明 細 書 防火用板ガラス 技 術 分 野
本発明は防火用板ガラスに関し、 具体的にはソ一ダライムガラスに分類さ れるべき組成を有するガラス組成物から形成される防火用板ガラスに関する 背 景 技 術
従来、 この種の防火用板ガラスとしては、 火災時に高い防火性を発揮する ものは知られていない。 従来は、 通常のソ一グライムガラス組成物を、 網入 り板ガラスに成形して、 防火用板ガラスに利用したり、 ソ一ダライムガラス 組成物から熱強化ガラスを成形して防火用板ガラスとして用いることが行わ れている。 因みに、 防火用板ガラスとしては、 ほう珪酸ガラス等の高融点の ものを防火用板ガラスに用いることも考えられているが、 溶融温度が高かつ たり、 粘性が高かったり して、 板ガラスの生産性が低い。 また、 ホウ素成分 が含有されるとガラス溶解窯の寿命を縮める原因になりやすいため、 ソ一ダ ラィムガラスを用いて防火用板ガラスを提供したいという要望があり、 鋭意 研究がなされている。
ところで、 上述した従来の防火用板ガラスは、 火災の初期には優れた防火 性能を示すものの、 甲種防火戸の基準 (日本国建設省告示第 1 1 2 5号に基 づく防火試験) を満たすものは知られていない。 例えば、 上述の防火用板ガ ラスは、 火炎にさらされても破砕せず、 火災が類焼するのを防止するのであ るが、 所定時間経過するとガラス自体が軟化して、 板ガラス保持部材 (サッ シ、 フレーム) 等から抜け落ちるという現象が見られ、 前記基準のうち 6 0 分間形状保持させることが出来ないものであった。
従って、 本発明の目的は、 上記従来技術の有する欠点に鑑み、 ソ一ダライ ムガラスを用いて、 前記甲種防火戸の基準を満たす防火用板ガラスを提供す
ることにある, 発 明 の 開 示
本発明者らは、 前記甲種防火戸の基準により板ガラスが加熱される場合、 6 0分の加熱によって 7 7 0 °Cから 7 8 0 °Cに達するという新知見を得ると ともに、 軟化点が 7 8 (TC以上であるガラス組成物から成形された板ガラス は、 上述の基準に適応する可能性が高いことを見いだした。
そこで、 本発明者らが先に見いだした、 耐火性に優れる下記組成のガラス 組成物 (重量%) :
S i 02 5 6〜 6 8 %、
A 1203 0. 2〜 5
Z r 02 0〜 3 %、
L i 20 0〜 0. 5 %■
N a 20 0. 2〜 4
K20 6〜 1 4 %■
M g 0 1 ~ 1 4 %-
C a 0 6〜 1 2 %■
S r 0 0〜 1 2 %■
B a 0 0〜 1 3 %■
Z n 0 0〜 2 %.
力、らなり、
N a 20 + K20 8 ~ 1 4 %~
M g 0 + C a 0 8〜 1 5 %■
S r 0 + B a 0 8〜 1 4 %·
MgO + C a O + S r O + B a 0 2 0〜 2 7
S 03 + S b 203 0〜 1
であり、
かつ、 5 0〜 3 5 0での平均熱膨張率が 7 5〜 9 5 X 1 0 7ZK、
かつ、 歪点が 5 4 0 °C以上、
かつ、 1 02ボイズの温度が 1 5 6 0 °C以下
を防火用板ガラスとして利用して検討したところ、 上述の基準を好適に満た すという新知見を得るに至った。
そこで上記目的を達成するための本発明の防火用板ガラスの特徴構成は、 重量%で表示して、
S i 0 … 5 6〜 6 8 %、
A 1203 … 0. 2〜5 %、
Z r 02 … 0〜 3 %、
L "0 … 0〜 0. 5 %、
N a 20 … 0. 2〜4 %、
K20 … 6〜 1 4 %、
Mg 0 1— 1 4 %,
C a 0 6〜 1 2 %、
S r 0 0〜 1 2 %、
B a 0 0〜 1 3 %
Z n 0 0〜 2 %、
からなり、
N a 0 + K 20 ··· 8〜 1 4 %,
MgO + C a O … 8〜 1 5 %、
S r 0 + B a 0 - 8— 1 4 %,
