JP3956477B2 - 産業車両におけるフードの開閉機構及び産業車両 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フォークリフトなどの産業車両において、座席を上面に有するフードが、その下方に収容されたエンジンやバッテリ等を点検等できるように開閉可能に設けられている産業車両におけるフードの開閉機構及び産業車両に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、フォークリフトなどの産業車両では、エンジン車のエンジンや、バッテリ車のバッテリが、運転者用の座席の下方に収容されている。このため、エンジンの点検やバッテリの交換などが行なえるように、その上側を開閉可能なフードで覆い、フードの上面に座席が取付けられた構造となっている。
【0003】
この種のフードの開閉機構としては、図7に示すように、車体フレーム51に回動可能に連結したヒンジ53の先端部をフード52に固定し、フード52を開閉可能にしたものが一般的である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、フード52を開けるときにその先端部が図7に鎖線で示す円弧(半径Rmax)を描くため、このときフード52の先端部が、運転者が運転し易いように角度調整されたハンドル(ステアリングホイール)54に干渉する。そのため、フード52を開けるときにそのような干渉を避けるため、その都度、ハンドル54を跳ね上げなければならないという問題があった。
【0005】
また、フード52を全開したときの開き角は、座席(シート)55がカウンタウエイト56と当接したり、フード52が後側のピラー57に当接するなどの理由である角度に制限される。バッテリフォークリフトの場合は、バッテリ交換のためにバッテリをワイヤで吊るして引き上げるときに、バッテリを横方向に移動できる高さまで、フード52と干渉せずに引き上げられることが前提となる。しかし、フード52の全開時の開き角が十分でなければ、フードが邪魔になってバッテリを必要な高さまで引き上げられず、バッテリ交換ができなくなる。このため、従来は、バッテリ式フォークリフトについては、フードの深さ(高さ)をエンジン式フォークリフトのものより浅くして、その全開時にバッテリを必要な高さまで引き上げられるようにしていた。従って、エンジン式フォークリフトとフード高さが異なるため、フード部品の共通化を図ることができなかった。なお、エンジン式フォークリフトでは、その構造上、フードを浅くすることができない。
【0006】
本発明は前記課題を解決するためになされたものであって、その第1の目的はフードを開閉するときの回動半径を小さくすることができ、しかもフードを全開したときに広い開きスペースを確保できる産業車両におけるフードの開閉機構及び産業車両を提供することにある。第2の目的は、第1の目的を達するうえにおいて、フードの係止を外すだけでフードを自動で全開まで開くようにすることにある。第3の目的は、バッテリ式産業車両に適したフードの開閉機構を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記第1及び第2の目的を達成するために請求項1に記載の発明では、産業車両の座席が上面に設けられるフードの開閉機構であって、前記フードを閉じた閉鎖姿勢から開くときに先ずその前端部を後方へスライドさせつつ後部を持ち上げた傾斜姿勢に傾動させる傾動機構と、前記フードを前記傾斜姿勢を保持したまま後端側の回動中心回りに全開姿勢まで回動させる回動機構と、前記フードを前記閉鎖姿勢で係止する係止手段とを備え、前記傾動機構には、前記フードを前記閉鎖姿勢から前記傾斜姿勢へ傾動する方向に付勢する第1の付勢手段が備えられ、前記回動機構には、前記フードを前記傾斜姿勢から前記全開姿勢へ回動する方向に付勢する第2の付勢手段が備えられている。
【0009】
前記第1の目的を達成するために請求項2に記載の発明では、産業車両の座席が上面に設けられるフードの開閉機構であって、前記フードを閉じた閉鎖姿勢から開くときに先ずその前端部を後方へスライドさせつつ後部を持ち上げた傾斜姿勢に傾動させる傾動機構と、前記フードを前記傾斜姿勢を保持したまま後端側の回動中心回りに全開姿勢まで回動させる回動機構とを備え、前記回動機構を構成し、前記フードを回動可能に支持するヒンジは、車体との連結点が該フードの回動中心になり、該フードとの連結点が該フードの傾動中心になっている。
【0010】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の発明において、前記ヒンジと前記フードとの連結点は、該フードの前後方向における中心より前側に位置することをその要旨とする。
