JP3957290B2 - 解体機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばマンション等の建築物を解体する際に用いる解体機に関する。とりわけ、マンション等の室内に取付けられたサッシ等を室内から引き剥がして切断する際に用いる解体機に関する。
【0002】
【従来の技術】
マンション等のビル解体において、建築物室内に取付けられたサッシ等を引き剥がして解体する際に、従来からマンション等の室内に自走式で入って行き、その室内から戸、サッシ等の切断対象物を引き剥がして解体する解体機が使用されている。
【0003】
この従来の解体機による解体作業は、例えば特許文献1に記載のように、作業者が運転キャビンから自走作業車両の車体部に旋回及び伏仰可能に設けられたブームの先端部の解体ペンチャーを遠隔操作してサッシ等を壁材などと一緒に引き剥がし、車体部の前部又は後部に装備された水平方向に開閉可能な左右一対のアームによって引き剥がされた戸、サッシ等を挟んで固定し、そして解体ペンチャーによって廃鋼材、サッシ等を切断したり、圧潰したりして行うものである。この特許文献1に記載された解体作業車で用いられる解体ペンチャーは、いわゆる「ハサミ」方式で切断対象物を切断するものである。
【0004】
上記従来の技術では、切断対象物(サッシ等)を切断する際には、必ず解体ペンチャーの先端部の挟持部でサッシ等を引き剥がした後に車体部の開閉アームでサッシ等を挟んで固定してからでないと切断できないため、切断作業が面倒で複雑であった。
【0005】
また、この従来の「ハサミ」方式による切断対象物の切断は、周知の通り、一対の刃部の剪断力によって行う。切断対象物が鋼材のように比較的硬いものや、比較的板厚の大きなものであれば、一対の刃部の間に隙間が生じたり、ガタついたりしても切断はなんとか可能であるが、建築材として広く用いられるアルミサッシなどの比較的柔らかく、板厚も小さい(薄い)もの(特に薄い板部分)に対しては従来の「ハサミ」方式では切断が難しいという問題があった。これは、一対の刃と刃の間に隙間が生じたりした場合に、一対の刃部の剪断によってアルミサッシを切断しようとしても、この隙間にアルミサッシが折れ曲がって変形するだけで切断にまで至らないということが主な原因である。
【0006】
このため、特許文献1に記載されているような解体ベンチャーを備えた解体機では、マンション等のビル解体の際にビルをその戸・窓やそのサッシ枠などと一緒に破砕・解体するしかなく、アルミサッシ等を細かく切断して、アルミ材とその他の材料に分別して解体することは困難であった。
【0007】
ところが、近年、建築廃棄物のリサイクル活用と最終処分場規制及び環境保護の目的で国及び地方自治体の条例により事業者には分別解体が義務付けられるようになってきた。この義務を遂行するために、上記従来の解体機では、アルミサッシなどを細かく切断して分別回収することができなかったため、従来の分別解体では、ビル内部から作業員が戸・窓を手作業で外し、戸窓枠ごとビル外に搬出してトラックで処理施設へ運ぶしかなかった。この場合、解体作業にはアスベストの飛散だけでなく多くの手間と重労働が要求され、作業の人工数を大きくせざるを得ず、高コストの原因となっていた。
【0008】
その他に、大きな部材を切断する等の目的で切断力(剪断力)を大きくしたい場合には、解体ペンチャーの刃部を大型化したり、解体ペンチャーの駆動油圧ユニットをより高圧にしたりしなければならず、解体機が大型で高価なものとなってしまうという問題もあった。
【0009】
一方、特許文献2に記載されている切断作業車に装備された一対の剪断刃部は、一方の剪断刃部が枠状になっており、他方の刃部は略板状となっており、板状の刃部が枠状刃部の枠内縁部に摺り合いながら通過する形式のものである。この剪断刃部によれば、アルミサッシのような比較的柔らかくて板厚の小さい(薄い)切断対象物であっても、枠状部材の枠状側面全体で切断対象物を支えているため、板状刃部を枠状刃部の枠状内部へ通過する際に、枠状刃部と板状刃部にたとえ隙間が生じても、アルミサッシが折れ曲がりにくくなり、切断に至らないといった特許文献1の問題は生じ難くなる。
【0010】
