JP3957908B2 - 耐チッピング性に優れた塗装ステンレス鋼板 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、チッピングを発生しにくい塗装ステンレス鋼板に関するものである。特に屋外等の厳しい腐食環境で長期間の耐久性を確保し得る塗装ステンレス鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高硬度、高耐汚染に優れた塗装金属板およびその製造方法に関しては、特公平4―45342号公報、特開平6−262136号公報に開示された技術が既に実用化されている。この開示された技術は、電子線硬化塗膜を金属板に被覆したものである。
さらに、耐食性に優れた塗装金属板およびその製造方法が特開平7−251125号公報に、また、耐候性、耐食性に優れた塗装金属板およびその製造方法に関して、特開平7−289987号公報に開示された技術が既に実用化されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の塗装金属板は、苛酷な環境下、例えば海岸に直面した場所や交通量が多く、年間の気温差が大きく、かつ道路の凍結防止のために塩化物(NaCl、CaCl2 )を散布するトンネルなどでは耐食性が不十分な場合がある。
この耐食性の劣化原因について種々検討した結果、トンネル内では飛び石が当たって発生する塗膜割れを起点とした腐食(チッピング)が発生していることが判明した。この腐食は、飛び石が当たって発生する塗膜割れ時に塗膜とステンレス鋼板の界面に隙間が発生し、この隙間の中で酸素濃淡電池が形成されることが主因であり、塗膜とステンレス鋼板の密着性を向上させることによって耐チッピング性を向上させることができる。
【0004】
塗膜とステンレス鋼板の密着性を向上させる方法としては、例えば特開平3−271379号公報に示されているように塗装前処理としてクロメート皮膜を形成させる方法がある。しかしながら、塗装前処理としてクロメート皮膜を形成するのみでは上記過酷な環境で十分な密着性を確保することはできない。
本発明は上記のような腐食誘発要因にも耐えて耐食性が十分(例えば5年以上)である耐チッピング性に優れた塗装ステンレス鋼板を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
発明者らは耐チッピング性に優れた塗装ステンレス鋼板の開発について鋭意研究を重ねた結果、クロメート処理浴と反応性の高いステンレス鋼板を使用し、この表面に第1層目として金属クロム換算で10〜100mg/m2 のクロメート皮膜層を有し、第2層目として水溶性顔料を含まない1〜5μmの有機塗膜を有し、第3層目として1分子中に(メタ)アクリロイル基を2個以上含み、かつ(メタ)アクリロイル基当量が400以下のオリゴポリエステル(メタ)アクリレートを必須成分とした組成物からなる固体もしくは固体に近い状態の熱硬化塗膜を有し、その上に1分子中に(メタ)アクリロイル基を2個以上含み、かつ(メタ)アクリロイル基当量が400以下のオリゴポリエステル(メタ)アクリレートを必須成分とした組成物からなる一層以上の塗膜を設けるとともに、前記第3層目以降が電子線照射によって硬化され、全塗膜のイオン透過抵抗が500Mオーム・cm2 以上であることを特徴とする耐チッピング性に優れた塗装ステンレス鋼板が優れたチッピング性を示し腐食誘発要因にも耐え十分な長期耐食性を有することを見出した。
【0006】
本発明はかかる知見に基づき、上記クロメート処理浴と反応性の高いステンレス鋼板を限定するに至り完成されたものであってその要旨とするところは、
(1)重量%で、C :0.005〜0.1%、Si:1%以下、Mn:2%以下、Cr:16〜19%、N:0.005〜0.05%を含有し、残部が実質的にFeおよび不可避不純物からなるフェライト系ステンレス鋼板の表面に、第1層目として金属クロム換算で10〜100mg/m2 のクロメート皮膜層を有し、第2層目として水溶性顔料を含まない1〜5μmの有機塗膜層を有し、第3層目として1分子中に(メタ)アクリロイル基を2個以上含み、かつ(メタ)アクリロイル基当量が400以下のオリゴポリエステル(メタ)アクリレートを必須成分とした組成物からなる固体もしくは固体に近い状態の熱硬化塗膜を有し、その上に1分子中に(メタ)アクリロイル基を2個以上含み,かつ(メタ)アクリロイル基当量が400以下のオリゴポリエステル(メタ)アクリレートを必須成分とした組成物からなる一層以上の塗膜を設けるとともに、前記第3層目以降が電子線照射によって硬化され、全塗膜のイオン透過抵抗が500Mオーム・cm2 以上であることを特徴とする耐チッピング性に優れた塗装ステンレス鋼板。
【0007】
)フェライト系ステンレス鋼板が、重量%で、Ni:3%以下、Mo:3%以下、Cu:2%以下の内1種または2種以上を、さらに含有することを特徴とする前記()に記載の耐チッピング性に優れた塗装ステンレス鋼板。