MgO + C a O + S r O + B a 0 2 0〜2 7 %、
S 0 + S b 203 0〜 1 %、
であり、
かつ、 5 0〜 3 5 0での平均熱膨張率が 7 5〜 9 5 X 1 0—7/K、 かつ、 歪点が 5 4 0 °C以上、
かつ、 1 02ボイズの温度が 1 5 6 0で以下、
かつ、 軟化点が 7 8 0で以上である点にある。
尚、 これら組成物には各成分それぞれにより好ましい範囲が考えられ、 具 体的には、 ガラスの溶融温度 ( 1 0 2ボイズの温度) は 1 5 6 0 °C以下であ ると好ましい。 より好ましく は、 前記組成物の各成分を前記溶融温度が 1 5 5 0 °C以下になるように調整した方が良い。 同様に、 ガラス組成物の粘 度は、 たとえば板ガラスをフロー 卜成形する際に、 フロー トバスへの供給口 での適度な粘性が得られることが望ましい。 この条件として、 1 0 4ボイズ 温度 (作業温度) が 1 1 4 0 °C以下になるように各組成を調整することが望 ましい。 また、 5 0〜 3 5 0 °Cの平均熱膨張率は、 7 5 〜 9 5 x l 0— 7/ K、 より望ま しく は、 8 0 〜 9 0 1 0 / Κとすることが望ましい。 更には、 ガラスの失透温度は、 ガラス成型時に失透が起こらないように設定すること が好ましいため、 失透温度を 1 1 4 0 °C以下になるように各組成を調整して あることが望ましい。 そのため、 各組成成分の含有率は、 より好ましく は、 以下のように調整されるべきである。
〔S i 0 2〕
ガラスのネッ トワークホーマーである。 S i 0 2が 5 6重量%未満ではガ ラスの歪点が低くなり、 5 8重量%以上とすることが好ましい。 一方、 S i 0 2が 5 8重量%を越えるとガラスの熱膨張率が小さくなり、 また、 本 ガラスを熱強化処理して防火用に用いようとした場合、 強化が入り難くなる c 〔A 1 2 0 3 )
A 1 2 0 3はガラスの歪点を上げるのに有効な成分であり、 また少量の添加 でもガラスの失透性の改善および耐水性の改善に有効である。 A 1 2 0 3は、 0 . 2重量%未満ではその効果は小さいので、 少なく とも 0 . 2重量%以上 が必要であり、 0 . 5重量%以上用いることが失透性および耐水性を顕著に 改善する上で好ましい。 一般に、 溶融炉の内張りの一部にはアルミナ質レン ガが用いられており、 長期間ガラスを溶解すると、 レンガが浸食され、 レン ガ近傍のアルミナ濃度が増加する。 特に、 本発明のガラス組成にはアルカリ 金属酸化物およびアル力リ金属土類酸化物を多く含むため、 レンガの浸食が 促進される傾向にある。 ガラス中に A 1 2 0 3を多量に含有する場合、 レンガ
の浸食に伴いレンガ近傍の A 1203濃度が上昇し、 A 1203を成分とする 失透が発生し、 ガラスの品質が悪化する。 このため A 1203は 5重量%以下 であり、 特に 4重量%以下が好ましい。
〔Z r 02〕
Z r 02は、 A 1203と同様ガラスの歪点を上げるのに有効な成分である。 しかし Z r 02は、 A 1203と同様にガラス物性への影響があるため、 本願 では必須成分とはしない。 しかしながら、 少量の添加で、 ガラスの耐水性の 改善に有効であるので、 0. 2重量%以上用いることが好ましく、 更に 0. 3 重量%以上用いるのが好ましい。
一般に、 溶融炉の内張りにはアルミナ質レンガとジルコニァ質レンガが用 いられており、 Z r 02を多量に含有するガラスを長期間溶解すると、
A 12〇3同様、 浸食に伴い Z r 02質のレンガ近傍の Z r 02濃度が上昇し、 Z r 02を成分とする失透が発生して、 ガラスの品質が悪化する。 このため、 Z r 02は 3重量%以下であり、 2. 5重量%以下とするが好ましい。
〔MgO〕
