PP2とを結んだ線が光軸Laとなす角と等しくなる。従って、表示パネル4を投射レンズ3の側から見たときの点Pcの座標を(Hc,Vc,0)とすると、上述の式(1),(2)を鑑みて、次の関係式(3)((3A),(3B),(3C))が成り立つ。ここにm’は点Pcにおける実質的な倍率に対応する。
【0057】
【数3】
【0058】
これらの式(3A),(3B),(3C)から、Hc,Vcは、以下の数式(4)((4A),(4B))によって求めることができる。
【0059】
【数4】
【0060】
次に、以上のように座標系を定義したときに、あおり角β,ξに応じて投影像の歪みを補正するためには、表示パネル4上にどのような形状の画像を表示すれば良いかについて具体的に説明する。以下の説明では、スクリーン1上に方形(四角形)状の画像を表示することを考える。
【0061】
まず、図15を参照して、平面スクリーン(すなわちS=0)上に、垂直あおり角βで画像が投射される場合(水平あおり角ξ=0)において、表示パネル4上で表示すべき画像について述べる。垂直あおり角βがある場合、既に図19(B)に示したように、スクリーン1上では台形状の幾何学歪が発生する。この幾何学歪を補正するためには、表示パネル4上の画像が投射レンズ3を介することにより、上下反転して投影されることを考慮すると、結果的に、例えば図15に示した形状の画像を表示パネル4上に表示すれば良い。
【0062】
ここで、スクリーン1上の画像の4隅の点の座標を、左上、右上、左下および右下について、それぞれ(−Hs,Vs,0),(Hs,Vs,0),(−Hs,−Vs,0),(Hs,−Vs,0)とすると、上述の数式(4)から、それら4隅の点に対応する表示パネル面上の座標が求められる。このとき、表示パネル面上での座標点を、図15に示したように、P'i,jの形式で表し、また、hp=Hs/m、vp=Vs/mとすると、以下の式(5)((5A),(5B))が求められる。図15からも分かるように、式(5A)のP'-1,-1P'1,-1は、表示パネル面上の画像の底辺の長さであり、式(5B)のP'-1,1P'1,1は、上辺の長さである。
【0063】
【数5】
【0064】
スクリーン1上に方形状の画像を投射するには、表示パネル面上において上下の横方向の長さを式(5)に従って変える必要がある。すなわち、スクリーン1上で上下の横方向の長さが等しくなるように、表示パネル面上の画像を式(5)に従って変えてやれば良い。これは台形歪を補正することに対応する。
【0065】
また、表示パネル面上の画像の縦方向の長さについては、以下の式(6)((6A),(6B))が成り立つ。図15からも分かるように、式(6A)のP'0,0P'0,-1は、表示パネル面上の画像の中心点P'0,0から底辺までの長さであり、式(6B)のP'0,0P'0,1は、中心点P'0,0から上辺までの長さである。
【0066】
【数6】
【0067】
垂直あおり角βで画像が投射される場合において、理想の画像を表示するためには、上述の上下の横方向の長さに加えて、さらに、表示パネル面上での中心点P'0,0からの上下方向の長さを式(6)に従って変える必要がある。すなわち、スクリーン1上における画像中心から上下までの長さが等しくなるように、表示パネル面上の画像を式(6)に従って変えてやることが必要となる。これはリニアリティ歪を補正することに対応する。
【0068】
以上のようにして、投射レンズ3の焦点距離f、光軸La近傍における倍率m、垂直あおり角βに関する光学パラメータの情報から、表示パネル4上の画像を、式(5),(6)に基づいて補正することにより、結果的に、スクリーン1上において台形歪とリニアリティ歪とが補正され、原信号に忠実な方形状の投影像を得ることができる。
【0069】
次に、図16を参照して、平面スクリーン(すなわちS=0)上に、水平あおり角ξで画像が投射される場合(垂直あおり角β=0)において、表示パネル4上で表示すべき画像について述べる。水平あおり角ξがある場合にも、歪みの方向は異なるものの、垂直あおり角βがある場合と同様に、台形歪とリニアリティ歪とが発生する。
【0070】
スクリーン1上の画像の4隅の点の座標を、上述の式(5)を求めた場合と同様に定義し、また、hp=Hs/m、vp=Vs/mとすると、上述の数式(4)から、以下の式(7)((7A),(7B))が求められる。図16からも分かるように、式(7A)のP'h-1,-1P'h-1,1は、表示パネル面上の画像の左辺の長さであり、式(7B)のP'h1,-1P'h1,1は、右辺の長さである。表示パネル面上の画像を式(7)に従って変えることは台形歪を補正することに対応する。
【0071】
【数7】
【0072】
また、表示パネル面上の画像の横方向の長さについては、以下の式(8)((8A),(8B))が成り立つ。図16からも分かるように、式(8A)のP'h0,0P'h-1,0は、表示パネル面上の画像の中心点P'h0,0から左辺までの長さであり、式(8B)のP'h0,0P'h1,0は、中心点P'h0,0から右辺までの長さである。表示パネル面上の画像を式(8)に従って変えることはリニアリティ歪を補正することに対応する。
【0073】
【数8】
【0074】
以上のようにして、投射レンズ3の焦点距離f、光軸La近傍における倍率m、垂直あおり角βに関する光学パラメータの情報から、表示パネル4上の画像を、式(7),(8)に基づいて補正することにより、結果的に、スクリーン1上において台形歪とリニアリティ歪とが補正され、原信号に忠実な方形状の投影像を得ることができる。
【0075】
次に、図17を参照して、平面スクリーン(すなわちS=0)上に、垂直あおり角βと共に、水平あおり角ξで画像が投射される場合において、表示パネル4上で表示すべき画像について述べる。垂直あおり角βと水平あおり角ξとがある場合、台形歪およびリニアリティ歪の他に、左右方向に画像が傾斜する歪(スキュー歪)が発生する。
【0076】
図17は、これらの幾何学歪を補正するために表示パネル4上に表示すべき画像の例を示している。この場合にも、上述の図15および図16の場合と同様に、数式(4)に基づいて、スクリーン1上の座標と表示パネル4上の座標との対応関係を求め、表示パネル4上に表示する画像の補正を行えば良い。すなわち、この場合にも、投射レンズ3の焦点距離f、光軸La近傍における倍率m、垂直あおり角βに関する光学パラメータの情報から、表示パネル4上の画像を、数式(4)に基づいて補正することにより、結果的に、スクリーン1上において台形歪とリニアリティ歪と共にスキュー歪が補正され、原信号に忠実な方形状の投影像を得ることができる。
【0077】
