JP3959034B2 - 貨物保管システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,自動化倉庫や駐車システムなどのような,多量の貨物を自動入出庫方式で効率よく保管,管理するための貨物保管システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に,貨物保管システムは,大量の物品を最小の空間に効率よく保管,管理するための貯蔵手段であって,大規模物流システムや各種産業現場の物品倉庫などに広く用いられている。また,近年は,爆発的に増える車両の駐車難を効果的に解消するための方案として,車を貨物として扱った場合を考えた貨物保管システムを駐車場に導入し,狭い空間に効率よく駐車できるようにする傾向にある。
【0003】
このような貨物保管システムは,通常,図1に示すように,層状に積み重なった複数の積載台Lを有するラックRを一定の間隔で設置するとともに各積載台Lに貨物搭載用パレット(図示せず)を取り付け,各ラックR間の空間にリフトまたはスタッカークレーンといった入出庫用運搬機器Tを備えている。
【0004】
これにより,貨物Wの積載は,貨物Wを搭載したパレットをラックRの空き積載台Lの位置まで運搬機器Tで移送させた後,牽引手段(図示せず)によって運搬機器T上のパレットをラックRの空き積載台L上に水平移動させることにより行われる。貨物Wの出荷は前記作動と逆の手順で行われる。
【0005】
また,貨物保管システムでは,貨物Wの迅速かつ正確な積載,出荷及び在庫管理が何より重要なので,運搬機器Tを制御用コンピュータ(図示せず)によって連動させ,例えば貨物Wと積載台Lに固有のコード番号を付して貨物Wの収納及び引き出しをコンピュータの制御によって自動的に行わせている。
【0006】
ところで,このような通常の貨物保管システムは,貨物Wを別途のパレット上に搭載して運搬積載するので,積載構造が複雑であり,複数のパレットと牽引手段もともに備えなければならないうえ,運搬時にパレットの重量だけ荷重が加わるので,運搬にかかる動力と時間の面から効率的でないという問題があった。
【0007】
特に,一部の空きパレットを積載台に保管する場合,貨物Wを積載してから後続貨物Wの積載のために運搬機器Tが空き積載台Lに移動し,積載台に装着されているパレットを引き出して搭載した状態で搬入位置に移動,待機しなければならなく,待機中に出荷信号が入ると,空きパレット搭載の運搬機器Tがパレットのない積載台Lに移動して空きパレットをそれに移載させた後,選択された貨物Wの積載位置に再び移動しなければならないため,貨物Wの積載と出荷にかなり多くの時間がかかるという問題があった。
【0008】
一方,かかる問題点を解決するための技術として,パレットなしで貨物をラックに積載させることが可能な,いわゆる無パレット積載構造が出現しているが,その一例として特許文献1に提示された立体格納装置の積載構造を抜粋して図2(a)及び(b)に示す。
【0009】
この技術では,ラックの積載空間の両側に間隔を置いて積載フォーク1を配置し,両積載フォークの間に貨物Wを垂直に運搬する昇降フォーク2を設置する。積載フォーク1は駆動手段(図示せず)によってラックの水平梁3に沿って昇降フォーク2側に往復移動し,昇降フォーク2は積載フォーク1と交差通過できるように対向する一対の2a,2bからなり,同時に連動する。
【0010】
これにより,昇降フォーク2は,貨物Wを直接搭載して積載フォーク1よりやや高いレベルまで上昇して停止し,次いで空き積載フォーク1が駆動手段によって昇降フォーク2の下部に移動する。すると,昇降フォーク2がさらに下降して下部の積載フォーク1と交差しながら貨物Wを積載フォーク1上に移し,貨物W搭載の積載フォーク1が再び駆動手段によって初期位置に復帰することにより,貨物Wをラックの積載空間に迅速に積載する。
【0011】
ところが,このような従来の無パレット積載構造は,昇降フォーク2が積載フォーク1を完全に交差通過する構造なので,両者の交差に必要な昇降フォーク2の移動距離が長いという問題があった。
【0012】
しかも,昇降フォーク2の上,下部に積載フォーク1が移動しなければならないので,昇降フォーク2の実質的な行程は,積載フォーク1の高さhと昇降フォーク2の高さhに,積載フォーク1の移動に干渉されない作動間隔g,gを加えなければならないので,貨物Wの積載と引き出しに相当の時間がかかり,貨物保管システムの入出庫時間の短縮に限界があった。
