JP2004129212A - 画像投射装置および画像変換方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】アドレス計算点の増加または計算式の複雑化によって、アドレス計算の負担(時間と回路規模)が増大する。
【解決手段】LCDパネル3に出力した画像3aをスクリーン101に対し斜めに投射したときに生じる歪み画像の代表点アドレスを演算により生成するCPU2aと、代表点アドレスの間の他のアドレスを補間により生成するアドレス補間部2bと、生成されたアドレスに画素データを生成するデータ補間部2cと、を有する。演算による求めるアドレスが代表点アドレスのみなのでCPU2aの負担が小さい。また、代表点間のアドレスのみ補間処理により求めることから、高速で規模が小さい回路ですむが精度の低い線形補間でも、全体の補間精度を比較的高くできる。
【選択図】 図5
【解決手段】LCDパネル3に出力した画像3aをスクリーン101に対し斜めに投射したときに生じる歪み画像の代表点アドレスを演算により生成するCPU2aと、代表点アドレスの間の他のアドレスを補間により生成するアドレス補間部2bと、生成されたアドレスに画素データを生成するデータ補間部2cと、を有する。演算による求めるアドレスが代表点アドレスのみなのでCPU2aの負担が小さい。また、代表点間のアドレスのみ補間処理により求めることから、高速で規模が小さい回路ですむが精度の低い線形補間でも、全体の補間精度を比較的高くできる。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像表示部に画像を表示し、その表示画像を投射面に光を利用して投射する画像投射装置と、表示画像を生成する際の画像変換方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】
いわゆるプロジェクターと称される画像投射装置は画像表示部、たとえばLCD(Liquid Crystal Display)を有している。画像表示部に画像を表示させ、その表示画像を外部の投射面、たとえばスクリーンの面に投射する。
【0003】
このとき、スクリーンに対するプロジェクターからの画像の投射角度が斜めであると、本来、矩形状であるはずの画像がスクリーン上で台形状に歪む。このため、スクリーン上の画像の台形歪みを補正するいわゆるキーストン補正機能を備えた液晶プロジェクターが知られている。
【0004】
鉛直または水平のキーストン歪み補正では、スクリーン上の投影画像と逆方向に意図的に歪ませた画像を液晶パネル上で生成する。正矩形の入力画像を意図的に歪ませる画像変換は、通常、プロジェクターが有する画素数変換機能を利用して行う。たとえば、鉛直のキーストン歪み補正では、元画像の1フレーム内の単数または複数の水平ラインデータに対して、補間処理や間引き処理をディジタル的に施すことにより台形歪みの逆変換を実行する。
【0005】
この画像変換を、座標変換式を用いて行う方法が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
この方法では、液晶パネル上の整数座標に対応する実数座標を座標変換式によって算出し、実数座標の周囲にある画素データをフレームメモリから読み出して、補間演算により整数座標に書き込む画素データの値を求めることによって、台形歪みが補正された画像を液晶パネル上に形成する。
【0006】
【特許文献1】
特開2003−29714号公報(第3〜第4頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この特許文献1に開示された方法では、鉛直方向の歪み補正と、水平方向の歪み補正を同時にできない。また、特許文献1には、鉛直方向の変換式は示されているが、水平方向の変換式が開示されていない。水平方向の変換は、一般的に、複数ラインの画素データの変換であるため、より複雑な式となると考えられる。このため、特許文献1に記載されたキーストン歪み補正方法が適用されたプロジェクターでは使い勝手が悪くなり、製品としての魅力に乏しい上、トータルの処理時間が長くなり処理効率が悪いという課題がある。
【0008】
本発明の第1の目的は、鉛直方向と水平方向に歪んだ画像の補正が可能であり、かつ、その補正時の処理の負担を軽減した画像投射装置を提供することにある。
本発明の第2の目的は、入力画像を変換することにより、鉛直方向と水平方向に歪んだ画像を補正する際の処理の負担を軽減した画像変換方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の観点に係る画像投射装置は、上述した第1の目的を達成するためのものであり、画像表示部を有し、当該画像表示部に表示された表示画像を外部の投射面に光を利用して投射する画像投射装置であって、前記表示画像を前記投射面に対し斜めに投射したときに投射面上で生じる歪み画像の代表点アドレスを演算により生成する演算部と、前記代表点アドレスの間の他のアドレスを補間により生成するアドレス補間部と、投射したときに前記投射面上で歪みが補正される表示画像の画素データを、入力画像の複数の画素データから補間により生成し、生成した画素データを、前記歪み画像のアドレスと所望の画像のアドレスとの対応関係から決められる前記画像表示部の位置に出力するデータ補間部と、を有する。
【0010】
好適に、前記アドレス補間部が、前記演算から求めた1次代表点アドレスから、当該1次代表点アドレスより間隔が狭い2次代表点アドレスを補間により生成する第1のアドレス補間部と、前記2次代表点アドレスから、当該2次代表点アドレス間に他のアドレスを補間により生成する第2のアドレス補間部と、を含む。
【0011】
本発明では、前記画像表示部と前記投射面との相対関係情報を取得する相対関係取得部をさらに有し、前記演算部は、前記相対関係情報をパラメータとした演算を実行する。この場合、好適に、前記演算部は、前記アドレスと前記データの補間中に、次に入力が予想される相対関係情報に応じた歪み画像の代表点アドレスの演算をあらかじめ実行する。
【0012】
本発明の第1の観点に係る画像変換方法は、上述した第2の目的を達成するためのものであり、投射面に光を利用して投射する表示画像を画像表示部に生成するために、入力画像を変換する画像変換方法であって、前記入力画像を前記投射面に対し斜めに投射したときに投射面上で生じる歪み画像の代表点アドレスを演算により生成するステップと、前記代表点アドレスの間の他のアドレスを補間により生成するステップと、前記代表点アドレスおよび前記他のアドレスにより形成される前記歪み画像のアドレスと所望の画像のアドレスとを対応付けるステップと、得られたアドレスの対応関係にもとづく前記画像表示部の位置に、前記表示画像の新たな画素データを、前記入力画像の複数の画素データから補間により生成するステップと、を含む。
【0013】
好適に、アドレスを補間により生成する前記ステップが、前記演算から求めた1次代表点アドレスから、当該1次代表点アドレスより間隔が狭い2次代表点アドレスを補間により生成する第1のアドレス補間ステップと、前記2次代表点アドレスから、当該2次代表点アドレス間に他のアドレスを補間により生成する第2のアドレス補間ステップと、を含む。
【0014】
本発明では、前記代表点アドレスの前記演算に用いる、前記画像表示部と前記投射面との相対関係情報を取得するステップを、さらに含み、前記代表点アドレスの生成ステップでは、前記相対関係情報をパラメータとした演算を実行する。この場合、好適に、前記アドレスの補間、前記アドレスの対応付けおよび画素データの前記補間中に、次に入力が予想される前記相対関係情報に応じた歪み画像の代表点アドレスの演算をあらかじめ実行する。
【0015】
第1の観点では、歪み画像の代表点アドレスを演算部が演算により生成し、代表点アドレス間の他のアドレスをアドレス補間部が生成する。これら2つの手段によって生成されたアドレスが歪み画像のアドレスを形成する。この歪み画像のアドレスと所望の画像のアドレスとの対応関係にもとづいて、歪み画像と所望の画像のアドレス対応関係が一義的に決まる。歪み画像というのは、もともと正矩形の画像を斜めに投射したときに投射面上に映し出された画像であることから、この関係が求まれば、逆に正矩形の画像を投射面上で得るための補正後の画像のアドレスがわかる。したがって、データ補間部は、このアドレスの対応関係にもとづく画像表示部の位置に、表示画像の新たな画素データを補間により生成する。以後、生成した表示画像を画像表示部が投射すると、歪みが補正された所望の画像が投射面上に現出する。
第1の観点で好ましい態様では、アドレス補間部が、演算により求めた第1の代表点アドレス間に第2の代表点アドレスを補間により生成し、さらに、第2の代表点アドレス間に他のアドレスを補間により生成する。
また、他の好ましい態様では、画像表示部と前記投射面との相対関係情報が取得され、演算部は、この相対関係情報をパラメータとした演算を実行する。このとき、演算部は、アドレスとデータの補間中に、次に入力が予想される相対関係情報に応じた歪み画像の代表点アドレスの演算をあらかじめ実行する。
【0016】
本発明の第2の観点に係る画像投射装置は、前述した第1の目的を達成するためのものであり、画像表示部を有し、当該画像表示部に表示された表示画像を外部の投射面に光を利用して投射する画像投射装置であって、前記表示画像を前記投射面に対し斜めに投射したときに投射面上で生じる歪み画像の代表点アドレスを記憶している記憶部と、前記代表点アドレスの間の他のアドレスを補間により生成するアドレス補間部と、投射したときに前記投射面上で歪みが補正される表示画像の画素データを、入力画像の複数の画素データから補間により生成し、生成した画素データを、前記歪み画像のアドレスと所望の画像のアドレスとの対応関係から決められる前記画像表示部の位置に出力するデータ補間部と、を有する。
【0017】
本発明の第2の観点にかかる画像変換方法は、前述した第2の目的を達成するためのものであり、投射面に光を利用して投射する表示画像を画像表示部に生成するために、入力画像を変換する画像変換方法であって、
前記入力画像を前記投射面に対し斜めに投射したときに投射面上で生じる歪み画像の代表点アドレスを、前記画像表示部と前記投射面との相対関係ごとに記憶部にあらかじめ記憶させるステップと、前記相対関係の情報を取得するステップと、取得した相対関係の前記情報に対応した前記代表点アドレスを前記記憶部から読み出し、読み出した当該代表点アドレスの間の他のアドレスを補間により生成するステップと、前記代表点アドレスおよび前記他のアドレスにより形成される前記歪み画像のアドレスと所望の画像のアドレスとを対応付けるステップと、得られたアドレスの対応関係にもとづく前記画像表示部の位置に、前記表示画像の新たな画素データを、前記入力画像の複数の画素データから補間により生成するステップと、を含む。
【0018】
第2の観点では、代表点アドレスをあらかじめ算出し、記憶部に記憶させておく。このとき、画像変換方法のように、画像表示部のスクリーンに対する相対関係ごとに代表点アドレスを記憶させる。記憶部内の代表点アドレスのうち、用いる代表点アドレス間の他のアドレスを、アドレス補間部が補間により生成する。その後、第1の観点と同様、アドレスの対応付けを行い、この対応関係にもとづく画像表示部の位置に、表示画像の新たな画素データを補間処理により生成する。以後、画像表示部が表示画像を投射すると、歪みが補正された所望の画像がスクリーン上に現出する。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の画像投射装置(プロジェクター)と、それに用いる画像変換方法の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1に、フロントプロジェクターをスクリーンの正面に配置した場合に、これらを上方から見た図を示す。
図1に示す配置おいて、プロジェクター1の投射光の軸と映像が映るスクリーン101とが、上から見ると直交するように配置される。プロジェクター1で投射する映像はテレビ信号やコンピュータ画面の信号である。これらの信号に重畳された映像の表示領域の形状は、テレビやコンピュータディスプレイを見れば分かるように、信号によって画素数に違いはあるものの映像全体として4:3や16:9などの辺の比(アスペクト比)をもつ長方形である。プロジェクター1のLCDパネルに表示された長方形の映像は、まっすぐに投射しなければ投射された映像も長方形にならず、本来の映像の形をゆがめてしまう結果になる。
【0021】
図2は、正面に配置したプロジェクターの位置をP0としたときに、本発明の実施の形態におけるプロジェクター1の配置可能な範囲を示す図である。
プロジェクター1は、正面位置P0を含む水平面Ph内に配置でき、また、正面位置P0を含む垂直面Pv内に配置できる。さらに、プロジェクター1は、2つの平面Ph,Pvによって区切られる第1象限P1、第2象限P2、第3象限P3、第4象限P4のいずれにおいても任意に配置できる。
プロジェクター1は、その内部のLCDパネルの表示画像を、上述した範囲内であればどの位置から投射してもよい。プロジェクター1は、投射位置に応じた画像の歪みを補正する機能を有しているので、この機能を働かせれば恰も正面から投射したときと同じアスペクト比をもった正四角形の画像をスクリーン101上に映し出すことができる。この補正を、キーストン歪み補正という。
【0022】
図3(A)に、水平面内でスクリーンに向かって左横からの画像投影イメージを示す。図3(B)に入力画像イメージを、図3(C)にプロジェクターに内蔵されたLCDパネル面上での画像イメージを示す。
図3(A)に示すように、スクリーン101に向かって左横にプロジェクター1を配置して投射しているが、スクリーン101上の映像は正面から投射しているときと同じように見える。本来であれば、投射された画面は図中の斜線部を含め全体が台形に歪んだように変形するはずである。これを横キーストン変形といい、横キーストン変形を補正することを横キーストン補正という。
このように横に置いたプロジェクター1から画像を投射して、それが正面から投射したかのようにスクリーン101上で映るには、あらかじめプロジェクター1の投射位置によって画像がどのように歪むかを計算しておかなければならない。このとき、横から投射したときに歪む形に対して作為的に逆の方向に歪ませた画像を作り、それを投射することで横方向から投射しても画像を正面から投射した時と同じように見せることができる。上記具体例で図3(A)のような投射映像を得るためには、図3(B)の入力画像を図3(C)のようにLCDパネル面上で故意に変形して表示させ、この表示画像をスクリーン101に投影する。
【0023】
図4(A)に、図2における第3象限P3からの画像投影イメージを示す。また、図4(B)に入力画像イメージを、図4(C)にLCDのパネル面上での画像イメージを示す。
図3(A)の横キーストン歪みは台形歪みであったが、これに垂直方向の歪み成分が加わった図4(A)の場合、さらに歪み形状が複雑になる。図4(A)に示す正四角形の補正後の投影画像を得ようとすると、LCDパネル表示画像は、図4(C)に示すように画像をLCDパネル面内で回転させたようにする必要がある。
図4(C)および前記図3(C)のいずれの場合でも、補正前の投影画像形状と逆に故意に歪ませた画像をLCDパネル面の有効表示領域いっぱいに表示すれば、解像度、明るさの低下が極力抑えられた正四角形の投影画像がスクリーン上に得られる。
【0024】
以下、入力画像をLCDパネルの表示画像に変換することによって、このような補正が可能な画像投射装置と画像変換方法の実施の形態を、より詳細に説明する。この画像変換では、図4(A)のように第3象限P3からの投射の場合を例に水平および垂直の歪みを同時に補正可能なアドレス生成の一般式を求める。水平のみ、あるいは垂直のみの歪み画像は、この一般式において水平または垂直の投射角度がゼロの場合で表現できる。また、第3象限以外の他の象限からの投射は、式が異なるのみで考え方は同じである。
【0025】
[第1の実施の形態]
図5に、プロジェクターの基本構成を示す。