しかしながら、特許文献2に記載の切断作業車であっても、剪断刃部は油圧ブームの先端部に取付けられているため、剪断刃部の先端部に形成された作業対象物用挟持部でアルミサッシ等を掴んで引き剥がし、そのアルミサッシ等をいったん水平方向へ開閉するアームで挟んで固定しなければ、アルミサッシ等を剪断刃部で切断することはできない。このため、特許文献1に記載の解体作業車と同様に、解体(切断)作業の無駄が生じ、非効率であった。
【0011】
加えて、特許文献2に記載の剪断刃部の剪断力を大きくしたい場合には、特許文献1に記載の解体ペンチャーと同様に、剪断刃部を大型化したり、剪断刃部の駆動油圧ユニットをより高圧にしたりしなければならず、切断作業車が大型で高価なものとなってしまっていた。
【0012】
【特許文献1】
特許第3312247号公報
【特許文献2】
特許第3227473号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、斯かる実情に鑑み、切断対象物を効率良く切断することのできる解体機を提供するものである。さらに、本発明は、アルミサッシ等の比較的柔らかくて板厚の小さい(薄い)切断対象物をも確実に切断できる解体機を提供することを目的とする。加えて、従来の解体機に比べて、大きな切断力(剪断力)を安価で得ることができる解体機を提供することも本発明の別の目的である。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、自走作業車両の車体部に旋回及び伏仰可能に設けられたブームと、このブームの先端部に設けられた解体ペンチャーと、前記車体部の前部又は後部に装備され、水平方向に開閉駆動可能な左右一対のアームとを備えた解体機であって、切断対象物を切断するための一対の切断刃部が前記各アームに対向して取付けられており、
前記一対の切断刃部は枢支点回りに回動可能に取付けられており、前記アームの開閉動作に伴って、前記アームの前記切断刃部が取付けられた位置を力点として、前記枢支点回りに互いの刃部が摺り合いながら相互回動するように構成したことを特徴とする解体機を提供する。
【0015】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の解体機において、前記一対のアームを上下方向へ起伏駆動可能に構成したことを特徴とするものである。
【0017】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の解体機において、前記一対の切断刃部は、一方の切断刃部が枠状に形成され、他方の切断刃部が板状に形成されており、前記板状切断刃部が前記枠状切断刃部と摺り合いながら前記枠状内部を通過するように構成されていることを特徴とするものである。
【0018】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の解体機において、前記板状切断刃部の少なくとも先端部は、前記枠状切断刃部の側へ折り曲げられた略弓状に形成されていることを特徴としている。
【0019】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の解体機において、前記板状切断刃部の先端部が尖頭形状になっていることを特徴とするものである。
【0020】
本発明によれば、自走作業車両の車体部に旋回及び伏仰可能に設けられたブームと、このブームの先端部に設けられた解体ペンチャーと、前記車体部の前部又は後部に装備され、水平方向に開閉駆動可能な左右一対のアームとを備えた解体機であって、切断対象物を切断するための(左右)一対の切断刃部が前記各アームに対向して取付けられているから、アームを水平方向へ開閉すると左右一対の切断刃部によって切断対象物が切断できるため、解体ペンチャーでサッシを引き剥がしてそのままサッシをアームの(切断刃部のある)位置までの移動すれば、アームの開閉で切断が行える。つまり、アームの開閉によってサッシ等の切断対象物を挟んで固定してから解体ペンチャーで切断するという従来の作業が不要となり、切断作業が簡略化される。これにより、作業時間が大幅に短縮し、作業効率が向上するのである。
【0021】