)フェライト系ステンレス鋼板が、重量%で、Ti:0.5%以下、Nb:0.8%以下の内1種または2種以上を、さらに含有することを特徴とする前記()または()に記載の耐チッピング性に優れた塗装ステンレス鋼板である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明において、塗装ステンレス鋼板とはフェライト系ステンレス鋼板上に金属クロム換算で10〜100mg/m2 のクロメート皮膜、水溶性顔料を含まない1〜5μmの有機塗膜、1分子中に(メタ)アクリロイル基を2個以上含み、かつ(メタ)アクリロイル基当量が400以下のオリゴポリエステル(メタ)アクリレートを必須成分とした組成物からなる固体もしくは固体に近い状態に熱硬化された塗膜、(メタ)アクリロイル基を2個以上含み、かつ(メタ)アクリロイル基当量が400以下のオリゴポリエステル(メタ)アクリレートを必須成分とした組成物からなる1層以上の塗膜を順次付与したものである。
【0009】
フェライト系ステンレス鋼板は,重量%でCr16〜19%を必須として含有し、C:0.005〜0.1%、Si:1%以下、Mn2%以下、N:0.005〜0.05%、さらに、Ni:3%以下、Mo:3%以下,Cu:2%以下の内1種または2種以上および/またはTi:0.5%以下、Nb:0.8%以下の内1種または2種を含有し、残部が実質的にFeおよび不可避不純物からなるフェライト系ステンレス鋼板である。
【0010】
Crを16〜19%に限定した理由は、16%未満ではフェライト系ステンレス鋼板としての基本的な耐食性に欠け、長期耐食性が不十分であることから下限とした。また、19%を超えるとステンレス鋼としての耐食性は向上するが、クロメートとの反応性が低下し密着性が劣化することから上限とした。
Cは強度を確保するために0.005%以上の添加が必用である。しかし、多量に添加すると硬化し過ぎて延性が不足し、曲げ性や靭性が劣化するために0.1%を上限とした。
【0011】
Siは1%を超えると冷間での曲げ性や靭性が劣化するだけではなく熱間加工性も劣化するため上限とした。
Mnは2%を超えると高温でのγ相が生成しやすくなり冷却後マルテンサイト変態を起こして延性や靭性が劣化するため上限とした。
Nは強度を確保するために有効である。しかし、0.005%未満では強化の効果がないので下限とした。一方,多量に添加すると高温でγ相が生成しやすくなり冷却後マルテンサイト変態を起こして延性や靭性が劣化するために0.05%を上限とした。
【0012】
Ni、Mo、Cuは、いずれも耐食性をさらに向上させるために1種以上を選択的に添加できる。
Niは多量に添加するとその分耐食性は向上するが、高温でγ相が生成しやすくなり冷却後マルテンサイト変態をおこしたりγ相のまま残留して延性や靱性が劣化しやすくなるために3%を上限とした。
Moは多量に添加するとその分耐食性は向上するが、高温で金属間化合物を生成し靱性が劣化しやすくなるために3%を上限とした。
【0013】
Cuは多量に添加すると熱間でのいわゆる赤熱脆性が生ずることから、2%を上限とした。
また、Ti、Nbの1種以上は強度を確保するために選択的に添加される。
Tiは多量に添加するとその分強度は向上するが、晶出析出した粗大なTiNに応力が集中し破壊の起点となりやすいことから0.5%を上限とした。
Nbは多量に添加するとその分強度は向上するが、延性靱性を低下させることから0.8%を上限とした。
【0014】
次に塗膜各層につき詳細に説明する。
第1層目のクロメート皮膜は、塗布型クロメート、反応型クロメート等、どの方法で付与しても良い。クロメート皮膜の役割はステンレス鋼板と有機被膜の間の密着性を向上させることである。ステンレス鋼板はそれ自身高耐食性であるが、ステンレス鋼板と塗膜の界面に隙間が発生すると、この隙間の中で酸素濃淡電池が形成されステンレス鋼板の腐食が進行する。この隙間腐食を防止するためにはクロメート皮膜層によりステンレス鋼板と有機被膜の間の密着性を十分確保する必用がある。
【0015】
このクロメート皮膜層の付着量は金属クロム換算で10〜100mg/m2 が適当である。付着量を10mg/m2 以上とした理由は付着量10mg/m2 未満では密着性が十分でなく耐食性が確保できないためである。
また、付着量を100mg/m2 以下とした理由は付着量が100mg/m2 を超えると密着性を向上させる効果が飽和するためコスト面から不利となるためである。
第2層目として水溶性顔料を含まない1〜5μmの有機塗膜をプライマーとして用いる。このプライマーに用いる有機樹脂のとしては、エポキシ、変性エポキシ、エポキシアクリル、ポリエステル、エポキシポリエステルやこれらの混合物など第1層目との密着性が良ければ何でも良い。
【0016】
水溶性顔料を含まない有機塗膜をプライマーとして使用する理由はストロンチウムクロメート、バリウムクロメートなどの水溶性の顔料を含ませると湿潤環境化でこれらが溶出しステンレス鋼板と塗膜の密着性を低下させるためである。
第2層目の有機塗膜の膜厚を1μm以上とした理由は,膜厚が1μm未満では密着性が十分でなく耐食性が確保できないためである。また、膜厚を5μm以下とした理由は膜厚が5μmを超えても効果が飽和するばかりでコスト面から不利となるためである。
