JP3957348B2 - 防火用板ガラス - Google Patents
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- C03C3/087—Glass compositions containing silica with 40% to 90% silica, by weight containing aluminium oxide or an iron compound containing an oxide of a divalent metal containing calcium oxide, e.g. common sheet or container glass
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- C03C23/00—Other surface treatment of glass not in the form of fibres or filaments
- C03C23/007—Other surface treatment of glass not in the form of fibres or filaments by thermal treatment
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、防火用板ガラスに関し、具体的にはソーダライムガラスに分類されるべき組成を有するガラス組成物から形成される防火用板ガラスに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の防火用板ガラスとしては、火災時に高い防火性を発揮するものは知られておらず、従来は通常のソーダライムガラス組成物を、網入り板ガラスに成形して、防火用板ガラスに利用したり、ソーダライムガラス組成物から熱強化ガラスを成形して防火用板ガラスとして用いることが行われている。ちなみに、防火用板ガラスとしては、ほう珪酸ガラス等の高融点のものを防火用板ガラスに用いることも考えられているが、溶融温度が高かったり、粘性が高かったりして、板ガラスの生産性が低く、また、ホウ素成分が含有されるとガラス溶解窯の寿命を縮める原因になりやすいため、ソーダライムガラスを用いて防火用板ガラスを提供したいという要望があり、鋭意研究がなされているところである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来の防火用板ガラスは、火災の初期には優れた防火性能を示すものの、甲種防火戸の基準を満たすものは知られておらず、たとえば、上述の防火用板ガラスは、火炎にさらされても破砕せず、火災が類焼するのを防止するのであるが、所定時間経過するとガラス自体が軟化して、板ガラス保持部材(サッシ、フレーム)等から抜け落ちるという現象が見られ、前記基準のうち60分間形状保持させることが出来ないものであった。
【0004】
従って、本発明の目的は、上記欠点に鑑み、ソーダライムガラスを用いて、前記甲種防火戸の基準を満たす防火用板ガラスを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記甲種防火戸の基準により板ガラスが加熱される場合、60分の加熱によって770℃から780℃に達するという新知見を得るとともに、軟化点が780℃以上であるガラス組成物から成形された板ガラスは、上述の基準に適応する可能性が高いことを見いだした。
そこで、本発明者らが先に見いだした、耐火性に優れる以下のガラス組成物:SiO2 …56〜68wt%、
Al2 O3 …0.2〜5wt%、
ZrO2 …0〜3wt%、
Li2 O …0〜0.5wt%、
Na2 O …0.2〜4wt%、
K2 O …6〜14wt%、
MgO …1〜14wt%、
CaO …6〜12wt%、
SrO …0〜12wt%、
BaO …0〜13wt%、
ZnO …0〜2wt%、
からなり、
Na2 O+K2 O …8〜14wt%、
MgO+CaO …8〜15wt%、
SrO+BaO …8〜14wt%、
MgO+CaO+SrO+BaO…20〜27wt%、
SO3 +Sb2 O3 …0〜1wt%、
であり、
かつ、50〜350℃の平均熱膨張率が75〜95×10-7/K、
かつ、歪点が540℃以上、
かつ、102 ポイズの温度が1560℃以下
を防火用板ガラスとして利用して検討したところ、上述の基準を好適に満たすという新知見を得るに至った。
〔構成〕
そこで上記目的を達成するための本発明の防火用板ガラスの特徴構成は、
SiO2 …56〜68wt%、
Al2 O3 …0.2〜5wt%、
ZrO2 …0〜3wt%、
Li2 O …0〜0.5wt%、
Na2 O …0.2〜4wt%、
K2 O …6〜14wt%、
MgO …1〜14wt%、
CaO …6〜12wt%、
SrO …0〜12wt%、
BaO …0〜13wt%、
ZnO …0〜2wt%、
からなり、
Na2 O+K2 O …8〜14wt%、
MgO+CaO …8〜15wt%、
SrO+BaO …8〜14wt%、
MgO+CaO+SrO+BaO…20〜27wt%、