Mg 0は溶解性向上に有効であるばかりでなく、 歪点を上げるのに有効で ある。 MgOは、 1重量%未満ではその効果が十分でなく、 2重量%以上が 望ましい。 しかしながら、 Mg 0は 7重量%を越えると失透が起こりやすく なり、 好ましく は 6重量%以下である。
〔C a O〕
C a 0は MgO同様、 溶解性向上に有効であるばかりでなく、 歪点を上げ るのに有効な成分である。 C a O量は、 6重量%未満ではその効果が十分で なく、 7重量%以上が望ましい。 しかしながら、 1 2重量%を越えると失透 が起こりやすくなる。 好ましく は 1 0重量%以下である。
CMg 0+ C a 0)
Mg 0 + C a 0は溶解性向上および歪点を上げるために 8重量%以上必要 であり、 9重量%以上が好ましい。 しかしながら、 1 5重量%を越えると失 透が起こりやすくなる。 好ましく は 1 3重量%以下である。
〔S r 0〕
S r〇は必ずしも必要ではないが、 溶解性向上に有効であるばかりでなく、 歪点を上げるのに有効な成分である。 このため、 2重量%以上が好ましい。 しかし、 1 2重量%を越えると失透が起こりやすくなるとともに、 比重が大 きくなり、 原料コス 卜増を招く。 望ましく は 1 0重量%以下である。
〔B a 0〕
B a 0は必ずしも必要ではないが、 溶解性向上に有効である。 このため、 2重量%以上が好ましい。 しかしながら、 1 3重量%を越えると比重が大き くなり、 さらに原料コス ト増を招く。 望ましく は 1 0重量%以下である。 〔B a 0 + S r 0〕
B a O + S r Oは MgO + C a 0だけでは不十分な溶解性を改善するため、 及び N a 20 + K20と共に膨張係数を上げるのに必要であり、 8重量%未満 ではその効果が十分ではなく、 1 0重量%以上が望ましい。 しかしながら、 1 4重量%を越えると失透しやすくなると共に原料コス ト増を招く。
CMgO + C a O + S r 0 + B a 0)
ガラスの溶解性向上に有効であり、 合計量が 2 0重量%未満では所望の溶 融温度が得られない。 好ま しく は 2 1重量%以上である。 一方、 2 7重量% 以上ではガラスの失透温度が高くなりすぎて製板が困難となる。 2 6重量% 以下とすることが望ましい。
CZ n 0)
Z n 0は溶解性向上に有効であるが、 揮発しやすく溶解炉を寿命を短くす るため、 2重量%以下であり、 好ましく は 1重量%以下である。
CL i 20)
溶融温度を低下させる効果があるが、 それ以上に歪点を低下させるため 0. 5重量%未満であり、 実質的に含まないこと、 即ち 0. 2重量%未満が 好ましい。
CN a 20〕
溶解性を向上し、 熱膨張率を増加させるのに有効である。 さらに K20と
の相互作用により耐水性の向上に有効である。 0. 2重量%未満ではその効 果がなく、 0. 5重量%以上が好ましい。 しかしながら、 少量の添加で歪点 が大きく低下し、 かつレンガの浸食性が増加するため、 4重量%以下とする c 好ましく は 3. 5重量%以下であり、 3重量%以下が望ましく、 さらに 2重 量%以下がより望ましい。
〔K20〕
Κ2〇は、 熱膨張率を増加させると共に歪点も上昇させる成分である。 6 重量%未満ではその効果が十分ではない。 好ましく は 7重量%以上であり、 9. 5重量%以上が望ま しい。 しかしながら、 1 4重量%を越えると失透し 易く、 かつ耐水性が悪化する。 1 1重量%以下が好ましい。
N a 20 + K20〕
これは、 溶解性を改善し、 特に熱膨張率を増加させるために必須である。 合計量で 8重量%未満では熱膨張率が小さくなりすぎる。 好ましく は 9重量 %以上であり、 1 0重量%以上が望ましい。 1 4重量%を越えると歪点が低 下するか、 もしくは失透温度が上昇する。 1 3重量%以下が好ましい。
〔T i 02〕
これは、 必須成分ではないが、 存在すると化学的耐久性の向上に効果があ る。 3重量%以上では、 ガラスが着色するので好ましくない。
