JP3956506B2 - ポリアミド系繊維構造物の染色方法およびその染色物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鮮明性と湿潤堅牢性に優れた吸湿性ポリアミド系繊維構造物の染色方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリアミド系繊維構造物を染色する際には、主として酸性染料が用いられてきた。通常のポリアミド系繊維構造物の場合は、この酸性染料を用いて、さらにフィックス処理をすることで十分な湿潤堅牢度を得ることができるため、酸性染料を使用した染色が一般的である。また高い湿潤堅牢度が必要な濃色染めの場合は金属錯塩酸性染料を使用することにより十分対応できていた。
【0003】
ところでポリアミド系繊維構造物は高強度、細繊度、耐磨耗性、ソフトさ、光沢特性等優れた機能を有するためインナーウェアー、スポーツウェアー等に幅広く用いられているが、天然繊維に比べて吸湿性に劣っている。そこでさらに吸湿成分を付与した吸湿性ポリアミド系繊維構造物が提案されている。しかしこれらの吸湿性ポリアミド系繊維構造物ではその吸湿成分が原因で、非晶部構造の変化あるいは水による繊維の膨潤などにより、吸湿成分を含有していないポリアミド系繊維構造物に比べ湿潤堅牢性が低下する問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように、吸湿性ポリアミド系繊維構造物の染色においては、十分な湿潤堅牢度を満足するために、特定の湿潤堅牢性の優れた酸性染料とフィックス剤を選択し、さらに従来より高濃度のフィックス剤を使用することが必要になる。従って十分な湿潤堅牢性が得られない色相が生じて色を限定した展開が必要になったり、高濃度のフィックス剤による風合いの硬化が生じるなどの問題があった。さらに湿潤堅牢度の高い金属錯塩酸性染料を使用すると色相が暗味になり、鮮明な色が表現できなくなる。従って幅広い色相を湿潤堅牢に染色することが困難であった。
【0005】
本発明は、かかる技術的背景に鑑み、かかる吸湿性を有するポリアミド系繊維を主体とする繊維構造物を、鮮明且つ十分に湿潤堅牢に染色する方法を提供せんとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる課題を解決するために、つぎのような手段を採用する。すなわち、本発明のポリアミド系繊維構造物の染色方法は、下式で算出される吸湿率差が2.5〜10%であるポリアミド系繊維を主体とする繊維構造物を、モノハロゲン化トリアジン基、ブロモアクリルアミド基、カルボキシピリジニオトリアジン基およびフルオロクロロピリミジン基から選ばれた少なくとも1つの反応基を含む反応染料を用いて、pH3〜8に調整された染液で染色し、次いでソーピング処理を施すことを特徴とするものである。
【0007】
【0008】
【発明の実施の形態】
ポリアミドに染着性がある染料として従来一般的に使用される酸性染料や金属錯塩酸性染料の他に、分散染料、酸性媒染染料、反応染料等が知られており、本発明に使用する反応染料がポリアミド系繊維構造物に対して染着性があること自体は公知である。しかし通常(いわゆるレギュラー)のポリアミド系繊維構造物では酸性染料と比較して湿潤堅牢性にほとんど差が見られず、反応染料による染色の優位性が見られないためほとんど使用されていないのが実状である。
【0009】
本発明者らは、かかるポリアミド系繊維構造物において、一定の吸湿性をもつポリアミド系繊維構造物に対しては、反応染料による染色が従来から使用されている酸性染料による染色に比べ、湿潤堅牢性に格段に優れていることを見出し本発明に至った。また吸湿ポリアミド系繊維構造物を特にインナー用途に使用する場合、高濃度フィックス処理による風合い硬化が問題になるが、本発明の反応染料による染色においてはフィックス処理を必要としないため、風合いの硬化を防ぐ点で好ましい。
【0010】