SO3 +Sb2 O3 …0〜1wt%、
であり、
かつ、50〜350℃の平均熱膨張率が75〜95×10-7/K、
かつ、歪点が540℃以上、
かつ、102 ポイズの温度が1560℃以下、
かつ、軟化点が780℃以上である点にある。
【0006】
尚、これら組成物には各成分それぞれにより好ましい範囲が考えられ、具体的には、ガラスの溶融温度(102 ポイズの温度)は1560℃以下であると好ましいのであるが、より好ましくは前記組成物の各成分を前記溶融温度が1550℃以下にるように調整した方が良く、同様に、ガラス組成物の粘度は、たとえば板ガラスをフロート成形する際に、フロートバスへの供給口での適度な粘性が得られることが望ましく、この条件として104 ポイズ温度(作業温度)が1140℃以下になるように各組成を調整することが望ましい。また、50〜350℃の平均熱膨張率は、75〜95×10-7/K、より望ましくは、70〜90×10-7/Kとすることが望ましく、さらには、ガラスの失透温度は、ガラス成型時に失透が起こらないように設定することが好ましいため、失透温度を1140℃以下になるように各組成を調整してあることが望ましい。そのため、各組成成分の含有率は、より好ましくは、以下のように調整されるべきである。
【0007】
SiO2 ;
ガラスのネットワークホーマーである。SiO2 が56重量%未満ではガラスの歪点が低くなる。58重量%以上とするが好ましい。一方58重量%を越えるとガラスの熱膨張率が小さくなり、また、本ガラスを熱強化処理して防火用に用いようとした場合、強化が入り難くなる。
【0008】
Al2 O3 ;
Al2 O3 はガラスの歪点を上げるのに有効な成分であり、また少量の添加でもガラスの失透性の改善及び耐水性の改善に有効である。0.2重量%未満ではその効果は小さいので、少なくとも0.2重量%以上が必要である。0.5重量%以上用いることが失透性及び耐水性を顕著に改善する上で好ましい。一般に溶融炉の内張りの一部にはアルミナ質のレンガが用いられており、長期間ガラスを溶解すると、レンガが浸食され、レンガ近傍のアルミナ濃度が増加する。特に本発明のガラス組成にはアルカリ金属酸化物及びアルカリ金属土類酸化物を多く含むため、レンガの浸食が促進される傾向にある。ガラス中にAl2 O3 を多量に含有する場合、レンガの浸食に伴いレンガ近傍のAl2 O3 濃度が上昇し、Al2 O3 を成分とする失透が発生し、ガラスの品質が悪化する。このためAl2 O3 は5重量%以下であり、4重量%以下が好ましい。
【0009】
ZrO2 ;
ZrO2 はAl2 O3 と同様ガラスの歪点を上げるのに有効な成分であるが、Al2 O3 と同様ガラス物性への影響があるため、本願では必須成分とはしない。しかしながら、少量の添加で、ガラスの耐水性の改善に有効であるので、0.2重量%以上用いることが好ましく、更に0.3重量%以上用いるのが好ましい。
一般に溶融炉の内張りにはアルミナ質のレンガとジルコニア質のレンガが用いられており、ZrO2 を多量に含有するガラスを長期間溶解するとAl2 O3 と同様、浸食に伴いZrO2 質のレンガ近傍のZrO2 濃度が上昇し、ZrO2 を成分とする失透が発生し、ガラスの品質が悪化する。このためZrO2 は3重量%以下であり、2.5重量%以下とするが好ましい。
【0010】
MgO;
MgOは溶解性向上に有効であるばかりでなく、歪点を上げるのに有効である。1重量%未満ではその効果が十分でなく、2重量%以上が望ましい。しかしながら、7重量%を越えると失透が起こりやすくなる。好ましくは6重量%以下である。
【0011】
CaO;
CaOはMgO同様、溶解性向上に有効であるばかりでなく、歪点を上げるのに有効な成分であり、6重量%未満ではその効果が十分でなく、7重量%以上が望ましい。しかしながら、12重量%を越えると失透が起こりやすくなる。好ましくは10重量%以下である。
【0012】
MgO+CaO;
MgO+CaOは溶解性向上及び歪点を上げるために8重量%以上必要であり、9重量%以上が好ましい。しかしながら、15重量%を越えると失透が起こりやすくなる。好ましくは13重量%以下である。
【0013】
SrO;
SrOは必ずしも必要ではないが、溶解性向上に有効であるばかりでなく、歪点を上げるのに有効な成分である。このため、2重量%以上が好ましい。しかしながら、12重量%を越えると失透が起こりやすくなるとともに、比重が大きくなり、さらに原料コスト増を招く。望ましくは10重量%以下である。
【0014】
BaO;
BaOは必ずしも必要ではないが、溶解性向上に有効である。このため、2重量%以上が好ましい。しかしながら、13重量%を越えると比重が大きくなり、さらに原料コスト増を招く。望ましくは10重量%以下である。
【0015】
BaO+SrO;
BaO+SrOはMgO+CaOだけでは不十分な溶解性を改善するため及びNa2 O+K2 Oと共に膨張係数を上げるのに必要であり、8重量%未満ではその効果が十分ではなく、10重量%以上が望ましい。しかしながら、14重量%を越えると失透しやすくなると共に原料コスト増を招く。
【0016】
MgO+CaO+SrO+BaO;