本発明の切断刃部は、切断対象物を切断可能な構造のものであれば全て含まれる概念のものであり、各アームに対向して設けられているものであればいずれの形式のものでもよい。その取付け姿勢は、左右アーム間に水平に取付けても、左右アーム間で地面から任意の傾斜角度で上向きに立てるように取付けてもよい。何れの取付け姿勢であっても、アームの開閉で切断刃部が切断対象物を切断できるからである。なお、切断刃部を上向きに立てた姿勢で取付ける方法は、或る傾斜角度で固定する方法でも、油圧シリンダとラッチで可変調節可能に取付ける方法でもよい。後者の場合、切断刃部の取付け姿勢を任意に調整して切断対象物を好適な長さに切断できる利点がある。
【0022】
また、本発明では切断対象物の切断を解体ペンチャーによって行うものではないため、解体ペンチャーは単にマンション等の壁部に取付けられたアルミサッシ等の切断対象物を掴んで引き剥がすことができるものであれば十分である。従って、解体ペンチャーを切断用に駆動するための高圧の油圧を供給する必要がなく、油圧装置を小型化することも可能となる。勿論、解体ペンチャーに切断機能を持たせるようにしても構わない。即ち、本発明における解体ペンチャーは少なくとも切断対象物を掴んで引き剥がすことができるものであれば全て含まれるものである。
【0023】
さらに、本発明によれば、前記一対のアームを上下方向へ起伏駆動可能に構成しているため、解体ペンチャーでサッシ等の切断対象物を引き剥がしてアームの位置付近まで降ろせば、後はアームが任意の位置まで上下方向に起伏してサッシ等を切断できる。よって、切断対象物を切断する場合に好適な長さで切断できる利点がある。
【0024】
また、本発明では、前記一対の切断刃部は枢支点回りに回動可能に取付けられており、前記アームの開閉動作に伴って、前記アームの前記切断刃部が取付けられた位置を力点として、前記枢支点回りに互いの刃部(の枢支点から先端に至る部分)が摺り合いながら回動するように構成している。つまり、本発明の切断刃部は、アームに取付けられた切断刃部の取付位置を力点として「てこの原理」によって枢支点回りに相互回動することとなる。この構成により、切断刃部の取付け位置から枢支点までの距離を長くすればするほど、僅かの力でも切断刃部の先端部に大きな力を伝えることができる。
【0025】
しかも、アーム自身が枢軸回りに開閉可能に構成され、アームの所定位置で油圧シリンダ等が伸縮してアームを枢軸回りに開閉させる形式のものであれば、枢軸を支点とし、油圧シリンダ等の作用するアームの位置を力点とする「てこの原理」を利用した機構となり、このようなアームに取付けられた切断刃部も「てこの原理」を利用しているので、「てこ」の組み合わせ、即ち、「二重のてこ」により構成された機構となる。よって、アームにほんの僅かの力を加えれば、この「二重のてこ」によって切断刃部(の先端部)に大きな剪断力をかけることができることとなる。
【0026】
従って、従来から使用している解体機のアーム部に本発明の刃物(切断刃部)を取付ければ、「てこの原理」によって大きな切断力が得られ、解体機を大型にすることなく強固な部材でも確実に切断することができる。また、解体機を小型にしても、「てこの原理」を用いたこの刃物によって、小型化する前の解体機と同等以上の切断力を発揮することができる。
【0027】
このことは、切断力を大きくするために大型・高圧仕様の油圧装置等を解体機に搭載する必要がないことを意味し、解体機の小型化、軽量化、低コスト化の実現につながることは言うまでもない。そして、このように小型、軽量化の実現によって、マンション等の室内での解体機の作業性(例えば、狭いところでも操縦が容易となるなど)に優れたものとなるのである。
【0028】
また、マンション等に用いられるサッシなどは一般にアルミ製であり、このアルミは周知の通り鋼材に比べて柔らかい材料である。鋼材や板厚の大きなアルミ材であれば解体ペンチャーのごとき二枚で一対の刃部を枢支点回りに回動させて剪断によって部材を切断する、いわゆる従来の「ハサミ」方式で切断することも可能であるが、マンションなどに用いられているアルミサッシは素材自体が柔らかいうえ、板厚が比較的薄いため、従来の解体ペンチャーで「ハサミ」のごとく切断してもなかなかうまく切断できない。特に、解体ペンチャーの刃部に隙間やガタつきがあるあると、刃部同士の摺り合いが不十分となり、切断対象物に対して加える剪断力の伝達が悪くなり、アルミサッシは刃部の隙間に折れ曲がったように形状が変化するだけで、切断するまでに至らないことが殆どであった。
【0029】