プロジェクター1は、映像信号(入力信号)に種々の信号処理を施す回路、各種駆動系の回路を含む回路部2を有する。回路部2は、信号処理回路内の一部に、制御部および演算部としての中央演算処理部(CPU)2a、アドレス補間部2b、および、データ補間部2cを含む。プロジェクター1は、入力信号に各種信号処理を施した信号が示す入力画像を画像変換して得られた表示画像3aを表示する画像表示部3、たとえばLCDパネルを有する。また、プロジェクター1は、表示画像3aを外部に投射するための光源を含む投光部4と、各種レンズを含む光学部5とを有する。LCDパネル3は透過型と反射型のいずれでもよいが、いずれにしても表示画像3aが、光学部5を通って投射面としてのスクリーン101に投影画像101aとして映し出されるものであればよい。
演算部としてのCPU2aは、画像変換に必要な歪み画像のアドレスのうち、任意のサンプリングレートでサンプリングされた代表点アドレスを演算により算出する。CPU2aは、アドレス同士の相対関係を求める手段(以下、マッピング手段という)としても機能する。CPU2aは、他の構成を制御する役目もある。代表点アドレスの演算およびアドレスの対応付け(マッピング)についての詳細は後述する。
【0026】
プロジェクター1は、LCDパネル3の表示画像とスクリーン101との相対的な関係を示す相対関係情報を取得する相対関係取得部6を有する。相対関係取得部6は、外部から相対関係情報を入力する入力部、外部操作手段(ボタンなど)、想定される相対関係情報をあらかじめ記憶した記憶部(たとえば、ROM)、あるいは相対関係を自ら検出する手段など、種々の形態がある。相対関係取得部6は、たとえば、少なくとも、表示画像のスクリーン101までの距離と、光学部5の光軸とスクリーン面とのなす角度とを取得する。
【0027】
液晶などの固定画素のパネルを用いるプロジェクターでは、入力された入力画像の画素数と出力画像の画素数とが異なる場合がある。そのため画素数を変換するための信号処理機能を備えている。これをスケーリング機能と呼ぶが、この処理では、本来画素データの無い位置でのデータが必要になり、画素の補間演算が行われる。補間演算では、周辺の画素のデータを用いて目的の位置の画素データを作り出す。この機能は、たとえば、イメージプロセッサと称される画像処理回路内に、スケーラと呼ばれる回路ブロックを内蔵させることにより実現される。
【0028】
図6は、図5の回路部2に含まれる画像処理回路、すなわちイメージプロセッサとその周辺の回路ブロックの一構成例を示す図である。
図解した画像処理回路は、コムフィルタ(Comb Filter)21、クロマデコーダ(Chroma Decoder)22、セレクトスイッチ(SW)23、アナログ−ディジタル・コンバータ(A/D)24、イメージプロセッサ(Image Processor)25、SDRAMなどからなる画像メモリ26、および、CPU2aを有する。このうち、イメージプロセッサ25とCPU2aが、画像変換の機能を実現するための一実施態様に該当する。なお、これらの画像メモリ26やCPU2aの機能をイメージプロセッサ25内に一体化させてもよい。
【0029】
図解した画像処理回路は、コンポジットビデオ信号(以下、Video信号)、Y/C信号、RGB信号のいずれの映像信号にも対応している。Video信号はコムフィルタ21に、Y/C信号はクロマデコーダ22に、RGB信号はセレクトスイッチ23に、それぞれ入力される。いま、Video信号が入力されている場合を考えると、コムフィルタ21でY/C信号に変換され、続くクロマデコーダ22でYUV信号に変換される。セレクトスイッチ23によって選択された信号がA/D24により変換されてディジタル信号になる。この信号がイメージプロセッサ25に入力され、所望の信号処理が行われる。このとき、イメージプロセッサ25の処理がCPU2aにより制御され、処理中に、適宜画像メモリ26が使用される。所望の信号処理が行われた後は、処理後の信号が画像表示部、たとえばLCDパネル3に送られ、この信号にもとづいてLCDパネル3に投射する画像が表示される。
【0030】
図7に、イメージプロセッサ内部の回路ブロックの一構成例を示す。
イメージプロセッサ25は、IP(Interlace−Progressive)変換部251、スケーラ252、CPUインターフェース253、メモリ制御部254、およびROM255を有する。スケーラ252は、アドレス補間部2b、係数発生部257、およびフィルタ演算部258を有する。このうち、係数発生部257とフィルタ演算部258が図5におけるデータ補間部2cの一実施態様に該当する。
【0031】
イメージプロセッサ25に入力された映像信号はIP変換部251に送られ、ここでインターレース信号がプログレッシブ化される。この処理では画像メモリ26を用いるが、メモリインターフェースとしてのメモリ制御部254にIP変換部251が接続されることによって、IP変換部251は画像メモリ26との間で画像データのやり取りを行う。プログレッシブ化された信号は、スケーリング処理を行うためにスケーラ252に送られる。スケーラ252の内部では、歪み補正に必要なアドレスのうち、前述した代表点アドレス間の他のアドレスを、アドレス補間部2bで補間処理により生成する。フィルタ係数を係数発生部257で発生させ、発生させたフィルタ係数をフィルタ演算部258に供給する。フィルタ演算部258が、与えられたフィルタ係数を用いた補間演算処理を行い、入力した映像信号が示す入力画像が、所定の大きさと形状を有したLCDパネルの表示画像に変換される。この変換後の表示画像の信号が出力され、LCDパネル3に送られる。この補間演算に用いるアドレスやフィルタ係数などのデータを保持するROM255がスケーラ252に接続され、これら一連の処理を含むイメージプロセッシングを制御するCPU2aのインターフェース253がIP変換部251、スケーラ252およびROM255に接続されている。
【0032】
図6に図解した例において、相対関係取得部6(図5)からの相対関係情報がCPU2aに入力される。CPU2a自身によって、さらに、CPU2aに制御されながらイメージプロセッサ25内のアドレス補間部2bによって、入力画像を表示画像に効率よく変換するための歪み画像データのアドレスが生成される。本実施の形態の画像変換では、アドレス生成手法に大きな特徴の1つがある。
【0033】
以下、アドレス生成手法の実施の形態を、図面を用いて詳しく説明する。
また、以下の説明では、フロントプロジェクターの表示画像を、スクリーンに対して正面の位置を基準に、垂直方向にα度上向きで、水平方向ではスクリーン正面から左にβ度回転した位置から斜めに投射する場合を主に説明する。角度αおよびβが正の場合、投射位置は図2の第3象限P3に属する。他の象限からの投射時の補正は、ほぼ同じような考え方、方法で行える。このとき入力信号としてVGA(640画素×480ライン)の解像度をもつ映像信号が入力され、これをSVGA(800画素×600ライン)に解像度変換し、また斜め方向から投射する場合のスクリーン上の投影画像の歪みをとる補正も画像変換処理で行う場合について説明する。
【0034】
図8(A)に、正面投射の場合の右手座標系におけるプロジェクター1とスクリーン101の位置関係を示す。また、それに対応したyz平面図を図8(B)に、xy平面図を図8(C)に、それぞれ示す。このとき、プロジェクター1の位置座標を(Px,Py,Pz)、スクリーン101上の任意の点の位置座標を(Sx,Sy,Sz)で表す。位置座標(Px,Py,Pz)と(Sx,Sy,Sz)により決まるスクリーン101とプロジェクター1の距離、および、前記斜め投射角度αとβが、前述した相対関係情報である。
図8(B)および図8(C)に示すように、正面投射ではスクリーン面と光軸が直交する。ただし、光軸はスクリーン中央ではなく下寄り位置、ここではスクリーン下辺中央付近でスクリーン面と交差している。フロントプロジェクターを机の上に配置し、あるいは天井から吊るような配置を取る場合、レンズの中心とスクリーンの中心を結ぶ線が地面と平行にはならないように両者を配置させるためである。これは、たとえばプロジェクターを机に置いて投射した場合、投射する画像の下端部分が机に映ってしまわないようにするための仕様であり、光学オフセットと称される。
【0035】
図9(A)に、垂直方向にα度上向きで、水平方向については向かって左手からスクリーンに対しβ度の角度で斜めに投射する場合、右手座標系におけるプロジェクターとスクリーンの位置関係を示す。また、yz平面図を図9(B)に、xy平面図を図9(C)に、それぞれ示す。このとき、右手座標系で表現したスクリーン101に対するプロジェクター1の回転角度は垂直方向にα度、水平方向に(−β)度となる。
【0036】
ここで、キーストン歪み補正を考えやすくするために相対的な視点を変えることを考える。図9(A)〜図9(C)ではプロジェクター1の位置を動かして斜め方向から投射していたが、ここでは、相対的な位置関係を維持したままでプロジェクター1は動かさずに、スクリーン101を、その場で軸回転させることを想定する。
図10(A)〜図10(C)に、スクリーンを軸回転させた場合の図9(A)〜図9(C)と等価的な斜め投射の位置関係を示す。このとき、右手座標系で表現するとスクリーンを、その下辺(x軸)を中心に直立位置からy方向(背面側)に(−α)度傾かせ、向かって左側の辺(z軸)を中心に左回転方向にβ度回転させる。つまり、図10(B)と図10(C)に示す傾きおよび回転の角度は、図9(A)〜図9(C)に示すプロジェクターの設置位置からの投射角度に対して符号が逆になる。
【0037】
以下、図10(A)〜図10(C)のように、正面の位置にプロジェクター1があり、この位置から傾いたスクリーン(以下、101tと表記)に映像を投射した場合に、投射された映像(投影画像)がどのように変形しているかを考える。
プロジェクター1が投射する光は、図9(A)でスクリーン101のあったzx平面上を通過して傾いたスクリーンに映る。傾いたスクリーン101tがある平面は、原点を中心に垂直に(−α)度、水平にβ度回転しているので、原点を中心とした回転行列を用いて表現することができる。本実施の形態では水平と垂直の回転なので、先に水平方向に回転させた後に、次に垂直方向の回転を行う手順によって回転行列が定義される。具体的には、zx平面の法線ベクトル(nx,ny,nz)が、回転によって次の行列式(1)で表現される。
【0038】
【数1】
【0039】
プロジェクター1の位置とスクリーン101の位置していたzx平面上の点を結ぶ直線を考え、この直線と行列式(1)の法線ベクトルをもつ平面との交点を求める。この交点が、傾いたスクリーン101tの平面に映る映像の座標点である。この傾いたスクリーンの座標点に対して、図9(A)のように視点をスクリーンの正面において見る場合には、再び反対向きの回転として原点を中心に垂直にα度、水平に(−β)度回転させればよい。すると、斜め方向から投射した場合に歪む形が求められる。このような方法によって導出されたx方向、y方向、z方向の座標を、それぞれ次式(2−1)、(2−2)、(2−3)に示す。
【0040】
【数2】
【0041】
これらの式で表される(Kx,Ky,Kz)は、図9(B)に示すようにプロジェクター1を垂直にα度上向きで、図9(C)のように水平方向にスクリーン101に対して左から(−β)度の角度で投射するとき、キーストン歪みによって変形された座標である。
図11(A)および図11(B)に、座標関係についてまとめて示した。これらの図で(Sx,Sy,Sz)はスクリーンの座標であり、正面投射の場合にスクリーン上に正四角形に映し出される入力画像の座標に相当する。また、座標(Kx’,Ky’,Kz’)は図10(B)および図10(C)のように斜めに傾いたスクリーン101tの平面上に投射された座標である。上述のように(Kx,Ky,Kz)はキーストン歪み変形座標である。
このように、前述した3つの式(2−1)、(2−2)、(2−3)により、任意の方向からの投射によってもたらされるキーストン歪変形座標が与えられる。
【0042】
つぎに、出力信号(表示画像)の解像度に合わせた座標の、式(2−1)、(2−2)、(2−3)による変形座標を求める。つまり、800画素×600ラインのSVGA出力の場合、歪む前の画像のx座標Sxは0から799まで変化し、z座標Szは0から599まで変化するが、このときのキーストン歪み後のx座標Kxとz座標Kzを求める。なお、y座標SyとKyは、画像がzx平面にあるのでゼロである。
【0043】
図12(A)に正面投射のSVGA出力画像のアドレスマップのイメージPIOUT、図12(B)にα=10、−β=−30として座標変換したキーストン変形後のSVGA出力画像のアドレスマップのイメージ(以下、歪み画像イメージ)PIKを示す。ここでは、図示の都合上すべての画素位置のサンプルリング点を示さず、33画素ごとに1つのドットでサンプリング点を代表させている。式(2−1)および式(2−3)を用いて実際に座標変換によって生成された代表点アドレスは、33画素ごとのアドレスのうち(33×3)画素ごとに示す白丸印のアドレスである。図5および図7に示す演算部(CPU2a)が代表点アドレスを生成する。
代表点アドレス間に存在する、黒丸のアドレスを含む他のアドレスは、式を用いた演算により生成しないで、図5および図7に示すアドレス補間部2b、たとえば複数タップの補間回路から生成される。この最終的なアドレスを、以下、画素データの補間処理に用いるアドレスという意味で、「補間アドレス」という。補間方法に限定はなく、たとえば、バイリニア補間を含む線形補間方法、スプライン補間などの非線形補間方法のいずれを採用してもよい。線形補間を採用すると、アドレス補間部2bの構成が簡単になる利点がある一方、アドレスの変換精度を高く維持しようとすると代表点アドレスのサンプリングレートを余り低くできないという不利益がある。線形補間法を採用するか、非線形補間法を採用するかは、この利益と不利益を考慮して決める。
いずれにしても、本実施の形態においては、演算部2aによる代表点アドレスの生成とアドレス補間部2bによる他のアドレスの生成とが並列に実行されるため、アドレス変換時間が短いという利益が得られる。
【0044】
つぎに、図13(A)のように、補正により得たい画像のイメージ(スクリーン上に実現したい投影画像の仮想のイメージ、以下、投影画像イメージという)PIを、図12(B)に示す歪みによって変形した座標空間上に重ねる。これにより歪み画像イメージPIKに投影画像イメージPIがマッピングされ、両画像のアドレスの対応関係が決まる。このとき、入力した入力画像はVGAだが、画像の大きさと位置を調整するために、投影画像イメージPIを任意の大きさ(たとえば、SVGAの大きさ)で、変形したアドレス空間(歪み画像イメージPIK)内の任意の位置に配置することができる。ただし、投影画像イメージPIが歪み画像イメージPIK内に完全に収まるようにしないと、次に行う補間後に画像の一部が欠けてしまう。したがって、望ましくは、所望のアスペクト比(本例では、4:3)の投影画像イメージサイズが歪み画像のアドレス空間内で最大限となることを規定しておく。すると、この投影画像イメージPIの位置と大きさは単なる図形問題に帰結し、たとえば図13(A)のような位置とサイズで、投影画像イメージPIと歪み画像イメージPIKとの関係が一意に決まる。
【0045】
このようなマッピング(アドレスの対応付け)は、歪み画像イメージPIKのアドレス分布がすでに前記した式(2−1)、(2−2)、(2−3)から求められているので、実際の物理メモリ(記憶資源)を用いずとも、たとえばCPU2a内で仮想メモリ空間を想定して実行できる。このため、マッピング自体が高速なうえに物理メモリとのデータのやり取りがなくて効率がよく、数回やり直しても、その処理の合計時間が画像変換全体の時間に占める割合は極めて小さい。もちろん、CPU2aが容量的に不足する場合は、たとえばROM255を用いて適宜マッピングを行っても構わない。
【0046】
マッピングにより得られたアドレスの対応関係は、歪み画像と、歪みがなくスクリーン上で正四角形となる所望の投影画像とのアドレス対応関係であるが、歪み画像というのはもともと歪みがない正四角形のLCDパネル上の画像の投影の結果である。したがって、上記アドレスの対応関係を利用して、歪みがないスクリーン上の投影画像を得るためのLCDパネル3の表示画像が生成できる。
