JP3959606B2 - キャブヒンジブラケット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、キャブオーバタイプの車両におけるキャブヒンジブラケットに関する。
【0002】
【従来の技術】
図6及び図7に示すようにキャブオーバタイプの車両1は、キャブ2の床下にエンジン(図示せず)を収めたもので、エンジン回りの点検・整備をし易くするため、キャブ2がキャブチルト装置を構成するヒンジ機構3の回転軸3bを回転中心として2点鎖線で示すように前方に回動(傾動)して開く所謂キャブチルトが一般的である。
【0003】
キャブ2は、キャブメインシル4の前端部をヒンジ機構3により、後側取付部をフック(図示せず)によって夫々シャーシフレームとしてのサイドレール5に固定されており、キャブヒンジブラケット3aの回転軸3bを支点としてトーションバー6のばね力により人力でチルトできるようになっている。
キャブヒンジ機構3は、キャブヒンジブラケット3aがサイドレール5に載置されてロワーキャブヒンジブラケット3cにより固定され、キャブヒンジブラケット3aの上部がアッパキャブヒンジブラケット3dを介してキャブメインシル4に固定されている。
【0004】
ヒンジ機構3は、キャブヒンジブラケット3aがサイドレール5の前端5aよりも後方に位置して配置され、衝突時に衝突荷重を受けないようにして締結要素を保護し、サイドレール5とキャブ2との結合を保持して乗員に大きなダメージを与えないようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来構造のキャブヒンジ機構3は、キャブヒンジブラケット3aがサイドレール5とキャブメインシル4との間に配置されているために、キャブ2の位置が高くなり、運転者が運転席に着座した状態での目の位置(アイポイント)が高くなり、運転席から下方や側部下方が見えにくくなるという問題がある。
【0006】
このため、本発明では、キャブチルト装置によるキャブの車高を下げると共に衝突時における締結要素を保護するようにしたキャブヒンジブラケットを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明では、キャブヒンジブラケットは、シャシフレームよりも車両前方に取り付けられていることで、低い位置に配置され、その分だけキャブの高さが低くなる。前面衝突によりキャブヒンジブラケットに衝突荷重が加わった場合、突出部がヒンジ回転軸受部よりも車両前方側に突出していることで当該突出部が衝突荷重入力部となる。突出部に入力した衝突荷重は、シャシフレームに伝達され、当該シャシフレーム全体で前記衝突荷重を支える。
【0008】
また、キャブヒンジブラケットは、ヒンジ回転軸受部より後方でシャシフレームの上面に固定される上部取付部と、上部取付部から下方へ延在し、シャシフレームの前端高さに設定される取付面でシャシフレームの前端に固定される下部取付部と、ヒンジ回転軸受部よりも車両前方側に突出し、且つ外周から離れた突出部とを一体的に備えていることで、衝突荷重によりヒンジ回転軸受部に発生する応力荷重が大幅に低減し、シャシフレームとキャブとの結合が維持される。突出部から入力した荷重は、荷重伝達部を通してシャシフレームに伝達される。これにより、乗員の受けるダメージが軽減される。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。
図1は、本発明に係るキャブヒンジブラケットの側面図、図2は、図1に示すキャブヒンジブラケットの平面図、図3は、図1に示すキャブヒンジブラケットの正面図である。
【0010】
図1乃至図3に示すようにキャブチルト装置のヒンジ機構10(図5)を構成するキャブヒンジブラケット11は、サイドレール5の前端5aに取り付けられるようになっており、円筒形のブッシュ(緩衝ゴム)を収納する円筒状のヒンジ回転軸受部11aと、当該ヒンジ回転軸受部11aから後方に張り出して2点鎖線で示すシャーシフレームとしてのサイドレール5の上面5bに載置固定される上部取付部11bと、ヒンジ回転軸受部11aから下方に張り出して前記サイドレール5の前端5aに固定される下部取付部11cが設けられている。
【0011】