【0013】
一方,図3(a)及び(b)は,従来の貨物保管システムの無パレット積載構造の他の例として,特許文献2に提示されたスタッカークレーン式立体駐車場の積載構造を抜粋して示す。
【0014】
この技術は,ラック4の積載空間を形成する2つの水平梁5の内側に,対向するように複数の支持バー6を一定の間隔で突設し,隣接する2つのラック4の間に備えられたスタッカークレーン(図示せず)に貨物Wを搭載するためのフォーク7を装着して構成される。フォーク7はラック4の対向する支持バー6の間を通過することが可能なボディ8の両側にそれぞれ複数のバー9を有する。
【0015】
フォーク7が貨物Wを搭載した状態でラック4の支持バー6よりやや高いレベルまで上昇した後,支持バー6の上部に水平移動して積載空間に進入する。その後,フォーク7が下降してその両側バー9がラック4の支持バー6とずれるように交差通過しながら貨物Wをラック4の支持バー6上に移し,空きフォーク7が支持バー6の下部から積載空間の外に抜け出ることにより,貨物Wの積載が行われる。
【0016】
【特許文献1】
国際公開番号WO87/02405
【特許文献2】
特開平5−52058号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
ところで,このような積載構造も,フォーク7がラック4の支持バー6を上部から下部(または下部から上部)に完全に通過して戻る構造なので,フォーク7の垂直移動距離が長くて貨物Wの入出庫時間の短縮に限界があった。
【0018】
すなわち,フォーク7がラック4の支持バー6を回って出るためには,その垂直移動距離の値が,少なくとも支持バー6の高さhとフォーク7のバー9の高さhに,フォーク7の進出入に必要な上部及び下部間隔g,gを加えた値以上でなければならないため,フォーク7の垂直移動距離の短縮に限界がある。
【0019】
また,貨物Wを支持するラック4の支持バー6が2つの水平梁5の内側で適正の長さに突出する構成なので,積載する貨物Wが少なくとも両側支持バー6の間隔より大きいことが要求されるなど,積載貨物Wの大きさにも制限があった。
【0020】
本発明は,従来の貨物保管システムが有する上記問題点に鑑みてなされたものであり,本発明の目的は,別途の貨物搭載用パレットを使用することなく,積載用ラックに対して迅速に貨物の積載及び引き出しを行うことが可能な新規かつ改良された貨物保管システムを提供することである。
【0021】
また本発明の他の目的は,設定された積載空間の限度で,貨物の大きさに拘らず各種サイズの貨物を簡便に積載させることが可能な貨物保管システムを提供することである。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため,フォーク形状を有するラックの積載台を運搬フォークが上下に完全に交差通過せず,貨物の移載に必要な最小限の間隔だけで運搬フォークの昇降が可能な構造であり,積載台及び運搬フォークのフォークバーが交互に重畳しながら側面から接近する際に,運搬フォークが移載間隔だけ昇降して貨物を積載することができる貨物保管システムが提供される。
【0023】
上記貨物保管システムを実現するために,第1の観点によれば,端部のラックでは積載空間の中央付近に水平に設置されており,両端部のラックの中間に位置して左右対称な積載空間が形成されるラックでは各々の積載空間の中央付近に離隔して水平に2つ設置されている,貨物の積載及び引き出し方向と直交する方向に延びた積載部固定梁,及び積載部固定梁の上面に直交して一定の間隔で固定される複数の積載部フォークバーからなる積載台と,運搬手段によって多軸方向に駆動され,積載部フォークバーと平行に並んで一定の間隔で配置される複数の運搬部フォークバー及び複数の運搬部フォークバー下端の長手方向中間位置で運搬部フォークバーと直交して設置されて運搬部フォークバーを支持する運搬部固定梁からなる運搬フォークと,を含み,積載部フォークバーまたは運搬部フォークバーの高さが低い一方の下端には所定の高さの突出タブが備えられて積載部固定梁または運搬部固定梁の上面に支持されており,積載部固定梁と運搬部フォークバーとが干渉することなく運搬フォークの昇降動作を可能とすることにより,運搬フォークは,端部のラックでは一側面から接近し,両端部のラックの中間に位置するラックでは左右両側面から接近して,運搬部フォークバーが積載部フォークバーと交互に重畳した状態で進入,昇降,後退することにより,貨物の積載または引き出しを行うことを特徴とする。