【0011】
請求項4に記載の発明では、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記傾動機構は、前記フードの前端部を前後方向に案内するとともに、少なくとも前記フードが前記傾斜姿勢となったときにその案内を解除する案内機構を備えている。
【0012】
第3の目的を達成するために請求項5に記載の発明では、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の発明において、前記フードの下方にはバッテリ収容部が設けられ、前記フードの傾斜姿勢時の後部の持ち上がり量が、前記全開姿勢にあるときの当該フードと干渉することなく、前記バッテリ収容部のバッテリを横方向へ移動可能な高さまで持ち上げ可能な値に設定されている。
【0013】
請求項6に記載の発明では、産業車両には、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の前記フードの開閉機構が備えられている。
(作用)
従って、各請求項に記載の発明によれば、フードが閉じた閉鎖姿勢から開くときは、傾動機構の作用により、フードは先ずその前端部を後方へスライドさせつつ後部を持ち上げた傾斜姿勢に傾動する。この結果、フードの回動中心に対する回動半径を小さくする姿勢をとる。次に、回動機構の作用により、フードが傾斜姿勢を保持したまま、つまり回動半径を小さくする姿勢を保ったまま後端側の回動中心回りに全開姿勢になるまで回動する。そのため、フードが開閉されるとき、運転者に合わせて角度調整されたハンドル(ステアリングホイール)との干渉が回避される。
【0014】
また、全開姿勢となったときに、傾斜姿勢をとらずに回動する場合に比べ、フードの後部が後方へ偏位する。このため、フードの全開時の開きスペースが広く確保される。例えばフードをバッテリ式産業車両に適用した場合、バッテリを横方向に移動可能な高さまで持ち上げたときに、バッテリがフードと干渉し難くなる。
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、フードは係止手段により閉鎖姿勢で係止される。フードを開くために係止手段による係止を解除すると、フードは第1の付勢手段の付勢力によって傾斜姿勢に傾動し、続いて第2の付勢手段の付勢力によって傾斜姿勢からその姿勢を保持したまま全開姿勢に回動する。従って、フードを開ける際、人は係止手段による係止を解除しさえすればよくなる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、フードはヒンジとの連結点を中心に傾動し、その傾斜姿勢を保持したまま、ヒンジと車体との連結点を中心に回動する。
請求項3に記載の発明によれば、ヒンジがフードに対してその前後方向における中心より前側にて連結されているので、フードの前端部の後方へのスライド量よりも、フードの後部の持ち上がり量の方が大きくなる。よって、フードの回動半径をハンドルに干渉しない程度に小さくしつつ、フードを全開したときの開きスペースをできるだけ広くすることが可能となる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、フードが開くときは、その前端部が案内機構に案内されて後方へスライドし、その前端部の案内機構による案内が解除されてからフードの回動が開始される。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、フードが傾斜姿勢となったときの後部の持ち上がり量が必要なだけ確保されるので、フードを全開したとき、バッテリ収容部のバッテリを横方向へ移動可能な高さまで持ち上げることが可能なだけの広い開きスペースが確保される。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、産業車両には、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のフードの開閉機構が備えられているので、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の発明と同様の作用が得られる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をフォークリフトに具体化した一実施形態を図1〜図6に基づいて説明する。図6に示すように、産業車両としてのバッテリ式フォークリフト(以下、単にフォークリフトという)1の車体2の前側にはマスト3が立設されている。マスト3には、フォーク4を取付けたリフトブラケット5が昇降可能に設けられている。また、車体2の後部には、カウンタウエイト6が設けられている。車体2に立設された4本のピラー7とヘッドガード8とに囲まれた運転室9には、座席(シート)10を上面に有するフード(バッテリフード)11が設けられ、その前方斜め上方にハンドル(ステアリングホイール)12が装備されている。ハンドル12は角度調整機能を備え、運転者が操作し易いように角度調整されている。
