JP3958102B2 - 液状封止樹脂組成物、半導体装置の製造方法及び半導体装置 - Google Patents
液状封止樹脂組成物、半導体装置の製造方法及び半導体装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、バンプ接合が可能な樹脂組成物であり、信頼性に優れ、かつ組み立て工程を簡略できるような樹脂組成物で封止された半導体装置及び半導体装置の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年半導体パッケージの軽薄短小化の技術革新は目覚しいものがあり、さまざまなパッケージ構遣が提唱され、製品化されている。従来のリードフレーム接合に代わり、半田のような突起電極により、回路基板(マザーボード)に接合するエリア実装方式は特に重要である。
【0003】
その中で半導体チップの回路面に直接突起電極が具備されたフリップチップはパッケージを最小化できる方法のひとつである。フリップチップ実装は、半田電極の場合、半田電極の表面の酸化膜を除去するためにフラックスで処理した後リフロー等の方法で接合する。その為半田電極、回路基板等の周囲にフラックスが残存し、不純物として問題となるためフラックスを除去する洗浄を行った後液状封止を行う。その理由としては、直接回路基板(マザーボード)に突起電極で接合するため、温度サイクル試験のような信頼性試験を行うと、チップと回路板の線膨張係数の差により電極接合部の電気的不良が発生するためである。
【0004】
液状樹脂による封止は、チップの一辺または複数面に液状封止樹脂を塗布し毛細管現象を利用して樹脂を回路板とチップの間隙に流れ込ませる。しかしこの方法はフラックス処理、洗浄を行うため工程が長くなりかつ洗浄廃液の処理問題等環境管理を厳しくしなければならない。更に液状封止を毛細管現象で行うため封止時間が長くなり、生産性に問題があった。
【0005】
そこで直接回路基板に樹脂を塗布し、はんだ電極を持ったチップをその上から搭載し半田接合と樹脂封止を同時に行う方法か考案された(米国特許US5,128,746)。この場合、半田を回路基板に接合させるために、熱硬化製樹脂、硬化剤からなる樹脂組成物にフラックス作用を有する成分を添加することが特徴である。しかし,フラックス作用を有する物質として、酸性度の強いカルボン酸が例示されており、封止樹脂に添加する場合はイオン性不純物または電気伝導性が増加する恐れがあり、特に吸湿処理したときの封止材料の絶縁性に問題を起こす可能性があった。
【0006】
上記問題点を解決するために、硬化剤とフラックス活性を同時に有する化合物を用いることによりフラックス活性物質を最終的に熱硬化マトリックスの中に取り込み、信頼性の高い半導体素子を得る方法が検討されている。その中で1分子あたり少なくとも2個以上のフェノール性水酸基と1分子当たり少なくとも1個以上のカルボン酸基を有する化合物はフラックス活性を有し、且つ硬化剤としての役割を示すことが見出されている(公開2001−106770号公報)。
【0007】
直接回路基板に樹脂を塗布し、はんだ電極を持ったチップをその上から搭載し半田接合と樹脂封止を同時に行う方法であると、−般的に接合部の噛み込みの懸念点から、フィラーレス系が用いられるが、信頼性に劣るという欠点がある。これを補う為、通常無機シリカのようなフィラーが添加されるが、噛み込みやフラックス活性濃度の低下による接合不良か生してしまう可能性からフィラーの添加量は20〜30重量%が限度であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、液状樹脂組成物を用いて半導体チップ、特に回路面に突起電極を有する半導体チップを封止するエリア実装法において、従来と同様に電気絶縁性に優れ、封止時間が短く、また液状樹脂材料組成物において,今まで困難であったフィラーを高充填化しても実装接続信頼性が確保ができる樹脂組成物とその製造方法である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、これらの問題を解決する為鋭意検討した結果、回路基板に液状封止樹脂組成物を塗布し、はんだ電極を有するチップをその上から搭載し半田接合と樹脂封止を同時に行う方法に用いられる液状樹脂組成物であって、(A)2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂、(B)フラックス作用を有し、1分子あたり少なくとも2個以上のフェノール性水酸基と1分子当たり少なくとも1個以上のカルボン酸基を有する化合物、(C)硬化促進剤、(D)ジシロキサン構造を有するシリコーン変性液状エポキシ樹脂として一般式(1)で示される液状エポキシ樹脂、及び(E)無機フィラーを有する液状封止樹脂組成物である。