具体的な方法としては、SVGA出力の場合、LCDパネル3の有効表示領域の座標は800×600個になるが、このすべての点について、マッピングされた画像のアドレスで補間を行う。このとき800×600個の各点での補間のうち、図13(A)に示す歪み画像イメージPIKと投影画像イメージPIとが重なる領域のすべてのアドレスでの補間では、投影画像のように画像データを再現できるようにフィルタ係数が選択され、その画像再現に必要な原画像の複数の画素データを上記フィルタ係数で重み付けして新たな画素データを合成する。合成後の画素データは、マッピングにより求めた上記アドレス対応関係にもとづいて、4:3のアスペクト比の正四角形画面であるSVGA画面内のどの位置に配置するかを一意に決めるアドレスに割り当てられる。一方、図13(A)に示す投影画像イメージPI周囲の歪み画像イメージPIK内領域の補間では、画像データがない黒色画素同士の合成となり、したがって補間後も黒色の画像データがSVGA画面内の対応位置に割り当てられる。
【0047】
図13(B)に、このような画像変換手順により生成されたSVGA出力画像を示す。この画像がキーストン歪み補正を行った画像である。この画像を図4(C)のようにLCDパネルに表示させ、図4(A)のように投影すると、スクリーン上で正四角形の投影画像が得られる。マッピングにより得られたアドレスの対応関係は、上述したようにイメージサイズ同士の重なる面積が最大となるように決められていることから、スクリーン上の投影画像は明るさおよび解像度の低下が最小に抑えられている。
【0048】
なお、代表点アドレス間の他のアドレスを補間により生成する場合、周囲の代表点アドレスの座標を用いて新たにアドレスを生成する。したがって、この場合、図14に示すように、周囲に余分に代表点アドレスをあらかじめ生成することが望ましい。この図14では、(33×5)画素ごとに代表点アドレスを生成している。
【0049】
前述した図12(A)および図12(B)の説明では、出力画像イメージPIOUTを出力画像(SVGA画像)の大きさに合わせて600×800個のアドレスで与え、これを変形させて歪み画像イメージPIKを生成した。そして、図13(A)に示すように、歪み画像イメージに対し、投影画像イメージPIの大きさと位置を変えながら重ね、重ねた後の両画像イメージから、歪み補正に必要なアドレス対応関係を求める手法を採った。
これと同じアドレス対応関係は、次の手法でも求めることができる。
図12(A)において出力画像イメージPIOUTを入力画像(VGA画像)と同じ640x480個のアドレスで与え、これを変形させて歪み画像イメージPIKを生成し、図13(A)では、歪み画像イメージPIKの大きさを変える一方で、投影画像イメージPIの大きさは最初からSVGA対応として変化させず、その位置のみを変えて両画像イメージの最適な重ね合わせを行う。このような手法でも、結果は図13(A)と同じとなる。
【0050】
以上は、スクリーンに向かって左下位置(第3象限P3)からの投射時の歪み補正を述べたが、他の位置からの投射の場合、歪み座標を求める式が異なるのみで、上述した補正方法の手順は同じである。
【0051】
図15(A−1)と図15(B−1)に、スクリーン101に向かって右下位置(第4象限P4)からの投射時における右手座標系のxy平面図とyz平面図を示す。また、プロジェクター1の投射位置は正面投射から動かさないとしたときに、同じ相対関係となるようにスクリーン101を軸回転させた場合のxy平面図とyz平面図を、図15(A−2)と図15(B−2)に示す。このとき、右手座標系で表現したスクリーン101に対するプロジェクター1の回転角度は垂直方向に(−α)度、水平方向に(−β)度となる。
傾いたクリーン101tに投射されたキーストン歪み座標を求める式を、スクリーンに対するプロジェクターの投射角度(垂直(α)、水平(β))で表し、次式(3−1)、(3−2)、(3−3)に示す。
【0052】
【数3】
【0053】
図16(A−1)と図16(B−1)に、スクリーン101に向かって左上位置(第2象限P2)からの投射時における右手座標系のxy平面図とyz平面図を示す。また、プロジェクター1の投射位置は正面投射から動かさないとしたときに、同じ相対関係となるようにスクリーン101を軸回転させた場合のxy平面図とyz平面図を、図16(A−2)と図16(B−2)に示す。このとき、右手座標系で表現したスクリーン101に対するプロジェクター1の回転角度は垂直方向にα度、水平方向にβ度となる。
傾いたクリーン101tに投射されたキーストン歪み座標を求める式を、スクリーンに対するプロジェクターの投射角度(垂直(−α)、水平(−β))で表し、次式(4−1)、(4−2)、(4−3)に示す。
【0054】
【数4】
【0055】
図17(A−1)と図17(B−1)に、スクリーン101に向かって右上位置(第1象限P1)からの投射時における右手座標系のxy平面図とyz平面図を示す。また、プロジェクター1の投射位置は正面投射から動かさないとしたときに、同じ相対関係となるようにスクリーン101を軸回転させた場合のxy平面図とyz平面図を、図17(A−2)と図17(B−2)に示す。このとき、右手座標系で表現したスクリーン101に対するプロジェクター1の回転角度は垂直方向にα度、水平方向に(−β)度となる。
傾いたクリーン101tに投射されたキーストン歪み座標を求める式を、スクリーンに対するプロジェクターの投射角度(垂直(−α)、水平(β))で表し、次式(5−1)、(5−2)、(5−3)に示す。
【0056】
【数5】
【0057】
本実施の形態では、このようにキーストン歪み変形座標をスクリーンとの相対関係情報を用いた式で求め、歪みがない所望の画像とキーストン歪み画像とのマッピングによりアドレスの相対関係を求め、アドレス相対関係にもとづいた補間処理によりLCD表示画面を生成する。マッピングは仮想メモリ空間で実行できるので、実際の画像メモリをこの処理のために占有することなく、効率がよい。また、上記式(または歪み計算のアルゴリズム)は、たとえば相対関係情報にもとづいて適した式(またはアルゴリズム)をCPU2aがROM255から読み出すことによって切り換えることができる。したがって、本実施の形態にかかるプロジェクター1は、スクリーン面が見える位置ならば任意の位置からの投射であっても効率よくキーストン歪み補正が可能で、設置自由度が高い。また、マッピング時に解像度変換を自由に行え、また出来る限り最大の解像度となるような設定が可能なため、その点でも効率がよく、出来るだけ高い解像度で明るい画像が容易に得られる。
さらに、演算部2aの負荷が大きい、式を用いたアドレス計算の対象を代表点に絞り、他のアドレスは補間により生成しているため、この点でも効率がよい。
【0058】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態は、アドレス生成の他の方法に関する実施の形態である。図5および図7のブロック図、および画像変換の基本的な手順は第1の実施の形態と共通する。
【0059】
図18は、第2の実施の形態におけるプロジェクターに内蔵された、イメージプロセッサとその周辺の回路ブロックの構成例を示す図である。
図18に図解した回路が、図6に図解した第1の実施の形態における回路と異なる点は、CPU2aに接続された記憶部27、たとえばRAMを有することである。記憶部27は、代表点アドレスの記憶を行うために設けられている。
【0060】
図19に、アドレス生成の流れをブロック図において示す。
本実施の形態においては、投射パラメータ、たとえば投射角度などに応じてあらかじめ計算された代表点アドレスを記憶部27のテーブルに格納しておく。あるいは、投射パラメータが変化するたびに、それに応じた代表点アドレスをCPU2aが算出し、算出した代表点アドレスを、記憶部27を介してアドレス補間部2bに出力する。アドレス補間部2bは、代表点アドレスを記憶部27から読み出して補間アドレスを生成する。なお、このアドレス補間部2bが補間アドレスを生成している間に、CPU2aによりつぎの投射パラメータに応じた代表点アドレスの算出を実行させることが望ましい。処理時間が短縮できるからである。
【0061】
第1の実施の形態におけるCPU2aは、代表点アドレスを生成する演算部としての役割のほか、アドレスのマッピング手段、さらには他の構成の制御部としての役割がある。このため、処理の負担が大きく、マッピングや他の構成の制御の空き時間に代表点アドレスの生成を行ったのでは、処理のタイミングが適合しないために全体の効率向上が十分でない場合がある。
【0062】
第2の実施の形態では、処理のタイミングが合わない場合でも、演算部(CPU2a)の空き時間を有効利用できるように代表点アドレスを蓄積する記憶部27を設けている。これにより、CPU2aの処理で重く負荷がかかった状態が続く場合でも、記憶部27に必要な代表点アドレスが蓄積されているため、画像変換の処理が滞ることが有効に防止される。代表点アドレスは、相対位置情報、たとえば垂直投射角α、水平投射角β、投射位置座標などの組ごとに記憶部27内に格納されている。
なお、アドレス生成の遅滞を防止するには、代表点アドレス生成用の演算部を、制御用CPU2aと別に設ける実施の形態も可能である。
【0063】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態におけるプロジェクターの構成自体は、上述した第2の実施の形態と同じであり、プロジェクターの構成図として図5、図7および図18が適用される。
第3の実施の形態においては、図5に示す相対関係取得部6は、たとえば押しボタンなど、相対位置情報と等価なパラメータを外部から変更可能なものである。より具体的に、上記パラメータとして垂直補正量と水平補正量があり、それぞれの補正量を変化させる押しボタンとして「+」ボタン」と「−」ボタンが2組設けられている。操作者が垂直補正量または水平補正量のボタンを1回押すと、所定の補正量、たとえば垂直投射角αまたは水平投射角βが所定のステップ、たとえば1度ずつ正または負に変化する。操作者は、ボタンを押すごとにスクリーンの投影画像の歪み補正効果を確認して、次にどのように補正をすればよいかを決める。この操作を繰り返しながら、スクリーンの投影画像が歪みのない正四角形に近くなるまで条件を追い込んでゆく。投影画像が殆ど歪みのない正四角形となったときの垂直補正量と水平補正量が決定されることによって、プロジェクターとスクリーンとの現在の相対位置情報が実質的に取得されたことになる。
【0064】
第3実施の形態では、押しボタンが押されたとき、次に押されるボタンを先読みして、代表点アドレスの計算をあらかじめ行う。たとえば、「+」ボタンが押されると、その押されたときの補正量の代表点アドレスの計算と、その補正量を中心にプラスの向きとマイナスの向きにそれぞれ数ステップ分だけ離れた補正量に対応した代表点アドレスの計算とを開始する。あるいは、「+」ボタンが押された履歴に応じて、即ち、たとえば2回続けて「+」ボタンが押されたときは、先読みの代表点アドレス計算をプラスの向きに数ステップのみ行う。2回続けて「+」ボタンが押されたような場合、プラスの向きに先読みして行う代表点アドレス計算回数を、マイナスの向きでの代表点アドレスの計算回数より多くしてもよい。
これらの先読みの代表点アドレス計算は、CPU2aの空き時間を利用してできるだけ行うようにし、計算した代表点アドレスは記憶部27に蓄積する。後は、第2の実施の形態と同様に必要に応じて代表点アドレスを記憶部27から読み出し、画像変換処理に用いる。
【0065】
第3の実施の形態では、CPU2aへの負担が大きな代表点アドレス計算を、先に予測してあらかじめ計算するので、第2の実施の形態よりさらに画像変換の効率が向上するという利益が得られる。
【0066】
[第4の実施の形態]
本実施の形態は、上記第1〜第3の実施の形態のアドレス生成の変形例に関する。本実施の形態では、演算により求めた代表点アドレス(以下、1次代表点アドレスという)を用いた補間により、その間に、より細かな間隔の2次代表点アドレスを算出し、2次代表点アドレスから補間により最終的なアドレス(補間アドレス)を求める。
なお、ここでは、式(2−1)〜式(2−3)を用いたスクリーンに向かって斜め左下からの投射を行う場合を想定している。本実施の形態におけるアドレス生成手法は、他の向きからの斜め投射においても類推適用できる。
【0067】
図20は、アドレス生成の流れを示すブロック図である。
本実施の形態に係るプロジェクターでは、図7に示すアドレス補間部2bが、第1のアドレス補間部2b−1と第2のアドレス補間部2b−2とを含む。第1のアドレス補間部2b−1は、CPU2aが算出した1次代表点アドレスから、補間により2次代表点アドレスを生成する。第2のアドレス補間部2b−2は、2次代表点アドレスから、補間により各補間アドレスを生成する。
また、このプロジェクターは、1次または2次代表点アドレスを記憶する記憶部28を有する。記憶部28は、代表点アドレス専用として1つ設けてもよいし、1次代表点アドレス用と2次代表点アドレス用に分けて設けてもよい。また、第2および第3の実施形態におけるRAM27を記憶部28として用いてもよいし、CPU2a内部の記憶領域を用いてもよい。
【0068】
第1のアドレス補間部2b−1が用いる第1の補間関数と、第2のアドレス補間部2b−2が用いる第2の補間関数に限定はないが、望ましくは、第1の補間関数が第2の補間関数より高次の関数であるとよい。
以下、第1の補間関数がスプライン関数やキュービック関数などの非線形な関数であり、第2の補間関数が線形な関数であるとして、アドレス生成方法を説明する。アドレスの補間では、相対的に広い一定間隔のアドレスを複数用いて、そのアドレスの間に相対的に狭い一定間隔のアドレスを近似的に求める。その補間により求められたアドレスの各位置を「補間のサンプリング点」と称する。このとき、補間により求めたアドレスと理想的なアドレスとの誤差が問題となるが、この誤差精度を「補間精度」という。
【0069】
図21は、1次代表点アドレス、2次代表点アドレス、および、補間アドレスの関係を例示する図である。
本例では、1次代表点アドレスは32画素ごとに1つの一定間隔で生成され、2次代表点アドレスは一次代表点アドレス間で8画素ごとに1つの一定間隔で生成されると想定する。これは図示上の都合で選んだサンプリング間隔であり、実際の高解像度画像では1次代表点アドレス、2次代表点アドレスともにもっとサンプリングを粗くすることができる。これらの代表点アドレスの間隔は、画像の解像度、用いる補間関数の種類と次数(フィルタタップ数)などを総合的に考慮し、処理効率と補間精度が満足できるように決められる。このとき1次代表点アドレスの間隔と2次代表点アドレスの間隔は、画素数を単位として簡単な整数比であることが望ましい。
【0070】
つぎに、より詳細なアドレス生成の手法を、図22に示すフローチャートに沿って説明する。なお、ここでは、第1の補間関数がスプライン関数であり、第2の補間関数が線形関数であることを前提とした処理の一例を説明する。
ステップST1において、キーストン補正を行う設定として投射角度などのパラメータを設定する。より詳細には、ユーザーがスクリーンに対してプロジェクターを設置し、たとえば相対関係情報取得手段6がスクリーンとプロジェクターとの相対関係を示す情報、たとえば投射角度などを取得する。
【0071】
ステップST2では、CPU2aが1次代表点アドレスを算出する。このとき、設定された投射角度に対してキーストン歪み画像のアドレスを式(2−1)〜式(2−3)を用いて、たとえば32画素に1つの割合で演算により生成する。算出された1次代表点アドレスは、図20に示すように記憶部28内の、たとえば1次代表点アドレス用のテーブルに、たとえば(Kx,Kz)の形式で書き込まれ、一時保持される。
【0072】
ステップST3では、図20に示す第1のアドレス補間部2b−1が、CPU2aにより算出された複数の1次代表点アドレスを記憶部28から適宜読み出し、読み出した複数の1次代表点アドレスをもとにスプライン補間により8画素ごとに1つの割合で2次代表点アドレスを求める。このとき用いるスプライン補間手法を、図23で模式的に示す。
この補間は32画素ごとの1次代表点アドレスから8画素ごとの2次代表点アドレスを生成するのであるから、1次代表点アドレス間に補間するサンプリング点の数は3つであり、その結果、1次および2次の代表点アドレスの位相が4位相となる。図23では一方の1次代表点アドレスを基準(位相差x=0)とすると、もう片方の1次代表点アドレスとの間に、位相差が小さいほうからx=1/4,2/4,3/4の3つの2次代表点アドレスが生成される。