【0024】
この時,突出タブの高さは,少なくとも貨物の積載過程に必要な運搬フォークの昇降高さより大きく設定される。また,運搬手段としては例えばスタッカークレーンが用いられる。
【0025】
また,第2の観点によれば,端部のラックでは積載空間の中央付近に水平に設置されており,両端部のラックの中間に位置して左右対称な積載空間が形成されるラックでは各々の積載空間の中央付近に離隔して水平に2つ設置されている,貨物の積載及び引き出し方向と直交する方向に延びた積載部固定梁,及び下端に所定の高さの突出タブを備えて積載部固定梁の上面にそれと直交するように一定の間隔で固定される複数の積載部フォークバーからなる積載台と,運搬手段によって多軸方向に駆動され,積載部フォークバーと同一の高さをもってそれらと平行に並んで一定の間隔で配置され,下端の長さ方向の中間に所定の高さの運搬部突出タブを有する複数の運搬部フォークバー及び運搬部フォークバーと直交して設置されて運搬部突出タブをその下端で支持する運搬部固定梁からなる運搬フォークと,を含み,運搬フォークは,端部のラックでは一側面から接近し,両端部のラックの中間に位置するラックでは左右両側面から接近して,運搬部フォークバーが積載部フォークバーと交互に重畳した状態で進入,昇降,後退することにより,貨物の積載または引き出しを行うことを特徴とする貨物保管システムが提供される。
【0026】
これにより,積載台に対する運搬フォークの進退時に貨物が,積載台のフォークバーに干渉されない最小の間隔だけ昇降しながら貨物を移載させることができるため,積載用ラックに対して非常に迅速に貨物の積載及び引き出しを行うことができるのは勿論のこと,別途のパレットを使用する必要もない。
【0027】
また,積載台のフォークバーが分離されず固定梁の上面に長く固定されており,設定された積載空間の限度では貨物の大きさに拘らず,各種サイズの貨物を簡便に積載させることができるので,貨物保管システムの入出庫の迅速性,信頼性及び保管効率性の向上などに大きい効果を発揮する。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照しながら,本実施形態にかかる貨物保管システムについて詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0029】
(第1の実施の形態)
本実施の形態にかかる貨物保管システムを説明するために,各フォークバーに対して様々な大きさ関係を考えた場合の図を示す。図4(a)に示すように,積載台10の積載部フォークバーであるフォークバー12と運搬フォーク20の運搬部フォークバーであるフォークバー22を積載部固定梁である固定梁11,運搬部固定梁である固定梁21上に設置し,積載台10のフォークバー12の高さaを運搬フォーク20のフォークバー22の高さbより同程度,または高くした。
【0030】
ところが,この場合,運搬フォーク20が貨物Wを搭載して積載台10に接近する際,移載のために積載台10より間隔gだけ高く位置しなければならないので,運搬フォーク20の固定梁21が積載台10のフォークバー12の先端に引っかかって完全に進入することができない。
【0031】
また図4(b)において,逆に,積載台10のフォークバー12の高さaを運搬フォーク20のフォークバー22の高さbより低くして,運搬フォーク20のフォークバー22が積載台10のフォークバー12の上下に間隔gだけ突出するようにした。ところが,この場合も,運搬フォーク20のフォークバー22の進入側先端が積載台10の固定梁11に引っかかって完全な進入が不可能である。
【0032】
一方,図4(c)では,運搬フォーク20のフォークバー22の高さbを積載台10のフォークバー12の高さaより高くするが,その上端のみが積載台10のフォークバー12上に突出するようにした。この場合は,運搬フォーク20のフォークバー22が積載台10内へ完全に進入することはできるが,運搬フォーク20の昇降が不可能であって貨物Wを移載させることができない。
【0033】
これにより,図4(d)では,積載台10のフォークバー12の高さaより運搬フォーク20のフォークバーbの高さを低くするとともに,運搬フォーク20のフォークバー22の下端に固定梁21上に固定される突出タブ23を形成し,固定梁21の上端とフォークバー22の下端との間に一定の間隔sを与えた。
【0034】