【0010】
更に好ましい形態としては、ジシロキサン構造を有するシリコーン変性液状エポキシ樹脂が、一般式(1)で示されるシリコーン変性液状エポキシ樹脂のmが0であるシリコーン変性液状エポキシ樹脂と一般式(2)で表されるフェノール類とを加熱反応により合成したものである液状封止樹脂組成物である。
また、一般式(1)で示されるシリコーン変性液状エポキシ樹脂のmが0であるシリコーン変性液状エポキシ樹脂(a)と一般式(2)で表されるフェノール類(b)とのモル比[(a)のエポキシ基モル比/(b)の水酸基モル比]が、1〜10の範囲であり、全エポキシ樹脂中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂が75〜95重量%含まれ、フラックス作用を有し、1分子あたり少なくとも2個以上のフェノール性水酸基と1分子当たり少なくとも1個以上のカルボン酸基を有する化合物の粒径または長さが最大30μm以下であり、無機フィラーの平均粒径が0.5〜10μm、かつ最大粒径が27μm以下であり、液状封止樹脂組成物に対して無機フィラーを20〜60重量%含む液状封止樹脂組成物である。
【0011】
また、液状封止樹脂組成物がエリア実装方式に使用される液状封止樹脂組成物であり、液状封止樹脂組成物を用いて製作された半導体装置である。
【化3】
【化4】
(Rl〜R4は、H、アルキル基、アリル基の中から選択される基であり、nは0以上の整数である。)
【0012】
また、回路基板に、回路面に突起電極が具備された半導体チップを接合するエリア実装法において、回路基板または半導体チップの回路面(突起電極形成面)かつ又はこれを受ける回路基板に、上記の液状封止樹脂組成物を塗布し、電極が電気接合されるように回路基板と半導体チップとを位置合わせした後、加熱することによって突起電極と回路基板を電気的に接合し、樹脂を硬化させて製造する半導体装置の製造方法であり、前述の製造方法により製作された半導体装置である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明を詳細に説明する。本発明で用いられるエポキシ樹脂は、平均エポキシ当量が2以上であれば、既存のビスフェノール系シグリシジルエーテル類、またそれらの水素添加反応により芳香環を飽和炭化水素化したもの、フェノールノボラックとエピクロールヒドリンとの反応で得られるグリシジルエーテルで常温で液状のもの等、またはそれらを混合したものが挙げられる。またこれらの液状樹脂にジヒドロキシナフタレンのジグリシジルエーテル、テトラメチルビフェノールのシグリシジルエーテル等の結晶性のエポキシ樹脂を混合し、液状にしたものを使用することもできる。
【0014】
次に本発明に用いられる1分子あたり少なくとも2個以上のフェノール性水酸基と1分子当たり少なくとも1個以上の芳香族カルホン酸を有する化合物の例としては、例えば、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、没食子酸、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3,5−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、フェノールフタリン、ジフェノール酸等がある。この硬化剤としての1分子あたり少なくとも2個以上のフェノール性水酸基と1分子当たり少なくとも1個以上の芳香族カルボン酸を有する化合物はフラックス作用があり、エリア実装方式の樹脂封止用のエポキン樹脂の硬化剤として好ましい。
ここて、フラックス性とは通常用いられているようなフラックス剤と同様に、金属酸化膜を還元し、その酸化膜を除去しうる性質を示す。
【0015】
またこれらの硬化剤はいずれも結晶性であり、その最大粒径または最大長さは特に制限されないが30μm以下であることが好ましい。上限値より大きいと結晶中に取り込まれた揮発分または結晶凝集物内に取り込まれた揮発分の量が多くなり、硬化中の急激な温度上昇により揮発分がボイドとなり、また、分散度が低下し、硬化物のむらが生成し、そこからひけを生してしまう可能性がある。
【0016】
本願で使用されるエポキシ樹脂に対する1分子あたり少なくとも2個以上のフェノール性水酸基と1分子当たり少なくとも1個以上の芳香族カルボン酸を有する化合物の添加量は、エポキシ樹脂に対し5〜60重量%、好ましくは5〜50重量%である。この範囲を外れると、架橋密度が減少し、特に接着強度が低下するという問題が起こる可能性がある。また添加量が多い場合はカルボン酸が遊離する可能性がある。化合物は単独または複数添加することもできる。