スプライン補間関数Spline(x)の一般式は次式(6)により表される。
【0073】
【数6】
【0074】
ここで、「A」〜「D」は用いる4つの1次代表点アドレス値を表す。また、式(6)に各位相を代入して求めた2次代表点アドレスは、これら「A」〜「D」を用いて次式(7)のようになる。
【0075】
【数7】
【0076】
第1のアドレス補間部2b−1は、このようなスプライン関数を用いたフィルタ演算を、用いる1次代表点を1つずつシフトしながら鉛直と水平の2方向で繰り返し、すべての2次代表点アドレスを生成する。生成された2次代表点アドレスは、図20に示すように記憶部28内の、たとえば2次代表点アドレス用のテーブルに、たとえば鉛直と水平の各アドレス値のペア形式で書き込まれ、一時保持される。
【0077】
ステップST4で、図20に示す第2のアドレス補間部2b2が、複数の2次代表点アドレス値を記憶部28から適宜読み出し、読み出した複数の2次代表点アドレス値をもとに線形補間により、8画素ごとに1つの割合の2次代表点アドレス間を埋めるように残りのアドレス(補間アドレス)を求める。この補間も、たとえば鉛直と水平のフィルタ演算によりすべての歪み画像の画素で求め、求めた補間アドレスを図7に示すように、たとえばCPU2aを介してデータ補間部2cに出力する。
【0078】
このときCPU2aは、すべての歪み画像の画素でアドレス生成が終わったか否かを監視しており(ステップST5)、この判断が「No」の場合はステップST3とST4を繰り返すことにより、上記したすべての補間アドレスの生成が実行される。
ステップST5の判断が「Yes」となると、処理フローがつぎのステップST6に移行する。
【0079】
ステップST6は、「すべて終了か否か」すなわち設定(プロジェクター位置、スクリーン位置あるいは光学系の条件)ならびに電源の操作や入力信号の有無などが変わっていないかを監視するステップである。この判断が「No」の場合は、プロジェクターが起動状態にあり映像信号の入力があることを条件に、ステップST2〜ST5の処理が繰り返される。設定が変更されていない場合、あるいは、電源がオフされると、この判断が「終了(Yes)」となるため当該処理全体が終了する。
【0080】
なお、このようなアドレス生成のための第1および第2のアドレス補間部2b−1,2b−2は演算が可能なフィルタ演算回路などのハードウエハで実現してもよいし、あるいは、マイクロコンピュータやCPUに書き込まれたプログラムなどのソフトウェアにより実現してもよい。また、ここではプロジェクターの投射する角度や補間処理を行う補間フィルタの種類やタップ数、入力解像度や出力信号解像度などは任意であり、上記で説明したものに特定されない。さらに、2次代表点アドレスから3次代表点アドレスを補間により生成してもよい。つまり、生成する代表点アドレスの次数は任意である。ただし、望ましくは、たとえば元になる代表点アドレスほど補間精度が高い関数を用いることとして、アドレス生成の初期段階で低い補間精度にならないように留意する。
【0081】
つぎに、本発明の実施の形態の効果を、幾つかの比較例と対比させることにより説明する。
【0082】
まず、第1〜第4のすべての実施の形態の比較例として、代表点アドレス方式をとらない場合のアドレスの演算量および保持量について説明する。代表点アドレス方式をとらない場合としては、画素データの補間処理に用いるアドレス(補間アドレス)をあらかじめ演算により求め保持しておく方法と、すべての補間アドレスを演算により逐次求める方法とがある。
【0083】
いずれにしても、式(2−1)〜式(2−3)により1つの画素のキーストン歪み補正に必要な補間アドレスが求められ、これが繰り返されて1フレームの歪み画像の補間に必要なアドレスが生成される。すなわち、液晶パネルに出力する場合、液晶パネルの解像度の画素数に相当する水平アドレスと鉛直アドレスが必要になる。具体的にパネルがXGA仕様であれば、水平に1024画素、鉛直に768画素あるので、次式(8)で計算される情報量が補間アドレスとして必要となる。
【0084】
【数8】
【0085】
この式(8)は、ある1つの角度についてのキーストン歪み補正で必要な情報量を表しており、角度の設定を変更した場合には、あらたな設定角度でのキーストン補正を行うための補間アドレスがさらに必要となる。
必要な補間アドレスを保持する場合、従来の1つの方法としてすべての補間アドレスデータをテーブルとしてもつことが考えられる。しかし、この場合、式(8)で表される情報量を想定される角度設定の数だけ掛け算した情報量が格納できるテーブルが必要となる。また、このときのパターンは鉛直と水平の2方向の組み合わせになるのでデータとして膨大になり、あまり現実的でない。
すべてのアドレスを逐次CPUにより計算させる場合、設定された角度に対してCPUで式(2−1)〜式(2−3)で表されるアドレス計算を行い、所定の記憶素子に対して一時記憶させておくことで利用に供する。この場合、角度が設定されてから初めて補間アドレスを計算し始めるので、CPUの計算が終わらないとキーストン歪み画像の画素データ補間を行うことができない。
【0086】
これに対し、本発明の第1〜第4の実施の形態では、一定間隔のアドレスだけをCPU2aで算出して保持しておき、算出したアドレス間の他のアドレスについては補間により生成し、補填して用いることができる。その結果、CPU2aの演算量と保持しておくアドレスの量を低減することができた。
【0087】
ところが、第1〜第3の実施形態では、代表点アドレスの補間が1回のみで、その間の他のアドレスを演算時間が短い線形補間などで補間により求めると、本来非線形なアドレスを線形にしていく課程で誤差がともなう。また、代表点アドレスすべてを補間精度が高いスプライン補間などの非線形補間により求めると、その補間処理に時間がかかり、回路規模も大きくなる。そのため、ある程度高い補間精度を実現しようとすると、処理時間短縮および信号処理回路の小型化に限界がある。すなわち、ある程度の精度を考えた場合に、誤差を少なくするためには、代表点アドレスの間隔を狭くするか、非線形の補間を採用するため、補間精度と、処理時間および回路規模にトレードオフが存在する。
【0088】
第4の実施の形態では、2回目以降の代表点アドレスの補間処理を導入し、この中程度のサンプリング間隔の補間でたとえば非線形補間を行って補間精度を確保し、最終的な補間アドレス生成は高速で簡素な回路で実現できる線形補間などで行う。その結果、上記トレードオフを解消または緩和し、高い精度の補間を高速に行うことができる。
【0089】
以下、すべての補間アドレスを、たとえばスプライン関数やキュービック関数など3次の次数をもつ関数を用いた高い精度の補間により行う場合と、途中まで、この精度が高い補間で行い、残りのアドレス生成を線形補間により行う場合との比較を行う。
いま仮に高精度の補間関数f(x)が3次関数であったとし、位相を256精度でもったならば、高精度補間関数をすべてのアドレス生成に用いてしまうと、3次関数の第1項だけでも、少なくとも次式(9)に示すように8ビット精度(=28)の値を3乗回(=224)計算しなければならない。これでは、算出までの負荷が大きく、処理時間がかかり、あるいは、ハードウェアで構成したときに回路規模が大きくなってしまっていた。つまり、この方法ではすべての位相の補間演算をこの高次関数で実行しようとするため、位相が細かくなればなるほど、演算が複雑化してしまう。
【0090】
【数9】
【0091】
これに対して、第4の実施の形態の手法を用いて同などの演算を行う例として、1次代表点アドレスとして256位相を、2次代表点アドレスとして64位相を選び、2次代表点アドレスから所望の補間アドレスを線形補間により求めると仮定する。このときのアドレス計算は、次式(10)のように表される。
【0092】
【数10】
【0093】
この場合、乗算が2回に分割されるために一般的には回路規模の大きくなる乗算器のビット幅を小さくすることができるばかりでなく、固定値計算(すなわち、同じ値の繰り返し計算)ですむ部分が多くなり、大幅な回路規模の縮小が可能となる。
ただし式(9)と式(10)では、若干補間したときの誤差精度が異なリ、式(9)での演算はより精度が高いが、第4の実施の形態では、その程度の誤差精度は問題にならない範囲での使用が前提となる。つまり、第4の実施の形態に示す手法を用いると、キーストン歪み補正が人間の視覚による認識精度を超えるような高い精度は必要にならないため、そのことを積極的に利用してアドレス計算の効率向上と回路規模低減を図ることができる。
【0094】
なお、上述した第1〜第4の実施の形態において、プロジェクターのLCD表示面をスクリーンに対してひねる動作を付加しても良い。具体的には、プロジェクター1またはLCDパネル3を、その光軸または光軸に平行な軸を中心に軸回転させる動作を追加する。これによって、LCDパネル面内で画像をさらに大きく表示することによってパネル面の有効利用を図り、解像度と明るさがより改善される。
【0095】
上述した第1〜第4の実施の形態においてはVGA画像をSVGA画像に変換する場合を例示したが、変換前の画像の解像度、変換後の画像の解像度、およびLCDパネルの解像度は任意である。また、代表点アドレスのサンプリングレートも任意である。図24の図表に、バイリニア補間で必要となる代表点アドレス数をパネル解像度ごとに例示している。
【0096】
【発明の効果】
本発明に係る画像投射装置および画像変換方法によれば、アドレス計算点の増加または計算式の複雑化によって増大するアドレス計算の負担が軽減され、処理の高速化を図ることができる。またアドレス生成を回路により実現する場合は、その回路規模を縮小することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施の形態におけるフロントプロジェクターをスクリーンの正面に配置した場合に、これらを上方から見た図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるプロジェクターの配置可能な範囲を、正面配置の位置を中心として示す図である。
【図3】(A)は横からの画像投影時の図、(B)は入力画像イメージを示す図、(C)はLCDパネル面上での画像イメージ図である。
【図4】(A)は正面位置から水平と垂直の双方の方向にずれた位置からの斜め投射時の図、(B)は入力画像イメージ、(C)はLCDのパネル面上での画像イメージである。
【図5】本発明の実施の形態におけるプロジェクターの基本構成を示す図である。
【図6】第1の実施の形態のプロジェクターにおいて、図1の回路部に含まれる、イメージプロセッサとその周辺の回路の一構成例を示すブロック図である。
【図7】イメージプロセッサ内部の回路の一構成例を示すブロック図である。
【図8】(A)は正面投射の場合の右手座標系におけるプロジェクターとスクリーンの位置関係を示す図である。(B)はyz平面図、(C)はxy平面図である。
【図9】(A)は垂直投射角α度、水平投射角β度の場合に、右手座標系におけるプロジェクターとスクリーンの位置関係を示す図である。(B)はyz平面図、(C)はxy平面図である。
【図10】(A)〜(C)は、スクリーンを軸回転させた場合の図9(A)〜図9(C)と等価的な斜め投射の位置関係を示す図である。
【図11】(A)および(B)は座標関係についてまとめて示す図である。
【図12】(A)は正面投射のSVGA出力画像のアドレスマップのイメージ図、(B)はキーストン変形による歪み画像イメージ図である。
【図13】(A)はマッピング時に2つの画像イメージを重ねた図、(B)は補間演算により生成したLCDパネルの表示画面である。
【図14】代表点アドレスの取り方の変形例を示す、マッピング時の画像イメージ図である。
【図15】(A−1)〜(B−2)は、スクリーンに向かって右下からの投射時における右手座標系のxy平面図とyz平面図、およびそれらと等価な平面図である。
【図16】(A−1)〜(B−2)は、スクリーンに向かって左上からの投射時における右手座標系のxy平面図とyz平面図、およびそれらと等価な平面図である。
【図17】(A−1)〜(B−2)は、スクリーンに向かって右上からの投射時における右手座標系のxy平面図とyz平面図、およびそれらと等価な平面図である。
【図18】第2および第3の実施の形態のプロジェクターにおいて、図1の回路部に含まれる、イメージプロセッサとその周辺の回路の一構成例を示すブロック図である。
【図19】第2の実施の形態のプロジェクターにおいて、アドレス生成の流れを示すブロック図である。
【図20】第4の実施の形態のプロジェクターにおいて、アドレス生成の流れを示すブロック図である。
【図21】第4の実施の形態におけるアドレス生成で、1次代表点アドレス、2次代表点アドレス、および、補間アドレスの関係を例示する図である。
【図22】第4の実施の形態におけるアドレス生成の手法を示すフローチャートである。
【図23】第4の実施の形態で用いることができるスプライン補間手法を模式的に示す図である。
【図24】バイリニア補間で必要となる代表点アドレス数をパネル解像度ごとに示す図表である。
【符号の説明】
1…プロジェクター、2…回路部、2a…演算部、2b…アドレス補間部、2b−1…第1のアドレス補間部、2b−2…第2のアドレス補間部、2c…データ補間部、3…LCDパネル、3a…表示画像、4…投光部、5…光学部、6…相対関係取得部、21…コムフィルタ、22…クロマデコーダ、23…セレクトスイッチ、24…アナログ−ディジタル・コンバータ、25…イメージプロセッサ、26…画像メモリ、27,28…記憶部、101,101t…スクリーン、101a…投影画像、251…IP変換部、252…スケーラ、253…CPUインターフェース、254…メモリ制御部、257…係数発生部、258…フィルタ演算部、PI…投影画像イメージ、PIK…画像イメージ、PIOUT…出力画像イメージ、α,β…投射角度
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像表示部に画像を表示し、その表示画像を投射面に光を利用して投射する画像投射装置と、表示画像を生成する際の画像変換方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】
いわゆるプロジェクターと称される画像投射装置は画像表示部、たとえばLCD(Liquid Crystal Display)を有している。画像表示部に画像を表示させ、その表示画像を外部の投射面、たとえばスクリーンの面に投射する。
【0003】
このとき、スクリーンに対するプロジェクターからの画像の投射角度が斜めであると、本来、矩形状であるはずの画像がスクリーン上で台形状に歪む。このため、スクリーン上の画像の台形歪みを補正するいわゆるキーストン補正機能を備えた液晶プロジェクターが知られている。
【0004】
鉛直または水平のキーストン歪み補正では、スクリーン上の投影画像と逆方向に意図的に歪ませた画像を液晶パネル上で生成する。正矩形の入力画像を意図的に歪ませる画像変換は、通常、プロジェクターが有する画素数変換機能を利用して行う。たとえば、鉛直のキーストン歪み補正では、元画像の1フレーム内の単数または複数の水平ラインデータに対して、補間処理や間引き処理をディジタル的に施すことにより台形歪みの逆変換を実行する。
【0005】
この画像変換を、座標変換式を用いて行う方法が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
この方法では、液晶パネル上の整数座標に対応する実数座標を座標変換式によって算出し、実数座標の周囲にある画素データをフレームメモリから読み出して、補間演算により整数座標に書き込む画素データの値を求めることによって、台形歪みが補正された画像を液晶パネル上に形成する。
【0006】
【特許文献1】
特開2003−29714号公報(第3〜第4頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この特許文献1に開示された方法では、鉛直方向の歪み補正と、水平方向の歪み補正を同時にできない。また、特許文献1には、鉛直方向の変換式は示されているが、水平方向の変換式が開示されていない。水平方向の変換は、一般的に、複数ラインの画素データの変換であるため、より複雑な式となると考えられる。このため、特許文献1に記載されたキーストン歪み補正方法が適用されたプロジェクターでは使い勝手が悪くなり、製品としての魅力に乏しい上、トータルの処理時間が長くなり処理効率が悪いという課題がある。
