JP3957476B2 - 水処理装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、プール、浴場の浴槽といった大型の水槽から、ビルの屋上などに配置される給水槽、一般家庭用の浴槽といった小型の水槽まで、種々の水槽に貯留された被処理水を滅菌処理することができる、新規な水処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
たとえば屋内外に設置されたプール、あるいは旅館の浴場や公衆浴場における浴槽などは、その水質を維持するために定期的に、いわゆる(サラシ粉、高度サラシ粉)や次亜塩素酸ソーダ(NaCIO)の水溶液を投入して滅菌処理をする必要がある。
【0003】
しかし従来は、この作業を、プールや浴場の従業者などが手作業で行っており、しかもカルキや次亜塩素酸ソーダの水溶液は刺激性を有するため、とくに営業時間内に投入する際には十分に注意しながら作業を行わねばならないなど、処理をするのに大変な労力を要するという問題があった。
【0004】
また、とくにカルキは固形粉末であるため、投入後、溶解して濃度が均一になるまでに時間を要し、その間、プールや浴槽を使用できないという問題もあった。この発明の目的は、上記のような種々の水槽に貯留された被処理水を、簡単かつ効率的に滅菌処理することができる、新規な水処理装置を提供することにある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本願出願人は、上述のような各水槽に貯留された被処理水を電解槽に導き、電気化学反応により滅菌処理した後、再び水槽に戻す水処理経路を備えた水処理装置を発明した。
【0006】
この発明した水処理装置では、電極を有する電解槽へ被処理水を供給し、被処理水に対して電気化学反応(いわゆる電気分解)を施す。施された電気化学反応により、塩素ガス、次亜塩素酸(HCIO)、次亜塩素酸イオン等が発生し、それらが被処理水に溶けることによって、被処理水が滅菌されるようになっている。
【0007】
ところが、プールや浴場のように入水者人数や天候、気温などによって被処理水の水質の変動が激しい水槽の場合、例えば、入水者人数が急激に増えて被処理水の水質が急速に悪化すると、電解槽で行われる電気分解だけでは滅菌処理が追いつかないことがあった。この場合、電気分解に加えて薬液などを手作業で加える方法で滅菌処理することになり、作業者の管理負担が増えるだけでなく、水質が安定しない等の虞があった。
この発明は、上述のような課題を解決し、簡単かつ効率的に滅菌処理を行い、良好な水質を維持することのできる新規な水処理装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
請求項1に記載の発明は、被処理水を貯留する水槽と、少なくとも2枚の電極板からなる電極組に通電して電気分解を行う第1の電解槽と、この第1の電解槽内に塩素イオンを含み且つ電気化学反応を促進する作用を有する電解質溶液を満たした状態で、上記電極組に通電して電解質を電解処理することで、滅菌作用を有する滅菌液を製造すると共に、製造した滅菌液を前記水槽に供給させる供給経路と、前記被処理水の残留塩素濃度を測定する残留塩素センサと、この残留塩素センサで測定された被処理水の残留塩素濃度に基づき、前記水槽に供給させる滅菌液の流入量を制御する制御手段とを備えた水処理装置において、前記制御手段は、前記第1の電解槽で製造される滅菌液の濃度を所定の濃度に調整する濃度調整手段を有し、さらに、少なくとも2枚の電極板からなる電極組に通電して電気分解を行う第2の電解槽と、被処理水を水槽から第2の電解槽に導入し、かつ第2の電解槽内で滅菌処理後に水槽に還流させる水処理経路とを備え、前記第1の電解槽にて製造された滅菌液を前記水処理経路に供給させたことを特徴とする水処理装置である。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の水処理装置において、前記濃度調節手段は、第1の電解槽に満たされる電解質溶液の濃度を調整する手段を含むことを特徴とする水処理装置である。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の水処理装置において、電解質溶液を貯留するタンクと、このタンク内の電解質溶液を第1の電解槽へ供給するための供給手段とを備え、前記電解質溶液の濃度を調整する手段は、前記供給手段を制御して前記第1の電解槽への電解質溶液の流入量を調節することにより電解質溶液の濃度を調整することを特徴とする水処理装置である。