しかし、本発明によれば、前記一対の切断刃部は、一方の切断刃部が枠状に形成され、他方の切断刃部が板状に形成されており、前記板状切断刃部が前記枠状切断刃部と摺り合いながら前記枠状内部を通過するように構成されている。
【0030】
この構成により、アルミサッシ等の切断対象物を板状切断刃部と枠状切断刃部との間に挟んだときに枠状切断刃部の枠状側面全体でアルミサッシ等が支持(固定)され、その状態で枠状内部の縁部に板状切断刃部が摺り合うようにしてアルミサッシ等を押し切ることとなるため、従来のような「ハサミ」方式の刃部の隙間やガタつきの空間にアルミサッシ等が折れ曲がって入り込むことがない。即ち、枠状切断刃部の枠状側面で切断対象物を支持することで、アルミサッシ等の柔らかいものでもその折れ曲がり変形を抑えることができるのである。従って、一方の板状切断刃部が枠状内部の縁部に摺り合いながら通過すると、切れ味鋭くアルミサッシが確実に切断でき、加えて、解体現場でアルミサッシ等を異種材料別に切断して分別回収でき、再利用することが可能となる。
【0031】
しかも、枠状切断刃部と板状切断刃部との対で構成することにより、刃と刃の間に隙間が生じても、アルミサッシ等は刃と刃の間に挟まれたときに枠状切断刃部の枠状側面で支持されているため、切断の際にその隙間にアルミサッシ等が折れ曲がり変形し難くなる。よって、長期間使用して刃と刃の間に隙間ができても、切断性能を長期間良好に維持できる。
【0032】
よって、本発明による解体機は自走で階段を上り下りしてビルで稼動可能であり、防塵とエアコンの効いた運転キャビン内から機械操作によって戸・窓の取り外しができると共に、取り外した戸・窓のサッシ枠をハサミで効率よく切断・細片化して鉄系素材品・アルミニウム系素材品・木製素材品等に分別して集積でき、小形の油圧バックホーでも充分な力で切断できる解体機として構成可能となるのである。
【0033】
なお、本発明の切断刃部は、枠状切断刃部と板状切断刃部とが一対となって構成され、板状切断刃部(の側面部)と枠状内部(の縁部)とが摺り合って切断対象物を切断できる構造のものであれば全て含まれる概念のものである。また、本発明における板状とは、枠状内部を通過できる形状全てを含むものであり、狭義の板形状のみならず、棒形状その他の形状の切断刃部であっても本発明の板状に含まれる。
【0034】
さらに、本発明の板状切断刃部の少なくとも先端部は、枠状切断刃部の側へ折り曲げられた略弓状に形成されている。この構成によって、切断対象物(アルミサッシ等)が切断方向へ移動する(逃げていく)のを先端部がストッパーの役目をして、切断刃部の根元部と先端部との間に切断対象物を拘束し、より確実にアルミサッシ等の切断が行える。
【0035】
ここで、本発明における板状切断刃部は、少なくとも先端部が枠状切断刃部の側へ折れ曲がって略弓状に形成されていれば何れの形状であっても全て含まれる。例えば、略「く」字状に折り曲げられているものも本発明の略弓状に該当し、板状切断刃部が全体に亘って円弧を描くように形成されていても本発明の略弓状に該当する。
【0036】
より好ましくは、前記板状切断刃部の先端部が尖頭形状になっている。この場合、先端部の尖頭形状部分が切断対象物をキリのように突き刺して切断できるため、例えば(比較的薄い)板材で刃部の長さより大きな部材でも、この尖頭形状部分が板材を突き刺して穴をあけ、この穴に尖頭形状部分が入り込んで板材が切断方向へ移動する(逃げる)のを拘束しながら切断できる。つまり、本発明によれば、刃部の長さの範囲に納まらないような大きな板材等でも、刃部の根元から先端部の尖頭形状部分が突き刺した位置までの長さの範囲を確実に切断できる利点があるのである。なお、この尖頭形状は、切断対象物を突き刺すことができる程度の形状、強度を有するものであれば何れのものであっても良い。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一つの実施形態を図面と共に説明する。図1は本発明の一実施形態に係る解体機の概略正面図であり、図2は切断刃部が閉じた状態における図1の概略平面図、図3は切断刃部が開いた状態における図1の概略平面図である。また、図4は切断刃部の先端部分を拡大した部分概略斜視図である。なお、図は、自走車両として油圧バックホーを利用した解体機の例を示しており、図において車体部1にはエンジン出力の一部で駆動される旋回ステージ2が搭載されており、またこのステージ2の後方には油圧発生装置5が搭載されている。