【0017】
有機塗膜の塗装法としてはロールコーターなどいずれの従来方法を用いてもよく、また、硬化法としては熱、電子線、紫外線などで硬化できる。
本発明では、第3層目以降の塗膜を多層構造とし、これらの層を電子線照射によって硬化させて全塗膜のイオン透過抵抗を500Mオーム・cm2 以上とする
塗膜を多層構造とする理由は同一膜厚であっても、例えば40μmを塗装する場合、一度に40μmを塗装するよりも30μmを塗装し、その上に5μmを塗装したのち、更に5μmを塗装するほうが格段に耐食性が向上するためである。
この理由は一層では塗膜に欠陥(ピンホール)があると金属板に腐食性物質(イオン,ガスなど)が到達するのに対して、多層構造ではそれぞれの層が欠陥(ピンホール)を補い合うために金属板の腐食が激減するものと思われる。多層構造は2層でも効果があるが3層以上が望ましく、さらに望ましくは4層以上である。
【0018】
次に、塗膜のイオン透過抵抗を500Mオーム・cm2 以上とする理由はイオン透過抵抗が500Mオーム・cm2 以上、更に望ましくは1.5Gオーム・cm2 以上で耐食性が向上するためである。一般的に水蒸気、イオン、ガスなどを全く透過しない塗膜はありえないが、塗膜のイオン透過抵抗を500Mオーム・cm2 以上とするとこうした腐食因子が急激に透過しにくくなるために耐食性が向上すると考えられる。
【0019】
上記のような抵抗値を得る方法としては膜厚を上げること以外には、適切な樹脂構造を選ぶこととが考えられる。樹脂構造中に極性官能基例えば―COOH、―OH、―NH2 などの基が極力存在しないことが望ましいが樹脂合成上100%なくすることは不可能であるので、本発明に用いるオリゴポリエステル(メタ)アクリレート、多価アルコール(メタ)アクリレートにおいては合成原料の単量体の分子中に含まれる極性官能基の85%以上、好ましくは95%以上が反応しているものが本発明の主旨にそうものである。
【0020】
このような考え方に基づいて2層以上で塗膜厚30〜40μm程度以上塗布すれば前記の抵抗値は得られるが、先に述べたように塗膜としては多層の方がよい。3層目以降を多層とする場合、第3層目の膜厚は最低15μm以上、望ましくは25μm以上であり、その上に塗り重ねる塗膜の膜厚は各層1μm以上、望ましくは3μm以上であり塗布する層数は1層以上、好ましくは2層以上、さらに好ましくは3層以上とし、全膜厚としては70μm以下とすることが好ましい。
本発明に用いる電子線硬化樹脂塗膜は先に述べたように限定されたものであるが、高硬化するために塗膜の内部応力が大きく長期間使用する場合ヒビ割れ等が発生する可能性があること及び経済性にある。
【0021】
以上述べたような要件の重ね合わせにより本発明の効果が初めて得られるものであるが、更に本発明の塗膜の構成に関して詳しく述べる。
本発明に用いるオリゴポリエステルアクリレートとは主鎖にポリエステル骨格を用い、これに(メタ)アクリル酸をエステル化反応して得られるものをいい、本発明に用いるものとしては十分な架橋網目構造を有する必要性から1分子中に(メタ)アクリロイルを2ケ以上含むもので、更に望ましくは3ケ以上含むものが良い。また、架橋密度を十分に大にしなければならないので(メタ)アクリロイル基当量も400以下であることが望ましい。
【0022】
本成分に関して主鎖にポリエステル骨格を用いたオリゴ(メタ)アクリレートとは多価アルコールと多価カルボン酸よりなり、ポリエステルの末端に水酸基があるものを用い、これに(メタ)アクリル酸又はその誘導体を反応させて(メタ)アクリロイル基を導入したものをいう。ここで更にポリエステル骨格を形成する合成原料に関して述べる。
【0023】
2価アルコールは、アルキレングリコール型として、エチレングリコール,プロピレングリコール,クロルポロピレングリコール,ブタンジオール(1,3―または1,4―または2,3―),3―メチルペンタンジオール,2,2―ジエチルプロパンジオール,ペンタメチレングリコール,1,6―ヘキサンジオール,ヘプタメチレングリコール,オクタメチレングリコール,ノナメチレングリコール,ネオペンチルグリコール,ヘキサメチレンジオールなどが挙げられる。
【0024】
脂環式グリコール型としては、1,4―シクロヘキサンジオール,シクロヘキサン―1,4―ジメタノール,水素化ビスフェノールAなど,ポリアルキレングリコール型として,ジエチレングリコール,トリエチレングリコール,ポリエチレングリコール,ジプロピレングリコール,ポリプロピレングリコール,ポリテトラメチレングリコール,ポリブタジエンジオールなどが挙げられる。
【0025】
また、芳香族系グリコール型として、2,2’―ビス(4―ヒドロキシフェニル)プロパン(別名ビスフェノールA),ビス(4―ヒドロキシフェニル)メタン(別名ビスフェノールF),4,4’―ジヒドロキシフェニル,ハイドロキノン,レゾルシンなどのフェノール類にアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド,プロピレンオキサイド,ブチレンオキサイドなど)を付加して得られるグリコール類などが挙げられる。