【0008】
本発明の第1の目的は、鉛直方向と水平方向に歪んだ画像の補正が可能であり、かつ、その補正時の処理の負担を軽減した画像投射装置を提供することにある。
本発明の第2の目的は、入力画像を変換することにより、鉛直方向と水平方向に歪んだ画像を補正する際の処理の負担を軽減した画像変換方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の観点に係る画像投射装置は、上述した第1の目的を達成するためのものであり、画像表示部を有し、当該画像表示部に表示された表示画像を外部の投射面に光を利用して投射する画像投射装置であって、前記表示画像を前記投射面に対し斜めに投射したときに投射面上で生じる歪み画像の代表点アドレスを演算により生成する演算部と、前記代表点アドレスの間の他のアドレスを補間により生成するアドレス補間部と、投射したときに前記投射面上で歪みが補正される表示画像の画素データを、入力画像の複数の画素データから補間により生成し、生成した画素データを、前記歪み画像のアドレスと所望の画像のアドレスとの対応関係から決められる前記画像表示部の位置に出力するデータ補間部と、を有する。
【0010】
好適に、前記アドレス補間部が、前記演算から求めた1次代表点アドレスから、当該1次代表点アドレスより間隔が狭い2次代表点アドレスを補間により生成する第1のアドレス補間部と、前記2次代表点アドレスから、当該2次代表点アドレス間に他のアドレスを補間により生成する第2のアドレス補間部と、を含む。
【0011】
本発明では、前記画像表示部と前記投射面との相対関係情報を取得する相対関係取得部をさらに有し、前記演算部は、前記相対関係情報をパラメータとした演算を実行する。この場合、好適に、前記演算部は、前記アドレスと前記データの補間中に、次に入力が予想される相対関係情報に応じた歪み画像の代表点アドレスの演算をあらかじめ実行する。
【0012】
本発明の第1の観点に係る画像変換方法は、上述した第2の目的を達成するためのものであり、投射面に光を利用して投射する表示画像を画像表示部に生成するために、入力画像を変換する画像変換方法であって、前記入力画像を前記投射面に対し斜めに投射したときに投射面上で生じる歪み画像の代表点アドレスを演算により生成するステップと、前記代表点アドレスの間の他のアドレスを補間により生成するステップと、前記代表点アドレスおよび前記他のアドレスにより形成される前記歪み画像のアドレスと所望の画像のアドレスとを対応付けるステップと、得られたアドレスの対応関係にもとづく前記画像表示部の位置に、前記表示画像の新たな画素データを、前記入力画像の複数の画素データから補間により生成するステップと、を含む。
【0013】
好適に、アドレスを補間により生成する前記ステップが、前記演算から求めた1次代表点アドレスから、当該1次代表点アドレスより間隔が狭い2次代表点アドレスを補間により生成する第1のアドレス補間ステップと、前記2次代表点アドレスから、当該2次代表点アドレス間に他のアドレスを補間により生成する第2のアドレス補間ステップと、を含む。
【0014】
本発明では、前記代表点アドレスの前記演算に用いる、前記画像表示部と前記投射面との相対関係情報を取得するステップを、さらに含み、前記代表点アドレスの生成ステップでは、前記相対関係情報をパラメータとした演算を実行する。この場合、好適に、前記アドレスの補間、前記アドレスの対応付けおよび画素データの前記補間中に、次に入力が予想される前記相対関係情報に応じた歪み画像の代表点アドレスの演算をあらかじめ実行する。
【0015】
第1の観点では、歪み画像の代表点アドレスを演算部が演算により生成し、代表点アドレス間の他のアドレスをアドレス補間部が生成する。これら2つの手段によって生成されたアドレスが歪み画像のアドレスを形成する。この歪み画像のアドレスと所望の画像のアドレスとの対応関係にもとづいて、歪み画像と所望の画像のアドレス対応関係が一義的に決まる。歪み画像というのは、もともと正矩形の画像を斜めに投射したときに投射面上に映し出された画像であることから、この関係が求まれば、逆に正矩形の画像を投射面上で得るための補正後の画像のアドレスがわかる。したがって、データ補間部は、このアドレスの対応関係にもとづく画像表示部の位置に、表示画像の新たな画素データを補間により生成する。以後、生成した表示画像を画像表示部が投射すると、歪みが補正された所望の画像が投射面上に現出する。
第1の観点で好ましい態様では、アドレス補間部が、演算により求めた第1の代表点アドレス間に第2の代表点アドレスを補間により生成し、さらに、第2の代表点アドレス間に他のアドレスを補間により生成する。
また、他の好ましい態様では、画像表示部と前記投射面との相対関係情報が取得され、演算部は、この相対関係情報をパラメータとした演算を実行する。このとき、演算部は、アドレスとデータの補間中に、次に入力が予想される相対関係情報に応じた歪み画像の代表点アドレスの演算をあらかじめ実行する。
【0016】
本発明の第2の観点に係る画像投射装置は、前述した第1の目的を達成するためのものであり、画像表示部を有し、当該画像表示部に表示された表示画像を外部の投射面に光を利用して投射する画像投射装置であって、前記表示画像を前記投射面に対し斜めに投射したときに投射面上で生じる歪み画像の代表点アドレスを記憶している記憶部と、前記代表点アドレスの間の他のアドレスを補間により生成するアドレス補間部と、投射したときに前記投射面上で歪みが補正される表示画像の画素データを、入力画像の複数の画素データから補間により生成し、生成した画素データを、前記歪み画像のアドレスと所望の画像のアドレスとの対応関係から決められる前記画像表示部の位置に出力するデータ補間部と、を有する。
【0017】
本発明の第2の観点にかかる画像変換方法は、前述した第2の目的を達成するためのものであり、投射面に光を利用して投射する表示画像を画像表示部に生成するために、入力画像を変換する画像変換方法であって、
前記入力画像を前記投射面に対し斜めに投射したときに投射面上で生じる歪み画像の代表点アドレスを、前記画像表示部と前記投射面との相対関係ごとに記憶部にあらかじめ記憶させるステップと、前記相対関係の情報を取得するステップと、取得した相対関係の前記情報に対応した前記代表点アドレスを前記記憶部から読み出し、読み出した当該代表点アドレスの間の他のアドレスを補間により生成するステップと、前記代表点アドレスおよび前記他のアドレスにより形成される前記歪み画像のアドレスと所望の画像のアドレスとを対応付けるステップと、得られたアドレスの対応関係にもとづく前記画像表示部の位置に、前記表示画像の新たな画素データを、前記入力画像の複数の画素データから補間により生成するステップと、を含む。
【0018】
第2の観点では、代表点アドレスをあらかじめ算出し、記憶部に記憶させておく。このとき、画像変換方法のように、画像表示部のスクリーンに対する相対関係ごとに代表点アドレスを記憶させる。記憶部内の代表点アドレスのうち、用いる代表点アドレス間の他のアドレスを、アドレス補間部が補間により生成する。その後、第1の観点と同様、アドレスの対応付けを行い、この対応関係にもとづく画像表示部の位置に、表示画像の新たな画素データを補間処理により生成する。以後、画像表示部が表示画像を投射すると、歪みが補正された所望の画像がスクリーン上に現出する。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の画像投射装置(プロジェクター)と、それに用いる画像変換方法の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1に、フロントプロジェクターをスクリーンの正面に配置した場合に、これらを上方から見た図を示す。
図1に示す配置おいて、プロジェクター1の投射光の軸と映像が映るスクリーン101とが、上から見ると直交するように配置される。プロジェクター1で投射する映像はテレビ信号やコンピュータ画面の信号である。これらの信号に重畳された映像の表示領域の形状は、テレビやコンピュータディスプレイを見れば分かるように、信号によって画素数に違いはあるものの映像全体として4:3や16:9などの辺の比(アスペクト比)をもつ長方形である。プロジェクター1のLCDパネルに表示された長方形の映像は、まっすぐに投射しなければ投射された映像も長方形にならず、本来の映像の形をゆがめてしまう結果になる。
【0021】
図2は、正面に配置したプロジェクターの位置をP0としたときに、本発明の実施の形態におけるプロジェクター1の配置可能な範囲を示す図である。
プロジェクター1は、正面位置P0を含む水平面Ph内に配置でき、また、正面位置P0を含む垂直面Pv内に配置できる。さらに、プロジェクター1は、2つの平面Ph,Pvによって区切られる第1象限P1、第2象限P2、第3象限P3、第4象限P4のいずれにおいても任意に配置できる。
プロジェクター1は、その内部のLCDパネルの表示画像を、上述した範囲内であればどの位置から投射してもよい。プロジェクター1は、投射位置に応じた画像の歪みを補正する機能を有しているので、この機能を働かせれば恰も正面から投射したときと同じアスペクト比をもった正四角形の画像をスクリーン101上に映し出すことができる。この補正を、キーストン歪み補正という。
【0022】
図3(A)に、水平面内でスクリーンに向かって左横からの画像投影イメージを示す。図3(B)に入力画像イメージを、図3(C)にプロジェクターに内蔵されたLCDパネル面上での画像イメージを示す。
図3(A)に示すように、スクリーン101に向かって左横にプロジェクター1を配置して投射しているが、スクリーン101上の映像は正面から投射しているときと同じように見える。本来であれば、投射された画面は図中の斜線部を含め全体が台形に歪んだように変形するはずである。これを横キーストン変形といい、横キーストン変形を補正することを横キーストン補正という。
このように横に置いたプロジェクター1から画像を投射して、それが正面から投射したかのようにスクリーン101上で映るには、あらかじめプロジェクター1の投射位置によって画像がどのように歪むかを計算しておかなければならない。このとき、横から投射したときに歪む形に対して作為的に逆の方向に歪ませた画像を作り、それを投射することで横方向から投射しても画像を正面から投射した時と同じように見せることができる。上記具体例で図3(A)のような投射映像を得るためには、図3(B)の入力画像を図3(C)のようにLCDパネル面上で故意に変形して表示させ、この表示画像をスクリーン101に投影する。
【0023】
図4(A)に、図2における第3象限P3からの画像投影イメージを示す。また、図4(B)に入力画像イメージを、図4(C)にLCDのパネル面上での画像イメージを示す。
図3(A)の横キーストン歪みは台形歪みであったが、これに垂直方向の歪み成分が加わった図4(A)の場合、さらに歪み形状が複雑になる。図4(A)に示す正四角形の補正後の投影画像を得ようとすると、LCDパネル表示画像は、図4(C)に示すように画像をLCDパネル面内で回転させたようにする必要がある。
図4(C)および前記図3(C)のいずれの場合でも、補正前の投影画像形状と逆に故意に歪ませた画像をLCDパネル面の有効表示領域いっぱいに表示すれば、解像度、明るさの低下が極力抑えられた正四角形の投影画像がスクリーン上に得られる。
【0024】
以下、入力画像をLCDパネルの表示画像に変換することによって、このような補正が可能な画像投射装置と画像変換方法の実施の形態を、より詳細に説明する。この画像変換では、図4(A)のように第3象限P3からの投射の場合を例に水平および垂直の歪みを同時に補正可能なアドレス生成の一般式を求める。水平のみ、あるいは垂直のみの歪み画像は、この一般式において水平または垂直の投射角度がゼロの場合で表現できる。また、第3象限以外の他の象限からの投射は、式が異なるのみで考え方は同じである。
【0025】
[第1の実施の形態]
図5に、プロジェクターの基本構成を示す。
プロジェクター1は、映像信号(入力信号)に種々の信号処理を施す回路、各種駆動系の回路を含む回路部2を有する。回路部2は、信号処理回路内の一部に、制御部および演算部としての中央演算処理部(CPU)2a、アドレス補間部2b、および、データ補間部2cを含む。プロジェクター1は、入力信号に各種信号処理を施した信号が示す入力画像を画像変換して得られた表示画像3aを表示する画像表示部3、たとえばLCDパネルを有する。また、プロジェクター1は、表示画像3aを外部に投射するための光源を含む投光部4と、各種レンズを含む光学部5とを有する。LCDパネル3は透過型と反射型のいずれでもよいが、いずれにしても表示画像3aが、光学部5を通って投射面としてのスクリーン101に投影画像101aとして映し出されるものであればよい。
演算部としてのCPU2aは、画像変換に必要な歪み画像のアドレスのうち、任意のサンプリングレートでサンプリングされた代表点アドレスを演算により算出する。CPU2aは、アドレス同士の相対関係を求める手段(以下、マッピング手段という)としても機能する。CPU2aは、他の構成を制御する役目もある。代表点アドレスの演算およびアドレスの対応付け(マッピング)についての詳細は後述する。
【0026】
プロジェクター1は、LCDパネル3の表示画像とスクリーン101との相対的な関係を示す相対関係情報を取得する相対関係取得部6を有する。相対関係取得部6は、外部から相対関係情報を入力する入力部、外部操作手段(ボタンなど)、想定される相対関係情報をあらかじめ記憶した記憶部(たとえば、ROM)、あるいは相対関係を自ら検出する手段など、種々の形態がある。相対関係取得部6は、たとえば、少なくとも、表示画像のスクリーン101までの距離と、光学部5の光軸とスクリーン面とのなす角度とを取得する。
【0027】
液晶などの固定画素のパネルを用いるプロジェクターでは、入力された入力画像の画素数と出力画像の画素数とが異なる場合がある。そのため画素数を変換するための信号処理機能を備えている。これをスケーリング機能と呼ぶが、この処理では、本来画素データの無い位置でのデータが必要になり、画素の補間演算が行われる。補間演算では、周辺の画素のデータを用いて目的の位置の画素データを作り出す。この機能は、たとえば、イメージプロセッサと称される画像処理回路内に、スケーラと呼ばれる回路ブロックを内蔵させることにより実現される。
【0028】
図6は、図5の回路部2に含まれる画像処理回路、すなわちイメージプロセッサとその周辺の回路ブロックの一構成例を示す図である。
図解した画像処理回路は、コムフィルタ(Comb Filter)21、クロマデコーダ(Chroma Decoder)22、セレクトスイッチ(SW)23、アナログ−ディジタル・コンバータ(A/D)24、イメージプロセッサ(Image Processor)25、SDRAMなどからなる画像メモリ26、および、CPU2aを有する。このうち、イメージプロセッサ25とCPU2aが、画像変換の機能を実現するための一実施態様に該当する。なお、これらの画像メモリ26やCPU2aの機能をイメージプロセッサ25内に一体化させてもよい。
【0029】
図解した画像処理回路は、コンポジットビデオ信号(以下、Video信号)、Y/C信号、RGB信号のいずれの映像信号にも対応している。Video信号はコムフィルタ21に、Y/C信号はクロマデコーダ22に、RGB信号はセレクトスイッチ23に、それぞれ入力される。いま、Video信号が入力されている場合を考えると、コムフィルタ21でY/C信号に変換され、続くクロマデコーダ22でYUV信号に変換される。セレクトスイッチ23によって選択された信号がA/D24により変換されてディジタル信号になる。この信号がイメージプロセッサ25に入力され、所望の信号処理が行われる。このとき、イメージプロセッサ25の処理がCPU2aにより制御され、処理中に、適宜画像メモリ26が使用される。所望の信号処理が行われた後は、処理後の信号が画像表示部、たとえばLCDパネル3に送られ、この信号にもとづいてLCDパネル3に投射する画像が表示される。
【0030】
図7に、イメージプロセッサ内部の回路ブロックの一構成例を示す。