なお、図17において、点線で示した方形画像4Aは、垂直あおり角βと水平あおり角ξとが、共にゼロ(β=0、ξ=0)の状態において、倍率mで投射したときの表示パネル面上の画サイズを示す。表示パネル面上の画像を、所定の倍率mにおいて所定のスクリーンサイズで拡大投影することは、スクリーン1上の画像を所定の縮小率で表示パネル面上に縮小して表示することに対応する。すなわち、点線で示した方形画像4Aの状態を基準として垂直あおり角βと水平あおり角ξとにより上述の各種の幾何学歪が発生する。
【0078】
なお、以上では、スクリーン1が平面である場合について述べたが、スクリーン1が平面以外のものである場合には、他の種類の幾何学歪が発生する。例えば球面スクリーン(S<0またはS>0)の場合には、ピンクッション歪が発生する。球面スクリーンの場合には、また、あおり角に応じてボウ歪が発生する。この場合にも、平面スクリーンのときと同様に、その幾何学歪に合わせて表示パネル面上の画像を補正することで、スクリーン1上に所望の投影像を得ることができる。
【0079】
ここで垂直方向のあおり角βのみに対する従来の歪補正と、垂直方向および水平方向のあおり角β,ξを同時に補正する本実施の形態の歪補正との差異について述べる。垂直方向のあおり角βのみの場合に発生する台形歪は式(5)に従うが、その歪は台形歪に寄与する係数(sinβ/Al)を1つのパラメータとして調整すれば補正可能である。その結果、焦点距離fが異なり距離Alが変化した場合の影響は式(6)の分子の係数cosβに現れるが、これは縦横の比率が若干変化するのみであるから、視覚上の違和感は少なく、さらに縦方向の画サイズ調整等の機能があればその縦横の比率も補正できる。従って焦点距離のパラメータを考慮しなくても補正が可能である。水平方向のあおり角ξのみの歪補正も式(7)および式(8)により同様である。
【0080】
一方、垂直方向および水平方向の異なる2方向のあおり角β,ξを同時に補正する本実施の形態の歪補正では、あおり角β,ξに対応するパラメータに加え、距離Alすなわち焦点距離fに対応するパラメータを与えることにより、式(4)による歪補正が可能となり、異なる2方向のあおり角β,ξによる幾何学歪の一義的な補正が実現できる。
【0081】
さて、以上のようにして、表示パネル4上で表示すべき補正画像の形状を演算することができるわけであるが、その演算を行うためには、プロジェクタ2の設置状態に応じた光学パラメータの情報が必要となる。本プロジェクタ2では、この光学パラメータの情報を取得するために、以下のような設定処理を行う。
【0082】
光学パラメータの初期設定は、ディスプレイコントローラ30の機能によって提供されたGUI環境によるメニュー画面を、使用者がリモコン40によって操作することにより行われる。
【0083】
リモコン40のメニューボタン41を押したときには、例えば図4に示したようなメイン・メニュー画面50が表示される。図示したように、メイン・メニュー画面50には、「画質」、「音声」および「歪補正」など、各種の設定項目が設けられている。各設定項目の選択は、上下キー42U,42Dによって行うことができる。さて、メイン・メニュー画面50において、使用者により「歪補正」の項目51が選択され、エンターキー43が押されると、歪補正モードになり、ディスプレイコントローラ30の機能によって、図5に示したような歪補正用画面が表示される。
【0084】
図5に示したように、歪補正用画面には、歪補正メニュー60と格子パターン67とが表示される。歪補正メニュー60には、歪補正のための各種設定項目が設けられている。格子パターン67は、使用者が直感的、視覚的に現在の幾何学歪の状態を認識できるようにするために設けられている。図5では、歪補正メニュー60が画面中央に表示されているが、その表示位置は特に限定されるものではない。画面周辺の外枠68は、表示パネル面上の最大画枠に相当する。格子パターン67と外枠68との間は、例えば黒表示となっている。図5は、歪補正のなされていない初期状態での画面なので、あおり角β,ξのある投影状態では、スクリーン1上で幾何学歪が発生している。格子パターン67は、その幾何学歪に対応した形状で表示される。格子パターン67の形状は、歪補正メニュー60を用いた各種光学パラメータの値の入力に応じて調整可能となっている。
【0085】
歪補正メニュー60には、複数の設定項目61〜66が設けられている。このうち、設定項目61は、垂直あおり角βを調整するときに選択される。設定項目62は、水平あおり角ξを調整するときに選択される。設定項目63,64は、パネル面上における有効画面の上下サイズおよび左右サイズを調整するとき、すなわち、スクリーン1上での画サイズを調整するときに選択される。設定項目65は、投射距離、すなわち、プロジェクタ2からスクリーン1までの距離を入力設定するときに選択される。設定項目66は、焦点距離fを入力設定するときに選択される。使用者は、これらの設定項目の選択を、リモコン40の上下キー42U,42Dによって行うことができる。また、各設定項目のパラメータ値の入力、調整は、左右キー42L,42Rによって行うことができる。
【0086】
なお、設定項目66における焦点距離fの値は、投射レンズ3のズーム位置の情報などから、システムコントローラ33が自動的に求めて表示するようにしても良い。すなわち、あらかじめROM31に記憶されている焦点距離演算用のプログラムに基づいて、システムコントローラ33が、I/F36(図2)を介して得られた投射レンズ3のズーム位置の情報などから、補間計算により自動的に焦点距離fを算出するようにしても良い。また、後述するが、パネル4上の画像をスクリーンサイズに拡大投影する倍率mが大きい場合は、距離Alは焦点距離fで近似でき、投射距離Dの入力は不要となり、あおり角β,ξの入力値と焦点距離情報とから調整できる。
【0087】
システムコントローラ33は、歪補正メニュー60の設定項目から得られた投射距離および焦点距離fの情報から、例えば数式(4)における倍率m、光学パラメータAl,Blを求めることができる。
【0088】
使用者は、歪補正メニュー60の各設定項目を調整することにより、格子パターン67の歪補正を行う。システムコントローラ33は、歪補正メニュー60の設定項目の調整操作が行われると、上述の数式(4)に基づいてその設定項目に対応した幾何学歪を計算し、その計算結果を格子パターン67の表示にリアルタイムで反映させる制御を行う。
【0089】
図6は、図5の初期状態から、使用者が歪補正メニュー60を用いて、格子パターン67の幾何学歪を補正した状態を示す。格子パターン67の調整は、例えば以下のような手順で行われる。
【0090】