ガラスの溶解性向上に有効であり、合計量が20重量%未満では所望の溶融温度が得られない。好ましくは21重量%以上である。一方、27重量%以上ではガラスの失透温度が高くなりすぎ製板が困難となる。望ましくは26重量%以下とする。
【0017】
ZnO;
ZnOは溶解性向上に有効であるが、揮発しやすく溶解炉を寿命を短くするため、2重量%以下であり、好ましくは1重量%以下である。
【0018】
Li2 O;
溶融温度を低下させる効果があるが、それ以上に歪点を低下させるため0.5重量%未満であり、実質的に含まないこと、すなわち0.2重量%未満が好ましい。
【0019】
Na2 O;
溶解性を向上し、熱膨張率を増加させるのに有効である。さらにK2 Oとの相互作用により耐水性の向上に有効である。0.2重量%未満ではその効果がなく、0.5重量%以上が好ましい。しかしながら、少量の添加で歪点が大きく低下し、かつレンガの浸食性が増加するため、4重量%以下とする。好ましくは3.5重量%以下であり、3重量%以下が望ましく、さらに2重量%以下がより望ましい。
【0020】
K2 O;
熱膨張率を増加させると共に歪点も上昇させる成分である。6重量%未満ではその効果が十分ではない。好ましくは7重量%以上であり、9.5重量%以上が望ましい。しかしながら、14重量%を越えると失透し易くかつ耐水性が悪化する。11重量%以下が好ましい。
【0021】
Na2 O+K2 O;
溶解性を改善し、特に熱膨張率を増加させるために必須である。合計量で8重量%未満では熱膨張率が小さくなりすぎる。好ましくは9重量%以上であり、10重量%以上が望ましい。14重量%を越えると歪点が低下するもしくは失透温度が上昇する。13重量%以下が好ましい。
【0022】
TiO2 ;
必須成分ではないが、化学的耐久性の向上に効果がある。3重量%以上ではガラスが着色するので好ましくない。
【0023】
そのため、上記目的を達成するための本発明の防火用板ガラスのより好ましい特徴構成は、
SiO2 …56〜68wt%、
Al2 O3 …0.2〜4wt%、
ZrO2 …0〜2.5wt%、
Li2 O …0〜0.5wt%、
Na2 O …0.2〜3.5wt%、
K2 O …7〜11wt%、
MgO …2〜6wt%、
CaO …6〜10wt%、
SrO …2〜10wt%、
BaO …2〜10wt%、
ZnO …0〜2wt%、
であり、かつ、
Na2 O+K2 O …8〜14wt%、
MgO+CaO …8〜15wt%、
SrO+BaO …8〜14wt%、
MgO+CaO+SrO+BaO…20〜27wt%、
SO3 +Sb2 O3 …0〜1wt%、
であり、
かつ、50〜350℃の平均熱膨張率が75〜95×10-7/K、
かつ、歪点が550℃以上、
かつ、102 ポイズの温度が1550℃以下、
かつ、軟化点が780℃以上とする点にあり、
【0024】
さらに好ましくは
SiO2 …58〜66wt%、
Al2 O3 …0.5〜4wt%、
ZrO2 …0.2〜2.5wt%、
Li2 O …0〜0.1wt%、
Na2 O …0.5〜3wt%、
K2 O …8〜11wt%、
MgO …2〜6wt%、
CaO …6〜10wt%、
SrO …2〜10wt%、
BaO …2〜10wt%、
ZnO …0〜1wt%、
であり、かつ、
Na2 O+K2 O …9〜13wt%、
MgO+CaO …9〜13wt%、
SrO+BaO …10〜14wt%、
MgO+CaO+SrO+BaO…21〜26wt%、
SO3 +Sb2 O3 …0〜1wt%、
であり、
かつ、50〜350℃の平均熱膨張率が80〜90×10-7/K、
かつ、歪点が550℃以上、
かつ、102 ポイズの温度が1550℃以下、
かつ、軟化点が780℃以上である点にある。
【0025】
また、板ガラスに整形する際には、網入りにしてあってもよく、熱強化処理を施してあってもよい。
【0026】
〔作用効果〕
つまり、上述の防火用板ガラスは耐熱性が高く、かつ、軟化点が780℃以上の高い値を示すので、甲種防火戸の耐火基準のテストを行った場合にも、割れずに良く耐え、かつ、所定時間経過してもガラス自体が軟化して、板ガラス保持部材(サッシ、フレーム)等から抜け落ちるような状況は発生しにくくなった。
また、網入りガラスとして防火用板ガラスを構成すれば、より一層防火性能を向上させることができるとともに、熱強化処理によっても防火性能を向上させることが出来る。
しかも、溶融温度が1560℃以下、作業温度が1140℃以下で、アルミナを含有するレンガを用いた溶融に際してはレンガ近傍で失透しにくく、かつ作業温度が失透温度より高いという特性を有するガラス組成物から形成してあるので、フロート法による高品質のガラス板の連続生産が可能で生産性が高いという利点がある。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
表1中サンプル1のガラス組成物を調整し、そのガラス組成物から板ガラスを成形し、甲種防火戸の加熱試験を行ったところ、図1に示すように表面温度が変化した。その結果、加熱1時間後に、板ガラスの表面温度は約780℃に達したものの、軟化点には至らず、変形してフレームから抜け落ちるなどの悪影響を生じることなく、十分試験に耐え、火災の類焼防止に役立つことが分かった。