そのため、 上記目的を達成するための本発明の防火用板ガラスのより好ま しい特徴構成は、 重量%で表示して、
S i 02 - 5 6-6 8 %,
A 1203 - 0. 2〜 4
Z r 02 … 0〜2. 5 %、
L i 20 … 0〜0· 5 %、
N a 20 - 0. 2〜 3. 5 %、
K20 … 7〜 1 1
Mg〇 … 2〜 6 %,
C a 0 … 6〜 1 0
S r 0 … 〜 1 u 0/
B a U 0 ^ 1 0
··· I〜 1 0
、へ
Z n U … u〜 0o しあり、 かつ、
Ν a 2 ϋ + Κ 2 υ 0 一 1
··· 0 ~ 1 4
Μ g (J 0/ 十し a (J … 8〜 丄 b
S r 0 + B a 0 … 8〜 1 4 ο
Mg O+ C a O+ S r O+ B a 。… 2 0〜 2 7
S 03 + S b 203 - 0- 1
であり、
かつ、 5 0〜 3 5 0 °Cの平均熱膨張率が 7 5〜 9 o かつ、 歪点が 5 5 0で以上、
かつ、 1 02ボイズの温度が 1 5 5 0 °C以下、 かつ、 軟化点が 7 8 (TC以上とする点にある。
さらに好ましく は、 重量%で表示して、
S i 02 … 5 8〜6 6 0
A 1 203 - 0. 5〜 4
Z r 02 ••• 0. 2〜2. π 0
L i 20 ••• 0 0 〜0. 1 /
N a 20 - 0. 5〜3 0
yo
K20 - 8~ 1 1 0
M g 0 … 2〜 6 ίΊ
C a 0 … 6〜 1 0 0/
S r〇 … 2〜 1 0
B a 0 … 2〜 1 0
Z n 0 - 0- 1 % s であり、 かつ、
N a 20 + K 20 … 9〜 1 3
M g 0 + C a 0 ·'· 9〜1 3 %,
S r O + B a O ·'· 1 0〜1 4 %、
Mg O + C a O + S r O + B a O 2 卜 2 6 %,
S O, + S b 203 - 0 - 1 %、
であり、
かつ、 5 0〜 3 5 0での平均熱膨張率が 8 0〜 9 0 X 1 0 7/K、 かつ、 歪点が 5 5 0 °C以上、
かつ、 1 02ボイズの温度が 1 5 5 0 °C以下、
かつ、 軟化点が 7 8 0 °C以上である点にある。
上記構成であると、 上述の防火用板ガラスは耐熱性が高く、 かつ、 軟化点 が 7 8 0で以上の高い値を示すので、 甲種防火戸の耐火基準のテス トを行つ た場合にも、 割れずに良く耐え、 かつ、 所定時間経過してもガラス自体が軟 化して、 板ガラス保持部材 (サッシ、 フレーム) 等から抜け落ちるような状 況は発生し難くなった。
更に、 本発明の構成として、 板ガラスに整形する際には、 網入りにしてあ つてもよく、 熱強化処理を施してあってもよい。
網入りガラスと して防火用板ガラスを構成すれば、 より一層防火性能を向 上させることができるとともに、 熱強化処理によっても防火性能を向上させ ることが出来る。
しかも、 溶融温度が 1 5 6 0で以下、 作業温度が 1 1 4 0°C以下で、 アル ミナを含有するレンガを用いた溶融に際してはレンガ近傍で失透し難く、 か つ作業温度が失透温度より高いという特性を有するガラス組成物から形成し てあるので、 フロー 卜法による高品質のガラス板の連続生産が可能で生産性 が高いという利点がある。 図面の簡単な説明
図 1 は、 加熱試験に基づく板ガラス温度の変移を示すグラフである。
発明を実施するための最良の形態
以下に本発明の実施の形態を、 図面を考慮しつつ詳細に説明する。
表 1中サンプル 1のガラス組成物を調整し、 そのガラス組成物から板ガラ スを成形し、 甲種防火戸の加熱試験を行った処、 図 1 に示すように表面温度 が変化した。 その結果、 加熱 1時間後に、 板ガラスの表面温度は約 7 8 0 °C に達したものの、 軟化点には至らず、 変形してフレームから抜け落ちるなど の悪影響を生じることなく、 十分試験に耐え、 火災の類焼防止に役立つこと が分かった。 尚、 図 1 は、 縦軸に加熱温度 (°c ) 、 横軸に加熱時間 (分) を 表し、 図中 Aは加熱温度であり、 Bは板ガラス温度である。