使用者は、まず、投射レンズ3のズーム調整を行って、設定項目66の焦点距離fを所定の値とし、次に、設定項目65の投射距離を入力する。次に、例えば設定項目61を選択し、リモコン40の左右キー42L、42Rを操作することで垂直あおり角βの値を、格子パターン67の縦ラインがほぼ平行になるように調整する。すなわち、垂直あおり角βに基づく台形歪を調整する。次に、例えば設定項目62を選択し、リモコン40の左右キー42L、42Rを操作することで水平あおり角ξの値を、格子パターン67の横ラインがほぼ平行になるように調整する。すなわち、水平あおり角ξに基づく台形歪を調整する。あおり角β,ξによって生ずる台形歪を補正する演算は、既に図15〜図17を用いて説明したとおりである。その後、例えば設定項目63,64を選択し、リモコン40の左右キー42L、42Rを操作することで、例えばスクリーン1の枠と格子パターン67とが略同じサイズになるように調整する。
【0091】
以上のようにして、格子パターン67が歪みの無い状態となれば光学パラメータ設定のための調整は完了である。使用者は、格子パターン67の調整が完了した場合には、リモコン40のエンターキー43を押す。システムコントローラ33は、エンターキー43が押されると、その歪補正の計算を実際の入力画像信号に適用する処理(画素変換処理)を行う。
【0092】
以上のように、GUI環境による簡単な操作で、現在の設置状態に対応する倍率m、焦点距離f、およびあおり角β,ξの条件が設定される。その後、その設定に基づいて、後述する画素変換に必要な補正係数を決定する処理が行われる。
【0093】
ところで、図5および図6に示した歪補正用画面は、あくまで入力画像に対する補正の前段階として行われるものであり、図6に示したように格子パターン67の調整が行われたからといって、この段階では、まだ入力画像に対する画素変換処理は行われていない。すなわち、歪補正用画面の表示および格子パターン67の調整には、画素変換部10は関わっていない。信号の流れとしては、ディスプレイコントローラ30が、システムコントローラ33の制御下でROM31に格納された歪補正用のプログラムに従って、画素変換部10を介することなく画像ミックス回路29にメニュー表示信号を出力している。画素変換部10での画素変換処理は、以上の設定条件に基づいて、後述のように別途行われる。ただし、図2に示した各回路ブロックに処理速度の高速なデバイスを使用することで、リモコン40による調整操作と画素変換処理とをほぼリアルタイムに並行して行うことも、もちろん可能である。
【0094】
本プロジェクタ2における歪補正に関わる処理の大まかな手順は、図7に示したとおりである。まず、上述したように、システムコントローラ33は、使用者による歪補正用のメニュー画面(歪補正メニュー60)を用いた歪補正用の光学パラメータの入力、設定を受け付ける(ステップS1)。
【0095】
次に、システムコントローラ33は、演算データ選択部23および演算係数選択部28などを制御し、設定された光学パラメータに基づいて、後述する変換パターンを特定し、画素変換のための演算係数を決定する(ステップS2)。次に、システムコントローラ33は、演算部24を制御し、決定された演算係数を用いて画素変換を行う(ステップS3)。システムコントローラ33は、このように画素変換のなされた画像データに基づいて、表示パネル4に、画像表示を行わせる(ステップS4)。
【0096】
上述したように、本実施の形態では、幾何学歪を補正するために、スクリーン1上で生じる歪みとは逆方向の幾何学歪を表示パネル4上で生じさせる。すなわち、入力画像を幾何学歪に応じて変形させるのだが、この場合、表示パネル4上に表示される補正画像の各画素位置と、本来の入力画像(原画像)の各画素位置とには、位置ずれが発生することになる。従って、補正画像の各画素の画素値を求める処理が必要となる。具体的には、入力画素と補正画像の画素との対応関係を求め、その対応関係に基づいて決定された演算係数Uk,lを用いて、適宜入力画素に重み付けを行って新たな画素値を求めることになる。以下、この新たな画素値を求める処理について説明する。
【0097】
図8は、画素変換部10において、画素変換に用いられる演算係数Uk,lを決定するための演算処理のアルゴリズムの一例を示している。このアルゴリズムを実現するためのプログラムは、あらかじめROM31に記憶されている。以下では、スクリーン1が平面スクリーン、すなわち式(3)においてS=0の場合について述べる。まず画素の対応関係を示す変換式を説明し、その後に図8のアルゴリズムを説明する。式(3)においてS=0とすれば、スクリーン1上のx0,y0座標H,Vに関して、以下のような連立方程式(9)((9A),(9B),(9C))が成り立つ。
【0098】
【数9】
【0099】
連立方程式(9A),(9B),(9C)を解くと、次の式(10)((10A),(10B))が得られ、表示パネル4上の所定の座標Hc,Vcに対応するスクリーン1上の座標点が求められる。
【0100】
【数10】
【0101】
h,vは、方形に調整されたスクリーン1上の座標点H,Vを、中心倍率m0で割ったもの(以下、「正規化されたスクリーン座標」という。)であり、あおり角β,ξがゼロの直投状態での表示パネル4上の表示エリアに対応する。従って、表示したいスクリーンサイズに対応する表示パネル4上の表示エリアを設定すれば、その表示エリアの外は実際のスクリーン1において非表示エリアになる。
【0102】
さて、図8に戻って説明すると、まず、システムコントローラ33は、画素値を求めようとしている表示パネル4上の各画素(i,j)について、その画素の4隅の座標(パネル中心をゼロとする。)を求める(ステップS11)。次に、システムコントローラ33は、上述の式(10)により、画素(i,j)の4隅に対応する正規化されたスクリーン座標を求め(ステップS12)、それら4隅の座標が、あらかじめ設定された表示エリア内にあるか否かを判断する(ステップS13)。
【0103】
4隅の座標すべてが表示エリア外であれば(ステップS13;N)、スクリーン1の外側になるので、システムコントローラ33は、その画素については黒表示にする設定を行う(ステップS14)。すなわち、画素値を黒レベルにする設定を行う。例えば、演算係数Uk,lをすべてゼロにする。その後、ステップS18の処理に進む。
【0104】
一方、4隅の座標のいずれか1つでも表示エリア内にある場合(ステップS13;Y)には、システムコントローラ33は、それら4隅の座標に基づき、画素(i,j)と水平および垂直方向における入力画素位置(入力画像信号のドット位置)との対応関係を求める(ステップS14)。すなわち、4隅の座標データを基に、画素(i,j)が入力画素に対して水平・垂直方向のどの位置に対応しているかを計算する。
【0105】
図9は、入力画像信号と画素(i,j)との対応関係を概念的に示したものである。図9では、入力画像信号の水平方向のドット位置(ドット番号)をK−1,K,K+1,…と表している。垂直方向のドット位置(ドット番号)はL−1,L,L+1,…で表している。画素(i,j)の4隅の座標点は、PA,PB,PC,PDとする。