【0038】
ステージ2上には、走行時に前向きとなるように運転キャビン3が前部左側に設けられており、また中央部にはブーム6が起伏シリンダ7で伏仰可能に枢支されており、ブーム6は先端に解体作業用ペンチャー4を有している。
【0039】
また、車体部1の前部には、支持ブロック8が枢支軸9によって上下に伏仰可能に取付けられ、この支持ブロック8の伏仰は、車体部1から前方へ突き出して設けられた油圧ピストンシリンダ装置10によって駆動されるようになっている。即ち、この支持ブロック8の伏仰によって後述する一対のアーム12a,12bが上下方向に起伏駆動可能になっているのである。
【0040】
そして、支持ブロック8の前面には互いに近接配置された枢軸支点11a,11bによって水平方向に開閉可能な一対のアーム12a,12bが前方へ突き出すように設けられており、各アームの中ほどには、支持ブロック8との間でアームの開閉駆動をするための油圧ピストンシリンダ装置13a,13bのピストンロッド先端が滑節軸14a,14bにより連結され、この滑節軸の位置が開閉駆動力の作用する力点となっている。
【0041】
また、解体作業の利便性を考慮して、本実施形態では、アーム12a,12bの先端部に、引き剥がされたサッシ類、鉄骨などあらゆる部材を挟持するための左右一対の挟持具23a,23bを備えている。この挟持具23a,23bの形状は、当接面が平面形状のもの、凹面を有するもの、或いは凸面を有するものなど、ビル解体の作業条件を考慮して適宜選定され得る。
【0042】
さらに、解体機の車両本体は、公道走行可能な車長、車幅及び車高内に納めることができ、公道走行の際には、ブーム6は解体ペンチャー4を車体側にして折り畳んで伏仰し、アーム12a,12bは前端を上げて、走行の障害とならないようにする。これにより、トラックやトレーナに積載しなくても、マンション等の建物を解体される作業現場に迅速に出向いて行くことができるようになっている。
【0043】
本実施形態に係る解体機の切断刃部16は、板状切断刃部16aと枠状切断刃部16bとで一対をなしており、板状切断刃部16aの基端側が一方のアーム12bに対して回動軸17b回りに回動可能に取付けられており、枠状切断刃部16bの基端側が他方のアーム12aで板状切断刃部16aと対向する位置に回動軸17a回りに回動可能に取付けられている。この実施形態に係る切断刃部16の取付け姿勢は水平である。さらに、これら板状切断刃部16aと枠状切断刃部16bとは枢支点P回りに相互回動可能(互いに逆向きに回動可能)に取付けられる。この構成により、一対のアーム12a,12bが水平方向(図2,3の左右方向)に開閉する動作に伴って、取付け位置X,Yを力点とし、枢支点Pを支点として板状切断刃部16aと枠状切断刃部16bの先端部同士が摺り合うようにして枠状切断刃部16bの枠状内部18を板状切断刃部16aの側面部19が通過する(図4参照)。この際、板状切断刃部16aと枠状切断刃部16bとの間に挟まれた切断対象物に剪断力が加わり、切断対象物は切断される。
【0044】
このように、本実施形態に係る解体機の切断刃部16a,16bは、取付け位置X,Yを力点として枢支点P回りに切断刃部16a,16bを「てこの原理」によって回動させながら切断対象物を剪断力によって押し切る構成であるため、アーム12a,12bの閉動作する力が僅かであっても、切断刃部16a,16bの先端部に作用する剪断力は大きなものとなる。さらに、枢支点Pから取付け位置X,Yまでの距離が大きくなればなるほど加える剪断力が大きくなる。従って、アームの開閉力(特にアームを閉じる力)が僅かであっても、大きな力でアルミサッシなどの切断対象物を確実に切断できるのである。
【0045】
さらに、本実施形態では、アーム12aは枢軸支点11aを支点とし、滑節軸14aの位置が開閉駆動力の作用する力点となった「てこの原理」を利用した機構となっている(アーム12bも同様)ので、油圧ピストンシリンダ装置13aからアーム12aを閉じる方向に油圧を加えれば、アーム12aの「てこ」と、切断刃部16の「てこ」の「二重のてこ」の原理によって、切断刃部16に大きな剪断力をかけることができる。
【0046】