【0017】
本発明の効果を損なわない範囲で本発明の1分子あたり少なくとも2個以上のフェノール性水酸基と1分子当たり少なくとも1個以上の芳香族カルボン酸を有する化合物以外の硬化剤を添加することも可能である。その例としては、フェノールノボラック樹脂、オルソクレゾールノボラック樹脂等のフェノール樹脂、各種2官能以上のフェノール化合物、及びイミダゾール、ジアザ化合物、ヒドラジッド化合物、ジシアンジアミド等のアミン系化合物等が挙げられる。その添加量は全硬化剤中50重量%以下であることが好ましい。これを上回るとフラックスとしての効果が減少する可能性がある。
【0018】
本発明で用いる硬化促進剤としては、一般的にエポキシ樹脂の硬化促進剤として用いられるものであり、例えば、イミダゾール類、リン化合物、ジアザ化合物、第三級アミン等をあげることができる。
【0019】
本発明で用いられる無機フィラーの例としては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、窒化アルミ等があげられる。用途によりこれらを複数混合してもよいが、信頼性、コストの点でシリカが好ましい。その添加量は特に制限がないが、封止樹脂としての特性(耐湿性、作業性等)を保つため液状封止樹脂組成物の80重量%以下であることが好ましい。より好ましくは20〜70重量%であり、更に好ましくは30〜70重量%である。上限値を超えると、接合の際、絶縁性のフィラーが半導体素子の突起電極と回路板電極との接合を妨げる可能性がある。
【0020】
また無機フィラーの形状は球状であることが好ましい。いわゆる破砕型フィラーの場合はその鋭利な面により半導体素子表面の回路を破壊する可能性がある。無機フィラーの平均粒径としては特に制限されないが、0.l〜5μmが好ましい。下限値より小さいと無機フィラーの表面積が増加し、粘度が増加する可能性があり、上限値より大きいと半導体素子の接合を妨げる可能性がある。
【0021】
本発明で用いられる一般式(1)で表されるジシロキサン構造を有するシリコーン変性エポキシ樹脂としては、その骨格中に一般式(1)で示されるモノジシロキサン結合を有することが必要である。その例としては、一般式(1)で示されるシリコーン変性エポキシ樹脂を単独、又は該シリコーン変性エポキシ樹脂と、該シリコーン変性エポキシ樹脂と反応しうる置換期を有する化合物とを反応して得られるもの、又はビスフェノールAやビスフェノールF型エポキシ樹脂のようなジシロキサン構造を有さない市販エポキシ樹脂と、エポキシ基とカルボン酸、アミン、チオール類の反応しうる置換基を有し、かつ一般式(1)で示されるモノジシロキサン構造を有する化合物と反応して得られるもの等が挙げられるがこの限りではない。
また、これらの反応はエポキシ樹脂過剰下のもとで行うのが望ましい。その中で、一般式(1)で示され、且つm=0であるシリコーン変性エポキシ樹脂とビスフェノール類をエポキシ樹脂過剰下のもとで反応させて得られる反応物が本発明に好適である。m=1以上であっても弾性率を低下させて耐熱衝撃性を発現させることは可能であるが、密着性を損なう可能性が存在するので、m=0がより好ましい。
【0022】
一般式(1)で示されるシリコーン変性エポキシ樹脂とフェノール類の反応例としては、一般式(1)のエポキシ樹脂(a)と一般式(2)で表されるようなフェノール類(b)(n=0,RはH,アルキル基又はアリル基)とを混合し、必要により溶媒を加え100℃以上の条件で反応させる。当量比[(a)のエポキシ当量/(b)の水酸基当量]としては、エポキシ基の過剰な存在下での加熱反応が好ましく、(a)/(b)が1〜10であることがより望ましい。これは、1未満であるとエポキシ基が残存しないので液状フェノールを添加しても、もはや反応しないためであり、10以上になると未反応原料であるシリコーン変性エポキシ樹脂が残り、硬化中にアウトガスとして周辺部材を汚染するおそれがあるためである。これら反応物の添加量としては、全エポキシ樹脂に対し、5〜40重量部であることが望ましい。下限値より少ないと、シリコーン変性エポキシ樹脂としての特性である濡れ性の向上が発現せず、フィラー高充填系にした場合にシリカの排除性に欠け、本方式で用いた場合に噛み込みなとの接合不良を及ぼす可能性がある。また上限値より多いと,熱可塑的な働きが強まり、Tgの低下や密着性の低下などを導く可能性がある。
【0023】