【0026】
3〜4価アルコールとしては、アルカントリオール型として、グリセリン,トリメチロールメタン,トリメチロールエタン,トリメチロールプロパン,1,2,6―ヘキサントリオール,1,2,3―ブタントリオール,1,2,3―ペンタントリオール,2―メチル―2,3,4―ブタントリオール,2―エチル−2,3,4―ブタントリオール,2―メチル―1,2,3―ブタントリオール,2―エチル―1,2,3―ブタントリオール,2,3,4―ヘキサントリオール,ペンタメチレングリコールなど、アルカンテトラオールとして、エリスリトール,ペンタエリスリトール,トイレット,1,2,3,4―ペンタンテトロール,2,3,4,5―ヘキサンテトロール,2,5―ジメチル―2,3,4,5―ヘキサンテトロール,1,2,3,5―ペンタンテトロール,3―ヘキセン―1,2,5,6―テトロール,3―ヘキシン―1,2,5,6―テトロールなどが挙げられる。
【0027】
エーテル基含有脂肪族トリオールとして、グリセリンやトリメチロールプロパンなどにアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド,プロピレンオキサイド,ブチレンオキサイドなど)を付加させて得られるトリオールなどが挙げられる。エーテル基含有脂肪族テトラオールとしては、エリスリトールやペンタエリスリトールなどにアルキレンオキサイドを付加して得られるテトラオールなどが挙げられる。また、芳香族トリオールとしては、ピロガロールにアルキレンオキサイドを付加して得られるトリオールなどが挙げられる。
【0028】
カルボン酸としては、鎖状または分岐状2価カルボン酸として、しゅう酸マロン酸,コハク酸,グルタル酸,イタコン酸,マレイン酸,フマール酸,アジピン酸,セバシン酸,ドテカン酸,メチレングルタル酸,メチルマレイン酸,メチルコハク酸,ドデセニルコハク酸などが挙げられる。脂肪族ジカルボン酸としては、テトラヒドロフタル酸,ヘキサヒドロフタル酸,6―メチルテトラヒドロフタル酸,6―メチルヘキサヒドロフタル酸,エンドメチレンテトラヒドロフタル酸,エンドイソプロピリデンテトラヒドロフタル酸,1,4,5,6,7,7―ヘキサクロロ―エンド―5―ノルボルネン―2,3―ジカルボン酸(別名ヘット酸),1,4,5,6,7,7―ヘキサブロモ―エンド―5―ノルボルネン―2,3―ジカルボン酸,シクロヘキサン,1,4―ジカルボン酸などが挙げられる。また、芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸,イソフタル酸,テレフタル酸,テトラクロロフタル酸,テトラブロモフタル酸,あるいはこれらの無水物などが挙げられる。
【0029】
上記原料より合成されてなるポリエステルオリゴマーの(メタ)アクリロイル基が2ケであるもの具体的のいくつかを例示すれば、マレイン酸とエチレングリコールとのポリエステルジオールのジ(メタ)アクリレート,マレイン酸とジエチレングリコールとのポリエステルのジ(メタ)アクリレート,アジピン酸とジエチレングリコールとのポリエステルジオールジ(メタ)アクリレート,テトラヒドロフタル酸とジエチレングリコールとのポリエステルジオールのジ(メタ)アクリレート,テトラヒドロフタル酸とプロピレングリコールとのポリエステルジオールのジ(メタ)アクリレート,テトラヒドロフタル酸とブタンジオール(1,3―または,1,4―)とのポリエステルジオールのジ(メタ)アクリレート,テトラヒドロフタル酸と1,6―ヘキサンジオールとのポリエステルジオールのジ(メタ)アクリレート,テトラヒドロフタル酸とネオペンチルグリコールとのポリエステルジオールのジ(メタ)アクリレート,テトラヒドロフタル酸と1,4―シクロヘキサンジオールとのポリエステルジオールのジ(メタ)アクリレート,フタル酸とジエチレングリコールとのポリエステルジオールのジ(メタ)アクリレート,フタル酸とネオペンチルグリコールとのポリエステルジオールのジ(メタ)アクリレートなどがある。
【0030】
これらのポリエステルオリゴマーの中で,テトラヒドロフタル酸もしくはアジピン酸と炭素数3〜6個のアルキレングリコールとのポリエステルジオールのジ(メタ)アクリレートの構造をもち、数平均分子量350〜800、(メタ)アクリロイル基1個当りの数平均分子量180〜400のポリエステルオリゴマーが本発明の目的に対して特に好適である。
【0031】
さらに、(メタ)アクリロイル基が2ケ以上であるポリエステルオリゴマーの具体的をいくつか例示すると、アジピン酸とペンタエリスリトールとのポリエステルポリオールのテトラ(メタ)アクリレート,ペンタ(メタ)アクリレート,ヘキサ(メタ)アクリレート,テトラヒドロフタル酸とペンタエリスリトールとのポリエステルポリオールのテトラメタアクリレート,ペンタ(メタ)アクリレート,ヘキサ(メタ)アクリレート,フタル酸とペンタエリスリトールとのポリエステルポリオールのテトラ(メタ)アクリレート,ペンタ(メタ)アクリレート,ヘキサ(メタ)アクリレート,マレイン酸とペンタエリスリトールとのポリエステルポリオールのテトラ(メタ)アクリレート,ペンタ(メタ)アクリレート,ヘキサ(メタ)アクリレート,アジピン酸とトリメチロールプロパンとのポリエステルポリオールのテトラ(メタ)アクリレート,ペンタ(メタ)アクリレート,ヘキサ(メタ)アクリレート,テトラヒドロフタル酸とトリメチロールプロパンとのポリエステルポリオールのテトラ(メタ)アクリレート,ペンタ(メタ)アクリレート,ヘキサ(メタ)アクリレート,テトラヒドロフタル酸とグリセリンのポリエステルポリオールのテトラ(メタ)アクリレート,ペンタ(メタ)アクリレート,ヘキサ(メタ)アクリレートなどがある。