【0106】
表示パネル4における入力画像信号の各ドットに対応する位置は、正規化されたスクリーン座標に対して設定された表示エリアを、入力画像信号の水平・垂直方向の信号ドット数(すなわち、画素数)で除算したピッチから求めることができる。これにより入力画像信号の各ドットが、画素(i,j)をどのように分割するかに関する分割データを得ることができる。
【0107】
ところで、例えば、入力画像信号の画素Iと表示パネル4上の補正画像の画素(i,j)とが、図10(A)に示したような位置関係にあるものとすると、画素(i,j)の値は、入力画像信号の複数の画素の組み合わせで求めることができることが分かる。すなわち、画素(i,j)に、入力画像信号の複数の画素がどのような割合で含まれているのかを知ることで、その画素値を求めることができる。このとき、画素(i,j)に含まれる入力画像信号の画素の特定と、その割合は、図9に示したように、入力画像信号の各ドットが、画素(i,j)をどのように分割するかによって決定される。なお、図10(A)では、画素(i,j)近傍での入力画像信号の画素Iとの対応関係を略一定尺度(スケール)の関係として模式的に示しているが、画素(i,j)の場所により、その位置関係は式(10)に従って変化している。すなわち、実際には図10(B)に示したように、画像補正後の入力画像の形状には幾何学歪に対応した歪みがあるので、各画素位置で、表示パネル4上の画素(i,j)との位置関係は歪みに応じて変化している。
【0108】
そこで、上述の水平、垂直方向の分割データに基づいて、1画素内での分割エリアSk,lを設定する。例えば、図9および図10(A)の例では、画素(i,j)には入力画像信号の画素が6つ含まれており、6つの分割エリアSK,L-1,SK+1,L-1,SK,L,SK+1,L,SK,L+1,SK+1,L+1が設定される。システムコントローラ33は、これら各分割エリアSk,lが占める画素(i,j)の全体の面積に対する面積比率を計算する(ステップS16)。この面積比率に基づいて、各分割エリアSk,lに対応する入力画像信号の各画素値(階調データ)に重み付けを施して合成することで、画素(i,j)の画素値が得られる。この面積比率は、演算係数Uk,lに対応する。このように、演算係数Uk,lは、補正画像の各画素内において、入力画像信号の各画素が占める面積比率のデータに基づいて決定される。
【0109】
本実施の形態では、各分割エリアSk,lとその面積比率とに関するデータをパターン化し、それを変換パターンとして演算データ選択部23に設定する。次に、この変換パターンについて説明する。本実施の形態では、図11に示したように、分割エリアSk,lを最大で9つ設定できるものとする(k=K,K+1,K+2、l=L−1,L,L+1)。すなわち、1つの画素(i,j)に対して、最大で入力画像信号の縦横3画素、合計9画素の合成ができるものとする。また、図12(A)に示したように、画素を所定ピッチで分割することによって最小分割単位uを設定する。図12(A)の例では、1画素内に、最小分割単位uが、縦8×横8=合計64個含まれている。そして、画素(i,j)における各分割エリアSk,lの面積比率は、最小分割単位uがその分割エリア内にいくつ含まれているかによって表すことができる。また、その含まれる分割エリアは、例えば各最小分割単位uに対応する入力画素点を式(10)に基づき求められる。
【0110】
図9および図10(A)の例に関して言えば、例えば図12(B)に示したように最小分割単位uの数が求められ、それが面積比率に対応する。すなわち、分割エリアSk,l(SK,L-1,SK+1,L-1,SK+2,L-1,SK,L,SK+1,L,SK+2,L,SK,L+1,SK+1,L+1,SK+2,L+1)の面積比率のパターン、すなわち、変換パターンは、(15,9,0,15,9,0,10,6,0)となる。面積比率の値は、1画素全体の面積を例えば1にするなどして、正規化して表しても良い。
【0111】
演算係数選択部28には、このような各分割エリアSk,l(SK,L-1,SK+1,L-1,SK+2,L-1,SK,L,SK+1,L,SK+2,L,SK,L+1,SK+1,L+1,SK+2,L+1)の面積比率の値に相当する演算係数(列)Uk,l(UK,L-1,UK+1,L-1,UK+2,L-1,UK,L,UK+1,L,UK+2,L,UK,L+1,UK+1,L+1,UK+2,L+1)が、係数テーブルとして、あらかじめ複数登録されている。また、各演算係数(列)には、識別子が割り振られており、その識別子を指定することにより、所望の演算係数(列)を特定できるようになっている。以下、この識別子を“変換パターンNO.”と称する。すなわち、演算係数選択部28には、「変換パターンNO.+(演算係数列)」の形式の係数テーブルが登録されている。
【0112】
システムコントローラ33は、画素(i,j)に関する分割データなどから、各画素を、どの変換パターンによって変換すれば良いかを特定する(ステップS17)。
【0113】
システムコントローラ33は、以上のようにして求められた画素(i,j)に関する変換パターンNO.と入力画像信号のドット位置のデータとを対応付けて、画素変換を行う際に参照される演算データ選択部23のメモリアドレスに書き込む(ステップS18)。本実施の形態においては、所定の画素に対応する変換パターンNO.と、例えば点PA(図9)に対応する入力画像信号のドット(K,L−1)のアドレスデータとを演算データ選択部23に書き込む。このような処理をすべての画素について行うことで、演算データ選択部23に対する設定、すなわち、各画素に対して行われる画素変換処理に必要な読み出し画素および変換パターンNO.の設定が完了する(ステップS19;Y)。
【0114】
なお、図8に示した演算処理において、実際の表示パネル4の周囲に表示状態が黒である仮想の画素を想定し、それを含めて計算するようにすると、画素端における境界判定を行う必要がなく演算処理が簡略化できる。
【0115】
以上の設定後の画素変換処理を、図2の各ブロックに対応付けて説明する。演算データ選択部23は、演算制御信号発生部27が発生した所定の画素アドレスに対応して書き込まれた入力画像信号のドットのアドレスに基づいて、フレームメモリ22に記憶されている画像データから、演算に必要な画素データIk,lを読み出し、演算部24に出力する。本実施の形態では、例えば入力画像信号のドット(K,L−1)のアドレスを始点として、それに連続する横3列、縦3行の9ドットに対応する画素データを読み出す。
【0116】