【0028】
【実施例】
表1の目標ガラス組成(サンプル1〜8)(重量%)となるように各原料を調合した。このとき、清澄剤としてボウ硝を用いた。調合したバッチをルツボに投入し、1500℃で4時間溶融したあと流し出して徐冷した。このようにして得られたガラス試料の溶融温度(102ポアズの温度)、作業温度(104ポアズの温度)、失透温度、軟化点、歪点、熱膨張率、耐水性、レンガ近傍の失透性を測定した。
【0029】
溶融温度および作業温度は以下のようにして測定した。70ccの白金ルツボにガラスを入れて1550℃で溶融してサンプルとした。このサンプルを試料引き下げ式高温粘度測定装置にセットして、試料溶融ガラス中に白金球をつるし、容器ごと試料を引き下げるときに白金球にかかる粘性抵抗を荷重として測定し、各温度での粘度を求めた。900〜1500℃の温度範囲で温度と粘度の関係を測定した。
【0030】
失透温度は以下のように測定した。ガラスを粉砕して2830μmのフルイを通り1000μmのフルイ上に留まったガラス粒25gをはかり取り、幅12mm、長さ200mm、深さ9mmの白金製ボートに上記ガラス粒を敷き詰め、ボートの長さ方向に適当な温度勾配を持つように温度設定された炉内で2時間保持する。炉から取り出した白金ボートを自然放冷させた後に、顕微鏡によって白金ボード上のガラスを観察し、失透が発生している最高温度をもって失透温度とした。
【0031】
軟化点は以下のように測定した。
まず、縦30mm、横30mm、厚さ5mmのガラスのサンプルピースを作製する。温度制御された炉内にサンプルピースを入れ、棒状の圧子を一定荷重下で圧着しておく。温度制御により、前記圧子をサンプルピースに貫入させ、その貫入速度からガラス粘度の温度依存性を求める。その関係からlogη=7.65(ηはガラス粘度)となる温度を求め軟化点とした。
【0032】
歪点は以下のように測定した。まず、縦3mm、横3mm、長さ50mmの直方体のガラス棒を作製した。このガラス棒をビーム曲げ式粘度測定装置にセットし、試料の長辺側の両端を固定して中央部分に荷重を加えてガラスのたわむ速度と温度の関係より歪点を求めた。
【0033】
熱膨張係数は以下のように測定した。直径5mm、高さ15mmの円柱状のロッドを作製し、25℃からガラスの降伏点まで温度とガラスの伸びを測定し、50℃から350℃の間の熱膨張係数を計算した。
【0034】
耐水性の測定は以下のようにした。ガラスを粉砕し、590μmのフルイを通り420μmのフルイ上に留まったガラス粒をエタノールにて洗浄し、乾燥した後、比重分をはかり取り、100mlの純水中にて80℃で94時間放置した後、重量減(%)を測定した。
【0035】
レンガ近傍の失透性については以下のように測定した。ガラスカレット50gと10mm立方のアルミナレンガ片(Al2O3 95%)とを50mm角、深さ10mmの白金容器に入れ、1550℃で2時間溶融した後、1000℃で24時間保持し、室温まで冷却したサンプルについて、レンガ近傍の失透の有無について観察した。失透が観察されなかったものは”○”、わずかに観察されたものは”△”、明らかに失透が成長しているものは”×”の記号で表示した。
【0036】
(比較例)
サンプル9に示した比較例のガラス組成物を実施例と同様の方法で作製し、各特性を実施例と同じ方法で測定した。
【0037】
各特性の測定結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
表1から、わかるように、本発明によるガラス組成物は、失透温度は作業温度以下、溶融温度は1560℃以下であり、レンガ近傍での失透性も良好であり、また、耐水性に優れかつ歪点が低いので、熱処理時のガラスの熱収縮が小さく、50〜350℃の平均熱膨張率が75〜95×107/Kで、フロート法でのガラスの連続生産に適しているという特性を維持しながら高い軟化点を有するために、このようなガラス組成物を用いて生産した板ガラスは、防火戸として高い性能を発揮することが分かる。
それに対して、サンプル9の建築用窓ガラスに用いられるソーダライムガラスに相当するガラス組成物は、軟化点が低く甲種防火戸の試験には耐えないことが分かる。
【図面の簡単な説明】
【図1】加熱試験に基づく板ガラス温度の変移を示すグラフ
【発明の属する技術分野】