ここで,両フォークバー12,22間の高さ差a−bは,貨物Wの移載完了時に運搬フォーク20のフォークバー22の上端と積載台10のフォークバー12の上端間の間隔g以上にし,間隔sは貨物Wの移載動作に必要な移載間隔g+gより高くした。これを簡単に数式で表わすと,a−b>g,s>g+gになる。
【0035】
この場合,間隔sを含む運搬フォーク20の実質的な全体フォークバー22の高さs+bは,積載台10のフォークバー12の高さaより少なくとも上部間隔間隔gだけ高いため,すなわちs+b>a+gなので,運搬フォーク20のフォークバー22の上端が上部間隔gだけ上に位置して,積載台10に進入しても間隔sによってその固定梁21が積載台10のフォークバー12の先端に干渉されない。
【0036】
また,積載台10のフォークバー12の高さaが運搬フォーク20のフォークバー22の高さbより下部間隔g以上高いので,すなわちa>b+gなので,運搬フォーク20が積載台10内に進入した後運搬フォーク20が下降することにより,そのフォークバー22の上端が積載台10のフォークバー12の上端より下部間隔gだけ下に位置して,貨物Wを移載させる間にも運搬フォーク20のフォークバー22の下端は積載台10の固定梁11に干渉されなくなる。
【0037】
図5〜図7において,本実施の形態にかかる貨物保管システムの積載構造は,基本的に,ラックR(R,R)の積載空間に固定設置され,貨物Wを下方から支持する積載台10と,多軸方向に進行可能な運搬手段によって積載台10の側面に対して接近及び後退しながら,積載台10上に対して貨物Wの積載或いは引き出しを行う運搬フォーク20とからなる。
【0038】
ここで,説明の便宜上,平面から見てラックRの幅方向に配置されたポストP同士を連結する梁は水平梁B,ラックRの長手方向に配置されたポストP同士を連結する梁は連結梁に区分して称する。
【0039】
積載台10は,固定梁11と,この固定梁11の上面に平面から見て固定梁と直交するように設置される複数のフォークバー12とからなる。フォークバー12は適正の厚さと幅を有する長い板状に構成されて,その幅方向に立設され,少なくともその厚さよりは大きい間隔を置いて固定梁11の長手方向に沿って並設される。
【0040】
固定梁11はラックRの両水平梁Bの間に固定される。固定梁11は貨物Wの安定な支持のためにフォークバー12の長手方向の中間に配置されなければならないが,側面から接近する運搬フォーク20の完全な進入のために,固定梁11が,貨物が積載されるラックRの積載空間の中央から固定梁21の幅だけ貨物の進出入通路の反対方向に偏って位置する。
【0041】
従って,積載台10の固定梁11は,貨物Wを安定して支持できるように運搬フォーク20の進入反対側に少なくとも1つをさらに備え,構造的安定を図ることが好ましい。
【0042】
ところで,ラックRは複数のポストP,水平梁B及び連結梁によって格子構造に区画されて積載空間を形成するので,積載台10の両固定梁11はラックRの連結梁としても同時に機能することが好ましい。これは,逆に,ラックRの連結梁が積載台10の固定梁の役割を兼ねることを意味する。
【0043】
これにより,積載台10が端部に位置したラックRに設置され,その左側または右側のいずれか一方にのみ運搬フォーク20が接近する場合は,積載台10の運搬フォーク進入側の固定梁11がラックRの水平梁Bの中間部位に設置され,フォークバー12が運搬フォーク20の進入側にその長さの少なくとも1/2以上固定梁11から突出した張出し梁の形を取ることになる。
【0044】
一方,積載台10が両端部のラックRの中間に位置したラックRに設置され,その左側及び右側から運搬フォーク20が接近する場合は,例えば積載台10の両固定梁11がラックRの両側ポストPの間に設置されるとともに,フォークバー12の長さが端部のラックRに設置されたそれより2倍になり,その両先端が両固定梁11の両側にそれぞれ突出した形を取る。
【0045】
運搬フォーク20も,積載台10のフォークバー12と並設される複数のフォークバー22と,これらのフォークバー22を長手方向の中間下端でそれらと直交するように配置されて一体に固定支持する固定梁21とからなる。
【0046】
このような運搬フォーク20のフォークバー22も,積載台10のフォークバー12と同様に,適正の厚さと幅を有する板状に構成されて幅方向に立設され,積載台10のフォークバー12と重畳できるようにその厚さよりは大きい間隔で配置される。
【0047】