また、演算データ選択部23は、フレームメモリ22から読み出した画素データIk,lに対応する変換パターンNO.を選択し、その選択した変換パターンNO.のデータを演算係数選択部28に出力する。演算係数選択部28は、演算データ選択部23から出力された変換パターンNO.に対応する演算係数(列)Uk,lをあらかじめ保持している係数テーブルから選択し、演算部24に出力する。
【0117】
演算部24は、演算係数選択部28から出力された演算係数Uk,lと、演算データ選択部23から出力された画素データIk,lとを用いて、幾何学歪に対応する画素変換処理を行う。すなわち、読み出された画素データIk,lを(IK,L-1,IK+1,L-1,IK+2,L-1,IK,L,IK+1,L,IK+2,L,IK,L+1,IK+1,L+1,IK+2 ,L+1)、演算係数(列)Uk,lを(UK,L-1,UK+1,L-1,UK+2,L-1,UK,L,UK+1,L,UK+2,L,UK,L+1,UK+1,L+1,UK+2,L+1)としたとき、出力画素Ti,jのデータは、以下の式(11)で表される。
【0118】
【数11】
【0119】
以上の処理ステップを経て、幾何学歪を補正するための画像処理が完了する。なお、以上の説明では、9ドットの入力画素データによる演算を行う場合について述べたが、画素変換部10の処理スピードに応じて、上述の演算に使用される画素データの数はいくつにしても良い。また、演算部24が画素変換処理を行わず、直接演算データ選択部23から読み出された入力画素データを出力するようにしても良い。
【0120】
以上説明したように、本実施の形態に係るプロジェクタ2によれば、GUI環境による補正用画面(図5)において、複数の幾何学歪に関する情報を、視覚的に認識できるような格子パターン67によって表示すると共に、その格子パターン67を、焦点距離f、およびあおり角β,ξなどの複数の光学パラメータの値の入力に応じて調整可能に表示するようにしたので、幾何学歪を補正するための調整作業が容易になる。また、格子パターン67を調整することにより得られた複数の光学パラメータの値に基づいて、投影像の複数の幾何学歪が補正されるよう、入力画像信号に対して、複数の幾何学歪に応じた画像補正処理を施すようにしたので、あおり角β,ξに応じて発生する複数の幾何学歪を良好に補正することが可能となる。これにより、煩雑な調整作業を要することなく、あおり角β,ξに応じて発生する複数の幾何学歪を補正することを可能にし、設置自由度の向上を図ることができる。
【0121】
従って、本プロジェクタ2によれば、垂直、水平方向の両方にあおり角β,ξがある場合にも、簡単な調整操作でその幾何学歪を補正することができる。また、補正用画面を用いて設定された光学パラメータから、一義的に幾何学歪が補正されるので調整作業が簡略化できる。また、補正用画面に表示された格子パターン67の歪を調整することにより光学パラメータの設定を行うようにしたことで、台形歪に加えてリニアリティ歪など他の歪を連携して補正できるので、調整作業が直感的であると共に、その補正を容易に行うことができる。また、投射レンズ3などの光学部品の仕様(焦点距離fなど)に対応して、幾何学歪の演算が可能であり、異なる光学部品や光学系を有する機種に対しても、補正演算を間単に適用することができる。
【0122】
なお、本発明は、上記第1の実施の形態に限定されず種々の変形実施が可能である。例えば、以下のような他の実施形態を採用することも可能である。
【0123】
投射倍率mが大きな値のとき、その逆数は小さくなるので、各数式中のAl=f(1+1/m)は、焦点距離fで近似できる。その場合は、焦点距離fの情報があれば、倍率mを得るために必要な投射距離などのデータの設定や計測は不要となる。すなわち、式(10)の正規化されたスクリーン座標h=H/m0,v=V/m0を導入すれば、S=0の場合、数式(4)は、以下の数式(12)((12A),(12B))のようになり、(h,v)として適当な範囲を決めれば、投影される画サイズは設置条件により自動的に決まる。このため、幾何学歪の計算に倍率mの情報は不要となる。さらに、投射レンズ3が固定焦点レンズの場合には、焦点距離fを定数とすれば良い。数式(10)も同様である。
【0124】
【数12】
【0125】
また、画素変換処理の最終ステップにおいて、倍率による輝度レベルの補正を行えば、幾何学歪によって発生する輝度むらを解消することができる。すなわち、出力画素Ti,jに対応して、数式(9)および数式(10)により、m’i,j/m0を求め、Ti,j=(m’i,j/m0)2・Ti,jとする補正を行えば良い。ここで、m’i,jは、表示パネル面上の画素(i,j)の位置PA(図9参照)における局所的な倍率を表している。m’i,j/m0は、以下の式(13)で表される
【0126】
【数13】
【0127】
また、表示パネル4上の各画素の4隅の座標に基づき、画素(i,j)と水平および垂直方向における入力画素位置との対応関係を求める処理ステップ(図8参照)については次のように行うことも可能である。すなわち、所定の間隔の画素(i,j)について数式(10)により求められた入力画素位置との対応関係を基に、線形補間して各画素との対応関係を求めることもできる。これにより、このステップの演算処理を簡略化し、補正用の演算係数を求める処理を高速化できる。
【0128】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、以下では、上記第1の実施の形態と同様の部分については説明を省略する。
【0129】
本実施の形態は、スクリーン1が非平面スクリーンであると共に、表示パネル4の画像形成領域の中心位置が、投射レンズ3の光軸Laに対してずれた状態で(オフセットされて)配置されている場合における歪補正に対応するためのものである。非平面スクリーンとは、数式(4)におけるS≠0の項が存在する場合であり、例えば曲面スクリーンの場合である。また本実施の形態では、処理の簡略化のため、数式(4)のAl=f(1+1/m)は、焦点距離fで近似し、非平面スクリーンを扱う場合を含め正規化された歪の変換式を使用し、変換パターンのデータに基づく重み付け演算を行わない歪補正処理、すなわち実質的にフレームメモリ22から読み出された画素データを直接演算部24が表示パネル4に出力する場合について述べる。
【0130】
図20は、本実施の形態における歪補正用のメニュー画面の一例を示している。このメニュー画面には、上記第1の実施の形態におけるメニュー画面(図5)と同様、歪調整用の格子パターン67と歪補正メニュー60Aとが表示されている。このメニュー画面は、上記第1の実施の形態と同様、システムコントローラ33の制御下において、ディスプレイコントローラ30がリモコン40からの信号に応じて表示する。
【0131】