本発明は、防火用板ガラスに関し、具体的にはソーダライムガラスに分類されるべき組成を有するガラス組成物から形成される防火用板ガラスに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の防火用板ガラスとしては、火災時に高い防火性を発揮するものは知られておらず、従来は通常のソーダライムガラス組成物を、網入り板ガラスに成形して、防火用板ガラスに利用したり、ソーダライムガラス組成物から熱強化ガラスを成形して防火用板ガラスとして用いることが行われている。ちなみに、防火用板ガラスとしては、ほう珪酸ガラス等の高融点のものを防火用板ガラスに用いることも考えられているが、溶融温度が高かったり、粘性が高かったりして、板ガラスの生産性が低く、また、ホウ素成分が含有されるとガラス溶解窯の寿命を縮める原因になりやすいため、ソーダライムガラスを用いて防火用板ガラスを提供したいという要望があり、鋭意研究がなされているところである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来の防火用板ガラスは、火災の初期には優れた防火性能を示すものの、甲種防火戸の基準を満たすものは知られておらず、たとえば、上述の防火用板ガラスは、火炎にさらされても破砕せず、火災が類焼するのを防止するのであるが、所定時間経過するとガラス自体が軟化して、板ガラス保持部材(サッシ、フレーム)等から抜け落ちるという現象が見られ、前記基準のうち60分間形状保持させることが出来ないものであった。
【0004】
従って、本発明の目的は、上記欠点に鑑み、ソーダライムガラスを用いて、前記甲種防火戸の基準を満たす防火用板ガラスを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記甲種防火戸の基準により板ガラスが加熱される場合、60分の加熱によって770℃から780℃に達するという新知見を得るとともに、軟化点が780℃以上であるガラス組成物から成形された板ガラスは、上述の基準に適応する可能性が高いことを見いだした。
そこで、本発明者らが先に見いだした、耐火性に優れる以下のガラス組成物:SiO2 …56〜68wt%、
Al2 O3 …0.2〜5wt%、
ZrO2 …0〜3wt%、
Li2 O …0〜0.5wt%、
Na2 O …0.2〜4wt%、
K2 O …6〜14wt%、
MgO …1〜14wt%、
CaO …6〜12wt%、
SrO …0〜12wt%、
BaO …0〜13wt%、
ZnO …0〜2wt%、
からなり、
Na2 O+K2 O …8〜14wt%、
MgO+CaO …8〜15wt%、
SrO+BaO …8〜14wt%、
MgO+CaO+SrO+BaO…20〜27wt%、
SO3 +Sb2 O3 …0〜1wt%、
であり、
かつ、50〜350℃の平均熱膨張率が75〜95×10-7/K、
かつ、歪点が540℃以上、
かつ、102 ポイズの温度が1560℃以下
を防火用板ガラスとして利用して検討したところ、上述の基準を好適に満たすという新知見を得るに至った。
〔構成〕
そこで上記目的を達成するための本発明の防火用板ガラスの特徴構成は、
SiO2 …56〜68wt%、
Al2 O3 …0.2〜5wt%、
ZrO2 …0〜3wt%、
Li2 O …0〜0.5wt%、
Na2 O …0.2〜4wt%、
K2 O …6〜14wt%、
MgO …1〜14wt%、
CaO …6〜12wt%、
SrO …0〜12wt%、
BaO …0〜13wt%、
ZnO …0〜2wt%、
からなり、
Na2 O+K2 O …8〜14wt%、
MgO+CaO …8〜15wt%、
SrO+BaO …8〜14wt%、
MgO+CaO+SrO+BaO…20〜27wt%、
SO3 +Sb2 O3 …0〜1wt%、
であり、
かつ、50〜350℃の平均熱膨張率が75〜95×10-7/K、
かつ、歪点が540℃以上、
かつ、102 ポイズの温度が1560℃以下、
かつ、軟化点が780℃以上である点にある。
【0006】
尚、これら組成物には各成分それぞれにより好ましい範囲が考えられ、具体的には、ガラスの溶融温度(102 ポイズの温度)は1560℃以下であると好ましいのであるが、より好ましくは前記組成物の各成分を前記溶融温度が1550℃以下にるように調整した方が良く、同様に、ガラス組成物の粘度は、たとえば板ガラスをフロート成形する際に、フロートバスへの供給口での適度な粘性が得られることが望ましく、この条件として104 ポイズ温度(作業温度)が1140℃以下になるように各組成を調整することが望ましい。また、50〜350℃の平均熱膨張率は、75〜95×10-7/K、より望ましくは、70〜90×10-7/Kとすることが望ましく、さらには、ガラスの失透温度は、ガラス成型時に失透が起こらないように設定することが好ましいため、失透温度を1140℃以下になるように各組成を調整してあることが望ましい。そのため、各組成成分の含有率は、より好ましくは、以下のように調整されるべきである。
【0007】
SiO2 ;
ガラスのネットワークホーマーである。SiO2 が56重量%未満ではガラスの歪点が低くなる。58重量%以上とするが好ましい。一方58重量%を越えるとガラスの熱膨張率が小さくなり、また、本ガラスを熱強化処理して防火用に用いようとした場合、強化が入り難くなる。
【0008】
Al2 O3 ;
Al2 O3 はガラスの歪点を上げるのに有効な成分であり、また少量の添加でもガラスの失透性の改善及び耐水性の改善に有効である。0.2重量%未満ではその効果は小さいので、少なくとも0.2重量%以上が必要である。0.5重量%以上用いることが失透性及び耐水性を顕著に改善する上で好ましい。一般に溶融炉の内張りの一部にはアルミナ質のレンガが用いられており、長期間ガラスを溶解すると、レンガが浸食され、レンガ近傍のアルミナ濃度が増加する。特に本発明のガラス組成にはアルカリ金属酸化物及びアルカリ金属土類酸化物を多く含むため、レンガの浸食が促進される傾向にある。ガラス中にAl2 O3 を多量に含有する場合、レンガの浸食に伴いレンガ近傍のAl2 O3 濃度が上昇し、Al2 O3 を成分とする失透が発生し、ガラスの品質が悪化する。このためAl2 O3 は5重量%以下であり、4重量%以下が好ましい。