これにより、本実施形態によれば、大きな剪断力を得るためにアーム12a,bを開閉する駆動装置の油圧力などを大きくする必要がないため、解体機の小型化、低コスト化にも寄与することは言うまでもない。なお、取付け位置X,Yから枢支点Pまでの距離は必要とする切断力(剪断力)に応じて適宜決定すればよい。
【0047】
さらに、本実施形態に係る解体機の板状切断刃部16aの先端部20は、枠状切断刃部16bの側に向かって円弧を描いて折れ曲がった略弓形形状をなしており、先端に行くほど尖った略円錐状の尖頭形状になっている。この形状により、板状切断刃部16aと枠状切断刃部16bとの間に挟まった切断対象物を先端部20が鋭く突き刺して確実に切断ができる。特に、アルミ板材のような薄い切断対象物の場合には、この先端部20の突き刺しによって切断対象物に穴をあけることにより、切断対象物が移動することなく切断が確実なものとなる。
【0048】
本実施形態の板状切断刃部16aは、図4に示すように片面に取替え可能な刃22が取付けられて構成されているが、板状切断刃部16aの両面に刃を取付けた構成としても良い。また、母材と一体形成された切断刃部とすることも可能である。
【0049】
次に、上述のように構成された本実施形態に係る解体機を用いて切断対象物を切断する方法について説明する。まず、運転キャビン3内から作業者が遠隔操作によって解体ペンチャー4でアルミサッシなど(切断対象物)を掴んで建物から引き剥がす。そしてアルミサッシを掴んだままアーム12a,12bを水平方向に開いて、アームに取付けられた切断刃部16a,16bの位置まで降ろす。その状態でアーム12a,12bを閉じればアルミサッシが切断刃部16a,16bの剪断力によって切断される。再びアーム12a,12bを開いて作業者が運転キャビン3内から遠隔操作で解体ペンチャー4の向きを変更するように操作した後に切断刃部16a,16bの位置にアルミサッシを調整し、アーム12a,12bを閉じれば、切断されていないアルミサッシの部分の切断が連続して行える。また、アルミサッシの長さが長いときには、アーム12a,12bを上下方向に起伏させて切断すれば、好適な任意の長さにアルミサッシを切断でき、分別回収も容易となる。
【0050】
ここで、アルミサッシ等は板状切断刃部16aと枠状切断刃部16bとの間に挟まれて切断されるが、この切断の際に、アルミサッシ等の切断対象物は枠状切断刃部16bの枠状側面21で支持(固定)されているので、たとえ板状切断刃部16aと枠状切断刃部16bとの間に隙間などが生じていても、板状切断刃部16aが枠状切断刃部16bの枠状内部18を通過するときにアルミサッシ等がその隙間に折れ曲がって変形することがなく、確実にアルミサッシ等を切断できる。
【0051】
つまり、枠状切断刃部16bが板状切断刃部16aと同様の形状で構成されたいわゆる従来の「ハサミ」方式で構成されているものであれば、アルミサッシ等を切断する際にアルミサッシ等が刃と刃の隙間に容易に折れ曲がって入り込むことがたびたび生じていたが、本実施形態のようなアルミサッシ等を枠状切断刃部16bの枠状側面21で支持しながら枠状内部18に板状切断刃部16aが通過するように切断する方式とすることで、アルミサッシ等が刃と刃の間に折れ曲がって入り込むことが防止され、確実に切断を行えるようになるのである。このことは、本実施形態に係る解体機を用いて実際にアルミサッシの切断試験を行った際にも確認できた。
【0052】
また、従来切断がうまくできなかったためにアルミサッシをそのまま減容してスクラップにしていたものが、本実施形態に係る解体機によってアルミサッシ等の柔らかく、薄い切断対象物であっても細かく切り刻むことができるため、アルミサッシを構成するアルミ材料の部分とその他の材料部分とを分別して回収できる。従って、再利用率も大幅に向上し、環境問題にも対応可能な解体機となる。
【0053】
また、図5は切断刃部の取付け姿勢の変形例を示した図である。この図に示すように、切断刃部116は、油圧シリンダ装置とラッチ(不図示)によってアーム12a,12bに対して任意の傾斜角度に可変調節可能に取付けられている。この構成によっても、切断対象物を解体ペンチャー4で引き剥がしてそのまま切断刃部116の位置まで降ろせば、あとはアーム12a,12bの開閉によって切断が可能である。また、本変形例においても、切断刃部116とアーム12a,12bの「てこの原理」の組み合わせ(二重のてこ)によって僅かな力でアーム12a,12bを閉じさえすれば、切断刃部116に大きな剪断力が与えられる。