上部取付部11bと下部取付部11cとの連設部は、ヒンジ回転軸受部11aの後方において後方及び下方に向かって直角をなしており、上部取付部11bの取付面11b'は、円筒部11aの中心の高さ位置から僅かに下方に位置して後方に水平に延出し、下部取付部11cの取付面11c'は、取付面11b'に対して直角をなし、サイドレール5の高さと同じ高さに設定されている。これらの取付部11b、11cには、サイドレール5に固定するためのボルト孔11d(図2)、11e(図3)が穿設されている。
【0012】
下部取付部11cの略中央にはトーションバー取付部11fが設けられている。このトーションバー取付部11fは、下部取付部11cの一側(外側)が前後方向に沿って水平に膨出して厚肉に形成され、トーションバー軸孔11g、11hが前後に並設されている。そして、トーションバー取付部11fの前部は、ヒンジ回転軸受部11aの前端から僅かな距離dだけ車両前方側に突出されて突出部11iとされている。即ち、突出部11iは、前端がヒンジ回転軸受部11aよりも前方に突出し、ヒンジ回転軸受部11aの下方位置にオフセットし、外周部から離れて設けられている。また、下部取付部11cは、突出部11iの下面から下端まで円弧状に滑らかに切り欠かれた形状をなしている。そして、ヒンジ回転軸受部11aには、図5に示すように円筒状のブッシュ(緩衝ゴム)12が加硫成形により設けられ、軸孔にカラー13が設けられている。
【0013】
このキャブヒンジブラケット11は、キャブの前部を前方にチルト可能に支持する左右一対のヒンジ機構の左側のキャブヒンジブラケットで、右側のキャブヒンジブラケットは、当該キャブヒンジブラケット11と対称形状に形成される。図4及び図5に示すようにサイドレール5の前端5aは、クロスメンバ7の断面コ字状の隅部7aに溶着固定されている。キャブヒンジブラケット11は、上部取付部11bの取付面11b'(図1)がサイドレール5の前端5aの上面に載置され、下部取付部11cの取付面11c'(図1)がクロスメンバ7の隅部7aの前面7bに当接され、夫々ボルト14及びナット15により固定される。このようにして、キャブヒンジブラケット11がサイドレール5の前端5aに配設される。
【0014】
図4に示すようにヒンジの回動中心としての回転軸16がブッシュ12の軸孔のカラー13を回転自在に貫通され、両端に側面視略J字状をなすキャブヒンジステー17、17の下部17aが固定される。これらのキャブヒンジステー17の上部17bは、キャブメインシル4の前端両側部にボルト18及びナット(図示せず)により固定される。右側のキャブヒンジブラケットも同様にして右側のサイドレールの前端部及びキャブメインシル(何れも図示せず)の前端に固定される。
【0015】
左側のトーションバー21は、右端が前記右側のキャブヒンジブラケットのトーションバー取付部の軸孔に回転不能に嵌合固定され、左端がキャブヒンジブラケット11のトーションバー取付部11fの軸孔11hに回転自在に貫通支持され、レバー22の基端が回動不能に固定される。このレバー22の先端は、キャブメインシル4の下面に設けられたトーションバーサポート23の下面に捻り弾性力を有して当接される。
【0016】
同様に右側のトーションバー24は、左端がキャブヒンジブラケット11のトーションバー取付部11fの軸孔11gに回転不能に嵌合固定され、右端が前記右側のキャブヒンジブラケットのトーションバー取付部の軸孔に回転自在に貫通支持され、レバーの基端が回動不能に固定され、先端が右側のキャブメインシルの下面に設けられたトーションバーサポート(何れも図示せず)の下面に捻り弾性力を有して当接される。これにより、キャブチルト時に人力でキャブをチルトさせることが可能となる。
【0017】
キャブヒンジブラケット11は、サイドレール5の前端5aに位置してヒンジ回転軸受部11aが前方に僅かに斜め上方に位置していることで、図7に示す従来のヒンジ機構3に比べてサイドレール5に対して低い位置に配置されており、その分だけキャブの高さ(車高)が低くなる。