【0032】
これらのポリエステルオリゴマーの中で、アジピン酸またはテトラヒドロフタル酸とトリメチロールプロパン,またはペンタエリスリトールとのポリエステルポリオールのテトラ(メタ)アクリレート,ペンタ(メタ)アクリレートまたはヘキサ(メタ)アクリレートの構造をもち数平均分子量550〜2000、(メタ)アルリロイル基1当りの数平均分子量100〜350のポリエステルオリゴマーが本発明の目的に対して好適である。
【0033】
次に本発明にいう多価アルコール(メタ)アクリレートとは、多価アルコールの末端の水酸基に(メタ)アクリル酸を反応させて(メタ)アクリロイル基を導入したものをいい、オリゴ(メタ)アクリレートと組合せて極めて高度な架橋密度を得るための役目を果すものである。そのためには、1分子中に(メタ)アクリロイル基を2ケ以上含むもので、(メタ)アクリロイル基当量が150以下、更に望ましくは130程度以下が好ましい。
なお、この場合、前述の多価アルコール(メタ)アクリレートの混合物でもよい。ここにいう多価アルコールとは次のようなものをいう。
【0034】
2価アルコールとしては、アルキレングリコール型として、エチレングリコール,プロピレングリコール,クロルプロピレングリコール,ブタンジオール(1,3―または1,4―または2,3―),3―メチルペンタンジオール,2,2―ジエチルプロパンジオール,ペンタメチレングリコール,1,6―ヘキサンジオール,ヘプタメチレングリコール,オクタメチレングリコール,ノナメチレングリコール,ネオペンチルグリコール,ヘキサメチレンジオールなど、脂環式グリコール型として、1,4―シクロヘキサンジオール,シクロヘキサン―1,4―ジメタノール,水素化ビスフェノールAなどが挙げられる。
【0035】
ポリアルキレングリコール型としては、ジエチレングリコール,トリエチレングリコール,ポリエチレングリコール,ジプロピレングリコール,ポリプロピレングリコール,ポリテトラメチレングリコール,ポリブタジエンジオールなどが挙げられる。また、芳香族系グリコール型としては、2,2’―ビス(4―ヒドロキシフェニル)プロパン(別名ビスフェノールA),ビス(4―ヒドロキシフェニル)メタン(別名ビスフェノールF),4,4’―ジヒドロキシフェニル,ハイドロキノン,レゾルシンなどのフェノール類にアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド,プロピレンオキサイド,ブチレンオキサイドなど)を付加して得られるグリコール類などが挙げられる。
【0036】
3価以上のアルコールとしては、アルカントリオール型として、グリセリン,トリメチロールメタン,トリメチロールエタン,トリメチロールプロパン,1,2,6―ヘキサントリオール,1,2,3―ブタントリオール,1,2,3―ペンタントリオール,2―メチル―2,3,4―ブタントリオール,2―エチル―2,3,4―ブタントリオール,2―メチル―1,2,3―ブタントリオール,2―エチル―1,2,3―ブタントリオール,2,3,4―ヘキサントリオール,ペンタメチレングリコールなどが挙げられる。
【0037】
アルカンテトラオールとしては、エリスリトール,ペンタエリスリトール,ジペンタエリスリトール,トイレット,1,2,3,4―ペンタンテトロール,2,3,4,5―ヘキサンテトロール,2,5―ジメチル―2,3,4,5―ヘキサンテトロール,1,2,3,5―ペンタンテトロール,3―ヘキセン―1,2,5,6―テトロール,3―ヘキシン―1,2,5,6―テトロールなどが挙げられる。
【0038】
エーテル基含有脂肪族トリオールとしては、グリセリンやトリメチロールプロパンなどにアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド,プロピレンオキサイド,ブチレンオキサイドなど)を付加させて得られるトリオールなどが挙げられる。エーテル基含有脂肪族テトラオールとしては、エリスリトールやペンタエリスリトールなどにアルキレンオキサイドを付加させて得られるテトラオールなど、また芳香族トリオールとして、ピロガロールにアルキレンオキサイドを付加させて得られるトリオールなどが挙げられる。これらのうち(メタ)アクリロイル基当量が120以下のものが特に好ましい。
【0039】
以上本発明を構成する組成物の樹脂成分に関して述べたが、この他に顔料、溶剤、ポリマーなどを必要に応じて添加することができる。
無機着色顔料としては、弁柄,黄色酸化鉄,クロムバーミリオン,酸化クロム,カーボンブラック等、有機着色顔料としては、キナクリドン,イソインドリノン,インダンスレンブルー,フタロシアニンブルー,フタロシアニングリーンなどが挙げられる。