本発明に用いられるポリアミド系繊維を主体とする繊維構造物とは、ポリアミド系繊維を主体とする繊維構造物であれば特に限定されず、他にポリエステル、ポリウレタン等の合成繊維、綿、絹、羊毛等の天然繊維、レーヨン、テンセル等の半合成繊維を複合、混繊または交織などの形態で含んでいてもよい。繊維構造物の組織は特に限定されず、糸、織物、編物、不織布または人工皮革等種々の構造があげられ、さらにこれらにポリエステル、アクリル、ポリウレタン等の合成高分子がコーティングまたは含浸などにより付与されていても差し支えない。
【0011】
本発明におけるポリアミド系繊維は、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド系繊維であって、下式で示される吸湿率差が2.5〜10%である吸湿性を有する繊維である。
【0012】
上式により求められた吸湿率差が2.5%未満である場合も本発明の染色方法を使用しうるが、従来の酸性染料による染色物と比較して堅牢性は優位性がほとんど現れない。
【0013】
本発明の染色方法では、吸湿率差2.5%以上のポリアミド系繊維に対し従来の酸性染料染色物に比べ湿潤堅牢性が向上する。従って特に吸湿率差の上限はないが、吸湿率差が10%を越える場合、従来の酸性染料により染色方法より堅牢性は向上するが、本発明の方法をもってしても高い湿潤堅牢性を得ることが困難になる。本発明の染色方法は、吸湿率差が2.5%以上、好ましくは2.5%〜10%、さらに好ましくは3〜8%、特に好ましくは4〜7%の範囲のポリアミド系繊維構造物に対して特に有用な染色方法である。
【0014】
ここでいう吸湿率は、繊維構造物の絶乾重量と、温度20℃、湿度65%あるいは温度30℃、湿度90%の雰囲気下、恒温恒湿器中に24時間放置した後の繊維構造物の重量変化を測定し下式により求められるものである。
【0015】
吸湿率(%)=100×[(一定温度、湿度下に放置後の繊維構造物の重量)−(繊維構造物の絶乾重量)]/(繊維構造物の絶乾重量)
かかる吸湿性を有するポリアミド系繊維の製造方法としては、特に限定されず、従来公知の方法、例えば親水性セグメントを共重合させる方法、親水性モノマーのグラフト共重合、親水性化合物のブレンド、親水性物質による表面の被覆等の方法により得ることができる。中でも本発明の吸湿性ポリアミドとしては特に親水性セグメントの共重合あるいは親水性化合物のブレンドにより得られる繊維に対して従来染色法と比較して効果が高いといった点で好ましい。
【0016】
かかる親水性セグメントとはスルホン酸塩、ポリアミン、ポリエーテル、ピペラジン、ペオ酸等の吸湿性の基やポリマーを差し、また親水性化合物とは、例えばポリアクリル酸、ポリアミン、ポリアルキレンエーテル、ポリアクリルアミド、特開平5−214670号公報等で示される特定の酸無水物、特公昭60−41092号公報等で示される水膨潤性の固体状低級オレフィン−無水マレイン酸共重合体架橋物、ポリエチレングリコール類やN−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−2ピペリドンなどのN−ビニルラクタム類を重合して得られるポリマーおよびこれらのN−ビニルラクタム類に通常のビニルモノマー、例えばスチレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルなどを共重合して得られるポリマーがあげられるが、中でも本発明ではポリビニルピロリドンをブレンドした吸湿性ポリアミド系繊維が好ましく用いられ、さらに、所望の吸湿性を得るために、かかるポリビニルピロリドンをポリアミドに対して、好ましくは3〜15重量%、さらに好ましくは4〜8重量%含有させるのがよい。含有量が3重量%未満でも本発明の染色方法を採用しうるが、従来の酸性染料による染色物と湿潤堅牢性に差があまりなく、また、15重量%を越えると得られた染色物の湿潤堅牢性が低下する。かかる吸湿性ポリアミド系繊維の製造方法としては例えば特開平9−188917号公報等で開示されている方法を使用することができる。
【0017】