また、図5に示すように前面衝突によりキャブヒンジブラケット11に衝突荷重Fが加わった場合、当該キャブヒンジブラケット11の突出部11iがヒンジ回転軸受部11aよりも前方に距離dだけ突出していることで当該突出部11iが衝突荷重入力部となる。そして、突出部11iに入力した衝突荷重Fは、荷重伝達部としての下部取付部11c、クロスメンバ7の隅部7a及びサイドレール5のフランジ部5cとウェブ部5d(図4参照)の折曲部に衝突荷重が伝達され、当該サイドレール5全体で衝突荷重Fを支える。
【0018】
キャブヒンジブラケット11は、突出部11iがヒンジ回転軸受部11aよりも車両前方側に突出し、且つ外周から離れていることで、衝撃荷重Fによりヒンジ回転軸受部11aに発生する応力荷重が大幅に低減し、締結要素としてのキャブメインシル4との取付ボルト19の剪断力や、回転軸16の軸力の低下が抑えられ、サイドレール5とキャブとの結合が維持される。これにより、乗員の受けるダメージが軽減される。
【0019】
尚、上記実施形態においてはキャブヒンジブラケット11に突出部11iを一体に設けたが、キャブヒンジブラケット11と別にサイドレール5の前端に、キャブヒンジブラケットの円筒部よりも前方に突出する突出部を取り付けるようにしてもよい。
【0020】
【発明の効果】
以上説明したように本発明では、キャブヒンジブラケットは、シャシフレームよりも車両前方に取り付けられていることで、低い位置に配置され、その分だけキャブの車高を低くすることができ、運転者のアイポイントを低くすることができる。また、前面衝突によりキャブヒンジブラケットに衝突荷重が加わった場合、突出部がヒンジ回転軸受部よりも車両前方側に突出していることで当該突出部が衝突荷重入力部となり、突出部に入力した衝突荷重がシャシフレームに伝達されて当該シャシフレーム全体で支えられ、前記回転軸受部への応力を低減させることができ、衝突荷重によるキャブとの締結を維持することができる。これにより、乗員の受けるダメージが軽減される。
【0021】
また、キャブヒンジブラケットは、ヒンジ回転軸受部より後方でシャシフレームの上面に固定される上部取付部と、上部取付部から下方へ延在し、シャシフレームの前端高さに設定される取付面でシャシフレームの前端に固定される下部取付部と、ヒンジ回転軸受部よりも車両前方側に突出し、且つ外周から離れた突出部とを一体的に備えていることで、衝突荷重によりヒンジ回転軸受部に発生する応力荷重が大幅に低減し、突出部から入力した荷重は、荷重伝達部を通してシャシフレームに良好に伝達されることで、シャシフレームとキャブとの結合が維持される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るキャブヒンジブラケットの実施形態を示す側面図である。
【図2】図1に示すキャブヒンジブラケットの平面図である。
【図3】図1に示すキャブヒンジブラケットの正面図である。
【図4】図1に示すキャブヒンジブラケットをサイドレールとキャブメインシルに取り付けた状態の斜視図である。
【図5】図4の要部断面図である。
【図6】キャブチルトタイプの車両の説明図である。
【図7】従来のキャブチルト装置におけるヒンジ機構の説明図である。
【符号の説明】
1 キャブオーバ車両
2 キャブ
4 キャブメインシル
5 サイドレール(シャシフレーム)
7 クロスメンバ
10 ヒンジ機構
11 キャブヒンジブラケット
11a ヒンジ回転軸受部
11b、11c 取付部
11i 突出部
12 ブッシュ
16 回転軸
17 キャブヒンジステー
Claims (1)
- シャシフレームに搭載されたキャブを前方へ傾動し得るように構成したキャブチルト装置のキャブヒンジブラケットにおいて、
前記シャシフレームより前方に設けられたヒンジ回転軸受部と、
前記ヒンジ回転軸受部より後方で前記シャシフレームの上面に固定される上部取付部と、
前記上部取付部から下方へ延在し、前記シャシフレームの前端高さに設定される取付面で前記シャシフレームの前記前端に固定される下部取付部と、
前記ヒンジ回転軸受部よりも前方側へ突出し、且つ前記ヒンジ回転軸受部外周と離れた位置に設けられた突出部とを一体的に備えたことを特徴とするキャブヒンジブラケット。
Priority Applications (1)
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2001
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