ここで,運搬フォーク20を駆動させる運搬手段は,様々な形のものを使用することができるが,3軸方向に運転可能なスタッカークレーンCを使用することが好ましい。この場合,運搬フォーク20は,スタッカークレーンCのフォークFに装着することもでき,或いはフォークFを排除したまま直接装着することもできる。
【0048】
一方,積載台10のフォークバー12の高さaは,運搬フォーク20のフォークバー22の高さbより相対的に高くなる。これに対し,運搬フォーク20の各フォークバー22の下端中間には,それから下方に延長されて固定梁21に固定されることにより,その全高を積載台10のフォークバー12の高さaより高くする適正高さsの突出タブ23が備えられる。
【0049】
積載台10のフォークバー12と運搬フォーク20のフォークバー22間の高さ差は,少なくとも積載台10に対する運搬フォーク20の進退時に貨物Wとの干渉を防止するために両者間に与えられる間隔gまたはgより大きくなる。
【0050】
例えば,運搬フォーク20が貨物Wを搭載して積載台10に進入する際,両者のフォークバー22,12の上端レベルが同一であれば,貨物Wが積載台10のフォークバー12の上端に接触してその移送に妨害されるので,確実な運搬のために運搬フォーク20のフォークバー22の上端が積載台10のフォークバー12の上端より間隔gだけ高いレベルに位置した状態で進入する。
【0051】
逆に,貨物Wを積載台10のフォークバー12上に移載させた後抜け出る時は,進入時と同様の理由で運搬フォーク20のフォークバー22の上端が積載台10のフォークバー12の上端より間隔gだけ低いレベルに位置した状態で後退する。勿論,積載台10から貨物Wを引き出す場合は,前述した積載時と逆になる。
【0052】
従って,運搬フォーク20のフォークバー22が下部間隔gだけ低いレベルに位置しても積載台10の固定梁11に干渉されてはならないため,積載台10のフォークバー12の高さaが運搬フォーク20のフォークバー22の高さbより間隔g,gだけは高くなければならない。
【0053】
このような上部及び下部の作動間隔g,gは各フォークバー12,22が運搬中か或いは積載された状態の貨物Wに干渉を起こさない最小限の間隔に設定される。
【0054】
また,運搬フォーク20のフォークバー22に形成される突出タブ23の高さs
値は,運搬フォーク20の上部及び下部間隔g,gを合わせた値より高く設定される。これは運搬フォーク20が上部間隔gだけ高いレベルに位置した状態でも,進入時にその固定梁21が積載台10のフォークバー12に干渉されてはならないためである。
【0055】
すなわち,これは突出タブ23の高さsが少なくとも貨物Wの移載に必要な運搬フォーク20の昇降高さg+gよりは高くなければならないことを意味する。
【0056】
以下,このように構成された本発明にかかる貨物保管システムの無パレット積載構造の作動状態を図7(a)〜(d)に基づいて説明する。
【0057】
図7(a)において,外部から貨物Wが搬入されて搭載された運搬フォーク20は,スタッカークレーンCによってラックRの空き積載台10に移動する。この際,運搬フォーク20は,センサ(図示せず)によってスタッカークレーンCのキャリッジKの動作が制御されることにより,そのフォークバー22の上端が積載台10の上端より上部間隔gだけ高いレベルに位置して停止する。
【0058】
次いで,図7(b)に示すように,キャリッジKに設置されたフォークFの作動によって運搬フォーク20が積載台10側に水平移動し,これにより運搬フォーク20のフォークバー22が積載台10のフォークバー12と交互に重畳しながら積載台10の側面から進入する。
【0059】
この際,運搬フォーク20はそのフォークバー22の下端中間に所定の高さsの突出タブ23を備えているので,固定梁21が積載台10のフォークバー12の先端に干渉されず,積載台10の固定梁11の近くまで深く進入する。
【0060】
すなわち,突出タブ23が貨物Wの移載に必要な運搬フォーク20の昇降高さg+gより高い高さsを有するので,運搬フォーク20のフォークバー22の上端が積載台10のフォークバー12の上端より間隔gだけ上昇した状態でも,運搬フォーク20の固定梁21が積載台10のフォークバーに引っかからずに進入することができる。
【0061】
また,積載台10の固定梁11が,貨物が積載されるラックRの積載空間の中央から固定梁21の幅だけ貨物の進出入通路の反対方向に偏って位置するので,運搬フォーク20のフォークバー22が積載台10のフォークバー12の間に完全に進入する。すると,貨物Wが運搬フォーク20上に支持されたまま積載台10の上部に位置することになる。