【0021】
フード11の下方はバッテリ13が収容されるバッテリ収容部14となっている。フード11は、バッテリ13の交換や点検ができるように、図6に鎖線で示すように後端側を中心とする前開きの開閉が可能となっている。バッテリ13は、フード11を閉鎖したときの下端面付近に、その上面が位置するように収容される。フード11は、その後部の幅が左右のピラー(リアピラー)7間の距離より狭く形成され(図4を参照)、図6に鎖線で示すように全開時にその後部部分が左右のリアピラー7間に進入可能な形状を有する。
【0022】
次に、フード11の開閉機構について図1〜図4を用いて詳しく説明する。
図1〜図4に示すように、左右のリアピラー7が下部で固定された車体フレーム(以下、単にフレームという)2aは、フード11の後方および下方に延びるように配置されている。ヒンジとしての左右2本のヒンジアーム15,16(但し、図1〜図3では右側のみ図示)は、フレーム2aの各リアピラー7の内面に相当する位置に取付けられた一対のブラケット17に対し、ピン18によって各々の基端部において回動可能に支持されている。各ヒンジアーム15,16の先端部は、図1〜図3に示すように、フード11に対してピン19によって回動可能に連結されている。その連結点はフード11の前後方向における中心より前側の上方に位置している。
【0023】
図1〜図4に示すように、ピン19には第1の付勢手段としてのバネ20が配設されている。バネ20は、本実施形態ではひねりバネであって、その一端がヒンジアーム15,16に形成された掛止部15a,16aに当接し、他端がフード11の内周面に突設された規制部11aに当接している。バネ20は、フード11が図1に示す閉鎖姿勢にあるときに圧縮状態にある。そのため、閉鎖姿勢にあるときのフード11には、バネ20によってヒンジアーム15,16の先端部とフード11との連結点であるピン19を中心として、図1における反時計回り方向へフード11をヒンジアーム15,16に対して相対回動させる付勢力が付与される。
【0024】
フード11の内周面にはヒンジアーム15,16と相対する位置に、一対のストッパ21が延出するように形成されている。ストッパ21は、フード11のバネ20の付勢力によるヒンジアーム15,16に対する相対回動を規制するためのもので、各ヒンジアーム15,16の下面に当接可能に位置する。ヒンジアーム16,16がストッパ21に当接することにより、フード11はその前端部を後方へスライドさせるとともに後部を持ち上げた、図2に示す傾斜姿勢に保持される。
【0025】
図1〜図4に示すように、右側のヒンジアーム15の近傍には、第2の付勢手段としてのダンパ23が取付けられている。ダンパ23のロッド23aの先端部がヒンジアーム15に対してその中央よりやや先端側においてピン22によって回動可能に連結されるとともに、シリンダ23bの基端部がフレーム2aに取付けられたブラケット24に対してピン25によって回動可能に連結されている。ダンパ23のロッド23aは、シリンダ23bに対して突出方向に付勢されている。フード11が図1に示す閉鎖姿勢にあるときは、ダンパ23のロッド23aは収縮状態にある。
【0026】
フード11の先端両側下部には、ブラケット26を介して左右一対のガイドピン27が内側へ水平に突出する状態で固定されている。フード11が閉鎖状態にあるときにガイドピン27と相対するフレーム2aの内面位置には、略L字状のガイドロッド28が、後方へほぼ水平に延出する状態で支持されている。ガイドピン27がガイドロッド28に案内されることで、フード11の前端部が前後方向にスライド可能になっている。ガイドピン27は、フード11が閉じた状態においてガイドロッド28に引っ掛かっていて、ヒンジアーム15,16がストッパ21に当たってフード11が傾斜姿勢(図2の状態)になったときに、ガイドピン27のガイドロッド28に対する係合が外れた状態になる。なお、ヒンジアーム15,16、バネ20、ストッパ21、ガイドピン27およびガイドロッド28により傾動機構が構成され、ヒンジアーム15,16およびダンパ23により回動機構が構成される。また、ガイドピン27とガイドロッド28とにより案内機構が構成される。
【0027】
