JP3958197B2 - 免震建物用エレベーターの乗場装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、免震装置を用いた建築体に設置されるエレベーターの乗場装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の免震建物用エレベーターの乗場装置においては、基部建築体に免震装置を介して免震建築体が支持されている。そして、建築体の階床の乗場側に基部出入口が設けられ、昇降路側に昇降路出入口が設けられている。基部出入口と昇降路出入口の間に、基部板、昇降路板、第一中間板及び第二中間板により、基部出入口の出入方向に伸縮可能な乗降通路の側壁が形成されている。これにより、地震時の水平方向の変位に対し、側壁の各板が追従(伸縮)し、空所を発生させることなく通路を確保するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−171429号公報(請求項4、図31〜図35)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来の免震建築用エレベーターの乗場装置では、側壁を構成する各板が伸縮可能に構成されているため、各板は水平方向の変位には追従できるが、上下方向の変位には追従できないという問題点がある。
【0005】
この発明は上記問題点を解消するためになされたもので、乗場の可動壁が地震時の各方向への揺れに対して円滑に追従できるようにした免震建築用エレベーターの乗場装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る免震建物用エレベーターの乗場装置は、基部建築体に免震装置を介して支持された免震建築体と、免震建築体に設けられ、両建築体に互いに連通する昇降路と、基部建築体の乗場に設けられた基部側三方枠と、昇降路に設けられ、基部側三方枠に対向する昇降路側三方枠と、一側が昇降路側三方枠に枢持された昇降路側可動壁と、一側が基部側三方枠に枢持され、他側が昇降路側可動壁と並立する基部側可動壁と、両可動壁の裏面に設けられ、両可動壁を互いに連結し、かつ両可動壁が、上下方向及び水平方向を含む互いの対向面に沿う方向へ変位する際その変位を案内する連結装置とを備え、連結装置は、基部側可動壁の裏面に固定されて基部側可動壁の裏面との間に水平方向に延在する矩形筒状の空所及びこの空所が矩形筒の長手に沿って外部に開口する空隙が形成された保持枠と、横断面がT字状に形成され一端が昇降路側可動壁の裏面に固定され、T字の横画の他端が保持枠の空所に挿入され、T字の縦画の他端が保持枠の空隙から外部へ突出する保持金とで構成したものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1〜図5はこの発明の一実施の形態を示す図で、図1は建物の縦断面図、図2は図1のII部拡大図、図3は図2の平面断面図、図4は図3のIV−IV線拡大断面図、図5は図2の地震時の変位状態図であり、図中同一符号は同一部分を示す。
【0008】
図1において、基部建築体1は大地2に建築されており、基部建築体1には縦坑3が設けられている。そして、基部建築体1の上面には、免震装置4を介して免震建築体5が支持されており、免震建築体5にはエレベーター昇降路(以下、単に昇降路という。)6が設けられている。また、免震建築体5の下部には、昇降路6に連通する昇降路7が固着され、縦坑3に水平方向にすき間を隔てて配置されている。
【0009】
また、免震建築体5には、昇降路6の上方に機械室8が設けられ、機械室8には巻上装置9が設置されている。そして、巻上装置9には主索10が巻き掛けられ、主索10の一端にはかご11が結合され、他端にはつり合おもり12が結合されている。また、昇降路7の底部には、かご11及びつり合おもり12のそれぞれに対応した緩衝器13が設置されている。
【0010】
図2〜図4において、基部建築体1の乗場出入口は、乗場に面する基部側出入口15と昇降路7に面する昇降路側出入口16とがあり、基部側出入口15には、基部側三方枠17が固定されている。また、昇降路側出入口16には、昇降路側三方枠18が固定されており、昇降路側三方枠18の昇降路7側には、乗場戸19が配置されている。基部側三方枠17の上枠17aには、水平方向へ延在する基部側天井板20が固定され、昇降路側三方枠18の上枠18aには、同様に昇降路側天井板21が固定され、両天井板20,21は相互に重合している。
【0011】
また、基部建築体1の床面には、水平方向へ延在する基部側床板22が固定され、昇降路側出入口16の下方には、水平方向へ延在する昇降路側床板23が固定され、両床板22,23は相互に重合している。また、昇降路側出入口16の下方には、乗場戸19の下端を案内する敷居24が固定されている。
また、基部側三方枠17と昇降路側三方枠18の間には、基部側可動壁25及び昇降路側可動壁26が立設され、天井板20、21と床板22,23の間に配置されている。
【0012】
基部側可動壁25は、基部側三方枠17に固定された固定金27にピン28で枢着され、昇降路側可動壁26は、同様に昇降路側三方枠18に、固定金29及びピン30で枢着されている。そして、可動壁25,26は連結装置31で連結されている。連結装置31は、保持枠32,摺動片33及び保持金34で構成されている。保持枠32は空隙32aを隔てて互いに対向して可動壁25の裏面に固定され、可動壁25の裏面との間に、矩形筒状の空所32bを形成している。