【0062】
この状態で,図7(c)に示すように,スタッカークレーンCのキャリッジKが所定の高さ,すなわち上部及び下部間隔g+gだけ下降する。すると,運搬フォーク20のフォークバー22の上端が積載台10のフォークバー12の上端より下部間隔gだけ低いレベルに位置し,これにより貨物Wは運搬フォーク20のフォークバー22から積載台10のフォークバー12上に移される。
【0063】
このように貨物Wが積載台10のフォークバー12上に移載されると,図7(d)に示すように,スタッカークレーンCのフォークFが初期位置に復帰しながら運搬フォーク20が積載台10から抜け出ることにより,貨物Wの積載を完了する。
【0064】
一方,貨物Wを積載台10から引き出す場合には,前述した積載の際と逆の手順で行われる。
【0065】
以上述べたように,本発明の積載構造は,運搬フォーク20が積載台10とほぼ同じレベルでその側面から接近及び後退し,移動時に貨物Wに干渉されない最小限の上,下部間隔g+gだけ昇降しながら貨物Wの積載または引き出しを行うことができるので,構造的に簡単であり,特に積載と引き出しにかかる時間が最小化される。
【0066】
(第2の実施の形態)
図8〜図9は,第2の実施の形態にかかる貨物保管システムの運搬フォークと積載台について概略的に示す。
【0067】
前述した第1の実施の形態での構成において,運搬フォーク40のフォークバー42と積載台30のフォークバー32とを逆にした構成である。すなわち,積載台30のフォークバー32の高さaを運搬フォーク40のフォークバー42の高さbより間隔gまたはg以上低く形成し,その下端に固定梁31に接合される所定の高さsの積載部突出タブである複数の突出タブ33を形成する。
【0068】
このような積載台30の突出タブ33の高さも,運搬フォーク40の貨物Wの移載に必要な昇降高さ,すなわち上,下部間隔g,gの和より高く設定される。
【0069】
これにより,貨物Wの積載時に図9(a)の如く運搬フォーク40のフォークバー42の上端が積載台30のフォークバー32の上端より間隔gだけ高いレベルで側面から進入しても,運搬フォーク40のフォークバー42の先端が積載台30の固定梁31に干渉されず,図9(b)の如くその固定梁41が積載台30の固定梁31の近くまで深く進入することになる。
【0070】
その後,図9(c)の如く運搬フォーク40のフォークバー42の上端が積載台30のフォークバー32の上端より下部間隔gだけ低いレベルに位置するように下降しても,突出タブ33の高さsが上,下部間隔g,gの和より大きいため,積載台30の固定梁31に干渉されず,これにより運搬フォーク40上の貨物Wが積載台30上に移される。
【0071】
貨物Wの移載が完了すると,図9(d)の如く運搬フォーク40がさらに初期位置に復帰するが,この際にも運搬フォーク40は積載台30の突出タブ33によって与えられた間隔高さsによって貨物Wまたは積載台30の固定梁31に全く干渉されない。
【0072】
(第3の実施の形態)
また,図10〜図11は第3の実施の形態にかかる貨物保管システムの運搬フォークと積載台について概略的に示す。
【0073】
これは前述した第1及び第2の実施の形態を併合した構成であり,積載台50のフォークバー52と運搬フォーク60のフォークバー62の高さa,bを互いに同一にするとともに,それぞれの下端にその固定梁51,61に接合される所定の高さs,sの突出タブ53,63をそれぞれ形成した構成である。
【0074】
この際の各突出タブ53,63の高さs,sは,積載台50に対する運搬フォーク60の進退のために与えられる上部または下部間隔g,gに対してのみ高く設定される。また,各フォークバー52,62の高さa,bは前述した第1の実施の形態における各フォークバーのうち低い方の高さに対応するように設定される。
【0075】
このような構成では,図11(a)〜図11(d)に示すように作動するが,運搬フォーク60が積載台50に進入する時は,そのフォークバー62の下端に備えられた突出タブ63によって固定梁51,61などに対する干渉が防止され,昇降及び後退する時は,積載台50のフォークバー62の下端に備えられた突出タブ53によって干渉が防止される。
【0076】