イメージプロセッサ25は、IP(Interlace−Progressive)変換部251、スケーラ252、CPUインターフェース253、メモリ制御部254、およびROM255を有する。スケーラ252は、アドレス補間部2b、係数発生部257、およびフィルタ演算部258を有する。このうち、係数発生部257とフィルタ演算部258が図5におけるデータ補間部2cの一実施態様に該当する。
【0031】
イメージプロセッサ25に入力された映像信号はIP変換部251に送られ、ここでインターレース信号がプログレッシブ化される。この処理では画像メモリ26を用いるが、メモリインターフェースとしてのメモリ制御部254にIP変換部251が接続されることによって、IP変換部251は画像メモリ26との間で画像データのやり取りを行う。プログレッシブ化された信号は、スケーリング処理を行うためにスケーラ252に送られる。スケーラ252の内部では、歪み補正に必要なアドレスのうち、前述した代表点アドレス間の他のアドレスを、アドレス補間部2bで補間処理により生成する。フィルタ係数を係数発生部257で発生させ、発生させたフィルタ係数をフィルタ演算部258に供給する。フィルタ演算部258が、与えられたフィルタ係数を用いた補間演算処理を行い、入力した映像信号が示す入力画像が、所定の大きさと形状を有したLCDパネルの表示画像に変換される。この変換後の表示画像の信号が出力され、LCDパネル3に送られる。この補間演算に用いるアドレスやフィルタ係数などのデータを保持するROM255がスケーラ252に接続され、これら一連の処理を含むイメージプロセッシングを制御するCPU2aのインターフェース253がIP変換部251、スケーラ252およびROM255に接続されている。
【0032】
図6に図解した例において、相対関係取得部6(図5)からの相対関係情報がCPU2aに入力される。CPU2a自身によって、さらに、CPU2aに制御されながらイメージプロセッサ25内のアドレス補間部2bによって、入力画像を表示画像に効率よく変換するための歪み画像データのアドレスが生成される。本実施の形態の画像変換では、アドレス生成手法に大きな特徴の1つがある。
【0033】
以下、アドレス生成手法の実施の形態を、図面を用いて詳しく説明する。
また、以下の説明では、フロントプロジェクターの表示画像を、スクリーンに対して正面の位置を基準に、垂直方向にα度上向きで、水平方向ではスクリーン正面から左にβ度回転した位置から斜めに投射する場合を主に説明する。角度αおよびβが正の場合、投射位置は図2の第3象限P3に属する。他の象限からの投射時の補正は、ほぼ同じような考え方、方法で行える。このとき入力信号としてVGA(640画素×480ライン)の解像度をもつ映像信号が入力され、これをSVGA(800画素×600ライン)に解像度変換し、また斜め方向から投射する場合のスクリーン上の投影画像の歪みをとる補正も画像変換処理で行う場合について説明する。
【0034】
図8(A)に、正面投射の場合の右手座標系におけるプロジェクター1とスクリーン101の位置関係を示す。また、それに対応したyz平面図を図8(B)に、xy平面図を図8(C)に、それぞれ示す。このとき、プロジェクター1の位置座標を(Px,Py,Pz)、スクリーン101上の任意の点の位置座標を(Sx,Sy,Sz)で表す。位置座標(Px,Py,Pz)と(Sx,Sy,Sz)により決まるスクリーン101とプロジェクター1の距離、および、前記斜め投射角度αとβが、前述した相対関係情報である。
図8(B)および図8(C)に示すように、正面投射ではスクリーン面と光軸が直交する。ただし、光軸はスクリーン中央ではなく下寄り位置、ここではスクリーン下辺中央付近でスクリーン面と交差している。フロントプロジェクターを机の上に配置し、あるいは天井から吊るような配置を取る場合、レンズの中心とスクリーンの中心を結ぶ線が地面と平行にはならないように両者を配置させるためである。これは、たとえばプロジェクターを机に置いて投射した場合、投射する画像の下端部分が机に映ってしまわないようにするための仕様であり、光学オフセットと称される。
【0035】
図9(A)に、垂直方向にα度上向きで、水平方向については向かって左手からスクリーンに対しβ度の角度で斜めに投射する場合、右手座標系におけるプロジェクターとスクリーンの位置関係を示す。また、yz平面図を図9(B)に、xy平面図を図9(C)に、それぞれ示す。このとき、右手座標系で表現したスクリーン101に対するプロジェクター1の回転角度は垂直方向にα度、水平方向に(−β)度となる。
【0036】
ここで、キーストン歪み補正を考えやすくするために相対的な視点を変えることを考える。図9(A)〜図9(C)ではプロジェクター1の位置を動かして斜め方向から投射していたが、ここでは、相対的な位置関係を維持したままでプロジェクター1は動かさずに、スクリーン101を、その場で軸回転させることを想定する。
図10(A)〜図10(C)に、スクリーンを軸回転させた場合の図9(A)〜図9(C)と等価的な斜め投射の位置関係を示す。このとき、右手座標系で表現するとスクリーンを、その下辺(x軸)を中心に直立位置からy方向(背面側)に(−α)度傾かせ、向かって左側の辺(z軸)を中心に左回転方向にβ度回転させる。つまり、図10(B)と図10(C)に示す傾きおよび回転の角度は、図9(A)〜図9(C)に示すプロジェクターの設置位置からの投射角度に対して符号が逆になる。
【0037】
以下、図10(A)〜図10(C)のように、正面の位置にプロジェクター1があり、この位置から傾いたスクリーン(以下、101tと表記)に映像を投射した場合に、投射された映像(投影画像)がどのように変形しているかを考える。
プロジェクター1が投射する光は、図9(A)でスクリーン101のあったzx平面上を通過して傾いたスクリーンに映る。傾いたスクリーン101tがある平面は、原点を中心に垂直に(−α)度、水平にβ度回転しているので、原点を中心とした回転行列を用いて表現することができる。本実施の形態では水平と垂直の回転なので、先に水平方向に回転させた後に、次に垂直方向の回転を行う手順によって回転行列が定義される。具体的には、zx平面の法線ベクトル(nx,ny,nz)が、回転によって次の行列式(1)で表現される。
【0038】
【数1】
【0039】
プロジェクター1の位置とスクリーン101の位置していたzx平面上の点を結ぶ直線を考え、この直線と行列式(1)の法線ベクトルをもつ平面との交点を求める。この交点が、傾いたスクリーン101tの平面に映る映像の座標点である。この傾いたスクリーンの座標点に対して、図9(A)のように視点をスクリーンの正面において見る場合には、再び反対向きの回転として原点を中心に垂直にα度、水平に(−β)度回転させればよい。すると、斜め方向から投射した場合に歪む形が求められる。このような方法によって導出されたx方向、y方向、z方向の座標を、それぞれ次式(2−1)、(2−2)、(2−3)に示す。
【0040】
【数2】
【0041】
これらの式で表される(Kx,Ky,Kz)は、図9(B)に示すようにプロジェクター1を垂直にα度上向きで、図9(C)のように水平方向にスクリーン101に対して左から(−β)度の角度で投射するとき、キーストン歪みによって変形された座標である。
図11(A)および図11(B)に、座標関係についてまとめて示した。これらの図で(Sx,Sy,Sz)はスクリーンの座標であり、正面投射の場合にスクリーン上に正四角形に映し出される入力画像の座標に相当する。また、座標(Kx’,Ky’,Kz’)は図10(B)および図10(C)のように斜めに傾いたスクリーン101tの平面上に投射された座標である。上述のように(Kx,Ky,Kz)はキーストン歪み変形座標である。
このように、前述した3つの式(2−1)、(2−2)、(2−3)により、任意の方向からの投射によってもたらされるキーストン歪変形座標が与えられる。
【0042】
つぎに、出力信号(表示画像)の解像度に合わせた座標の、式(2−1)、(2−2)、(2−3)による変形座標を求める。つまり、800画素×600ラインのSVGA出力の場合、歪む前の画像のx座標Sxは0から799まで変化し、z座標Szは0から599まで変化するが、このときのキーストン歪み後のx座標Kxとz座標Kzを求める。なお、y座標SyとKyは、画像がzx平面にあるのでゼロである。
【0043】
図12(A)に正面投射のSVGA出力画像のアドレスマップのイメージPIOUT、図12(B)にα=10、−β=−30として座標変換したキーストン変形後のSVGA出力画像のアドレスマップのイメージ(以下、歪み画像イメージ)PIKを示す。ここでは、図示の都合上すべての画素位置のサンプルリング点を示さず、33画素ごとに1つのドットでサンプリング点を代表させている。式(2−1)および式(2−3)を用いて実際に座標変換によって生成された代表点アドレスは、33画素ごとのアドレスのうち(33×3)画素ごとに示す白丸印のアドレスである。図5および図7に示す演算部(CPU2a)が代表点アドレスを生成する。
代表点アドレス間に存在する、黒丸のアドレスを含む他のアドレスは、式を用いた演算により生成しないで、図5および図7に示すアドレス補間部2b、たとえば複数タップの補間回路から生成される。この最終的なアドレスを、以下、画素データの補間処理に用いるアドレスという意味で、「補間アドレス」という。補間方法に限定はなく、たとえば、バイリニア補間を含む線形補間方法、スプライン補間などの非線形補間方法のいずれを採用してもよい。線形補間を採用すると、アドレス補間部2bの構成が簡単になる利点がある一方、アドレスの変換精度を高く維持しようとすると代表点アドレスのサンプリングレートを余り低くできないという不利益がある。線形補間法を採用するか、非線形補間法を採用するかは、この利益と不利益を考慮して決める。
いずれにしても、本実施の形態においては、演算部2aによる代表点アドレスの生成とアドレス補間部2bによる他のアドレスの生成とが並列に実行されるため、アドレス変換時間が短いという利益が得られる。
【0044】
つぎに、図13(A)のように、補正により得たい画像のイメージ(スクリーン上に実現したい投影画像の仮想のイメージ、以下、投影画像イメージという)PIを、図12(B)に示す歪みによって変形した座標空間上に重ねる。これにより歪み画像イメージPIKに投影画像イメージPIがマッピングされ、両画像のアドレスの対応関係が決まる。このとき、入力した入力画像はVGAだが、画像の大きさと位置を調整するために、投影画像イメージPIを任意の大きさ(たとえば、SVGAの大きさ)で、変形したアドレス空間(歪み画像イメージPIK)内の任意の位置に配置することができる。ただし、投影画像イメージPIが歪み画像イメージPIK内に完全に収まるようにしないと、次に行う補間後に画像の一部が欠けてしまう。したがって、望ましくは、所望のアスペクト比(本例では、4:3)の投影画像イメージサイズが歪み画像のアドレス空間内で最大限となることを規定しておく。すると、この投影画像イメージPIの位置と大きさは単なる図形問題に帰結し、たとえば図13(A)のような位置とサイズで、投影画像イメージPIと歪み画像イメージPIKとの関係が一意に決まる。
【0045】
このようなマッピング(アドレスの対応付け)は、歪み画像イメージPIKのアドレス分布がすでに前記した式(2−1)、(2−2)、(2−3)から求められているので、実際の物理メモリ(記憶資源)を用いずとも、たとえばCPU2a内で仮想メモリ空間を想定して実行できる。このため、マッピング自体が高速なうえに物理メモリとのデータのやり取りがなくて効率がよく、数回やり直しても、その処理の合計時間が画像変換全体の時間に占める割合は極めて小さい。もちろん、CPU2aが容量的に不足する場合は、たとえばROM255を用いて適宜マッピングを行っても構わない。
【0046】
マッピングにより得られたアドレスの対応関係は、歪み画像と、歪みがなくスクリーン上で正四角形となる所望の投影画像とのアドレス対応関係であるが、歪み画像というのはもともと歪みがない正四角形のLCDパネル上の画像の投影の結果である。したがって、上記アドレスの対応関係を利用して、歪みがないスクリーン上の投影画像を得るためのLCDパネル3の表示画像が生成できる。
具体的な方法としては、SVGA出力の場合、LCDパネル3の有効表示領域の座標は800×600個になるが、このすべての点について、マッピングされた画像のアドレスで補間を行う。このとき800×600個の各点での補間のうち、図13(A)に示す歪み画像イメージPIKと投影画像イメージPIとが重なる領域のすべてのアドレスでの補間では、投影画像のように画像データを再現できるようにフィルタ係数が選択され、その画像再現に必要な原画像の複数の画素データを上記フィルタ係数で重み付けして新たな画素データを合成する。合成後の画素データは、マッピングにより求めた上記アドレス対応関係にもとづいて、4:3のアスペクト比の正四角形画面であるSVGA画面内のどの位置に配置するかを一意に決めるアドレスに割り当てられる。一方、図13(A)に示す投影画像イメージPI周囲の歪み画像イメージPIK内領域の補間では、画像データがない黒色画素同士の合成となり、したがって補間後も黒色の画像データがSVGA画面内の対応位置に割り当てられる。
【0047】
図13(B)に、このような画像変換手順により生成されたSVGA出力画像を示す。この画像がキーストン歪み補正を行った画像である。この画像を図4(C)のようにLCDパネルに表示させ、図4(A)のように投影すると、スクリーン上で正四角形の投影画像が得られる。マッピングにより得られたアドレスの対応関係は、上述したようにイメージサイズ同士の重なる面積が最大となるように決められていることから、スクリーン上の投影画像は明るさおよび解像度の低下が最小に抑えられている。
【0048】
なお、代表点アドレス間の他のアドレスを補間により生成する場合、周囲の代表点アドレスの座標を用いて新たにアドレスを生成する。したがって、この場合、図14に示すように、周囲に余分に代表点アドレスをあらかじめ生成することが望ましい。この図14では、(33×5)画素ごとに代表点アドレスを生成している。
【0049】
前述した図12(A)および図12(B)の説明では、出力画像イメージPIOUTを出力画像(SVGA画像)の大きさに合わせて600×800個のアドレスで与え、これを変形させて歪み画像イメージPIKを生成した。そして、図13(A)に示すように、歪み画像イメージに対し、投影画像イメージPIの大きさと位置を変えながら重ね、重ねた後の両画像イメージから、歪み補正に必要なアドレス対応関係を求める手法を採った。
これと同じアドレス対応関係は、次の手法でも求めることができる。
図12(A)において出力画像イメージPIOUTを入力画像(VGA画像)と同じ640x480個のアドレスで与え、これを変形させて歪み画像イメージPIKを生成し、図13(A)では、歪み画像イメージPIKの大きさを変える一方で、投影画像イメージPIの大きさは最初からSVGA対応として変化させず、その位置のみを変えて両画像イメージの最適な重ね合わせを行う。このような手法でも、結果は図13(A)と同じとなる。
【0050】
以上は、スクリーンに向かって左下位置(第3象限P3)からの投射時の歪み補正を述べたが、他の位置からの投射の場合、歪み座標を求める式が異なるのみで、上述した補正方法の手順は同じである。
【0051】
図15(A−1)と図15(B−1)に、スクリーン101に向かって右下位置(第4象限P4)からの投射時における右手座標系のxy平面図とyz平面図を示す。また、プロジェクター1の投射位置は正面投射から動かさないとしたときに、同じ相対関係となるようにスクリーン101を軸回転させた場合のxy平面図とyz平面図を、図15(A−2)と図15(B−2)に示す。このとき、右手座標系で表現したスクリーン101に対するプロジェクター1の回転角度は垂直方向に(−α)度、水平方向に(−β)度となる。
傾いたクリーン101tに投射されたキーストン歪み座標を求める式を、スクリーンに対するプロジェクターの投射角度(垂直(α)、水平(β))で表し、次式(3−1)、(3−2)、(3−3)に示す。
【0052】
【数3】
【0053】
図16(A−1)と図16(B−1)に、スクリーン101に向かって左上位置(第2象限P2)からの投射時における右手座標系のxy平面図とyz平面図を示す。また、プロジェクター1の投射位置は正面投射から動かさないとしたときに、同じ相対関係となるようにスクリーン101を軸回転させた場合のxy平面図とyz平面図を、図16(A−2)と図16(B−2)に示す。このとき、右手座標系で表現したスクリーン101に対するプロジェクター1の回転角度は垂直方向にα度、水平方向にβ度となる。