歪補正メニュー60Aは、例えばメニュー画面の中心部に表示されている。この歪補正メニュー60Aには、垂直あおり角βの調整項目61、水平あおり角ξの調整項目62、垂直サイズの調整項目63、および水平サイズの調整項目64に加え、曲面スクリーンなどの種類を示すスクリーンタイプの調整項目69、および曲面の形状を特定するスクリーン形状データ(例えば球面スクリーンの半径等)の調整項目70が設けられている。スクリーンタイプとしては、球面および円筒面などが選択設定できるようになっている。スクリーンタイプとスクリーン形状データとの調整項目69,70が設けられている点が本実施の形態の特徴部分の1つである。
【0132】
図21を参照して、上記メニュー画面上の格子パターン67を生成する処理について説明する。ここでは、正規化された歪の変換式として、次式(14)((14A),(14B))を導入する。
【0133】
【数14】
【0134】
h,vは正規化されたスクリーン上における投射レンズ3の光軸Laを基準とする座標点、Hc,Vcは表示パネル4上における投射レンズ3の光軸Laを基準とする座標点である。sはスクリーン1が曲面であることから発生する平面からの高さ方向のずれ(図24参照)を正規化したもので、例えば球面スクリーンの場合次のようになる。
s=rs−(rs2−h2−v2)1/2
【0135】
実際のスクリーン半径Rと正規化された球面スクリーンの半径rsとの関係は投射される中心倍率をm0とするとrs=R/m0となり、実際の高さ方向のずれSとの関係はs=S/m0となる。ただし歪調整の際はrsを調整用パラメータとして変動させ、目視にて最適に歪補正された状態にすることで調整が行われるので、中心倍率m0の情報は必要ない。
【0136】
投射レンズ3の光軸Laに対して表示パネル4の光学的な画像を形成する領域の中心のずれ量を示す垂直・水平方向の領域オフセット値をVoffc,Hoffcとする。この領域オフセット値Voffc,Hoffcに対応する所定の投射状態における正規化されたスクリーン1側の垂直・水平方向の換算オフセット値Voffs,Hoffsを求めるため、数式(14)においてs=0とした次の逆変換式を処理に導入する。
【0137】
【数15】
【0138】
ここで、図23(A),(B)に、これらオフセットの概念を示す。図23(A)に破線で示した部分は、表示パネル4の画像形成領域230のオフセットを示し、図23(B)に破線で示した部分は、それに対応する正規化されたスクリーン上での画像表示領域231のオフセットを示す。
【0139】
以下、式(14),式(15)を基に、図20に示したメニュー画面の格子パターン67を生成する処理の流れを説明する。この処理に伴う演算は、基本的にシステムコントローラ33によって行われる。
【0140】
まず、投射レンズ3のズーム位置などの情報から得られた焦点距離fと、調整操作により得られた垂直あおり角β、水平あおり角ξ、縦サイズWv、横サイズWh、スクリーンタイプ、およびその形状データ(例えば正規化されたスクリーン半径)rsとから、数式(1),(2)等の演算処理に必要なパラメータを設定する(ステップS21)。正規化されたスクリーンの横サイズHnは、Wh×「パネル横サイズ」、縦サイズVnはWv×「パネル縦サイズ」として求められる。次に、描画する格子点の縦横のブロックピッチ(Hb,Vb)を設定する(ステップS22)。ブロックピッチ(Hb,Vb)は、例えば、正規化されたスクリーンの横サイズHn、縦サイズVnを、ブロックの分割数で除算することにより求めることができる。
【0141】
次に、スクリーン側での換算オフセット値の設定を行う(ステップS23)。すなわち、表示パネル4の領域オフセット値Hoffc,Voffcを数式(15)のHc,Vcに代入し、現状の設置条件におけるスクリーン側での換算オフセット値Hoffs,Voffsを求める。ここで前提として、スクリーン形状は、スクリーン中心においてゼロとなるデータで表されているものとする。
【0142】
次に、スクリーン1上の格子点の設定を行う(ステップS24)。ここでは、表示したい格子の縦横のブロック数に応じてスクリーン中心を基準とする座標点(h,v)を設定し、スクリーンタイプ情報を基に高さ方向(スクリーン1の法線方向)の平面からの距離sを計算する。これにより、図24に示したように、平面1C上の格子点の座標(h,v)からスクリーン1上の格子点の座標(h,v,s)が求められる。
【0143】
次に、設定されたスクリーン側の換算オフセット値Hoffs,Voffsに基づき、表示したい格子の座標系を、光軸Laを基準とする座標系に変換する(ステップS25)。
【0144】
次に、数式(14)を用いた歪計算を行う(ステップS26)。ここでは、設定された表示したい格子の座標点(h,v,s)を、数式(14)に基づいて計算することにより光軸Laを基準とする表示パネル4上の座標点Hc,Vcを求める。
【0145】
次に、パネル側の領域オフセット値Hoffc,Voffcに基づく座標変換を行う(ステップS27)。すなわち、表示パネル4の表示領域がオフセットしている量Hoffc,Voffcを、光軸Laを基準とする表示パネル4上の座標点Hc,Vcの値から差し引くことにより、パネル中心を基準とする座標系に変換する。
【0146】
以上の処理を、求めたいすべての格子点について計算し、終了すれば(ステップS28;Y)、パネル中心を基準とする設定された条件の歪を持つ格子点座標データ(Hc,Vc)となる。すべての格子点について計算が終了していなければ(ステップS28;N)、再びステップS24の処理に戻る。求められた格子点座標データを描画すれば、メニュー画面の格子パターンが得られる(ステップS29)。
【0147】
以上、パネル側の領域オフセット値Hoffc,Voffcに対応して数式(15)によりスクリーン側の換算オフセット値Hoffs,Voffsを演算し、その値を用いた座標変換を行うことで、投射距離Dなどの情報がなくてもあおり角β,ξと焦点距離fとから所定の領域オフセット値を持つ光学系に対応した歪補正を正確に行うことができる。
【0148】
次に、以上のメニュー画面の格子パターンの調整を行うことにより得られた光学パラメータに基づいて、実際の入力画像信号を表示するための画素値の設定方法を説明する。
【0149】
図22には、スクリーン1が非平面である場合を含め、演算データ選択部23に設定される読み出し画素アドレスデータを求めるための処理の流れを示す。第1の実施の形態で述べたものは平面スクリーンであって容易に歪によりパネル側の画素点から逆に、対応するスクリーン1側の点が求められる場合の方法であるが、本実施の形態ではスクリーン1側からパネル側に歪による対応関係を求める。
【0150】