図1〜図4に示すように、フード11の左右内面後端にはL字状の係止部29が突設されている。フード11が閉鎖状態にあるときの係止部29と相対する位置には、フック30がピン32を中心に回動可能にフレーム2aに支持されるとともに、バネ(図示せず)によって係止部29と係合する方向へ付勢されている。フック30は、ワイヤ(図示せず)によってフード11の外側に設けられた図6に示すオープンレバー32と連結されており、オープンレバー32を操作することでフック30が解除方向に作動され、係止部29に対するフック30の係止が解除されるようになっている。なお、オープンレバー32の位置は操作し易い適宜な位置に変更できる。また、係止部29とフック30とにより係止手段が構成される。
【0028】
本実施形態では、ヒンジアーム15,16の先端部とフード11との連結点(ピン19)を、フード11の前後方向における中心より前側に設定することで、フード11が閉鎖姿勢から傾斜姿勢へ傾動する際、その前端部の後方へのスライド量よりも、その後部の持ち上がり量の方が大きくなるように設定している。フード11の前端部の後方へのスライド量によって、フード11の回動半径を小さくできる距離(図3における距離r)が決まり、フード11の後部の持ち上がり量によって、フード11を全開したときのその後部の後方への偏位量が決まる。本実施形態では、フード11を回動するときの回動半径をハンドル12に干渉しない程度に小さくできる範囲で、フード11を全開させたときの後部の後方への偏位量をできるだけ多く確保できるように設定している。
【0029】
また、本実施形態のフード11は、エンジン式フォークリフトとの部品の共通化を図るため、エンジン式フォークリフトに必要な高さ(深さ)を有している。なお、ヒンジアーム15,16の基端部が円弧状に形成されているが、これはこの部位に配置される他部品を避けるためである。なお、図4は、ヒンジアーム15,16付近についてはこれらを切断する断面で示され、他の部分と断面を異にする。
【0030】
次に、前記のように構成されたフード11の開閉機構の作用を説明する。
フード11が閉じている図1の状態では、その前端部においてガイドピン27がガイドロッド28に係合するとともに、その後端部においてフック30が係止部29に引っ掛かった状態にある。このときバネ20は圧縮状態にある。オープンレバー32を操作すると、フック30が解除され、フード11はバネ20の弾性力によって、ヒンジアーム15,16に対してピン19を中心に図1における反時計回り方向へ相対回動する。その結果、フード11は、ガイドピン27がガイドロッド18に案内されてその前端部を後方へスライドさせつつ、その後部を持ち上げるように傾動する。ストッパ21がヒンジアーム15,16の下面に当たることで、フード11の傾動が規制され、フード11は図2に示す傾斜姿勢に配置される。
【0031】
ガイドピン27がガイドロッド28から外れると、ダンパ23のロッド23bが伸びようとする力により、フード11はヒンジアーム15,16と共にピン18を中心に図2における時計回り方向に回動する。フード11はストッパ21がヒンジアーム15,16の下面に当たった傾斜姿勢を保持したまま、図3に示す全開姿勢となるまで回動する。
【0032】
フード11の先端がA位置からB位置へスライドしたことで、フード11が傾斜姿勢から全開姿勢まで回動するときの回動半径が距離r分小さくなる。ここで、破線で示された2つの円弧のうち外側(大径側)のものは、フードを傾動させず回動させたときにその先端が描く最外円弧である。フード11の回動半径が距離r分小さくなることで、フード11の回動時に運転者に合わせて角度調整されたハンドル12と干渉することがなくなる。よって、フード11を開くときにハンドル12を跳ね上げる必要がなくなる。
【0033】
また、フード11が傾斜姿勢をとるときに後部を持ち上げているので、全開時にフード11は後部が後方にずれた姿勢をとる。例えばバッテリ交換をするときは、バッテリ13をワイヤ33(図5に示す)に吊るしてクレーンによりバッテリ収容部14からバッテリ13を引き上げる。このときバッテリ13を横方向へ移動できる高さまで引き上げる必要があるが、フード11が後部を後方へずらした全開姿勢をとるので、全開時の開きスペースが広く確保され、バッテリ13の引き上げ許容量が多く確保される。このため、エンジン式フォークリフト1にも使用できるようにフード11が高さ(深さ)のあるものであっても、図5に示すように、バッテリ13をフード11に干渉することなく横方向へ移動できる高さまで引き上げることが可能となる。
【0034】
また、フード11を閉じるときは、手でフード11を図2に示す傾斜姿勢になるまで押して回動させてから、後部を下方に押さえ付けて係止部29をフック30に係止させる。このフード11の後部を押さえ付けつけるとき、フード11の先端部のガイドピン27がガイドロッド28に沿ってB位置からA位置までスライドして閉鎖姿勢となる。フード11を閉めるときも開くときの逆経路を通り、その回動半径が距離r分小さくなる。よって、フード11は開閉時に共にハンドル12と干渉しない。