本発明で使用する反応染料とは一般にヒドロキシル基やアミノ基に対し共有結合性を有する反応基を持つ染料をいう。例えば一般に、式[I]に示すモノクロロトリアジン基(X=Cl、Y=置換基)、モノフルオロトリアジン基(X=F、Y=置換基)、カルボキシピリジニオトリアジン基(X=式[II]、Y=置換基)、ジクロロトリアジン基(X=Y=Cl)など、式[III]に示すビニルスルホン基、スルファトエチルスルホン基など、式[IV]に示すフルオロクロロピリミジン基、トリクロロピリミジン基など、式[V]に示すブロモアクリルアミド基等の公知の反応基を少なくとも1つ以上有する染料である。
【0018】
また、式[I]のモノクロロトリアジン基を分子内に2つ以上有している染料や、式[I]のモノクロロトリアジン基又はモノフルオロトリアジン基と式[III]のスルファトエチルスルホン基を同一分子内含む異種反応基型染料もある。例えば式[I]においてYが式[III]を含むものがある。
【0019】
【化1】
【化2】
【化3】
(式[III]中においてZは−CH=CH2又は −CH2CH2Z1を表しZ1は−OSO3H、−OCOCH3、−OPO3H2、−Cl、などの脱離基を示す)
【化4】
(式[IV]中においてX1〜X3はClまたはF)
【化5】
こういった反応基を持つ染料としてはたとえばSumifix、Sumifix Supra、Remazol、Celmazol、Levafix、Procion、Cibacron、Basilen、Drimarene、Drimalan、Lanasol、Kayacion、Mikacion、Kayaceron React、Verofix、Realan等の冠称名で市販されている。これらの反応染料のうち、式[III]に示すスルファトエチルスルホン基等は保護基により反応基が保護されており、これらの反応基のみを有する染料で十分な固着量を得るには保護基を外して反応基を活性化させる必要がある。これらの保護基を完全に脱離させるためにはアルカリが必要である場合が多く、アルカリによる脱保護を必要とする染料を使用する場合染色前のアルカリ前処理が必要になる。この観点から本発明においては中性から弱酸性条件においても脱保護する染料を選定することが必要となり、従って簡便性から、これらの反応基のみを有する反応染料以外を用いる。具体的には、本発明で用いられる反応染料は、モノクロロトリアジン基やモノフルオロトリアジン基などのモノハロゲン化トリアジン基、ブロモアクリルアミド基、カルボキシピリジニオトリアジン基、フルオロクロロピリミジン基のうち少なくとも1つ以上を有する反応染料である。これらにより、本発明の方法で染色したとき堅牢度を向上させることができる。これらの反応基を1つ以上有していれば、その他の反応基は、例えばビニルスルホン基やスルファトエチルスルホン基との異種官能基型であってもよい。これらの染料は、市販されているものを適宜使用することができ、例えばSumifixSupra染料(住友化学(株)製)、Cibacron染料(チバスペシャリティケミカルズ(株)製)、Lanasol染料(チバスペシャリティケミカルズ(株)製)、Procion染料(三井BASF染料(株)製)、Kayacion染料(日本化薬(株)製)、Kayaceron React染料(日本化薬(株)製)、Basilen染料(三井BASF(株)製)、Drimalan F染料(クラリアント(株)製)、Drimarene染料(クラリアント(株)製)、Realan染料(ダイスター(株)製)などを使用することができる
本発明において染液は、前記構成物質の他、必要に応じて塩類、界面活性剤、均染剤、堅牢度向上剤、還元防止剤等を添加することができる。
【0020】
本発明では浸染、捺染、パディング染色等種々の染色方法に適用することができ、浸染の場合は60℃以上好ましくは90℃〜130℃で処理し、捺染およびパディング染色では先ず色糊として本発明の反応染料と糊剤等をpH3以上8未満に調製し、さらに適宜pH調整剤として硫酸アンモニウムや酒石酸アンモニウムを添加して付与した後に80℃〜130℃で10〜30分程度飽和又は加熱蒸気による湿熱処理、乾熱処理又はマイクロ波照射する。また浸染で染色する場合、アルカリ性でビニルスルホン基を形成する反応基を少なくとも1つ以上有する染料を使用する際には、ポリアミド繊維構造物を染液に投入する前に予め該染料と助剤、水を混合後pH8〜13に調整し70〜100℃で約5〜20分加熱してビニルスルホン基を形成させた後、染液をpH3〜8に戻してポリアミド系繊維構造物を投入し染色する方法でもよい。