その他として、チタンホワイト,炭酸カルシウム,硫酸バリウム,アルミナ,シリカ等が挙げられる。オーバープリンティングワニスにも必要に応じて添加できる。
【0040】
溶剤としては、キシレン,酢酸ブチル,シクロヘキサノン,メチルセロソルブ,エチルセロソルブ,モルフォリン,オレフィン系溶剤などが挙げられる。
ポリマーは塗布性を向上させるために使用することがあるが、ポリエステル,アクリル,ウレタン,エポキシなどが用いられる。この場合、多量に添加しすぎると性能低下つながるので必要最小限とする。
なお、本発明で第3層目の塗膜を固体もしくは固体に近い状態に熱硬化させるというのは完全に硬化していない状態が好ましいことを指す。その上にさらに1層以上重ね塗りし、その密着性を確保するためには完全硬化でないほうが好ましいからである。
【0041】
この膜厚は、15μm以上、好ましくは25μm以上である。重ね塗りする層数は1層以上、好ましくは2層以上、更に好ましくは3層以上であり、それぞれの膜厚は2〜10μmが望ましい。その理由は、薄すぎると塗膜欠陥(ピンホール)を補いあう効果が薄れ、厚すぎると電子線硬化後の硬化性が大きくなるため収縮応力による塗膜割れや層間剥離などが生じ易くなるためである。
【0042】
以上の組成物で高硬度、耐汚染性を有する塗膜が得られるが、用途によっては防眩性が要求される。この場合、種々の方策が考えられるが塗膜最表面層に滑らかな幾何学的凹凸を与える方法が良い。通常行われる体質顔料でも防眩効果は得られるが耐汚染性の低下を伴う。表面に滑らかな幾何学的凹凸を与える方法とはガラスもしくは樹脂ビーズの添加が本発明の目的にかなうものである。具体的には、ガラスビーズとしては、必要とする凹凸に応じて粒径2〜70μmのソーダ石灰ガラスないしは低アルカリガラスの添加が好ましい。ソーダ石灰ガラスはアルカリもしくは水により極微量ではあるが、長期間しようすると溶出する可能性がありイオン透過抵抗を低下させるため低アルカリガラスの方が好ましい。
【0043】
樹脂ビーズとしては、メラミン,スチレンアクリル,テフロン,ポリアクリロニトリルなどの比較的硬いビーズがあげられるが、硬さの点からいうと架橋アクリル樹脂ビーズが好ましく、必要とする凹凸に応じて2〜100μmの粒径のものが選択される。その他、高硬度(8H)を要求されない用途においては、ナイロン,ウレタンなどのビーズも用いられる。耐食性を重視すれば樹脂ビーズの方がより好ましい。
【0044】
塗膜のイオン透過抵抗に関しては、腐食が電気化学的プロセスであることに着目し水溶液中における電気化学的交流インピーダンス測定を行い、この結果の解析から塗膜のイオン透過抵抗値を求めることができる。
この値は、外界からの腐食性イオン種(Cl−,SO4 2- ,NO3 −など)の内部への浸透を当該塗膜が如何に抑え得るかという度合いを定量的に示すものであり、測定法としては特開昭60―100751号公報、特開昭62―229056号公報、特開昭63―126242号公報に開示されている通りである。 装置としては日鉄テクノス(神奈川県相模原市)から市販されている塗膜劣化度診断センサー(RST Model3)を用いれば、面積補正を行うことにより容易に上記の値を得ることができる。
【0045】
本発明において塗膜のイオン透過抵抗値を500Mオーム・cm2 以上に規定する理由は以下のとおりである。
種々の塗装系で、膜厚・塗り重ね回数を変えて異なる塗膜のイオン透過抵抗値を持つ塗装金属板を準備してこれらの試料の複合腐食試験による点錆発生までの時間を測定して図1に示す結果を得た。本複合試験には、0.01規定の硫酸、0.01規定の硝酸および3%塩化カルシウムの混合水溶液を摂氏40度にて3時間噴霧し、その後摂氏60度にて3時間乾燥、さらに摂氏60度で湿度95%とすることを6時間継続するというサイクルを繰り返した。
【0046】
また、母材の金属板には市販のSUS410を用いた。図1より明らかなように、本発明の塗膜のイオン透過抵抗値が500Mオーム・cm2 を越えるあたりから急に点錆発生までの所要時間が上昇し1.5Gオーム・cm2 以上で飽和し始める。この傾向は第3層目の塗膜の上に2層重ね塗りした塗膜組成(×)および第3層目の塗膜の上に3層重ね塗りした塗膜組成(〇)ともに同様であるが、後者の方が塗膜のイオン透過抵抗値が同一な場合でもやや長寿命となっている。いずれにしても、本発明の塗装系をステンレス鋼板に施す場合には十分な耐食性を確保するために500Mオーム・cm2 以上、望ましくは1.5Gオーム・cm2 となるようにする必要がある。
【0047】
本発明にいう第3層目(グランドコート)の塗布方法としては、ロールコート,カーテンフローコートなどの塗装法が用いられる。グランドコートの熱硬化に関しては、本発明の樹脂系は重合触媒なしにこの上に塗り重ねできる状態に熱硬化できる。熱硬化時の板温としては120〜200℃程度、時間としては20秒〜3分程度が本目的に好適である。