【0035】
以上詳述したように本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)フード11が開くときに、先ず前端部を後方へスライドさせながら後部を上方へ持ち上げる傾動をし、その回動半径を小さくする傾斜姿勢を保持したまま全開まで回動するので、フード11の回動半径を小さくすることができる。従って、運転手に合わせて角度調整されたハンドル12と干渉することなくフード11を開閉させることができる。よって、フード11を開閉するときにハンドル12を跳ね上げる必要がない。
【0036】
(2)フード11が傾斜姿勢をとるときに後部を持ち上がげていることから、全開時にフード11が後部を後方へずらした姿勢をとるので、全開時の開きスペースを広く確保することができる。そして、特に本実施形態においては、フード11の後部の持ち上がり量がフード11の前端部の後方へのスライド量より大きくなるように、フード11とヒンジアーム15,16との連結点の位置を選んでいるので、フード11の開閉時にハンドル12に干渉しない範囲で、フード11の全開時の開きスペースをなるべく広く確保することができる。
【0037】
(3)フード11の全開時の開きスペースを広く確保できることから、フード11の高さ(深さ)をエンジン式フォークリフトに合わせても、バッテリ13をフード11に干渉することなく、横方向へ移動できる高さまで引き上げることができる。よって、フード11をバッテリ式フォークリフト1とエンジン式フォークリフトとの両方に使用でき、フード部品を共通化することができる。また、フード11の全開時の開きスペースが広くなることから、バッテリ13やエンジン等のメンテナンス作業がし易くなる。
【0038】
(4)フード11は閉じた状態において、バネ20によって傾斜姿勢に傾動するように付勢されるとともに、ダンパ23によって全開に回動するように付勢されているので、傾動と回動との2種類の動きを経て開く構成であっても、フック30を解除するためのオープンレバー32を一操作するだけで、フード11を自動で全開まで開放させることができる。
【0039】
(5)フード11を回動させるためのヒンジアーム15,16のフード11に対する連結点を、フード11の傾動の支点とする構造を採用しているので、フード11の傾動機構を簡素化できる。
【0040】
(6)フード11が傾動する過程で、その前端部がガイドピン27とガイドロッド28との係合により後方へ案内されるようにしたので、フード11がほぼ傾斜姿勢をとってからフード11の回動が開始されるようにすることができる。
【0041】
なお、実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば次のように変更してもよい。
○ フード11の開閉機構は、前記実施形態の機構に限定されない。要するに、フードを最初に前端部を後方へスライドさせながら後部を上方へ移動させる傾動が可能で、かつその傾動後にその傾斜姿勢を保ったまま全開方向へフードを回動させる機構であればよく、適宜な機構を採用できる。
【0042】
○ ヒンジアーム15,16のフード11に対する連結点(ピン19)の位置は、適宜変更することができる。例えばハンドル12との干渉を犠牲にしてまでもフード全開時の開きスペースを広く確保することを優先させたい場合は、座席10のハンドル12との干渉を招かない範囲において前記実施形態よりもさらに前側の位置に、その連結点を選択してもよい。また、ハンドル12と座席10との間のスペースが比較的狭く、フードを回動するときの回動半径をかなり短くしたい場合は、その連結点をフードの前後方向における中心より後側の位置に選ぶこともできる。特にエンジン式フォークリフトにのみフードを採用するのであれば、バッテリ交換のことを考慮する必要がないので、このような構成も十分成り立つ。
【0043】
○ バネ20に代えて小型のダンパを使用し、ヒンジアーム15に対するフード11の傾動をダンパによる付勢力を利用して行なう構成としてもよい。
○ 第1の付勢手段としてのバネ20は必須ではなく無くしてもよい。この場合、ガイドピン27とガイドロッド28との係合と、ダンパ23の付勢力とによって、フード11が傾斜姿勢になったときにその姿勢で係止される係止機構を設ければよい。この構成によっても、フード11が回動する際に傾斜姿勢を保つことはできる。但し、このときの係止機構は、フードを閉鎖するときはその係止が手で強く押し付けることで解除されるものとする。
【0044】