【0013】
摺動片33は超高分子量ポリエチレン等の合成樹脂等の低摩擦材で構成され、可動壁25の裏面と保持枠32の内側に固着されている。保持金34は横断面T字状に形成され、一端が可動壁26の裏面に固定され、他端が可動壁25の裏面に延在し、T字の横画が空所32bに摺動可能に挿入され、T字の縦画は空隙32aから外部へ突出している。なお、上記保持金34のT字の横画の端部と保持枠32の間に、間隙Gが形成されている。
【0014】
次に、この実施の形態の動作を図5を参照して説明する。
上記のような免震建物用エレベーターの乗場装置においては、基部建築体1側と昇降路7側とは分離されているため、地震時、基部側三方枠17と昇降路側三方枠18間に層間変位が発生する。このとき、基部側三方枠17に結合された天井板20、可動壁25及び床板22は三方枠17に追従して変位し、昇降路側三方枠18に結合された天井板21、可動壁26及び床板23は三方枠18に追従して変位して層間変位を吸収する。
【0015】
今、図5に示すように、昇降路側可動壁26が変位したとすると、保持金34は保持枠32に案内されて空所32b内を摺動する。そのため、摺動片33によって保持金34の動作が制約を受けて、可動壁25と可動壁26は相互に干渉することなく、円滑に動作する。また、保持金34と保持枠32の上下方向には間隙Gがあるため地震時の上下方向の変位にも追従可能である。また、可動壁25,26は固定金27,29及びピン28,30で建物側壁に枢着されているため、可動壁25,26の回動方向(左右方向)の変位にも対応可能である。
【0016】
このようにして、可動壁25,26は連結装置31の機能及びピン28,30による枢着により、地震時の三次元的変位に対して円滑に追従して、各部の損傷をなくすことが可能である。
なお、上記実施の形態では、この発明を基部建築体1の乗場に適用した場合について説明したが、免震建築体5の乗場に適用することも可能である。
【0017】
【発明の効果】
以上説明したとおりこの発明では、基部建築体に免震装置を介して支持された免震建築体と、免震建築体に設けられ、両建築体に互いに連通する昇降路と、基部建築体の乗場に設けられた基部側三方枠と、昇降路に設けられ、基部側三方枠に対向する昇降路側三方枠と、一側が昇降路側三方枠に枢持された昇降路側可動壁と、一側が基部側三方枠に枢持され、他側が昇降路側可動壁と並立する基部側可動壁と、両可動壁の裏面に設けられ、両可動壁を互いに連結し、かつ両可動壁が、上下方向及び水平方向を含む互いの対向面に沿う方向へ変位する際その変位を案内する連結装置とを備え、連結装置は、基部側可動壁の裏面に固定されて基部側可動壁の裏面との間に水平方向に延在する矩形筒状の空所及びこの空所が矩形筒の長手に沿って外部に開口する空隙が形成された保持枠と、横断面がT字状に形成され一端が昇降路側可動壁の裏面に固定され、T字の横画の他端が保持枠の空所に挿入され、T字の縦画の他端が保持枠の空隙から外部へ突出する保持金とで構成したので、可動壁は地震時の三次元的変位に対して円滑に追従して、各部の損傷をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1を示す建物の縦断面図。
【図2】 図1のII部拡大図。
【図3】 図2の平面断面図。
【図4】 図3のIV−IV線拡大断面図。
【図5】 図2の地震時の変位状態図。
【符号の説明】
1 基部建築体、4 免震装置、5 免震建築体、7 昇降路、17 基部側三方枠、18 昇降路側三方枠、25 基部側可動壁、26 昇降路側可動壁、27 固定金、28 ピン、29 固定金、30 ピン、31 連結装置、32保持枠、32a 空隙、32b 空所、33 摺動片、34 保持金。
Claims (2)
- 基部建築体に免震装置を介して支持された免震建築体と、
上記免震建築体に設けられ、上記両建築体に互いに連通する昇降路と、
上記基部建築体の乗場に設けられた基部側三方枠と、
上記昇降路に設けられ、上記基部側三方枠に対向する昇降路側三方枠と、
一側が上記昇降路側三方枠に枢持された昇降路側可動壁と、
一側が上記基部側三方枠に枢持され、他側が上記昇降路側可動壁と並立する基部側可動壁と、
上記両可動壁の裏面に設けられ、上記両可動壁を互いに連結し、かつ上記両可動壁が、上下方向及び水平方向を含む互いの対向面に沿う方向へ変位する際その変位を案内する連結装置と、
を備え、
上記連結装置は、上記基部側可動壁の裏面に固定されて上記基部側可動壁の裏面との間に水平方向に延在する矩形筒状の空所及びこの空所が上記矩形筒の長手に沿って外部に開口する空隙が形成された保持枠と、横断面がT字状に形成され一端が上記昇降路側可動壁の裏面に固定され、上記T字の横画の他端が上記保持枠の空所に挿入され、上記T字の縦画の他端が上記保持枠の空隙から外部へ突出する保持金と、
で構成したことを特徴とする免震建物用エレベーターの乗場装置。 - 保持枠の矩形筒の内側に低摩擦材からなる摺動片を固定したことを特徴とする請求項1記載の免震建物用エレベーターの乗場装置。
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