しかし,本実施の形態の場合,前述した第1及び第2の実施の形態に比べて各フォークバー52,62と突出タブ53,63の高さa,b,s,sを小さく設定することができるため,貨物Wの積載と引き出し時間をさらに減らすことができるのは勿論,貨物保管システムの空間縮小にも貢献することができる。
【0077】
以上,添付図面を参照しながら本実施の形態にかかる貨物保管システムの好適な実施形態について説明したが,本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0078】
【発明の効果】
上述したように,本発明による貨物保管システムによれば,運搬フォークが積載台の側面から接近しながら運搬フォークの進入と後退時に搭載貨物が相対のフォークバーに干渉されない最小の間隔間隔だけ運搬フォークが昇降して貨物を移載させることができるため,積載用ラックに対して非常に迅速に貨物の積載及び引き出しを行うことができる。
【0079】
その上,運搬フォークが貨物を直接搭載してラックの積載対象に移載させたり,そこから引き出したりするために,別途のパレットを使用する必要も全くない。また,積載台のフォークバーが分離されず固定梁の上面に長く固定されており,設定された積載空間限度では貨物の大きさに拘らず,各種サイズの貨物を簡便に積載させることができる。従って,本発明は,貨物保管システムの入出庫の迅速性,信頼性及び保管効率性の向上,構造的安定性などに優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来技術による貨物保管システムの構成を概略的に示す正面図である。
【図2】 従来の技術による貨物保管システムの運搬フォーク及び積載台を表しており,(a)は上面図,(b)は作動状態を概略的に示す説明図である。
【図3】 従来の技術による他の貨物保管システムの運搬フォーク及び積載台を表しており,(a)は上面図,(b)は作動状態を概略的に示す説明図である。
【図4】 従来技術及び第1の実施の形態による貨物保管システムを比較して説明するために,運搬フォーク及び積載台の各々のフォークバーの大きさの様々な組み合わせを示す説明図であり,(a)は,従来技術において,積載台のフォークバーの高さを運搬フォークのフォークバーの高さと同程度,または高くした場合の図,(b)は,従来技術において,積載台のフォークバーの高さを運搬フォークのフォークバーの高さより低くした場合の図,(c)は,従来技術において,運搬フォークのフォークバーの高さを積載台のフォークバーの高さより高くし,上端のみが積載台のフォークバー上に突出するようにした場合の図,(d)は,第1の実施の形態において,積載台のフォークバーの高さより運搬フォークのフォークバーの高さを小さくし,運搬フォークバーの下端に突出タブを形成した場合の図である。
【図5】 第1の実施の形態による貨物保管システムの運搬フォーク及び積載台を概略的に示す上面図である。
【図6】 図5のVI線側から見た概略正面図である。
【図7】 第1の実施の形態による貨物保管システムの作動状態を順次示す説明図であり,(a)は運搬フォークが積載台に移動した際の図,(b)は,運搬フォークが積載台に進入した際の図,(c)は,貨物が積載台に積載される際の図,(d)は,運搬フォークが積載台から後退する際の図である。
【図8】 第2の実施の形態による貨物保管システムにおける,積載台及び運搬フォークについて示した説明図である。
【図9】 第2の実施の形態による貨物保管システムの作動状態を順次示す説明図であり,(a)は運搬フォークが積載台に移動した際の図,(b)は,運搬フォークが積載台に進入した際の図,(c)は,貨物が積載台に積載される際の図,(d)は,運搬フォークが積載台から後退する際の図である。
【図10】 第3の実施の形態による貨物保管システムにおける,積載台及び運搬フォークについて示した説明図である。
【図11】 第2の実施の形態による貨物保管システムの作動状態を順次示す説明図であり,(a)は運搬フォークが積載台に移動した際の図,(b)は,運搬フォークが積載台に進入した際の図,(c)は,貨物が積載台に積載される際の図,(d)は,運搬フォークが積載台から後退する際の図である。

Claims (10)

  1. ラックに形成された複数の積載空間に,貨物を運搬して積載及び引き出し可能な貨物保管システムにおいて;
    端部のラックでは積載空間の中央付近に水平に設置されており,両端部のラックの中間に位置して左右対称な積載空間が形成されるラックでは各々の積載空間の中央付近に離隔して水平に2つ設置されている,貨物の積載及び引き出し方向と直交する方向に延びた積載部固定梁,及び前記積載部固定梁の上面に直交して一定の間隔で固定される複数の積載部フォークバーからなる積載台と,