○ 案内機構、すなわちガイドピン27とガイドロッド28は必ずしも必要ではない。第1の付勢手段(例えばバネ20)によってフード11が傾斜姿勢に変化する速度が、第2の付勢手段(例えばダンパ23)によってフード11を回動させる速度よりも大きければ、フード11がハンドル12近くを通るときまでにフード11が傾斜姿勢をとることになるので、ハンドル12との干渉は避けられる。
【0045】
○ フード11の高さ(深さ)をエンジン式フォークリフト用の寸法より短くしてもよい。この構成によれば、フード部品の共通化はできないものの、バッテリサイズの大型化により、バッテリ交換時のバッテリの引き上げ量が大きくなっても対応できる。
【0046】
○ ダンパ23を1個ではなく複数個設けてもよい。ダンパ23をフード11の左右両側に一対設けた場合はダンパ23の付勢力がフード11にバランス良く作用する。
【0047】
○ 前記実施形態のフード11の開閉機構を、エンジン式フォークリフトに適用してもよい。この構成によっても、前記実施形態で述べた効果のうちバッテリ式フォークリフトに特有な効果以外の効果は得られる。
【0048】
前記実施形態から把握できる技術的思想(発明)を、その効果とともに以下に記載する。
(1)前記フードの傾斜姿勢は、その開閉時にハンドルを跳ね上げなくても該フードがハンドルに当たらない回動半径となるように設定されている。
【0049】
(2)前記傾動機構および前記回動機構は、前記フードが開くときと逆の経路で閉じる機構である。
【0050】
(3)前記第1の付勢手段の付勢力による前記フードの傾動速度は、前記第2の付勢手段の付勢力による前記フードの回動速度よりも、前記フードがハンドルに相当する高さに至る前に該フードの傾動が完了する程度に速く設定されている。この構成によれば、フードを開閉する際に、運転者に合わせて角度調整されたハンドルと干渉しない。
【0051】
(4)前記(3)において、前記第1の付勢手段は弾性部材を有し、前記第2の付勢手段はダンパを有する。この構成によれば、フードを開くときに弾性部材の復元力によってダンパに比べて素早く傾斜姿勢に傾動させることができる。なお、前記実施形態におけるバネ20により弾性部材が構成される。また、弾性部材としてゴムを採用できる。
【0052】
(5)前記フードには、これを前記第1の付勢手段の付勢力に抗して前記傾斜姿勢で規制するように前記ヒンジの動きを規制する規制部が形成されている。この構成によれば、フードを傾斜姿勢で規制する規制機構を簡素化できる。
【0053】
(6)前記フードは全開時に後側のピラー間に進入可能に少なくとも後部部分の幅が狭くなった形状を有する。この構成によれば、フードを全開させたときに後側のピラーに制約されず、全開時の位置を後方へ偏位させることができ、全開時の開きスペースを広く確保できる。
【0054】
(7)前記係止手段の前記フードに対する係止を解除するための操作部が設けられている。この構成によれば、操作部を操作するだけで、フードを簡単に開けられる。
【0055】
【発明の効果】
以上詳述したように各請求項に記載の発明によれば、フードを開くとき、先ずその前端部を後方へスライドさせつつ後部を持ち上げた傾斜姿勢に傾動し、続いてその傾斜姿勢を保持したまま全開姿勢まで回動するので、フードの開閉時の回動半径を小さくでき、しかも全開時にフードが後部を後方へ偏位させた姿勢をとるので、その開きスペースを広く確保できる。また、フードの全開時の開きスペースを広くできることから、例えばバッテリ車とエンジン車との間でフード部品の共通化を図ることができる。
【0056】
請求項1に記載の発明によれば、第1および第2の付勢手段によって、フードが傾斜姿勢に傾動する方向および全開姿勢に回動する方向へ付勢されているので、フードを開ける際、人は係止手段による係止を解除しさえすればよい。
【0057】
請求項2に記載の発明によれば、フードをヒンジとの連結点を中心に傾動させることで、傾動機構を簡素化できる。
請求項3に記載の発明によれば、フードの後部の持ち上がり量がフードの前端部の後方へのスライド量より大きくなるように、フードとヒンジとの連結点を位置設定したので、フードの開閉時にハンドルに干渉しない範囲で、フードの全開時の開きスペースをなるべく広くすることができる。
【0058】
請求項4に記載の発明によれば、案内機構の作用により、フードの前端部が後方へ案内され、フードが傾斜姿勢をとってからフードの回動が開始されるので、フードの傾斜姿勢をとる前の回動の開始をほぼ確実に防ぐことができる。
【0059】
請求項5に記載の発明によれば、フードの傾斜姿勢時の後部の持ち上がり量を、その全開時にバッテリを横方向へ移動可能な高さまで持ち上げ可能な値に設定したので、フードをバッテリ式産業車両に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態のフードの閉鎖姿勢にある状態を示す摸式側断面図。
【図2】フードの傾斜姿勢にある状態を示す摸式側断面図。