傾いたクリーン101tに投射されたキーストン歪み座標を求める式を、スクリーンに対するプロジェクターの投射角度(垂直(−α)、水平(−β))で表し、次式(4−1)、(4−2)、(4−3)に示す。
【0054】
【数4】
【0055】
図17(A−1)と図17(B−1)に、スクリーン101に向かって右上位置(第1象限P1)からの投射時における右手座標系のxy平面図とyz平面図を示す。また、プロジェクター1の投射位置は正面投射から動かさないとしたときに、同じ相対関係となるようにスクリーン101を軸回転させた場合のxy平面図とyz平面図を、図17(A−2)と図17(B−2)に示す。このとき、右手座標系で表現したスクリーン101に対するプロジェクター1の回転角度は垂直方向にα度、水平方向に(−β)度となる。
傾いたクリーン101tに投射されたキーストン歪み座標を求める式を、スクリーンに対するプロジェクターの投射角度(垂直(−α)、水平(β))で表し、次式(5−1)、(5−2)、(5−3)に示す。
【0056】
【数5】
【0057】
本実施の形態では、このようにキーストン歪み変形座標をスクリーンとの相対関係情報を用いた式で求め、歪みがない所望の画像とキーストン歪み画像とのマッピングによりアドレスの相対関係を求め、アドレス相対関係にもとづいた補間処理によりLCD表示画面を生成する。マッピングは仮想メモリ空間で実行できるので、実際の画像メモリをこの処理のために占有することなく、効率がよい。また、上記式(または歪み計算のアルゴリズム)は、たとえば相対関係情報にもとづいて適した式(またはアルゴリズム)をCPU2aがROM255から読み出すことによって切り換えることができる。したがって、本実施の形態にかかるプロジェクター1は、スクリーン面が見える位置ならば任意の位置からの投射であっても効率よくキーストン歪み補正が可能で、設置自由度が高い。また、マッピング時に解像度変換を自由に行え、また出来る限り最大の解像度となるような設定が可能なため、その点でも効率がよく、出来るだけ高い解像度で明るい画像が容易に得られる。
さらに、演算部2aの負荷が大きい、式を用いたアドレス計算の対象を代表点に絞り、他のアドレスは補間により生成しているため、この点でも効率がよい。
【0058】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態は、アドレス生成の他の方法に関する実施の形態である。図5および図7のブロック図、および画像変換の基本的な手順は第1の実施の形態と共通する。
【0059】
図18は、第2の実施の形態におけるプロジェクターに内蔵された、イメージプロセッサとその周辺の回路ブロックの構成例を示す図である。
図18に図解した回路が、図6に図解した第1の実施の形態における回路と異なる点は、CPU2aに接続された記憶部27、たとえばRAMを有することである。記憶部27は、代表点アドレスの記憶を行うために設けられている。
【0060】
図19に、アドレス生成の流れをブロック図において示す。
本実施の形態においては、投射パラメータ、たとえば投射角度などに応じてあらかじめ計算された代表点アドレスを記憶部27のテーブルに格納しておく。あるいは、投射パラメータが変化するたびに、それに応じた代表点アドレスをCPU2aが算出し、算出した代表点アドレスを、記憶部27を介してアドレス補間部2bに出力する。アドレス補間部2bは、代表点アドレスを記憶部27から読み出して補間アドレスを生成する。なお、このアドレス補間部2bが補間アドレスを生成している間に、CPU2aによりつぎの投射パラメータに応じた代表点アドレスの算出を実行させることが望ましい。処理時間が短縮できるからである。
【0061】
第1の実施の形態におけるCPU2aは、代表点アドレスを生成する演算部としての役割のほか、アドレスのマッピング手段、さらには他の構成の制御部としての役割がある。このため、処理の負担が大きく、マッピングや他の構成の制御の空き時間に代表点アドレスの生成を行ったのでは、処理のタイミングが適合しないために全体の効率向上が十分でない場合がある。
【0062】
第2の実施の形態では、処理のタイミングが合わない場合でも、演算部(CPU2a)の空き時間を有効利用できるように代表点アドレスを蓄積する記憶部27を設けている。これにより、CPU2aの処理で重く負荷がかかった状態が続く場合でも、記憶部27に必要な代表点アドレスが蓄積されているため、画像変換の処理が滞ることが有効に防止される。代表点アドレスは、相対位置情報、たとえば垂直投射角α、水平投射角β、投射位置座標などの組ごとに記憶部27内に格納されている。
なお、アドレス生成の遅滞を防止するには、代表点アドレス生成用の演算部を、制御用CPU2aと別に設ける実施の形態も可能である。
【0063】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態におけるプロジェクターの構成自体は、上述した第2の実施の形態と同じであり、プロジェクターの構成図として図5、図7および図18が適用される。
第3の実施の形態においては、図5に示す相対関係取得部6は、たとえば押しボタンなど、相対位置情報と等価なパラメータを外部から変更可能なものである。より具体的に、上記パラメータとして垂直補正量と水平補正量があり、それぞれの補正量を変化させる押しボタンとして「+」ボタン」と「−」ボタンが2組設けられている。操作者が垂直補正量または水平補正量のボタンを1回押すと、所定の補正量、たとえば垂直投射角αまたは水平投射角βが所定のステップ、たとえば1度ずつ正または負に変化する。操作者は、ボタンを押すごとにスクリーンの投影画像の歪み補正効果を確認して、次にどのように補正をすればよいかを決める。この操作を繰り返しながら、スクリーンの投影画像が歪みのない正四角形に近くなるまで条件を追い込んでゆく。投影画像が殆ど歪みのない正四角形となったときの垂直補正量と水平補正量が決定されることによって、プロジェクターとスクリーンとの現在の相対位置情報が実質的に取得されたことになる。
【0064】
第3実施の形態では、押しボタンが押されたとき、次に押されるボタンを先読みして、代表点アドレスの計算をあらかじめ行う。たとえば、「+」ボタンが押されると、その押されたときの補正量の代表点アドレスの計算と、その補正量を中心にプラスの向きとマイナスの向きにそれぞれ数ステップ分だけ離れた補正量に対応した代表点アドレスの計算とを開始する。あるいは、「+」ボタンが押された履歴に応じて、即ち、たとえば2回続けて「+」ボタンが押されたときは、先読みの代表点アドレス計算をプラスの向きに数ステップのみ行う。2回続けて「+」ボタンが押されたような場合、プラスの向きに先読みして行う代表点アドレス計算回数を、マイナスの向きでの代表点アドレスの計算回数より多くしてもよい。
これらの先読みの代表点アドレス計算は、CPU2aの空き時間を利用してできるだけ行うようにし、計算した代表点アドレスは記憶部27に蓄積する。後は、第2の実施の形態と同様に必要に応じて代表点アドレスを記憶部27から読み出し、画像変換処理に用いる。
【0065】
第3の実施の形態では、CPU2aへの負担が大きな代表点アドレス計算を、先に予測してあらかじめ計算するので、第2の実施の形態よりさらに画像変換の効率が向上するという利益が得られる。
【0066】
[第4の実施の形態]
本実施の形態は、上記第1〜第3の実施の形態のアドレス生成の変形例に関する。本実施の形態では、演算により求めた代表点アドレス(以下、1次代表点アドレスという)を用いた補間により、その間に、より細かな間隔の2次代表点アドレスを算出し、2次代表点アドレスから補間により最終的なアドレス(補間アドレス)を求める。
なお、ここでは、式(2−1)〜式(2−3)を用いたスクリーンに向かって斜め左下からの投射を行う場合を想定している。本実施の形態におけるアドレス生成手法は、他の向きからの斜め投射においても類推適用できる。
【0067】
図20は、アドレス生成の流れを示すブロック図である。
本実施の形態に係るプロジェクターでは、図7に示すアドレス補間部2bが、第1のアドレス補間部2b−1と第2のアドレス補間部2b−2とを含む。第1のアドレス補間部2b−1は、CPU2aが算出した1次代表点アドレスから、補間により2次代表点アドレスを生成する。第2のアドレス補間部2b−2は、2次代表点アドレスから、補間により各補間アドレスを生成する。
また、このプロジェクターは、1次または2次代表点アドレスを記憶する記憶部28を有する。記憶部28は、代表点アドレス専用として1つ設けてもよいし、1次代表点アドレス用と2次代表点アドレス用に分けて設けてもよい。また、第2および第3の実施形態におけるRAM27を記憶部28として用いてもよいし、CPU2a内部の記憶領域を用いてもよい。
【0068】
第1のアドレス補間部2b−1が用いる第1の補間関数と、第2のアドレス補間部2b−2が用いる第2の補間関数に限定はないが、望ましくは、第1の補間関数が第2の補間関数より高次の関数であるとよい。
以下、第1の補間関数がスプライン関数やキュービック関数などの非線形な関数であり、第2の補間関数が線形な関数であるとして、アドレス生成方法を説明する。アドレスの補間では、相対的に広い一定間隔のアドレスを複数用いて、そのアドレスの間に相対的に狭い一定間隔のアドレスを近似的に求める。その補間により求められたアドレスの各位置を「補間のサンプリング点」と称する。このとき、補間により求めたアドレスと理想的なアドレスとの誤差が問題となるが、この誤差精度を「補間精度」という。
【0069】
図21は、1次代表点アドレス、2次代表点アドレス、および、補間アドレスの関係を例示する図である。
本例では、1次代表点アドレスは32画素ごとに1つの一定間隔で生成され、2次代表点アドレスは一次代表点アドレス間で8画素ごとに1つの一定間隔で生成されると想定する。これは図示上の都合で選んだサンプリング間隔であり、実際の高解像度画像では1次代表点アドレス、2次代表点アドレスともにもっとサンプリングを粗くすることができる。これらの代表点アドレスの間隔は、画像の解像度、用いる補間関数の種類と次数(フィルタタップ数)などを総合的に考慮し、処理効率と補間精度が満足できるように決められる。このとき1次代表点アドレスの間隔と2次代表点アドレスの間隔は、画素数を単位として簡単な整数比であることが望ましい。
【0070】
つぎに、より詳細なアドレス生成の手法を、図22に示すフローチャートに沿って説明する。なお、ここでは、第1の補間関数がスプライン関数であり、第2の補間関数が線形関数であることを前提とした処理の一例を説明する。
ステップST1において、キーストン補正を行う設定として投射角度などのパラメータを設定する。より詳細には、ユーザーがスクリーンに対してプロジェクターを設置し、たとえば相対関係情報取得手段6がスクリーンとプロジェクターとの相対関係を示す情報、たとえば投射角度などを取得する。
【0071】
ステップST2では、CPU2aが1次代表点アドレスを算出する。このとき、設定された投射角度に対してキーストン歪み画像のアドレスを式(2−1)〜式(2−3)を用いて、たとえば32画素に1つの割合で演算により生成する。算出された1次代表点アドレスは、図20に示すように記憶部28内の、たとえば1次代表点アドレス用のテーブルに、たとえば(Kx,Kz)の形式で書き込まれ、一時保持される。
【0072】
ステップST3では、図20に示す第1のアドレス補間部2b−1が、CPU2aにより算出された複数の1次代表点アドレスを記憶部28から適宜読み出し、読み出した複数の1次代表点アドレスをもとにスプライン補間により8画素ごとに1つの割合で2次代表点アドレスを求める。このとき用いるスプライン補間手法を、図23で模式的に示す。
この補間は32画素ごとの1次代表点アドレスから8画素ごとの2次代表点アドレスを生成するのであるから、1次代表点アドレス間に補間するサンプリング点の数は3つであり、その結果、1次および2次の代表点アドレスの位相が4位相となる。図23では一方の1次代表点アドレスを基準(位相差x=0)とすると、もう片方の1次代表点アドレスとの間に、位相差が小さいほうからx=1/4,2/4,3/4の3つの2次代表点アドレスが生成される。
スプライン補間関数Spline(x)の一般式は次式(6)により表される。
【0073】
【数6】
【0074】
ここで、「A」〜「D」は用いる4つの1次代表点アドレス値を表す。また、式(6)に各位相を代入して求めた2次代表点アドレスは、これら「A」〜「D」を用いて次式(7)のようになる。
【0075】
【数7】
【0076】
第1のアドレス補間部2b−1は、このようなスプライン関数を用いたフィルタ演算を、用いる1次代表点を1つずつシフトしながら鉛直と水平の2方向で繰り返し、すべての2次代表点アドレスを生成する。生成された2次代表点アドレスは、図20に示すように記憶部28内の、たとえば2次代表点アドレス用のテーブルに、たとえば鉛直と水平の各アドレス値のペア形式で書き込まれ、一時保持される。
【0077】
ステップST4で、図20に示す第2のアドレス補間部2b2が、複数の2次代表点アドレス値を記憶部28から適宜読み出し、読み出した複数の2次代表点アドレス値をもとに線形補間により、8画素ごとに1つの割合の2次代表点アドレス間を埋めるように残りのアドレス(補間アドレス)を求める。この補間も、たとえば鉛直と水平のフィルタ演算によりすべての歪み画像の画素で求め、求めた補間アドレスを図7に示すように、たとえばCPU2aを介してデータ補間部2cに出力する。
【0078】
このときCPU2aは、すべての歪み画像の画素でアドレス生成が終わったか否かを監視しており(ステップST5)、この判断が「No」の場合はステップST3とST4を繰り返すことにより、上記したすべての補間アドレスの生成が実行される。
ステップST5の判断が「Yes」となると、処理フローがつぎのステップST6に移行する。
【0079】
ステップST6は、「すべて終了か否か」すなわち設定(プロジェクター位置、スクリーン位置あるいは光学系の条件)ならびに電源の操作や入力信号の有無などが変わっていないかを監視するステップである。この判断が「No」の場合は、プロジェクターが起動状態にあり映像信号の入力があることを条件に、ステップST2〜ST5の処理が繰り返される。設定が変更されていない場合、あるいは、電源がオフされると、この判断が「終了(Yes)」となるため当該処理全体が終了する。
【0080】
なお、このようなアドレス生成のための第1および第2のアドレス補間部2b−1,2b−2は演算が可能なフィルタ演算回路などのハードウエハで実現してもよいし、あるいは、マイクロコンピュータやCPUに書き込まれたプログラムなどのソフトウェアにより実現してもよい。また、ここではプロジェクターの投射する角度や補間処理を行う補間フィルタの種類やタップ数、入力解像度や出力信号解像度などは任意であり、上記で説明したものに特定されない。さらに、2次代表点アドレスから3次代表点アドレスを補間により生成してもよい。つまり、生成する代表点アドレスの次数は任意である。ただし、望ましくは、たとえば元になる代表点アドレスほど補間精度が高い関数を用いることとして、アドレス生成の初期段階で低い補間精度にならないように留意する。
【0081】
つぎに、本発明の実施の形態の効果を、幾つかの比較例と対比させることにより説明する。
【0082】
まず、第1〜第4のすべての実施の形態の比較例として、代表点アドレス方式をとらない場合のアドレスの演算量および保持量について説明する。代表点アドレス方式をとらない場合としては、画素データの補間処理に用いるアドレス(補間アドレス)をあらかじめ演算により求め保持しておく方法と、すべての補間アドレスを演算により逐次求める方法とがある。
【0083】
いずれにしても、式(2−1)〜式(2−3)により1つの画素のキーストン歪み補正に必要な補間アドレスが求められ、これが繰り返されて1フレームの歪み画像の補間に必要なアドレスが生成される。すなわち、液晶パネルに出力する場合、液晶パネルの解像度の画素数に相当する水平アドレスと鉛直アドレスが必要になる。具体的にパネルがXGA仕様であれば、水平に1024画素、鉛直に768画素あるので、次式(8)で計算される情報量が補間アドレスとして必要となる。