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の水処理装置において、前記水槽内の被処理水を前記第1の電解槽に導く流路を更に備え、前記電解質溶液の濃度を調節する手段は、前記第1の電解槽に供給される電解質溶液を希釈すべく前記水槽から第1の電解槽に導かれた被処理水の導入量を調節することを特徴とする水処理装置である。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1の水処理装置において、前記濃度調節手段は、前記電極組の通電量を制御することを特徴とする水処理装置である。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5に記載の水処理装置において、前記濃度調節手段は、電極組に流れる電流値を検知する電流値検知手段を有し、電流値検知手段の出力に基づき滅菌液の濃度を調整することを特徴とする水処理装置である。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の水処理装置において、前記第1の電解槽にて製造された滅菌液を前記第2の電解槽より上流位置の前記水処理経路に供給させたことを特徴とする水処理装置である。
【0015】
請求項1の構成によれば、第1の電解槽の電極組に通電し電解質溶液を電気分解することであらかじめ製造し、貯留しておいた滅菌液を、被処理水の水質に応じて随時水槽へ供給することで、入場者人数や天候、気温などによって変化する被処理水の水質に応じて、滅菌液の投入量を即座に変更できるようになる。従って、プールなどの営業時間中に入場者などが急激に増加したり、天候の変化による気温や水温の上昇などによって残留塩素濃度の急激な低下が見込まれる際などに対しても、残留塩素濃度をできるだけ速やかに回復させることができるようになり、その水質をほぼ安定させることが可能となる。そして、入場者人数が少なく、滅菌液をそれほど必要としないときに第1の電解槽にて滅菌液を予め製造して貯留し、残留塩素濃度の急激な減少に対する準備をしておくことができるので、例えば、入場者人数が急増しても滅菌処理能力に十分余裕をもたせて水質を調節することができるようになる。
【0016】
そして、電解槽で製造される滅菌液の濃度を、濃度調整手段によって所定の濃度に調整できるので、電極組による電気化学反応の効率を高めたり、入場者数や天候、気温などによって変化する被処理水の水質に応じて滅菌液の濃度を調節して、装置の処理能力を任意に調整することができるようになる。
さらに、滅菌液による滅菌効果は、滅菌液濃度C、滅菌液の被処理水への接触時間tとすると、両者の積であるCt値で表される。第1の電解槽で製造された滅菌液を直接水槽に供給する場合に比べて、第1の電解槽で製造された滅菌液を、被処理水を水槽から第2の電解槽に導入しかつ第2の電解槽内で滅菌処理後に水槽に還流させる水処理経路に合流させる構成とすることにより、滅菌液が水処理経路を通過している間でCt値が上がるので、より高い滅菌効果を得ることが可能となる。
【0017】
また、滅菌液の濃度の制御は、請求項2のように、第1の電解槽に貯留される電解質溶液の濃度を調節することにより達成することができる。即ち、電極組に通電することで製造される滅菌液の濃度は、電極組が電気分解する電解質溶液(例えば食塩水)の濃度によって変化する。滅菌液の濃度は、第1の電解槽に貯留される電解質溶液の濃度に対応した一定の濃度まで上昇した後そのまま飽和するようになる(図1参照)。
【0018】
従って、電解質溶液の濃度を調整することで、電極組で製造される滅菌液の濃度を制御することができるようになる。
【0019】
例えば、ユーザが滅菌液の濃度を設定すると、電解槽に供給される電解質溶液の濃度がその設定された滅菌液の濃度に対応した濃度になるように制御される結果、電極組の電気分解にて製造される滅菌液の濃度が、供給された電解質溶液に対応した濃度に自動的に制御される。従って、滅菌液の濃度をユーザが任意の濃度に自由に設定できるようにしておけば、水処理装置が適用される水槽の種類、すなわち用途に応じて被処理水の残留塩素濃度を所望の濃度に設定することができ、種々の水槽に適用可能な水処理装置とすることができる。
【0020】
また、請求項3の構成では、タンク内に飽和食塩水などの高濃度電解質溶液を予め貯留しておき、第1の電解槽内の電解質溶液の濃度が設定された濃度になるように、タンクから第1の電解槽へ供給される高濃度電解質溶液の流出量を供給手段によって調整することができるようになる。