    運搬手段によって多軸方向に駆動され,前記積載部フォークバーと平行に並んで一定の間隔で配置される複数の運搬部フォークバー,及び複数の前記運搬部フォークバー下端の長手方向中間位置で前記運搬部フォークバーと直交して設置されて前記運搬部フォークバーを支持する運搬部固定梁からなる運搬フォークと,
    を含み,
    前記積載部フォークバーまたは前記運搬部フォークバーの高さが低い一方の下端には所定の高さの突出タブが備えられて前記積載部固定梁または前記運搬部固定梁の上面に支持されており,前記積載部固定梁と前記運搬部フォークバーとが干渉することなく前記運搬フォークの昇降動作を可能とすることにより,前記運搬フォークは,端部のラックでは一側面から接近し,両端部のラックの中間に位置するラックでは左右両側面から接近して,前記運搬部フォークバーが前記積載部フォークバーと交互に重畳した状態で進入,昇降,及び後退することにより,貨物の積載または引き出しを行うことを特徴とする貨物保管システム。
  2. 前記運搬部フォークバーの上端は,前記積載台への進出入時に,前記積載部フォークバーの上端に対して所定の高さだけ上方,または下方に位置した状態で作動することを特徴とする請求項1に記載の貨物保管システム。
  3. 前記積載部フォークバーと前記運搬部フォークバーとの高さの差が,少なくとも,前記運搬フォークの進出入時に前記積載部フォークバーと前記運搬部フォークバーとの上端間に維持される高さの差より大きく設定されることを特徴とする請求項1または2に記載の貨物保管システム。
  4. 前記突出タブの高さが,少なくとも貨物の積載時に要求される運搬フォークの昇降高さより高く設定されることを特徴とする請求項1,2または3のいずれかに記載の貨物保管システム。
  5. 前記積載部固定梁が,貨物が積載されるラックの積載空間の中央から前記運搬部固定梁の幅だけ貨物の進出入通路の反対方向に偏って位置することを特徴とする請求項1,2,3または4のいずれかに記載の貨物保管システム。
  6. 前記運搬手段がスタッカークレーンであることを特徴とする請求項1,2,3,4または5のいずれかに記載の貨物保管システム。
  7. ラックに形成された複数の積載空間に,貨物を運搬して積載及び引き出し可能な貨物保管システムにおいて;
    端部のラックでは積載空間の中央付近に水平に設置されており,両端部のラックの中間に位置して左右対称な積載空間が形成されるラックでは各々の積載空間の中央付近に離隔して水平に2つ設置されている,貨物の積載及び引き出し方向と直交する方向に延びた積載部固定梁,及び下端に所定の高さの突出タブを備えて前記積載部固定梁の上面に直交して一定の間隔で固定される複数の積載部フォークバーからなる積載台と,
    運搬手段によって多軸方向に駆動され,前記積載部フォークバーと同一の高さで,平行に並んで,一定の間隔で配置され,下端の長さ方向の中間位置に所定の高さの運搬部突出タブを有する複数の運搬部フォークバー,及び前記運搬部フォークバーと直交して設置されて前記運搬部突出タブを支持する運搬部固定梁からなる運搬フォークと,
    を含み,
    前記運搬フォークは,端部のラックでは一側面から接近し,両端部のラックの中間に位置するラックでは左右両側面から接近して,前記運搬部フォークバーが前記積載部フォークバーと交互に重畳した状態で進入,昇降,及び後退することにより,貨物の積載または引き出しを行うことを特徴とする貨物保管システム。
  8. 前記運搬部フォークバーの上端は,前記積載台への進出入時に,前記積載部フォークバーの上端に対して所定の高さだけ上方または下方に位置した状態で作動することを特徴とする請求項7に記載の貨物保管システム。
  9. 前記積載部突出タブと前記運搬部突出タブとの高さの差が,少なくとも,前記運搬フォークの進出入時に前記積載部フォークバーと前記運搬部フォークバーとの上端間に維持される高さの差より大きく設定されることを特徴とする請求項7または8に記載の貨物保管システム。
  10. 前記積載部固定梁が,物が積載されるラックの積載空間の中央から前記運搬部固定梁の幅だけ貨物の進出入通路の反対方向に偏って位置することを特徴とする請求項7,8または9のいずれかに記載の貨物保管システム。
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