本発明で用いる一般式(2)で表されるようなフェノール類としてはビスフェノール類であり、低粘度の反応生成物が出来るために好ましい。その例としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールS、ジヒドロキシジフェニルエーテル、ジヒドロキシベンゾフェノン、o−ヒドロキシフェノール、m-ヒドロキシフェノール、p-ヒドロキシフェノール、ビフェノール、テトラメチルビフェノール、エチリデンビスフェノール、メチルエチリデンビス(メチルフェノール)、α-メチルベンジリデンビスフェノール、シクロへキシリデンビスフェノール、アリル化ビスフェノール等が挙げられ、またその他一般的なフェノールとして公知であるフェノールノボラック、ナフタレン骨格型フェノール,ビフェニル型フェノール、トリスヒドロキシフェニルエタン等を用いても差し支えない。また、これらは単独でも混合して用いてもよい。
【0024】
本発明の液状封止樹脂組成物は、前記液状エポキン樹脂、硬化剤、硬化促進剤、無機フィラー以外に、必要に応じて反応性希釈材、顔料、染料、レベリング剤、消泡剤、カップリング材等の添加剤を混合し、真空脱泡することにより製造することができる。
【0025】
本発明の液状封止樹脂組成物を用いて、フリップチップ、CSP(チップ・サイズ・パッケージ)等の半導体素子を封止することが出来る。本発明の液状封止樹脂組成物ではフラックスを添加せず、例えば、直接回路基板に本発明の樹脂を塗布し、はんだ電極を持ったチップをその上から搭載して加熱硬化することにより半田接合と樹脂封止を同時に行うことが可能である。また、チップの上に本発明による樹脂を塗布し、回路基板の上に搭載して半田接合と樹脂封止を同時に行うことも可能である。
【0026】
本発明の半導体装置の製造方法は、回路基板に、回路面に突起電極が具備された半導体チップを接合するエリア実装法において、(1)回路基板または半導体チップの回路面(突起電極形成面)かつ又はこれを受ける回路基板に、上記に記載の液状封止樹脂組成物を塗布する工程、(2)電極が電気接合されるように回路基板と半導体チップとを位置合わせする工程、(3)加熱することによって該突起電極と回路基板を電気的に接合し、樹脂を硬化させる工程である。
【0027】
上記の液状封止樹脂組成物を塗布する方法は、ディスペンス法、印刷法等があり特に制限されない。樹脂を予備加熱する場合の条件は、40〜100℃、時間は1つのパノケーシあたり1〜5分程度で搭載が行われる。電極の電気接合の為の加熱は、リフローやパルスヒート加熱、ホットプレートなどによる直接加熱のような方法等が挙げられ特に制限されない。
半導体素子の製造及び半導体装置のその他の製造工程は従来の公知の方法を用いることが出来る。
【0028】
【実施例】
〈実施例1−6、比較例1−3〉
表1の処方に従って秤量し、ミキサーにて混練し、真空脱泡後、液状樹脂組成物を作製した。
【0029】
次に特性を把握するため以下の代用特性を評価した。
(1)常態粘度:25℃において東機産業(株)製E型粘度計で初期粘度(コーン回転数2.5rpm)及び25℃における0.5rpm/2.5rpmという比をチキソ比とした。
(2)ボイド評価:通常で使用されるプロセスを模倣する為に、ガラススライド上に適当量(フィラー系であれば16〜17mg,フィラーレス系であれば11〜12mg)液状樹脂組成物をディスペンスし、10X10mm□のバンプ(バンプ数900)付きチップを澁谷工業製フリップチップボンダーにてマウントした。その後、リフロー(ピーク215℃)を用いて接合状態と同しように熱履歴をかけた後、150℃/2hr後硬化した後、ボイドの発生具合を顕微鏡にて観察し、ボイド発生サンプルをカウントした。
(3)Tg測定:セイコーインスツルメンツ社製TMA装置を用いて、圧縮法にて−100℃から300℃まで昇温速度10℃/minで上昇させたときの線膨張係数を測定し、そのときの変曲点をガラス転移温度(Tg)とした。
(4)接触角:リードフレーム(80ピン銅)の上にそれぞれ材料組成物の液滴を滴下し、リードフレームとの接触角を測定することで部材との濡れ性とした。
(5)アスペクト比:Cu板に各材料組成物を共晶半田ボールへ転写したサンプルを静置し、それを215℃熱板で加熱してCu板に対する濡れ拡がり性をASTM−B−545に準じて測定した。
(6)半田バンプ接合率:住商化製品工業社製のバンプ付きチップ、また対となる厚み0.75mmの基板を用いて基板上に液状封止樹脂組成物を塗布し、澁谷工業社製フリップチップボンダーを用いて仮圧着させた。そのサンプルをピーク温度230℃、183℃以上の時間が60sec、トータル時間が300secのプロファイルを有するリフローに通してバンプの接合性をテスターにより観察した。
(7)耐リフロー性試験:出来上がったPKGの信頼性を評価する為に、JEDECレベル4の吸湿条件を施した後、リフロー(MAX230℃)に3回通すことで、接合不良をテスターにより評価した。