【0084】
【数8】
【0085】
この式(8)は、ある1つの角度についてのキーストン歪み補正で必要な情報量を表しており、角度の設定を変更した場合には、あらたな設定角度でのキーストン補正を行うための補間アドレスがさらに必要となる。
必要な補間アドレスを保持する場合、従来の1つの方法としてすべての補間アドレスデータをテーブルとしてもつことが考えられる。しかし、この場合、式(8)で表される情報量を想定される角度設定の数だけ掛け算した情報量が格納できるテーブルが必要となる。また、このときのパターンは鉛直と水平の2方向の組み合わせになるのでデータとして膨大になり、あまり現実的でない。
すべてのアドレスを逐次CPUにより計算させる場合、設定された角度に対してCPUで式(2−1)〜式(2−3)で表されるアドレス計算を行い、所定の記憶素子に対して一時記憶させておくことで利用に供する。この場合、角度が設定されてから初めて補間アドレスを計算し始めるので、CPUの計算が終わらないとキーストン歪み画像の画素データ補間を行うことができない。
【0086】
これに対し、本発明の第1〜第4の実施の形態では、一定間隔のアドレスだけをCPU2aで算出して保持しておき、算出したアドレス間の他のアドレスについては補間により生成し、補填して用いることができる。その結果、CPU2aの演算量と保持しておくアドレスの量を低減することができた。
【0087】
ところが、第1〜第3の実施形態では、代表点アドレスの補間が1回のみで、その間の他のアドレスを演算時間が短い線形補間などで補間により求めると、本来非線形なアドレスを線形にしていく課程で誤差がともなう。また、代表点アドレスすべてを補間精度が高いスプライン補間などの非線形補間により求めると、その補間処理に時間がかかり、回路規模も大きくなる。そのため、ある程度高い補間精度を実現しようとすると、処理時間短縮および信号処理回路の小型化に限界がある。すなわち、ある程度の精度を考えた場合に、誤差を少なくするためには、代表点アドレスの間隔を狭くするか、非線形の補間を採用するため、補間精度と、処理時間および回路規模にトレードオフが存在する。
【0088】
第4の実施の形態では、2回目以降の代表点アドレスの補間処理を導入し、この中程度のサンプリング間隔の補間でたとえば非線形補間を行って補間精度を確保し、最終的な補間アドレス生成は高速で簡素な回路で実現できる線形補間などで行う。その結果、上記トレードオフを解消または緩和し、高い精度の補間を高速に行うことができる。
【0089】
以下、すべての補間アドレスを、たとえばスプライン関数やキュービック関数など3次の次数をもつ関数を用いた高い精度の補間により行う場合と、途中まで、この精度が高い補間で行い、残りのアドレス生成を線形補間により行う場合との比較を行う。
いま仮に高精度の補間関数f(x)が3次関数であったとし、位相を256精度でもったならば、高精度補間関数をすべてのアドレス生成に用いてしまうと、3次関数の第1項だけでも、少なくとも次式(9)に示すように8ビット精度(=28)の値を3乗回(=224)計算しなければならない。これでは、算出までの負荷が大きく、処理時間がかかり、あるいは、ハードウェアで構成したときに回路規模が大きくなってしまっていた。つまり、この方法ではすべての位相の補間演算をこの高次関数で実行しようとするため、位相が細かくなればなるほど、演算が複雑化してしまう。
【0090】
【数9】
【0091】
これに対して、第4の実施の形態の手法を用いて同などの演算を行う例として、1次代表点アドレスとして256位相を、2次代表点アドレスとして64位相を選び、2次代表点アドレスから所望の補間アドレスを線形補間により求めると仮定する。このときのアドレス計算は、次式(10)のように表される。
【0092】
【数10】
【0093】
この場合、乗算が2回に分割されるために一般的には回路規模の大きくなる乗算器のビット幅を小さくすることができるばかりでなく、固定値計算(すなわち、同じ値の繰り返し計算)ですむ部分が多くなり、大幅な回路規模の縮小が可能となる。
ただし式(9)と式(10)では、若干補間したときの誤差精度が異なリ、式(9)での演算はより精度が高いが、第4の実施の形態では、その程度の誤差精度は問題にならない範囲での使用が前提となる。つまり、第4の実施の形態に示す手法を用いると、キーストン歪み補正が人間の視覚による認識精度を超えるような高い精度は必要にならないため、そのことを積極的に利用してアドレス計算の効率向上と回路規模低減を図ることができる。
【0094】
なお、上述した第1〜第4の実施の形態において、プロジェクターのLCD表示面をスクリーンに対してひねる動作を付加しても良い。具体的には、プロジェクター1またはLCDパネル3を、その光軸または光軸に平行な軸を中心に軸回転させる動作を追加する。これによって、LCDパネル面内で画像をさらに大きく表示することによってパネル面の有効利用を図り、解像度と明るさがより改善される。
【0095】
上述した第1〜第4の実施の形態においてはVGA画像をSVGA画像に変換する場合を例示したが、変換前の画像の解像度、変換後の画像の解像度、およびLCDパネルの解像度は任意である。また、代表点アドレスのサンプリングレートも任意である。図24の図表に、バイリニア補間で必要となる代表点アドレス数をパネル解像度ごとに例示している。
【0096】
【発明の効果】
本発明に係る画像投射装置および画像変換方法によれば、アドレス計算点の増加または計算式の複雑化によって増大するアドレス計算の負担が軽減され、処理の高速化を図ることができる。またアドレス生成を回路により実現する場合は、その回路規模を縮小することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施の形態におけるフロントプロジェクターをスクリーンの正面に配置した場合に、これらを上方から見た図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるプロジェクターの配置可能な範囲を、正面配置の位置を中心として示す図である。
【図3】(A)は横からの画像投影時の図、(B)は入力画像イメージを示す図、(C)はLCDパネル面上での画像イメージ図である。
【図4】(A)は正面位置から水平と垂直の双方の方向にずれた位置からの斜め投射時の図、(B)は入力画像イメージ、(C)はLCDのパネル面上での画像イメージである。
【図5】本発明の実施の形態におけるプロジェクターの基本構成を示す図である。
【図6】第1の実施の形態のプロジェクターにおいて、図1の回路部に含まれる、イメージプロセッサとその周辺の回路の一構成例を示すブロック図である。
【図7】イメージプロセッサ内部の回路の一構成例を示すブロック図である。
【図8】(A)は正面投射の場合の右手座標系におけるプロジェクターとスクリーンの位置関係を示す図である。(B)はyz平面図、(C)はxy平面図である。
【図9】(A)は垂直投射角α度、水平投射角β度の場合に、右手座標系におけるプロジェクターとスクリーンの位置関係を示す図である。(B)はyz平面図、(C)はxy平面図である。
【図10】(A)〜(C)は、スクリーンを軸回転させた場合の図9(A)〜図9(C)と等価的な斜め投射の位置関係を示す図である。
【図11】(A)および(B)は座標関係についてまとめて示す図である。
【図12】(A)は正面投射のSVGA出力画像のアドレスマップのイメージ図、(B)はキーストン変形による歪み画像イメージ図である。
【図13】(A)はマッピング時に2つの画像イメージを重ねた図、(B)は補間演算により生成したLCDパネルの表示画面である。
【図14】代表点アドレスの取り方の変形例を示す、マッピング時の画像イメージ図である。
【図15】(A−1)〜(B−2)は、スクリーンに向かって右下からの投射時における右手座標系のxy平面図とyz平面図、およびそれらと等価な平面図である。
【図16】(A−1)〜(B−2)は、スクリーンに向かって左上からの投射時における右手座標系のxy平面図とyz平面図、およびそれらと等価な平面図である。
【図17】(A−1)〜(B−2)は、スクリーンに向かって右上からの投射時における右手座標系のxy平面図とyz平面図、およびそれらと等価な平面図である。
【図18】第2および第3の実施の形態のプロジェクターにおいて、図1の回路部に含まれる、イメージプロセッサとその周辺の回路の一構成例を示すブロック図である。
【図19】第2の実施の形態のプロジェクターにおいて、アドレス生成の流れを示すブロック図である。
【図20】第4の実施の形態のプロジェクターにおいて、アドレス生成の流れを示すブロック図である。
【図21】第4の実施の形態におけるアドレス生成で、1次代表点アドレス、2次代表点アドレス、および、補間アドレスの関係を例示する図である。
【図22】第4の実施の形態におけるアドレス生成の手法を示すフローチャートである。
【図23】第4の実施の形態で用いることができるスプライン補間手法を模式的に示す図である。
【図24】バイリニア補間で必要となる代表点アドレス数をパネル解像度ごとに示す図表である。
【符号の説明】
1…プロジェクター、2…回路部、2a…演算部、2b…アドレス補間部、2b−1…第1のアドレス補間部、2b−2…第2のアドレス補間部、2c…データ補間部、3…LCDパネル、3a…表示画像、4…投光部、5…光学部、6…相対関係取得部、21…コムフィルタ、22…クロマデコーダ、23…セレクトスイッチ、24…アナログ−ディジタル・コンバータ、25…イメージプロセッサ、26…画像メモリ、27,28…記憶部、101,101t…スクリーン、101a…投影画像、251…IP変換部、252…スケーラ、253…CPUインターフェース、254…メモリ制御部、257…係数発生部、258…フィルタ演算部、PI…投影画像イメージ、PIK…画像イメージ、PIOUT…出力画像イメージ、α,β…投射角度
Claims (15)
- 画像表示部を有し、当該画像表示部に表示された表示画像を外部の投射面に光を利用して投射する画像投射装置であって、
前記表示画像を前記投射面に対し斜めに投射したときに投射面上で生じる歪み画像の代表点アドレスを演算により生成する演算部と、
前記代表点アドレスの間の他のアドレスを補間により生成するアドレス補間部と、
投射したときに前記投射面上で歪みが補正される表示画像の画素データを、入力画像の複数の画素データから補間により生成し、生成した画素データを、前記歪み画像のアドレスと所望の画像のアドレスとの対応関係から決められる前記画像表示部の位置に出力するデータ補間部と、
を有する画像投射装置。 - 前記アドレス補間部が、
前記演算から求めた1次代表点アドレスから、当該1次代表点アドレスより間隔が狭い2次代表点アドレスを補間により生成する第1のアドレス補間部と、
前記2次代表点アドレスから、当該2次代表点アドレス間に他のアドレスを補間により生成する第2のアドレス補間部と、
を含む請求項1に記載の画像投射装置。 - 前記第1のアドレス補間部が行う補間では、前記第2のアドレス補間部が行う補間に用いる関数より高次の関数を用いる
請求項2に記載の画像投射装置。 - 前記補間に用いる関数、補間精度を決めるパラメータ、補間により生成するアドレスの間隔の少なくも1つを変更する制御部を、
さらに有する請求項1に記載の画像投射装置。 - 前記画像表示部と前記投射面との相対関係情報を取得する相対関係取得部をさらに有し、
前記演算部は、前記相対関係情報をパラメータとした演算を実行する
請求項1に記載の画像投射装置。 - 前記演算部は、前記アドレスと前記データの補間中に、次に入力が予想される相対関係情報に応じた歪み画像の代表点アドレスの演算をあらかじめ実行する
請求項1に記載の画像投射装置。 - 画像表示部を有し、当該画像表示部に表示された表示画像を外部の投射面に光を利用して投射する画像投射装置であって、
前記表示画像を前記投射面に対し斜めに投射したときに投射面上で生じる歪み画像の代表点アドレスを記憶している記憶部と、
前記代表点アドレスの間の他のアドレスを補間により生成するアドレス補間部と、
投射したときに前記投射面上で歪みが補正される表示画像の画素データを、入力画像の複数の画素データから補間により生成し、生成した画素データを、前記歪み画像のアドレスと所望の画像のアドレスとの対応関係から決められる前記画像表示部の位置に出力するデータ補間部と、
を有する画像投射装置。 - 前記画像表示部と前記投射面との相対関係情報を取得する相対関係取得部と、前記相対関係情報をパラメータとした演算を実行し、演算の結果得られた前記代表点アドレスを前記記憶部に出力する演算部と、
をさらに有する請求項7に記載の画像投射装置。 - 投射面に光を利用して投射する表示画像を画像表示部に生成するために、入力画像を変換する画像変換方法であって、
前記入力画像を前記投射面に対し斜めに投射したときに投射面上で生じる歪み画像の代表点アドレスを演算により生成するステップと、
前記代表点アドレスの間の他のアドレスを補間により生成するステップと、
前記代表点アドレスおよび前記他のアドレスにより形成される前記歪み画像のアドレスと所望の画像のアドレスとを対応付けるステップと、
得られたアドレスの対応関係にもとづく前記画像表示部の位置に、前記表示画像の新たな画素データを、前記入力画像の複数の画素データから補間により生成するステップと、
を含む画像変換方法。 - アドレスを補間により生成する前記ステップが、
前記演算から求めた1次代表点アドレスから、当該1次代表点アドレスより間隔が狭い2次代表点アドレスを補間により生成する第1のアドレス補間ステップと、
前記2次代表点アドレスから、当該2次代表点アドレス間に他のアドレスを補間により生成する第2のアドレス補間ステップと、
を含む請求項9に記載の画像変換方法。 - 前記第1のアドレス補間ステップで実行する補間では、前記第2のアドレス補間ステップで実行する補間に用いる関数より高次の関数を用いる
請求項10に記載の画像変換方法。 - 前記補間に用いる関数、補間精度を決めるパラメータ、補間により生成するアドレスの間隔の少なくも1つを変更するステップを、
さらに含む請求項9に記載の画像変換方法。 - 前記代表点アドレスの前記演算に用いる、前記画像表示部と前記投射面との相対関係情報を取得するステップを、さらに含み、
前記代表点アドレスの生成ステップでは、前記相対関係情報をパラメータとした演算を実行する
請求項9に記載の画像変換方法。 - 前記アドレスの補間、前記アドレスの対応付けおよび画素データの前記補間中に、次に入力が予想される前記相対関係情報に応じた歪み画像の代表点アドレスの演算をあらかじめ実行する
請求項13に記載の画像変換方法。 - 投射面に光を利用して投射する表示画像を画像表示部に生成するために、入力画像を変換する画像変換方法であって、
前記入力画像を前記投射面に対し斜めに投射したときに投射面上で生じる歪み画像の代表点アドレスを、前記画像表示部と前記投射面との相対関係ごとに記憶部にあらかじめ記憶させるステップと、
前記相対関係の情報を取得するステップと、
取得した相対関係の前記情報に対応した前記代表点アドレスを前記記憶部から読み出し、読み出した当該代表点アドレスの間の他のアドレスを補間により生成するステップと、
前記代表点アドレスおよび前記他のアドレスにより形成される前記歪み画像のアドレスと所望の画像のアドレスとを対応付けるステップと、
得られたアドレスの対応関係にもとづく前記画像表示部の位置に、前記表示画像の新たな画素データを、前記入力画像の複数の画素データから補間により生成するステップと、
を含む画像変換方法。
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JP2011182040A (ja) * | 2010-02-26 | 2011-09-15 | Ricoh Co Ltd | 画像処理用データの圧縮方法および圧縮装置とこれを備えた撮像装置 |
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JP2015052958A (ja) * | 2013-09-09 | 2015-03-19 | 三菱電機株式会社 | 歪補正装置、歪補正方法及び歪補正プログラム |
-
2003
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