【図3】フードの全開姿勢にある状態を示す摸式側断面図。
【図4】フードの正断面図。
【図5】バッテリ交換作業時のフードを示す側面図。
【図6】フォークリフトの摸式側面図。
【図7】従来のフード開閉機構を示す摸式側面図。
【符号の説明】
1…産業車両としてのフォークリフト、2…車体、2a…車体フレーム、10…座席、11…フード、12…ハンドル、13…バッテリ、14…バッテリ収容部、15,16…傾動機構および回動機構を構成するとともにヒンジとしてのヒンジアーム、20…傾動機構を構成するとともに第1の付勢手段としてのバネ、21…傾動機構を構成するストッパ、23…回動機構を構成するとともに第2の付勢手段としてのダンパ、27…傾動機構および案内機構を構成するガイドピン、28…傾動機構および案内機構を構成するガイドロッド、29…係止手段を構成する係止部、30…係止手段を構成するフック。
Claims (6)
- 産業車両の座席が上面に設けられるフードの開閉機構であって、
前記フードを閉じた閉鎖姿勢から開くときに先ずその前端部を後方へスライドさせつつ後部を持ち上げた傾斜姿勢に傾動させる傾動機構と、
前記フードを前記傾斜姿勢を保持したまま後端側の回動中心回りに全開姿勢まで回動させる回動機構と、
前記フードを前記閉鎖姿勢で係止する係止手段とを備え、
前記傾動機構には、前記フードを前記閉鎖姿勢から前記傾斜姿勢へ傾動する方向に付勢する第1の付勢手段が備えられ、
前記回動機構には、前記フードを前記傾斜姿勢から前記全開姿勢へ回動する方向に付勢する第2の付勢手段が備えられている産業車両におけるフードの開閉機構。 - 産業車両の座席が上面に設けられるフードの開閉機構であって、
前記フードを閉じた閉鎖姿勢から開くときに先ずその前端部を後方へスライドさせつつ後部を持ち上げた傾斜姿勢に傾動させる傾動機構と、
前記フードを前記傾斜姿勢を保持したまま後端側の回動中心回りに全開姿勢まで回動させる回動機構とを備え、
前記回動機構を構成し、前記フードを回動可能に支持するヒンジは、車体との連結点が該フードの回動中心になり、該フードとの連結点が該フードの傾動中心になっている産業車両におけるフードの開閉機構。 - 前記ヒンジと前記フードとの連結点は、該フードの前後方向における中心より前側に位置する請求項2に記載の産業車両におけるフードの開閉機構。
- 前記傾動機構は、前記フードの前端部を前後方向に案内するとともに、少なくとも前記フードが前記傾斜姿勢となったときにその案内を解除する案内機構を備えている請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の産業車両におけるフードの開閉機構。
- 前記フードの下方にはバッテリ収容部が設けられ、前記フードの傾斜姿勢時の後部の持ち上がり量が、前記全開姿勢にあるときの当該フードと干渉することなく、前記バッテリ収容部のバッテリを横方向へ移動可能な高さまで持ち上げ可能な値に設定されている請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の産業車両におけるフードの開閉機構。
- 請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の前記フードの開閉機構を備えている産業車両。
Priority Applications (1)
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JP08605898A JP3956477B2 (ja) | 1998-03-31 | 1998-03-31 | 産業車両におけるフードの開閉機構及び産業車両 |
Applications Claiming Priority (1)
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JPH11286396A JPH11286396A (ja) | 1999-10-19 |
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Family Applications (1)
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JP (1) | JP3956477B2 (ja) |
-
1998
- 1998-03-31 JP JP08605898A patent/JP3956477B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JPH11286396A (ja) | 1999-10-19 |
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