このように塗り重ねできる状態に硬化したグランドコートの上に、更に一層以上重ね塗りする方法としては、塗装に用いるロールコート方式や印刷に用いるグラビアオフセット方式、シルクスクリーン方式などが用いられ、2層以上重ね塗りする時は同じ方式で繰り返しても良いし、また他の方式と組み合わせても良い。グランドコートやその上の重ね塗り層は必要に応じて着色や柄付をしても良い。
【0048】
電子線照射法については、照射装置としては、例えばスキャニング方式、カーテンビーム方式、ブロードビーム方式等が挙げられ、塗布膜厚によって必要加速電圧が選択される。電子線照射雰囲気は不活性ガスなどで置換する。
なお、本発明において、塗膜の上に塩ビ、ポリエチレン,ポリプロピレンなどの保護フィルムを貼り合わせても良い。
【0049】
【実施例】
本発明を実施例によりで具体的に説明する。
(実施例1)
まず、表1に示した成分を含有し残部実質的にFeおよび不可避不純物からなるフェライト系ステンレス鋼板を準備した。次にこれらフェライト系ステンレス鋼板を塗布型のクロメート浴に浸漬してクロメート処理を行った。また、比較材としてクロメート処理無しの同じステンレス鋼板も用意した。クロメート皮膜の付着量はCr換算量で50mg/m2 とした。その上に表2および表3に示す熱硬化型エポキシ系プライマーを塗布し、熱風乾燥炉で焼き付けて膜厚を表2および表3に示す値に調整した。熱硬化型エポキシ系プライマーにはストロンチウムクロメートを含まないものと1重量%含むものを使用した。
【0050】
【表1】
Figure 0003957908
【0051】
【表2】
Figure 0003957908
【0052】
【表3】
Figure 0003957908
【0053】
こうして作製した熱硬化型エポキシ系プライマーを塗布したフェライト系ステンレス鋼板に塗布する塗料としては以下の3種類を準備した。
塗料A(グランドコート):テトラヒドロフタル酸,トリメチロールプロパン,アクリル酸の縮合モル比が1:2:4のオリゴマー(アクリロイル基当量約155)100部に酸化チタン120部を添加して塗料化した。
塗料B(塗料A上の第1層目):塗料Aで用いたオリゴマー100部に酸化チタン100部を添加して塗料化した。
塗料C―1(塗料A上の第2層目):塗料Aで用いたオリゴマー100部にトリメチロールプロパントリメタクリレート(アクリロイル基当量約155)を添加して組成物とした。
【0054】
まず、本発明の例として熱硬化型エポキシ系プライマーを塗布したフェライト系ステンレス鋼板に塗料Aを乾燥膜厚で35μmとなるようにカーテンフローコーター(岩田塗装機製)で塗布した。これを板温140℃の条件で加熱し、軟固体状とした。この軟固体塗膜の上に塗料Bをグラビアオフセット印刷機により乾燥膜厚で5μmとなるように塗布し、更に塗料C―1をグラビアオフセット印刷機により乾燥膜厚で5μmとなるように塗布した。
その後、電子線照射により三層を同時に硬化処理した。硬化条件は電流160mA/1.2m,照射線量9Mrad,照射時の酸素濃度は150ppmであった。
一方、比較例として塗料Aを乾燥膜厚で45〜60μmの2種類を塗布しただけで、塗料B、塗料C―1の塗布をせずに本発明と同じ条件で塗板を作製した。
【0055】
これらの塗板について、
▲1▼JISK5400に基づいた鉛筆硬度試験
▲2▼マジックインキ(赤,青,黒),カレー,カラシ,色鉛筆,インキなどの汚染物を塗布し24時間後にエタノールをひたしたガーゼによる除去の容易性いわゆる耐汚染性の評価
▲3▼5%塩酸,硫酸,酢酸,カ性ソーダおよびメチルエチルケトン,アセトンに240時間浸漬した後の塗膜の性状変化いわゆる耐薬品性の評価
▲4▼日鐵テクノス(株)製塗膜劣化診断装置RST Model 3による塗膜のイオン透過抵抗の測定
▲5▼耐チッピング性の評価といった各々の試験評価
を行った。
【0056】
耐汚染性の評価は容易に痕跡無くぬぐいさられたものを○、ぬぐいさられないものを×とした。
耐薬品性の評価はブリスター等の劣化が見られなかったものを○、見られたものを×とした。
耐チッピング性の評価は塗装ステンレス鋼板にダイス側を平板としたデュポン衝撃試験を行いキズを付け、複合サイクル試験に入れてこのキズからの赤錆発生を観察した。デュポン衝撃試験はポンチ径3.2mmを使用し、300gのおもりを5cmから50cmまで5cm間隔の高さから各々落とし塗装面に10水準のキズを入れた。
【0057】
複合サイクル試験は、35℃、10%CaCl2 、0.024%SO2 (4cc/l亜硫酸水)を4時間、60℃湿度25%の乾燥雰囲気に8時間、40℃湿度95%の湿潤雰囲気に4時間、60℃湿度25%の乾燥雰囲気に8時間、トータル24時間を1サイクルとして14サイクル行った。
評価はキズ付け部からの赤錆発生状況を目視で観察し、○:10水準全く赤錆の発生しなかったもの、×:1水準でも赤錆発生したものとした。
それらの評価結果を表2および表3に示す。表から明らかなように本発明による塗板は耐チッピング性に極めて優れておりそれ以外の鉛筆硬度、耐汚染性、耐薬品性も良好である。
【0058】
(実施例2)
次に、母材に塗布する塗料として以下の4種類を準備した。