まず、画素ピッチ・演算ピッチの設定を行う(ステップS30)。すなわち、表示パネル4の画素ピッチ、スクリーン1側での入力信号の画素ピッチを設定する。さらに以下のパネル画素に対応するフレームメモリ22の読み出しアドレス設定処理を繰り返すスクリーン1側の仮想点ピッチ(演算ピッチ)を設定する。この仮想点は縦横それぞれについて表示パネル4の画素ピッチより所定の割合で密に(小さく)なるように設定する。これにより演算データ選択部23のアドレス設定に欠落が発生することを防止できる。
【0151】
次に、仮想点のスクリーン1上の座標計算を行う(ステップS31)。ここでは、入力された信号画素に対応するスクリーン1上の座標(h,v)を設定し、スクリーンタイプ情報を基に高さ方向(スクリーン1の法線方向)の平面からの距離sを計算する。
【0152】
次に、スクリーン1のオフセットを行う。すなわち、スクリーン中心を基準とするスクリーン1上の座標系を、光軸Laを基準とする座標系に変換する(ステップS32)。次に、歪計算を行う(ステップS33)。ここでは、スクリーン1上の座標点(h,v,s)を数式(14)に基づいて計算し、光軸Laを基準とする表示パネル4上の座標点(Hc,Vc)を求める。次に、パネル領域オフセット値Hoffc,Voffcに基づく座標変換を行う(ステップS34)。すなわち、表示パネル4がオフセットしている量Hoffc,Voffcを、光軸Laを基準とする表示パネル4の座標点(Hc,Vc)の値から差し引くことにより、パネル中心を基準とする座標系に変換する。
【0153】
次に、表示パネル4上の対応画素のアドレス設定を行う(ステップS35)。すなわち、求められたパネル座標を基に、その座標点が対応している表示パネル4の画素(ic,jc)を計算し、その仮想点が含まれる入力信号の画素(is,js)を求め、対応するフレームメモリ22に格納された入力信号の画素データの読み出しアドレスを、演算データ選択部23の表示パネル4の画素(ic,jc)に対応するアドレスに設定する。
【0154】
以上のステップS31〜S35の処理を行い、ステップS36にてすべての仮想点について演算がなされ、入力信号画素とそれを表示すべき表示パネル4上の画素の対応付けが行われたとき(ステップS36;Y)、処理を終了する。すべての仮想点について終了していなければ(ステップS36;N)、再びステップS31の処理に戻る。
【0155】
図22の処理方法は、読み出しアドレスデータの欠落を防止するために同じパネル画素に対応するアドレスに更新(上書き)を繰り返す冗長性を有するが、パネル側の画素点から逆に対応するスクリーン1側の点を求める場合に比べ、スクリーン1の形状によらず数式(14)による簡単な処理でパネル画素と信号上の画素との歪に基づく対応関係を求めることができる。
【0156】
以上説明したように、本実施の形態によれば、歪補正に用いる光学パラメータにスクリーンの形状を規定するパラメータを導入したので、スクリーン1が非平面スクリーンである場合にも、これに対応した歪補正を容易に行うことができる。さらに、光学パラメータとして表示パネル4のオフセット量に対応する値を導入したので、表示パネル4にオフセットがある場合にも、これに対応した歪補正を容易に行うことができる。
【0157】
なお、本発明は、上記第1および第2の実施の形態に限定されず種々の変形実施が可能である。例えば、上記第1および第2の実施の形態では、あおり角の成分を水平方向と垂直方向とに分けて説明したが、他の異なる2方向(例えばスクリーン1の略対角線方向)に角度成分を分解するようにしても良い。また、プロジェクタ2における表示パネル4は1枚であっても、3原色に対応して3枚構成であっても構わない。また、上記第1の実施の形態において、表示パネル4のオフセット量に対応させる場合は、パネル領域オフセット値Hoffc,Voffcに基づき光軸Laを基準とする座標系へ座標変換を行い、数式(10)による逆歪計算を行い、換算オフセット値Hoffs,Voffsに基づきスクリーン中心を基準とする座標系に変換すればよい。
【0158】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1ないし8のいずれか1項に記載のプロジェクタ、または請求項9ないし11のいずれか1項に記載の画像補正方法によれば、スクリーン面に対し投射手段の光軸がなす異なる2方向のあおり角、投射手段の焦点距離、および光変調手段の画像形成領域の中心位置のずれ量に対応する複数のパラメータの値に基づいて、あおり角に対応して発生する投影像の幾何学歪が補正されるよう、入力画像信号に対して幾何学歪に応じた画像補正処理を施すようにしたので、あおり角に対応して発生する投影像の幾何学歪が一義的に補正され、所望の場所からの投射に伴う幾何学歪を簡単に調整することができる。これにより、煩雑な調整作業を要することなく、あおり角に応じて発生する複数の幾何学歪を補正することが可能となり、設置自由度の向上を図ることができる。
【0159】
特に、請求項2記載のプロジェクタまたは請求項10記載の画像補正方法によれば、投影像の幾何学歪に関する情報を、視覚的に認識できるパターン映像として表示すると共に、そのパターン映像を、あおり角の値の入力に応じて、その入力値、焦点距離および光変調手段のずれ量に対応する複数のパラメータの値に基づき調整可能に表示し、そのパターン映像を調整することにより得られた複数のパラメータの値に基づいて、入力画像信号に対して幾何学歪に応じた画像補正処理を施すようにしたので、幾何学歪を補正するための調整作業をさらに容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るプロジェクタの外観と共に、その設置状態の一例を示す説明図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るプロジェクタの信号処理系の回路構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るプロジェクタにおいて、各種メニュー画面の操作に用いられるリモコンの構成例を示す正面図である。
【図4】メイン・メニュー画面の表示例を示す説明図である。
【図5】歪補正用画面の初期状態を示す説明図である。
【図6】光学パラメータを設定した後の歪補正用画面の状態を示す説明図である。
【図7】歪補正に関わる処理の大まかな手順を示す流れ図である。
【図8】補正用の演算係数を求めるためのアルゴリズムの例を示す流れ図である。
【図9】入力画像信号のドット位置と表示パネル上の画素との対応関係を概念的に示す説明図である。
【図10】入力画像信号の各画素と表示パネル上の各画素との対応関係を概念的に示す説明図である。
【図11】分割エリアの設定例を示す説明図である。
【図12】1画素内の分割エリアの設定と変換パターンとに関する説明図である。
【図13】スクリーンの座標系を定義するための説明図である。