【0021】
本発明の染色方法における染液のpHは、3〜8、好ましくは3〜7、より好ましくは4〜6に調整するのが染料利用率の向上および/又は吸尽率の向上の点で好ましい。pH3未満であると吸尽率は向上するが、染色物の堅牢度が低下するため好ましくない。またpH8を超えると染料の吸尽率および/又は利用率が低下し濃色が表現できなかったり、染料の利用率が小さく排水負荷や経済性の点で好ましくない。
【0022】
かかるpH調整には、酸または緩衝液を適宜調製し、使用する酸や塩等は特に限定されず公知のものを使用することができる。例えば酸発生剤としては酢酸、蟻酸、塩酸等が挙げられ、硫酸アンモニウム等のpHスライド剤も適用することができる。緩衝液としては酢酸と酢酸ナトリウムにより調製されたもの等を使用することができる。また染料と水以外になにも添加しなくても前記pHが達成されていればよい。
【0023】
本発明では、均染性および/または再現性を得るために、均染剤を染液に添加することが好ましく採用される。かかる均染剤とは、従来公知の繊維親和性均染剤および/または染料親和性の均染剤を使用することができる。例えばアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等の界面活性剤や芒硝等の無機塩など種々の物を使用することができる。通常のポリアミド染色に使用される均染剤としては、アニオン性界面活性剤が一般的であるが、本発明の染色法においては、染料に親和性を持つ界面活性剤が好ましく、特に分子構造中に3級および/または4級化された窒素原子を含む界面活性剤が好ましく、さらに好ましくはさらにアニオン性基を含む両性界面活性剤が好ましく用いられる。これらを使用した場合の方が染色物の堅牢度、均染性が向上するため好ましい。またさらに両性界面活性剤の他にアニオン性界面活性剤やノニオン界面活性剤、カチオン性界面活性剤、無機塩類などを併用して用いることもできる。好ましくは分子構造中に3級および/または4級化された窒素原子を含む両性界面活性剤および/またはカチオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤を併用して用いることで均染性は向上する。
【0024】
本発明では、アニオン性界面活性剤および/または無機塩類と両性界面活性剤との併用がより均染性が向上するため好ましい形態である。また驚くべきことに両性界面活性剤の添加により若干であるが耐光堅牢性が向上することを見いだされたため特に好ましいといえる。両性界面活性剤としてはカルボン酸塩型のアミノ酸型やベタイン型、スルホン酸塩型等を使用することができるが、本発明においてはスルホン酸塩型および/またはアミノ酸型、特にアミノ酸型および/またはその類似型、つまりアルキルアミンのカルボン酸および/またはその半エステル化合物等の界面活性剤がより好ましく用いられる。例えばアルコキシ脂肪酸アミンのマレイン酸又はフタル酸の半エステル化合物を使用することができるが、その4級アンモニウム化合物等でもよい。かかる界面活性剤の添加量は使用する染料の種類、分子量、添加量(濃度)により異なるが、好ましくは0.5%〜8%owf、さらに好ましくは1〜5%owf添加する。
【0025】
本発明においては、反応染料で染色した後、酸性染料で染色した場合と同様にタンニン酸などを使用してフィックス処理を施すことも可能であるが、より柔軟な風合いを保つためには、未固着染料を除くソーピング処理を施す。かかるソーピング処理とは、染色後に未固着染料あるいは弱い結合力で染着している脱落しやすい染料を取り除く処理のことをいい、一部の未固着染料や弱い結合力で染着している染料を繊維内に封じ込めるフィックス処理とは異なるものである。ソーピング処理は、好ましくはpH6〜13、さらに好ましくは8〜12で行うことが、より未固着染料を除去することができ堅牢度が向上する。pH6未満であると湿潤堅牢度の低下につながり、またpH13を越えると変色が発生するため好ましくない。上記範囲のpHに調整された液に界面活性剤等を適宜添加することが洗浄効果を向上させる。界面活性剤としては特に限定されず、例えばアニオン性界面活性剤、ノニオン性解面活性剤、またはその配合品などを用いることが出来る。