(実施例)
表 1 に示す目標ガラス組成 (サンプル 1〜8 ) (重量%) となるように、 各原料を調合した。 このとき、 清澄剤としてボウ硝を用いた。 調合したバッ チをルツボに投入し、 1 5 0 0 °Cで 4時間溶融した後、 流し出して徐冷した c このようにして得られたガラス試料について、 その溶融温度 ( 1 0 2ポアズ の温度) 、 作業温度 ( 1 0 4ポアズの温度) 、 失透温度、 軟化点、 歪点、 熱 膨張率、 耐水性、 レンガ近傍の失透性を測定した。
溶融温度および作業温度は、 以下のようにして測定した。
7 0 c cの白金ルツボにガラスを入れて、 1 5 5 0 °Cで溶融してサンプル とした。 このサンプルを試料引き下げ式高温粘度測定装置にセッ 卜 して、 試 料溶融ガラス中に白金球をつるし、 容器ごと試料を引き下げるときに白金球 にかかる粘性抵抗を荷重として測定し、 各温度での粘度を求めた。 9 0 0〜 1 5 0 0での温度範囲で、 温度と粘度の関係を測定した。
失透温度は、 以下のように測定した。
ガラスを粉砕して 2 8 3 0 mのフルイを通り、 1 0 0 のフルイ上 に留まったガラス粒 2 5 gをはかり取り、 幅 1 2 m m、 長さ 2 0 0 m m、 深 さ 9 m mの白金製ボー トに上記ガラス粒を敷き詰め、 ボ一トの長さ方向に適 当な温度勾配を持つように温度設定された炉内で 2時間保持する。 炉から取 り出した白金ボー トを自然放冷させた後に、 顕微鏡によって白金ボー 卜上の
ガラスを観察し、 失透が発生している最高温度をもって失透温度とした。 軟化点を以下のように測定した。
まず、 縦 3 Omm、 横 3 Omm、 厚さ 5mmのガラスのサンプルピースを 作製する。 温度制御された炉内にサンプルピースを入れ、 棒状の圧子を一定 荷重下で圧着しておく。 温度制御により、 前記圧子をサンプルピースに貫入 させ、 その貫入速度からガラス粘度の温度依存性を求める。 その関係から l o gり = 7. 6 5 ( はガラス粘度) となる温度を求め軟化点とした。 歪点を以下のように測定した。
まず、 縦 3 mm、 横 3mm、 長さ 5 0 mmの直方体のガラス棒を作製した c このガラス棒をビーム曲げ式拈度測定装置にセッ 卜し、 試料の長辺側の両端 を固定して中央部分に荷重を加えてガラスのたわむ速度と温度の関係より歪 点を求めた。
熱膨張係数を以下のようにして測定した。
直径 5mm、 高さ 1 5 mmの円柱状のロッ ドを作製し、 2 5でからガラス の降伏点まで温度とガラスの伸びを測定し、 5 0°Cから 3 5 0 °Cの間の熱膨 張係数を計算した。
耐水性の測定を、 以下のようにして行った。 ガラスを粉砕し、 5 9 0 m のフルイを通り 4 2 0〃 mのフルイ上に留まったガラス粒をエタノールにて 洗浄し、 乾燥した後、 比重分をはかり取り、 1 0 0m lの純水中にて 8 0°C で 9 4時間放置した後、 重量減 ( ) を測定した。
レンガ近傍の失透性については、 以下のようにして測定した。
ガラスカレッ ト 5 0 gと 1 0 mm立方のアルミナレンガ片 (A 1203 9 5 %) とを 5 0mm角、 深さ 1 0 mmの白金容器に入れ、 1 5 5 0でで 2 時間溶融した後、 1 0 0 0でで 2 4時間保持し、 室温まで冷却したサンプル について、 レンガ近傍の失透の有無について観察した。 失透が観察されなか つたものは" 〇" 、 わずかに観察されたものは" △" 、 明らかに失透が成長 しているものは" X " の記号で表示した。
(比較例)
サンプル 9に示した比較例のガラス組成物を、 上記した実施例と同様の方 法で作製し、 各特性を実施例と同じ方法で測定した。
各特性の測定結果を、 表 1 に示す。