【図14】スクリーン上の座標と表示パネル上の座標との対応関係について示す説明図である。
【図15】垂直方向にあおり角がある場合に、表示パネル面上に表示する補正画像の形状の一例を示す説明図である。
【図16】水平方向にあおり角がある場合に、表示パネル面上に表示する補正画像の形状の一例を示す説明図である。
【図17】水平および垂直方向にあおり角がある場合に、表示パネル面上に表示する補正画像の形状の一例を示す説明図である。
【図18】プロジェクタの投射状態の違いを示す説明図である。
【図19】プロジェクタの投影像に生ずる幾何学歪の一例を示す説明図である。
【図20】本発明の第2の実施の形態における歪補正用のメニュー画面を示す説明図である。
【図21】本発明の第2の実施の形態における、メニュー画面上の格子パターンを生成する処理についての流れ図である。
【図22】本発明の第2の実施の形態において、演算データ選択部に設定される読み出し画素アドレスデータを求める処理についての流れ図である。
【図23】オフセットの概念を示す説明図である。
【図24】曲面スクリーンの平面からの高さ方向のずれ量などについての説明図である。
【符号の説明】
1…スクリーン、2…プロジェクタ、3…投射レンズ、4…表示パネル、5…光源、10…画素変換部、20…バス、21…A/D変換部、22…フレームメモリ、23…演算データ選択部、24…演算部、25…D/A変換部、26…コントロール信号発生部、27…演算制御信号発生部、28…演算係数選択部、29…画像ミックス回路(MIX)、30…ディスプレイコントローラ、31…ROM、32…RAM、33…システムコントローラ、34,36…インタフェース(I/F)、35…受信回路、40…リモートコントローラ(リモコン)、50…メイン・メニュー画面、60…歪補正メニュー、67…格子パターン。
Claims (11)
- 光源と、
画像を投射してスクリーン上に投影像を形成する投射手段と、
前記光源から発せられた光を入力画像信号に基づいて変調し、前記投射手段によって投射される光学的な画像を形成すると共に、前記投射手段の光軸に対してその画像形成領域の中心位置がずれた状態で配置された光変調手段と、
前記スクリーン面に対し前記投射手段の光軸がなす異なる2方向のあおり角、前記投射手段の焦点距離、および前記光変調手段の画像形成領域の中心位置のずれ量に対応する複数のパラメータの値に基づいて、前記あおり角に対応して発生する前記投影像の幾何学歪が補正されるよう、前記入力画像信号に対して前記幾何学歪に応じた画像補正処理を施す補正手段と
を備えたことを特徴とするプロジェクタ。 - 前記あおり角に対応して発生する前記投影像の幾何学歪に関する情報を視覚的に認識できるパターン映像として表示すると共に、そのパターン映像を、前記あおり角の値の入力に応じて、その入力値、前記焦点距離および前記光変調手段のずれ量に対応する複数のパラメータの値とに基づき調整可能に表示する表示制御手段をさらに備え、
前記補正手段は、前記パターン映像を調整することにより得られた前記複数のパラメータの値に基づいて、前記入力画像信号に対して前記幾何学歪に応じた画像補正処理を施すようになされている
ことを特徴とする請求項1記載のプロジェクタ。 - 前記あおり角は、前記スクリーン面の法線に対する前記投射手段の光軸がなすあおり角であり、前記スクリーン面の法線に対して前記投射手段の光軸がなす垂直方向になすあおり角と水平方向になすあおり角とからなる
ことを特徴とする請求項1記載のプロジェクタ。 - 前記スクリーンは曲面スクリーンであり、
前記補正手段は、前記曲面スクリーンの形状を規定するパラメータをさらに含む複数のパラメータの値に基づき、前記入力画像信号に対して前記幾何学歪に応じた画像補正処理を施すようになされている
ことを特徴とする請求項1記載のプロジェクタ。 - 前記補正手段は、前記光変調手段の前記ずれ量を表すオフセット値を、前記スクリーン側の座標系へと換算した換算オフセット値を演算する手段を有し、前記換算オフセット値を含む複数のパラメータの値に基づき、前記入力画像信号に対して前記幾何学歪に応じた画像補正処理を施すようになされている
ことを特徴とする請求項1記載のプロジェクタ。 - 前記補正手段は、
前記複数のパラメータの値に基づいて、前記入力画像信号の各画素データを用いて、前記投影像の複数の幾何学歪を補正するための画素変換処理を施し、その画素変換処理後の画像信号を、前記光変調手段に出力する画素変換手段
を有することを特徴とする請求項1記載のプロジェクタ。 - 前記画素変換手段は、
入力画像信号を記憶する画像記憶手段と、
画素変換のための複数の演算係数を記憶する係数記憶手段と、
前記画像記憶手段から読み出された画素データと前記係数記憶手段から読み出された前記演算係数とを用いて、前記画素変換処理を行う演算手段と
を含むことを特徴とする請求項6記載のプロジェクタ。 - 前記演算係数は、補正画像の各画素内において、前記入力画像信号の各画素が占める面積比率に基づいて決定されるものである
ことを特徴とする請求項7記載のプロジェクタ。 - 光源と、画像を投射してスクリーン上に投影像を形成する投射手段と 、前記光源から発せられた光を入力画像信号に基づいて変調し、前記投射手段によって投射される光学的な画像を形成すると共に、前記投射手段の光軸に対してその画像形成領域の中心位置がずれた状態で配置された光変調手段とを備えたプロジェクタにおける画像補正方法であって、
前記スクリーン面に対し前記投射手段の光軸がなす異なる2方向のあおり角、前記投射手段の焦点距離、および前記光変調手段の画像形成領域の中心位置のずれ量に対応する複数のパラメータの値に基づいて、前記あおり角に対応して発生する前記投影像の幾何学歪が補正されるよう、前記入力画像信号に対して前記幾何学歪に応じた画像補正処理を施す
ことを特徴とする画像補正方法。 - 前記あおり角に対応して発生する前記投影像の幾何学歪に関する情報を視覚的に認識できるパターン映像として表示すると共に、そのパターン映像を、前記あおり角の値の入力に応じて、その入力値、前記焦点距離および前記光変調手段のずれ量に対応する複数のパラメータの値に基づき調整可能に表示し、
前記パターン映像を調整することにより得られた前記複数のパラメータの値に基づいて、前記入力画像信号に対して前記幾何学歪に応じた画像補正処理を施す
ことを特徴とする請求項9記載の画像補正方法。 - 前記光変調手段のずれ量を表すオフセット値を、前記スクリーン側の座標系へと換算した換算オフセット値を演算し、前記換算オフセット値を含む複数のパラメータの値に基づき、前記入力画像信号に対して前記幾何学歪に応じた画像補正処理を施す
ことを特徴とする請求項9または10に記載の画像補正方法。
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