(8)耐熱衝撃試験:耐熱衝撃試験に対する信頼性を評価する為に、−40℃⇔125℃(気相)の熱サイクル試験(500サイクル)を行い、接合不良をテスターにより評価し、不良数をカウントした。
【0030】
実施例に用いた原材料の内容は下記のとおりてある。
・ビスフェノールF型エポキシ樹脂:粘度;2,000cps(室温)
・アリル化ビスフェノールA:粘度;4,000cpS(室温)
・ナフタレン骨格エポキシ樹脂:軟化点60℃
・1分子あたり少なくとも2個以上のフェノール性水酸基と1分子当たり少なくとも1個以上の芳香族カルボン酸を有する化合物:
2,5−ヒドロキシ安息香酸、フェノールフタリン
・硬化促進剤:ジアザビシクロウンデセン(DBU)
・シリコーン変性エポキシ樹脂:東芝シリコーン製,商品名9906
・シリコーン変性エポキシ樹脂の反応物の製造例(変性樹脂−1):
一般式(1)においてm=0のエポキシ樹脂(エポキシ当量181)100g、ビスフェノールA(水酸基当量114)18gに触媒としてトリフェニルフォスフィン1gを添加し、180℃で3時間反応させて変性樹脂−1を得た。
・シリコーン変性エポキシ樹脂の反応物の製造例(変性樹脂−2):
一般式(1)においてm=1のエポキシ樹脂(エポキシ当量330)100g、ビスフェノールF(水酸基当量100)18gに触媒としてトリフェニルフォスフィン1gを添加し、180℃で3時間反応させて変性樹脂−2を得た。
・球状シリカ:平均粒径:2μm、最大粒径:10μm
【0031】
評価結果を表1に示す。
【表1】
【0032】
表1に示したように、実施例1−5では適当量の変性樹脂の添加により濡れ性が向上(接触角が低下)することで部材とのなじみ性が向上し、バンプ間に存在する樹脂組成物の排除性を高めることで接合性やフラックス活性の指標の一つであるアスペクト比の向上を示している。それにより半田ハンプの接合状態も良好となり、シリカの高充填化で低CTEされていることから信頼性も良好な結果を示した。
実施例6においては変性樹脂−2を用いたため、使用可能ではあるが高信頼性がやや劣るという結果となった。
一方、比較例1、2では変性樹脂が含まれていない為に接触角か高く、部材とのなじみ性が劣り、バンプ間の樹脂組成物の排除性が低下したために、接合不良を導いたと考えられる。また、接合が可能であったサンプルに関しても同等の樹脂材料の物性値を有していても信頼性試験において不良が発生していることから、バンプの接合状態が良好でなく、それゆえにストレスが残留することで不良を発生したことを示唆している。また、比較例3では樹脂組成物の接触角が小さく、接合性は良好なものの、フィラーを含まない為に、その後の信頼性に関しては良好な結果を示さなかった。
【0033】
【発明の効果】
本発明に従うとエリア実装素子を回路基板に直接実装することができ、封止プロセスの短縮化とともに、フィラー高充填系であっても良好な接続信頼性を与える封止樹脂を提供てき、パッケージとしての信頼性も向上する。
Claims (9)
- 一般式(1)で示されるシリコーン変性液状エポキシ樹脂のmが0であるシリコーン変性液状エポキシ樹脂(a)と一般式(2)で表されるフェノール類(b)とのモル比{(a)のエポキシ基モル比/(b)の水酸基モル比}が、1〜10の範囲である請求項2記載の液状封止樹脂組成物。
- 全エポキシ樹脂中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂が75〜95重量%含まれる請求項1記載の液状封止樹脂組成物。
- フラックス作用を有し、1分子あたり少なくとも2個以上のフェノール性水酸基と1分子当たり少なくとも1個以上のカルボン酸基を有する化合物の粒径または長さが最大30μm以下である請求項1記載の液状樹脂組成物。
- 液状封止樹脂組成物がエリア実装方式に使用される請求項1記載の液状封止樹脂組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の液状封止樹脂組成物を用いて製造された半導体装置。
- 回路基板に、回路面に突起電極が具備された半導体チップを接合するエリア実装法において、該回路基板または半導体チップの回路面(突起電極形成面)かつ又はこれを受ける回路基板に、請求項1に記載の液状封止樹脂組成物を塗布し、電極が電気接合されるように該回路基板と半導体チップとを位置合わせした後、加熱することによって該突起電極と該回路基板を電気的に接合し、樹脂を硬化させて製造することを特徴とする半導体装置の製造方法。
- 請求項8に記載の半導体装置の製造方法を用いて製造された半導体装置。
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