【0021】
また、請求項4の構成では、水槽内の被処理水を第1の電解槽に導く流路を備えることにより、タンクから第1の電解槽内に供給されている高濃度の電解質溶液に対して、前記流路から水槽内の被処理水を供給し、電解槽内に貯留されている高濃度の電解質溶液を被処理水でもって希釈することにより、電解質溶液の濃度を設定された濃度に調整することが可能となる。
【0022】
また、請求項5の構成では、電解槽で製造される滅菌液の濃度は、電極組への通電量、即ち電気分解の電流量(電荷量)を調整することにより達成することができる。
【0023】
また、請求項6の構成では、電極組に流れる電流値を検出することにより、電極組による電解質溶液の電解質の利用効率が正確に判定できるようになる。即ち、一般に電極間に一定の直流電圧をかけた場合、その電極間に流れる電流値は、電解槽に供給された電解質溶液の濃度が濃くなるほど高くなる(図2−a参照)。また一方で、電極組により消費される電解質量(食塩量)は、電解質溶液の濃度を濃くするとそれに伴って増加するが、所定の電解質溶液濃度を境に消費量が低下する(図2-b参照)。そこで、これらの関係から実験的にデータをとり、電極組に流れる電流値を基に、電気分解によって電解質が最も効率的に利用されつつ、滅菌液の濃度をできるだけ高濃度に高めることができる電解質濃度を決定することが可能となる。
【0024】
これにより、必要以上に高濃度の電解質溶液が電解槽に供給されることにより、電気分解に利用されなかった塩分が水槽へ流入して水槽のNACL濃度が上昇し、遊泳者が水が塩辛いと不快に感じたり、逆に電解質溶液の濃度が過度に低すぎることにより、電気分解に要する時間が長くなり、残留塩素の発生率が低いことから多量の滅菌液が必要となる問題を防止することができるようになる。
【0025】
また、請求項7の構成では、より高い滅菌効果を得ることができるようになる。
【0026】
特に、第1の電解槽からの吐出口を第2の電解槽内に接続する構成とすれば、供給される滅菌液を一旦大気圧に開放させることが容易に行えるようになり、構成を簡略化することが可能となる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
図3は、この発明の一実施形態にかかる水処理装置1を、プールや浴場の浴槽などの大型の水槽2に組みこんだ構造を簡略化して示す図である。
【0028】
図に見るように水槽2には、循環ポンプ22によって多量の被処理水を常時、図中二重実線の矢印で示す方向に循環させるための主循環経路20が設置されている。
21は砂ろ過のためのフィルター、23は熱交換器である。水処理装置1の水処理経路10は、図中実線の矢印で示すように、上記主循環経路20の、フィルター21と熱交換器23の間の分岐点J1から分岐して、複数枚の電極板からなる電極組E1と、図示しない微細気泡除去用のフィルターを内蔵した、第2の電解槽となる循環処理用電解槽13を経たのち、上記分岐点J1より下流側の合流点J2で、再び上記主循環経路20に合流するように接続されている。
上記水処理経路10の、分岐点J1から循環用電解槽13に至る途上には順に、開閉弁B1、流量調整のための調整弁B2、B3、流量計S1、電磁弁B4、導電率センサ12及び残留塩素濃度を測定するための残留塩素センサ26が配置されている。
【0029】
水処理経路10の循環処理用電解槽13から合流点J2に至る途上には順に、循環用電解槽13内から被処理水を送出することで、被処理水を水処理経路10内で循環させるための送出用ポンプP1、調整バルブB7、逆流防止のための逆止弁B8、流量調整のための調整弁B9が配置されている。
【0030】
そして、上記構成の水処理装置1は以下のように動作する。水槽2の水は循環ポンプで汲み出され、フィルタ21で有機物が除去される。そして分岐点J1で熱交換器23を通って水槽2に還流される水と水処理経路10に流入される水とに分かれる。水処理経路10に流入される水は調整弁B1、電磁弁B2、B3によってその流量が調整され、流量計S1、電磁弁B4を経た後、導電率センサ12及び残留塩素センサ26を通って循環処理用電解槽13へ与えられる。導電率センサ12では循環処理用電解槽13へ与えられる被処理水の電気伝導度である導電率が測定される。また、残留塩素センサ26では被処理水の残留塩素濃度が測定される。
【0031】
循環処理用電解槽13では電極組E1に直流電流が通電されることにより、被処理水の電気分解が行われる。電気分解では電極組E1の電極間に電気化学反応が生じ、この反応により発生する次亜塩素酸イオン、塩素ガス、次亜塩素酸、活性酸素などによって、被処理水の滅菌処理が行われる。