【0009】
ZrO2 ;
ZrO2 はAl2 O3 と同様ガラスの歪点を上げるのに有効な成分であるが、Al2 O3 と同様ガラス物性への影響があるため、本願では必須成分とはしない。しかしながら、少量の添加で、ガラスの耐水性の改善に有効であるので、0.2重量%以上用いることが好ましく、更に0.3重量%以上用いるのが好ましい。
一般に溶融炉の内張りにはアルミナ質のレンガとジルコニア質のレンガが用いられており、ZrO2 を多量に含有するガラスを長期間溶解するとAl2 O3 と同様、浸食に伴いZrO2 質のレンガ近傍のZrO2 濃度が上昇し、ZrO2 を成分とする失透が発生し、ガラスの品質が悪化する。このためZrO2 は3重量%以下であり、2.5重量%以下とするが好ましい。
【0010】
MgO;
MgOは溶解性向上に有効であるばかりでなく、歪点を上げるのに有効である。1重量%未満ではその効果が十分でなく、2重量%以上が望ましい。しかしながら、7重量%を越えると失透が起こりやすくなる。好ましくは6重量%以下である。
【0011】
CaO;
CaOはMgO同様、溶解性向上に有効であるばかりでなく、歪点を上げるのに有効な成分であり、6重量%未満ではその効果が十分でなく、7重量%以上が望ましい。しかしながら、12重量%を越えると失透が起こりやすくなる。好ましくは10重量%以下である。
【0012】
MgO+CaO;
MgO+CaOは溶解性向上及び歪点を上げるために8重量%以上必要であり、9重量%以上が好ましい。しかしながら、15重量%を越えると失透が起こりやすくなる。好ましくは13重量%以下である。
【0013】
SrO;
SrOは必ずしも必要ではないが、溶解性向上に有効であるばかりでなく、歪点を上げるのに有効な成分である。このため、2重量%以上が好ましい。しかしながら、12重量%を越えると失透が起こりやすくなるとともに、比重が大きくなり、さらに原料コスト増を招く。望ましくは10重量%以下である。
【0014】
BaO;
BaOは必ずしも必要ではないが、溶解性向上に有効である。このため、2重量%以上が好ましい。しかしながら、13重量%を越えると比重が大きくなり、さらに原料コスト増を招く。望ましくは10重量%以下である。
【0015】
BaO+SrO;
BaO+SrOはMgO+CaOだけでは不十分な溶解性を改善するため及びNa2 O+K2 Oと共に膨張係数を上げるのに必要であり、8重量%未満ではその効果が十分ではなく、10重量%以上が望ましい。しかしながら、14重量%を越えると失透しやすくなると共に原料コスト増を招く。
【0016】
MgO+CaO+SrO+BaO;
ガラスの溶解性向上に有効であり、合計量が20重量%未満では所望の溶融温度が得られない。好ましくは21重量%以上である。一方、27重量%以上ではガラスの失透温度が高くなりすぎ製板が困難となる。望ましくは26重量%以下とする。
【0017】
ZnO;
ZnOは溶解性向上に有効であるが、揮発しやすく溶解炉を寿命を短くするため、2重量%以下であり、好ましくは1重量%以下である。
【0018】
Li2 O;
溶融温度を低下させる効果があるが、それ以上に歪点を低下させるため0.5重量%未満であり、実質的に含まないこと、すなわち0.2重量%未満が好ましい。
【0019】
Na2 O;
溶解性を向上し、熱膨張率を増加させるのに有効である。さらにK2 Oとの相互作用により耐水性の向上に有効である。0.2重量%未満ではその効果がなく、0.5重量%以上が好ましい。しかしながら、少量の添加で歪点が大きく低下し、かつレンガの浸食性が増加するため、4重量%以下とする。好ましくは3.5重量%以下であり、3重量%以下が望ましく、さらに2重量%以下がより望ましい。
【0020】
K2 O;
熱膨張率を増加させると共に歪点も上昇させる成分である。6重量%未満ではその効果が十分ではない。好ましくは7重量%以上であり、9.5重量%以上が望ましい。しかしながら、14重量%を越えると失透し易くかつ耐水性が悪化する。11重量%以下が好ましい。
【0021】
Na2 O+K2 O;
溶解性を改善し、特に熱膨張率を増加させるために必須である。合計量で8重量%未満では熱膨張率が小さくなりすぎる。好ましくは9重量%以上であり、10重量%以上が望ましい。14重量%を越えると歪点が低下するもしくは失透温度が上昇する。13重量%以下が好ましい。
【0022】
TiO2 ;
必須成分ではないが、化学的耐久性の向上に効果がある。3重量%以上ではガラスが着色するので好ましくない。
【0023】
そのため、上記目的を達成するための本発明の防火用板ガラスのより好ましい特徴構成は、
SiO2 …56〜68wt%、
Al2 O3 …0.2〜4wt%、
ZrO2 …0〜2.5wt%、
Li2 O …0〜0.5wt%、