【0026】
本発明により得られる染色布帛は、染料が繊維に強固に染着反応しているため、例えばピリジン20%水溶液等で100℃において連続的に6時間程度処理しても、繊維構造物の色が残るものである。従来の酸性染料で染色された物にこういった処理をした場合、大部分の染料が脱落してわずかに色が確認される程度かあるいは染色前の状態になる。
【0027】
また本発明の方法によって染色された染色物は、色相が鮮明で風合いの硬化なく、湿潤堅牢な吸湿性ポリアミド系繊維構造物であり、インナー用途や靴下類など吸湿性と湿潤堅牢性の要求される分野に特に好ましく用いることができる。
【0028】
【実施例】
実施例中の洗濯堅牢度は、JIS L−0844 A−2法により行い9ファイバーにて汚染を判定した。なお、実施例中の%owfは繊維重量に対する重量%を示す。
【0029】
(使用布帛)
布帛a:ナイロン6中にポリビニルピロリドンを7重量%含有し、吸湿率差が4.5%である吸湿性ポリアミド繊維100%編物(主として実 施例)。
布帛b:ポリビニルピロリドンを含有していない吸湿率差が2.0%であるナイロン6のポリアミド繊維100%編物(比較例)。
【0030】
(鮮明性)
鮮明、暗味を目視判断
(均染性)
次の4段階で評価した。
◎:非常によい、○:よい、△:ややムラ感あり、×:ムラ多数
【0031】
実施例1、比較例1
下記条件で布帛a、bを染色、後処理を行い染色布1(布帛a:実施例)、2(布帛b:比較例)を得た。この洗濯堅牢度および鮮明性、均染性を評価し結果を表1に示した。
【0032】
(染色条件)
染料:モノクロロトリアジン型反応染料 Cibacron Blue TR−E(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製) 1%owf
アニオン性界面活性剤:ニューボンTS400(センカ(株)製)2%owf
酢酸/酢酸ナトリウム緩衝液:pH4.5
浴比: 1:20
染色温度: 98℃
固着時間: 60分
(後処理条件)
洗浄剤:グランアップINA−5(三洋化成(株)製) 5g/L
炭酸ナトリウム: 2g/L
浴比: 1:80
処理温度: 80℃
処理時間: 20分
【0033】
実施例2、比較例2
染料を変えて実施例1、比較例1同様に布帛a、bを染色、後処理を行い染色布3(布帛a:実施例)、4(布帛b:比較例)を得た。この洗濯堅牢度および鮮明性、均染性を評価し結果を表1に示した。
【0034】
染料:ビニルスルホン+モノフルオロトリアジン2官能型反応染料 Cibacron Blue FN−R(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製) 1%owf
【0035】
実施例3、比較例3
染料を変えて実施例1、比較例1同様に布帛a、bを染色、後処理を行い染色布5(布帛a:実施例)、6(布帛b:比較例)を得た。この洗濯堅牢度および鮮明性、均染性(◎、○、△、×の4段階)を評価し結果を表1に示した。
【0036】
染料:ブロモアクリルアミド型反応染料 Lanasol Blue 3G(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製) 1%owf
【0037】
実施例4、比較例4
実施例3、比較例3に両性界面活性剤を併用して布帛a、bを染色し、実施例1同様に後処理を行い染色布7(布帛a:実施例)、8(布帛b:比較例)を得た。この洗濯堅牢度および鮮明性、均染性を評価し結果を表1に示した。
【0038】
両性界面活性剤:アルベガールB(チバスペシャリティケミカルズ(株)製)2%owf
アニオン性界面活性剤:ニューボンTS400(日華化学(株)製)1%owf
【0039】