【0032】
循環処理用電解槽13で滅菌処理された被処理水は、循環ポンプP1によって汲み出され調整バルブB7、逆止弁B8、調整弁B9を経由して分岐点J2から再び主循環経路20へと流れ込んで水槽2内へ流入する。これにより、水槽2内の水が滅菌処理されるようになる。
【0033】
更に図3において、水処理経路10には、複数枚の電極板からなる電極組E2を内蔵した第1の電解槽となるバッチ処理用電解槽14を有している。
【0034】
そして、このバッチ処理用電解槽内14に食塩などの塩素イオンを含み且つ電気化学反応を促進する作用を有する電解質の水溶液を満たした状態で、電極組E2に通電して一定時間前記電解質溶液を電解処理することで、滅菌作用を有する滅菌液を製造すると共に、製造した滅菌液を貯留タンク15に貯留し、貯留タンク15内の滅菌液を随時水処理経路10に供給する供給経路35がその終端部を前記水処理経路10に接続されている。
【0035】
詳しくは、前記調整バルブB2と調整バルブB3との間の分岐点J3で前記水処理経路10から分岐して調整バルブB5と、電磁弁B6を経てバッチ処理用電解槽14に接続された後、電磁弁B10を介して貯留タンク15に導入され、送出用ポンプP2を経た後、調整バルブB7と逆止弁B8との間の位置で再び水処理経路10と合流するように、供給経路35が形成されている。
【0036】
また、前記供給経路35の前記電磁弁B6とバッチ処理用電解槽14との間には、飽和食塩水等の電解質溶液が貯留された塩水タンク31が定流量ポンプP3を介して接続されている。
【0037】
そして、供給経路35は以下のように動作する。
定流量ポンプP3および電磁弁B6が駆動されて所定濃度の電解質溶液がバッチ処理用電解槽14に供給され、図示しない水位センサW1によって電解質溶液の水位が所定水位に維持される。バッチ処理用電解槽14内では供給された電解質溶液が電気分解されて次亜塩素酸や次亜塩素酸イオン等からなる滅菌液が製造される。そして製造された滅菌液は、電磁弁B10によって順次貯留タンク15に貯えられる。貯留タンク15内に供給された滅菌液は図示しない水位センサW2の検出値に基づいて電磁弁B10が制御されて貯留タンク15の満水位まで溜められる。そして溜められた滅菌液は、残留塩素センサ26からの被処理水の残留塩素濃度に応じて定流量ポンプP2によって随時汲み出され、水処理経路10に供給される。これによって、上記循環処理用電解槽13による滅菌処理だけでは滅菌に時間がかかるような場合には、貯留タンク15内の滅菌液が水処理経路10に流入されて被処理水が滅菌処理される。
【0038】
図4は図3の水処理装置1の電気的な構成を示すブロック図である。
図に示すように、上記電極組E1、E2をそれぞれ個別に通電制御しつつ水処理経路10、および供給経路35を構成する各部を作動させる制御部40を備えている。
【0039】
制御部40内には、各部の動作のタイミングを規定するタイマと、例えば電極組の通電量の基準となるしきい値などを記憶したメモリが備えられている。
制御部40には、図3で説明した水処理装置1に備えられた各種のセンサ類からの検知信号が与えられる。即ち、残留塩素センサ26、PHセンサ23、導電率センサ24および水位センサW1,W2の検知信号は制御部40へ与えられる。
【0040】
制御部40ではこれら与えられる検知信号に応じ、予め定める動作プログラムに従って水処理装置1の動作を制御する。具体的には、制御信号をドライバ43へ与え、そしてドライバ43は、与えられる信号に基づいて、電極組E1、E2への通電出力(通電電流)、通電時間等の通電制御を行い、かつ各弁B1〜B10の開閉および調整、並びに各ポンプP1〜P3の駆動制御を行う。
【0041】
図5は、制御部により行われる制御のうち、バッチ処理用電解槽14および貯溜タンク15に対する制御の流れを示すフローチャートである。
【0042】
バッチ処理用電解槽14内で生成され、貯留タンク15に貯留された滅菌液は、水槽2内の被処理水の残留塩素濃度に応じて、残留塩素濃度が規定値より低下している場合のみ送出用ポンプP2を作動して一定量の滅菌液を水処理経路10を通じて水槽2内に供給する。残留塩素濃度が規定値を満たしている場合は、送出用ポンプP2を停止した状態のまま待機するよう制御部によって制御されるようになっている。
【0043】
まず水処理装置1の電源が投入され、水処理経路10を構成する各部を作動させると共に電磁弁B6を駆動してバッチ処理用電解槽14内に被処理水の供給が開始されると、制御部はまず水位センサW1の検出値に基づきバッチ処理用電解槽14の水位が下限水位Lminとなっているか否かの確認を行う(ステップS1、S2)。