Na2 O …0.2〜3.5wt%、
K2 O …7〜11wt%、
MgO …2〜6wt%、
CaO …6〜10wt%、
SrO …2〜10wt%、
BaO …2〜10wt%、
ZnO …0〜2wt%、
であり、かつ、
Na2 O+K2 O …8〜14wt%、
MgO+CaO …8〜15wt%、
SrO+BaO …8〜14wt%、
MgO+CaO+SrO+BaO…20〜27wt%、
SO3 +Sb2 O3 …0〜1wt%、
であり、
かつ、50〜350℃の平均熱膨張率が75〜95×10-7/K、
かつ、歪点が550℃以上、
かつ、102 ポイズの温度が1550℃以下、
かつ、軟化点が780℃以上とする点にあり、
【0024】
さらに好ましくは
SiO2 …58〜66wt%、
Al2 O3 …0.5〜4wt%、
ZrO2 …0.2〜2.5wt%、
Li2 O …0〜0.1wt%、
Na2 O …0.5〜3wt%、
K2 O …8〜11wt%、
MgO …2〜6wt%、
CaO …6〜10wt%、
SrO …2〜10wt%、
BaO …2〜10wt%、
ZnO …0〜1wt%、
であり、かつ、
Na2 O+K2 O …9〜13wt%、
MgO+CaO …9〜13wt%、
SrO+BaO …10〜14wt%、
MgO+CaO+SrO+BaO…21〜26wt%、
SO3 +Sb2 O3 …0〜1wt%、
であり、
かつ、50〜350℃の平均熱膨張率が80〜90×10-7/K、
かつ、歪点が550℃以上、
かつ、102 ポイズの温度が1550℃以下、
かつ、軟化点が780℃以上である点にある。
【0025】
また、板ガラスに整形する際には、網入りにしてあってもよく、熱強化処理を施してあってもよい。
【0026】
〔作用効果〕
つまり、上述の防火用板ガラスは耐熱性が高く、かつ、軟化点が780℃以上の高い値を示すので、甲種防火戸の耐火基準のテストを行った場合にも、割れずに良く耐え、かつ、所定時間経過してもガラス自体が軟化して、板ガラス保持部材(サッシ、フレーム)等から抜け落ちるような状況は発生しにくくなった。
また、網入りガラスとして防火用板ガラスを構成すれば、より一層防火性能を向上させることができるとともに、熱強化処理によっても防火性能を向上させることが出来る。
しかも、溶融温度が1560℃以下、作業温度が1140℃以下で、アルミナを含有するレンガを用いた溶融に際してはレンガ近傍で失透しにくく、かつ作業温度が失透温度より高いという特性を有するガラス組成物から形成してあるので、フロート法による高品質のガラス板の連続生産が可能で生産性が高いという利点がある。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
表1中サンプル1のガラス組成物を調整し、そのガラス組成物から板ガラスを成形し、甲種防火戸の加熱試験を行ったところ、図1に示すように表面温度が変化した。その結果、加熱1時間後に、板ガラスの表面温度は約780℃に達したものの、軟化点には至らず、変形してフレームから抜け落ちるなどの悪影響を生じることなく、十分試験に耐え、火災の類焼防止に役立つことが分かった。
【0028】
【実施例】
表1の目標ガラス組成(サンプル1〜8)(重量%)となるように各原料を調合した。このとき、清澄剤としてボウ硝を用いた。調合したバッチをルツボに投入し、1500℃で4時間溶融したあと流し出して徐冷した。このようにして得られたガラス試料の溶融温度(102ポアズの温度)、作業温度(104ポアズの温度)、失透温度、軟化点、歪点、熱膨張率、耐水性、レンガ近傍の失透性を測定した。
【0029】
溶融温度および作業温度は以下のようにして測定した。70ccの白金ルツボにガラスを入れて1550℃で溶融してサンプルとした。このサンプルを試料引き下げ式高温粘度測定装置にセットして、試料溶融ガラス中に白金球をつるし、容器ごと試料を引き下げるときに白金球にかかる粘性抵抗を荷重として測定し、各温度での粘度を求めた。900〜1500℃の温度範囲で温度と粘度の関係を測定した。
【0030】
失透温度は以下のように測定した。ガラスを粉砕して2830μmのフルイを通り1000μmのフルイ上に留まったガラス粒25gをはかり取り、幅12mm、長さ200mm、深さ9mmの白金製ボートに上記ガラス粒を敷き詰め、ボートの長さ方向に適当な温度勾配を持つように温度設定された炉内で2時間保持する。炉から取り出した白金ボートを自然放冷させた後に、顕微鏡によって白金ボード上のガラスを観察し、失透が発生している最高温度をもって失透温度とした。
【0031】
軟化点は以下のように測定した。
まず、縦30mm、横30mm、厚さ5mmのガラスのサンプルピースを作製する。温度制御された炉内にサンプルピースを入れ、棒状の圧子を一定荷重下で圧着しておく。温度制御により、前記圧子をサンプルピースに貫入させ、その貫入速度からガラス粘度の温度依存性を求める。その関係からlogη=7.65(ηはガラス粘度)となる温度を求め軟化点とした。
【0032】
歪点は以下のように測定した。まず、縦3mm、横3mm、長さ50mmの直方体のガラス棒を作製した。このガラス棒をビーム曲げ式粘度測定装置にセットし、試料の長辺側の両端を固定して中央部分に荷重を加えてガラスのたわむ速度と温度の関係より歪点を求めた。