参考例1、比較例5
実施例4、比較例4の後処理を下記条件に変えて、布帛a、bを染色、後処理を行い染色布9(布帛a:参考例)、10(布帛b:比較例)を得た。この洗濯堅牢度および鮮明性、均染性を評価し結果を表1に示した。この布帛は若干風合いが堅いものに仕上がった。
【0040】
(後処理)
ナイロンフィックス501(センカ(株)製): 5%owf
浴比: 1:40
処理温度: 80℃
処理時間: 20分
【0041】
比較例6染料を反応染料から酸性染料に変えて、参考例1、比較例5同様に布帛a、bを染色、後処理を行い染色布11(布帛a:比較例)、12(布帛b:比較例)を得た。この洗濯堅牢度および鮮明性、均染性を評価し結果を表1に示した。この布帛は若干風合いが堅い物に仕上がった。
【0042】
酸性染料:Nylosan Blue N-GFL(クラリアントジャパン(株)製)1%owf
【0043】
比較例7染料を反応染料から酸性染料に変えて、参考例1、比較例5同様に布帛a、bを染色、後処理を行い染色布13(布帛a:比較例)、14(布帛b:比較例)を得た。この洗濯堅牢度および鮮明性、均染性を評価し結果を表1に示した。この布帛は若干風合いが堅い物に仕上がった。
【0044】
酸性染料:Lanasyn Navy S−EL(クラリアントジャパン(株)製)1%owf
【0045】
【表1】
表1の結果から、通常のポリアミド系繊維構造物(布帛b)では、酸性染料染色物(染色布10,12,14)と反応染料染色物(染色布2,4,6,8)で洗濯堅牢性の差がほとんど見られなかったのに対し、染色布1,3,5,7,9の吸湿性を有するポリアミド系繊維構造物においては、反応染料が、従来使用される酸性染料に比べ(染色布11)、格段に洗濯堅牢度が向上することが判る。
【0046】
また、金属錯塩染料を用いた染色布13については堅牢度がやや良好であったが、染料の性質上、鮮明性に劣っていることが判る。
【0047】
さらに両性界面活性剤の添加により均染性が向上することが判る(実施例4)。
【0048】
また、後処理としてフィックス処理を行うと若干風合いが堅くなり(参考例1)、逆にソーピング処理の方がより素材を生かしたソフトな風合いであることが判る(実施例1〜3)。
【0049】
従って、本発明は、洗濯堅牢性を良好に保ち、かつ鮮明性や風合いも損なわないため、特にインナー用途等には本発明の方法が優れているといえる。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、鮮明性および湿潤堅牢性を同時に満たすポリアミド系繊維構造物を安定して、再現性よく提供することができる。
Claims (6)
- 下式で算出される吸湿率差が2.5〜10%であるポリアミド系繊維を主体とする繊維構造物を、モノハロゲン化トリアジン基、ブロモアクリルアミド基、カルボキシピリジニオトリアジン基およびフルオロクロロピリミジン基から選ばれた少なくとも1つの反応基を含む反応染料を用いてpH3〜8に調整された染液で染色し、次いでソーピング処理を施すことを特徴とするポリアミド系繊維構造物の染色方法。
吸湿率差(%)=(温度30℃、湿度90%における吸湿率(%))−(温度20℃、湿度65%における吸湿率(%)) - 該ポリアミド系繊維が、ポリビニルピロリドンをポリアミドに対し3〜15重量%含むものである請求項1記載のポリアミド系繊維構造物の染色方法。
- 該染液が均染剤を含み、該均染剤が分子構造中に3級および/または4級化された窒素原子を含む界面活性剤であることを特徴とする請求項1または2記載のポリアミド系繊維構造物の染色方法。
- 該均染剤が両性界面活性剤である請求項3記載のポリアミド系繊維構造物の染色方法。
- ポリアミド系繊維構造物がインナー類または靴下類である請求項1〜4のいずれかに記載のポリアミド系繊維構造物の染色方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の染色方法により得られる染色物。
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