水位が下限水位になるまでは給水をつづけ、下限水位に到達したら、電磁弁B6を閉じて被処理水の給水を停止する(ステップS3)。
【0044】
次に、飽和食塩水を吐出する定量ポンプP3を駆動してバッチ処理用電解槽14へ塩水タンク31から飽和食塩水の供給を行い、先にバッチ処理用電解槽14内に溜めてある被処理水でもって飽和食塩水を希釈することにより電解質溶液の濃度調整を開始する(ステップS4)。
【0045】
そして、電極組E2へ一定の直流電圧を印加して電気分解を行い滅菌液の製造を開始して、ステップ6へ進む(ステップS5)。
【0046】
ステップ6では、電極組E2の電極間に流れる電流値が制御部によって検出される。そして、その電流値Iを予めメモリに記録されている、滅菌液の濃度に対応するしきい値Iaと比較して、電流値Iがしきい値Iaに達するまで電極組E2に流れる電流値を継続して検出する。
【0047】
上記しきい値Iaは、滅菌液の濃度と電流値との関係を予め実験的にデータ化しておき、ユーザーが図示しない設定手段にて設定した滅菌液の希望濃度に対応する電流値が当てはめられる。
【0048】
ステップS7で電流値Iがしきい値Iaに達したら、即ち、ユーザーが設定した滅菌液濃度に対応する電解質溶液の濃度となる電極組E2の電流値に達したら、定流量ポンプP3を停止して飽和食塩水の供給を中止し、タイマーのカウントをスタートさせると共に電解質溶液の電気分解を継続して行う(ステップS8,S9)。
【0049】
タイマーのカウント値が予め記憶されたカウント値T1に達したら、電極組E2への通電を停止して電気分解をストップし、ステップS12ヘ進む。
【0050】
ステップS12では、電磁弁B10を駆動してバッチ処理用電解槽14で製造された滅菌液を貯留タンク15に移送する。バッチ処理用電解槽14の水位が0になったら電磁弁B10を停止して滅菌液の移送を停止する。
【0051】
そして、貯留タンク15内の滅菌液が満水Pmaxになるまで上記ステップS1〜S14が繰り返し行われる。
【0052】
尚、この実施例ではバッチ処理用電解槽14に供給される電解質溶液の濃度を変更する方法として、予め溜めておいた被処理水に塩水タンク31から飽和食塩水を供給して電解質溶液の濃度調整を行う構成としているが、これに限らず、先にバッチ処理用電解槽14内に所定量の飽和食塩水を貯留しておき、水槽からの被処理水や水道水でもって飽和食塩水を希釈することで電解質溶液の濃度を調整する構成としても良い。また、塩水タンク31からの飽和食塩水と希釈用の被処理水の両方の供給量を変更するようにすると、電解質溶液の濃度を緻密にすばやく調整可能である。
【0053】
また、製造される滅菌液の濃度を電極組E2に流れる電流値に基づく電解質溶液の濃度でもって間接的に調整しているが、電解槽で製造された滅菌液の濃度を直接測定する残留塩素センサをバッチ処理用電解槽の下流側に別途配置し、この残留塩素センサの検出値に基づいて滅菌液の濃度制御を行う構成としても良い。このような構成とすることにより、製造された滅菌液の濃度を直接測定できるので、より正確に滅菌液の濃度管理を行うことができるようになる。
【0054】
尚、上述の実施例では、電解槽において、電気分解によって製造される滅菌液の濃度を電解槽に供給される電解質溶液の濃度によって制御しているが、例えば、電極組に供給される電気量、即ち電気分解の電流量(電荷量)を調整することによりによっても滅菌液の濃度調整を達成することが可能である。
【0055】
図6は、この発明の他の実施態様にかかる水処理装置1の構成を示す図である。
図の水処理装置1の図3の実施例との相違点は、バッチ処理用電解槽14で製造された滅菌液が送出される供給経路35の終端が、水処理経路の主循環路20の合流点J2付近に接続されているのに代えて、循環処理用電解槽13に供給経路35の終端を接続した点にある。
【0056】
詳しくは、貯留タンク15の最下流側には、滅菌液を被処理水に供給する供給経路35の後半部分の配管がその吸込口を貯留タンク15の底部に位置させて配置されており、途中に設けられた送出用ポンプP2を介して、循環処理用電解槽13の電極組よりも下流側で気液分離フィルタ13bの上流側に接続されている。供給経路35の吐出口35aは循環処理用電解槽13の蓋体13aを貫通して電解槽内の水面より上の空間に開放させている。
【0057】
この例の上記供給経路35以外の部分の構成は、先の例と同じであるので、同一箇所の同一部材については同一符号を付して、その説明は省略する。