【0033】
熱膨張係数は以下のように測定した。直径5mm、高さ15mmの円柱状のロッドを作製し、25℃からガラスの降伏点まで温度とガラスの伸びを測定し、50℃から350℃の間の熱膨張係数を計算した。
【0034】
耐水性の測定は以下のようにした。ガラスを粉砕し、590μmのフルイを通り420μmのフルイ上に留まったガラス粒をエタノールにて洗浄し、乾燥した後、比重分をはかり取り、100mlの純水中にて80℃で94時間放置した後、重量減(%)を測定した。
【0035】
レンガ近傍の失透性については以下のように測定した。ガラスカレット50gと10mm立方のアルミナレンガ片(Al2O3 95%)とを50mm角、深さ10mmの白金容器に入れ、1550℃で2時間溶融した後、1000℃で24時間保持し、室温まで冷却したサンプルについて、レンガ近傍の失透の有無について観察した。失透が観察されなかったものは”○”、わずかに観察されたものは”△”、明らかに失透が成長しているものは”×”の記号で表示した。
【0036】
(比較例)
サンプル9に示した比較例のガラス組成物を実施例と同様の方法で作製し、各特性を実施例と同じ方法で測定した。
【0037】
各特性の測定結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
表1から、わかるように、本発明によるガラス組成物は、失透温度は作業温度以下、溶融温度は1560℃以下であり、レンガ近傍での失透性も良好であり、また、耐水性に優れかつ歪点が低いので、熱処理時のガラスの熱収縮が小さく、50〜350℃の平均熱膨張率が75〜95×107/Kで、フロート法でのガラスの連続生産に適しているという特性を維持しながら高い軟化点を有するために、このようなガラス組成物を用いて生産した板ガラスは、防火戸として高い性能を発揮することが分かる。
それに対して、サンプル9の建築用窓ガラスに用いられるソーダライムガラスに相当するガラス組成物は、軟化点が低く甲種防火戸の試験には耐えないことが分かる。
【図面の簡単な説明】
【図1】加熱試験に基づく板ガラス温度の変移を示すグラフ
Claims (5)
- SiO2 …56〜68wt%、
Al2 O3 …0.2〜5wt%、
ZrO2 …0〜3wt%、
Li2 O …0〜0.5wt%、
Na2 O …0.2〜4wt%、
K2 O …6〜14wt%、
MgO …1〜14wt%、
CaO …6〜12wt%、
SrO …0〜12wt%、
BaO …0〜13wt%、
ZnO …0〜2wt%、
からなり、
Na2 O+K2 O …8〜14wt%、
MgO+CaO …8〜15wt%、
SrO+BaO …8〜14wt%、
MgO+CaO+SrO+BaO…20〜27wt%、
SO3 +Sb2 O3 …0〜1wt%、
であり、
かつ、50〜350℃の平均熱膨張率が75〜95×10-7/K、
かつ、歪点が540℃以上、
かつ、102 ポイズの温度が1560℃以下、
かつ、軟化点が780℃以上である防火用板ガラス。 - SiO2 …56〜68wt%、
Al2 O3 …0.2〜4wt%、
ZrO2 …0〜2.5wt%、
Li2 O …0〜0.5wt%、
Na2 O …0.2〜3.5wt%、
K2 O …7〜11wt%、
MgO …2〜6wt%、
CaO …6〜10wt%、
SrO …2〜10wt%、
BaO …2〜10wt%、
ZnO …0〜2wt%、
であり、かつ、
Na2 O+K2 O …8〜14wt%、
MgO+CaO …8〜15wt%、
SrO+BaO …8〜14wt%、
MgO+CaO+SrO+BaO…20〜27wt%、
SO3 +Sb2 O3 …0〜1wt%、
であり、
かつ、50〜350℃の平均熱膨張率が75〜95×10-7/K、かつ、歪点が550℃以上、
かつ、102 ポイズの温度が1550℃以下、
かつ、軟化点が780℃以上である防火用板ガラス。 - SiO2 …58〜66wt%、
Al2 O3 …0.5〜4wt%、
ZrO2 …0.2〜2.5wt%、
Li2 O …0〜0.1wt%、
Na2 O …0.5〜3wt%、
K2 O …8〜11wt%、
MgO …2〜6wt%、
CaO …6〜10wt%、
SrO …2〜10wt%、
BaO …2〜10wt%、
ZnO …0〜1wt%、
であり、かつ、
Na2 O+K2 O …9〜13wt%、
MgO+CaO …9〜13wt%、
SrO+BaO …10〜14wt%、
MgO+CaO+SrO+BaO…21〜26wt%、
SO3 +Sb2 O3 …0〜1wt%、
であり、
かつ、50〜350℃の平均熱膨張率が80〜90×10-7/K、
かつ、歪点が550℃以上、
かつ、102 ポイズの温度が1550℃以下、
かつ、軟化点が780℃以上である防火用板ガラス。 - 網入りである請求項1〜3のいずれか1項に記載の防火用板ガラス。
- 熱強化処理を施してある請求項1〜3のいずれか1項に記載の防火用板ガラス。
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