【0054】
ここで、この変形例の場合、切断刃部116の板状切断刃部116aと枠状切断刃部116bとの回動は水平面に対して或る傾斜角で形成された面上で行われるが、アーム12a,12bの枢軸支点回りに開閉する面は略水平面である。このように切断刃部116の動作面とアーム12a,12bの動作面とが平行でないため、アーム12a,12bの開閉による力で無理なねじれ力が切断刃部116に加えられることのないように、切断刃部116とアーム12a,12bとの接続に自在継手などを用いるのが好ましい。
【0055】
尚、本発明の解体機は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0056】
【発明の効果】
本発明は以上説明したとおり、切断刃部をアームに取付けたことにより、切断の際にアームにいちいち切断対象物を固定して解体ペンチャー等で切断する作業工程が省略できるから、切断対象物を効率良く切断することのできるという優れた効果を奏し得る。さらに、枠状切断刃部の枠状内部を板状切断刃部が通過する構成の切断刃部としたことにより、アルミサッシ等の比較的柔らかくて板厚の小さい(薄い)切断対象物をも確実に切断できるという優れた効果を奏し得る。加えて、切断刃部をアームの開閉動作に伴って枢支点回りに回動させる構成とすることによって、大きな切断力(剪断力)を得ることができ、しかも安価で小型な解体機の実現が可能となるという優れた効果を奏し得るのである。
【0057】
さらに、本発明によれば、取り外した戸・窓のサッシ枠をハサミで効率よく切断・細片化して鉄系素材品・アルミニウム系素材品・木製素材品等に分別して集積でき、従来作業者が手作業で分別回収していた作業工程が不要となり、作業効率の大幅な改善、コストダウンに寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る解体機の概略正面図である。
【図2】切断刃部が閉じた状態における図1の概略平面図である。
【図3】切断刃部が開いた状態における図1の概略平面図である。
【図4】切断刃部の先端部分を拡大した部分概略斜視図である。
【図5】切断刃部の取付け姿勢の変形例を示した図である。
【符号の説明】
1:車体部
2:旋回ステージ
4:解体ペンチャー
6:ブーム
8:支持ブロック
12a,b:アーム
16:切断刃部
16a:板状切断刃部
16b:枠状切断刃部
17a,b:回動軸
18:枠状内部
19:側面部
20:先端部
21:枠状側面
22:刃
X,Y:取付け位置
P:枢支点
Claims (5)
- 自走作業車両の車体部に旋回及び伏仰可能に設けられたブームと、このブームの先端部に設けられた解体ペンチャーと、前記車体部の前部又は後部に装備され、水平方向に開閉駆動可能な左右一対のアームとを備えた解体機であって、切断対象物を切断するための一対の切断刃部が前記各アームに対向して取付けられており、
前記一対の切断刃部は枢支点回りに回動可能に取付けられており、前記アームの開閉動作に伴って、前記アームの前記切断刃部が取付けられた位置を力点として、前記枢支点回りに互いの刃部が摺り合いながら相互回動するように構成したことを特徴とする解体機。 - 前記一対のアームを上下方向へ起伏駆動可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載の解体機。
- 前記一対の切断刃部は、一方の切断刃部が枠状に形成され、他方の切断刃部が板状に形成されており、前記板状切断刃部が前記枠状切断刃部と摺り合いながら前記枠状内部を通過するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の解体機。
- 前記板状切断刃部の少なくとも先端部は、前記枠状切断刃部の側へ折り曲げられた略弓状に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の解体機。
- 前記板状切断刃部の先端部が尖頭形状になっていることを特徴とする請求項4に記載の解体機。
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