図の水処理装置1では、被処理水の残留塩素濃度に応じて、貯留タンク15に貯留された滅菌液を定流量ポンプP2によって図中矢印で示すように一定の流量で循環処理用電解槽13に供給することで被処理水の滅菌処理が行われる。
【0058】
このように、バッチ処理用電解槽14で製造された滅菌液を循環処理用電解槽内13に合流させる構成とすることにより、滅菌液が循環処理用電解槽内13や水処理経路10を通過している間でCt値が上がるので、より高い滅菌効果を得ることが可能となる。特に、電極組E1よりも下流側で循環処理用電解槽13に合流させることにより、供給した滅菌液が電極組E1による電気分解で逆反応を起こし滅菌効果が減少する不具合を未然に防止できるようになる。
【0059】
尚、上記実施例では、供給経路35の吐出口35aを循環処理用電解槽13に接続する構成としたが、供給経路35の水処理経路10への接続位置は循環処理用電解槽13より上流側であれば水処理経路10のどの位置に接続してもCt値が上がるので同様の作用効果を得ることができる。
【0060】
この発明は、以上で説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】残留塩素濃度と電解時間の関係を表すブラフ
【図2】電解質の利用率と電解質溶液の濃度の関係を表すグラフ
【図3】本発明の一実施形態にかかる水処理装置を簡略化して示す図である。
【図4】図3の水処理装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【図5】制御部で行われる制御内容の内、バッチ処理用電解槽で製造される滅菌液の濃度制御の流れを示すフローチャートである。
【図6】この発明の他の実施形態に係る水処理装置を簡略化して示す図である。
【符号の説明】
1 水処理装置
13 第2の電解槽
10 水処理経路
14 第1の電解槽
E1,E2 電極組
35 供給経路
Claims (7)
- 被処理水を貯留する水槽と、
少なくとも2枚の電極板からなる電極組に通電して電気分解を行う第1の電解槽と、
この第1の電解槽内に塩素イオンを含み且つ電気化学反応を促進する作用を有する電解質溶液を満たした状態で、上記電極組に通電して電解質を電解処理することで、滅菌作用を有する滅菌液を製造すると共に、製造した滅菌液を前記水槽に供給させる供給経路と、
前記被処理水の残留塩素濃度を測定する残留塩素センサと、
この残留塩素センサで測定された被処理水の残留塩素濃度に基づき、前記水槽に供給させる滅菌液の流入量を制御する制御手段とを備えた水処理装置において、
前記制御手段は、前記第1の電解槽で製造される滅菌液の濃度を所定の濃度に調整する濃度調整手段を有し、さらに、
少なくとも2枚の電極板からなる電極組に通電して電気分解を行う第2の電解槽と、
被処理水を水槽から第2の電解槽に導入し、かつ第2の電解槽内で滅菌処理後に水槽に還流させる水処理経路とを備え、
前記第1の電解槽にて製造された滅菌液を前記水処理経路に供給させたことを特徴とする水処理装置。 - 請求項1に記載の水処理装置において、前記濃度調節手段は、第1の電解槽に満たされる電解質溶液の濃度を調整する手段を含むことを特徴とする水処理装置。
- 請求項2に記載の水処理装置において、電解質溶液を貯留するタンクと、このタンク内の電解質溶液を第1の電解槽へ供給するための供給手段とを備え、前記電解質溶液の濃度を調整する手段は、前記供給手段を制御して前記第1の電解槽への電解質溶液の流入量を調節することにより電解質溶液の濃度を調整することを特徴とする水処理装置。
- 請求項3に記載の水処理装置において、前記水槽内の被処理水を前記第1の電解槽に導く流路を更に備え、前記電解質溶液の濃度を調節する手段は、前記第1の電解槽に供給される電解質溶液を希釈すべく前記水槽から第1の電解槽に導かれた被処理水の導入量を調節することを特徴とする水処理装置。
- 請求項1の水処理装置において、前記濃度調節手段は、前記電極組の通電量を制御することを特徴とする水処理装置。
- 請求項1から5に記載の水処理装置において、前記濃度調節手段は、電極組に流れる電流値を検知する電流値検知手段を有し、電流値検知手段の出力に基づき滅菌液の濃度を調整することを特徴とする水処理装置。
- 請求項1に記載の水処理装置において、
前記第1の電解槽にて製造された滅菌液を前記第2の電解槽より上流位置の前記水処理経路に供給させたことを特徴とする水処理装置。
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