表 1から分かるように、 本発明によるガラス組成物は、 失透温度が作業温 度以下、 溶融温度は 1 5 6 0で以下であり、 レンガ近傍での失透性も良好で あり、 また、 耐水性に優れかつ歪点が低い。 その結果、 熱処理時のガラスの 熱収縮が小さ く、 5 0〜 3 5 0での平均熱膨張率が 7 5 ~ 9 5 X 1 0 " V K で、 フロー ト法でのガラスの連続生産に適しているという特性を維持しなが ら高い軟化点を有するために、 このようなガラス組成物を用いて生産した板 ガラスは、 防火戸として高い性能を発揮することが分かる。
それに対して、 サンプル 9の建築用窓ガラスに用いられるソーダライムガ ラスに相当するガラス組成物は、 軟化点が低く甲種防火戸の試験には耐えな いことが分かる。
表 1
1 L 3 4 5 6 7 8 9
S 1O2 62.0 61.0 65.0 64.9 62.4 60.2 60.0 57.0 72.1
A O3 4.8 3.0 1.2 l.3 l.2 3.8 0.3 0.6 l.5
MgO 3.5 3.5 4.6 3.7 4.6 3.0 3.5 2.0 4.1
CaO 7.0 7.0 9.0 7.5 9.0 6.0 7.4 11.0 8.2
S rO 3.0 6.0 6.0 6.0 6.0 5.0 1.8 4.5 0.0
BaO 7.0 6.0 5.0 5.0 5.0 8.0 12.0 9.4 0.0
Zn 0 0.5 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
L 12O 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.2 0.0 0.0 0.0
Na20 3.6 3.0 2.8 l.7 2.8 2.0 1.8 3.8 13.0
K20 7.5 9.0 6.2 9.5 6.8 8.0 12.0 9.8 1.0
Z r〇2 0.5 1.5 0.0 0.3 2.0 2.8 0.5 1.1 0.0
Sn02 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.2 0.0 0.0 0.0
T 102 0.3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.6 0.5 0.5 0.0
F e2〇 0.1 0.0 0.1 0.0 0.0 0.1 0.0 0.1 0.1
S O3 0.2 0.0 0.1 0.1 0.2 0.1 0.2 0.2 0.0 合 §† 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 20 CNa20 + K20) 11.1 12.0 9· 0 ll.2 9.6 10.0 13.8 13.6 14.0
Mgu十し au 1U.0 ιυ. ο 丄 11. lo. υ 1U.9 lo. U \L.6
SrO + BaO 10.0 12.0 11.0 11.0 11.0 13.0 13.8 13.9 0.0
RO(MgO + CaO + SrO + BaO) 20.5 22.5 24.6 22.2 24.6 22.0 24.7 26.9 12.3 溶融温度 (°C) 1542 1528 1520 1535 1497 1525 1523 1511 1462 作業温度 (°C) 1139 1119 1125 1127 1096 1120 1130 1098 1039 失透温度 (°C) 1115 1105 1100 1080 1092 1090 1119 1082 991 軟化点 (°C) 824 809 820 820 812 808 830 788 738 歪 点 (°C) 571 563 575 578 596 558 590 545 509 熱膨張率 X 1 0 (/K) 86 89 79 84 81 85 86 92 86 耐水性(%) 0.3 0.3 0.4 0.5 0.5 0.3 1.1 0.8 0.4 レンガ近傍の失透性 Δ 〇 〇 〇 〇 〇 〇 △ 〇