塗料A(グランドコート):実施例1の塗料Aと同じ。
塗料B(塗料A上の第1層目):実施例1の塗料Aと同じ。
塗料C―2(塗料A上の第2層目):塗料Aで用いたオリゴマー100部に酸化チタン100部を添加して塗料化した。
塗料D―1(塗料A上の第3層目):塗料Aで用いたオリゴマー100部にトリメチロールプロパントリメタクリレート(アクリロイル基当量約155)を添加して組成物とした。
【0059】
そこで、Cr換算量で50mg/m2 のクロメート皮膜の上に水溶性顔料を含まない熱硬化型エポキシ系プライマーを3μm塗布した表1に示したフェライト系ステンレス鋼板に塗料Aを乾燥膜厚で30μmとなるようにカーテンフローコーター(岩田塗装機製)で塗布した。これを板温140℃となるような条件で加熱して軟固体状とした。
この上に塗料Bをグラビアオフセット印刷機で乾燥膜厚が5μmとなるように塗布し、更に塗料C−2をグラビアオフセット印刷機で乾燥膜厚が5μmとなるように塗布した後、更に塗料D−1をグラビアオフセット印刷機で乾燥膜厚が5μmとなるように塗布した。
その後、電子線照射により4層を同時に硬化した。硬化条件は電流160mA/1.2m,照射線量12Mrad,照射時の酸素濃度は150ppmであった。この塗装板を用いて実施例1と同じ評価試験を行った。
評価結果は、表4に示すように耐チッピング性に極めて優れた性能が得られた。
【0060】
【表4】
Figure 0003957908
【0061】
(実施例3)
実施例2における塗料D−1の組成物100部に対して架橋ポリメタクリル酸メチルビーズ(平均粒径:20μm)5%を添加した組成物をDの代わり(D―2)とし、他の塗料は実施例2と全く同様な条件で塗板を作製し性能試験を行った。結果は表4に示すように実施例2と同様に極めて良好な結果であった。実施例2と3で光沢値を測定した結果は、実施例2は85に対し実施例3は65と防眩効果が認められた。
【0062】
(実施例4)
実施例1においてクロメート皮膜の付着量を表5〜表7に示す付着量に変化させて、熱硬化型プライマーとしてエポキシ系,ポリエステル系,ウレタン系の高分子樹脂を使用し他の塗料は実施例1と全く同様な条件で塗板を作製して性能試験を行った。熱硬化型プライマーには表5〜表7に示すようにストロンチウムクロメートを含まないものと1重量%含むものを使用した。
それらの評価結果を表5〜表7に示す。表から明らかなように本発明による塗板は実施例1と同様に極めて良好な結果であった。
【0063】
【表5】
Figure 0003957908
【0064】
【表6】
Figure 0003957908
【0065】
【表7】
Figure 0003957908
【0066】
【発明の効果】
本発明の塗装ステンレス鋼板は、高硬度、高耐汚染性に加えて、高耐チッピング性の特性を有することから、海岸からの海塩粒子や道路凍結防止に散布される融雪塩などからくる塩化物イオンによる非常に過酷な腐食環境下にさらされる海岸地区の建材やトンネル内装板等に対しても十分に使用に堪えうるものである。本発明の塗装ステンレス鋼板の使用による補修や取り替えが削減される効果は大きく、産業上極めて価値の高い発明であるといえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】塗膜のイオン透過抵抗と点錆発生までの時間の関係を示す図である。

Claims (3)

  1. 重量%で、C :0.005〜0.1%、Si:1%以下、Mn:2%以下、Cr:16〜19%、N:0.005〜0.05%を含有し、残部が実質的にFeおよび不可避不純物からなるフェライト系ステンレス鋼板の表面に、第1層目として金属クロム換算で10〜100mg/m2 のクロメート皮膜層を有し、第2層目として水溶性顔料を含まない1〜5μmの有機塗膜層を有し、第3層目として1分子中に(メタ)アクリロイル基を2個以上含み、かつ(メタ)アクリロイル基当量が400以下のオリゴポリエステル(メタ)アクリレートを必須成分とした組成物からなる固体もしくは固体に近い状態の熱硬化塗膜を有し、その上に1分子中に(メタ)アクリロイル基を2個以上含み、かつ(メタ)アクリロイル基当量が400以下のオリゴポリエステル(メタ)アクリレートを必須成分とした組成物からなる一層以上の塗膜を設けるとともに、前記第3層目以降が電子線照射によって硬化され、全塗膜のイオン透過抵抗が500Mオーム・cm2 以上であることを特徴とする耐チッピング性に優れた塗装ステンレス鋼板。
  2. フェライト系ステンレス鋼板が、重量%で、
    Ni:3%以下、
    Mo:3%以下、
    Cu:2%以下の内1種または2種以上を、さらに含有することを特徴とする請求項1に記載の耐チッピング性に優れた塗装ステンレス鋼板。
  3. フェライト系ステンレス鋼板が、重量%で、
    Ti:0.5%以下、
    Nb:0.8%以下の内1種または2種以上を、さらに含有することを特徴とする請求項またはに記載の耐チッピング性に優れた塗装ステンレス鋼板。
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